特許第6297777号(P6297777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297777
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】鞍状のチップを有する穿刺装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/151 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   A61B5/14 300D
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-522815(P2012-522815)
(86)(22)【出願日】2010年7月30日
(65)【公表番号】特表2013-500126(P2013-500126A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】US2010002139
(87)【国際公開番号】WO2011014260
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2013年7月17日
【審判番号】不服2016-10416(P2016-10416/J1)
【審判請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】61/213,936
(32)【優先日】2009年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド シフ
(72)【発明者】
【氏名】アキレッシュ スリダラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン アルバート
【合議体】
【審判長】 福島 浩司
【審判官】 三崎 仁
【審判官】 信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−136302(JP,A)
【文献】 特開2005−305158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/15-5/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺装置とともに使用するためのチップであって、
外周縁を有する基部と、
前記基部から上方へ延び、患者の皮膚と整合する鞍状の末端表面を有する壁であって、該末端表面が、−15度から−20度までの間の小さい方のサドル角度と、45度から60度までの間の大きい方のサドル角度とを有する壁と、
前記チップを完全に貫通し、前記患者の皮膚を刺すための穿刺装置のランセットが通過するようにチップ内に形成された開口と、
を含む鞍状のチップ。
【請求項2】
前記開口は、円形である請求項1に記載の鞍状のチップ。
【請求項3】
前記開口は、楕円形である請求項1に記載の鞍状のチップ。
【請求項4】
前記外周縁は、円形である請求項1に記載の鞍状のチップ。
【請求項5】
前記外周縁は、楕円形である請求項1に記載の鞍状のチップ。
【請求項6】
患者の皮膚と整合する鞍状の末端表面を有するチップであって、該末端表面が−15度から−20度までの間の小さい方のサドル角度と、45度から60度までの間の大きい方のサドル角度とを有するチップと、
前記チップを移動可能に収容するプレッシャースリーブアセンブリと、を含み、
前記プレッシャースリーブアセンブリは、
筐体と、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能なプレッシャースリーブと、
前記筐体と前記プレッシャースリーブとの間に接続されたばねと、
前記筐体に一体に固定されたランセットであって、前記プレッシャースリーブが前記第1の位置にある場合、覆われ、前記プレッシャースリーブが前記第2の位置にある場合、前記チップの前記鞍状の前記末端表面を通じて露出されるランセットと、を含む穿刺装置。
【請求項7】
前記チップは、該チップの動きが前記プレッシャースリーブを動かすように、前記プレッシャースリーブに接続される請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項8】
前記ランセットは、前記筐体に取外し可能に接続される請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項9】
前記ばねは、前記プレッシャースリーブを前記第1の位置に戻す請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項10】
楕円形の開口は、前記ランセットが通過する前記チップ内に形成される請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項11】
円形の開口は、前記ランセットが通過する前記チップ内に形成される請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項12】
前記穿刺装置は、グルコース監視デバイスによって収容される請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項13】
前記末端表面は、円形断面を有する請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項14】
前記末端表面は、楕円形断面を有する請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項15】
前記筐体は、前記チップに向かい合う平面の表面を有し、前記チップに対し加圧する場合、前記穿刺装置に安定性をもたらす請求項6に記載の穿刺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(a)および第119条(e)に基づいて、内容全体が参照により本明細書の一部を構成する2009年7月30日に出願された米国特許仮出願第61/213,936号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、使用者が穿刺された部位から血液を「ミルク(milk)」する必要のない穿刺装置に関する。より詳細には、本発明は、概ね、創傷から血液を圧出させるための鞍状チップを有する穿刺装置に関する。さらに詳細には、本発明は概ね、チップの中心の方へ皮膚を集めて穿刺された部位から血液を容易に圧出させる穿刺装置向けの鞍状チップに関する。
【背景技術】
【0003】
血糖値を自己監視するには、使用者は、個別の量の毛細管血を(通常は指先から)摘出し、摘出した血液を使い捨ての要素上へ配置して分析する必要がある。血液の摘出は通常、穿刺し、穿刺された部位を引き続き「ミルキング(milking)」して、分析に十分な量の血液を圧出させることによって実現される。使用者が穿刺によって指に皮膚の開口を設けた後、指は「ミルク」され、すなわち、揉んだり締め付けたりして開口から採血する。
【0004】
電気機械的センサの血液量の要件はマイクロリットル未満のレベルまで低下したが、それでもなお、使用者は通常、センサを起動させるのに十分な血液を圧出させるために、穿刺された部位を「ミルク」する必要がある。「ミルキング」プロセスは、血糖測定を得るタスクに他の複雑なステップおよびレベルを加える。
【0005】
典型的な穿刺装置100を図1に示す。ノーズ部分104は、末端部に、患者の皮膚を押さえ付ける表面168を有する。解放部材138によって作動されるとき、ノーズ部分104内に形成されたノーズオリフィス184を、ランセットスタイレットが通過する。ランセットスタイレットの位置の表示マークは、透光性レンズ115によって覆われた窓112を通じて見える。しかし、ある実施例によれば、透光性レンズ115は省略される。ノーズ部分104の周りで調整カラー106を回転させて、所望の浸入深さを設定することができる。調整カラー106上の隆起または刻み目114により、調整カラーの回転を容易にする。ノーズ部分104には、本体アセンブリ136の末端端部228が接続される。本体アセンブリ136の基端部230には、つまみキャップ122が配置される。図1に示す穿刺装置100の組立ておよび動作については、全体として参照により本明細書の一部を構成する権利者が同一である2003年5月6日に出願された米国特許第第6,558,402号明細書(特許文献1)に記載されている。
【0006】
穿刺された部位を「ミルク」する必要をなくそうとするデバイスが、現在存在する。たとえば、BayerのVaculance(登録商標)というデバイスは、穿刺した後に真空にして皮膚を上方へ膨らませて、血液をよりよく圧出させる。AbbottのSoft−Tact(商標)という他のデバイスは、穿刺前後両方で真空にして皮膚を引き伸ばし、血液をよりよく圧出させる。しかし、これらの真空デバイスは、指以外の使用だけに限られている。したがって、使用者が穿刺された部位を「ミルク」して血液を圧出させる必要のない、使用者の指先で使用可能な穿刺装置が必要とされている。
【0007】
さらに、真空にするには、真空デバイスと使用者の皮膚との間を封止するのに十分な表面積を必要とする。指先などの局部解剖学上均一ではない表面上に真空を作るのは困難である。通常、使用者は、必要な封止をうまく実現するための支持として平坦な表面を使用する。したがって、穿刺された部位の周りの封止または穿刺装置を支持するための平坦な表面を必要としない穿刺装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,558,402号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0240119号明細書
【特許文献3】米国特許第7,192,405号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一面によれば、穿刺装置は、不必要な手動またはデバイス依存の操作なしで十分な量の血液を迅速にもたらす。
【0010】
本発明の他の面によれば、穿刺装置は、使用者が穿刺装置を取り外して穿刺された部位を手動で「ミルキング」することを必要とせず血液を圧出させる。
【0011】
本発明の他の面によれば、穿刺装置は、穿刺された部位の中心の方へ皮膚を動かす鞍状のチップと、最小閾値の力で圧縮するプレッシャースリーブとを有する。
【0012】
本発明の実施例による穿刺装置は、使用者が不必要な手動またはデバイス依存の操作なしで十分な量の血液を迅速に得ることができる簡単なデバイスおよび方法を提供する。穿刺装置のチップに下向きの圧力が簡単に加えられ、使用者は、穿刺後に血液を手動で圧出させるために穿刺装置を取り外す必要がない。穿刺装置は、穿刺された部位の中心の方へ皮膚を集めるような形状のチップを有し、最小閾値の力で圧縮するプレッシャースリーブと結合される。
【0013】
上述の目的は、穿刺装置とともに使用するためのチップを提供することによって達成され、チップは、周縁を有する基部と、基部から上方へ延び、患者の皮膚と整合する実質的に鞍状の末端表面を形成する壁とを含む。開口がチップを完全に貫通する。
【0014】
上述の目的はまた、患者の皮膚と整合する実質的に鞍状の末端表面を有するチップと、チップを移動可能に収容するプレッシャースリーブアセンブリとを含む穿刺装置を提供することによって達成される。プレッシャースリーブアセンブリは、筐体と、第1の位置と第2の位置との間で移動可能なプレッシャースリーブとを含む。筐体とプレッシャースリーブの間に、ばねが接続される。筐体にランセットが一体に固定され、したがって、ランセットは、プレッシャースリーブが第1の位置にあるとき、覆われ、プレッシャースリーブが第2の位置にあるときはチップの実質的に鞍状の末端表面を通って露出される。
【0015】
上述の目的は、また、採血方法を提供することによって達成される。穿刺装置のチップの末端表面は、穿刺部位で患者の皮膚と整合する。チップの末端表面は、実質的に鞍状である。チップの鞍状の末端表面に針を通し、穿刺部位で患者の皮膚を穿刺する。
【0016】
本発明の上述その他の目的、利点、および顕著な特徴は、添付の図面と併せて本発明の例示的な実施例を開示する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0017】
本発明の様々な実施例の上述の利益および他の利点は、本発明の例示的な実施例の以下の詳細な説明および添付の図面からより明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】穿刺装置の斜視図である。
図2】チップが実質的に鞍状である本発明の例示的な実施例に従う穿刺装置の斜視図である。
図3】小さい方のサドル角度が約15度である穿刺装置用の楕円形断面を有する鞍状のチップの斜視図である。
図4】大きな方のサドル角度が約45度である図3のチップの他の斜視図である。
図5】楕円形を有するチップの開口を示す図3のチップの上面図である。
図6】チップの開口が実質的に円形である穿刺装置用の鞍状のチップの他の例示的な実施例の斜視図である。
図7】チップの開口が実質的に円形である穿刺装置用の鞍状のチップの他の例示的な実施例の斜視図である。
図8図6および図7におけるチップの上面図である。
図9】急勾配の円形のチップを見せる穿刺装置のための鞍状のチップの他の例示的な実施例の斜視図である。
図10】急勾配の円形のチップを見せる穿刺装置のための鞍状のチップの他の例示的な実施例の斜視図である。
図11図9および図10におけるチップの上面図である。
図12】急勾配の楕円形チップを見せる穿刺装置のための鞍状のチップの他の例示的な実施例の斜視図である。
図13】急勾配の楕円形チップを見せる穿刺装置のための鞍状のチップの他の例示的な実施例の斜視図である。
図14図12および13におけるチップの上面図である。
図15図3図14において示される例示的なサドル設計に関連する様々な寸法表である。
図16】メッシュが図2図14における鞍状のチップに対応する指の面上に作られた局所解剖学上のメッシュを有する指モデルである。
図17】x方向の指先の面の端から端までの角度を計算するために使用されるメッシュ上の様々な面を示すものであって、これらの面相互間の複数の角度が大きい方のサドル角度に対応するものである。
図18図16に見られる複数の面を作るために使用されるメッシュ上の複数の線を示す。
図19】Y方向の指先の面の端から端までの角度を計算するために使用される複数の線および複数の面を示し、これらの面相互間の複数の角度が小さな方のサドル角度に対応するものである。
図20図18に示される複数の線に対するX−Z平面の複数の角度の表である。
図21図19に示される複数の線に対するY−Z平面の複数の角度の表である。
図22】使用者が指先で下向きの力を加える前における本発明の例示的な実施例に従う穿刺装置の図である。
図23】使用者が指先で下向きの力を加えた後における図22の穿刺装置の図である。
図24】血液発生量について図15に指定されたチップの幾何形状を使用することの効果を示すチャートである。
図25図3図14の例示的な鞍状のチップについての発生した血液量の表である。
図26】プレッシャースリーブアセンブリおよび楕円形断面を有する鞍状のチップを使用し、穿刺前だけの加圧と、穿刺前後の加圧とを比較したチャートである。
図27】本発明の他の例示的な実施例に従って実質的に鞍状の末端表面を有するチップを含む血糖測定装置の斜視図である。
図28】本発明の他の例示的な実施例に従って実質的に鞍状の末端表面を有するチップを含む穿刺装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面全体にわたって、同一の参照数字は、同一の部分、構成要素、および構造を指すということである。
【0020】
本明細書に開示する本発明の例示的な実施例は、「ミルキング(milking)」の必要をなくす穿刺装置をもたらす。チップの幾何形状は、下向きの圧力を簡単に加えることによって、血糖測定に必要とされる必要な量の血液を引き出すように設計される。この圧力は、穿刺前もしくは穿刺後、または、穿刺前後両方で加えられ得る。複数の実験的な試験が行われ、前述の様々な加圧状態の利点を確認した。
【0021】
図2図22、および、図23に示されるように、本発明の例示的な実施例による穿刺装置11は、チップ41と、プレッシャースリーブアセンブリ31とを含む。穿刺装置11は、創傷部位の下の毛細血管床を立ち上がらせることによって、わずかな創傷から血液を圧出させる。毛細血管床は、2つの相補型の装置、すなわち、チップ41およびプレッシャースリーブアセンブリ31によって立ち上げられる。チップ41は、透明であっても、不透明であってもよい。透明なチップにより、使用者は、血液の発生量を目視で検出でき、付加的な圧力が血液の発生量を増大させるために必要であるかどうかを確認することができる。
【0022】
チップ41は、指51の皮膚に接触し、穿刺された部位を取り囲む指先の面上で皮膚を隆起させる。チップ41の末端表面42は、所定の直径内に指先の一部分を収容する鞍状を有する。また、チップは、穿刺された部位の中心の方へ皮膚を隆起させる傾斜した内部を有する。穿刺された部位の周りで皮膚を集め、それによって、穿刺された部位から血液を容易に圧出させる様々な鞍状の幾何形状および傾斜した内部が、図3図14に示される。したがって、本発明の例示的な実施例による鞍状のチップは、指先以外の部位を穿刺するために使用可能とされる。
【0023】
プレッシャースリーブアセンブリ31は、鞍状のチップ41と嵌り合い、筐体37内に圧縮ばね35を含む。鞍状のチップ41が使用者の指51の面上に配置される場合、それから、使用者は、プレッシャースリーブ33を押し下げ、それによって、付加的な皮膚を上方へ隆起させる。圧縮ばね35は、任意の寸法で作られ得る。例えば、2ポンド(8.9ニュートン)の力で完全に圧縮するばねを使用することができる。したがって、穿刺前に使用者が加えなければならない最小の力は、2ポンド(8.9ニュートン)である。穿刺後、使用者は、解放し、所望量の血液が光学的、電気的、または機械的に測定され得るまで何回も、プレッシャースリーブ33に圧力を再び加え得る。皮膚がチップの内側の角度と合うように穿刺前に使用者に最小の力を加えることを要求することにより、それによって、毛細血管床を立ち上がらせる。また、圧力が皮膚を引き伸ばし、それによって、従来の穿刺によって作られるよりも大きな創傷をもたらし、ならびに、穿刺された部位から血液を容易に圧出させる。
【0024】
ランセット21は、使用後に穿刺装置全体を使い捨てできるように、穿刺装置11と一体に形成され得る。代替的に、ランセット21は、使用後にランセット21のみを取り外して新たなランセットと交換するように、穿刺装置11内に取外し可能に配置されてもよい。
【0025】
図22および図23に示されるように、鞍状のチップ41がプレッシャースリーブアセンブリ31のプレッシャースリーブ33に接続される。鞍状のチップ41およびプレッシャースリーブ33は、プレッシャースリーブアセンブリ31の筐体37に摺動可能に接続される。圧縮ばね35は、プレッシャースリーブ33と筐体37の内面との間に配置される。従来のランセット21は、図22に示されるように、ばね35が圧縮されていない場合、針23は鞍状のチップ41を通って露出されないように、プレッシャースリーブ33内に配置される。図23に示されるように、使用者の指51が鞍状のチップ41に十分な下向きの圧力を加えた場合、鞍状のチップ41およびプレッシャースリーブ33は下方へ動き、ばね35を圧縮する。図5における開口43のような開口が、ランセット21をそれを通じて通過させるようにチップ41を完全に貫通している。下向きの圧力が加えられた場合、ランセットおよび針は動かず、それによって、図22および図23に示されるように、鞍状のチップ41を通って針23を露出させ、使用者の指51を穿刺するように、針23を含むランセット21は一体に固定されている。
【0026】
鞍状のチップ41の様々な幾何形状が、図3図14に示されている。鞍状のチップの第1の例示的な実施例が、図3〜5に示されている。チップ41は、基部91と、基部91から上方へ延び、患者の皮膚と整合する実質的に鞍状の末端表面42を形成する壁93とを有する。開口43は、チップ41を完全に貫通する。
【0027】
鞍状のチップの等角図が、図3および4に示され、それぞれ、X−Z平面およびY−Z平面内のチップの角度を示す。図15における表に詳述されるように、X−Z(小さい方)平面、および、Y−Z(大きい方)平面内の角度は、それぞれ、約15度および45度である。図5は、チップが楕円形の開口43および楕円形の外周縁45を有する鞍状のチップ41の上面図である。しかし、本発明は、図面および表に示す様々な角度および幾何形状に限定されるものではない。鞍状のチップは、指先の面および指球と合い、そのチップの非対称形は、大部分の指球の非対称形と合う。
【0028】
鞍状のチップ61の第2の例示的な実施例が、図6図8に示される。鞍状のチップの等角図が、図6および図7に示され、それぞれX−Z平面およびY−Z平面におけるチップの角度を示す。図15の表に詳述されるように、X−Z(小さい方)平面およびY−Z(大きい方)平面における角度は、それぞれ、約20度および60度である。図8は、チップが実質的に円形の開口63および実質的に円形の外周縁65を有する鞍状のチップ61の上面図である。
【0029】
鞍状のチップ71の第3の例示的な実施例が、図9図11に示される。鞍状のチップの等角図が、図9および図10に示され、それぞれ、X−Z平面およびY−Z平面におけるチップの角度を示す。図15の表に詳述されるように、X−Z(小さい方)平面およびY−Z(大きい方)平面における角度は、それぞれ、約15度および45度である。図11は、チップが実質的に円形の開口73および実質的に円形の外周縁75を有する鞍状のチップ71の上面図である。
【0030】
鞍状のチップ81の第4の例示的な実施例が、図12図14に示される。鞍状のチップの等角図が、図12および13に示され、それぞれ、X−Z平面およびY−Z平面におけるチップの角度を示す。図15の表に詳述するように、X−Z(小さい方)平面およびY−Z(大きい方)平面における角度は、それぞれ、約20度および60度である。図14は、チップが楕円形の開口83および楕円形の外周縁85を有する鞍状のチップ81の上面図である。
【0031】
最大長さ約1インチ、幅約0.5インチ(1.27cm)、および深さ約0.4インチ(1.016cm)を有する人間の指先のモデルを作るために240面の個々の表面を有する多角形の手のモデルが、使用された。指の様々な表面に投影され、様々な鞍状のチップの実験的な試験で使用される領域の周りに配置されるメッシュ(mesh)を作るためにそのモデルが使用された。図16において、メッシュ領域の長さは、図15の表に挙げた4つのチップの最大外径の値にほぼ等しい約0.5インチ(1.27cm)である。
【0032】
そのメッシュは、X−Z平面およびY−Z平面における指のトポロジーにおける角度変動を評価するために使用された。図17に示されるように、複数の面が、その相互間の角度を測定するためにそのメッシュの中心および縁部に沿って作られた。指先のメッシュは、右手の薬指から作り出されたものである。したがって、大多数の右利きの糖尿病患者が代表的に自身を穿刺する箇所に対して通常とは「逆となる側」である。
【0033】
図17における平面201は、指先における「最上部」の複数の点を通り、中心である。図18における垂直の線は、X−Z平面内の角度を画定するために引き続き、使用される平面を画定するように明示される。これらの測定値については、図20の表にまとめられている。図19における複数の水平線は、Y−Z平面における角度を画定するために引き続き使用される平面を画定するように明示される。これらの測定値については、図21の表にまとめられている。図20および21の表に示されるデータは、メッシュの長さおよび幅にわたって得られた120を超える角度関係の平均値である。
【0034】
これらの結果は、これらの測定値の平均値が、図15における表に指定された範囲内に入ることを示し、すなわち、Y−Z平面内の角度が約45度以上60度以下の間であること、そして、X−Z平面内の角度が約15度以上20度以下の間であることを示す。また、これらの結果は、人間の指先の非対称性を示す。また、そのチップは、人間の指先と合致させ、力を不均一に加えるように、非対称形に設計され得る。
【0035】
図24および図25における表は、チップの実験的な試験により得られたデータを示す。被験者は、各チップで(従来の穿刺装置に接続されたもの)不特定量の下向きの力を加え、自身を穿刺した(33ゲージのランセットで)。それから、さらに3秒間にわたって下向きの力を加えた。その結果としての穿刺された部位における血液発生量が、採取され、1μLの毛細管を使用して測定された。これらの結果は、図3図5に示される楕円形の開口を有する鞍状のチップが最大の血液量を発生させたことを示す。楕円形の開口は、半径方向に非対称形な部分内の皮膚を捕らえ、したがって、穴をあけた部位を取り囲む皮膚に対して圧力を不均一に加える。
【0036】
プレッシャースリーブの設計は、使用者が、穿刺前に少なくとも2ポンド(8.9ニュートン)の力を上部に加えることを必要とする。この最小の力の印加に失敗すると、ランセットが指先に入り込むことを妨げる。
【0037】
実験的研究が、穿刺前だけの加圧による血液発生量が穿刺前後両方の加圧による血液発生量と等しいか、または、それよりも大きい血液発生量をもたらすかどうかを確認するために着手された。図26に示されるように、穿刺前後両方の加圧は、穿刺前だけの加圧によって得られる量よりもより多くの量の血液をもたらした。穿刺後の加圧は、ばねが完全に圧縮されたプレッシャースリーブの1つのポンプ(pump)からなる。これは、2次加圧の値が少なくとも2ポンド(8.9ニュートン)であったことを意味する。しかし、各使用者によって加えられた力の平均値は、2ポンド(8.9ニュートン)の力を超えるという特徴がなかった。これらの結果は、穿刺前後両方の加圧が、血液発生量を促進することを明白に示す。
【0038】
チップの他の例示的な実施例が、図6図14に示される。チップの他の例示的な実施例において変更される様々なパラメータの中には、サドルの大きい方の角度および小さい方の角度を含む。表面積、指先に接触するチップの部分、ならびに、チップの内径および外径は、他の例示的な実施例のそれぞれにおいて、一定に保たれる。サドル角度の変動は、人間の指先の違いに現れる。様々なチップの例示的な実施例の寸法の例は、図15における表に示される。
【0039】
サドルの大きい方の角度および小さい方の角度を変更することに加えて、嵌り合う表面の表面積、形状、および整合性のようなチップの他のパラメータは、変更され得る。さらに、チップで使用される物質は、均一である必要はない。バリアブルコンプライアンス(variable compliance)を有する材料から作製されるチップは、穿刺された部位からの血液の摘出を容易にすることができる。
【0040】
増大または減少されたばね定数(剛性)の圧縮ばねが、プレッシャースリーブアセンブリにおいて使用され得る。固有値をもった圧縮ばねが、穿刺前後両方に使用者が加えなければならない最小の力を決定するが、圧縮ばねは、皮膚に加えることができる最大の力を制限しない。
【0041】
本発明の他の例示的な実施例においては、図27に示されるように、血糖計101は、鞍状のチップ141を有する。血糖計101(異なるチップを有する)の詳細な説明は、全体が参照により本明細書の一部を構成し、2005年10月27日に米国特許出願公開第2005/0240119号明細書(特許文献2)として公開された権利者が同一である米国特許出願第11/106,728号明細書においてもたらされる。血糖計101は、好都合に片手で使用できるように構成された装置本体110と、試験片ポート120と、装置本体110のその端部に配置されたランセットデバイス130とを含む。それによって、ランセットデバイス130によって摘出された血液滴を、試験片ポート120内の試験片(破線で示す)上に直ちに付着可能とされる。取外し可能なカバー140は、ランセットの交換を可能にし、また、試験片ポート120内へ試験片を好都合に容易に装着するための大きな差込口部145をもたらす。装置本体110の側面のトリガーボタン150により、穿刺中に快適に位置決めすることができる。トリガーボタン150は、当業者には知られるように、使用者によって押下された場合のように、トリガーボタン150に力が作用した場合、ランセットを作動させるように、装置本体110内のランセットデバイス130のランセット機構と機械的に係合されている。装置本体110の筐体における両側および下部のアーミングスライド160は、デバイスの裏面の方へ動かされた場合、ランセットデバイス130の穿刺機構を作動状態にする。アーミングスライド160の配置が、装置本体110の外側の寸法を可能な限り小さく保つ。筐体170は、複数の試験片を含む試験片バイアル175を収容し、片手でバイアルを開けることができる。装置本体110は、試験片を処理する血糖計180と、筐体170の下部に配置され電子ペン型の注射器または他のデバイスとのデータ交換のためのデータコネクタ(不図示)と、をさらに含む。血糖計180は、表示窓182と、複数の計器操作ボタン、即ち、複数のコントロール184とをさらに含むことができる。筐体170は、装置本体110から試験片バイアルを取り外すことなく、試験片バイアル175のラベルの試験片のロット番号の読み取りを可能にする窓(不図示)をさらに含むことができる。これらの複数の構成要素を単一の装置本体110に組み合わせることによって、その装置は、より少ない試験ステップですみ、血糖値を試験するために限られた位置、あるいは、理想的な位置とは言えない位置でさえ、装置をより使いやすくする。鞍状のチップ141は、そのような血糖計101とともに使用することに限定されるものではなく、全体が参照により本明細書の一部を構成し権利者が同一であるDeNuzzioらの米国特許第7,192,405号明細書(特許文献3)に記載されているように、任意の適当な血糖計内へ組み込むことができる。
【0042】
本発明の他の例示的な実施例では、図28に示されるように、穿刺装置200は、実質的に鞍状である末端表面268を有するチップ204を含む。解放部材138を押すことによってトリガー機構を作動させたとき、チップ204内の開口284により、ランセットが通過することができる。穿刺装置200の組立ておよび動作は、図1を参照して上述した穿刺装置100のもの、および全体として参照により本明細書の一部を構成し、権利者が同一である2003年5月6日に出願された米国特許第6,558,402号明細書(特許文献1)に記載されているものと実質的に同様である(チップ204を除く)。
【0043】
上述の実施例および利点は、例示にすぎず、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。様々な変更、代替、および変形は、当業者にとって明らかであり、添付の特許請求の範囲により画定される本発明の範囲およびそれらの均等物に入ることを意図する。
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