特許第6297758号(P6297758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6297758-自己検出型逆電流保護スイッチ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6297758
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】自己検出型逆電流保護スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H02H 11/00 20060101AFI20180312BHJP
   H02H 3/18 20060101ALI20180312BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H02H11/00 130
   H02H3/18
   H02J1/00 309P
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-539257(P2017-539257)
(86)(22)【出願日】2016年1月4日
(86)【国際出願番号】US2016012072
(87)【国際公開番号】WO2016122836
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2017年7月25日
(31)【優先権主張番号】14/606,746
(32)【優先日】2015年1月27日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】ジ、ホンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ドンウォン
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−096348(JP,A)
【文献】 特開2003−037493(JP,A)
【文献】 特開2001−141774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 11/00
H02H 3/18
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモート集積回路からの信号を受信するためのI/O端子と、
静電気放電ダイオードと、
前記静電気放電ダイオードを介して前記I/O端子に結合されたバッファ供給電圧ノードと、
電源レールおよび前記バッファ供給電圧ノードとの間に結合された逆電流保護(RCP)スイッチと、
電源レールにより供給された電源電圧から基準電圧を生成するように構成された電圧基準回路と、および
前記バッファ供給電圧ノード上で搬送されるバッファ供給電圧により電力が供給される制御回路と、ここにおいて、前記制御回路は、前記基準電圧が前記電源電圧より大きいという決定に応答して前記RCPスイッチを開放し、前記基準電圧が前記電源電圧未満であるという決定に応答して前記RCPスイッチを閉成するように構成される、を備えた、集積回路。
【請求項2】
前記電源レールに電力を供給するために前記電源電圧を受信するように構成された電源端子をさらに備えた請求項1の集積回路。
【請求項3】
前記RCPスイッチはPMOSトランジスタを備える、請求項1の集積回路。
【請求項4】
前記制御回路は前記PMOSトランジスタのゲートを駆動するように構成された出力信号を有するインバーターを備える、請求項3の集積回路。
【請求項5】
前記基準電圧が前記電源電圧より大きいという決定を行うために、および前記基準電圧が前記電源電圧未満であるという決定を行うために前記基準電圧を前記電源電圧と比較するように構成される比較器をさらに備えた、請求項1の集積回路。
【請求項6】
記比較器は前記電源電圧により電力供給されるように構成される、請求項5の集積回路。
【請求項7】
前記電圧基準回路は前記電源レールとキャパシタとの間に結合されたダイオード接続トランジスタを備える、請求項5の集積回路。
【請求項8】
前記電源レールに結合されたソースフォロワートランジスタをさらに備え、前記キャパシタはグラウンドとソースフォロワートランジスタのゲートとの間を結合する、請求項7の集積回路。
【請求項9】
ドレインが前記電源レールに結合された第2のダイオード接続トランジスタと、
前記第2のダイオード接続トランジスタのソースに結合された第1の端子を有する第1の抵抗と、
前記ソースフォロワトランジスタのソースに結合された第1の端子を有する第2の抵抗と、をさらに備え、
ここにおいて、前記比較器は、前記基準電圧が前記電源電圧より大きいかどうかを決定するために前記第1の抵抗に関する第2の端子における電圧を前記第2の抵抗の第2の端子における電圧と比較するように構成される、請求項8の集積回路。
【請求項10】
前記第の抵抗に関する抵抗値は前記第の抵抗に関する抵抗値より大きい、請求項9の集積回路。
【請求項11】
前記第1の抵抗の第2の端子は前記比較器の正入力に結合され、前記第2の抵抗の第2の端子は前記比較器の負入力に結合される、請求項9の集積回路。
【請求項12】
第1の電流で前記第2のダイオード接続トランジスタをバイアスするように構成された第1のカレントソースと、
前記第1の電流で前記ソースフォロワートランジスタをバイアスするように構成された第2のカレントソースと、をさらに備えた、請求項9の集積回路。
【請求項13】
前記第1のカレントソースと前記第2のカレントソースは各々カレントソーストランジスタを備え、前記集積回路はさらに前記カレントソーストランジスタを備えたカレントミラー構成において第3のダイオード接続トランジスタをさらに備える、請求項12の集積回路。
【請求項14】
バッファ供給電圧ノード上に搬送される電源電圧が第1の集積回路に関して放電される間、前記第1の集積回路においてバッファ供給電圧を電力供給するために前記バッファ供給電圧ノードに静電放電ダイオードを介して結合されたI/O端子における電圧信号をリモート集積回路から受信することと、
前記電源電圧の放電に応答して、前記バッファ供給電圧により電力供給される制御回路においてスイッチ開放制御信号を発生することと、および
前記スイッチ開放制御信号の発生に応答して、前記バッファ供給電圧を搬送するバッファ供給電圧ノードから前記電源電圧を搬送する電源レールを絶縁するためのスイッチを開放することと、を備えた方法。
【請求項15】
電力供給される電源レールに応答して前記スイッチを閉成することをさらに備えた、請求項14の方法。
【請求項16】
前記電源電圧が放電されるかどうかを決定するために前記電源電圧と容量保存基準電圧を比較することをさらに備えた、請求項14の方法。
【請求項17】
電源レールと、
ESDダイオードを介してI/O端子に結合されたバッファ供給電圧ノードを含む入/出力(I/O)バッファと、
前記バッファ供給電圧ノードと前記電源レールとの間に結合された逆電流保護(RCP)スイッチと、
源電圧から容量保存(capacitively-stored)基準電圧を発生するように構成された基準電圧回路と、および
前記基準電圧未満で放電する前記電源電圧に応答して前記RCPスイッチを開放する手段と、ここにおいて、前記手段は電力を受信するために前記バッファ供給電圧ノードに結合されている、を含む第1の集積回路と、および、
前記第1の集積回路の前記I/O端子に結合されたI/O端子を有するI/Oバッファを含む第2の集積回路と、を備えたシステム。
【請求項18】
電力管理集積回路(PMIC)をさらに備え、前記第1の集積回路は、前記電源レールに結合され、前記PMICから電力を受信するように構成される電力端子を含む、請求項17のシステム。
【請求項19】
前記第1の集積回路はベースバンド集積回路を備え、前記第2の集積回路はアプリケーションプロセッサを備えた、請求項17のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本願は、2015年1月27日に出願された米国特許出願番号第14/606,746号の出願日に対する優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
[0002]この出願は集積回路に関する逆電流保護に関し、特に、自己検出型逆電流スイッチ(self-sensing reverse current switch)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]スマートフォンのような近代の電子デバイスが複数の相互接続された集積回路を含むことは一般的である。例えば、スマートフォンはセンサおよびベースバンド回路のような他の集積回路とインタフェースするアプリケーションプロセッサを含むことができる。電力を節約するために、これらの種々の集積回路は、他の集積回路がノーマルモードの動作で動作を継続する間、一方の集積回路はディープスリープモードの動作においてパワーダウンされることができるように独立して動作されることも一般的である。集積回路のこの独立動作は電力を節約するけれども、逆電流発生の問題を提起する。
【0004】
[0004]逆電流問題をより良く理解するために、集積回路の入/出力(I/O)バッファに関する電源レールは典型的に、バッファのI/Oパッドまたは端子から内部バッファ電源レールに結合する静電気放電(ESD)ダイオードにより典型的に保護されるであろう。静電気放電がI/O端子上に正電圧の突然の印加を提示するなら、ESDダイオードはフォワードバイスとなり、静電荷を電源レールに安全に放電する。しかし、I/O端子に相互接続する他の集積回路が依然として動作している間にI/O端子を含む対応する集積回路がパワーダウンされたと仮定する。このさらなる集積回路は、I/O端子に結合するリード線(lead)を正電圧に維持するデフォルトモードを有することができる。したがって、ESDダイオードは、I/O端子に結合された電源レールがリード線上の正の電圧(マイナスフォワードバイアスEDSダイオードに関するしきい値電圧降下)に放電されるであろう。従って、ソースがバッファ電源レールに結合された集積回路内のPMOSトランジスタは、ゲートが集積回路のオフ状態により放電されるので導通するであろう。これは電力を消費するだけでなく集積回路の次の電源を入れたときに誤動作または故障を引き起こす。
【0005】
[0005]逆電流問題を解決するために、さまざまなアプローチが開発された。例えば、アプリケーションプロセッサのような集積回路は、システム内の他の集積回路の状態に気づくようにプログラムされることができる。他の集積回路がパワーダウンされたなら、プロセッサは、パワーダウンされた集積回路上のI/O端子に結合するいかなるリード線も放電するであろう。しかし、そのようなアプローチはユーザにそのようにプロセッサをプログラムしなければならない負担を負わす。他のアプローチにおいて、相互接続された集積回路がパワーダウンしたとき信号をゲートするために集積回路間の信号経路内に外部コンポーネントも配置されることができる。そのような外部コンポーネントは製造コストを上昇させる。代替的に、集積回路は、集積回路がパワーダウンされるときスイッチオフされるヘッドスイッチを有するように構成されることができる。これは、典型的にさらなる端子と制御信号を必要とし、製造コストを上昇させ設計を複雑にさせる。
【0006】
[0006]したがって、この分野における改良された逆電流保護回路の必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
[0007]電源レールと入/出力(I/O)バッファ電源ノードとの間に結合されたRCPスイッチを含む第1の集積回路のための逆電流保護(RCP)回路が提供される。バッファ電源ノードは、リモート集積回路により駆動されるI/O端子にESDダイオードを介して結合する。電源レール上を搬送される電源電圧が放電されるまたはコラプス(collapsed)されるディープスリープモードに第1の集積回路がある間リモート集積回路は電圧信号でI/O端子を駆動し続けることができる。次にESDダイオードはバッファ電源ノードをチャージするようにフォワードバイアスされる。バッファ電源ノードの充電から生じる何等かの逆電流を生じる問題(reverse-current-caused problems)を消去するために電源電圧の放電に応答してRCPスイッチを開放するように構成される。電源レールが電力供給されるノーマル動作の期間に、RCP回路は、電源レールをI/Oバッファ電源ノードに結合するためにRCPスイッチを閉成する。
【0008】
[0008]電源電圧の放電を検出するために、RCP回路は基準電圧を発生するために電源電圧により充電されるキャパシタを有する基準電圧回路を含む。電源電圧がディープスリープモードでコラプス(collapsed)されるとき、基準電圧回路内の容量保存(capacitive storage)は、基準電圧が電源電圧より大きくなるようにさせる。RCP回路内の制御回路は、RCPスイッチをスイッチオフ(解放)することにより電源電圧より大きくなる基準電圧に応答する。制御回路は、電源電圧が基準電圧より大きいノーマルモードの動作の期間にRCPスイッチをスイッチオン(閉成)する。制御回路は、それがディープスリープモードで電力供給が維持されるようにおよびRCPスイッチをオフ状態に維持するように電力を受信するためのバッファ電源ノードに結合される。
【0009】
[0009]結果として得られるRCP回路はコンパクトで低電力である。さらに、制御信号を受信することに関してさらなる端子を必要とせず、またリモート集積回路のいかなる再プログラミングまたは入れ替え(retooling)も必要としない。これらのおよびさらなる有益な特徴は例示実施形態の以下の詳細な記載に関してよりよく理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]図1は本開示の実施形態に従う逆電流保護回路の回路図である。
図2】[0011]図2図1の逆電流保護回路を含むシステムの回路図である。
図3】[0012]図3は本開示の実施形態に従う逆電流保護回路に関する動作方法に関するフローチャートである。
【0011】
[0013]本開示の実施形態およびそれらの利点は以下の詳細な説明を参照することにより最もよく理解される。図の1つまたは複数において例示される同様のエレメントには同様の参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0014]理想ダイオードとして作用するRCPスイッチを有する逆電流保護(RCP)回路が提供される。RCPスイッチは、保護された集積回路上の1つまたは複数の入/出力バッファに関するパワーレール上に配置される。RCPスイッチは理想ダイオードとして作用するので、保護された集積回路のノーマル動作の期間にパワーレールが電力供給されるとスイッチオン(閉成)される。ディープスリープモードの期間にパワーレールがパワーダウンされるなら、保護された集積回路がパワーダウンされる間パワーオンを維持するリモート集積回路からライブ(live)電圧信号を受信することができるように、逆電流スイッチはスイッチオフ(解放)する。この態様において、I/Oバッファ内の静電気放電ダイオードは、RCPスイッチを介した絶縁のために保護された集積回路に関する内部サプライレールが放電されたままであるけれども、パワーオンされた集積回路から正の電圧信号を受信する端子によりフォーワードバイアスされることができる。従って、リモート集積回路(複数の場合もある)は保護された集積回路に関する電力状態に関して完全に依存しない(agnostic)ことができる。したがって、リモート集積回路のいかなる再プログラミングも必要としない。上述した一般的な背後電力(back-power)保護回路に反して、制御信号、さらなるピンまたは外部ヘッドスイッチは必要ない。いくつかの例示実施形態を以下に述べる。
【0013】
[0015]例示逆電流保護(RCP)回路100が図1に示される。この実施形態において、RCP回路100は入/出力バッファ電源ノード110と電源レール105との間に結合されたPMOS RCPスイッチトランジスタ115を含む。内部電源レール105は電力管理集積回路(PMIC)のような外部ソースから電源電圧を受信する電力端子(図示せず)に結合する。バッファ電源ノード110はパッドまたはピンのような入/出力(I/O)端子145にESDダイオード140を介して結合する。上述したように、ESDダイオード140は、外部集積回路によってI/O端子145が充電されている間内部電源電圧はグラウンドに放電するのでフォワードバイアスされることができる。ESDダイオード140のこのフォワードバイアスにもかかわらず、RCPスイッチトランジスタ115は理想ダイオードとして作用し、I/O端子145の充電が電源レール115を充電することを防止する。この有利な理想ダイオード作用(behavior)を制御するために、RCPスイッチトランジスタ115は、電力が電源レール105からではなく、バッファ電源ノード110上で搬送される電圧から得られるインバーター135によりそのゲート電圧が制御される。この態様において、インバーター135は電源レール105が放電されるときでさえもRCPスイッチトランジスタ115のゲートを充電するように依然として電力供給されることができる。通常動作の期間に、電源レール105は充電されるけれども、インバーター135は導通状態にあるようにRCPスイッチトランジスタ115のゲートをグラウンドする。電源レール105上を搬送される電源電圧が最小の損失(一般には、PMOSトランジスタはストロング(strong)バイナリ(binary)1をわたす)でバッファ電源ノードに結合することができるようにRCPスイッチトランジスタ115がPMOSトランジスタであることは有利である。しかしながら、代替実施形態において、RCPスイッチトランジスタ115を形成するためにNMOSトランジスタが使用されてもよいことが理解されるであろう。したがって、以下の議論はRCPスイッチトランジスタ115が一般性を損なうことのない(without loss of generality)PMOSトランジスタであると仮定する。RCPスイッチトランジスタ115のnウェル120は、電源レール105が放電され、外部集積回路が端子145を電力供給するときRCPスイッチトランジスタ115のソースとそのnウェル(n-well)120との間のp−n接合がフォワードバイアスされるのを防止するためにバッファ電源ノード110に結合される(tied to)。
【0014】
[0016]RCP回路100内の比較回路125は、RCP回路100(保護された集積回路)を含む集積回路に関するパワーダウンモード動作において生じるであろうような電源レール105が放電されるときを検出するように機能する。この検出を可能にするために、電源レール105に結合された基準電圧回路130は基準電圧(Vref)を発生する。基準電圧回路130はドレインとゲートが電源レール105に結合された、ダイオード接続(diode-connected)NMOSトランジスタM6を含む。ESD保護を提供するために、トランジスタM6のゲートはESD抵抗R3を介して電源レール105に結合することができる。保護された集積回路のノーマル動作の期間に、内部電源レール105は電源電圧VDDに充電される。したがって、ダイオード接続トランジスタM6はそのソースがVDD−Vtに充電されるようなダイオードとして機能する。ここで、Vtはダイオード接続トランジスタM6に関するしきい値電圧である。基準電圧回路130はまた、ノーマル動作期間にVDD−Vt電圧に充電されるようにダイオード接続トランジスタM6のソースとグラウンドとの間を結合するキャパシタCを含む。ダイオード接続トランジスタM6のソースはソースフォロワーNMOSトランジスタM1のゲートを駆動する。ソースフォロワートランジスタM1はそのドレインが電源レール105に結合される。抵抗RはソースフォロワートランジスタM1のソースとカレントソースNMOSトランジスタM5のドレインとの間を結合する。ノーマル動作の期間に、ソースフォロワートランジスタM1のソースはそのゲート電圧マイナスそのしきい値電圧Vtに等しい。したがって、ソースフォロワトランジスタM1のソースは、ノーマル動作の期間VDD−2Vtに等しい。
【0015】
[0017]ダイオード接続NMOSトランジスタM2はそのドレインおよびゲートが内部パワーレール105に結合される。ESD保護を提供するために、トランジスタM2のゲートは抵抗R1を介して内部パワーレール105に結合することができる。他の抵抗RはトランジスタM2のソースとNMOSカレントソーストランジスタM4のドレインとの間を結合する。カレントソーストランジスタM4とM5はダイオード接続されたNMOSトランジスタM3とカレントミラー構成にある。したがって、トランジスタM3のゲート/ドレインはトランジスタM4およびM5のゲートを結合する。トランジスタM3のソースはグラウンドに結合するのに対してそのドレイン/ゲートは抵抗R2を介して内部電源レール105に結合する。
【0016】
[0018]ノーマルモード動作の期間に、トランジスタM3は、電源電圧VDD対抵抗R2に関する抵抗値の比に実質的に等しい電流Iを導通させる。したがって、カレントソーストランジスタM4およびM5は、トランジスタM3とのカレントミラー構成により同じ電流Iでそれぞれの負荷(それぞれトランジスタM2およびM1)をバイアスする。したがってトランジスタM4のドレインは(VDD−Vt)−I*Rに等しくなるのに対してトランジスタM5のドレインは(VDD−2Vt)−I*Rに等しくなる。カレントソーストランジスタM4に関するドレイン電圧は比較器125の正入力で受信される。同様に、カレントソーストランジスタM5に関するドレイン電圧は比較器125の負入力で受信される。従って、ノーマル動作の期間に、トランジスタM4に関するドレイン電圧はしきい値電圧VtだけトランジスタM5のドレイン電圧よりも高い。したがって、比較器125からの出力信号はハイになりインバーター135はノーマルモードで必要であるようにRCPスイッチトランジスタ115をスイッチオンするためにそのゲートを接地し、それにより電源レール105はバッファ電源ノード110に結合される。しかし、ミスマッチ、ノイズ、および他の予測できない変化(vagaries)が比較器125への入力電圧間の関係に影響を及ぼす可能性があることに留意する必要がある。ノーマルモード動作期間中にRCPスイッチトランジスタ115がオンのままであることを保証するために、ソース−フォロワートランジスタM1のソースに結合された抵抗Rはさらなる抵抗Roffsetと直列にされることができる。代替実施形態において、抵抗RおよびRoffsetは、ダイオード接続トランジスタM2のソースに結合された残りの抵抗Rに関する抵抗値より十分に大きな抵抗値を有する単一抵抗により置き換えることができる。したがって、ノーマルモード動作期間中RCPスイッチトランジスタ115がオンのままであることを保証するためにトランジスタM5に関するドレイン電圧は、VDD−2Vt−I*(R+Roffset)に等しくなるであろう。さらに、比較器125は、ノーマルモード動作期間中にRCPスイッチトランジスタ115がスイッチオンされることをさらに確実にするために相対的に低いしきい値電圧を有するように構成されることができる。
【0017】
[0019]ノーマルモード動作がディープスリープモードに遷移した後電源電圧VDDがコラプスされる(collapsed)と、電源電圧VDDがグラウンドの方へ放電するが依然として比較器125に電力を供給することができる(例示の簡明さのために、電源レール105への比較器125の電力結合は図1には示されていない)。放電期間中に、基準電圧回路130内のキャパシタCに蓄えられた電荷は結果的にトランジスタM4のドレイン電圧より高いトランジスタM5のドレイン電圧を駆動するであろう。したがって、比較器125はその出力をロウに駆動するので、インバータ135は、基準電圧Vrefが電源レール105に関する電圧よりも大きくなることに応答してRCPスイッチトランジスタ115をシャットオフするようにそのゲート電圧を駆動する。レイル電圧は完全に放電された状態になると、比較器125を駆動するための電力はなくなるが、その出力信号は放電し続けるのでそれは問題ではない。結果として得られる逆電流スイッチ保護は、さらなる端子または外部で発生された制御信号を必要としないので、きわめて有利である。さらに、単一のRCP回路100が複数のI/Oバッファを保護することができる。
【0018】
[0020]一実施形態において、インバーター135は基準電圧未満に放電する電源電圧に応答してRCPスイッチを開放する手段を備えるとみなされることができ、この手段は、電力を受信するためにバッファ電源ノードに結合される。集積回路の例示システムを以下に述べる。
【0019】
[0021]RCP回路100を内蔵する保護された集積回路205を含むシステム200が図2に示される。システム200において、保護された集積回路205は外部アプリケーションプロセッサ(AP)ホスト集積回路210とインタフェースするモデムプロセッサ(MDM)を備える。しかしながら、RCP回路100は逆電流保護を必要とする集積回路のいかなるコレクション(collection)にも適用されることができる。MDM205内の保護されたI/OバッファはAPホスト210内の対応するGPIOバッファ225とインタフェースする汎用I/O(GPIO)バッファ220である。有利に、APホスト210はRCP回路100の動作に関してソフトウエア変更を必要としない。したがって、1つまたは複数のGPIOバッファ225は電源電圧VDDがMDM205においてコラプスされる間出力信号をハイに駆動することができる。RCP回路100はバッファ供給ノード110上の結果として得られた高電圧から電源レール105を絶縁するように機能する。電源レール105は、電力管理集積回路(PMIC)215により駆動される電力端子230を介して電力が供給されることができる。逆電流スイッチに関する動作の方法を以下に述べる。
【0020】
[0022]図3は本開示の一実施形態に従う逆電流保護回路に関する動作の例示方法に関するフローチャートである。方法は、第1の集積回路に関する電源電圧が放電される間実行される動作300を含み、第1の集積回路内にバッファ供給電圧を電力供給するためにリモート集積回路から電圧信号を受信することを備える。図1のRCP回路100内の電源レール105上に電源電圧VDDが放電される間にバッファ電力供給ノード110においてアサートされた(asserted)電圧信号を受信することは動作(act)300の一例である。この方法はまた、動作300内の電源電圧の放電に応答して行われる動作305を含む。動作305はバッファ供給電圧により電力供給される回路においてスイッチ開放制御信号を発生することを備える。RCPスイッチトランジスタ115をスイッチオフするためにインバーター135からの出力信号の充電は動作305の一例である。最後に、方法は、スイッチ開放信号の発生に応答して実行され、バッファ供給電圧を搬送するバッファ供給電圧ノードから電源電圧を搬送する電源レールを絶縁するためにスイッチを開放することを備える動作310を含む。RCPカレントスイッチトランジスタ115のスイッチングオフは動作310の一例である。
【0021】
[0023]これまでに当業者が理解するようにおよび手元の特定のアプリケーションに応じてこの発明の精神と範囲から逸脱することなく本開示の装置の使用方法、構成、装置、および材料内でおよびに対して多くの修正、置換および変形が可能である。これを踏まえて、本開示の範囲はここに例示し記載した特定の実施形態に限定されるべきではなく、それらは単なる例示にすぎず、むしろ以下に添付されたクレームの範囲およびそれらの機能的均等物に完全に相応すべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
電源レールおよびバッファ電源ノードとの間に結合された逆電流保護(RCP)スイッチと、
電源レールにより供給された電源電圧から基準電圧を生成するように構成された電圧基準回路と、
バッファ電源ノード上で搬送されるバッファ電源電圧により電力が供給される制御回路と、ここにおいて、前記制御回路は、前記基準電圧が前記電源電圧より大きいという決定に応答して前記RCPスイッチを開放し、前記基準電圧が前記電源電圧未満であるという決定に応答して前記RCPスイッチを閉成するように構成される、
を備えた、集積回路。
[C2]
前記基準電圧が前記電源電圧より大きいという決定を行うために、および前記基準電圧が前記電源電圧未満であるという決定を行うために前記基準電圧を前記電源電圧と比較するように構成される比較器をさらに備えたC1の集積回路。
[C3]
前記RCPスイッチはPMOSトランジスタを備える、C1の集積回路。
[C4]前記制御回路は前記PMOSトランジスタの前記ゲートを駆動するように構成された出力信号を有するインバーターを備える、C3の集積回路。
[C5]
前記バッファ電源ノードに結合された入/出力バッファをさらに備えた、C1の集積回路。
[C6]
前記電源レールに電力を供給するための電力を受信するように構成された電力端子をさらに備えた、C1の集積回路。
[C7]
前記電圧基準回路は前記電源レールとキャパシタとの間に結合されたダイオード接続トランジスタを備える、C2の集積回路。
[C8]
前記電源レールに結合されたソースフォロワートランジスタをさらに備え、前記キャパシタはグラウンドとソースフォロワートランジスタのゲートとの間を結合する、C7の集積回路。
[C9]
ドレインが前記電源レールに結合された第2のダイオード接続トランジスタと、
前記第2のダイオード接続トランジスタのソースに結合された第1の端子を有する第1の抵抗と、
前記ソースフォロワトランジスタのソースに結合された第1の端子を有する第2の抵抗と、ここにおいて、前記比較器は、前記基準電圧が前記電源電圧より大きいかどうかを決定するために前記第1の抵抗に関する第2の端子における電圧を前記第2の抵抗の第2の端子における電圧と比較するように構成される、
をさらに備えた、C8の集積回路。
[C10]
前記比較器は前記電源電圧により電力供給されるように構成される、C2の集積回路。
[C11]
前記第1の抵抗に関する抵抗値は前記第2の抵抗に関する抵抗値より大きい、C9の集積回路。
[C12]
前記第1の抵抗の第2の端子は前記比較器の正入力に結合され、前記第2の抵抗の第2の端子は前記比較器の負入力に結合される、C9の集積回路。
[C13]
第1の電流で前記第2のダイオード接続トランジスタをバイアスするように構成された第1のカレントソースと、
前記第1の電流で前記ソースフォロワートランジスタをバイアスするように構成された第2のカレントソースと、
をさらに備えた、C9の集積回路。
[C14]
前記第1のカレントソースと前記第2のカレントソースは各々カレントソーストランジスタを備え、前記集積回路はさらに前記カレントソーストランジスタを備えたカレントミラー構成において第3のダイオード接続トランジスタをさらに備える、C13の集積回路。

[C15]
電源電圧が第1の集積回路に関して放電される間、前記第1の集積回路においてバッファ供給電圧を電力供給するためにリモート集積回路から電圧信号を受信することと、
前記電源電圧の放電に応答して、前記バッファ供給電圧により電力供給される制御回路においてスイッチ開放制御信号を発生することと、
スイッチ閉成信号の発生に応答して、前記バッファ供給電圧を搬送するバッファ供給電圧ノードから前記電源電圧を搬送する電源レールを絶縁するためのスイッチを開放することと、
を備えた方法。
[C16]
電力供給される電源電圧に応答して前記スイッチを閉成することをさらに備えた、C15の方法。
[C17]
前記電源電圧が放電されるかどうかを決定するために前記電源電圧と容量記憶基準電圧を比較することをさらに備えた、C15の方法。
[C18]
電源レールと、
ESDダイオードを介してI/O端子に結合されたバッファ供給電圧ノードを含む入/出力(I/O)バッファと、
前記バッファ供給電圧ノードと前記電源レールとの間に結合された逆電流保護(RCP)スイッチと、
前記電源電圧から容量保存(capacitively-stored)基準電圧を発生するように構成された基準電圧回路と、および
前記基準電圧未満で放電する前記電源電圧に応答して前記RCPスイッチを開放する手段と、ここにおいて、前記手段は電力を供給するために前記バッファ電源ノードに結合されている、
を含む第1の集積回路と、および、
前記第1の集積回路の前記I/O端子に結合されたI/O端子を有するI/Oバッファを含む第2の集積回路と、
を備えたシステム。
[C19]
電力管理集積回路(PMIC)、ここにおいて前記第1の集積回路は前記電源レールに結合され、前記PMICから電力を受信するように構成される電力端子を含む、
をさらに備えたC18のシステム。
[C20]前記第1の集積回路はベースバンド集積回路を備え、前記第2の集積回路はアプリケーションプロセッサを備えた、C20のシステム。
【要約】
電源レールとバッファ電源ノードとの間に結合されたRCPスイッチを含む逆電流保護(RCP)回路が提供される。バッファ電源ノード上のバッファ供給電圧により電力供給される制御回路は、電源レール上を搬送される電源電圧の放電に応答してRCPスイッチを開放するように制御する。
【選択図】図1
図1
図2
図3