(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297697
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】屠畜動物用の搬送装置と除去装置との組み合わせ、および、このような組み合わせを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
A22C 21/00 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【請求項の数】24
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-538583(P2016-538583)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公表番号】特表2016-539649(P2016-539649A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】NL2014050851
(87)【国際公開番号】WO2015088340
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】2011946
(32)【優先日】2013年12月12日
(33)【優先権主張国】NL
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511126198
【氏名又は名称】マレル ストーク ポウルトリー プロセッシング ベースローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Stork Poultry Processing B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ、エリック ヘンドリクス ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】リジャース、ティム サンダー
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第1922935(EP,A1)
【文献】
特開2010−178647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置の製品キャリアから吊り下げられた屠畜動物を搬送するための搬送装置であって、その搬送の間に前記屠畜動物が経路を描く、搬送装置と、前記経路に沿って配置された、選択された屠畜動物を前記製品キャリアから除去するための除去装置との組み合わせであって、前記搬送装置は、搬送路に沿って延びるガイドと、前記ガイドに沿った移動方向に動くことができる前記屠畜動物用の製品キャリアとを備え、各製品キャリアは、傾斜方向に応じて傾斜した、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部をそこに保持するための少なくとも1つの溝を備え、前記少なくとも1つの溝は、上側開口端と下端を有し、少なくとも前記除去装置の位置にて前記搬送装置に対して横に向き、前記除去装置は、プッシャー要素と、前記プッシャー要素を、前記プッシャー要素が屠畜動物の経路の外側に位置される受動位置と、前記プッシャー要素が選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部の経路に位置される能動位置との間で、前記能動位置においてまたは少なくとも前記受動位置から前記能動位置への動作の間に前記選択された屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を製品キャリアの前記少なくとも1つの溝から前記少なくとも1つの溝の上側開口端を経て押すために、往復移動させるための移動手段とを備え、前記除去装置は、追加のプッシャー要素と、前記追加のプッシャー要素を、前記追加のプッシャー要素が屠畜動物の経路の外側に位置される追加の受動位置と、前記追加のプッシャー要素が前記選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部の経路に位置される追加の能動位置との間で、少なくとも前記追加の受動位置から前記追加の能動位置へのそれの動作の間に前記選択された屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を下端から上端の方向に中間位置に押すために、往復移動させるための追加の移動手段とを備え、前記プッシャー要素は、前記能動位置においてまたは前記受動位置から前記能動位置へのそれの動作の間に、屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を、前記中間位置から、製品キャリアの前記少なくとも1つの溝の上端を経て、前記少なくとも1つの溝の外に押すように設計されている、ことを特徴とする組み合わせ。
【請求項2】
前記プッシャー要素は、回動軸の周りを前記受動位置と前記能動位置の間で回動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記回動軸は、前記移動方向に平行に延びている、ことを特徴とする請求項2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
前記回動軸は、前記移動方向に対して垂直に延びている、ことを特徴とする請求項2に記載の組み合わせ。
【請求項5】
前記回動軸は、前記傾斜方向に対して垂直に延びている、ことを特徴とする請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項6】
前記回動軸は、前記プッシャー要素の上流側の上に設けられている、ことを特徴とする請求項4または5に記載の組み合わせ。
【請求項7】
前記傾斜方向は、水平線に対して40°と50°の間の範囲の角度を含む、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項8】
前記追加のプッシャー要素は、追加の回動軸の周りを前記追加の受動位置と前記追加の能動位置の間で回動可能である、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項9】
前記追加の回動軸は、前記移動方向に対して垂直に延びている、ことを特徴とする請求項8に記載の組み合わせ。
【請求項10】
前記追加の回動軸は、前記傾斜方向に対して垂直に延びている、ことを特徴とする請求項9に記載の組み合わせ。
【請求項11】
前記追加の受動位置にある前記追加のプッシャー要素は、前記受動位置にある前記プッシャー要素の少なくとも部分的に上流に位置している、ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項12】
少なくとも前記能動位置にある前記プッシャー要素、および/または、前記追加の能動位置にある前記追加のプッシャー要素は、選択された屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を、製品キャリアの前記少なくとも1つの溝の開口端の方向に、前記移動方向の前記屠畜動物の搬送の間、横にガイドするよう設計されており、前記プッシャー要素および/または前記追加のプッシャー要素は、そのためにガイド表面および/または追加のガイド表面をそれぞれ備え、平面視で、前記ガイド表面および/または前記追加のガイド表面は、前記能動位置および/または前記追加の能動位置にて、搬送方向に対し鋭角をなす、ことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項13】
前記能動位置にある前記プッシャー要素、および、前記追加の能動位置にある前記追加のプッシャー要素は、選択された屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を横にガイドするよう設計されており、前記ガイド表面が前記搬送方向に対してなす角度は、前記追加のガイド表面が前記搬送方向に対してなす角度より大きい、ことを特徴とする請求項12に記載の組み合わせ。
【請求項14】
前記プッシャー要素は、ガイド表面と、前記ガイド表面を前記ガイド表面の上流側の上に接続する接続表面とを備え、前記接続表面は、前記プッシャー要素の前記能動位置における平面視で、前記ガイド表面が前記搬送方向に対してなす角度より大きい角度を前記搬送方向に対してなす、ことを特徴とする請求項12または13に記載の組み合わせ。
【請求項15】
前記組み合わせは、追加の搬送路に沿って動くことができる追加の製品キャリアを備え、前記追加の製品キャリアは、前記プッシャー要素により製品キャリアの前記少なくとも1つの溝の上端を経て少なくとも1つの被保持部が前記少なくとも1つの溝の外に押されている前記屠畜動物を引き継ぐように設計されている、ことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項16】
各製品キャリアは2つの溝を備える、ことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項17】
前記移動手段と前記追加の移動手段は、屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を前記少なくとも1つの溝の外に押す目的で、次のステップ
A ステップAの間またはステップAによって屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を前記少なくとも1つの溝の下端から前記少なくとも1つの溝の上端の方向に中間位置に押すために、前記追加のプッシャー要素を前記追加の受動位置から前記追加の能動位置に動かすステップと、
B ステップBの間またはステップBによって屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を前記中間位置から製品キャリアの前記少なくとも1つの溝の上端を経て前記少なくとも1つの溝の外に押すために、ステップAの後で前記プッシャー要素を前記受動位置から前記能動位置に動かすステップと、
C ステップBの後、前記追加のプッシャー要素を前記追加の能動位置から前記追加の受動位置に戻すステップと、
D ステップBの後、前記プッシャー要素を前記能動位置から前記受動位置に戻すステップと、
を実行するように設計されていることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の搬送装置と除去装置との組み合わせを動作させる方法であって、
A ステップAの間またはステップAによって屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を前記少なくとも1つの溝の下端から前記少なくとも1つの溝の上端の方向に中間位置に押すために、前記追加のプッシャー要素を前記追加の受動位置から前記追加の能動位置に動かすステップと、
B ステップBの間またはステップBによって屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を前記中間位置から製品キャリアの前記少なくとも1つの溝の上端を経て前記少なくとも1つの溝の外に押すために、ステップAの後で前記プッシャー要素を前記受動位置から前記能動位置に動かすステップと、
C ステップBの後、前記追加のプッシャー要素を前記追加の能動位置から前記追加の受動位置に戻すステップと、
D ステップBの後、前記プッシャー要素を前記能動位置から前記受動位置に戻すステップと、を含む方法。
【請求項19】
ステップDは、ステップCの後で実行されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップAとCの間の時間間隔の長さ、および/または、ステップBとDの間の時間間隔の長さは、ステップAとDの間の時間間隔の長さの80%以下、より好ましくは75%以下である、ことを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
ステップBは、ステップCと同時に、または、ステップCの前に実行されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ステップBの間またはステップBとDの間に、屠畜動物は、追加の製品キャリアによって製品キャリアから引き継がれることを特徴とする、請求項15に記載の組み合わせを動作させる間に実行される請求項18から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記屠畜動物は、屠畜された鳥であることを特徴とする請求項18から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
請求項1から17のいずれかに記載の組み合わせで用いられる除去装置であって、プッシャー要素と、前記プッシャー要素を、前記プッシャー要素が屠畜動物の経路の外側に位置される受動位置と、前記プッシャー要素が選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部の経路に位置される能動位置との間で、前記能動位置においてまたは少なくとも前記受動位置から前記能動位置への動作の間に前記選択された屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を製品キャリアの前記少なくとも1つの溝から前記少なくとも1つの溝の上側開口端を経て押すために、往復移動させるための移動手段とを備え、前記除去装置は、追加のプッシャー要素と、前記追加のプッシャー要素を、前記追加のプッシャー要素が屠畜動物の経路の外側に位置される追加の受動位置と、前記追加のプッシャー要素が前記選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部の経路に位置される追加の能動位置との間で、前記追加の能動位置においてまたは少なくとも前記追加の受動位置から前記追加の能動位置へのそれの動作の間に前記選択された屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を下端から上端の方向に中間位置に押すために、往復移動させるための追加の移動手段とを備え、前記プッシャー要素は、前記能動位置において、または、前記受動位置から前記能動位置へのそれの動作の間に、屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を、前記中間位置から、製品キャリアの前記少なくとも1つの溝の上端を経て、前記少なくとも1つの溝の外に押すように設計されている、ことを特徴とする除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置の製品キャリアから吊り下げられた屠畜動物を搬送するための搬送装置であって、その搬送の間に前記屠畜動物が経路を描く、搬送装置と、経路に沿って配置された、選択された屠畜動物を製品キャリアから除去するための除去装置との組み合わせであって、搬送装置は、搬送路に沿って延びるガイドと、ガイドに沿った移動方向に動くことができる屠畜動物用の製品キャリアとを備え、各製品キャリアは、傾斜方向に応じて傾斜した、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部をそこに保持するための少なくとも1つの溝を備え、少なくとも1つの溝は、上側開口端と下端を有し、少なくとも除去装置の位置にて搬送装置に対して横に向き、除去装置は、プッシャー要素(押し出し要素)と、プッシャー要素を、プッシャー要素が屠畜動物の経路の外側に位置される受動位置と、プッシャー要素が選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部の経路に位置される能動位置との間で、能動位置においてまたは少なくとも受動位置から能動位置への動作の間に選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を製品キャリアの少なくとも1つの溝から少なくとも1つの溝の上側開口端を経て押すために、往復移動させるための移動手段とを備える、組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置の製品キャリアから吊り下げられた屠畜動物が処理される屠畜場において、生産能力を増加させる連続的な追求がある。屠畜された鳥用の現代の屠畜ラインは、例えば、一般的に少なくとも12,000羽の鳥を1時間に処理することができるが、屠畜された鳥の処理に関する費用を減らすために、より高い生産能力が望ましいと考えられている。様々な可能性が、互いに組み合わせるか否かによらず、屠畜場の生産能力を高めるために利用可能である。第1の可能性は、搬送装置の速度を増すことであり、搬送装置を用いて屠畜動物は屠畜場を通って搬送され、その搬送の間に屠畜動物は処理される。第2の可能性は、連続する製品キャリアの間のピッチを減らすことである。屠畜場では、鳥などの屠畜動物を、処理位置の場所で製品キャリアから選択的に取り除くことがいくつかの理由で必要であるかもしれない。語句「選択的に」は、選択された屠畜動物のみが処理位置の場所で製品キャリアから取り除かれることを表すが、例えば、隣接する上流側の製品キャリアと隣接する下流側の製品キャリアとにおける屠畜動物は、上記処理位置の場所で製品キャリアから取り除かれてはならない。このような選択は、例えば、屠畜動物の重さに基づいて、または、屠畜動物の目視評価に基づいて、行われ得る。屠畜動物がある製品キャリアから他の製品キャリアへ転送される転送状況が起こり得る。あるいは、特定の屠畜動物は、製品キャリアから収集容器の中またはベルトコンベアなどの追加のコンベアの上に落下し得る。
【0003】
相対的に高スピードの搬送装置が使われる時、特に搬送ラインの曲がりにおいて、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部が製品キャリアの少なくとも1つの溝から抜け出る高い危険がある。そのような理由のために、水平線と、少なくとも1つの溝が延びる方向である傾斜方向との間の相対的に大きな角度を使うこと、および/または、相対的に長い溝を使うことが望まれる。代わりに、あるいは組み合わせで、溝の幅のわずかな局部的狭窄を有するように溝を寸法決めするおよび/または構成することも考えられ、その結果、鳥の場合には一般的に鳥の足のような被保持部が、溝の下部端に、軽い締まり嵌め(clamping fit)および/またはおおよそ形状固定されたフィット(form-locked fit)で保持される。
【0004】
屠畜場の生産能力の増加に関係した全ての上記の考えられる態様は、製品キャリアから屠畜動物を選択的に除去することをより難しくする。一方では、上述の方法に適合され得る製品キャリアの使用は、製品キャリアから屠畜動物を除去することをより難しくし、他方で、より高速なライン速度および/またはより小さいピッチは、プッシャー要素を用いて屠畜動物が製品キャリアから除去される、より具体的にはプッシャー要素を用いて屠畜動物の少なくとも1つの被保持部が製品キャリアの少なくとも1つの溝の外に押されるプッシャー要素が、隣接する上流側または下流側の製品キャリアから吊り下げられた屠畜動物に望ましくなく衝突するであろうという危険を増加させる。プッシャー要素の一動作(stroke)を加速することは、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部に作用する衝撃を増加させ、その結果、屠畜動物へのダメージと望ましくない骨折の高い危険がある。
【0005】
欧州特許出願公開第1922935A1号公報は、導入部による組み合わせを開示しており、移動手段はステッピングモータまたはサーボモータを備え、動作または速度パターンをプッシャー要素に伝えることができ、それは組み合わせを高速動作により適したものにする。これは相対的にコストがかかる解決策であることの他に、実現され得るプラスの効果の度合いは、さらに制限される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、このような課題に関して解決策または少なくとも改善を提供することである。この目的を達成するため、本発明は、導入部に記載された組み合わせを提供し、除去装置は、追加のプッシャー要素と、追加のプッシャー要素を、追加のプッシャー要素が屠畜動物の経路の外側に位置される追加の受動位置と、追加のプッシャー要素が選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部の経路に位置される追加の能動位置との間で、追加の能動位置または少なくとも追加の受動位置から追加の能動位置へのそれの動作の間に選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を下端から上端の方向に中間位置に押すために、往復移動させるための追加の移動手段とを備え、プッシャー要素は、能動位置においてまたは受動位置から能動位置へのそれの動作の間に、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を、中間位置から、製品キャリアの少なくとも1つの溝の上端を経て、少なくとも1つの溝の外に押すように設計されている。
【0007】
それ自体は知られたプッシャー要素と組み合わせた追加のプッシャー要素の使用は、最初に少なくとも1つの被保持部が少なくとも1つの溝(slot)の下端から、少なくとも1つの溝の上端の方向に、しかしそこまでではなく押され、その後プッシャー要素が、少なくとも1つの被保持部を、追加のプッシャー要素により影響された少なくとも1つの溝内の少なくとも1つの被保持部の位置から、少なくとも1つの溝の上端を過ぎて、従って少なくとも1つの溝の外に押すという可能性を作りだす。追加のプッシャー要素の使用の利点は、プッシャー要素が鳥の脚のような屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を少なくとも1つの溝の上端を過ぎて押すためのより小さい力を必要とし、その結果、屠畜動物へのダメージの危険が低くなることであり得る。追加のプッシャー要素の使用の利点は、追加のプッシャー要素が屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を少なくとも1つの溝の下端の外に押すと共に屠畜動物を製品キャリアから除去するために必要な少なくとも1つの被保持部の動作の第1の部分が実行されるとすぐに、そして好ましくはプッシャー要素が続いて少なくとも1つの被保持部に、または、2以上の被保持部の場合少なくとも1つの被保持部に接触するとすぐに、追加のプッシャー要素が追加の受動位置に戻されることができることでもあり得る。プッシャー要素がまだ屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を少なくとも1つの溝の外に押しているにも拘わらず、且つ、相対的に高いライン速度および/または製品キャリア間の小さいピッチが用いられているにも拘わらず、隣接する上流側の製品キャリアの屠畜動物が望ましくなく追加のプッシャー要素に接触する危険は、従ってかなり削減されることができる。一方、追加のプッシャー要素が能動位置に動くまで、プッシャー要素は、受動位置から能動位置に動く必要がない。このことも、隣接する下流側の製品キャリアの屠畜動物が望ましくなくプッシャー要素に接触する危険を削減する。
【0008】
もしプッシャー要素が回動軸の周りを受動位置と能動位置の間で回動可能であれば、構造上の簡素さの理由で有利な本発明の一実施形態が得られる。
【0009】
有利な実施形態では、このような回動軸は、移動方向に平行に延びていてもよい。このような変形では、製品キャリアの溝の屠畜動物の脚を搬送方向に対して横方向に押すことは、プッシャー要素が衝撃荷重(impact load)を少なくとも1つの被保持部に働かせることを行うことができる。少なくとも1つの溝の開口端の方向への少なくとも1つの被保持部の移動は、従って受動位置から能動位置へのプッシャー要素の移動の間に得られる。
【0010】
代わりに、もし回動軸が移動方向に対して少なくとも実質的に垂直に延びていれば、本発明の範囲内で有利であり得る。このような構成では、もしプッシャー要素が受動位置にある間に少なくとも1つの溝の開口端の方向への少なくとも1つの被保持部の移動が得られれば、より合理的(logical)である。プッシャー要素は、この場合、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を、少なくとも1つの溝の開口端の方向に且つ少なくとも1つの溝の開口端を過ぎて横方向に付勢するガイド要素として機能する。
【0011】
もし回動軸がさらに、少なくとも実質的に傾斜方向に対して垂直に延びていれば、受動位置と能動位置の間で回動すると、例えば5cm以下またはより好ましくは2cm以下の距離で、プッシャー要素が少なくとも1つの溝の下端を過ぎて接近して動く状況をもたらすことが容易である。このことは、屠畜動物がプッシャー要素により横方向に押されたときに少なくとも1つの被保持部に働くモーメントを減らすために有利である。
【0012】
もし回動軸がプッシャー要素の上流側の上に設けられていれば、追加の利点は、次の屠畜動物が望ましくなくプッシャー要素に衝突する危険がさらに削減されること、および/または、受動位置と能動位置の間の回動角の大きさが相対的に小さくなり得ることである。
【0013】
本発明は、特に、非排他的にであるが、もし傾斜方向が水平線に対して40°と50°の間の範囲の角度を含めば、有利に用いられ得る。少なくとも1つの溝は、その場合、相対的に急な角度で延び、この結果該当する製品キャリアが、例えば毎時18,000の屠畜動物の、相対的に速いライン速度で運転されることに適することができる。
【0014】
追加のプッシャー要素は、追加の回動軸の周りを追加の受動位置と追加の能動位置の間で回動可能であってもよく、このことは構造上の簡素さの理由でも有利であり得る。
【0015】
上述の回動軸と同様に、もし追加の回動軸が移動方向に対して少なくとも実質的に垂直に、さらに好ましくは傾斜方向に対して少なくとも実質的に垂直に延びていれば、追加の回動軸も有利であり得る。
【0016】
屠畜動物の被保持部を完全に溝の外に動かすための追加のプッシャー要素の予備機能の観点から、もし追加の受動位置にある追加のプッシャー要素が、受動位置にあるプッシャー要素の少なくとも部分的に上流に位置していれば、有利であり得る。
【0017】
可能な実施形態によれば、もし少なくとも能動位置にあるプッシャー要素、および/または、追加の能動位置にある追加のプッシャー要素が、選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を、製品キャリアの少なくとも1つの溝の開口端の方向に、移動方向の屠畜動物の搬送の間、横にガイドするよう設計されており、プッシャー要素および/または追加のプッシャー要素が、そのためにガイド表面および/または追加のガイド表面をそれぞれ備え、平面視で、ガイド表面および/または追加のガイド表面が、能動位置および/または追加の能動位置にて、搬送方向に対し鋭角をなせば、製品キャリアから屠畜動物を除去すると、屠畜動物に、より好ましくはその少なくとも1つの被保持部に働かせられる機械的な負荷が制限されるという利点を得ることができる。追加の利点は、さらに、プッシャー要素または追加のプッシャー要素と、次の(上流側の)製品キャリアから吊り下げられた非選択の屠畜動物との間の接触が、直接的に、該当する屠畜動物へのダメージという結果になる必要がないことである。
【0018】
製品キャリアからの屠畜動物の効果的な除去は、特に、もし能動位置にあるプッシャー要素および追加の能動位置にある追加のプッシャー要素が、選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を横にガイドするよう設計されており、ガイド表面が搬送方向に対してなす角度が、追加のガイド表面が搬送方向に対してなす角度より大きければ、得ることができる。このような実施形態では、追加のプッシャー要素により屠畜動物が横方向に押される速度は、最初、プッシャー要素により屠畜動物が横方向に押されるときの後の段階より低いであろう。上記のより大きい角度は、追加のプッシャー要素と比較して、プッシャー要素により、脚が溝の外により速く、従って相対的により短い搬送長で押される利点を有し、このことは、もし溝の配置が、追加のプッシャー要素により溝を通って動かされて脚が経験する抵抗よりもより小さい抵抗で、プッシャー要素により脚が溝を通って動かされることを可能にすれば、問題となる必要がない。この理由は、溝が上端の方向に広がること、および/または、脚の下端のみが軽い締まり嵌めまたはおおよそ形状固定された方式で溝に保持されることであり得る。
【0019】
本発明の有利な実施形態は、もしプッシャー要素が、ガイド表面と、ガイド表面を前記ガイド表面の上流側の上に接続する(結合する)接続表面とを備え、接続表面が、プッシャー要素の能動位置における平面視で、ガイド表面が搬送方向に対してなす角度より大きい角度を搬送方向に対してなせば、同様に得ることができる。従って、ガイド機能を引き継ぐためにプッシャー要素のガイド表面が追加のプッシャー要素の追加のガイド表面に接続する状態は、プッシャー要素の能動位置への回動の間に、より速く実現できる。
【0020】
本発明は、屠畜動物を通常異なるタイプのある製品キャリアから他の製品キャリアに転送することに使用することに、非排他的にであるが、非常に適している。この場合、屠畜ラインは、追加の搬送路に沿って動くことができる追加の製品キャリアを備え、その追加の製品キャリアは、プッシャー要素により製品キャリアの少なくとも1つの溝の上端を経て少なくとも1つの被保持部が少なくとも1つの溝の外に押されている屠畜動物を引き継ぐように設計されている。
【0021】
本発明は、非排他的にであるが、特に屠畜された鳥のような少なくとも2つの脚を有する屠畜動物とともに用いることにも非常に適している。このような屠畜された鳥の処理のために、各製品キャリアは2つの溝を備えることが好ましい。当該2つの溝に、屠畜された鳥の被保持部である脚が受けられることができる。
【0022】
本発明による屠畜ラインは、もし移動手段と追加の移動手段が、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を少なくとも1つの溝の外に押す目的で、次のステップ
A ステップAの間またはステップAによって屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を少なくとも1つの溝の下端から少なくとも1つの溝の上端の方向に中間位置に押すために、追加のプッシャー要素を追加の受動位置から追加の能動位置に動かすステップと、
B ステップBの間またはステップBによって屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を中間位置から製品キャリアの少なくとも1つの溝の上端を経て少なくとも1つの溝の外に押すために、ステップAの後でプッシャー要素を受動位置から能動位置に動かすステップと、
C ステップBの後、追加のプッシャー要素を追加の能動位置から追加の受動位置に戻すステップと、
D ステップBの後、プッシャー要素を能動位置から受動位置に戻すステップと、
を実行するように設計されていれば、特に有利に用いられ得る。
【0023】
移動手段と追加の移動手段は、そのために、例えばPLC制御ユニットのような制御ユニットを備えてもよいが、単に機械的な解決策、例えばカムディスクを用いることも考えられる。追加のプッシャー要素とプッシャー要素を用いて、言わば、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を少なくとも1つの溝の外に下端から上端へ動かすための2段階アプローチが得られる。本発明は、追加のプッシャー要素が追加の受動位置に戻ることを可能とし、従って、プッシャー要素がまだ能動位置にあり屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を製品キャリアの少なくとも1つの溝の外に完全に押すように動作可能な間に、次の屠畜動物用のスペースを提供し、相対的に高いライン速度または隣接する製品キャリア間の相対的に小さいピッチを用いることを可能にする。
【0024】
本発明は、上述の本発明による搬送装置と除去装置の組み合わせを動作させる方法を更に提供する。その方法は、
A ステップAの間またはステップAによって屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を前記少なくとも1つの溝の下端から前記少なくとも1つの溝の上端の方向に中間位置に押すために、前記追加のプッシャー要素を前記追加の受動位置から前記追加の能動位置に動かすステップと、
B ステップBの間またはステップBによって屠畜動物の前記少なくとも1つの被保持部を前記中間位置から製品キャリアの前記少なくとも1つの溝の上端を経て前記少なくとも1つの溝の外に押すために、ステップAの後で前記プッシャー要素を前記受動位置から前記能動位置に動かすステップと、
C ステップBの後、前記追加のプッシャー要素を前記追加の能動位置から前記追加の受動位置に戻すステップと、
D ステップBの後、前記プッシャー要素を前記能動位置から前記受動位置に戻すステップと、を含む。
【0025】
ステップDをステップCの後で実行することができ、このことは、特に、もし追加のプッシャー要素とプッシャー要素の両方が鳥の脚を横方向に溝の外に押すためのガイド手段として機能すれば、利点であり得る。
【0026】
特に、上記可能性の場合、もしステップAとCの間の時間間隔の長さ、および/または、ステップBとDの間の時間間隔の長さが、ステップAとDの間の時間間隔の長さの80%以下、より好ましくは75%以下であれば、有利であり得る。定性的に、上記パーセントが減少するほど、より高速におよび/または製品キャリア間のより小さいピッチで搬送装置を動作させる可能性に関して、本発明の利点が増加すると言うことができる。
【0027】
代替的に、ステップBは、ステップCと同時に、または、ステップCの(すぐ)前に実行されることも、しかしながら全く可能である。このことは、もしプッシャー要素が、受動位置から能動位置に動くと、少なくとも1つの被保持部を少なくとも1つの溝の外にいきなり押せば、有利な可能性であり得る。
【0028】
もしステップBの間またはステップBとDの間に、屠畜動物が追加の製品キャリアによって製品キャリアから引き継がれれば、本発明の有利な使用が得られ得る。
【0029】
一般的に本発明は屠畜動物の処理に用いられ得るが、何れにしても屠畜された鳥と共に用いられることにも非常に適している。
【0030】
本発明は、上述の本発明による屠畜ラインで用いられるための除去装置を更に提供する。このような除去装置は、プッシャー要素と、プッシャー要素を、プッシャー要素が屠畜動物の経路の外側に位置される受動位置と、プッシャー要素が選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部の経路に位置される能動位置との間で、能動位置においてまたは少なくとも受動位置から能動位置への動作の間に選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を製品キャリアの少なくとも1つの溝から少なくとも1つの溝の上側開口端を経て押すために、往復移動させるための移動手段とを備え、除去装置は、追加のプッシャー要素と、追加のプッシャー要素を、追加のプッシャー要素が屠畜動物の経路の外側に位置される追加の受動位置と、追加のプッシャー要素が選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部の経路に位置される追加の能動位置との間で、追加の能動位置においてまたは少なくとも追加の受動位置から追加の能動位置へのそれの動作の間に選択された屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を下端から上端の方向に中間位置に押すために、往復移動させるための追加の移動手段とを備え、プッシャー要素は、能動位置において、または、受動位置から能動位置へのそれの動作の間に、屠畜動物の少なくとも1つの被保持部を、中間位置から、製品キャリアの少なくとも1つの溝の上端を経て、少なくとも1つの溝の外に押すように設計されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
次の図面を参照して、以下に本発明の非限定的な好ましい実施形態を用いて本発明をより詳細に説明する。
【
図1】本発明による関連した除去装置を含む、本発明による屠畜ラインの本発明に関連する詳細を示す。
【
図2a】除去装置を用いた製品キャリアからの鳥の排出の4つの連続する段階を平面視で示す。
【
図2b】除去装置を用いた製品キャリアからの鳥の排出の4つの連続する段階を平面視で示す。
【
図2c】除去装置を用いた製品キャリアからの鳥の排出の4つの連続する段階を平面視で示す。
【
図2d】除去装置を用いた製品キャリアからの鳥の排出の4つの連続する段階を平面視で示す。
【
図3】
図2dの線III−IIIに沿った図である。
【
図5】転送ステーションで用いられる、上記の図に示される除去装置の図である。
【
図6】関連した除去装置を含む、本発明の第2の実施形態による屠畜ラインの一部を示す。
【
図7a】除去装置を用いた製品キャリアからの鳥の排出の3つの連続する段階を平面視で示す。
【
図7b】除去装置を用いた製品キャリアからの鳥の排出の3つの連続する段階を平面視で示す。
【
図7c】除去装置を用いた製品キャリアからの鳥の排出の3つの連続する段階を平面視で示す。
【
図8】転送ステーションで用いられる
図6の除去装置を示す。
【
図10】
図7a−7cに関連した時間変位図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、搬送路に沿って延びるガイドレール2を備える屠畜ライン1の一部を示す。屠畜ライン1は、一定間隔で設けられた製品キャリア3を更に備え、製品キャリアはコンベアチェーン4を介して相互に接続されている。各製品キャリア3は、ガイド部4を上側に備え、フック部5をその下に備える。ガイド部4は走行車輪6を備え、その上を製品キャリア3は、コンベアチェーン4が駆動されたとき、ガイドレール2に沿って移動方向24に転がることができる。隣接する製品キャリア3の間のピッチは、8インチであり、即ち約200mmである。6インチ(152mm)、8インチ(203mm)、10インチ(254mm)または12インチ(305mm)などの他の寸法も考えられる。
【0033】
フック部5は、少なくとも実質的にかぎ状のJ字型(
図3も参照せよ)を有し、2つの同一形状の溝8(
図2a−2dも参照せよ)が設けられた広がった溝部7を下端に有する。溝8はそれぞれ長さlを有する。溝部7は、移動方向24に対して垂直に延びる水平線10に対して45°の角度αをなす傾斜方向9(
図3)を有する。溝8はそれぞれ、横向きの開口した上端11と閉じた下端12とを有する。溝8は、上端11から下端12に向けてわずかに先細り、下端12にて溝8の長さのある部分にわたって一定の幅を有する。その幅は、鳥の脚の寸法に適合されており、その結果、その脚は軽い締まり嵌め(clamping fit)で下端12に収容されることができ、足根関節(tarsal joint)は溝の下端12の上に残る。
【0034】
屠畜ライン1は、支持機構16を介してガイドレール2から強固に吊り下げられた除去装置15を更に備える。除去装置15は、支持機構16の垂直部に直立部18を介して強固に接続されたテーブル本体17を備え、テーブルトップ19を更に備える。テーブルトップ19は、通過する製品キャリア3のフック部5の一部を形成する溝部7の傾斜方向9に平行に延びる。通過する製品キャリア3から鳥13を選択的に除去するために、より具体的には鳥13の脚を関連した製品キャリア3の溝8の外に押すために、
図2a−2dを参照してより詳細に説明されるように、除去装置15は、第1の上流側のプッシャーアーム21と、第2の下流側のプッシャーアーム22とを備える。
【0035】
第1のプッシャーアーム21は、それが受動位置と能動位置の間でテーブルトップ19に対して垂直に延びる回動軸23の周りを往復回動できるように、テーブルトップ19に接続されている。第1のプッシャーアーム21の受動位置では、
図2aと2dに示されるように、第1のプッシャーアーム21は、通過する製品キャリア3から吊り下げられた鳥13の経路の外に、搬送方向24にほぼ平行に、回動軸23の下流側の上に、延びている。
図2bと2cに示される能動位置では、第1のプッシャーアーム21または少なくともその一部は、通過する鳥13の経路に、より具体的にはその脚14の経路に位置している。能動位置では、第1のプッシャーアーム21は、テーブル19に平行な、即ち溝部7に平行な面に垂直な方向で見て、搬送方向24に対して約23°の角度で延びている。能動位置では、第1のプッシャーアーム21の端部は、平面視で、溝8の長さの概ね中間に位置している。ちょうどその位置で、溝8は上部の開口端11の方向に広がっている。
【0036】
第2のプッシャーアーム22は、それが受動位置と能動位置の間で同様にテーブルトップ19に対して垂直に延びる回動軸25の周りを往復回動できるように、同様にテーブルトップ19に接続されている。第2のプッシャーアーム22の受動位置では、
図2aと2dに示されるように、第2のプッシャーアーム22は、通過する製品キャリア3から吊り下げられた鳥13の経路の外に、搬送方向24にほぼ平行に、回動軸25の下流側の上に、延びている。
図2bと2cに示される能動位置では、第2のプッシャーアーム22または少なくともその一部は、通過する鳥13の経路に、より具体的にはその脚14の経路に位置している。能動位置では、第2のプッシャーアーム22は、テーブル19に平行な、即ち溝部7に平行な面に垂直な方向で見て、搬送方向24に対して約33°の角度で延びている。能動位置では、第2のプッシャーアーム22の端部は、関連した製品キャリア3が通過すると、平面視で、溝8の上端11の近くに位置している。
【0037】
プッシャーアーム21と22は、テーブルトップ19の下に位置しており、且つ、テーブルトップ19を通って延びそこに回動可能に軸支された各シャフト部材31,32を介して、接続アーム33,34の端部に接続されている。シャフト部材31,32の中心軸は、各回動軸23,25に一致している。反対側の端部にて、接続アーム33,34は、空気圧シリンダ37,38に関連したピストンロッド35,36の端部に接続され、空気圧シリンダ37,38は、それらが回動軸39,40の周りを往復回動できるようにテーブルトップ19に接続されている。制御ユニット(図示せず)を用いて個々に制御されることができるシリンダ37,38の適切な作動は、関連したプッシャー要素21,22を関連した能動および受動位置間で回動させる。第1のプッシャーアーム21は、限定された範囲で第2のプッシャーアーム22よりもテーブルトップ19の近くに位置し、その結果、
図2aおよび特に
図2dに示されるように、2つのプッシャーアーム21と22の間にいくらかの重なりがあり得る。
【0038】
ここで除去装置15を用いた製品キャリア3からの鳥13’の選択的な除去について説明する。
【0039】
開始状態は、
図2aに示される状態である。屠畜ライン1の制御システムは、除去装置15の制御ユニットに、近づいている鳥13’が関連した製品キャリア3から取り除かれるという命令を送る。そのため、隣接する下流側の鳥13が第1のプッシャーアーム21のこのような回動のためのスペースを提供するとすぐに、第1のプッシャーアーム21は、シリンダ37の適切な作動により受動位置から能動位置に回動させられる(
図2b)。第1のプッシャーアーム21の回動の結果は、第1のプッシャーアーム21が鳥13’の脚14の経路に置かれるようになり、前述の搬送方向24に対する第1のプッシャーアーム21の傾斜した向きのため、鳥13’の脚14は、関連した溝8の閉じた下端12から上端11の方向に順々に横方向に押される。しかし、脚は溝8内に吊り下げられたままである。
【0040】
次に、
図2cに示されるように、第2のプッシャーアーム22も、下流側の鳥13がこのためのスペースを提供するとすぐに、受動位置から能動位置に回動させられ、それは鳥13’が第1のプッシャーアーム21を完全に通過する前である。
図2cに示されるように、第2のプッシャーアーム22は、第1のプッシャーアーム21に対して位置決めされているので、それらの各能動位置にて、第1のプッシャーアーム21の端部は第2のプッシャーアーム22に接続する。能動位置に回動した結果、第2のプッシャーアーム22も、脚14の経路に置かれ、鳥13’の脚のためのガイド機能を第1のプッシャーアームから引き継ぎ、脚14を更に溝8の開口端11の方向に脚14が溝8の空所(clear)に来るまで押す。能動位置において第2のプッシャーアーム22が搬送方向24に対してなす角度は第1のプッシャーアーム21の対応する角度より大きいので、脚14は、第2のプッシャーアーム22によって、第1のプッシャーアーム21によるよりも、より速く横方向にガイドされる。このことは、サイクルタイム(cycle time)を削減する。能動位置での第1のプッシャーアーム21の傾斜は、慣性質量効果(mass inertia effects)と、脚14と先細りの溝8との間に働く摩擦力も克服する必要性とのため制限される。もし脚14が第1のプッシャーアーム21によって非常に速く横方向にガイドされたとすれば、脚14へのダメージのリスクが大きくなり得る。
【0041】
上述のプロセスは、
図9の図にも示され、そこで縦軸は、第1および第2のプッシャーアーム21,22(の端部)と鳥13’の脚14との横の動き(即ち、移動方向24に対して垂直な水平方向)を示す。縦軸に示される値yに関して、y - l x cos(α)を適用する。一般的に、第1のプッシャーアーム21の前方への動作と、第2のプッシャーアーム22の戻り動作との間の間隔は、275msでよい。
【0042】
鳥13’の上流側の脚14が第1のプッシャーアーム21を完全に通過すると、
図2dに示されるように、第1のプッシャーアーム21は、能動位置から受動位置に再び戻り回動する。このようにして、中央制御システムによって決定された、この例では除去装置15によって関連した製品キャリア3から取り除かれない上流側の鳥13が、第1のプッシャーアーム21に接触することは防止される。
【0043】
鳥13’の上流側の脚14が第2のプッシャーアーム22も完全に通過すると、第2のプッシャーアーム22も受動位置に戻り回動し、その結果、上流側の鳥13’’’も第2のプッシャーアーム22によって妨害されない。
図2aに示される開始状態が次に再び達せられる。
【0044】
なお、隣接する上流側の製品キャリア3の鳥13も製品キャリア3から除去されなければならない状況では、プッシャーアーム21,22は、それらの各受動位置に戻り回動する必要はない。戻り回動することは、隣接する上流側の製品キャリア3の鳥13が製品キャリア3から除去される必要がない状況においてだけ起こり得る。
【0045】
鳥13が除去装置15によって製品キャリア3から除去されると、鳥は、例えば重力の影響で収集容器の中に落下できる。あるいは、
図5に示されるように、いわゆる転送装置と共に除去装置15を用いることもできる。屠畜場において、鳥13をある製品キャリアから、もしかすると
図5に40で示されたもののような転送ステーションの製品キャリアから、通常異なるタイプの他の製品キャリアに転送することが、様々な理由で望ましいかもしれない。欧州特許第1848282号明細書に詳細に記載されているように、製品キャリア40は、転送ステーション45の一部を形成する。製品キャリア3のように、製品キャリア40は、製品キャリア3の溝8と同じ距離だけ間隔が空けられた2つの溝41を有する。製品キャリア40は、回転コンベア(carousel)の一部を形成し、製品キャリアに平行な、製品キャリア3と同期した動きは、除去装置15の位置にて妨害され、その動きの間、製品キャリア40の溝41と製品キャリア3の溝8は、一時的に整列される。プッシャーアーム21,22を用い、鳥は製品キャリア3から製品キャリア40に前に既に説明した方法で押される。この点について、フック部5が搬送方向24に平行に延びる傾き軸に関してわずかに傾くことが考えられ、その結果、関連した溝部はより平坦な向きを有し、鳥13を製品キャリア3から取り除くことをより容易にする。
【0046】
図6は、本発明の第2の実施形態に関する。第2の実施形態の要素が
図1−5に示される第1の実施形態の要素に対応する限りにおいて、対応する参照符号が用いられる。
【0047】
図6−8は、屠畜ライン101または本発明に関連する少なくともその一部を示す。屠畜ライン101は、除去装置115を備える。除去装置115は、シリンダ137の適切な作動によって受動位置(
図6、
図7aの点線)と能動位置(
図7a−7c)との間で回動軸123の周りを往復回動できるように構成されたプッシャーアーム121を備える。
【0048】
除去装置15は、以下では語句「イジェクタアーム」122で示されるプッシャーアーム122を更に備える。イジェクタアーム122は、シリンダ138の適切な作動によって受動位置(
図6,7a,7b)と能動位置(
図7c)との間で搬送方向24に平行に延びる回動軸125の周りを往復回動できるように構成されている。プッシャーアーム122としてのプッシャーアームの代替の実施形態は、欧州特許第819382号明細書に、特にその
図18を参照して記載されている。
【0049】
除去装置115を用いた製品キャリア3からの鳥113’の選択的な除去について以下に説明する。
【0050】
開始状態は、
図6、または、プッシャーアーム121が点線で示された受動位置にある限りにおいて
図7aに示される状態である。開始状態では、イジェクタアーム122も受動位置にある。屠畜ライン101の制御システムは、除去装置115の制御ユニットに、鳥113’が関連した製品キャリア3から取り除かれなければならないという命令を送る。隣接する下流側の製品キャリア3の鳥13がこのためのスペースを提供するとすぐに、プッシャーアーム121は受動位置から能動位置に動く。
図7aに示される状況では、プッシャーアーム121の受動位置への動作により、および、プッシャーアーム121の受動位置への動作の間、鳥113’の上流側の脚114は、該当する溝8の下端12から、溝8の長さの概ね中間に押される。屠畜ラインの動作の間、鳥113’の下流側の脚114は、プッシャーアーム121にぶつかり、関連した溝8の開口端11の方向に、また溝8の長さの概ね中間の位置に押しのけられる。屠畜ラインの動作の結果、鳥113’が次にイジェクタアーム122(
図7b)の直接的に反対側に位置されると、イジェクタアーム122は、受動位置から能動位置へ一時的に動かされ、受動位置に再び戻る。受動位置から能動位置への当該動作の間、イジェクタアーム122は、鳥113’の脚114を開口端11に向けて溝8の外に押す、より具体的には押し付ける(bumps)(
図7c)。プッシャーアーム121は、次に受動位置に戻り回動する。このことは、イジェクタアーム122が受動位置に戻り回動したのと同時またはすぐ後で起こることができるが、イジェクタアーム122が能動位置に動く(すぐ)前にプッシャーアーム121が受動位置に再び戻り回動することも考えられる。
【0051】
上述のプロセスは、
図10の図にも示され、そこで縦軸は、プッシャーアーム121の端部と、イジェクタアーム122と、鳥13’の脚14との横の動き(即ち、移動方向24に対して垂直な水平方向)を示す。脚14は、能動位置から受動位置への一動作(stroke)の間、イジェクタアーム122と一緒に動く。プッシャーアーム121の受動位置への戻り動作は、図においてイジェクタアーム122の前への動作とイジェクタアーム122の戻り動作の間に起こるが、その動作は、イジェクタアーム122の前への動作のすぐ前、または、イジェクタアーム122の戻り動作の後、例えばすぐ後にも起こり得る。通常、第1のプッシャーアーム121の前への動作とイジェクタアーム122の戻り動作との間の間隔は、200msでよい。
【0052】
図8は、
図5に示されるものに相当する、除去装置115が転送ステーションの鳥をどのように転送するためにも用いられるかを示す。
【0053】
以上では、本発明は、鶏のような鳥が処理される一例を用いて説明されている。本発明は、屠畜用の他の種類の動物、例えば魚とともに用いることにも適している。魚とともに用いられ得る製品キャリアは、欧州特許出願第13183012.7号明細書に記載されている。