(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1糸又は第2糸を形成する前に、前記第1吸収性フィラメント及び前記第1非吸収性フィラメントのうち少なくとも1つをねじる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
前記第1糸が、第1非吸収性フィラメントと、第1吸収性フィラメントと、を含み、前記第2糸が、第2非吸収性フィラメントと、第2吸収性フィラメントと、を含む、請求項1に記載の方法。
前記第1糸が、第1非吸収性フィラメントと、第1吸収性フィラメントと、第2吸収性フィラメントと、を含み、前記第2糸が、第2非吸収性フィラメントと、第3吸収性フィラメントと、を含む、請求項1に記載の方法。
前記第1吸収性フィラメントがポリグラクチンであり、前記第2吸収性フィラメントがポリジオキサノンであり、前記第1非吸収性フィラメントがポリプロピレンである、請求項6に記載の方法。
前記第1糸又は第2糸を形成する前に、前記第1吸収性フィラメント及び前記第1非吸収性フィラメントのうち少なくとも1つをねじる工程を更に含む、請求項12に記載の埋め込み可能なデバイス。
前記第1糸が、第1非吸収性フィラメントと、第1吸収性フィラメントと、を含み、前記第2糸が、第2非吸収性フィラメントと、第2吸収性フィラメントと、を含む、請求項12に記載の埋め込み可能なデバイス。
前記第1糸が、第1非吸収性フィラメントと、第1吸収性フィラメントと、第2吸収性フィラメントと、を含み、前記第2糸が、第2非吸収性フィラメントと、第3吸収性フィラメントと、を含む、請求項12に記載の埋め込み可能なデバイス。
前記第1吸収性フィラメントがポリグラクチンであり、前記第2吸収性フィラメントがポリジオキサノンであり、前記第1非吸収性フィラメントがポリプロピレンである、請求項17に記載の埋め込み可能なデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な組織を修復又は支持する処置では、スカフォールドを含めることが有用であることが多く、修復されている組織を支持するだけではなく、組織内部成長及び発生を可能として促進する手段を提供する働きができる。最も一般的なメッシュのスカフォールドの問題点は、通常は実質的に非吸収性材料から作られるため、埋め込み後、及び組織の内部成長後長い間、体内に存在し続けることである。本明細書で使用されるとき、用語「内部成長」又は「組織内部成長」は、時間と共に、埋め込まれたデバイスの内部及び周囲に成長する、様々な体細胞及び組織の発生及び発達を指す。埋め込み部位に応じて、例えば、数ある中でも、骨髄、軟骨細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、血液芽細胞、平滑筋細胞、筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、肝細胞、及びセルトリ細胞などの任意の体組織が発生し得る。本明細書で使用されるとき、用語「生体吸収性」及び「吸収性」は互換的に用いられ、分解されて体内に吸収され、ある期間にわたって、例えば、数分から少なくとも1年にわたって体内で代謝され得る、すなわち排泄され得る材料を指す。
【0014】
本発明は、埋め込み前、及び組織内部成長が始まった後の両方において、三次元全てに好適な物理的特徴を有する、好適な埋め込み可能なデバイスを提供する。本発明は、低レベルの非吸収性要素を含むが、生体吸収性要素が吸収され、組織がデバイス内に成長した後に、望ましい特徴を維持するスカフォールドを提供する。結果として得られる埋め込み可能な材料は、当初は織物であるが、吸収性材料が加水分解された後は、定まった構造を持たない。更に、本発明の独自の構造及び組成が与えられると、デバイスは、吸収後の状態がより組織様であり、自然な組織の動きと、デバイスを埋め込まれた人の違和感が著しく少なくなることを可能にする。
【0015】
本発明は、埋め込み可能なデバイス、埋め込み可能なデバイスの製造方法、及び埋め込み可能なデバイスの使用方法を提供する。好ましい方法では、以下で詳細に説明されるように、デバイスは、フィラメントを形成するための、少なくとも1種類、より好ましくは、2種類以上の高分子繊維をまず選択することによって形成される。複数の繊維を含むフィラメント構造体の1つの例が
図1に示される。続いて、1つ以上のフィラメントを用いて、一般には少なくとも1つのフィラメントをねじった束と言われる糸を形成できる。フィラメントを、使いやすいようにスプールにしてもよい。
【0016】
1つ以上のフィラメントを任意の方法でねじってよく、一方法では、フィラメントを用いて靴下形態又はシート形態のような固く編まれた構造体を形成する。固く編まれた構造体の例は、
図2及び2Aに示されている。靴下形態又はシート形態を最初に形成する場合、靴下形態又はシート形態をその後ほどいて、靴下形態又はシート形態を作るのに使用された個々のフィラメントを含有する繊維をねじった束を得る。ねじれは、捲縮装置など、別の方法によっても達成できる。ねじれたフィラメントは、「糸」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、フィラメントの各スプールをフィラメント束にして、それを糸にしてもよい。初期フィラメントは、単繊維又は多繊維フィラメントであってよく、得られた糸も同様に単フィラメント又は多フィラメントであってよい。最も望ましくは、糸は複数のフィラメントによって形成され、各フィラメントはねじられている、又は捲縮されている。あるいは、フィラメントが糸に形成された後、糸をねじり、又は捲縮してもよい。フィラメントのねじれ又は捲縮は、デバイス中の構成要素の体積増加をもたらす。
【0017】
次の工程には、少なくとも1種類の糸、より望ましくは、2種類以上の糸を準備することと、これらの糸を共に編み、緩い織物構造体(「初期織物構造体」と称する)を形成することと、を含む。初期織物構造体の一例は、
図3及び3Aに示される。次に、初期織物構造体を、以下で説明する1回以上の加熱プロセスにかけ、構造体中の少なくとも一部のフィラメントを収縮し、結果として得られる曲がった、埋め込み可能な構造体を形成して、後にヒートセットしてもよい。結果として得られる構造体は、「結果として得られる埋め込み可能なデバイス」としても知られ、1回以上の加熱工程にかけられ得た後の最終構造体を指す。結果として得られる埋め込み可能なデバイスの例は、
図4及び4Aに示されている。当然のことながら、例えば、複数の加熱工程が使用される場合、又は加熱プロセス中に、初期織物構造体と結果として得られる埋め込み可能なデバイスとの間に1つ以上の中間構造体がある場合がある。初期織物構造体中の少なくとも一部の繊維が収縮する第1加熱工程の後、得られる構造体は「初期加熱構造体」と呼ばれる。続いて、初期加熱構造体を追加の加熱工程にかけ、繊維の一部を融解し、収縮し、かつ曲がった構造体を適所に固定してよい。これによって、「結果として得られる埋め込み可能なデバイス」を形成する。結果として得られる埋め込み可能なデバイスがユーザーの体内に埋め込まれた後は、「埋め込まれたデバイス」と呼ばれる。
【0018】
本発明は、非吸収性繊維と吸収性繊維の組み合わせを含む埋め込み可能なデバイスに関する。以下に更に詳細に説明するように、本発明のデバイスは、多くの望ましい物理的特徴を有し、実行可能で向上された組織修復又は支持デバイスとしての機能を果たすことが可能である。例えば、デバイスは、使用される特定の用途に望ましい範囲の厚さを有する。内部成長が起こり、吸収性材料が体内に吸収されると、デバイスが内部成長した組織に近接するような厚さである。デバイスは更に、新しい組織の主な部分が発生した体内組織にできるような、十分なレベルの質量を有する。デバイスは、成長可能でありながらも支持体をもたらすのに好適な形状を提供することも必要であり、すなわち、デバイスは以下に記載する好適な多孔構造体を有する。加えて、埋め込み後に場合によって移動し得る繊維を有するデバイスの提供を避けるため、デバイスの少なくとも非吸収性部分が、十分に相互連結されていることも必要である。デバイスは、望ましい物理的強度を有することによって、内部成長を阻害せずに、埋め込み後にデバイスの一体性を維持してもよい。加えて、デバイスは、通常の体の動き中にデバイスが埋め込まれ、固定されたままであるように、十分に可撓性でなくてはならない。
【0019】
本発明のデバイスは、三次元全ての独自の方向に形成している、三次元に連続した非吸収性及び吸収性繊維の織物である。デバイスが、不規則に均一な非構造アレイを有することが意図される。本明細書で使用されるとき、用語「不規則に均一な非構造アレイ」は、少なくとも2種類の異なる繊維(1つは他のものより低い融点を有する)の初期均一織物を準備し、その後三次元全てに共に延伸されることによって、得られる構造体が下層に織物構造体を有しているにも関わらず、不規則で無方向性の構造体の外観を生じさせることによって、形成される、最終生成物の方向を説明するのに使用される。共に延伸する工程は、以下で詳細に説明され、最低融点を超えるが、最高融点未満の程度まで温度を上昇させる工程を含んでよい。得られた構造体は、不規則で不均一な外観であるが、実際は、その不規則性が均一であり得る。言い換えれば、得られた構造体は、波状表面を有する均一に平坦で三次元に緊密なヒートセットされた編み織物であり得、フェルト材料の外観と感触を有する。得られた構造体は、得られた構造体の材料量、層形成、及び密度に応じて、剛性であってもよく、ある程度可撓性であってもよい。結果として得られる埋め込み可能なデバイスの詳細は、以下の説明によってより理解することができる。不規則に均一な非構造アレイの使用は、時間と共に、デバイスに沿った、かつデバイス内への線維芽細胞の成長及び発達を増強するデバイスの提供に重要である。加えて、結果として得られる埋め込み可能なデバイスを、従来の非吸収性スカフォールド又はメッシュよりも少ない労力で伸長できる。更に、本発明は、体内に吸収されるときに組織様修復をもたらし、構造性の非吸収性要素を含有する従来のスカフォールドよりも、自由な組織の動きを可能にする。
【0020】
好ましい実施形態では、デバイスは、非吸収性及び吸収性繊維の両方、少なくとも1種類の非吸収性繊維と、少なくとも1種類の吸収性繊維と、を含む、フィラメントの織目を含む。これらのフィラメントは、ねじれた糸に形成され、互いに織られて以下に記載する延伸工程にかけられる。本明細書で使用されるとき、フィラメントは、単繊維フィラメント材料又は多繊維フィラメント材料であってよく、例えば、編み組まれる、ないしは別の方法で絡まされてもよい。用語「フィラメント」は、単繊維又は多繊維フィラメントを含み得る。上で説明したように、「糸」は、ねじれた1つ以上のフィラメントから形成される。本明細書で説明される図面は多繊維フィラメントを示しているが、フィラメントが単繊維であり得ることが理解されるであろう。
【0021】
本発明の非吸収性繊維は、任意の好適な非吸収性材料で作製されてよい。好適な材料として、例えば、ポリプロピレン(例えば、Ethicon,Inc.(Somerville,NJ)から商標名PROLENE縫合糸で販売される)、PVDF/HFPブレンド(例えば、Ethicon,Inc.(Somerville,NJ)から商標名PRONOVA縫合糸で販売されるポリフッ化ビニリデンとポリフッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレンのポリマーブレンド)、ポリエステル、ナイロン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、酢酸セルロース、非生分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリビニルイミダゾール、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン、及び、スチレン−ブロック−ブタジエン、並びにこれらの組み合わせなどのポリマーが挙げられる。他の好適な非吸収性材料として、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン及びチタン合金、並びに、アルミナ、ジルコニア、及び硫酸カルシウムなどの生体不活性セラミックス、並びにこれらの組み合わせなどの金属が挙げられる。本発明の非吸収性フィラメントは、同一又は異なっていてよい、2つ以上の非吸収性繊維を含んでよい。本発明の好ましい非吸収性繊維として、ポリプロピレン、PVDF/HFPブレンド、ポリエステル、及びナイロンが挙げられる。本発明の非吸収性繊維は、埋め込み物としての機能を果たす任意の寸法であってよく、特に、約10デニール〜約100デニール、より好ましくは、約25デニール〜約60デニールの寸法を有するフィラメントを提供する。本明細書で使用されるとき、用語「デニール」は、測定単位として理解される意味を有し、フィラメント9000メートルにつき1グラムの重量のフィラメントの細さと等しい、フィラメント(単繊維又は多繊維フィラメントのいずれでも)の細さの単位を意図する。
【0022】
同様に、本発明の吸収性繊維は、任意の望ましい生体吸収性材料で作製されてよい。これらの生体吸収性ポリマーとして、ポリエステルなどの合成ポリマー、並びに、ポリペプチド、ポリサッカライド、及びこれらの誘導体などのバイオポリマーの両方が挙げられる。好適な生体適合性生体吸収性ポリマーの例として、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリウレタン、ポリ(コハク酸アルキレン)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(無水マレイン酸)チロシン由来ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基含有ポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、バイオポリマー(bioploymers)(例えば、コラーゲン、ゼラチン、アルギン酸、ペクチン、デンプン、フィブリン、酸化セルロース、キチン、キトサン、トロポエラスチン、ヒアルロン酸、及びこれらの混合物)、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪族ポリエステルとして、ラクチド(乳酸、D−、L−及びメソラクチドなど)、グリコリド(グリコール酸など)、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、1,4−ジオキセパン−2−オン(その二量体1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,14−ジオンなど)、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、γ,γ−ジエチルプロピオラクトン、エチレンカーボネート、エチレンオキサレート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、6,8−ジオキサビシクロオクタン−7−オンのホモポリマー及びコポリマー、並びにそれらのポリマーブレンドを挙げることができるが、これらに限定されないポリアルキレンオキサレートとして、それぞれ参考して本明細書に組み込まれる、米国特許第4,208,511号、同第4,141,087号、同第4,130,639号、同第4,140,678号、同第4,105,034号、及び同第4,205,399号に記載されるものが挙げられる。本発明に有用な生体吸収性材料として、更に、ポリグルコネート、ポリ(乳酸−コ−エチレンオキシド)コポリマー、ポリホスホエステル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDO)、炭酸トリメチレン(TMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、これらのコポリマー又はブレンドが挙げられる。有用なものは更に、ポリホスファゼン、L−ラクチド、D,L−ラクチド、乳酸、グリコリド、グリコール酸、p−ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、及びε−カプロラクトンから製造されるコ−、ター、及びそれ以上の混合モノマー系ポリマーであってよい。ポリ無水物としては、HOOC−−C
6H
4−−O−−(CH
2)
m−−O−−C
6H
4−−COOH(式中、mは2〜8の範囲内の整数である)の形態の二塩基酸から誘導されたもの、及び12個までの炭素からなる脂肪族α〜ω二塩基酸を有する、そのコポリマーが挙げられる。有用なポリオキサエステル、ポリオキサアミド、並びにアミン及び/又はアミド基を含有するポリオキサエステルは、米国特許第5,464,929号、同第5,595,751号、同第5,597,579号、同第5,607,687号、同第5,618,552号、同第5,620,698号、同第5,645,850号、同第5,648,088号、同第5,698,213号、同第5,700,583号、及び同第5,859,150号のうち、1つ以上に記載されており、そのそれぞれは本明細書に参考として組み込まれる。その他有用な材料として、ポリ(L−ラクチド)(「PLA」)、ポリ(d,l−ラクチド)(「PDLA」)、ポリ(グリコリド)(「PGA」)、ポリカプロラクトン、これらのコポリマー、ターポリマー、それ以上のポリモノマーポリマー、又はこれらの組み合わせ若しくは混合物が挙げられる。
【0023】
繊維又はフィラメントは、生物的に安定な染料などによって着色されていてよく、又は無色であってよい。いくつかの実施形態では、結果として得られる埋め込み可能なデバイス中で使用される材料のうち少なくとも1つは、ユーザーがデバイス中の異なる繊維を視覚的に確認できるように、染料などを使用することによって着色して提供される。更に、材料に着色剤を加えることにより紫外線への感受性を低下させられることから、着色剤の使用は、製造上、及び/又は保管上の利益をもたらすことができる。例えば、デバイス中の1つの材料を、青色又は紫色の着色剤で染色してよい。
【0024】
最も望ましくは、吸収性繊維又は繊維として、グリコリド及び/又はラクチドから製造されるポリマー、ポリグラクチン910(Ethicon,Inc.(Somerville,NJ)から商標名VICRYL縫合糸で販売される)、ポリグリコール酸、ポリ(p−ジオキサノン)(例えば、Ethicon,Inc.(Somerville,NJ)から商標名PDS縫合糸で販売される)、カプロラクトン、トリメチレンカーボネートから製造されるポリマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のポリマーが挙げられる。合成吸収性ポリマーが使用される場合、所望のポリマーは生体適合性であり、乳酸及びグリコール酸などの、通常の代謝経路に入る低分子量化合物の分解産物を有さなくてはならない。本発明中の生体吸収性繊維を用いて、約10デニール〜約100デニール、更に具体的には、約28デニール〜約56デニールの寸法を有するフィラメントを調製できる。本発明において1つ又は2つ以上の生体吸収性繊維が存在してよく、複数の吸収性繊維を使用する場合、それらを同じ材料から調製してよく、又は、異なる材料から調製してよい。更に、各繊維は、本発明中の別の繊維とは異なる融点を有していてよい。
【0025】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの非吸収性繊維と、少なくとも1つの吸収性繊維と、を含み、このとき繊維は、互いに異なる融点を有する。別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの非吸収性繊維と、少なくとも2つの吸収性繊維と、を含み、このとき繊維はそれぞれ、互いに異なる融点を有する。任意の吸収性繊維又は非吸収性繊維は、デバイス中で最低融点を有してよい。少なくとも1つの非吸収性繊維と、少なくとも1つの吸収性繊維と、を含む、実施形態では、総繊維重量に対する非吸収性繊維の重量パーセントは、約5重量%〜約50重量%、より望ましくは、約10重量%〜約25重量%である。好ましくは、デバイス中の吸収性繊維の濃度(重量による)は、非吸収性繊維より高い。
【0026】
デバイスは、不規則に均一な非構造アレイを有し、これは、デバイス中のフィラメントの、特に三次元全てへの方向を説明している。デバイスは、任意の望ましい手段によって形成されてよく、一実施形態では、デバイス以下の方法によって形成される。最初に、デバイスを形成する繊維を選択し、これには吸収性及び非吸収性繊維の組み合わせを含めてよい。これらの繊維を用いて個々のフィラメントを形成するが、これには1種類のみの繊維(単繊維)を含めてよく、又は、複数の繊維(多繊維)を含めてよい。
図1に示されるように、フィラメント10は、複数の個々の繊維12、14、16を含む。
図1のフィラメントは、3種類の繊維(第1吸収性繊維(12)、第1非吸収性繊維(14)、及び第2吸収性繊維(16))を含む、フィラメントを示す。以下でより詳細に説明するように、フィラメント中には、任意の数の異なる種類の繊維が異なる割合で存在してよい。この図では、例えば、
図1の左側のフィラメント10は、1本の第1吸収性繊維(12)、1本の第1非吸収性繊維(14)、及び5本の第2吸収性繊維(16)を有するフィラメントを示しているが、任意の種類及び数の繊維を必要に応じて使用してよい。
図1の左側のフィラメント10は、4本の第2吸収性繊維16、1本の第1吸収性繊維12、及び1本の第1非吸収性繊維14を示す。その他様々な量の材料を使用でき、その量は、繊維ストランドの重量又は数によって測定されてよい。
【0027】
糸は、様々なフィラメントから形成され、上記で選択された非吸収性及び吸収性繊維を含んでよい。糸は、任意の望ましい糸形成手段によって形成されてよく、いくつかの実施形態では、糸は、靴下形態又はシート形態などの初期の固く編まれた構造体を形成することによって形成される。初期の固く編まれた構造体の実施例は、
図2及び2Aに示されている。
図2は、1本のフィラメント10を含む編構造体100を例示する。編構造体100は、必要に応じて任意の数の異なるフィラメント10を含んでよい。選択されたフィラメント10を固く編んで初期の固く編まれた構造体100を形成してよく、これは所望される任意の寸法及び形状であってよい。得られた構造体100を連続的な靴下形態又はシート形態に形成してよく、これは任意の望ましい長さ及び直径を有してよい。例えば、靴下形態は、約1.27センチメートル〜約25.4センチメートル(0.5インチ〜約10インチ)、より望ましくは、約3.81センチメートル〜約12.7センチメートル(1.5インチ〜約5インチ)の直径を有してよい。シート形態は、任意の所望の長さ及び幅を有する実質的に平坦な構造体であってよい。幅は、例えば、1.27センチメートル〜約91.44センチメートル(0.5インチ〜約36インチ)であってよく、長さは、規定してもよく(例えば、少なくとも約30.48センチメートル(12インチ))、又は、1.524メートル(5フィート)超、3.048メートル(10フィート)超、6.096メートル(20フィート)超、若しくは更に長く伸長して、連続シートにしてよい。靴下形態又はシート形態を最初に形成する場合、その後、靴下形態又はシート形態をほどき、ねじれた糸である材料を提供してよい。任意の数の糸を形成し、埋め込み可能なデバイスの形成に用いてよい。デバイスを所望の寸法及び形状に織るために、十分な糸が形成されなくてはならない。
【0028】
いくつかの実施形態では、初期繊維は、均質材料から押し出されて巻き取られた、繊維の出発スプールとして含まれていてよい。当然のことながら、1本の繊維は均質であってよく、又は、所望の場合複数の材料から製造されてよい。いくつかの実施形態では、細繊維束のストランドを作製する、非常に細かい繊維の束が存在してよい。繊維のスプールを用いてフィラメントを調製し、次にそれを用いて糸を調製してよい。所望の場合、同じ又は異なる繊維の複数のスプールを取ってよく、それをフィラメント又は一束の繊維束に形成してよい。糸は、任意の数のフィラメント(したがって、任意の数の繊維)から形成されてよく、単一の繊維から糸が形成されることも可能である。例えば、糸は、ポリグラクチン910などの第1吸収性材料、任意のPDSなどの第2吸収性繊維、及び少なくとも1つのポリプロピレンなどの非吸収性繊維からなる、複数(例えば、約3〜約7)の繊維から製造されるフィラメントから形成されてよい。様々な組み合わせを以下で説明する。繊維の組み合わせを用いて、初期の編まれた靴下形態若しくはシート形態を形成してよく、又は、その組み合わせを、任意の望ましい手段によって、束ねる、及び/若しくはねじる、及び/若しくは捲縮してよい。靴下形態又はシート形態を最初に形成する場合、編まれた靴下形態又はシート形態から複数の繊維を共に引っ張ると、得られた糸は、ねじれた繊維束のようである。所望により、2つの異なる編まれた靴下形態又はシート形態から1つ以上の糸を取り、緩い初期織物構造体を作製してよい。本明細書に記載するように、初期織物構造体中の各糸は、様々な割合の個々の吸収性及び非吸収性繊維を有する、様々な割合のフィラメントを含有してよく、少なくとも1つの糸が、非吸収性繊維のストランド束を含有し、少なくとも1つの糸が吸収性繊維のストランド束を含有していることが好ましい。
【0029】
糸が得られると、任意の既知の方法によって糸を緩く織り、その糸で織物構造体をまず形成する。初期の緩い織物構造体の図は
図3及び3Aに示されている。この初期の緩い織物構造体を、本明細書では「初期織物構造体」と呼ぶ。
図3に例示されるように、初期織物構造体200は、複数の個々の繊維212、214、216から作製され得る、少なくとも1つの糸210からなる織目で作製される。初期織物構造体200は、1種類の糸210から作製されてよく、又は、それぞれ同じ若しくは異なっていてよい、複数の糸210から作製されてもよい。
図3は、多繊維糸210を示しているが、糸210が単繊維糸であってよいことが理解される。
図3に示されるように、糸210は、ねじれた構造体を有する。
【0030】
初期織物構造体200は、例えば、矩形、楕円形などの任意の所望の形状であってよく、又は更には管状形若しくは円錐形であってもよい。初期織物構造体200は、任意の望ましい厚さを有してよく、好ましくは、約0.1mm〜約5mm厚、より望ましくは、約2mm厚である。当然のことながら、厚さは、使用目的及び埋め込み部位に応じて変更され得る。初期織物構造体200は、所望の任意の長さ又は幅を有してよく、材料の大きいシートにできる。初期織物構造体200を大きいシートにする場合、それから作製される結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、所望される長さ及び幅より大きい場合があり、ユーザーは、埋め込まれる寸法及び形状にデバイスを切り取ることができる。いくつかの実施形態では、初期織物構造体200自体を埋め込むことができる。初期織物構造体200は、その構造体全体に非吸収性及び吸収性繊維を分散し、望ましくは、構造体の各測定可能な区分に、一部の吸収性及び一部の非吸収性材料が存在している状態で提供する。初期織物構造体200は、三次元全てにおいて実質的に均一な外観を有する。本明細書で使用されるとき、「緩い織目」は、コース対ウェールの比が約8:1〜約1.5:1,より好ましくは、約5:1〜約2:1である、織物構造体を指すことを意図する。しかしながら、いくつかの実施形態では、ウェール対コースの比が、約5:1〜約1.5:1、より好ましくは、約5:1〜約2:1であってよい。
【0031】
次に、構造体を収縮させ、構造体をヒートセットする目的で、初期織物構造体を、熱、放射線、振動、電流、高周波、又は他の種類のエネルギーを増加させるなどによる、増加したエネルギーに曝す。いくつかの実施形態では、初期織物構造体200を最初に加熱してよく、これは、他の異なるエネルギー、例えば振動又は放射線曝露と同時に実施されてよい。初期織物構造体を、加熱装置などの特定の加熱空間、又は初期織物構造体200に熱を提供するその他の空間に置くことなどによって、まず加熱する。いくつかの実施形態では、初期織物構造体200を加熱オーブン内に置き、又は他の実施形態では、第1及び第2の加熱面又はプレート間に置いてもよい。望ましくは、オーブン内に挿入される、又は加熱面間に置かれる、のいずれの場合であっても、初期織物構造体200全体が、加熱面(1つ又は複数)の空間内に含まれるが、初期織物構造体200の特定領域のみが加熱される場合、その領域を加熱空間に置くことができる。更に、いくつかの実施形態では、機械方向又は非機械方向に回転させることなどによって、初期織物構造体200を管状形に形成し、管状加熱空間内に置いてもよい。
【0032】
初期織物構造体200が特定の表面を有する熱源内に置かれる場合、初期織物構造体200全体の適切な加熱を確実にするために、これらの表面間の間隙が、初期織物構造体200の厚さより少なくとも少し大きいことが望ましい。望ましくは、表面間の間隙は、約0.5mm〜約5mm、より望ましくは、約1.5mm〜約3.0mmである。当然のことながら、加熱素子間の間隙寸法は、初期織物構造体200の厚さ及び密度、又は初期織物構造体200で使用した材料の種類に依存し得る。初期織物構造体200が約0.1mm〜約1.0mmの厚さを有する場合、例えば、間隙約1.5mm〜約3.0mmでなくてはならない。初期織物構造体200の厚さがより薄い場合、より小さい間隙を使用でき、逆の場合も同じである。間隙寸法は、初期織物構造体200の厚さより大きい、約0.1mm〜約2.0mmであってよい。
【0033】
埋め込み可能なデバイスを形成する本方法では、初期の緩い織物構造体200を少なくとも1つの温度に曝し、このとき温度は、構造体中で最低融点を有する材料の融点に関連する。最低融点を有する材料は、吸収性材料であってよく、又は、非吸収性材料であってよい。以下の説明では、最低融点を有する材料を吸収性材料として記載しているが、この最低融点を有する材料が非吸収性材料であってよいことは理解されよう。
【0034】
初期織物構造体200の最初の加熱では、加熱装置の温度を、(1)初期織物構造体中の最低融点を有する材料(この材料をデバイス中の「第1繊維」と称する)の初期融解温度、(2)その少し上、又は(3)その少し下のレベルに設定する。この初期温度上昇は「初期加熱」である。本明細書で使用されるとき、用語「少し上」は、初期融解温度より約0.1℃〜約10℃高い、又は、初期融解温度より約0.1℃〜約5℃高い、より望ましくは、約0.1℃〜約2℃高いことである。同様に、本明細書で使用されるとき、用語「少し下」は、初期融解温度より約0.1℃〜約10℃低い、又は初期融解温度より約0.1℃〜約5℃低い、より望ましくは、約0.1℃〜約2℃低いことである。
【0035】
例として、初期織物構造体は、2種類の繊維を含んでよく、第1繊維は100℃の初期融点を有し、第2繊維は150℃の初期融点を有する。この実施形態では、初期織物構造体は、加熱装置内に置かれて、第1温度に曝されてよく、第1温度は約100℃(例えば、最低融点を有する繊維の融点)である。あるいは、第1温度は、約99.9℃〜約95℃、より望ましくは、約99.9℃〜約98℃(例えば、最低融点を有する繊維の融点の少し下)であってよい。又はあるいは、第1温度は、約100.1℃〜約105℃、より望ましくは、約100.1℃〜約102℃(例えば、最低融点を有する繊維の融点の少し上)であってよい。この第1温度は、収縮させることが目的である。初期織物構造体中の最低融点を有する繊維(例えば、「第1繊維」、又は繊維が吸収性繊維である場合、「第1吸収性繊維」と称してもよい)の融解はこの工程では意図されておらず、むしろ、第1材料の収縮が目的である。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1繊維は吸収性繊維であり、約105℃の初期融点を有し、初期加熱段階は約100℃〜約103℃で行われる。
【0037】
更に、第1繊維の最低融点は、初期織物構造体中の第2最低融点を有する材料の温度よりも、少なくとも10℃低いことが望ましい。つまり、第2繊維は、第1繊維より少なくとも10℃高い融点を有するべきである。
【0038】
本開示の目的において、第1繊維(例えば、デバイス中の最低融点を有する繊維)は、吸収性であるものとして説明され、第1吸収性繊維と称することができる。第1吸収性繊維(デバイス中で最低融点を有する)を収縮させるのに十分な時間、初期加熱を継続する。本明細書で使用されるとき、材料の収縮は、その材料中の分子の再構築を意味するが、材料を融解するのに十分ではない。収縮は、例えば、材料を、そのガラス転移温度で加熱することによって達成できる。第1吸収性繊維の融解は意図していないが、わずかな融解が起こる場合がある。むしろ、初期加熱段階は、第1吸収性繊維の初期収縮を起こすことを意図している。収縮(融解ではない)は、収縮によって、第1吸収性繊維が強度一部を保持し、デバイス中の他の繊維を引き寄せることができるため好ましいが、材料の融解は、材料の引張り強度を低下させる。典型的には、この初期加熱段階を約10〜約60秒間、更に具体的には、約20〜約45秒間継続させる必要があるが、初期織物構造体中に使用される材料(1種類又は複数種類)によって変わり得る。第1吸収性繊維の収縮によって、初期織物デバイス中の得られた繊維を曲げる。
【0039】
初期加熱段階後に得られた構造体は、少なくとも1つの糸の織物パターンを有するデバイスであり、より低い融点を有する繊維の収縮によって曲がっている繊維を有する。しかしながら、収縮の程度が不規則であるため、曲げによって、構造体は不均一アレイを有するように見える。この得られた材料を、「初期曲げ構造体」又は「初期加熱構造体」と称する。
【0040】
次に、初期曲げ構造体を、任意の更なるエネルギー増加、つまり加熱工程(「第2加熱」)に曝し、所望の場合、デバイスをヒートセットしてよい。第2加熱工程は好ましいが、必須ではない。この第2加熱は、上記と同じ加熱装置内で実施してもよく、又は、別の加熱装置内でもよく、振動若しくは放射線、若しくはその他上記エネルギー源などの追加のエネルギー増加源を含んでよい。第2加熱は、望ましくは、初期加熱の温度、又はそれ以上の温度であり、好ましくは、第1繊維(デバイス中で最低融点を有する)の融点より高い。第2加熱は、初期加熱の温度より約2℃〜約25℃高い温度であってよい。
【0041】
第2加熱工程は、構造体中で最低融点を有する第1繊維を融解させ、それによって、構造体及び初期曲げ構造体の寸法を安定化することを意図している。この第2加熱工程は、実質的に急速である必要があるが、初期加熱よりわずかに長く、例えば、約60秒間〜約120秒間、更に具体的には、約60秒間〜約90秒間であってよい。例えば、より厚いデバイスが望まれる場合、より長い第2加熱時間が必要とされ得る。所望により、第2加熱工程は、圧縮工程などの追加の工程を含んでよく、それによって、初期曲げ構造体は、加熱段階中に加熱素子間で圧縮される。例えば、最終の結果として得られる埋め込み可能なデバイスを形成するために、初期曲げ構造体の形状が変えられる場合、圧縮が望ましい場合がある。例えば、初期曲げデバイスを、その厚さの約25%〜約75%、より望ましくは、その厚さの約50%(例えば、約2mm厚〜約1mm厚)平らにすることが望ましい場合がある。加熱素子間の間隙の寸法は、所望の厚さに調節でき、所望の場合、圧力を追加的にかけることができる。
【0042】
第1加熱工程及び任意の第2加熱工程を経た後、初期曲げ構造体を加熱装置から取り出し、冷却させるが、これを室温で、又は温度制御環境(例えば、室温超又は室温未満)において実施してもよい。いくつかの実施形態では、冷却能を有する加熱装置を使用してよく、それによって加熱後の迅速な冷却ができる。得られる構造体は、凝固された、三次元の、織物の埋め込み可能なデバイスであり、一部のフィラメントの収縮によって、フィラメントの少なくとも一部が不規則に曲がっている。これを、「結果として得られる埋め込み可能なデバイス」と称する。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、一部の繊維の融解とその後の凝固によって結合点を形成し、最終形状を維持する。したがって、結果として得られる埋め込み可能な構造体は、三次元全てに不規則な方向を有するように見えるが、実際は、非融解フィラメントが初期均一織目を有する。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、織物/不織状態であり、フェルト状材料のような外観と感触を有する。したがって、結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、厚さ、長さ、及び幅の三次元全てに「不規則に均一な非構造アレイ」を有する。更に、融解フィラメントが不規則に曲がっていると、結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、繊維の非構造アレイを有するように見える。
【0043】
最終の結果として得られる埋め込み可能なデバイスの実施形態は、結果として得られる埋め込み可能なデバイス300を示す
図4及び4Aに見られる。結果として得られる埋め込み可能なデバイス300は、収縮した織目の糸310を含み、各糸310は、複数の繊維312、316で作製され得る。ねじれた糸310は、本質的に、
図3の糸210のねじれて収縮したものである。上で説明したように、デバイス300中で2種類以上の糸310を使用してよく、各糸310は、単繊維又は多繊維であってよい。
図4Aに示されるように、繊維の1つは融解され、デバイス300中に結合点314を形成している。融解は、第2加熱工程中に達成され、繊維を融解して、デバイス300中で確実に結合点314を形成するための十分な程度まで冷却する。したがって、結果として得られる埋め込み可能なデバイス300は、少なくとも2つの方向(例えば、長さ及び幅)に収縮し、結合点314によって適所に保持される。収縮によって厚さが大きくなってよく、又は、収縮が圧縮環境で行われる場合、厚さが小さくなるか、実質的に一定に維持される。望ましくは、結合点314を吸収性繊維、例えば、第1吸収性繊維から形成する。
【0044】
所望の場合、埋め込まれる最終生成物は、2つ以上の層の結果として得られる埋め込み可能なデバイスを含んでよい。2つ以上の初期織物構造体又は初期曲げ構造体を互いの上面に層状にして、同時に加熱工程(1回又は複数回)にかけることによって、均一な交差パターンの不規則な方向の、互いに融合した複数層の結果として得られる埋め込み可能な材料を有することができる。あるいは、各層をそれぞれ別の加熱工程にかけ、複数の結果として得られる埋め込み可能なデバイスを形成してから、層状にして互いに結合してよい。層は、単純に、すなわち、介在要素を含まずに互いに直接固定してよく、又は、接着力を増強するために層間に材料を含んでよい。接着は、要素の熱融解など物理的手段によって達成されてよく、又は、接着剤などによって、若しくは層を互いに縫い合わせるなど、化学的若しくは物理的手段によって達成されてよい。所望の場合、デバイス中の最低融点を有する材料(あるいは、別の低融点吸収性材料)から作られたフィルムを、層間に置いてもよい。デバイスを層状にするのに用いられるフィルムは、吸収性であってよい。層を加熱装置中に置き、フィルムを融解させることによって、層間の結合力を増してもよい。所望の場合、層は互いに同じものであってよいが、デバイス中の様々な層が、同一である、又は同じ材料から作製されることが必要ではないことが重要である。各層は、類似する、又は、重複する材料を含んでよいが、各層の正確な組成は同じである必要はない。あるいは、各層中の材料は、重複する材料を含まず、全く異なっていてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、メッシュ、又は非吸収性スカフォールド材料の層を挟んで、本発明の埋め込み可能なデバイスの複数の層があってよい。このような実施形態では、初期織物デバイスの第1層と初期織物デバイスの第2層との間に、メッシュ又はスカフォールド材料の層を置くことによって、層状材料を調製し、その後そのサンドイッチ構造体を上記のような加熱工程にかけてよい。接着剤材料又はフィルム層を任意の層間に置き、層状構造体の調製に役立たせてよい。次に、上で説明したようにサンドイッチ構造体を加熱工程にかけ、層状のヒートセットした埋め込み可能なデバイスを得てよい。いくつかの実施形態では、層は、当初は、初期曲げ構造体の第1層と初期曲げ構造体の第2層との間に配置されたメッシュ又はスカフォールド材料の層で作製されてよく、その後、サンドイッチ構造体を上記のように加熱してよい。任意の数の材料層を互いの上面に置き、所望の場合、層状デバイスを形成してよい。層の縁部は、互いに同一平面にあってよく、又は第1層の少なくとも1つの縁部は、第2層の縁部より延在していてよく、又はその逆としてよい。
【0046】
埋め込まれる最終デバイスは、複数の層の結果として得られる埋め込み可能なデバイスから作製されてよく、同一の、異なる、又は交互の方向に置かれていてよい。結果として得られる埋め込み可能なデバイスが垂直方向に異なる伸び特性を有するため、個々の得られたデバイス層の層状化によって、全ての方向に類似する伸び特性を有するデバイスをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、層の方向に応じて、最終的な層状埋め込み可能なデバイスは、第1方向により伸長可能であり、第2方向により伸長できない。複数層化により、様々な用途、例えば、軟組織修復とは対照的に、腱修復に対して、非常に強い埋め込み可能なデバイスを得ることができる。得られた織物デバイス層間にフィルム層を加えると、上記のように、層の結合力を増すことができ、初期厚さより薄い厚さまで圧縮できる。
【0047】
いくつかの実施形態では、デバイス中の最低融点を有する材料(第1繊維)は吸収性繊維であり、ポリ(p−ジオキサノン)(Ethicon,Inc.(Somerville,NJ)から商標PDS縫合糸で販売されるものを含む)を含んでよい。このような実施形態では、初期加熱温度は約100〜103℃であってよく、第2加熱温度は約105℃〜約120℃であってよい。当然のことながら、デバイス中に使用される材料に応じて、第1及び第2加熱温度を変えてもよい。いくつかの実施形態では、より高い第2加熱温度によって、最終の得られたデバイスにおいて、可撓性がより高く、引張り強度がより低い結果となり得る。使用する場合、ポリ(p−ジオキサノン)を、別の非吸収性材料、及び任意に他の吸収性材料と組み合わせて使用してよい。
【0048】
一実施形態では、デバイスを、3種類の異なる繊維から製造してよい。第1繊維は、ポリプロピレンなどの非吸収性繊維であってよい。第2繊維は、ポリジオキサノンなどの第1吸収性繊維であってよく、第3繊維は、ポリグラクチン910などの第2吸収性繊維であってよい。各繊維を、複数の異なる繊維を含むフィラメントにする、つまり、束ねてフィラメントにしてよく、各繊維又はフィラメントは、特有のデニールを有してよい。例えば、ポリグラクチン繊維は最小デニールを有してよく、それは約28であってよい。ポリジオキサノン繊維は、約30などのわずかに大きいデニールを有してよい。非吸収性繊維は、約60などの最大デニールを有してよい。フィラメントは、多くの繊維から製造されてよく、得られたフィラメントは、所望のデニールを有してよい。最終的な埋め込み可能なデバイスのねじれ及び曲げ度は、フィラメントを形成する材料によって変化し得る。所望によりその他材料を含めてよく、つまり、様々な非吸収性及び/又は吸収性材料を使用してよい。望ましくは、デバイスは、少なくとも1つの非吸収性要素(繊維)、及び少なくとも1つの吸収性要素(繊維)から作られる。
【0049】
多材料の実施形態では、各材料は、任意の望ましい量又は割合で含まれてよい。しかしながら、デバイス中で、吸収性繊維が非吸収性繊維よりも多い量で存在することが好ましい。例えば、一実施形態では、織物構造体は、第1吸収性繊維及び第1非吸収性繊維のフィラメントを含み、これらの材料は、約1〜7部(重量で)の第1吸収性繊維対約1部の第1非吸収性繊維、より望ましくは、約3〜5部(重量で)の第1吸収性繊維対約1部の第1非吸収性繊維の量で存在する。割合は重量によるものである必要はなく、繊維デニールにかかわらず、個々の繊維又は糸ストランドによるものであってよい。つまり、約1〜7ストランドの第1吸収性繊維対約1ストランドの第1非吸収性繊維であってよい。この実施形態では、第1吸収性繊維は、第1非吸収性繊維よりも低い融点を有してよく、融点の差は少なくとも約10℃である。本組成中において、例えば、第1吸収性繊維としてポリグラクチン910又はポリ(p−ジオキサノン)、第1非吸収性繊維としてポリプロピレンなど、任意の材料を使用してよい。
【0050】
別の実施形態では、初期織物構造体は、第1吸収性繊維及び第2吸収性繊維のフィラメントを含んでよく、これらの材料は、約1〜7部(重量で)の第1吸収性繊維対約1部の第2吸収性繊維、より望ましくは、約3〜5部(重量で)の第1吸収性繊維対約1部の第2吸収性繊維の量で存在する。この場合でも、割合は重量によるものである必要はなく、繊維デニールにかかわらず、個々の繊維又は糸ストランドによるものであってよい。つまり、約1〜7ストランドの第1吸収性繊維対約1ストランドの第2吸収性繊維であってよい。この実施形態では、第1吸収性繊維は第2吸収性繊維より低い融点を有してよく、このとき第1吸収性繊維の融点は、第2吸収性繊維の融点より少なくとも約10℃低い。あるいは、デバイス中の第2吸収性繊維は、第1吸収性繊維より低い融点を有してよい。この第1吸収性繊維(例えば、より低い融点を有する材料)は第2吸収性繊維よりも多く存在してよく、又はその逆としてよい。この実施形態において、例えば、第1吸収性繊維としてのポリ(p−ジオキサノン)及び第2吸収性繊維としてのポリグラクチン910を含む、任意の材料を使用してよい。
【0051】
更に他の実施形態では、構造体は、3種類の繊維、例えば、第1吸収性繊維、第2吸収性繊維及び第1非吸収性繊維、あるいは、第1吸収性繊維、第1非吸収性繊維及び第2非吸収性繊維を含んでよい。この実施形態は、第1吸収性繊維を約1〜7部(重量で)の量で、第1非吸収性繊維を約1部(重量で)の量で、第2吸収性繊維又は第2非吸収性繊維を約1部(重量で)の量で含んでよい。この場合でも、割合は重量によるものである必要はなく、繊維デニールにかかわらず、個々の繊維又は糸ストランドによるものであってよい。つまり、約1〜7ストランドの第1吸収性繊維、約1ストランドの第1非吸収性繊維、及び約1ストランドの第2吸収性又は非吸収性繊維であってよい。
【0052】
上記3つの実施形態は、代表的なものであり、限定することを意図しない。埋め込み可能なデバイスは、所望により、代替又は追加の吸収性及び/又は非吸収性繊維を含んでよい。例えば、埋め込み可能なデバイス中に、吸収性及び非吸収性繊維の様々な組み合わせを含む、4種類以上の材料が存在してよい。出発材料を用いて単繊維フィラメント又は多繊維フィラメントを形成し、次にフィラメントを用いて糸を形成してよい。
【0053】
織物デバイスの製造に使用される個々の糸は、任意の上記繊維を含んでよく、任意の望ましい手段で調製されてよい。一実施形態では、糸は、選択したフィラメントの、靴下形態又はシート形態などの固い編み織物をまず作製することによって、又は、フィラメントの捲縮によって形成される。初期の固い編構造体は、第1吸収性繊維と、第1非吸収性繊維と、を含む、フィラメント、あるいは、第1吸収性繊維と、第2吸収性繊維と、を含む、フィラメント、あるいは、第1吸収性繊維と、第2吸収性繊維と、第1非吸収性繊維と、を含む、フィラメントを含んでよい。糸は、固く編まれた構造体をほどいて形成することができ、個々の繊維を含むねじれた束のフィラメントをもたらす。当然のことながら、2つ以上の靴下形態又はシート形態を形成でき、形成した靴下形態又はシート形態から2つ以上の糸を形成できる。糸は、吸収性繊維、非吸収性繊維、及びこれらの組み合わせを含んでよい。
【0054】
糸が形成されると、糸を用いて初期織物構造体を形成できる。初期織物構造体は、上記のものを含む、任意の糸の組み合わせの織目を含んでよい。一実施形態では、初期織物構造体は、1種類の糸のみ、例えば、第1吸収性繊維及び第1非吸収性繊維を有する1種類の糸、又は、第1吸収性繊維、第2吸収性繊維、及び第1非吸収性繊維を有する糸の織目を含んでよい。別の実施形態では、初期織物構造体は、少なくとも2種類の糸の織目を含んでよい。例えば、初期織物構造体は、第1糸及び第2糸の織目を含んでよく、第1及び第2糸は互いに異なっている。第1糸は、例えば、(a)第1吸収性繊維及び第1非吸収性繊維を有する糸、又は、(b)第1吸収性繊維及び第2吸収性繊維を有する糸、又は、(c)第1吸収性繊維、第2吸収性繊維、及び第1非吸収性繊維を有する糸であってよく、第2糸は、例えば、(a)第1吸収性繊維及び第1非吸収性繊維を有する糸、又は、(b)第1吸収性繊維及び第2吸収性繊維を有する糸、又は、(c)第1吸収性繊維、第2吸収性繊維、及び第1非吸収性繊維を有する糸であってよく、このとき第1及び第2糸は異なる繊維から作られる。初期織物デバイスが、少なくとも1つの吸収性繊維と、少なくとも1つの非吸収性繊維と、を含むことが望ましい。
【0055】
例として、初期織物構造体は、第1糸及び第2糸の織目を含んでよく、このとき、第1糸は第1吸収性繊維及び第2吸収性繊維から作られ、第2糸は第1吸収性繊維、第2吸収性繊維、及び第1非吸収性繊維から作られる。各糸中の特定の吸収性及び非吸収性繊維は、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、この実施形態では、第1糸は、ポリグラクチン910及びポリ(p−ジオキサノン)から作製されてよく、第2糸は、ポリグラクチン910、ポリ(p−ジオキサノン)及びポリプロピレンから作製されてよい。
【0056】
別の例は、第1糸及び第2糸の織目を含む初期織物構造体であり、このとき、第1糸は第1吸収性繊維及び第2吸収性繊維から作られ、第2糸は第1吸収性繊維及び第1非吸収性繊維から作られる。各糸中の特定の吸収性及び非吸収性繊維は、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、この実施形態では、第1糸は、ポリグラクチン910及びポリ(p−ジオキサノン)から作製されてよく、第2糸は、ポリグラクチン910及びポリプロピレンから作製されてよい。
【0057】
これらの実施形態は例示目的であって、様々な組み合わせが可能であり、上記で特定される任意の吸収性及び非吸収性繊維が使用できると理解される。結果として得られる埋め込み可能な構造体により長い又はより短い吸収特性を与えるため、所望の場合、例えば、様々な吸収性ポリマーのブレンドなどの別の材料を用いてよい。吸収特性を、製造後工程、例えばガンマ線照射などによる滅菌などによって調節し、吸収特性を低下させてよい。最終の埋め込み可能なデバイス中に非吸収性要素が存在すると、例えば、吸収性要素を吸収後に体内に存在し続けるために、有用である場合がある。しかしながら、完全な吸収が意図され、所望される場合、吸収性繊維のみを含むデバイスを使用できる。
【0058】
任意の加熱工程にかける前の初期織物構造体の初期形状又は構造は、上記のような平坦な緩い織物構造体であってよい。例えば、球状、円錐状、円柱状などの他の形状も有用であり得る。ビーズ、又は吸収性又は非吸収性フィラメント材料によって連結され得る一連の、つまり糸状の連結ビーズの形態であってよい。好ましい実施形態は平坦構造体であって、この平坦構造体は、実質的に矩形又は楕円形を有する。所望の場合、初期織物構造体の角部は丸くなっていてよい。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、埋め込み前にユーザーによって切断又は切り取られてよい。上で説明したように、埋め込まれる最終デバイスは、所望の通りに任意の数の層の結果として得られる埋め込み可能なデバイスを含んでよいが、初期織物構造体は、典型的には単一層として形成される。多層化デバイスが望まれる場合、様々な加熱工程の前、加熱工程の途中、又は加熱工程の後のいずれかに、層間に物理的又は化学的取り付け手段を用いて、単一層を互いに組み合わせることができる。加えて、層化デバイスは、層間に挟まれた非吸収性メッシュ又はスカフォールドなどの追加の要素を含んでよい。
【0059】
全ての加熱工程後、結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、使用目的に応じて、任意の所望の長さ又は幅を有してよい。いくつかの実施形態では、結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、シートの形態であってよく、埋め込み前にユーザーによって所望の寸法及び形状に切り取られ得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、予め配置されたSUIスリングの挿入若しくは変更に使用できるものなどの、ストリップ材料の形態であってよく、又は他の実施形態では、正方形であってよい。デバイスは、0.0254センチメートル(0.01インチ)から30.48センチメートル(12インチ)を超える、任意の所望の長さ及び幅を有してよい。例えば、SUIスリングとして使用される場合、尿道下で測定されるとき、幅は、約0.762〜約1.778センチメートル(0.3〜約0.7インチ)であってよく、長さは、約5.08〜約10.16センチメートル(2〜約4インチ)であってよい。他の実施形態では、デバイスは、環状又は管状形状であってよく、約0.127センチメートル(0.05インチ)〜約25.4センチメートル(10インチ)の直径を有してよい。楕円形状では、デバイスは、約0.254センチメートル(.1インチ)〜約12.7センチメートル(5インチ)の長半径、約0.0254センチメートル(0.01インチ)〜約7.62センチメートル(3インチ)の短半径を有してよい。更に別の実施形態では、埋め込み可能なデバイスは、無定形又は綿球様の形状などの不定形状を有してよく、患者の組織除去によって形成された孔又は空隙を充填するなど、挿入材又は充填材として使用できる。
【0060】
初期織物構造体の初期厚さは、約0.127センチメートル(0.05インチ)〜約1.27センチメートル(0.5インチ)厚であってよく、一方、上記第1加熱工程後の初期曲げ構造体は、約0.0508センチメートル(0.02インチ)〜約0.635センチメートル(0.25インチ)厚であってよく、上記全ての加熱及び任意の圧縮工程後の最終の埋め込み可能なデバイスは、約0.0254センチメートル(0.01インチ)厚〜約0.3175センチメートル(0.125インチ)厚であってよい。いくつかの実施形態では、各加熱工程は、圧縮が用いられた場合など、デバイスの厚さを減少できる。
【0061】
結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、ユーザーが見たときに特徴的な外観を有する。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、構造体の厚さ及び密度に応じて、視覚的に見えない又はわずかに見える、密に構成された材料のマットである。結果として得られる埋め込み可能なデバイスの外部の質感は、元々フェルト様である。フェルト様材料は、互いにもつれた短繊維からなるが、本発明のデバイスは、最初に緩く織られてから、他の繊維全てと連結する初期繊維が収縮し(初期加熱によって)、材料が、連結されているが非構造アレイの非吸収性繊維という密な状態に縮んで曲がっている。しかしながら、収縮後加工(例えば、第2加熱工程)により、結果として得られる埋め込み可能なデバイス中の繊維の全アレイが、融解され凝固された少なくとも1つの吸収性繊維によって互いに固定される。これによって、結果として得られる埋め込み可能なデバイスに、三次元の表面質感がマイクロスケールで与えられる。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、材料及びその材料の密度よって決まる多孔度を有する、織物/不織構造体を有する。結果として得られる埋め込み可能なデバイスの多孔性は、ユーザーが肉眼で見ることができないが、典型的な緩い織目及びメッシュなどの他の実施形態では、ユーザーが肉眼でデバイスの多孔性を見れることが望ましい場合がある。孔径は、圧縮される場合、約4マイクロメートル〜約300マイクロメートルであってよいが、所望の場合、例えば、圧縮せずに、より大きくてもよい(例えば、300マイクロメートル超)。
【0062】
結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、所望の剛性を有し得る。剛性は、以下の実施例に記載の曲げ試験など、既知の試験によって測定できる。本発明のデバイスを曲げるのに要する力は、約1N〜約1.5N、更に具体的には、約1.25N〜約1.50Nであってよい。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、約5N〜約4000N、より好ましくは、約50N〜500Nの引張り強度を有してよい。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、第1方向に引っ張ったとき、所望の伸長度を有してよい。結果として得られる埋め込み可能なデバイスの好ましい弾性率は、約100N/m〜約300N/m、更に具体的には、約150N/m〜約200N/mであってよい。
【0063】
結果として得られる埋め込み可能なデバイスは調製された後、埋め込むことができる。そのうち、デバイスの吸収性繊維の加水分解によって、非吸収性繊維のみを含む最終の加水分解された構造体となる。加水分解された構造体の一実施形態は、
図5及び5Aに見られ、ここでは非吸収性繊維410のみを含む加水分解された構造体400が示される。
図6は、デバイスの2つの最終結果の仮説を示す断面図であり、部分[A]は、非吸収性繊維410のみを含むデバイスの加水分解された部分を示す。これは、例えば、実験的、つまり実験室での使用において、組織内部成長が見られない結果であり、この部分は、加水分解後に同じ圧縮状態で留まっているポリプロピレン構造体を表す。ポリプロピレン構造体は、加水分解後に圧縮度を部分的に失ったり、圧縮状態に見えない場合もあると理解される。
図6の部分[B]は、組織内部成長後に加水分解された部分を示し、非吸収性繊維410と組織420が組み合わさっており、
図6Aの拡大図中においてよくわかる。
【0064】
当然のことながら、
図6の部分[A]及び[B]は、両方が埋め込み後の最終結果になる可能性は低く、むしろ、これらの2つの部分は、[A]実験室、つまり実験的加水分解、及び[B]組織内部成長後の2つの有り得る結果の対照比較であると理解される。吸収性要素を体内に埋め込み、吸収された後、デバイス全体に組織内部成長を含む(例えば、
図6の部分[B])ことが意図される。
【0065】
本発明は、デバイスに複数の弾性度(要素の任意の加水分解前の第1の弾性度と、要素の加水分解後の第2の弾性度)をもたらすことができる。埋め込み可能なデバイス(例えば、300)は、デバイス中の吸収性材料の加水分解と、加水分解された構造体(例えば、400)の形成前に、第1の弾性度を有する。第1の弾性度は、1つ以上の方向への引張り試験など、任意の望ましい手段によって測定できる。当然のことながら、デバイスは、第2方向(例えば、幅に沿って)よりも第1方向(例えば、長さに沿って)により弾性であり得ることが理解される。デバイス中の吸収性材料加水分解後、例えば実験室での加水分解後、デバイス中の吸収性材料は、完全に、又は実質的に完全にデバイスから除かれ、非吸収性材料のみが残る(加水分解された構造体400)。この状態、つまり加水分解後は、デバイスは、加水分解前の埋め込み可能なデバイスの弾性度よりも大きい、第2の弾性度を有する。いくつかの実施形態では、加水分解後デバイスの弾性度は、加水分解前デバイスの弾性度の少なくとも2倍、より望ましくは、加水分解前デバイスの弾性度の少なくとも3倍、又は、弾性度の少なくとも5倍、又は弾性度の少なくとも10倍である。弾性を測定するため任意の方法を使用してよいが、使用する方法は、加水分解前と加水分解後の両方において同じでなくてはならない。患者の体内に埋め込み、その後デバイスの吸収性要素が吸収された後、デバイスの内部に組織内部成長があり、埋め込み後デバイスの弾性を制限し得る。組織内部成長を有する得られたデバイスは、構造化メッシュ又は構造化メッシュで作られたスカフォールドよりも弾性及び可撓性が高い。この可撓性及び弾性の増加は、構造化メッシュインプラントに勝る顕著な利益である。
【0066】
本発明は、体組織の支持又は処置における埋め込み可能なデバイスとして有用であり得る。埋め込み可能なデバイスは、組織スカフォールドインプラントとして使用でき、特定の体領域内での組織の体積を増やすため、組織構造の強化、又は、新たな組織内部成長の促進のために使用できる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能なデバイスは、例えば、骨盤底、1つ以上の腱、膀胱、若しくは乳房などの特定の体組織表面に固定でき、又は、腹圧性尿失禁、ヘルニアなどの疾患、及び、裂傷を受けた若しくは易感染性の組織を含む、その他類似の疾患の治療の促進に使用できる。埋め込み可能なデバイスの埋め込みは、例えば、フィブリンなどの接着剤による取り付け、又は縫合糸若しくはステープルなどによる外科的取り付けの利用を含む、任意の標準的な所望の手段によって達成できる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能なデバイスは、摩擦によってデバイスが適所に維持される、閉鎖空間又はポケット中で挿入材として使用されるときなどは、任意の外部取り付け手段を用いずに、部位に固定できる。埋め込み可能なデバイスは、組織がデバイス中に内部成長できるのに十分な時間、目的の部位で埋め込まれたままであるように十分固定されなくてはならず、ここでは組織内部成長が、デバイスの固定を補助し、固定をもたらす。取り付けは、埋め込み可能なデバイスが、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも1年間、埋め込み部位に埋め込まれたまま維持されるのに十分なものでなくてはならない。
【0067】
埋め込み後約7〜約14日以内に、フィブリン取り付け及び実際の線維芽細胞内部成長が始まり得る。そのうちに、吸収性要素は生分解し、体内に吸収されるようになり、これらの吸収性要素を含む領域は、新たな組織内部成長で満たされる。得られる非吸収性要素は識別可能な形状を持たず、吸収性要素が消失するとともに埋め込み可能なデバイス中に少量で存在するため、デバイス中に残る材料は、ユーザーから実質的には意識されない。この結果、支持部をもたらす埋め込まれたデバイスは、内部成長のための場所を提供するが、ユーザーにとって快適でもあり、より自然な組織様感覚をもたらす。
【0068】
埋め込み可能なデバイスの質量は、デバイス中に組織を内部成長させ、その結果、優位に存在するのが新たに成長した組織となるのに十分な任意の量であってよい。いくつかの実施形態では、埋め込み可能なデバイス中の吸収性材料の吸収前の面積重量は、約47g/m2〜約152g/m2であってよく、デバイス中の吸収性材料の吸収後に得られる面積重量は、約12g/m2〜約40g/m2であってよい。非吸収性材料より吸収性材料の量が多い(例えば、デバイス中において非吸収性材料より吸収性材料のほうが重量で約10倍多い)実施形態では、吸収後面積重量に対する吸収前面積重量の比率は顕著に上昇し得る。吸収後面積重量が、吸収前面積重量の約25%、又は25%未満であることが望ましい。これは、インプラント中の構造化非吸収性材料の量がより多い他のデバイスに比べて顕著な改善である。
【0069】
埋め込み可能なデバイスは、埋め込み後の組織の初期内部成長を可能にするのに好適な多孔性も有さなくてはならず、埋め込み可能なデバイスは、その本体を気体が通過可能な「通気性材料」でなくてはならない。所望の場合、孔は、デバイスの厚さ全体に延在してよい。結果として得られる埋め込み可能な材料の多孔性は、出発材料の密度、及び初期織物構造体中の初期の織目の「緩さ」によって変更できる。一般には、初期の織目が緩い(例えば、コース又はウェール間の空間が大きい)と、結果として得られる埋め込み可能なデバイスの密度が小さくなる。吸収性材料が含まれた領域は、デバイス中の吸収性材料の吸収中及び吸収後、新たに成長した組織で少なくとも部分的に充填されることが意図される。
【0070】
埋め込み可能なデバイスは、デバイス上若しくはデバイス内に分散した有効成分などの追加の構成成分を含んでよく、又は、デバイスは、薬剤、血液凝固剤、若しくは細胞分配/成長のキャリアであってもよい。活性成分は、疾患の治療、又は全身性治癒のためのかかる活性成分の送達に有用であってよい。放射線不透過性要素又はマーカーを、埋め込み可能なデバイスの非吸収性要素に含め、埋め込み可能なデバイスの埋め込みと位置決めを補助してもよい。埋め込み可能なデバイスは、埋め込みを補助するため、着色部分又はその他しるしなど、1つ以上の識別マーカーを更に含んでよい。埋め込み可能なデバイスは、埋め込み可能なデバイス中の吸収性材料の分解及び吸収を速める、又は遅くする1つ以上の添加材を含んでよく、封入材料を含んでよい。例えば、栄養源、タンパク質、増殖因子、体細胞及び組織、免疫賦活剤、炎症阻害剤、退行因子、組織成長を増強又は制限する成分、及びその他薬剤を含む、他の有用かつ既知の要素を埋め込み可能なデバイスに含めてよい。
【0071】
本発明は、上記埋め込み可能なデバイスの使用による、組織の修復又は強化方法にも関する。上記埋め込み可能なデバイスを調製し、その後ユーザーによって体内に埋め込むことができる。埋め込み部位は、腱修復、骨盤底修復、腹圧性尿失禁の回復、又はヘルニア修復のための部位が挙げられるが、これらに限定されない、体内の任意の望ましい部位である。埋め込み部位は、膀胱埋め込み術又は豊胸術などの支持用途をもたらす部位であってよい。あるいは、埋め込み部位は、組織膨張、組織強化、美容整形、治療的処置のうち任意のものをもたらす部位、つまり一般には組織封鎖又は支持デバイスであってよい。
【0072】
体組織の修復又は強化方法は、組織を修復又は強化するための外科手術中に達成できる。まず、埋め込み部位を決定し、その部位とその部位までのアクセスによって、埋め込み可能なデバイスの寸法と形状を決定できる。埋め込み可能なデバイスは、処置される組織部分の特定の形状及び寸法に適合する寸法及び形状であってよく、更に、外科的開口部又はその他体の開口部を通るアクセスが可能な寸法及び形状でなくてはならない。埋め込み可能なデバイスは、埋め込み前の埋め込み可能なデバイスを切断、折り畳み、ないしは別の方法で処置するなどによって、埋め込み前にユーザーによって任意の寸法及び形状にされてもよい。
【0073】
所望の解剖学的部位へのアクセスが作られると(外傷、外科的手技、又はアクセスを提供するための任意の他の手段のいずれかによって)、埋め込み可能なデバイスを所望の位置に固定できる。埋め込み可能なデバイスは、化学的締結手段又は機械的締結手段などの任意の望ましい手段によって固定できる。化学的手段として、フィブリン糊又はクロット又はその他生物学的に適合した接着剤などの接着剤を挙げてよい。機械的締結手段として、例えば、縫合糸、ステープル、組織タック、アンカー、ダート、ネジ、ピン、及びアローが挙げられる。所望の場合、化学的締結手段及び機械的締結手段の組み合わせを用いてもよい。場合によっては、埋め込み可能なデバイスは開口部内に適合し、摩擦を用いて埋め込まれたデバイスを適所に保持する。例えば、デバイスが、充填材などの無定形形状を有する実施形態では、デバイスは開口部を充填するために開口部内に適合できる。
【0074】
しっかりと適切に埋め込まれると、閉鎖を必要とする場合は、外科的部位を閉鎖してよい。必要に応じて、例えば、埋め込み可能なデバイスが適切に埋め込まれなかったと判断された場合、埋め込み可能なデバイスを取り出して異なる部位に配置してもよい。部位内に埋め込まれ、体内で吸収が始まると、体の通常の治癒過程の結果、埋め込み可能なデバイス内及びその周りで体組織が成長し、最終的に元の組織と類似する機械的特性を有する組織に成熟する。埋め込み可能なデバイスの機械的性質は、埋め込み後の組織再生のガイドとしても役立つ。組織の強化方法において、例えば、埋め込み可能なデバイスが存在すると、新たな組織を成長及び発達位置に導く。新たな組織は埋め込み可能なデバイスの周辺部の周りに成長するが、埋め込み可能なデバイスの開いた孔の内部にも成長し、インプラントを完全に取り込む。
【0075】
埋め込み可能なデバイスが吸収性材料を含み、特に、非吸収性材料よりも吸収性材料をより含む(重量で)ことから、埋め込み後、埋め込み可能なデバイス中の吸収性材料は分解し始め、埋め込まれた体内で吸収される。吸収プロセスは埋め込み後すぐに始まるが、デバイス中の吸収性材料は、顕著に分解し始め、所望の時間後、例えば、約1日後、約1週間後、約2週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約6ヶ月後、又は約1年後に体内に吸収される。分解速度は、デバイス中に使用される材料、及び結果として得られる埋め込み可能なデバイス中のこれらの材料の量/密度によって決まる。放射線照射などの分解速度を高める方法を埋め込み後に用いて、吸収速度を上げてもよい。本明細書で使用されるとき、用語「顕著に分解する」は、分解の程度が検出可能である十分な量まで分解され吸収されている材料を指す。埋め込み可能なデバイスの分解速度及び程度は、実験室(ラボ)での加水分解試験で測定でき、又は、デバイスが埋め込まれた後の侵襲的又は非侵襲的手段によって測定できる。
【0076】
所望の時間後、かつ、顕著な分解が起こった後、埋め込まれたデバイスは、ある程度の機械的構造と強度を依然として有しているが、吸収性材料の一部は新たな組織によって置換されている。上で開示される吸収性及び非吸収性繊維の独自の三次元の方向によって、顕著な分解及び吸収後、埋め込み可能なデバイスは、連続表面を有する材料となり、それによって線維芽細胞及び他の組織を、典型的なメッシュ構造体中とは異なるように成長させる。典型的な開放織目構造のメッシュ製品では、線維芽細胞は、各メッシュ繊維に沿って成長し、その後、メッシュの厚さ全体に成長する前にメッシュの孔を横切る。体組織が成長すると、短い距離を超えて到達でき、メッシュインプラントの両側に線維層を形成する。これは、7、14、又は21日といった早い時点で典型的なメッシュインプラントを取り出した動物実験において見られる。それに対して、本発明のデバイスでは、メッシュの孔及びメッシュの厚さ全体にわたる結合及び組織統合が時間が経つにつれ大きくなり、改善された組織内部成長及び持続可能性をもたらし、時間と共により効率的な埋め込みを可能にする。
【0077】
埋め込み時点では、埋め込み可能なデバイスは、少なくとも1つの非吸収性繊維及び少なくとも1つの吸収性繊維を含む糸の織目が近接しており、初期の近接した織目は3つの面全てに延在している。結果として得られる埋め込み可能なデバイスでは、非吸収性繊維を含む糸は第1方向を有し、不規則で均一な非構造アレイであると表現される。この第1方向は、融解された吸収性材料の曲がり及び収縮(及びヒートセット)によるものであり、そのため、不規則で無方向性の構造体の外観をもたらす。体の治癒が始まると、デバイス中及びその周囲に新たな組織が成長し始める。同時に、埋め込まれたデバイスの吸収性フィラメントが分解し、体内に吸収し始める。吸収性繊維の分解及び吸収の後、埋め込まれたデバイスは、分解及び吸収で作られた空隙による開放された隙間を生じる。同時に、治癒過程中に、吸収性材料で充填された隙間は、新たな組織で充填され始める。
【0078】
組織内部成長及び吸収性繊維の初期吸収の開始段階中に、埋め込まれたデバイスは、非吸収性繊維第1方向を実質的に維持する。埋め込まれたデバイスは、少なくとも約1週間、2週間、1ヶ月、6ヶ月、又は1年間、非吸収性繊維の第1方向を実質的に維持する。いくつかの実施形態では、組織内部成長によって、埋め込まれたデバイスは、結果として得られる埋め込み可能なデバイスに存在していたように、非吸収性繊維の構造及び方向を永久に実質的に維持する。いくつかの実施形態では、組織の内部成長及び同時に起こる吸収性繊維の吸収によって、得られる非吸収性繊維の方向は不規則であってよく、新たな組織が付与する力によって圧縮されたり、広げられたりしてよい。
【0079】
組織内部成長が続き、吸収性繊維が吸収及び分解され続けると、新たな組織は移動し始める場合がある。この組織移動は、通常の生理的状態によるものである。この移動及び伸張によって、最初に加水分解された埋め込まれたデバイス(この時点では、加水分解及び吸収によって埋め込まれたときよりも吸収性繊維が少ない)は、第2方向を向くようになり得る。この第2方向は、組織の移動によるものであり、非吸収性繊維を移動させる。この第2方向では、非吸収性繊維の組織移動への抵抗が小さく、又はなく、これは、非構造性永久材料の不規則アレイによるものである。吸収性繊維が吸収され始めると、組織収縮又は組織再形成によって、埋め込まれたデバイスの潜在的再形成が起こる。組織収縮は治癒期間中に起こり、埋め込み部におけるインプラントの安定、又は、試験物質及び対照物品の両方において一部の実験動物で見られている、表面線維芽細胞の成長によるものである場合がある。組織再形成は長期間(例えば、約6ヶ月)において起こる。組織再形成は、弱体化、つまり、新たに形成された瘢痕組織を外傷又は外科的介入前と類似する状態に戻すことである。埋め込まれたデバイスが吸収性繊維のみを含む場合、組織再形成により、同領域における将来的な組織修復が必要になるだろう。しかしながら、本発明のデバイスに非吸収性材料を加えることによって、異物(すなわち、残った非吸収性繊維)の存在によって組織再形成は起こらない。この理由によって、本発明のデバイスは、少なくともある程度の非吸収性繊維を含むが、非吸収性繊維の濃度は最小限で、非構造性であって、所望の内部成長と可撓性を可能にする。
【0080】
時間と共に、埋め込まれたデバイスは、引き続く新たな組織の成長、移動、及び伸張によって、組織の強度に依存して追加の方向を向くことがある。非吸収性メッシュ材料を本発明の埋め込み可能な材料と共に層状形態で使用する場合、吸収性材料の吸収後の可撓性が低い場合がある。追加のメッシュ材料がなく、インプラントが本明細書に記載する本発明の埋め込み可能なデバイスのみを含む場合、吸収後の可撓性がより高く、より大きく移動することによって、部位がより組織様になる。自然の体の成長及び移動は、本質的に組織移動及び組織成長をもたらすため、インプラント中の非吸収性繊維の不規則で整列していない非構造性曲がり方向は、メッシュ要素が最初に屈曲能を有していたとしても、非吸収性メッシュで作られた、又はメッシュを含有するインプラントよりも高い可撓性と、より組織様の環境を最終的にもたらす。つまり、本発明のデバイスは、時間と共に顕著に向上されるインプラントを提供し、強度及び改善された内部成長だけではなく、可撓性の追加及びより快適な感触を可能にする。
【0081】
埋め込み後の所望の期間(埋め込み可能なデバイス中で使用された特定の吸収性繊維によって決まる)、これは少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約9ヶ月、又は少なくとも約1年であり得、その後、埋め込まれたデバイス中の吸収性繊維は実質的に分解し、体内に吸収される。埋め込み後の所望の期間、例えば少なくとも3ヶ月又は少なくとも6ヶ月又は少なくとも1年後、埋め込まれたデバイスは、実質的に吸収性繊維を含まず、本質的に非吸収性繊維と内部で成長した新たな組織からなる。吸収性繊維の完全な吸収が望ましいものの、最低限度の吸収性繊維は残存してよい(例えば、初期量の約1%未満、初期量の約2%未満、又は初期量の約5%未満)が、デバイスは本質的に非吸収性材料と新たな組織からなる。
【0082】
デバイスは、任意の望ましい期間体内に留まっていてよく、生涯ユーザーの体内に留まっていてよい。体内に留まって除去を不要にするのに十分な程度、デバイスの残存部分がユーザーの体内に組み込まれることが意図される。デバイスの非吸収性繊維中及びその周囲に新たに成長した組織は、埋め込み部位に所望の支持及び強度を提供する。
【0083】
要約すると、上で説明したように、一般には、埋め込み可能なデバイスは、不織特徴部を含む織物デバイスであり、フェルト様材料であることが独特の非メッシュデバイスである。本発明は、埋め込み時及び吸収性要素の分解前は極めて均一な外観を有する構造化デバイスを提供するが、最初に緩く織られた非吸収性要素が非構造性であり、デバイスの吸収性繊維が加水分解されると拡張可能である(生体外で)方法で作られる。しかしながら、吸収が完了し、組織がデバイス中及びその周囲で成長すると、非吸収性要素は組織様である。
【0084】
この独自のデバイスは、上記のプロセスによって作製することができ、1つの特定の実施形態では、その構成は多工程プロセスである。まず、ユーザーは、デバイス中のフィラメントを形成する、所望の吸収性及び非吸収性繊維のブレンドを選択する。フィラメントは、1種類のみの繊維を含んでもよく、又は、複数の結合繊維(各繊維が同じでも異なっていてもよい)を含んでもよい。デバイスを形成する個々の繊維が単独で吸収性又は非吸収性であってよいが、デバイスは、少なくとも1つの吸収性繊維と、少なくとも1つの非吸収性繊維と、を含まなくてはならない。例えば、有用な材料として、ポリプロピレン、PDS、及びポリグラクチン910の繊維が挙げられる。各糸で使用される特定の繊維の数又は重量、最終の得られたデバイスの製造に使用される糸の数は、所望により変更してよく、好ましい実施形態では、デバイスは、少なくとも1種類のポリプロピレン繊維と、少なくとも1種類のPDS繊維と、少なくとも1〜約15種類のポリグラクチン910繊維と、を含む。上で説明したように、材料及び比率の様々な組み合わせが使用できる。
【0085】
繊維を形成するポリマーが選択され、各繊維の量が選択されると、個々のフィラメント(単繊維又は多繊維)を、望ましくはねじれたフィラメントであり、ねじれた束の繊維でもよい、糸に形成する。糸は、単純な捲縮工程を含む任意の望ましい手段によって形成されてよく、あるいは、フィラメントを、円形編み操作を用いてきつく編まれた靴下形態又はシート形態に織り、その後、編まれた靴下形態又はシート形態をほどいてねじれたフィラメント(糸)を提供してよい。各糸は、上で説明したような様々な組み合わせの構成要素を含んでよく、例えば、各糸は、2種類以上のフィラメントを含んでよく、各フィラメントは、2種類以上の繊維を含んでよい。複数の靴下又はシート又は糸をデバイスの形成に用いてよく、各靴下形態又はシート形態又は糸は、吸収性及び非吸収性要素の組み合わせを含んでよい。少なくとも1つの糸を用いてデバイスを形成することが所望され、少なくとも1つの吸収性繊維及び少なくとも1つの非吸収性繊維を使用することが更に所望される。
【0086】
糸から、緩く編まれた、又は織られた初期構造体が作製される。これまでに説明したように、初期の緩い構造体は任意の寸法又は形状であってよい。次に、初期の緩い構造体を少なくとも1回の加熱工程に、より望ましくは、2回の加熱工程にかける。第1加熱工程は、デバイス中の最低融点を有する繊維(「第1繊維」又は「第1吸収性繊維」)の融点、又はその少し下の温度である。この第1加熱工程によって第1繊維が収縮し、残りの繊維を曲げて、初期曲げ構造体を形成する(例えば、熱収縮工程)。この初期加熱に続き、初期曲げ構造体を第2加熱工程にかけるが、これは、構造体中の第1繊維の融点又はそれを超える温度である。この第2加熱工程は上で詳細に説明されており、融解した部分を構造体中の残りの繊維に結合させるのに十分な程度まで、第1繊維を融解するのに十分(温度と長さの両方)なものである。構造体の加熱に用いたものと同じ装置中で、又は加熱構造体を取り出した後、得られた材料を冷却し、結果として得られる埋め込み可能なデバイスを形成する。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは所望されるように埋め込まれてよい。
【0087】
特に第1加熱工程中の画定された加熱空間の寸法は、緩い織目中で使用された吸収性繊維の種類、組み合わせた繊維の量又は数、及び繊維のデニールに関連する。画定された加熱空間の寸法は、得られる材料の最終密度、並びに得られる材料の可撓性を決める別の要因であり得る。一般には、画定された空間が大きいほど、自由な材料移動を可能にし、織目中に捕捉された収縮性繊維がより大きい収縮の可能性を有する(摩擦抵抗を低下する)ようにすることによって、より多くの量の吸収性及び非吸収性繊維を画定された加熱空間内に均一に引く。それに対して、規定された加熱空間が小さいほど、移動させるための摩擦抵抗が増し、それによって収縮を制限して内部に引かれる繊維が少なくなり、得られる材料密度を低下させる。したがって、第1加熱工程中の画定された加熱空間の寸法を変更し、異なる収縮レベルと、結果として得られる埋め込み可能なデバイスの最終的な密度及び可撓性の一貫性をもたらすことができる。
【0088】
第2加熱工程中に圧縮を適応することなどによって第2加熱工程を変更し、材料の強度特性を増加又は低下することができる、圧縮を用いないことで、より毛羽立った可撓性の半構造化材料をもたらすことができ、これは、最小の強度又は構造が必要とされる、体内の隙間への挿入又は充填に好適であり得る。しかしながら、第2加熱工程中の圧縮を用いて、ヒートセット段階中の材料を圧縮し、画定した構造及び方向を与えることができる。この圧縮によって、少なくとも2つの効果が達成されるが、1つ目は、これによって少なくとも1つの繊維又は束を融解し、融解及び圧力を包括することによって全ての隣接した繊維を連結すること、2つ目は、熱及び圧力下で規定の加熱及び/又は冷却サイクルにおいて、画定された空洞内に材料を圧縮することによって、任意の望ましい形状を作れることである。結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、ある範囲の引張り強度及び曲げ強度、並びに、滅菌包装又は窒素下などの制御環境下で保管されるとき、材料特性を維持する画定した形状を有し得る。
【0089】
結果として得られる埋め込み可能なデバイスは、形成後すぐに使用でき、又は、滅菌環境下で保管できる。包装前、又は埋め込み前にデバイスを滅菌できる。更に、埋め込み可能なデバイスは、所望の寸法及び形状にしてよく、若しくは包装されてよく、又は、埋め込み可能なデバイスは、エンドユーザーが必要に応じたデバイスの寸法及び形状にできるように、より大きな寸法で包装されてよい。デバイス中の吸収性繊維の早期の加水分解を避けるため、滅菌された、実質的に気密及び流体密封包装が重要である。デバイスの埋め込み準備ができたとき、ユーザー、典型的には医師又は助手は、滅菌された流体密封包装を開封し、デバイスを上記で説明したように所定の寸法にし、及び/又は、埋め込む。デバイスがより毛羽立った可撓性の半構造化材料であり、最小の強度又は構造が必要とされる体内の隙間への挿入又は充填に好適であり得る実施形態では、ユーザーは、患者体内の空隙を充填するのに必要な量のみを取り出すことができる。
【0090】
先に説明したように、本発明のデバイスは、例えば、腱修復、骨盤底修復、腹圧性尿失禁の回復、ヘルニア修復などの修復用途、膀胱埋め込み術若しくは豊胸術などの支持用途、組織膨張又は一般的な組織充填、組織強化、美容整形、治療的処置、子宮出血の制御デバイスとして、又は一般には組織修復又は封鎖用デバイスなどを含む、任意の用途で用いられ、任意の形状を取ることができる。
【0091】
一実施形態では、デバイスを用いて子宮出血を制御できる。この用途では、子宮内で接着をもたらすことによって本発明を使用でき、その結果、子宮の下部を閉鎖し、月経を止める。この方法は、適切な径に増し、子宮内膜を活性化させるなど、埋め込み領域を整えるための器具を準備する工程を含む。この方法は、続いて、上頸部/子宮下部領域に埋め込み可能なデバイスの埋め込みをもたらす工程を含む。上で説明した非吸収性及び吸収性要素の組み合わせを含む本発明のデバイスは、インプラントとして使用でき、特に本発明のデバイスは、埋め込まれる頸部の寸法に関連する直径を有する円柱状に作製できる。円柱は、平坦なストリップの本発明の材料を丸め、次に圧縮し、必要な圧縮力が配置されているときに維持され、効果をもたらすような所望の密度を得ることによって、又は、単純に円柱状のデバイスを作製することによって形成できる。デバイスは、縫合糸又は円柱の軸長さを延在する縫合糸を含み、円柱は少なくとも1つのスリットを有し、2つのスリット、4つのスリット、又はそれ以上のスリットを含んでよく、埋め込み後にフィラメントを引くと、円柱が(例えば、第1端部を第2端部に向かって引くことによって)圧縮し、よりしっかりと適合する。上方移動に対抗するため、ディスク又はプレートを固定してよい。アプリケータを用いて、デバイスを埋め込んでよい。
【0092】
得られたデバイスを用いて、配置後すぐに効果を示し、それによって膀胱穿孔のリスクを低下させる尿道スリングを作製でき、これは後に残る異物が少ない。この実施形態では、インプラントを最初に強く固定するため、埋め込み可能なデバイスを尿生殖隔膜又は内閉鎖筋の結合組織に配置してよい。断面は環状又は矩形又は楕円形のいずれかであってよく、インプラントの長さに沿って変化してよい。尿道下部領域の埋め込み部分は平坦化されてよい。両末端の先端部は、フリース材料を加熱下で圧縮又は融解することによって剛化されてよい。縫合糸を融解した先端部の内側、フリース円柱部の内側に固定してよく、又は、挿入器具に固定してもよい。挿入用スティック、つまりアプリケータを用いて、デバイスを埋め込み部位に効率的に到達させてもよい。アプリケータは、様々な送達手段によって、デバイスを内部又は外部に維持できる。これによってインプラントを引き抜くこともできる。インプラントの末端部は、非常に剛く作製してよく、組織中での最初の固定を高めるため、孔が開けられても、任意の必要な形状に切り取られてもよい。インプラントは、尿生殖隔膜又は外閉鎖筋、内閉鎖筋、閉鎖膜を含む閉鎖複合体の結合組織のいずれかに挿入することが意図される。あるいは、恥骨のそばに、又は接触して位置してもよい。糊、接着剤、アンカーなどの固定手段の利用、又は、その領域の結合組織内への圧迫によって、固定が達成されてよい。接着剤の適用は、デバイス内の内腔を通って送達され、インプラントの開口部又は孔を通って適用又は排出できる。使用する場合、接着剤は永久的であっても吸収性であってもよい。
【0093】
例えば、SUIインプラントにおいて、又はメッシュインプラントを使用する任意のその他デバイスにおいて、デバイスを、メッシュインプラントと組織との間のバリアとして使用してよい。デバイスはこのとき、新たな組織層を発生させ、メッシュと膣壁との間のバリアとして働く。これによってメッシュの浸食又は露出が限定又は阻害され、将来的に疼痛や術後の矯正手術が減る。更に、尿道により高い圧力をかけられるように、メッシュ又は膣外壁と尿道との間に本発明の材料を埋め込むことが有用であり得る。これは、手で位置付けられる別個のデバイスであってよく、埋め込み前にメッシュデバイスに予め取り付けられていてよく、又は、単純に、メッシュを適所に縫合する前に組織下に鉗子で押しこむように適用してもよい。
【0094】
このデバイスを、外部バルキングなど、軽度SUI向けの埋め込み可能な予形成された外尿道用デバイスとして使用してもよい。この実施形態は、尿道筋の外部でバルキングを行い、事実上尿道中央部を圧迫する。インプラントを尿生殖隔膜に貫入せずに、その代わりに、屈曲、つまり外部バルキング効果を維持するための初期支持体として周囲組織のみを用いて、尿道中央部の下及び/又は周囲に配置するように使用できる。いくつかの実施形態では、本発明の材料をインプラントにでき、インプラントは、第1端部、第2端部、及び中央部を有し、第1又は第2端部又は中央部のうち任意のものが本発明の材料で作られてよい。この実施形態では、第1及び第2端部の寸法及び形状を、尿道を支持するため、尿道のいずれかの側に埋め込むのに好適にしてよい。SUIの即時の改善は、外尿道バルキングデバイスによって尿道が圧縮されることによってもたらされ、一方、最終的な組織内部成長が、尿道を支持する永久的構造をもたらす。この実施形態では、デバイスの両末端部を恥骨の下縁部に接触して配置又は固定し、SUIの長期改善のため、新たな永久的帯状組織をもたらすことができる。SUI向けの予形成された外尿道デバイスは、V字形又はU字形のいずれかに形成してよく、第1及び/又は第2端部は、滑らかな又は粗い表面を有していてよい。断面は環状、矩形又は楕円形であってよく、インプラントの長さに沿って変化してよい。更に、所望の場合、インプラントの中央部は平坦化されてよい。インプラントは、尿道中央部と膀胱頸部から約3分の1の距離との間に適用されてよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、膣の前壁を切開する工程と、尿道の外側と膣管の外側表面との間の位置に本発明の材料を配置する工程と、を含んでよい、腹圧性尿失禁を治療する方法を提供してよい。このような実施形態では、材料は、折り畳まれた又は伸長された形状であってよく、又は、画定されていない無定形形状を有してよく、又は、挿入前又は挿入後にS字形状であってよい。切開は任意の望ましい位置に形成でき、尿道中央位置の近位であってよい。本発明の材料が配置される位置で、小規模の組織平面解剖を行ってよい。
【0096】
埋め込み可能なデバイスを、例えば、組織の自然的又は外科的除去によって形成された皮膚下部の空洞などの欠損部の充填など、形成外科向けに使用できる。これによって、最初に欠損部を補正し、滑らかで自然な見た目が長期間続く永久的充填材がもたらされる。この実施形態は更に、頬を膨らませる、皺を除く、又はその他美容的ニーズのための美容整形として、ストリップ形、ボール形、ストリング形、プラグ形、又は粒子形での使用が考えられ、ここで粒子形は、本発明の得られた材料を小片に切り刻むことによって作られ、切り刻んだ材料が、インプラントの外形線が見えないように、皮膚下部で極端に形成可能であるようにする。粒子の乾燥した性質と材料の接着性のせいで、組織内部成長が粒子を互いに結合し、それによって、液体又はゲル状充填材でよく起こる充填材が配置位置を超えて広がることを減少させる。
【0097】
埋め込み可能なデバイスをSUI治療に使用することができるが、ここでは、SUIの外科的スリング治療中、一部の患者の治癒ができずに完全に乾燥し、そのためバルキングなどの二次治療が必要である。本発明のデバイスを、バルキングの代わりの二次治療に用いて、尿道と事前に設置されたスリングとの間の領域に材料を挿入することによって、尿道に外部圧迫をかけることができる。材料の線形構成のため、移動の可能性が低い。適切な即効性のため、材料を組織内に挿入し、又は必要に応じて除去してよい。デバイスはストリップの形態であり、リール上で保存されてよい。デバイスは、手又は鉗子で所望の開口部内に押しこむことができる。
【0098】
デバイスが、例えば骨盤底修復に使用される場合、膣管を開き、本発明のデバイスを挿入してよい。膣脱では、本発明の材料を膣外壁と周囲構造との間に配置してよい。デバイスを、本発明の材料として、又はメッシュと共に使用できる。膣副子又は他の固定デバイスを用いて、十分な内部成長が起こるまで膣を解剖学的位置に維持することができる。
【0099】
乳房修復又は強化のために用いる場合、例えば、軽量可撓性バッグ様袋を作製して、インプラントの挿入を可能にできる。この効果は、治癒中、及びこの手術における通常の組織収縮相中に、胸部インプラントの移動を減らす、又はなくすことである。同様に、このような袋を用いて、膀胱などの軟器官を修復及び/又は支持することができる。更に、非吸収性の近接した繊維の非構造アレイによって、本発明のデバイスは、まだ完全に成長していない小児の組織修復に好適である場合がある。
【0100】
別の実施形態では、埋め込み可能なデバイスの片側に、PDSなどのフィルム又はバリアを適用すると、本発明を、止血制御用の生物製剤を含んで、若しくは含まずに使用でき、又は、修復部位の周囲組織への好ましくない癒着を避けるため、組織分離性を有する組織修復デバイスとして使用できる。デバイスは、様々な形状又は構成で形成され、周囲組織への望まれない癒着を避けるための組織分離材として作用できる。
【0101】
他の実施形態として、埋め込み可能な材料を中心に内腔を有するストロー様形状にして使用することが挙げられ、これは、末端部を封鎖する、又は開口部を形成するために二次的に再形成できる。
【実施例】
【0102】
実施例1−埋め込み7、14、及び28日後の材料の試験
ウサギへの埋め込み後の本発明の材料の引き抜き力を試験するため、この実験を実施した。本発明の材料(2.35mmの加熱間隙を用いて処理された、ポリプロピレン、ポリグラクチン910及びポリジオキサノンの繊維を含む)のサンプル及び対照材料(Gynemesh(登録商標)、非吸収性ポリプロピレンソフトメッシュインプラント)を、ウサギに埋め込んだ。本発明の材料及び対照のそれぞれについて、2種類の異なる大きさの埋め込み物を用いた。「小さい」埋め込み物は、1.0cm×1.4cmのポリエチレンシースで覆った1.5cm×1.0cmのシートであり、0.5cm×1.0cmの部分は覆われていなかった。「大きい」埋め込み物の大きさは、1.0cm×1.4cmのポリエチレンシースで覆った2.0cm×1.0cmであり、1.0cm×1.0cmの部分は覆われていなかった。シース及び埋め込み可能な材料を超音波で溶着させた。シースは、組織平面上の組織内部成長を阻害又は制限し、生体内曝露後の試験のための、構造物の握り部を提供した。3回の時間ポイントそれぞれに対し2例のウサギを割り当て、各ウサギについて脊椎の両側の傍脊椎筋系中に6つを埋め込んだ。対照埋め込み物を左側に、本発明の埋め込み物を右側に設置した。
【0103】
所望の埋め込み時間後、肺把持鉗子と50N(10ポンド)のフォースゲージを用いて、引き抜き試験を行った。結果を以下の表1に示す。I−大は、大型の本発明のサンプルであり、C−大は、大型の対照サンプルであり、I−小は、小型の本発明のサンプルであり、C−小は、小型の対照サンプルである。
【0104】
【表1】
【0105】
埋め込み後7日において、試験物品の引き抜きに耐える力が2倍以上あることから、本発明の材料は、両方の寸法において、対照と比較してより程度の大きい組織内部成長/固定を示した。試験中、試験した物品は全て、組織から完全に引き抜かれた。初期における引き抜き力/組織固定の違いは、本発明の材料の非平滑な輪郭と、対照の開放織目構造体のせいで、組織との表面接触面積が、本発明の材料のほうが対照よりも大きいことによって説明できる。加えて、本発明の材料と対照材料との間で、埋め込み時間における構造安定性が同等であることがわかっている(表1に示されていないが、別の引張り試験の結果より、設計による特性の類似性を示している)が、組織付着が2倍強く、7日における、「I」(大)と「C」(大)との間の運きに対する抵抗性をもたらす。
【0106】
埋め込み後14日において、大きい物品及び小さい物品群で得られた力の値は、7日よりも互いに近かった。この明らかに同等の引っ張り抵抗性は、対照における組織内部成長の促進を示すことができる。しかしながら、試験中の異なる物品の挙動によって、この時点において、本発明の材料がより一体化されていたことが示される。本発明の材料は、試験中に引き延ばされ、又は、組織界面において完全に分離され、組織中に試験物品の内部成長部分を残す。対照物品は全て、同一の力で(ネッキング後)組織から完全に引き抜かれた。
【0107】
埋め込み後14日から始めると、予想通り、内部成長の強度は吸収性試験材料の構造的一体性より強く、そのため試験中に材料は分離した。「引き抜き力」の観点は、この材料/デバイスが、組織からこの方法で決して「引き抜かれ」ないことから、性能の観点から引き抜き耐性を測定することよりも、組織内部成長の程度を測定することに対して用いられる。
【0108】
埋め込み後28日では、本発明の材料の繊維の全ての構造的要素が組織平面上で分解し、組織平面下部の組織内に組み込まれた。大きい対照物品は、14日における大きいI物品を分離する力に相当する平均力で引き裂かれ、14日における大きい対照物品を引き抜く力よりも実質的に有意に大きくなかった。両動物において、本発明の材料は全て、シース/組織界面で擦りきれ、又は分離し、14日よりも低い引き抜き値が得られた。試験の挙動は、シースを付けていない部分が良好に組織内に組み込まれたことを示す。
【0109】
本発明の材料(大)は、小の試験よりも代表的な試験モデルであると考えられた。表1に示されるように、材料I(大)は、7日対14日において、最終的な10.0N(2.25ポンド)の48%(4.85N(1.09ポンド))に達し、一方、メッシュの対照C(大)は、7日対14日において、最終的な9.83N(2.21ポンド)の24%(2.4N(0.53ポンド))に達しただけであった。一方、本発明の材料I(大)は、対照C(大)が28日に到達した10.5N(2.37ポンド)に対して、14日において98.2%(10.0N(2.25ポンド))の引き抜き力に達した。
【0110】
上記表に示されるように、本発明の材料(I大)の28日の引き抜き値が低下したことによって、引き抜き力の低下が示される。これは、28日後に吸収性繊維が分解された後の、埋め込み可能なデバイスの非構造的性質を示す。7日の対照(インプラントとしてGynameshを使用)は、引き抜き力が小さい又は同等である。このデータは、一旦分解が起こり、吸収性材料が組織繊維に置きかえられると、分解が組織組み込みがない状態で起こったとしてもインプラントは安定化し、インプラントが構造的一体性を有さず、得られた加水分解された材料が、初期の未加水分解状態の埋め込み可能なデバイスよりも、大きい拡張特性を有することを示す。このことによって更に、本発明の材料は、メッシュ自体が埋め込まれた領域の構造を提供するメッシュを使用又は組み込むデバイスと区別される。
【0111】
実施例2−面積重量、非吸収性材料量、及び材料強度の試験
初期織物構造体の調製
それぞれ吸収性及び非吸収性材料の量を変えて、3種類の埋め込み可能な材料を調製した。実験前に決定し、以下に示される横編み用ループサイズを更新した以外は、全てAlveolar Tamponade加工パラメータを用いて編んだ。Alveolar Tamponadeでは、2つの同じ円形に編まれた管(靴下)を最初に作製した。次に、両方の管を同時にほどき、得られたねじれたフィラメント糸を初期の緩い織物構造体として横編みした。材料を作るのに使用したフィラメントには、紫色を呈すように染色したVicryl(登録商標)、PDS、及びポリプロピレンを含んだ。靴下Aは第1吸収性材料及び第2吸収性材料で作製した。靴下Bは第1吸収性材料、第2吸収性材料、及び第1非吸収性材料で作製した。靴下Cは第1吸収性材料及び第2非吸収性材料で作製した。各チューブは、以下の表2に示す3種類の割合の材料のうち1つを用いて作製した。
【0112】
【表2】
【0113】
次に編まれた靴下形態をほどき、ねじれたフィラメントの糸を準備した。これらのフィラメントから糸を調製した。糸A、B及びCはそれぞれ、上記表2に示す材料及び割合を含んでいた。これら3種類の糸を用いて、3種類の異なる初期の緩い織目構造体(スカーフ)を作製した。初期織物構造体1、2、及び3の編みパラメータは以下の表3に示す。3種類の初期織物構造体の原材料の含量を以下の表4に示す。最後に、原材料の割合を以下の表5に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
示されるように、初期織物構造体1は、糸A(第1及び第2吸収性材料)及び糸B(第1及び第2吸収性材料、並びに第1非吸収性材料)の、2種類の異なる糸の組み合わせを含む。初期織物構造体2は、糸B(第1及び第2吸収性材料、並びに第1非吸収性材料)である1種類の糸を含む。初期織物構造体3は、糸A(第1及び第2吸収性材料)及び糸C(第1吸収性材料及び第1非吸収性材料)の、2種類の異なる糸の組み合わせを含む。各材料の繊維数は可変であり、得られる吸収性対非吸収性材料の割合は上記に示される。初期織物構造体1は、非吸収性材料に対して吸収性材料を最も多く含み、初期織物構造体3に比べて、第1加熱工程において緩い編物を収縮/縮ませるのに使用されるPDSの割合は2倍であり、初期織物構造体2は、非吸収性材料に対して吸収性材料の量が最も低い。
【0118】
初期織物構造体の加熱
上記で調製された初期織物構造体を、3枚の130mm×130mmのシートにして103℃の第1加熱工程と105〜120℃の第2加熱工程にかけ、その後、各シート全体の密度の一貫性を試験するため、各シートを6枚のストリップに切断した。続いて各ストリップを実験計画書の通りに評価したが、これは、初期加熱を約103℃で約20秒間実施したときに、各ストリップの3箇所の位置で厚さを測定し、様々な初期加熱距離の間隙において、収縮の一貫性を評価することを含む。プレート間の間隙寸法を予め規定した2枚のプレート間に初期織物構造体のシートを置くことによって、収縮を達成した。2.35mm、1.85mm及び1.35mmの様々な間隙寸法で試験を実施した。得られた材料は「初期加熱構造体」と称する。続いて、収縮後、初期加熱構造体を第2加熱にかけた。第2加熱は、0.9mmの間隙距離において、約120秒間、105℃又は120℃のいずれかの温度で加熱プレートを用いることによって達成した。
【0119】
得られた加熱した構造体の重量
最終の得られたストリップを用いて、各シートの平均重量を測定したが、これを以下の表6A、6B及び6Cに再現する。
【0120】
【表6】
【0121】
【表7】
【0122】
【表8】
【0123】
示されるように、材料の種類と加熱プレートの間隙寸法によって比較するとき、シート重量に統計学的差異があった。シートの重量は、得られる構造体2が最も小さく、次に得られる構造体3、最後に得られる構造体1が最も大きかった。これは、物理的材料含量及び成分の割合によるものと推測された。加えて、ストリップ重量は、間隙寸法が大きくなると大きくなり、収縮中に間隙内に適合するようにより多くの材料が許容されることを反映している。つまり、間隙が大きくなると、材料が蓄積する隙間が大きくなる。温度変化の影響により、構造体及び間隙寸法にわたって、一般的に有意な統計学的差異は示されなかった。
【0124】
得られた加熱した構造体の厚さ
上記のように加熱したシートを用い、シートを6枚のストリップに切断して各ストリップを3箇所の位置で測定し、平均厚さを測定したが、これを以下の表7A、7B及び7Cに再現する。
【0125】
【表9】
【0126】
【表10】
【0127】
【表11】
【0128】
示されるように、材料が変更され間隙寸法が変更されるとき、厚さに統計学的差異があった。一般には、材料の厚さは得られる構造体2で最も薄く、次に得られる構造体3で増し、得られる構造体1は最も厚い厚さを提供した。これは、物理的材料含量(質量)が増加するせいであり得る。間隙寸法が増すと厚さも増加したが、恐らくは、より大きい隙間があり、その隙間内に含まれる材料がより多くなるためである。温度による厚さにおける統計学的差異は、得られる構造体1においてのみ見られた。得られた測定値に基づくと、圧縮後に、取り扱われている材料の質量、収縮間隙、及び圧縮温度によって影響を受ける、わずかな反発が起こっていると考えられる。温度及び圧力は全てのサンプルにおいて同じであった。
【0129】
得られる構造体中の非吸収性材料の面積重量及び量
上記のように形成された3種類の得られる加熱した構造体のそれぞれについて、構造体の面積重量を得て、ポリプロピレン(PP)含量を得た。各測定値は、異なる加工パラメータ、例えば、間隙寸法の変更及び第2加熱の105℃から120℃への変更において取得した。結果を以下の表8に示す。
【0130】
【表12】
【0131】
上記構造体のそれぞれについてVicryl及びPDSの量も測定し、材料比を特定した。得られる構造体1では、約70% Vicryl、約15% PDS、及び約15%ポリプロピレンであることがわかった。得られる構造体2では、約60.9% Vicryl、約13% PDS、及び約26.1%ポリプロピレンであることがわかった。得られる構造体3では、約75.7% Vicryl、約8.1% PDS、及び約16.2%ポリプロピレンであることがわかった。
【0132】
示されるように、面積重量は得られる構造体2で最も小さく、次に得られる構造体3で大きくなり、最も大きい面積重量は得られる構造体1において見られる。全ての得られる構造体において、間隙寸法が増すとポリプロピレン量が増加した。最も低いポリプロピレン量を有する構造体は得られる構造体3であった。これは、得られる構造体1に含有される多くのVicryl対1本のPDSストランドを有する構造体による可能性が高い。全てのストランドが一緒になっていることから、初期加熱間隙に引き込まれるPPは少ない。同様に、得られる構造体2及び得られる構造体1は同割合の材料(Vicryl及びPDS)を有するため、PPの割合も概して同等であった。
【0133】
得られる構造体の引張り強度
上で説明したように3種類の得られる構造体を作製したが、それぞれ間隙寸法2.35mm、1.85mm、又は1.35mm、第2加熱温度を105℃又は120℃のいずれかで作製した。各得られたストリップをZWICKテスターで測定し、引張り強度の違いを評価した。1%ひずみ及び10%ひずみにおける負荷レベル(N)を測定した。
【0134】
温度を変更すると、間隙寸法に関係なく、3種類の材料全てにおいて引張り強度に統計学的差異があることが判明した。一般には、第2加熱の温度を低くすると、各間隙寸法において、引張り強度が大きく、信頼水準(標準偏差)が小さくなることが見られた。より高温でPDSを追加的に融解すると、結果に影響する場合がある。120℃の第2加熱において形成された得られる構造体においてのみ、間隙寸法による引張り強度に統計学的差異があった。一般には、第2加熱が120℃であったとき、間隙寸法が増加すると、引張り強度が増加した。低い第2加熱(105℃)を用いて形成された得られる構造体は、間隙寸法の変化によって、引張り強度に有意な変化を示さなかった。得られる構造体1は、同じ加熱温度で、同じ間隙寸法を用いて形成された得られる構造体2及び3の両方よりも、有意に大きい引張り強度を有することが判明した。PDS含量とPDSの融解の程度は、得られる材料の引張り強度を高め得る。追加のPDSは、加熱段階中の収縮効率を増すことができ、そのため、引張り強度を増加させる。実際に、PDSは、材料を互いに結合するため「糊」として作用する。しかしながら、温度が上がったときの引張り強度の低下は、PDSの融解が増えることで悪影響を与え得ることを示す。
【0135】
つまり、得られる構造体1は、得られる構造体2及び3とは顕著に異なる最終生成物をもたらすようである。存在する材料の種類及び割合に加えて、加熱中の間隙寸法が、最終の得られた生成物の重量、強度、及び厚さに統計的効果をもたらし得るとも言える。温度上昇は、最も注目すべきは引張り強度に、ある程度の効果があった。
【0136】
実施例3−多孔性及び剛性試験
本発明の構造体を作製し、多孔性、及び曲げ強度又は剛性について試験した。この実施例に用いた本発明の構造体は、vicryl、ポリプロピレン及びPDSを、5部(重量で)のvicryl、1部のポリプロピレン(重量で)、及び1部のPDS(重量で)で含んでいた。初期の緩い織物構造体を作製し、1.5mm間隙において103℃の初期加熱にかけた。次に、初期加熱構造体を、0.9mm間隙における105℃の第2加熱にかけ、最終の得られたデバイスを得た。得られたデバイスは、実質的に平坦で、板様形状を有していた。
【0137】
デバイスの剛性は、具体的にはZwick Roell引張り試験を用いる、3点曲げ剛性試験を用いて測定した。この試験では、台形状の圧子を、約50mm×50mmの本発明のデバイスの試験部分に押し付け、そこでデバイスを12.5mm間隙で配置した。間隙によって、サンプルが間隙に入り始める前に耐えることができる最大力を調べるのに必要なところまで、試験部分が圧子によって押し下げられた。本発明のデバイスの4つのサンプルを試験した。比較として、同じパラメータを用いて、2種類の既知の製品(Ultrapro Mod(登録商標)、ポリプロピレン/ポリグレカプレロン25デバイス、及びProlene Softmesh(登録商標)、ポリプロピレンメッシュ)を試験した。4つのサンプルをそれぞれ両方向に試験し、再現性を確認するために3回繰り返して測定した。剛性試験では、本発明のデバイスで1.351Nの最大力(標準偏差0.2789)という結果となった。これは、他の既知の製品(Ultrapro、0.38N;Prolene Softmesh、0.25N)について試験をした剛性よりも有意に高い。
【0138】
孔径分布を示す多孔性は、POROLUX 1000装置を用いて測定した。多孔性を測定するため、直径約18mmの本発明のデバイスの環状部分をSilpore(高密度液体)に浸した。その後サンプルに気体を押し通し、その間気体流及び圧力を機械で記録した。表面張力によって、最も大きい孔が最初に開放し、その次に小さい孔、最も小さい孔と続いた。結果は、気体流対孔径のグラフで計算する。
【0139】
本発明のデバイスの5つのサンプルを試験して、最も大きい孔径及び最も小さい孔径を測定した。サンプル1の最も大きい孔径は218.1マイクロメートルであり、サンプル1の最も小さい孔径は10.49マイクロメートルであった。サンプル2の最も大きい孔径は254.2マイクロメートルであり、サンプル2の最も小さい孔径は10.78マイクロメートルであった。サンプル3の最も大きい孔径は246.0マイクロメートルであり、サンプル3の最も小さい孔径は5.24マイクロメートルであった。サンプル4の最も大きい孔径は21.38マイクロメートルであり、サンプル4の最も小さい孔径は4.18マイクロメートルであった。サンプル5の最も大きい孔径は236.1マイクロメートルであり、サンプル5の最も小さい孔径は4.29マイクロメートルであった。
【0140】
示されるように、平均で、最も大きい孔径の直径は233マイクロメートルであり、最も小さい孔径の直径は約6マイクロメートルであった。孔径分布は、試験した5つのサンプルを通してかなり均質であった。
【0141】
実施例4−加水分解後伸長試験
本発明の構造体を含む、様々な構造体の伸び特性を試験した。伸長を得るために、本発明の構造体の様々なサンプル(埋め込み可能な状態及び加水分解が起こった後の両方)、加水分解されたVYPRO(登録商標)(約1.5cm長さ×2cm幅)、加水分解されたUltrapro(登録商標)(約5cm長さ×1cm幅)、及び非吸収性ポリプロピレンメッシュ製品(Gynemesh(登録商標))(約5cm長さ×2cm幅)を準備した。埋め込み前の埋め込み可能なデバイスの1サンプル(約5cm長さ×2cm幅)、本発明のデバイスの加水分解された単一層2サンプル(約5cm長さ×2cm幅;約1.5cm長さ×2cm幅)、本発明のデバイスの加水分解された2層1サンプル(互いに90°で置かれた層)(約1.5cm長さ×2cm幅)、及び本発明のデバイスの加水分解された4層1サンプル(2つの層が別の2つの層と90°で置かれたもの)(約1.5cm長さ×2cm幅)について、測定値を得た。種々おもりを製品から吊り下げ、得られる長さを測定した。一部のサンプルでは、サンプルの入手の関係から、1つ又は2つのおもりのみを測定した。それぞれの場合において、最も軽いおもり(10グラム)を比較目的で使用した。結果は以下の表9で示される。
【0142】
【表13】
【0143】
上記試験から多くの結果が示されるが、具体的には、埋め込み可能な状態(加水分解前)の本発明の材料は、著しい強度を有し、非吸収性ポリプロピレン材料に相当する。しかしながら、加水分解後は、軽いおもり(例えば、10〜20グラム)を負荷する場合でも、本発明の材料は約5〜6倍弾性が増す。更に重いおもりでは、200グラムのおもりで7.5×伸長を示すように、伸長度はより大きくなる。加水分解後の伸長度は、他の加水分解された材料より本発明の材料で大きく、本発明の材料の有効性と改善を示している。
【0144】
〔実施の態様〕
(1) 埋め込み可能なデバイスを形成する方法であって、
a.第1糸及び第2糸を形成する工程であって、前記第1糸及び第2糸の少なくとも1つが、第1非吸収性フィラメントを含み、前記第1糸及び第2糸の少なくとも1つが、第1吸収性フィラメントを含み、前記第1吸収性フィラメントが、前記第1非吸収性フィラメントより低い融点を有する、工程と、
b.前記第1糸と、前記第2糸と、を含む、初期織物構造体を形成する工程と、
c.前記初期織物構造体を、前記第1吸収性フィラメントを収縮させるのに十分な第1温度で第1熱処理にかけ、それによって少なくとも前記第2糸を曲げて初期加熱構造体を形成する工程と、
d.前記初期加熱構造体を第2温度まで加熱する工程であって、前記第2温度が前記第1温度より高く、前記第1吸収性フィラメントの少なくとも一部が融解される、工程と、
e.前記加熱構造体を冷却し、結果として得られる埋め込み可能なデバイスを形成する工程と、を含む、方法。
(2) 前記第1糸又は第2糸を形成する前に、前記第1吸収性フィラメント及び前記第1非吸収性フィラメントのうち少なくとも1つをねじる工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記初期加熱構造体を第2温度で加熱する前記工程中に、前記初期織物構造体を圧縮する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記第1糸が、第1非吸収性フィラメントと、第1吸収性フィラメントと、を含み、前記第2糸が、第2非吸収性フィラメントと、第2吸収性フィラメントと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記第1吸収性フィラメントがポリジオキサノンであり、前記第1非吸収性フィラメントがポリプロピレンである、実施態様4に記載の方法。
【0145】
(6) 前記第1糸が、第1非吸収性フィラメントと、第1吸収性フィラメントと、第2吸収性フィラメントと、を含み、前記第2糸が、第2非吸収性フィラメントと、第3吸収性フィラメントと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記第1吸収性フィラメントがポリグラクチンであり、前記第2吸収性フィラメントがポリジオキサノンであり、前記第1非吸収性フィラメントがポリプロピレンである、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記結果として得られる埋め込み可能なデバイスが、前記冷却工程後に約0.1〜2mmの厚さを有する、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記初期織物構造体を第1熱処理にかける前記工程が、前記初期織物構造体の前記厚さと少なくとも同じ幅である間隙を有する熱源中に前記初期織物構造体を置くことを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記初期織物構造体を第1熱処理にかける前記工程が、前記初期織物構造体中の最低融点を有する吸収性フィラメントの融点よりも約0.1〜約2℃低い第1温度に、前記初期織物構造体を曝すことを含む、実施態様1に記載の方法。
【0146】
(11) 前記第2温度が、前記初期織物構造体中の最低融点を有する吸収性フィラメントの融点よりも約0.1℃〜約20℃高い温度である、実施態様1に記載の方法。
(12) 不規則な方向の非吸収性フィラメントを有する埋め込み可能なデバイスであって、
a.第1糸及び第2糸を形成する工程であって、前記第1糸及び第2糸の少なくとも1つが、第1非吸収性フィラメントを含み、前記第1糸及び第2糸の少なくとも1つが、第1吸収性フィラメントを含み、前記第1吸収性フィラメントが、前記第1非吸収性フィラメントより低い融点を有する、工程と、
b.前記第1糸と、前記第2糸と、を含む、初期織物構造体を形成する工程と、
c.前記初期織物構造体を、前記第1吸収性フィラメントを収縮させるのに十分な第1温度で第1熱処理にかけ、それによって少なくとも前記第2糸を曲げて初期加熱構造体を形成する工程と、
d.前記初期加熱構造体を第2温度まで加熱する工程であって、前記第2温度が前記第1温度より高く、前記第1吸収性フィラメントの少なくとも一部が融解される、工程と、
e.前記加熱構造体を冷却し、結果として得られる埋め込み可能なデバイスを形成する工程と、を含む、方法によって形成される、埋め込み可能なデバイス。
(13) 前記第1糸又は第2糸を形成する前に、前記第1吸収性フィラメント及び前記第1非吸収性フィラメントのうち少なくとも1つをねじる工程を更に含む、実施態様12に記載の埋め込み可能なデバイス。
(14) 前記初期加熱構造体を第2温度で加熱する前記工程中に、前記初期織物構造体を圧縮する工程を更に含む、実施態様12に記載の埋め込み可能なデバイス。
(15) 前記第1糸が、第1非吸収性フィラメントと、第1吸収性フィラメントと、を含み、前記第2糸が、第2非吸収性フィラメントと、第2吸収性フィラメントと、を含む、実施態様12に記載の埋め込み可能なデバイス。
【0147】
(16) 前記第1吸収性フィラメントがポリジオキサノンであり、前記第1非吸収性フィラメントがポリプロピレンである、実施態様15に記載の埋め込み可能なデバイス。
(17) 前記第1糸が、第1非吸収性フィラメントと、第1吸収性フィラメントと、第2吸収性フィラメントと、を含み、前記第2糸が、第2非吸収性フィラメントと、第3吸収性フィラメントと、を含む、実施態様12に記載の埋め込み可能なデバイス。
(18) 前記第1吸収性フィラメントがポリグラクチンであり、前記第2吸収性フィラメントがポリジオキサノンであり、前記第1非吸収性フィラメントがポリプロピレンである、実施態様17に記載の埋め込み可能なデバイス。
(19) 前記結果として得られる埋め込み可能なデバイスが、前記冷却工程後に約0.1〜2mmの厚さを有する、実施態様12に記載の埋め込み可能なデバイス。
(20) 前記初期織物構造体を第1熱処理にかける前記工程が、前記初期織物構造体の前記厚さと少なくとも同じ幅である間隙を有する熱源中に前記初期織物構造体を置くことを含む、実施態様12に記載の埋め込み可能なデバイス。
【0148】
(21) 前記初期織物構造体を第1熱処理にかける前記工程が、前記初期織物構造体中の最低融点を有する吸収性フィラメントの融点よりも約0.1〜約2℃低い第1温度に、前記初期織物構造体を曝すことを含む、実施態様12に記載の埋め込み可能なデバイス。
(22) 前記第2温度が、前記初期織物構造体中の最低融点を有する吸収性フィラメントの融点よりも約0.1℃〜約20℃高い温度である、実施態様12に記載の埋め込み可能なデバイス。