特許第6297785号(P6297785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297785
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】寸法測定のための携帯用機器
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/02 20060101AFI20180312BHJP
   G01B 3/20 20060101ALI20180312BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G01B21/02 H
   G01B3/20 101B
   G01B21/00 C
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-76957(P2013-76957)
(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-221934(P2013-221934A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】12164005.6
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511100914
【氏名又は名称】テサ・エスアー
【氏名又は名称原語表記】TESA SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・ビセルクス
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3172851(JP,U)
【文献】 中国実用新案第201503242(CN,U)
【文献】 特開平8−193848(JP,A)
【文献】 特開平7−27501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00− 5/30
G01B21/00−21/32
G01D11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置センサ、目盛り、その内部容積を画定する水密筐体を含む、寸法測定のための携帯用機器であって、
前記位置センサが、前記目盛りに対して移動されることが可能で、前記目盛りに対するその位置の示度を提供し、
内部容積の中に、電子ディスプレイ手段と、前記位置センサの位置に基づく示度をディスプレイ手段上に表示できるようにする処理回路と、が取り付けられ、
前記筐体が、ディスプレイ手段を読み取ることを可能とし、処理回路およびディスプレイ手段を取り囲む、透明材料の成形部品を含み、上部成形不透明層および/または金属板によって少なくとも部分的に覆われている、携帯用機器。
【請求項2】
前記位置センサが、水密筐体の内部容積内にある非接触センサであって、前記目盛りの線形または角度位置に高感度である、請求項1記載の携帯用機器。
【請求項3】
前記処理回路および/または前記ディスプレイ手段および/または前記位置センサが、前記内部容積を水密にするように、筐体に固定されたプリント回路基板上に取り付けられる、請求項1記載の携帯用機器。
【請求項4】
電子回路を含む着脱可能カバーによって水密な方法で閉鎖された交換可能電源のための区画を含み、筐体が、前記着脱可能カバーを水密にする継ぎ手を一体化した上部成形層によって、少なくとも部分的に覆われている、請求項1記載の携帯用機器。
【請求項5】
筐体が、制御ボタンが通過できるようにするための開口部を含み、前記ボタンを一体化し、前記開口部を水密にする上部成形不透明層によって、少なくとも部分的に覆われている、請求項1記載の携帯用機器。
【請求項6】
前記目盛りが、スライドノギスの長手シャフトと固定的に結合され、前記筐体が、長手シャフトに沿って長手方向にスライドするように配置されたスライド上に固定される、スライドノギスを構成する、請求項1記載の携帯用機器。
【請求項7】
前記目盛りが、前記筐体に対して可動式のフィーラと固定的に結合する、マイクロメータを構成する、請求項1記載の携帯用機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法測定のための携帯用機器、とりわけ電子機器、たとえばスライド式ノギス、マイクロメータ、コンパレータ、プラグゲージ、あるいは、寸法の測定および表示のための電子回路を設けた、および液体またはダストの飛散をうける工業環境で運用することが可能な任意の測定機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スライド式ノギスおよびその他の寸法測定のための携帯用機器は、普通、機械加工部品の寸法を測定、比較、および検査するための機械作業場で用いられる。これらの機器は、切削液およびかなりのレベルのダストの飛散をうけがちな、困難なことが多い環境において精密な測定値を供給しなければならない。
【0003】
特定の基準、たとえば例として、異物および液体に対するそれらの耐性に関連する保護クラスに従って電気および電子デバイスを再編成する規格IEC60529が、環境条件に対するこれらの機器の許容範囲を定量化するのに用いられる。保護指標IP67は、たとえば、ダストに対して、および1メートルの深さまでの浸漬の影響に対して完全な程度に保護されているデバイスの特性を示す。
【0004】
公知の技術において、これらのレベルの保護は、液体および異物に敏感な要素を取り囲む水密resp.気密筐体によって達成される。これは、たとえばゴム継ぎ手、Oリング、接着接合などによって達成される。さらにまた、筐体は通常、液体および異物粒子にとっての潜在的なアクセスポイントを提供する、ボタン、ディスプレイ、バッテリへのアクセス等のためのいくつかの開口部を含む。これらすべての開口部は、継ぎ手または接着接合によって、水密resp.気密に作られなければならない。
【0005】
ディスプレイを読み取るための透明ウィンドウを作ることは、水密resp.気密機器が作られるときに、とりわけ困難を引き起こす。これらのウィンドウは、通常、筐体上に接着または溶接された透明樹脂薄板で作られている。ウィンドウ−筐体接合は、しかしながら、衝撃、変形、または溶媒によって繰り返される侵入により撓むことがあり、密閉性の損失につながる。
【0006】
ますます、機械作業場の人々は、さらなる処理のため、または保存のために、測定された寸法をコンピュータ、プリンタ、または別のデバイスへ伝送することが可能なデータインタフェースを有する測定機器を用いている。この分野では、使用は、たとえばRS232、RS422、またはUSB規格による有線タイプの伝送インタフェースからなり、液体およびダストに対する保護を同様に必要とする筐体上のコネクタを含む、それらはほぼすべての設備およびコンピュータによって受け入れられる。
【0007】
携帯用測定機器は、無線通信インタフェースを有することも公知である。この解決策は、データコネクタを省略できるようにするが、用いられるプロトコルと互換性のあるデバイスのみと通信でき、バッテリ消費を増加させる。
【0008】
これら公知の構造の実施は、機器の部品および組み立て工程の増大につながる。そのため、よりシンプルおよび経済的な構造を有する水密resp.気密測定機器が必要とされている。
【0009】
スライド式ノギスおよびその他同様の測定機器は、作業場で用いられるときに、潤滑剤および溶媒を含むさまざまな液体の飛散をうける。そのため、これらの活動的な物質に対して許容可能であり、潤滑膜で覆われていても安全な方法で把持されることができる機器を有することが必要である。工業環境で用いるときに避けられない、衝撃への抵抗を示す機器への必要性もある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一つの目的は、公知の機器の制限を受けない寸法測定のための携帯用機器を提案することである。
【0011】
本発明によれば、これらの目的は、とりわけ独立請求項の対象手段によって達成される。
【0012】
本明細書の残りおよび請求項において、精密なスライドノギスへの参照がなされる。しかしながら、これは、本発明がこのタイプの機器に本質的に制限されるのではなく、本発明は請求項1の特徴部で言及される要素、たとえば例として、マイクロメータ、コンパレータ、測定ハンドル、プローブ、およびより一般的な携帯用電子測定装置を設けることが可能な任意の携帯用電子測定機器を含むことが理解されなければならない。
【0013】
本明細書および請求項が電気バッテリについて言及するとき、これは本発明の制限的特徴を表しているのではなく、バッテリは、本発明の範囲から逸脱しない範囲で任意の種類の自律電源によって交換可能であることも、理解されなければならない。自律電源の包括的ではない例として、充電式蓄電池、たとえばLiPO(リチウムポリマー)バッテリ、Li-ion、Ni-MH、機械エネルギを電気に変換する発電機、または太陽電池モジュールを言及することができる。
【0014】
本明細書および請求項において、用語「上」「下」「下部」「上部」「側方」等が用いられるとき、これらの呼称は、ディスプレイ画面を上向きにして水平面上に配置された測定機器の通常および従来の方向に対する向きを示すことが理解されなければならない。
【0015】
本発明の実施形態の例が、本明細書において添付図面によって図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一局面による、組み立てられたスライドノギスを図示する。
図2】3つの要素に分離された、本発明によるスライドノギスの筐体を示す。
図3】本発明のスライドノギスの筐体の断面を、模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の実施形態の例
図1に図示された本発明の実施形態によれば、ノギス30は、その上でスライドが長手方向に移動することができる長手シャフトを含む。シャフトは、機器の使用目的によって異なる長さを有することができ、たとえば20cmであって、1つ以上の静止挟持部42a、43aを備えている一方で、スライドは、静止挟持部と平行のままシャフトに沿って移動する同じ数の移動式挟持部42b、43bを持っている。
【0018】
スライド式ノギス30のシャフトは、スライドとともに移動するセンサによって読み取ることができる目盛りを、後者の相対位置を決定するために有する。目盛り40と接触しないセンサは、好ましくは、たとえば磁気センサが用いられる一方で、目盛り40は、交互極性または別の適切な磁気領域構成を有する、磁化領域の周期的グリッドを有する。一つの実施形態において、誘導、光学、または容量タイプのセンサは、適切な目盛りとともに用いることができる。
【0019】
水密筐体55は、スライドに固定され、ならびに、その内部容積内に、センサ69から来る信号を読み取るように、目盛りに対するセンサ69の位置に基づく示度を、同様に水密筐体55の内部容積内に含まれるディスプレイデバイス63上に表示するために配置された電子処理回路65(図3に見られる)を含む。本発明の重要な局面によれば、筐体55は、その内部のディスプレイ手段63を読み取ることを可能にする透明材料から成形された単一の要素で構成される。
【0020】
筐体55は、好ましくは、上方、すなわちディスプレイ画面63に直交する方向、および側方から、ディスプレイ63および電子回路65を覆う。その内部容積は、ディスプレイ63および電子回路65の構成要素が取り付けられたプリント回路基板62によって下方から密封される。基板62は、ネジ止めされて、平形ガスケットを圧迫する。それは、筐体55に接着または溶接することもできる。
【0021】
位置センサ69は、プリント回路の下部側の図示例に表され、このように筐体55によって画定された密封された容積の外側にある。この構成は、センサ69と目盛り40との間が近接近できるようにするもので、読み取りの正確性に有益である。センサ69は、任意の適切な方法で樹脂に埋め込むこと、または水から保護することができる。さらにまた、センサ69が処理回路65と同じプリント回路62上に取り付けられているという事実は、密封された筐体55内への液体および異物のアクセスポイントを構成し得るコネクタの使用を回避する。しかしながら、それをプリント回路62の他の面側に接続することによって、センサ69を密封された容積の内部に組み込むことも想定できるだろう。
【0022】
筐体55は、任意の注入可能な透明物質から作ることができる。しかしながら、良好な機械的特性、ならびに水および溶媒への良好な抵抗性があることが望ましい。ある種のポリアミド樹脂は、高レベルの透明性、良好な弾性と屈曲および疲労への抵抗性とに結びつく硬度を有し、本発明のこの局面において有利に用いることができる。
【0023】
筐体55は、任意で、図1に見られるボタン56を通過させること、および測定機器の機能、たとえば開始/停止、リセット、または任意のその他必要な機能を制御するのに用いることを可能にするための開口部556を含む。ボタン55は、柔軟膜または任意のその他適切な方法によって水密に作ることができる。図示されていない実施形態によれば、ボタン56は、用いられる材料が十分な柔軟性を発揮する場合、筐体55と一体に作られことができ、そのため開口部556を完全になくせる。
【0024】
筐体55は、好ましくは、画像の歪曲または変更なくディスプレイデバイス63が読み取れるようにする、ディスプレイデバイス63の向かい側に配置された平面555も含む。この平面は、読み取りウィンドウとして役立ち、水密筐体55と一体に作られるので、公知技術で用いられる接着された透明ウィンドウの欠点を有さない。
【0025】
筐体55は、好ましくは、自律電源68、たとえば回路65に電力を提供するボタンタイプのリチウムバッテリのための(図2で見られる)区画558を含む。電力がバッテリによって提供される場合、それらの交換は、図1および3で見られる、筐体55の中へ水密に係合できるカバー58を通じて可能である。好ましくは、このシステムが優れた保護を与える一方で共通のツールと着脱可能なままであるので、カバー58の水密係合は、継ぎ手を備えたバイオネット(bayonet)またはネジ止め連結によって達成される。図示されていない変形実施形態において、継ぎ手は、上部成形層54と一体化されることができる。しかしながら、その他の構成が可能であり本発明の枠組みに含まれる。
【0026】
本発明の有利な一局面によれば、バッテリカバー58は、図示しない電気的接続によって処理回路65と通信し、機器の機能が拡張できるようにする予備電子回路70を含むことができる。この特徴は、水密筐体55に開口部およびコネクタを追加せずに機器筐体の内部容積内に電子モジュールをさらに追加することを可能にする。
【0027】
予備電子回路70は、データを、機器30と、プリンタ、コンピュータ、携帯電話、または任意のその他デバイスとの間で交換できるようにする、Bluetooth(登録商標)、HomeRF(登録商標)、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、または任意のその他通信基準に従って、無線インタフェース回路によって実現することができる。予備回路70は、実施された測定値およびそれらのその後の分析を保存するための、不揮発性メモリユニット、たとえばE2PROMまたはフラッシュタイプのメモリ、または測定パラメータを含むメモリも含み得る。予備回路70についての変形例およびさらなる詳細は、本出願人名での欧州特許出願EP2487452に含まれる。
【0028】
本発明の一局面によれば、筐体55は、それに望ましい物性を提供する機能層によって、少なくとも部分的に覆われている。
【0029】
不透明層54を、見せたくない筐体の内部構成要素を視界から隠すのに、および機器の触知特性および視覚特性を改善するのに用いることができる。図示の実施形態は、透明筐体の上に上部成形され、その側面を覆う弾性熱可塑性層54を含む。この層は、筐体55の性質および要求された抵抗性の度合いによって、いくつかの材料で作ることができる。図示されていない一変形例では、ボタン56は、同時に、上部成形層54に注入され、およびそれと一体化されることができ、そのため開口部556を完璧に水密にする。側面545は、平面555を保護するのに役立つ。
【0030】
金属層または板54は、透明筐体55の少なくとも一部を衝撃から保護するために用いられ、それに美観を付与することができる。この板は、図示例において、読み取りウィンドウ555のための開口部535、ボタン56のための536、およびバッテリ区画のための538を含む。それは、たとえば適当な型の中で適切な厚さのシート材料から引き抜いて切断し、筐体55上に圧入または接着することができる。
【符号の説明】
【0031】
30 測定機器
40 目盛り
42a 静止挟持部
42b スライド式挟持部
43a 静止挟持部
43b スライド式挟持部
50 組み立てられた筐体
53 金属板
54 上部成形部
55 透明水密resp.気密筐体
56 ボタン
58 バッテリ区画のためのカバー
62 プリント回路
63 ディスプレイデバイス
65 処理回路
68 バッテリ
69 非接触位置センサ
70 補助回路
535 画面のための開口部
536 ボタンのための開口部
538 バッテリのための開口部
545 保護側面
555 ディスプレイウィンドウ
556 ボタンのための開口部
558 バッテリ区画
図1
図2
図3