特許第6297755号(P6297755)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297755静電容量型センサ、センサシートおよび静電容量型センサの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297755
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】静電容量型センサ、センサシートおよび静電容量型センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20180312BHJP
   G01L 1/14 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G01L5/00 101Z
   G01L1/14 J
【請求項の数】15
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-532391(P2017-532391)
(86)(22)【出願日】2016年2月24日
(86)【国際出願番号】JP2016055402
(87)【国際公開番号】WO2017022258
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2017年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-152447(P2015-152447)
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(72)【発明者】
【氏名】川口 絢也
(72)【発明者】
【氏名】藤川 智宏
(72)【発明者】
【氏名】田口 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 博
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5704803(JP,B2)
【文献】 特開平5−345569(JP,A)
【文献】 特開2014−142193(JP,A)
【文献】 特許第5815369(JP,B2)
【文献】 特許第6106083(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00
G01L 1/14
本件特許出願に対応する国際特許出願PCT/JP2016/055402の調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電層と、該誘電層の表裏方向両側に配置される複数の電極ユニットと、を備える静電容量型センサであって、
該電極ユニットは、自身を表裏方向に貫通する貫通孔を有する絶縁層と、該絶縁層の表裏方向の一面に配置される電極層と、該絶縁層の表裏方向の他面に配置され該貫通孔を介して該電極層と導通するジャンパー配線層と、を有し、
該絶縁層の破断伸びは60%以上であり、引張永久歪みは5%未満であり、体積抵抗率は1.0×1010Ω・cm以上であることを特徴とする静電容量型センサ。
【請求項2】
前記絶縁層の引張弾性率は、10MPaより大きい請求項1に記載の静電容量型センサ。
【請求項3】
前記絶縁層は、エラストマーおよびアンチブロッキング剤を含む請求項1または請求項2に記載の静電容量型センサ。
【請求項4】
前記アンチブロッキング剤の含有量は、前記エラストマーの100質量部に対して18質量部以上107質量部未満である請求項3に記載の静電容量型センサ。
【請求項5】
前記アンチブロッキング剤は、酸化チタン粒子およびシリカ粒子の少なくとも一方を含む請求項3または請求項4に記載の静電容量型センサ。
【請求項6】
前記電極ユニットは、基材を有し、
前記絶縁層、前記電極層、および前記ジャンパー配線層は、該基材の表裏方向の一面側に形成される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項7】
前記電極層および前記ジャンパー配線層は、エラストマーを含む請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項8】
前記誘電層の表側に配置される前記電極ユニットを表側電極ユニット、該誘電層の裏側に配置される前記電極ユニットを裏側電極ユニットとして、
該表側電極ユニットにおいて、前記電極層は互いに平行に並ぶ複数の表側電極層からなり、前記ジャンパー配線層は複数の該表側電極層の各々と導通する複数の表側配線層からなり、
該裏側電極ユニットにおいて、前記電極層は互いに平行に並ぶ複数の裏側電極層からなり、前記ジャンパー配線層は、複数の該裏側電極層の各々と導通する複数の裏側配線層からなり、
表側または裏側から見て、複数の該表側電極層と複数の該裏側電極層とは、互いに交差する方向に延在し、複数の該表側電極層と複数の該裏側電極層とが重複する部分には複数の検出部が設定される請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項9】
請求項6に記載の静電容量型センサの製造方法であって、
前記電極ユニットを作製する電極ユニット作製工程と、
前記誘電層の表裏方向の両面に前記基材を外側にして該電極ユニットを配置する配置工程と、
を有し、
該電極ユニット作製工程は、該基材の表裏方向の一面に、前記電極層および前記ジャンパー配線層のいずれか一方を印刷法により形成する第一印刷工程と、
印刷された該電極層または該ジャンパー配線層を覆うように前記絶縁層を印刷法により形成する第二印刷工程と、
該絶縁層の前記貫通孔を覆うように該電極層および該ジャンパー配線層の他方を印刷法により形成する第三印刷工程と、
を有することを特徴とする静電容量型センサの製造方法。
【請求項10】
前記第一印刷工程、前記第二印刷工程、および前記第三印刷工程における前記印刷法は、スクリーン印刷法である請求項9に記載の静電容量型センサの製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載の静電容量型センサを備えるセンサシートであって、
表側または裏側から見て、
複数の前記検出部が設定される感圧領域と、
該感圧領域の面方向隣りに配置され、複数の該検出部の静電容量に関する電気量を外部から取り出し可能な取出部を有する不感領域と、
を備え、
前記表側電極ユニットの前記絶縁層は、前記表側電極層の表側に配置される表側絶縁層であり、
該表側絶縁層を貫通する前記貫通孔は、表側貫通孔であり、
前記裏側電極ユニットの前記絶縁層は、前記裏側電極層の裏側に配置される裏側絶縁層であり、
該裏側絶縁層を貫通する前記貫通孔は、裏側貫通孔であり、
前記表側配線層は、該表側絶縁層の表側に配置され、該表側貫通孔を介して、該表側電極層と該取出部とを電気的に接続し、
前記裏側配線層は、該裏側絶縁層の裏側に配置され、該裏側貫通孔を介して、該裏側電極層と該取出部とを電気的に接続し、
複数の該検出部の各々と該取出部との間には、少なくとも該表側配線層を経由する表側検出経路と、少なくとも該裏側配線層を経由する裏側検出経路と、が設定され、
少なくとも一つの該検出部と、該取出部と、該検出部用の該表側検出経路および該裏側検出経路と、を有するセンサ体を、切り取り可能であるセンサシート。
【請求項12】
前記表側配線層と前記表側電極層との接点を表側接点、前記裏側配線層と前記裏側電極層との接点を裏側接点として、
表側または裏側から見て、前記取出部に最も近い該表側電極層に重複するように、複数の該裏側接点は配置され、
表側または裏側から見て、該取出部に最も近い該裏側電極層に重複するように、複数の該表側接点は配置される請求項11に記載のセンサシート。
【請求項13】
前記表側配線層と前記表側電極層との接点を表側接点、前記裏側配線層と前記裏側電極層との接点を裏側接点として、
該表側接点および該裏側接点は、全ての前記検出部に個別に配置される請求項11に記載のセンサシート。
【請求項14】
請求項11ないし請求項13のいずれかに記載のセンサシートから切り取られたセンサ体と、
前記取出部に電気的に接続され、該センサ体が、部分的に切り取られた前記検出部を有する場合、該検出部の静電容量に関する電気量を補正する制御部と、
を備える静電容量型センサ。
【請求項15】
請求項14に記載の静電容量型センサの製造方法であって、
前記センサシートから前記センサ体を切り取る、切り取り工程を有する静電容量型センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量の変化から荷重を検出可能な静電容量型センサ、センサシートおよび静電容量型センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、誘電層と、該誘電層を挟んで配置される複数の表側電極層と複数の裏側電極層と、を備える静電容量型センサが開示されている。図12に、特許文献1に開示されている静電容量型センサの上面透過図を示す。図12に示すように、静電容量型センサ9は、誘電層90と、表側電極層01X〜08Xと、裏側電極層01Y〜08Yと、表側配線層01x〜08xと、裏側配線層01y〜08yと、を備えている。表側配線層01x〜08xは、各々、表側電極層01X〜08Xの左端部に接続されている。裏側配線層01y〜08yは、各々、裏側電極層01Y〜08Yの前端部に接続されている。上方(誘電層90の表側)から見て、表側電極層01X〜08Xと裏側電極層01Y〜08Yとが重複する部分(図中、右上がりのハッチングを施して示す)には、複数の検出部が形成されている。静電容量型センサ9に荷重が加わると、荷重が加わった部分に対応する検出部の厚さ、すなわち、表側電極層01X〜08Xと裏側電極層01Y〜08Yとの間の距離が小さくなる。これにより、検出部の静電容量が大きくなる。したがって、静電容量型センサ9によると、電極間距離の変化に伴う静電容量の変化に基づいて、荷重分布を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−096716号公報
【特許文献2】実開平5−33560号公報
【特許文献3】特開昭63−301593号公報
【特許文献4】国際公開第2012/147870号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の静電容量型センサ9においては、図12に示すように、表側電極層01X〜08Xと表側配線層01x〜08xとが同一面上に形成されている。同様に、裏側電極層01Y〜08Yと裏側配線層01y〜08yとが同一面上に形成されている。このため、表側および裏側のいずれにおいても、配線層は、自身と接続されていない電極層と導通しないよう、電極層が形成されていない周辺部に配置されている。ここで、配線層のみが配置されている領域は、荷重の検出をすることができない不感領域になる。荷重の検出を行う感圧領域以外に不感領域が必要になるため、その分だけセンサの大きさや質量が大きくなる。したがって、不感領域の存在は、限られたスペースで使用する場合など、小型化、軽量化が要求される場合に不利になる。また、配線層の配置形態が限定されるため、センサ形状の自由度が低くなる。
【0005】
例えば、プリント配線板などの分野においては、絶縁層を介して配線を立体的に配置する立体配線構造が知られている(例えば、特許文献2〜4など)。しかしながら、プリント配線板に用いられる絶縁層の多くは、エポキシ樹脂などからなり柔軟性に乏しい。一方、上述した静電容量型センサにおいては、荷重が加わった際に伸張できるよう、電極層や配線層は柔軟な導電材料から形成されている。このため、柔軟性に乏しい絶縁層を有する立体配線構造を適用すると、電極層および配線層の伸縮が絶縁層により規制される。また、伸縮を繰り返すうちに絶縁層の剥がれや破断が生じ、これにより、伸張時に電気抵抗が大幅に増加し、センサとして機能しなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、配線の配置形態の自由度が高く、かつ、柔軟で耐久性に優れる静電容量型センサ、センサシートを提供することを課題とする。また、当該静電容量型センサの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するため、本発明の静電容量型センサは、誘電層と、該誘電層の表裏方向両側に配置される複数の電極ユニットと、を備える静電容量型センサであって、該電極ユニットは、自身を表裏方向に貫通する貫通孔を有する絶縁層と、該絶縁層の表裏方向の一面に配置される電極層と、該絶縁層の表裏方向の他面に配置され該貫通孔を介して該電極層と導通するジャンパー配線層と、を有し、該絶縁層の破断伸びは60%以上であり、引張永久歪みは5%未満であり、体積抵抗率は1.0×1010Ω・cm以上であることを特徴とする。
【0008】
本発明の静電容量型センサを構成する電極ユニットは、電極層とジャンパー配線層とが同一面ではなく絶縁層を介して立体的に配置される立体配線構造を有する。電極層とジャンパー配線層とは、絶縁層の貫通孔を介して導通している。貫通孔内には、電極層が充填されていてもよく、ジャンパー配線層が充填されていてもよく、両方が充填されていてもよい。立体配線構造によると、絶縁層の表側または裏側から見て、ジャンパー配線層を電極層に重ねて配置することができる。このため、ジャンパー配線層のみを配置する不感領域を小さくすることができる。したがって、静電容量型センサを小型化、軽量化しやすい。また、電極層の端部だけでなく電極層上においてもジャンパー配線層と接続することができる。すなわち、電極層の任意の部分にジャンパー配線層を接続することができる。これにより、配線層の配置形態の自由度が大きくなり、ひいてはセンサ形状の自由度が大きくなる。
【0009】
また、絶縁層の破断伸びは60%以上であり、引張永久歪みは5%未満である。すなわち、絶縁層は柔軟で伸張しやすく、へたりにくい。このため、絶縁層は、電極層の弾性変形に追従して伸縮し、伸縮を繰り返しても剥がれや破断が生じにくい。したがって、本発明の静電容量型センサは、柔軟で耐久性に優れる。
【0010】
本明細書において、破断伸びは、JIS K6251:2010に規定される引張試験により測定される切断時伸びの値である。引張試験は、ダンベル状5号形の試験片を用い、引張速度を100mm/minとして行うものとする。引張永久歪みは、JIS K 6273:2006に規定される定伸長引張永久歪み試験により測定される定伸長引張永久歪みの値である。定伸長引張永久歪み試験は、JIS K6251:2010に規定されるダンベル状5号形の試験片を用い、試験片に50%の伸びを与え、室温下で30秒間保持して行うものとする。体積抵抗率は、JIS K 6911:1995に規定される方法に基づいて測定された値である。
【0011】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記絶縁層の引張弾性率は、10MPaより大きい構成とする方がよい。
【0012】
上述した通り、絶縁層は柔軟で伸張性が高い。それ故、このような絶縁層をスクリーン印刷法により形成する場合には、絶縁層形成用の塗料の粘着性が高くなり、塗膜が版に貼り付く(ブロッキングする)場合がある。この点、本構成のように、引張弾性率が10MPaより大きい絶縁層を形成する場合には、絶縁層形成用の塗料の粘着性がそれほど高くならないため、印刷時に塗膜が版に貼り付きにくくなる。これにより、印刷精度が高まると共に、歩留まりや作業性が向上する。本明細書において、引張弾性率は、JIS K7127:1999に規定される引張試験により得られる応力−伸び曲線から算出した値である。引張試験は、試験片タイプ2の試験片を用い、引張速度を100mm/minとして行うものとする。
【0013】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記絶縁層は、エラストマーおよびアンチブロッキング剤を含む構成とする方がよい。
【0014】
エラストマーは、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーを含む。アンチブロッキング剤を配合することにより、絶縁層の表面に凹凸が付与され、表面粗さを大きくすることができる。また、アンチブロッキング剤の含有量により、絶縁層形成用の塗料の粘着性、ひいては絶縁層の引張弾性率を調整することができる。これにより、絶縁層をスクリーン印刷法により形成する場合に、印刷時に塗膜が版に貼り付きにくくなる。
【0015】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記アンチブロッキング剤の含有量は、前記エラストマーの100質量部に対して18質量部以上107質量部未満である構成とする方がよい。
【0016】
アンチブロッキング剤の含有量が多いと、印刷時に塗膜が版に貼り付くのを抑制する効果は高くなるが、絶縁層の破断伸びが小さくなったり、引張永久歪みが大きくなることにより、電極層およびジャンパー配線層との密着性が低下するおそれがある。反対に、アンチブロッキング剤の含有量が少ないと、塗膜が版に貼り付くのを抑制する効果が充分に得られない。本構成によると、絶縁層において、版への貼り付き抑制と、伸張性および相手材への密着性と、を両立することができる。
【0017】
(5)好ましくは、上記(3)または(4)の構成において、前記アンチブロッキング剤は、酸化チタン粒子およびシリカ粒子の少なくとも一方を含む構成にする方がよい。
【0018】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記電極ユニットは、基材を有し、前記絶縁層、前記電極層、および前記ジャンパー配線層は、該基材の表裏方向の一面側に形成される構成にする方がよい。
【0019】
本構成においては、絶縁層、電極層、およびジャンパー配線層を予め基材の一面側に形成しておき、少なくとも一対の基材間に、基材を外側にして誘電層を挟む。こうすることにより、電極層やジャンパー配線層を誘電層の表裏両面に直接的に形成することが難しい場合においても、誘電層の表裏方向両側に容易に電極ユニットを配置することができる。
【0020】
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記電極層および前記ジャンパー配線層は、エラストマーを含む構成とする方がよい。
【0021】
本構成によると、電極層およびジャンパー配線層が柔軟で伸縮性に優れる。このため、絶縁層を含めた電極ユニットが誘電層の弾性変形に追従しやすい。これにより、センサ全体の柔軟性および耐久性が向上する。
【0022】
(8)好ましくは、上記(1)ないし(7)のいずれかの構成において、前記誘電層の表側に配置される前記電極ユニットを表側電極ユニット、該誘電層の裏側に配置される前記電極ユニットを裏側電極ユニットとして、該表側電極ユニットにおいて、前記電極層は互いに平行に並ぶ複数の表側電極層からなり、前記ジャンパー配線層は複数の該表側電極層の各々と導通する複数の表側配線層からなり、該裏側電極ユニットにおいて、前記電極層は互いに平行に並ぶ複数の裏側電極層からなり、前記ジャンパー配線層は、複数の該裏側電極層の各々と導通する複数の裏側配線層からなり、表側または裏側から見て、複数の該表側電極層と複数の該裏側電極層とは、互いに交差する方向に延在し、複数の該表側電極層と複数の該裏側電極層とが重複する部分には複数の検出部が設定される構成とする方がよい。
【0023】
本構成によると、複数の検出部において、荷重を検出することができる。このため、静電容量型センサの面方向(表裏方向に対して直交する方向)の荷重分布を測定することができる。
【0024】
(9)上記(6)の構成の静電容量型センサの製造方法は、前記電極ユニットを作製する電極ユニット作製工程と、前記誘電層の表裏方向の両面に前記基材を外側にして該電極ユニットを配置する配置工程と、を有し、該電極ユニット作製工程は、該基材の表裏方向の一面に、前記電極層および前記ジャンパー配線層のいずれか一方を印刷法により形成する第一印刷工程と、印刷された該電極層または該ジャンパー配線層を覆うように前記絶縁層を印刷法により形成する第二印刷工程と、該絶縁層の前記貫通孔を覆うように該電極層および該ジャンパー配線層の他方を印刷法により形成する第三印刷工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
本発明の静電容量型センサの製造方法は、基材を有する電極ユニットを備える静電容量型センサの製造方法である。本発明の製造方法によると、印刷法により、基材の表裏方向の一面に電極層、ジャンパー配線層、および絶縁層を容易に形成することができる。そして、作製された複数の電極ユニット間に誘電層を挟むことにより、静電容量型センサを容易に製造することができる。
【0026】
印刷法によると、電極層、ジャンパー配線層の厚さが薄い場合や面積が大きい場合でも、容易に形成することができる。また、印刷法においては、塗布する部分と塗布しない部分との塗り分けが、容易である。このため、電極層、ジャンパー配線層が、細線や複雑な形状であっても、容易に形成することができる。印刷法としては、例えば、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、リソグラフィーなどが挙げられる。
【0027】
(10)好ましくは、上記(9)の構成において、前記第一印刷工程、前記第二印刷工程、および前記第三印刷工程における前記印刷法は、スクリーン印刷法である構成とする方がよい。
【0028】
スクリーン印刷法によると、比較的高粘度の塗料を使用することができる。これにより、塗膜厚さの調整が容易になると共に、引張弾性率が比較的大きい層の形成が容易になる。また、スクリーン印刷法によると、大面積の膜や厚膜を形成しやすく、重ね塗りの寸法精度も高い。
【0029】
(11)上記課題を解決するため、本発明のセンサシートは、上記(8)の構成の静電容量型センサを備えるセンサシートであって、表側または裏側から見て、複数の前記検出部が設定される感圧領域と、該感圧領域の面方向隣りに配置され、複数の該検出部の静電容量に関する電気量を外部から取り出し可能な取出部を有する不感領域と、を備え、前記表側電極ユニットの前記絶縁層は、前記表側電極層の表側に配置される表側絶縁層であり、該表側絶縁層を貫通する前記貫通孔は、表側貫通孔であり、前記裏側電極ユニットの前記絶縁層は、前記裏側電極層の裏側に配置される裏側絶縁層であり、該裏側絶縁層を貫通する前記貫通孔は、裏側貫通孔であり、前記表側配線層は、該表側絶縁層の表側に配置され、該表側貫通孔を介して、該表側電極層と該取出部とを電気的に接続し、前記裏側配線層は、該裏側絶縁層の裏側に配置され、該裏側貫通孔を介して、該裏側電極層と該取出部とを電気的に接続し、複数の該検出部の各々と該取出部との間には、少なくとも該表側配線層を経由する表側検出経路と、少なくとも該裏側配線層を経由する裏側検出経路と、が設定され、少なくとも一つの該検出部と、該取出部と、該検出部用の該表側検出経路および該裏側検出経路と、を有するセンサ体を、切り取り可能であることを特徴とする。ここで、上記(8)の構成の静電容量型センサの検出部の配置数と、本発明のセンサシートから切り取られるセンサ体の検出部の配置数と、は一致していなくてもよい。
【0030】
センサ体は、少なくとも一つの検出部と、取出部と、当該検出部用の表側検出経路および裏側検出経路と、を備えている。このため、所定の形状等(例えば、形状、面積等)のセンサシートから、任意の形状等のセンサ体、つまり静電容量型センサを、切り取ることができる。したがって、形状等が異なる複数の静電容量型センサが必要な場合であっても、所望の静電容量型センサの形状等に応じて、逐一、当該静電容量型センサ専用の部材(例えば、印刷により静電容量型センサを作製する場合は印刷用の版、成形により静電容量型センサを作製する場合は成形用の金型など)を設計、作製する必要がない。すなわち、所望の静電容量型センサの形状等に応じて、センサシートからセンサ体を切り取るだけで済む。このため、静電容量型センサの製造コストを削減することができる。特に、少量多品種の静電容量型センサを製造する場合、あるいは静電容量型センサの試作品を製造する場合、製造コストを削減することができる。
【0031】
また、本発明のセンサシートの場合、表側配線層は、表側貫通孔を介して、表側から表側電極層に接続されている。同様に、裏側配線層は、裏側貫通孔を介して、裏側から裏側電極層に接続されている。このため、切り取り後のセンサ体において、検出不可能な検出部が発生しにくい。したがって、センサ体の切り取り形状の自由度を高くすることができる。
【0032】
また、本発明のセンサシートの場合、表側絶縁層を挟んで、表側配線層と、表側電極層と、を表裏方向に重複して配置することができる。同様に、裏側絶縁層を挟んで、裏側配線層と、裏側電極層と、を表裏方向に重複して配置することができる。このため、センサシート全体に占める不感領域の割合を小さくすることができる。すなわち、切り取り後のセンサ体全体に占める不感領域の割合を小さくすることができる。
【0033】
(12)好ましくは、上記(11)の構成において、前記表側配線層と前記表側電極層との接点を表側接点、前記裏側配線層と前記裏側電極層との接点を裏側接点として、表側または裏側から見て、前記取出部に最も近い該表側電極層に重複するように、複数の該裏側接点は配置され、表側または裏側から見て、該取出部に最も近い該裏側電極層に重複するように、複数の該表側接点は配置される構成とする方がよい。
【0034】
本構成によると、表側配線層、裏側配線層を、取出部に近接して配置することができる。このため、センサシートからセンサ体を切り取る際に、表側配線層、裏側配線層が切断されにくい。よって、センサ体の切り取り形状の自由度を高くすることができる。
【0035】
(13)好ましくは、上記(11)の構成において、前記表側配線層と前記表側電極層との接点を表側接点、前記裏側配線層と前記裏側電極層との接点を裏側接点として、該表側接点および該裏側接点は、全ての前記検出部に個別に配置される構成とする方がよい。
【0036】
本構成によると、全ての検出部は、各々、表側配線層および裏側配線層に、直接、接続されている。このため、センサシートからセンサ体を切り取る際に、表側電極層や裏側電極層が切断された場合であっても、当該センサ体の検出部用の表側検出経路、裏側検出経路を確保しやすい。
【0037】
(14)上記課題を解決するため、本発明の静電容量型センサは、上記(11)ないし上記(13)のいずれかの構成のセンサシートから切り取られたセンサ体と、前記取出部に電気的に接続され、該センサ体が、部分的に切り取られた前記検出部を有する場合、該検出部の静電容量に関する電気量を補正する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0038】
本発明の静電容量型センサによると、切り取り後のセンサ体が、部分的に切り取られた検出部を有する場合、制御部は、検出部の静電容量に関する電気量を、補正することができる。このため、荷重分布の検出精度を高くすることができる。
【0039】
(15)上記(14)の構成の静電容量型センサの製造方法は、前記センサシートから前記センサ体を切り取る、切り取り工程を有することを特徴とする。センサシートの表側配線層は、表側貫通孔を介して、表側から表側電極層に接続されている。同様に、裏側配線層は、裏側貫通孔を介して、裏側から裏側電極層に接続されている。このため、切り取り後のセンサ体において、検出不可能な検出部が発生しにくい。したがって、切り取り工程における、センサ体の切り取り形状の自由度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によると、配線の配置形態の自由度が高く、かつ、柔軟で耐久性に優れる静電容量型センサ、センサシートを提供することができる。また、本発明によると、当該静電容量型センサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、第一実施形態の静電容量型センサの透過上面図である。
図2図2は、図1のII−II方向断面図である。
図3図3は、図2の枠III内の拡大図である。
図4図4は、第一実施形態の静電容量型センサにおける表側電極ユニットの分解斜視図である。
図5図5は、同静電容量型センサにおける裏側電極ユニットの分解斜視図である。
図6図6は、第二実施形態のセンサシートの透過上面図である。
図7図7は、図6のVII−VII方向断面図である。
図8図8は、同センサシートの表側電極ユニットの分解斜視図である。
図9図9は、同センサシートの裏側電極ユニットの分解斜視図である。
図10図10(a)〜図10(d)は、図6に示すセンサシートから切り取られたセンサ体(その1〜その4)を備える静電容量型センサの透過上面図である。
図11図11は、第三実施形態のセンサシートの透過上面図である。
図12図12は、従来の静電容量型センサの透過上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明の静電容量型センサ、センサシートおよび静電容量型センサの製造方法の実施の形態について説明する。以下の図においては、上側が本発明の「表側」に、下側が本発明の「裏側」に、各々対応している。また、前後左右のうち少なくとも一方向が、本発明の「面方向」に対応している。
【0043】
<<第一実施形態>>
<静電容量型センサの構成>
まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図1に、本実施形態の静電容量型センサの透過上面図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。図3に、図2の枠III内の拡大図を示す。図1においては、裏側電極ユニットを点線で示す。
【0044】
図1図3に示すように、静電容量型センサ1は、誘電層2と、表側電極ユニット3と、裏側電極ユニット4と、コネクタ5と、を備えている。
【0045】
誘電層2は、ウレタンフォーム製であって、正方形のシート状を呈している。誘電層2の厚さは、300μmである。誘電層2の上側には表側電極ユニット3が、下側には裏側電極ユニット4が配置されている。
【0046】
表側電極ユニット3は、表側基材30と、8本の表側ジャンパー配線層01x〜08xと、表側絶縁層31と、8本の表側電極層01X〜08Xと、表側保護層32と、を有している。表側ジャンパー配線層01x〜08xは、本発明の「表側配線層」の概念に含まれる。
【0047】
表側基材30は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製であって、略正方形のシート状を呈している。表側基材30の厚さは、200μmである。表側基材30の下面側には、表側ジャンパー配線層01x〜08x、表側絶縁層31、表側電極層01X〜08X、および表側保護層32が形成されている。
【0048】
表側絶縁層31は、略正方形のシート状を呈している。表側絶縁層31の大きさは、表側基材30の大きさと略同じである。表側絶縁層31の厚さは、40μmである。表側絶縁層31は、ウレタンゴムと、アンチブロッキング剤としての酸化チタン粒子と、を含んでいる。酸化チタン粒子の平均粒子径は0.29μmである。酸化チタン粒子の含有量は、ウレタンゴムの100質量部に対して54質量部である。表側絶縁層31の破断伸びは139%、引張弾性率は23MPa、引張永久歪みは0%であり、体積抵抗率は6.3×1010Ω・cmである。表側絶縁層31の下面の表面粗さ(Ra)は、1μmである。
【0049】
表側絶縁層31は、貫通孔310を有している。貫通孔310は、表側電極層01X〜08Xの各々と対応するように8個配置されている。8個の貫通孔310は、表側絶縁層31の左右方向における中央付近に、前後方向に一列に並んで配置されている。8個の貫通孔310は、表側絶縁層31を上下方向に貫通している。
【0050】
8本の表側ジャンパー配線層01x〜08xは、表側絶縁層31の上面に配置されている。表側ジャンパー配線層01xは、表側電極層01Xの左右方向における中央付近に対応する位置からコネクタ5まで直線状に延在している。同様に、表側ジャンパー配線層02x〜08xの各々も、表側電極層02X〜08Xの各々の左右方向における中央付近に対応する位置からコネクタ5まで直線状に延在している。表側ジャンパー配線層01x〜08xは、長さが異なる線状を呈しており、左右方向に所定の間隔で離間して互いに平行に配置されている。表側ジャンパー配線層01x〜08xは、各々、表側絶縁層31の貫通孔310を介して、表側電極層01X〜08Xと導通している。
【0051】
表側ジャンパー配線層01x〜08xは、各々、上下方向に積層された第一配線層33と第二配線層34とを有している。第一配線層33は、表側基材30の下面に形成されている。第一配線層33は、アクリルゴムおよび銀粉末を含んでいる。第二配線層34は、第一配線層33の下面に形成されている。第二配線層34は、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んでいる。
【0052】
8本の表側電極層01X〜08Xは、表側絶縁層31の下面に配置されている。表側電極層01X〜08Xは、各々、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んでいる。表側電極層01X〜08Xは、各々、帯状を呈している。表側電極層01X〜08Xは、各々、左右方向に延在している。表側電極層01X〜08Xは、前後方向に所定の間隔で離間して互いに平行に配置されている。表側電極層01X〜08Xの各々の一部は、表側絶縁層31の貫通孔310に充填されている。
【0053】
表側保護層32は、誘電層2の上面に配置されている。表側保護層32は、下側から表側電極層01X〜08Xおよび表側絶縁層31を被覆している。表側保護層32は、ウレタンゴム製であって、略正方形のシート状を呈している。表側保護層32の大きさは、表側基材30の大きさと略同じである。表側保護層32の厚さは、40μmである。
【0054】
裏側電極ユニット4の構成は、表側電極ユニット3の構成と同じである。すなわち、裏側基材40と、8本の裏側ジャンパー配線層01y〜08yと、裏側絶縁層41と、8本の裏側電極層01Y〜08Yと、裏側保護層42と、を有している。裏側ジャンパー配線層01y〜08yは、本発明の「裏側配線層」の概念に含まれる。
【0055】
裏側基材40は、PET製であって、略正方形のシート状を呈している。裏側基材40の厚さは、200μmである。裏側基材40の上面側には、裏側ジャンパー配線層01y〜08y、裏側絶縁層41、裏側電極層01Y〜08Y、および裏側保護層42が形成されている。
【0056】
裏側絶縁層41は、略正方形のシート状を呈している。裏側絶縁層41の厚さは、40μmである。裏側絶縁層41の材質および物性は、表側絶縁層31のそれと同じである。裏側絶縁層41の上面の表面粗さ(Ra)は、1μmである。裏側絶縁層41は、貫通孔410を有している。貫通孔410は、裏側電極層01Y〜08Yの各々と対応するように8個配置されている。8個の貫通孔410は、裏側絶縁層41の前後方向における中央付近に、左右方向に一列に並んで配置されている。8個の貫通孔410は、裏側絶縁層41を上下方向に貫通している。
【0057】
8本の裏側ジャンパー配線層01y〜08yは、裏側絶縁層41の下面に配置されている。裏側ジャンパー配線層01yは、裏側電極層01Yの前後方向における中央付近に対応する位置からコネクタ5まで直線状に延在している。同様に、裏側ジャンパー配線層02y〜08yの各々も、裏側電極層02Y〜08Yの各々の前後方向における中央付近に対応する位置からコネクタ5まで直線状に延在している。裏側ジャンパー配線層01y〜08yは線状を呈しており、裏側基材40の前端中央付近から内側に向かって放射状に広がるように配置されている。裏側ジャンパー配線層01y〜08yは、各々、裏側絶縁層41の貫通孔410を介して、裏側電極層01Y〜08Yと導通している。
【0058】
裏側ジャンパー配線層01y〜08yは、各々、上下方向に積層された第一配線層43と第二配線層44とを有している。第一配線層43は、裏側基材40の上面に形成されている。第一配線層43は、アクリルゴムおよび銀粉末を含んでいる。第二配線層44は、第一配線層43の上面に形成されている。第二配線層44は、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んでいる。
【0059】
8本の裏側電極層01Y〜08Yは、裏側絶縁層41の上面に配置されている。裏側電極層01Y〜08Yは、各々、アクリルゴムおよび導電性カーボンブラックを含んでいる。裏側電極層01Y〜08Yは、各々、帯状を呈している。裏側電極層01Y〜08Yは、各々、前後方向に延在している。裏側電極層01Y〜08Yは、左右方向に所定の間隔で離間して互いに平行に配置されている。裏側電極層01Y〜08Yの各々の一部は、裏側絶縁層41の貫通孔410に充填されている。
【0060】
裏側保護層42は、誘電層2の下面に配置されている。裏側保護層42は、上側から裏側電極層01Y〜08Yおよび裏側絶縁層41を被覆している。裏側保護層42は、ウレタンゴム製であって、略正方形のシート状を呈している。裏側保護層42の厚さは、40μmである。
【0061】
上方から見て、表側電極層01X〜08Xと裏側電極層01Y〜08Yとは格子状に並んでいる。表側電極層01X〜08Xと裏側電極層01Y〜08Yとが重複する部分には、複数の検出部Dが設定されている。検出部Dは、合計64個設定されている。検出部Dが設定されている領域(表側電極層01X〜08Xと裏側電極層01Y〜08Yとが配置されている領域)が、荷重を検出可能な感圧領域Sになっている。
【0062】
コネクタ5は、静電容量型センサ1の前方中央部に配置されている。コネクタ5には、表側ジャンパー配線層01x〜08xおよび裏側ジャンパー配線層01y〜08yが、互いに絶縁を確保された状態で、電気的に接続されている。コネクタ5は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。
【0063】
<静電容量型センサの製造方法>
次に、本実施形態の静電容量型センサの製造方法について説明する。本実施形態の静電容量型センサの製造方法は、電極ユニット作製工程と配置工程とを有している。
【0064】
[電極ユニット作製工程]
電極ユニット作製工程は、表側電極ユニット3を作製する表側電極ユニット作製工程と、裏側電極ユニット4を作製する裏側電極ユニット作製工程と、を有している。まず、表側電極ユニット作製工程について説明する。図4に、表側電極ユニットの分解斜視図を示す。図4に示すように、表側電極ユニット作製工程は、(1)〜(4)の四つの印刷工程を有している。
【0065】
(1)第一印刷工程(図4中のST1)
第一印刷工程においては、表側基材30の下面に、表側ジャンパー配線層01x〜08xをスクリーン印刷法により形成する。まず、第一配線層33を形成するための第一配線塗料と、第二配線層34を形成するための第二配線塗料と、を調製する。次に、調製した第一配線塗料を、スクリーン印刷機を用いて、表側基材30の下面(図4における下面。印刷時には上向きに配置する。以下、表側電極ユニット作製工程において同じ。)に印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、8本の第一配線層33を形成する。続いて、調製した第二配線塗料を、スクリーン印刷機を用いて、形成した第一配線層33の下面に印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、8本の第二配線層34を形成する。このようにして、表側基材30の下面に、第一配線層33および第二配線層34が積層された表側ジャンパー配線層01x〜08xを形成する。
【0066】
(2)第二印刷工程(図4中のST2)
第二印刷工程においては、形成された表側ジャンパー配線層01x〜08xを覆うように、表側絶縁層31をスクリーン印刷法により形成する。まず、表側絶縁層31を形成するための絶縁層塗料を調製する。次に、調製した絶縁層塗料を、スクリーン印刷機を用いて、表側ジャンパー配線層01x〜08xを覆うように、表側基材30の下面に印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、表側絶縁層31を形成する。
【0067】
(3)第三印刷工程(図4中のST3)
第三印刷工程においては、形成された表側絶縁層31の貫通孔310を覆うように、表側電極層01X〜08Xをスクリーン印刷法により形成する。まず、表側電極層01X〜08Xを形成するための電極塗料を調製する。次に、調製した電極塗料を、スクリーン印刷機を用いて、表側絶縁層31の下面に印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、8本の表側電極層01X〜08Xを形成する。
【0068】
(4)第四印刷工程(図4中のST4)
第四印刷工程においては、形成された表側電極層01X〜08Xを覆うように、表側保護層32をスクリーン印刷法により形成する。まず、表側保護層32を形成するための保護層塗料を調製する。次に、調製した保護層塗料を、スクリーン印刷機を用いて、表側電極層01X〜08Xを覆うように印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、表側保護層32を形成する。
【0069】
次に、裏側電極ユニット作製工程について説明する。図5に、裏側電極ユニットの分解斜視図を示す。図5に示すように、裏側電極ユニット作製工程は、(1)〜(4)の四つの印刷工程を有している。
【0070】
(1)第一印刷工程(図5中のST1)
第一印刷工程においては、裏側基材40の上面に、裏側ジャンパー配線層01y〜08yをスクリーン印刷法により形成する。まず、第一配線層43を形成するための第一配線塗料と、第二配線層44を形成するための第二配線塗料と、を調製する。次に、調製した第一配線塗料を、スクリーン印刷機を用いて、裏側基材40の上面に印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、8本の第一配線層43を形成する。続いて、調製した第二配線塗料を、スクリーン印刷機を用いて、形成した第一配線層43の上面に印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、8本の第二配線層44を形成する。このようにして、裏側基材40の上面に、第一配線層43および第二配線層44が積層された裏側ジャンパー配線層01y〜08yを形成する。
【0071】
(2)第二印刷工程(図5中のST2)
第二印刷工程においては、形成された裏側ジャンパー配線層01y〜08yを覆うように、裏側絶縁層41をスクリーン印刷法により形成する。まず、裏側絶縁層41を形成するための絶縁層塗料を調製する。次に、調製した絶縁層塗料を、スクリーン印刷機を用いて、裏側ジャンパー配線層01y〜08yを覆うように、裏側基材40の上面に印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、裏側絶縁層41を形成する。
【0072】
(3)第三印刷工程(図5中のST3)
第三印刷工程においては、形成された裏側絶縁層41の貫通孔410を覆うように、裏側電極層01Y〜08Yをスクリーン印刷法により形成する。まず、裏側電極層01Y〜08Yを形成するための電極塗料を調製する。次に、調製した電極塗料を、スクリーン印刷機を用いて、裏側絶縁層41の上面に印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、8本の裏側電極層01Y〜08Yを形成する。
【0073】
(4)第四印刷工程(図5中のST4)
第四印刷工程においては、形成された裏側電極層01Y〜08Yを覆うように、裏側保護層42をスクリーン印刷法により形成する。まず、裏側保護層42を形成するための保護層塗料を調製する。次に、調製した保護層塗料を、スクリーン印刷機を用いて、裏側電極層01Y〜08Yを覆うように印刷する。そして、加熱により塗膜を硬化させて、裏側保護層42を形成する。
【0074】
[配置工程]
配置工程においては、誘電層2の上面に、作製した表側電極ユニット3を表側基材30を上側にして配置し、誘電層2の下面に、作製した裏側電極ユニット4を裏側基材40を下側にして配置する。そして、表側電極ユニット3および裏側電極ユニット4の前方中央部の凸部をコネクタ5に接続して、静電容量型センサ1が製造される。
【0075】
<静電容量型センサの動き>
次に、本実施形態の静電容量型センサ1の動きについて説明する。まず、静電容量型センサ1に荷重が加わる前(初期状態)に、表側電極層01X〜08Xおよび裏側電極層01Y〜08Yに電圧を印加して、検出部Dごとに静電容量Cを算出する。続いて、静電容量型センサ1に荷重が加わった後も同様に、検出部Dごとに静電容量Cを算出する。荷重が加わった部分の検出部Dにおいては、表側電極層と裏側電極層との距離が小さくなる。これにより、当該検出部Dの静電容量Cは、大きくなる。この静電容量Cの変化量ΔCに基づいて、検出部Dごとの面圧が算出される。このようにして、感圧領域Sにおける荷重分布を測定することができる。
【0076】
<静電容量型センサおよびその製造方法の作用効果>
次に、本実施形態の静電容量型センサ1およびその製造方法の作用効果について説明する。なお、表側電極ユニット3と裏側電極ユニット4とは、構成が同じである。よって、表側電極ユニット3と裏側電極ユニット4とにおいて共通する作用効果については、表側電極ユニット3についてのみ説明する。
【0077】
表側電極ユニット3は、表側電極層01X〜08Xと表側ジャンパー配線層01x〜08xとが表側絶縁層31を介して立体的に配置される立体配線構造を有している。同様に、裏側電極ユニット4も、裏側電極層01Y〜08Yと裏側ジャンパー配線層01y〜08yとが裏側絶縁層41を介して立体的に配置される立体配線構造を有している。表側電極層01X〜08Xの上側に表側ジャンパー配線層01x〜08xを重ねて配置することができるため、表側ジャンパー配線層01x〜08xを表側電極層01X〜08Xと同一面上に、表側電極層01X〜08Xを回避して配置する必要はない。このため、表側ジャンパー配線層01x〜08xのみが配置される不感領域(感圧領域S以外の領域)を小さくすることができる。したがって、静電容量型センサ1を小型化、軽量化しやすい。また、表側電極層01X〜08Xの任意の部分に表側ジャンパー配線層01x〜08xを接続することができるため、表側ジャンパー配線層01x〜08xの配置形態、ひいてはセンサ形状の自由度が大きい。
【0078】
表側電極ユニット3において、表側絶縁層31の破断伸びは60%以上であり、引張永久歪みは5%未満である。裏側電極ユニット4においても同様に、裏側絶縁層41の破断伸びは60%以上であり、引張永久歪みは5%未満である。このため、表側絶縁層31は、表側電極層01X〜08Xの弾性変形に追従して伸縮し、伸縮を繰り返しても剥がれや破断が生じにくい。したがって、静電容量型センサ1は、柔軟で耐久性に優れる。
【0079】
また、表側絶縁層31および裏側絶縁層41の引張弾性率は、10MPaより大きい。加えて、表側絶縁層31および裏側絶縁層41は、エラストマーおよびアンチブロッキング剤を含んでいる。この場合、表側絶縁層31および裏側絶縁層41を形成するための絶縁層塗料の粘着性は、それほど高くならない。よって、表側絶縁層31および裏側絶縁層41をスクリーン印刷法により形成しても、印刷時に塗膜が版に貼り付きにくい。これにより、印刷精度が高まると共に、歩留まりや作業性が向上する。また、アンチブロッキング剤の含有量は、エラストマーの100質量部に対して18質量部以上107質量部未満である。よって、表側絶縁層31および裏側絶縁層41によると、スクリーン印刷における版への貼り付き抑制と、伸張性および相手材への密着性と、の両方を実現することができる。
【0080】
表側電極層01X〜08Xおよび表側ジャンパー配線層01x〜08xは、いずれもエラストマーを母材としている。裏側電極層01Y〜08Yおよび裏側ジャンパー配線層01y〜08yも同様に、エラストマーを母材としている。このため、表側電極層01X〜08Xおよび表側ジャンパー配線層01x〜08xは、柔軟で伸縮性に優れる。したがって、表側絶縁層31を含めて表側電極ユニット3全体が誘電層2の弾性変形に追従しやすい。これにより、センサ全体の柔軟性および耐久性が向上する。
【0081】
表側電極ユニット3において、帯状の表側電極層01X〜08Xは、誘電層2の全面に亘って配置されている。裏側電極ユニット4においても、帯状の裏側電極層01Y〜08Yは、誘電層2の全面に亘って配置されている。そして、表側電極層01X〜08Xと裏側電極層01Y〜08Yとの重複部分を利用して検出部Dが配置されている。このため、検出部Dを、誘電層2の全面に分散させて、広い領域における荷重分布を測定することができる。
【0082】
表側電極ユニット3は、表側基材30を有しており、表側ジャンパー配線層01x〜08x、表側絶縁層31、表側電極層01X〜08X、および表側保護層32は、表側基材30の下面側に形成されている。同様に、裏側電極ユニット4は、裏側基材40を有しており、裏側ジャンパー配線層01y〜08y、裏側絶縁層41、裏側電極層01Y〜08Y、および裏側保護層42は、裏側基材40の上面側に形成されている。したがって、表側基材30と裏側基材40との間に、それらを外側にして誘電層2を挟むだけで、容易に静電容量型センサ1を製造することができる。
【0083】
本実施形態の静電容量型センサ1の製造方法によると、スクリーン印刷法により、表側基材30の下面に、表側ジャンパー配線層01x〜08x、表側絶縁層31、表側電極層01X〜08X、および表側保護層32を容易にかつ寸法精度よく形成することができる。同様に、裏側基材40の上面に、裏側ジャンパー配線層01y〜08y、裏側絶縁層41、裏側電極層01Y〜08Y、および裏側保護層42を容易にかつ寸法精度よく形成することができる。また、スクリーン印刷法によると、表側ジャンパー配線層01x〜08x、裏側ジャンパー配線層01y〜08yなどを、様々な形状に形成しやすい。また、比較的高粘度の塗料を使用することができるため、塗膜厚さの調整が容易であると共に、引張弾性率が比較的大きい層の形成が容易である。
【0084】
<<第二実施形態>>
本実施形態のセンサシートの構成と第一実施形態の静電容量型センサの構成とを比較すると、表側電極層および裏側電極層の配置数、検出部の配置数、表側ジャンパー配線層および裏側ジャンパー配線層の配置数、表側ジャンパー配線層および裏側ジャンパー配線層の配線パターンなどが相違している。また、本実施形態のセンサシートの製造方法と第一実施形態の静電容量型センサの製造方法とは、同様である。また、本実施形態の静電容量型センサの製造方法と第一実施形態の静電容量型センサの製造方法とを比較すると、本実施形態の静電容量型センサの製造方法は、切り取り工程を有している。ここでは、主に、構成上の相違点について説明する。
【0085】
<センサシートの構成>
まず、本実施形態のセンサシートの構成について説明する。図6に、本実施形態のセンサシートの透過上面図を示す。図7に、図6のVII−VII方向断面図を示す。図8に、同センサシートの表側電極ユニットの分解斜視図を示す。図9に、同センサシートの裏側電極ユニットの分解斜視図を示す。なお、図6においては、裏側電極ユニットを点線で示す。また、図1図5と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0086】
図6図9に示すように、センサシート8は、誘電層2と、表側電極ユニット3と、裏側電極ユニット4と、コネクタ5と、を備えている。コネクタ5は、本発明の「取出部」の概念に含まれる。
【0087】
[表側電極ユニット3]
図8に示すように、表側電極ユニット3は、4本の表側ジャンパー配線層1x〜4xと、4本の表側電極層1X〜4Xと、を備えている。表側ジャンパー配線層1x〜4xは、本発明の「表側配線層」の概念に含まれる。表側絶縁層31には、4つの貫通孔310が穿設されている。貫通孔310は、本発明の「表側貫通孔」の概念に含まれる。4つの貫通孔310と、4本の表側電極層1X〜4Xと、は上下方向に対向している。図6に示すように、上側から見て、4つの貫通孔310は、左から2列目の裏側電極層2Y(コネクタ5に最も近い裏側電極層)に重複するように、前後方向に並んでいる。
【0088】
図8に示すように、4本の表側ジャンパー配線層1x〜4xは、表側絶縁層31の上面に配置されている。4本の表側電極層1X〜4Xは、表側絶縁層31の下面に配置されている。表側電極層1X〜4Xは、各々、左右方向に延在する帯状を呈している。表側電極層1X〜4Xは、前後方向に所定の間隔ずつ離間して、互いに平行に配置されている。
【0089】
表側ジャンパー配線層1x〜4xと、表側電極層1X〜4Xと、は貫通孔310を介して、電気的に接続されている。詳しくは、表側ジャンパー配線層1xは表側電極層1Xに、表側ジャンパー配線層2xは表側電極層2Xに、表側ジャンパー配線層3xは表側電極層3Xに、表側ジャンパー配線層4xは表側電極層4Xに、各々、電気的に接続されている。図6に黒点で示すように、上側から見て、表側接点(表側ジャンパー配線層1x〜4xと、表側電極層1X〜4Xと、の接点)は、貫通孔310の径方向内側に配置されている。
【0090】
[裏側電極ユニット4]
裏側電極ユニット4の構成は、表側電極ユニット3の構成と同じである。図9に示すように、裏側電極ユニット4は、4本の裏側ジャンパー配線層1y〜4yと、4本の裏側電極層1Y〜4Yと、を備えている。裏側ジャンパー配線層1y〜4yは、本発明の「裏側配線層」の概念に含まれる。裏側絶縁層41には、4つの貫通孔410が穿設されている。貫通孔410は、本発明の「裏側貫通孔」の概念に含まれる。4つの貫通孔410と、4本の裏側電極層1Y〜4Yと、は上下方向に対向している。図6に示すように、上側から見て、4つの貫通孔410は、前から1列目の表側電極層1X(コネクタ5に最も近い表側電極層)に重複するように、左右方向に並んでいる。
【0091】
図9に示すように、裏側電極層1Y〜4Yは、各々、前後方向に延在する帯状を呈している。裏側電極層1Y〜4Yは、左右方向に所定の間隔ずつ離間して、互いに平行に配置されている。
【0092】
裏側ジャンパー配線層1y〜4yと、裏側電極層1Y〜4Yと、は貫通孔410を介して、電気的に接続されている。詳しくは、裏側ジャンパー配線層1yは裏側電極層1Yに、裏側ジャンパー配線層2yは裏側電極層2Yに、裏側ジャンパー配線層3yは裏側電極層3Yに、裏側ジャンパー配線層4yは裏側電極層4Yに、各々、電気的に接続されている。図6に黒点で示すように、上側から見て、裏側接点(裏側ジャンパー配線層1y〜4yと、裏側電極層1Y〜4Yと、の接点)は、貫通孔410の径方向内側に配置されている。
【0093】
[コネクタ5]
図6に示すように、コネクタ5は、センサシート8の前側に配置されている。コネクタ5には、表側ジャンパー配線層1x〜4xと、裏側ジャンパー配線層1y〜4yと、が互いに絶縁を確保された状態で、電気的に接続されている。
【0094】
<検出部、表側検出経路、裏側検出経路>
図6に示すように、上側から見て、表側電極層1X〜4Xと、裏側電極層1Y〜4Yと、は格子状に並んでいる。表側電極層1X〜4Xと裏側電極層1Y〜4Yとの重複部分には、合計16個の検出部a(1,1)〜a(4,4)が設定されている。なお、検出部a(○,△)のうち、「○」は表側電極層1X〜4Xに、「△」は裏側電極層1Y〜4Yに、各々対応している。
【0095】
任意の検出部a(1,1)〜a(4,4)とコネクタ5との間には、表側検出経路が設定されている。表側検出経路は、少なくとも表側ジャンパー配線層1x〜4xを経由している。例えば、図6に太実線で示すように、検出部a(1,1)とコネクタ5との間には、表側電極層1Xの一部と表側ジャンパー配線層1xとを経由する、表側検出経路bが設定されている。
【0096】
同様に、任意の検出部a(1,1)〜a(4,4)とコネクタ5との間には、裏側検出経路が設定されている。裏側検出経路は、少なくとも裏側ジャンパー配線層1y〜4yを経由している。例えば、図6に太点線で示すように、検出部a(1,1)とコネクタ5との間には、裏側ジャンパー配線層1yだけを経由する、裏側検出経路cが設定されている。
【0097】
[感圧領域、不感領域]
表側電極層1X〜4Xと裏側電極層1Y〜4Yとが配置されているエリア(検出部a(1,1)〜a(4,4)が配置されているエリア)は、荷重を検出可能な感圧領域dである。一方、図6に一点鎖線ハッチングで示すように、表側電極層1X〜4Xと裏側電極層1Y〜4Yとが配置されていないエリア(コネクタ5と、表側ジャンパー配線層1x〜4xの一部と、裏側ジャンパー配線層1y〜4yの一部と、が配置されているエリア)は、荷重を検出不可能な不感領域eである。不感領域eは、感圧領域dを、面方向(上下方向に対して直交する方向)外側から、枠状に囲んでいる。
【0098】
<静電容量型センサの構成>
次に、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図10(a)〜図10(d)に、図6に示すセンサシートから切り取られたセンサ体(その1〜その4)を備える静電容量型センサの透過上面図を示す。なお、表側ジャンパー配線層1x〜4x、表側電極層1X〜4Xを実線で、裏側ジャンパー配線層1y〜4y、裏側電極層1Y〜4Yを点線で、表側接点および裏側接点を黒点で、各々示す。
【0099】
図10(a)に示すように、静電容量型センサ7は、センサシート8から切り取られた小四角形状のセンサ体fと、制御部6と、を備えている。センサ体fは、検出部a(1,2)と、コネクタ5と、検出部a(1,2)用の表側検出経路および裏側検出経路と、を備えている。制御部6は、コネクタ5に電気的に接続されている。制御部6は、感圧領域dにおける荷重分布を測定する。
【0100】
検出部a(1,2)用の表側検出経路は、表側ジャンパー配線層1xだけを経由している。検出部a(1,2)用の裏側検出経路は、裏側ジャンパー配線層2yだけを経由している。
【0101】
図10(b)に示すように、静電容量型センサ7は、センサシート8から切り取られた帯状のセンサ体fと、制御部6と、を備えている。センサ体fは、検出部a(1,1)〜a(1,4)と、コネクタ5と、検出部a(1,1)〜a(1,4)用の表側検出経路および裏側検出経路と、を備えている。
【0102】
検出部a(1,1)用の表側検出経路は、表側電極層1Xの一部と、表側ジャンパー配線層1xと、を経由している。検出部a(1,1)用の裏側検出経路は、裏側ジャンパー配線層1yだけを経由している。検出部a(1,2)用の表側検出経路および裏側検出経路は、図10(a)同様である。検出部a(1,3)用の表側検出経路は、表側電極層1Xの一部と、表側ジャンパー配線層1xと、を経由している。検出部a(1,3)用の裏側検出経路は、裏側ジャンパー配線層3yだけを経由している。検出部a(1,4)用の表側検出経路は、表側電極層1Xの一部と、表側ジャンパー配線層1xと、を経由している。検出部a(1,4)用の裏側検出経路は、裏側ジャンパー配線層4yだけを経由している。
【0103】
図10(c)に示すように、静電容量型センサ7は、センサシート8から切り取られた帯状のセンサ体fと、制御部6と、を備えている。センサ体fは、検出部a(1,2)〜a(4,2)と、コネクタ5と、検出部a(1,2)〜a(4,2)用の表側検出経路および裏側検出経路と、を備えている。検出部a(1,2)用の表側検出経路および裏側検出経路は、図10(a)同様である。検出部a(2,2)用の表側検出経路は、表側ジャンパー配線層2xだけを経由している。検出部a(2,2)用の裏側検出経路は、裏側電極層2Yの一部と、裏側ジャンパー配線層2yと、を経由している。検出部a(3,2)用の表側検出経路は、表側ジャンパー配線層3xだけを経由している。検出部a(3,2)用の裏側検出経路は、裏側電極層2Yの一部と、裏側ジャンパー配線層2yと、を経由している。検出部a(4,2)用の表側検出経路は、表側ジャンパー配線層4xだけを経由している。検出部a(4,2)用の裏側検出経路は、裏側電極層2Yの一部と、裏側ジャンパー配線層2yと、を経由している。
【0104】
図10(d)に示すように、静電容量型センサ7は、センサシート8から切り取られた階段状のセンサ体fと、制御部6と、を備えている。センサ体fは、検出部a(1,1)〜a(1,4)、a(2,1)〜a(2,3)、a(3,2)、a(3,3)、a(4,2)と、コネクタ5と、検出部a(1,1)〜a(1,4)、a(2,1)〜a(2,3)、a(3,2)、a(3,3)、a(4,2)用の表側検出経路および裏側検出経路と、を備えている。検出部a(1,1)〜a(1,4)用の表側検出経路および裏側検出経路は、図10(b)同様である。検出部a(2,2)、a(3,2)、a(4,2)用の表側検出経路および裏側検出経路は、図10(c)同様である。検出部a(2,1)用の表側検出経路は、表側電極層2Xの一部と、表側ジャンパー配線層2xと、を経由している。検出部a(2,1)用の裏側検出経路は、裏側電極層1Yの一部と、裏側ジャンパー配線層1yと、を経由している。検出部a(2,3)用の表側検出経路は、表側電極層2Xの一部と、表側ジャンパー配線層2xと、を経由している。検出部a(2,3)用の裏側検出経路は、裏側電極層3Yの一部と、裏側ジャンパー配線層3yと、を経由している。検出部a(3,3)用の表側検出経路は、表側電極層3Xの一部と、表側ジャンパー配線層3xと、を経由している。検出部a(3,3)用の裏側検出経路は、裏側電極層3Yの一部と、裏側ジャンパー配線層3yと、を経由している。
【0105】
検出部a(1,4)、a(4,2)は、各々、一部が切り取られている。制御部6は、検出部a(1,4)を構成する表側電極層1Xの一部、裏側電極層4Yの一部の電極面積に応じて、検出部a(1,4)の静電容量に関する電気量(例えば、電圧、電流など)を、補正する。同様に、制御部6は、検出部a(4,2)を構成する表側電極層4Xの一部、裏側電極層2Yの一部の電極面積に応じて、検出部a(4,2)の静電容量に関する電気量を、補正する。
【0106】
<センサシートおよび静電容量型センサの製造方法>
次に、本実施形態のセンサシートおよび静電容量型センサの製造方法について説明する。本実施形態のセンサシートの製造方法は、電極ユニット作製工程と配置工程とを有している。すなわち、本実施形態のセンサシートの製造方法と第一実施形態の静電容量型センサの製造方法とは、同様である。また、本実施形態の静電容量型センサの製造方法は、上記センサシートの製造方法と、切り取り工程と、を有している。切り取り工程においては、図6に示すセンサシート8から、図10(a)〜図10(d)に示すように、所望の形状等のセンサ体fを切り取る。なお、本実施形態の静電容量型センサ7の動きと第一実施形態の静電容量型センサの動きとは、同様である。
【0107】
<センサシート、静電容量型センサおよびそれらの製造方法の作用効果>
次に、本実施形態のセンサシート、静電容量型センサおよびそれらの製造方法の作用効果について説明する。本実施形態のセンサシート、静電容量型センサおよびそれらの製造方法と、第一実施形態の静電容量型センサおよびその製造方法の作用効果と、は構成が共通する部分については、同様の作用効果を有している。
【0108】
図10(a)〜図10(d)に示すように、センサ体fは、少なくとも一つの検出部a(1,1)〜a(4,4)と、コネクタ5と、当該検出部a(1,1)〜a(4,4)用の表側検出経路bおよび裏側検出経路c(図6参照)と、を備えている。このため、切り取り工程において、所定の形状等のセンサシート8(共用かつ定形のセンサシート8)から、任意の形状のセンサ体f、つまり静電容量型センサ7を、切り取ることができる。したがって、形状等が異なる複数の静電容量型センサ7が必要な場合であっても、所望の静電容量型センサ7の形状等に応じて、逐一、当該静電容量型センサ7専用の部材(例えば、印刷により静電容量型センサ7を作製する場合は印刷用の版、成形により静電容量型センサ7を作製する場合は成形用の金型など)を設計、作製する必要がない。すなわち、切り取り工程において、所望の静電容量型センサ7の形状等に応じて、センサシート8からセンサ体fを切り取るだけで済む。このため、静電容量型センサ7の製造コストを削減することができる。特に、少量多品種の静電容量型センサ7を製造する場合、あるいは静電容量型センサ7の試作品を製造する場合、製造コストを削減することができる。
【0109】
また、図6図9に示すように、本実施形態のセンサシート8によると、表側ジャンパー配線層1x〜4xは、貫通孔310を介して、上側から表側電極層1X〜4Xに接続されている。同様に、裏側ジャンパー配線層1y〜4yは、貫通孔410を介して、下側から裏側電極層1Y〜4Yに接続されている。このため、図10(a)〜図10(d)に示すように、切り取り後のセンサ体fにおいて、検出不可能な検出部a(1,1)〜a(4,4)が発生しにくい。したがって、切り取り工程における、センサ体fの切り取り形状の自由度を高くすることができる。
【0110】
また、図7図9に示すように、本実施形態のセンサシート8によると、表側絶縁層31を挟んで、表側ジャンパー配線層1x〜4xと、表側電極層1X〜4Xと、を上下方向に重複して配置することができる。同様に、裏側絶縁層41を挟んで、裏側ジャンパー配線層1y〜4yと、裏側電極層1Y〜4Yと、を上下方向に重複して配置することができる。このため、図6に示すように、センサシート8全体に占める不感領域eの割合(面積の割合)を小さくすることができる。すなわち、図10(a)〜図10(d)に示すように、切り取り後のセンサ体f全体に占める不感領域eの割合を小さくすることができる。
【0111】
また、図6に黒点で示すように、上側から見て、コネクタ5に最も近い表側電極層1Xに重複するように、4つの裏側接点は配置されている。並びに、上側から見て、コネクタ5に最も近い裏側電極層2Yに重複するように、4つの表側接点は配置されている。このため、表側ジャンパー配線層1x〜4x、裏側ジャンパー配線層1y〜4yを、コネクタ5に近接して配置することができる。したがって、図10(a)〜図10(d)に示すように、切り取り工程において、センサ体fを切り取る際に、表側ジャンパー配線層1x〜4x、裏側ジャンパー配線層1y〜4yが切断されにくい。よって、センサ体fの切り取り形状の自由度を高くすることができる。
【0112】
また、図10(d)に示すように、本実施形態の静電容量型センサ7によると、切り取り後のセンサ体fが、部分的に切り取られた検出部a(1,4)、a(4,2)を有する場合、制御部6は、検出部a(1,4)、a(4,2)の静電容量に関する電気量を、補正することができる。このため、荷重分布の検出精度を高くすることができる。
【0113】
また、誘電層2は、ウレタンフォーム製である。表側基材30、裏側基材40は、各々、PET製である。表側絶縁層31、裏側絶縁層41は、各々、ウレタンゴムを含んでいる。表側ジャンパー配線層1x〜4x、裏側ジャンパー配線層1y〜4y、表側電極層1X〜4X、裏側電極層1Y〜4Yは、各々、アクリルゴムを含んでいる。表側保護層32、裏側保護層42は、ウレタンゴム製である。このように、センサシート8を構成する部材は、発泡体、エラストマー、母材としてエラストマーを含む材料により、製造可能である。このため、センサシート8は柔軟である。したがって、切り取り工程において、刃物(カッター、ハサミなど)により、センサシート8を簡単に切断することができる。
【0114】
<<第三実施形態>>
本実施形態のセンサシートと、第二実施形態のセンサシートとの相違点は、表側接点および裏側接点が、全ての検出部に個別に配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0115】
図11に、本実施形態のセンサシートの透過上面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。また、表側電極層1X〜3X、表側ジャンパー配線層1x〜3xを実線で、裏側電極層1Y〜3Y、裏側ジャンパー配線層1y〜3yを点線で、表側接点および裏側接点を黒点で、各々示す。
【0116】
図11に示すように、表側ジャンパー配線層1xは、幹線部1x0と、3本の枝線部1x1〜1x3と、を備えている。幹線部1x0の一端は、コネクタ5に電気的に接続されている。枝線部1x1〜1x3は、幹線部1x0の他端から分岐している。枝線部1x1〜1x3は、幹線部1x0と、検出部a(1,1)〜a(1,3)と、を電気的に接続している。残りの表側ジャンパー配線層2x、3x、裏側ジャンパー配線層1y〜3yについても、同様である。このように、任意の単一の表側ジャンパー配線層1x〜3xは、複数の表側接点を介して、単一の表側電極層1X〜3Xに分岐接続されている。並びに、単一の裏側ジャンパー配線層1y〜3yは、複数の裏側接点を介して、単一の裏側電極層1Y〜3Yに分岐接続されている。
【0117】
任意の検出部a(1,1)〜a(3,3)と、コネクタ5と、の間には、表側ジャンパー配線層1x〜3xだけを経由する、表側検出経路が設定されている。同様に、任意の検出部a(1,1)〜a(3,3)と、コネクタ5と、の間には、裏側ジャンパー配線層1y〜3yだけを経由する、表側検出経路が設定されている。
【0118】
本実施形態のセンサシート8と、第二実施形態のセンサシートとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のセンサシート8によると、全ての検出部a(1,1)〜a(3,3)は、各々、表側ジャンパー配線層1x〜3xおよび裏側ジャンパー配線層1y〜3yに、直接、接続されている。このため、センサシート8からセンサ体fを切り取る際に、表側電極層1X〜3Xや裏側電極層1Y〜3Yが切断された場合であっても、当該センサ体fの検出部a(1,1)〜a(3,3)用の表側検出経路、裏側検出経路を確保しやすい。
【0119】
<<その他の構成>>
以上、本発明の静電容量型センサ、センサシートおよび静電容量型センサの製造方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0120】
電極ユニットにおける電極層およびジャンパー配線層の配置形態は、特に限定されない。すなわち、電極層を任意の大きさ、形状で配置して、ジャンパー配線層を、絶縁層を挟んで電極層の任意の部分に接続すればよい。そして、表裏方向において、誘電層を挟んで電極層が重複することにより、少なくとも一つの検出部を設定できればよい。上記実施形態においては、誘電層側から、電極層→ジャンパー配線層の順に配置した。しかし、電極層、ジャンパー配線層の積層順は逆でもよい。すなわち、誘電層側から、ジャンパー配線層→電極層の順で配置してもよい。上記実施形態においては、ジャンパー配線層を第一配線層および第二配線層からなる二層とした。しかし、ジャンパー配線層は、一層でも三層以上でも構わない。複数層にする場合、一層を導電性がより高い層に、残りの層を柔軟性がより高い層にすると、ジャンパー配線層の導電性を確保しつつ耐久性を向上させることができる。この場合、各層の積層順は限定されない。
【0121】
上記実施形態においては、基材に電極層などを形成して電極ユニットとした。しかし、誘電層に直接電極層などを形成して電極ユニットとしてもよい。すなわち、誘電層の表裏両面に、電極層、絶縁層、ジャンパー配線層などを形成して、電極ユニットとしてもよい。また、上記実施形態においては、電極ユニットに保護層を含めたが、保護層は必ずしも必要ではない。
【0122】
上記実施形態においては、電極層、絶縁層、ジャンパー配線層、および保護層を全てスクリーン印刷法により形成した。しかし、これらの形成方法は、スクリーン印刷法に限定されるものではない。インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、パッド印刷、リソグラフィーなどの他の印刷法や、転写法などにより形成してもよい。
【0123】
電極ユニットを構成する絶縁層は、破断伸び60%以上、引張永久歪み5%未満、体積抵抗率1.0×1010Ω・cm以上という物性を満足すれば、材質は特に限定されない。例えば、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリエステルエラストマーなどのエラストマーを含んで構成することができる。この場合、絶縁層形成用の塗料の粘着性、ひいては絶縁層の引張弾性率を調整して、印刷時における版への塗膜の貼り付きを抑制するという観点から、アンチブロッキング剤を配合することが望ましい。アンチブロッキング剤としては、酸化チタン粒子、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子などが挙げられる。アンチブロッキング剤の含有量は、エラストマーの100質量部に対して18質量部以上とすることが望ましい。一方、絶縁層の伸張性および相手材への密着性を考慮すると、アンチブロッキング剤の含有量は、エラストマーの100質量部に対して107質量部未満とすることが望ましい。100質量部以下、さらには80質量部以下とするとより好適である。
【0124】
伸縮を繰り返した場合の耐久性をより高くするという観点から、絶縁層の引張永久歪みは、4%以下、3%以下、さらには2.5%以下がより好適である。また、印刷時における版への塗膜の貼り付きを抑制するという観点から、絶縁層の引張弾性率は、10MPaより大きいことが望ましい。11MPa以上、さらには16MPa以上がより好適である。
【0125】
電極層は、柔軟で伸縮性を有するという観点から、エラストマーおよび導電材を含んで構成するとよい。エラストマーとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(ニトリルゴム)、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンなどが好適である。導電材としては、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金などからなる金属粒子、酸化亜鉛、酸化チタンなどからなる金属酸化物粒子、チタンカーボネートなどからなる金属炭化物粒子、銀、金、銅、白金、およびニッケルなどからなる金属ナノワイヤ、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、およびグラフェンなどの導電性炭素材料の中から、適宜選択すればよい。これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0126】
ジャンパー配線層も、柔軟で伸縮性を有するという観点から、エラストマーおよび導電材を含んで構成するとよい。エラストマーとしては、電極層と同様に、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンなどが好適である。導電材としては、電極層と同様に、金属粒子、金属酸化物粒子、金属炭化物粒子、金属ナノワイヤ、および導電性炭素材料の中から、適宜選択すればよい。これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0127】
例えば、ジャンパー配線層を二層の配線層から構成する場合、配線層の体積抵抗率や引張弾性率を異ならせることが望ましい。例えば、一方の配線層の自然状態(未伸張状態)の体積抵抗率を5×10−2Ω・cm以下とした場合、他方の配線層の自然状態の体積抵抗率をそれより大きく1×10Ω・cm以下とするなど、体積抵抗率に差を設けてもよい。この場合、二つの配線層における体積抵抗率の差は、5桁以下であることが望ましい。また、少なくとも一方の配線層の体積抵抗率は、伸張しても増加しにくいことが望ましい。例えば、当該配線層の引張弾性率は50MPa以下であり、自然状態に対する50%伸長時の体積抵抗率の変化は10倍以下であることが望ましい。こうすることにより、仮に伸張時に一方の配線層の電気抵抗が増加しても、あるいはクラックが発生して導通が断たれたとしても、体積抵抗率が増加しにくい他方の配線層を通して導通を確保することができる。このような特性を実現するためには、母材の種類、導電材の種類および配合量を、適宜調整すればよい。
【0128】
基材としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエチレンなどの樹脂フィルム、エラストマーシート、伸縮布などが好適である。保護層としては、柔軟性や引張永久歪みなどを考慮して、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンなどが好適である。なお、絶縁層、電極層、ジャンパー配線層などの材質は、電極ユニットごとに違っていてもよい。
【0129】
誘電層としては、比誘電率が比較的大きいエラストマーまたは樹脂を用いるとよい(発泡体を含む)。例えば、比誘電率が5以上(測定周波数100Hz)のものが好適である。このようなエラストマーとしては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレンなどが挙げられる。また、樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン(架橋発泡ポリスチレンを含む)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0130】
図6に示すセンサシート8の形状等は特に限定しない。また、センサシート8に、コネクタ5を配置しなくてもよい。この場合、表側ジャンパー配線層1x〜4x、裏側ジャンパー配線層1y〜4yの端部は、本発明の「取出部」の概念に含まれる。また、表側ジャンパー配線層1x〜4x専用の表側用コネクタと、裏側ジャンパー配線層1y〜4y専用の裏側用コネクタと、を別々に配置してもよい。この場合、表側用コネクタおよび裏側用コネクタが、本発明の「取出部」の概念に含まれる。また、センサシート8に、表側基材30、裏側基材40、表側保護層32、裏側保護層42のうち、少なくとも一つを配置しなくてもよい。
【0131】
表側電極層1X〜4X、裏側電極層1Y〜4Yの本数、形状等は特に限定しない。表側電極層1X〜4Xの本数と、裏側電極層1Y〜4Yの本数と、が異なっていてもよい。表側電極層1X〜4Xの形状等と、裏側電極層1Y〜4Yの形状等と、が異なっていてもよい。表側電極層1X〜4Xと裏側電極層1Y〜4Yとの交差方向は特に限定しない。任意の単一の表側ジャンパー配線層1x〜3xは、複数の表側電極層1X〜3Xに分岐接続されていてもよい。並びに、単一の裏側ジャンパー配線層1y〜3yは、複数の裏側電極層1Y〜3Yに分岐接続されていてもよい。
【0132】
検出部a(1,1)〜a(4,4)の配置数、形状等は特に限定しない。切断可能なセンサ体fの形状(切り取り後のセンサ体fの全ての検出部a(1,1)〜a(4,4)とコネクタ5との間に表側検出経路、裏側検出経路を確保できるように、センサシート8を切断できる形状)を示す切取線を、センサシート8の表面や裏面に、配置してもよい。なお、当該切取線は、表側電極層1X〜4X、表側ジャンパー配線層1x〜4x、裏側電極層1Y〜4Y、裏側ジャンパー配線層1y〜4yのうち、少なくとも一つを遮断している場合がある。
【0133】
図10(a)〜図10(d)に示すように、切り取り後のセンサ体fの外縁には、表側電極層1X〜4X、表側ジャンパー配線層1x〜4x、裏側電極層1Y〜4Y、裏側ジャンパー配線層1y〜4yのうち、少なくとも一つの切断跡が残っている場合がある。当該切断跡を観察することにより、当該センサ体fがセンサシート8から切り取られたことを、確認することができる。
【0134】
表側ジャンパー配線層1x〜4xを構成する層(第一配線層33、第二配線層34)の数は特に限定しない。単層でも、三層以上でもよい。裏側ジャンパー配線層1y〜4yについても同様である。
【0135】
本発明のセンサシートから切り出されたセンサ体fの用途は、特に限定しない。例えば、ロボットの所望の部分(アーム部など)に巻装することにより、巻装部分の荷重分布を測定することができる。また、インソールセンサとして靴底に敷設することにより、足裏の荷重分布を測定することができる。
【実施例】
【0136】
次に、電極ユニットを構成する絶縁層の実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
【0137】
<絶縁層の製造および物性測定>
まず、以下のA〜Jの10種類の絶縁層を製造した。
【0138】
[絶縁層A]
ウレタンゴムポリマー(日本ミラクトラン(株)製「ミラクトラン(登録商標)E385」)100質量部を溶剤のブチルカルビトールアセテートに溶解して、ウレタンゴム溶液を調製した。調製したウレタンゴム溶液に、アンチブロッキング剤の酸化チタン粉末(テイカ(株)製「JR−805」)54質量部を添加して撹拌し、絶縁層塗料Aを調製した。絶縁層塗料Aを基材のウレタンゴムシートの表面にスクリーン印刷し、塗膜を加熱硬化して絶縁層Aを製造した。
【0139】
[絶縁層B]
酸化チタン粉末の配合量を27質量部に変更して絶縁層塗料Bを調製した点以外は、絶縁層Aと同様にして絶縁層Bを製造した。
【0140】
[絶縁層C]
酸化チタン粉末の配合量を80質量部に変更して絶縁層塗料Cを調製した点以外は、絶縁層Aと同様にして絶縁層Cを製造した。
【0141】
[絶縁層D]
アンチブロッキング剤として、酸化チタン粉末に代えてシリカ粉末((株)アドマテックス製「アドマファイン(登録商標)SO−E3」)を18質量部配合して絶縁層塗料Dを調製した点以外は、絶縁層Aと同様にして絶縁層Dを製造した。
【0142】
[絶縁層E]
まず、アクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「ニポール(登録商標)AR42W」)100質量部と、充填剤のHAFカーボン(東海カーボン製「シースト3」)60質量部と、滑剤のステアリン酸(日油(株)製)1質量部および「グレック(登録商標)G−8205」(DIC(株)製)1質量部と、老化防止剤の4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(クロンプトン社製「ナウガード445」)2質量部と、加硫促進剤の1,3−ジ−o−トリルグアニジン(大内新興化学工業(株)製「ノクセラー(登録商標)DT」)2質量部と、架橋剤のヘキサメチレンジアミンカルバメート(デュポン社製「ダイアックNo.1」)0.6質量部と、をロール練り機にて混合し、アクリルゴム組成物を調製した。次に、調製したアクリルゴム組成物を、溶剤のブチルカルビトールアセテートに溶解して、アクリルゴム溶液を調製した。調製したアクリルゴム溶液に、酸化チタン粉末(同上)80質量部を添加して撹拌し、絶縁層塗料Eを調製した。絶縁層塗料Eを基材のウレタンゴムシートの表面にスクリーン印刷し、塗膜を加熱硬化して絶縁層Eを製造した。
【0143】
[絶縁層F]
まず、ポリエステルエラストマーポリマーの「エリーテル(登録商標)UE3400」(ユニチカ(株)製)45質量部および「アロンメルト(登録商標)PES360HUXM30」(東亜合成(株)製)55質量部と、架橋剤の「スミジュール(登録商標)L−75」(住化バイエルウレタン(株)製)5質量部と、を溶剤のブチルカルビトールアセテートに溶解して、ポリエステルエラストマー溶液を調製した。調製したポリエステルエラストマー溶液に、酸化チタン粉末(同上)100質量部を添加し、ビーズミルで撹拌して、絶縁層塗料Fを調製した。絶縁層塗料Fを基材のウレタンゴムシートの表面にスクリーン印刷し、塗膜を加熱硬化して絶縁層Fを製造した。
【0144】
[絶縁層G]
絶縁層Aを製造する際に調製したウレタンゴム溶液を、そのまま絶縁層塗料Gとして使用した点以外は、絶縁層Aと同様にして絶縁層Gを製造した。すなわち、絶縁層Gには、アンチブロッキング剤は配合されていない。
【0145】
[絶縁層H]
酸化チタン粉末の配合量を107質量部に変更して絶縁層塗料Hを調製した点以外は、絶縁層Aと同様にして絶縁層Hを製造した。
【0146】
[絶縁層I]
市販のポリエステル樹脂系のレジストインク(藤倉化成(株)製「ドータイト(登録商標)XB−3136」。以下、絶縁層塗料Iと称す。)を、基材のウレタンゴムシートの表面にスクリーン印刷し、塗膜を加熱硬化して絶縁層Iを製造した。
【0147】
[絶縁層J]
市販のポリエステル樹脂系のレジストインク(藤倉化成(株)製「ドータイトXB−101G」。以下、絶縁層塗料Jと称す。)を、基材のウレタンゴムシートの表面にスクリーン印刷し、塗膜を加熱硬化して絶縁層Jを製造した。
【0148】
次に、各々の絶縁層の物性を測定した。測定項目および測定方法は以下の通りである。
【0149】
[破断伸び]
JIS K6251:2010に規定される引張試験を行って、破断伸びを算出した。試験片にはダンベル状5号形を使用し、引張速度は100mm/minとした。
【0150】
[引張永久歪み]
JIS K6273:2006に規定される定伸長引張永久歪み試験を行って、引張永久歪みを算出した。試験片にはJIS K6251:2010に規定されるダンベル状5号形を使用した。試験片に与える伸びは50%、試験温度は室温、試験時間は30秒間とした。
【0151】
[引張弾性率]
JIS K7127:1999に規定される引張試験を行って、得られた応力−伸び曲線から引張弾性率を算出した。試験片にはタイプ2を使用し、引張速度は100mm/minとした。
【0152】
[体積抵抗率]
JIS K 6911:1995に規定される方法に基づいて体積抵抗率を測定した。体積抵抗率の測定は、直流電圧100Vを印加して行った。
【0153】
表1に、絶縁層の主な成分および物性を示す。表1中、原料の配合量の単位は質量部である。
【表1】
【0154】
表1に示すように、絶縁層A〜Fにおいては、アンチブロッキング剤の含有量が18質量部以上107質量部未満の範囲内である。このため、破断伸びは60%以上、引張永久歪みは5%未満、引張弾性率は10MPaより大きく、体積抵抗率は1.0×1010Ω・cm以上であった。一方、絶縁層Gにおいては、アンチブロッキング剤が配合されていない。このため、破断伸びは60%以上、引張永久歪みは5%未満、体積抵抗率は1.0×1010Ω・cm以上であったが、引張弾性率は10MPaになった。また、絶縁層Hにおけるアンチブロッキング剤の配合量は107質量部である。このため、引張弾性率は10MPaより大きく、体積抵抗率は1.0×1010Ω・cm以上であったが、破断伸びは57%、引張永久歪みは5%になった。また、絶縁層I、Jにおいては、母材が樹脂であり、アンチブロッキング剤が配合されていない。このため、破断伸びは60%以上、引張弾性率は10MPaより大きく、体積抵抗率は1.0×1010Ω・cm以上であったが、引張永久歪みは5%以上になった。
【0155】
<絶縁層を有する積層体の評価>
基材/導電層/絶縁層からなる積層体を製造し、耐久性を評価した。積層体の製造方法は以下の通りである。まず、基材である厚さ200μmのウレタンゴムシートの表面に導電層塗料をスクリーン印刷し、塗膜を加熱硬化して厚さ10μmの導電層を製造した。次に、導電層の表面に、絶縁層塗料をスクリーン印刷し、塗膜を加熱硬化して絶縁層を製造した。
【0156】
導電層塗料は、次のようにして調製した。まず、アクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「ニポールAR42W」)100質量部と、架橋剤のエチレンジアミン0.1質量部と、をロール練り機にて混合し、アクリルゴム組成物を調製した。次に、調製したアクリルゴム組成物を、ブチルカルビトールアセテートに溶解させて、アクリルゴム溶液を調製した。そして、調製したアクリルゴム溶液に、導電材のカーボンナノチューブ(昭和電工(株)製「VGCF(登録商標)」)20質量部および導電性カーボンブラック(ライオン(株)製「ケッチェンブラックEC300JD」)17質量部を添加して、撹拌した。導電層は、本発明における電極層またはジャンパー配線層に対応する。
【0157】
また、絶縁層塗料としては、上述した絶縁層塗料A〜Jを使用した。絶縁層の厚さは、絶縁層A〜Hについては40μm、絶縁層Iについては32μm、絶縁層Jについては28μmとした。
【0158】
得られた基材/導電層/絶縁層からなる積層体を打ち抜いて、JIS K6251:2010に規定されるダンベル状2号形の試験片を作製した。そして、試験片を長さ方向に繰り返し伸縮させる伸縮耐久試験を行って、絶縁層の剥がれの有無および導電層の電気抵抗の変化を調べた。伸縮耐久試験の方法は、以下の通りである。
【0159】
まず、試験片の長さ方向両端部に配置された導電層の露出部に、銅箔からなる端子を配置した。次に、端子に電気抵抗測定器を接続し、試験片の長さ方向両端部を一対のジグで挟持した。続いて、ジグの一方を固定し、他方を80mm/秒の速度で往復動させることにより、積層体を伸縮させた。最大伸長時の積層体の伸長率は50%(長さが自然状態の1.5倍になる状態。)、伸長回数は25000回とした。そして、試験後における絶縁層の剥がれの有無を目視で確認すると共に、試験前(自然状態)の電気抵抗と、試験後に伸長率50%で伸長した状態の電気抵抗と、を測定した。表2に、積層体の構成および評価結果を示す。表2中、積層体の番号は、絶縁層の番号に対応している。
【表2】
【0160】
表2に示すように、積層体A〜Gにおいては、絶縁層の破断伸びが60%以上、引張永久歪みが5%未満である。このため、伸縮を繰り返しても絶縁層の剥がれは生じず、導電層の電気抵抗もそれほど増加しなかった。一方、積層体Hにおいては、絶縁層の破断伸びが60%未満であり、引張永久歪みも5%である。このため、伸縮を繰り返すと絶縁層が剥がれ、積層体A〜Gと比較して、導電層の電気抵抗が増加した。また、積層体I、Jにおいては、絶縁層の破断伸びは60%以上であるが、引張永久歪みは5%以上である。このため、伸縮を繰り返すと絶縁層が剥がれ、積層体A〜Gと比較して、導電層の電気抵抗が大きく増加した。
【0161】
<絶縁層の耐ブロッキング性の評価>
次に、製造した絶縁層の耐ブロッキング性(粘着性)を評価した。評価方法は以下の通りである。絶縁層塗料をスクリーン印刷し、加熱硬化して製造した絶縁層を、室温下で24時間放置した。そして、絶縁層の表面を指触して、べたつきがない場合を耐ブロッキング性良好(表1中、○印で示す。)、べたつきがある場合を耐ブロッキング性不良(同表中、×印で示す。)、と評価した。表3に、評価結果を示す。表1と同様、表3における原料の配合量の単位は質量部である。
【表3】
【0162】
表3に示すように、絶縁層A〜F、H〜Jにおいては、引張弾性率が10MPaよりも大きい。このため、いずれも表面にべたつきがなく、耐ブロッキング性は良好であった。一方、絶縁層Gの引張弾性率は10MPaである。このため、絶縁層の表面にべたつきがあり、スクリーン印刷した場合に、他の絶縁層と比較して、塗膜が版に貼り付きやすかった。
【0163】
<まとめ>
絶縁層A〜Fの破断伸びおよび引張永久歪みの値は、本発明の範囲に含まれる。この点において、絶縁層A〜Fは、本発明の静電容量型センサを構成する絶縁層に含まれる。絶縁層A〜Fによると、耐ブロッキング性が良好で、積層体を構成した場合に耐久性に優れることが確認された。絶縁層Hの破断伸びおよび引張永久歪みの値は、本発明の範囲を満たさない。絶縁層I、Jの引張永久歪みの値は、本発明の範囲を満たさない。この点において、絶縁層H、I、Jは、本発明の静電容量型センサを構成する絶縁層に含まれない。よって、絶縁層H、I、Jによると、積層体を構成し、伸縮を繰り返した場合に充分な耐久性を得られなかった。絶縁層Gの破断伸びおよび引張永久歪みの値は、本発明の範囲に含まれる。この点において、絶縁層Gは、本発明の静電容量型センサを構成する絶縁層に含まれる。よって、絶縁層Gによると、積層体を構成した場合に耐久性に優れることが確認された。しかし、絶縁層Gの引張弾性率は、10MPaよりも大きい。このため、絶縁層Gの耐ブロッキング性は、充分ではないという結果になった。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明の静電容量型センサは、自動車の座席、車椅子、マットレス、カーペットなどに配置される柔軟な荷重センサとして用いることができる。また、人工皮膚、人の動きを検出するモーションキャプチャ、キーボードなどの情報入力デバイスとして用いることができる。なかでも、靴の中に配置して足圧分布を測定するセンサなどのように、センサの大きさや形状が制限される用途に好適である。
【符号の説明】
【0165】
1:静電容量型センサ、2:誘電層、3:表側電極ユニット、4:裏側電極ユニット、5:コネクタ(取出部)、6:制御部、7:静電容量型センサ、8:センサシート、30:表側基材、31:表側絶縁層、32:表側保護層、33:第一配線層、34:第二配線層、40:裏側基材、41:裏側絶縁層、42:裏側保護層、43:第一配線層、44:第二配線層、310:貫通孔(表側貫通孔)、410:貫通孔(裏側貫通孔)、01X〜08X:表側電極層、1X〜4X:表側電極層、01Y〜08Y:裏側電極層、1Y〜4Y:裏側電極層、01x〜08x:表側ジャンパー配線層(表側配線層)、1x〜4x:表側ジャンパー配線層(表側配線層)、1x0:幹線部、1x1〜1x3:枝線部、01y〜08y:裏側ジャンパー配線層(裏側配線層)、1y〜4y:裏側ジャンパー配線層(裏側配線層)、D:検出部、S:感圧領域、a:検出部、b:表側検出経路、c:裏側検出経路、d:感圧領域、e:不感領域、f:センサ体。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12