特許第6297799号(P6297799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297799
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】光コネクタおよび光コネクタの組立方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/40 20060101AFI20180312BHJP
   G02B 6/38 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G02B6/40
   G02B6/38
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-151501(P2013-151501)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-22213(P2015-22213A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】SEIオプティフロンティア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 潤治
(72)【発明者】
【氏名】為國 芳享
(72)【発明者】
【氏名】横町 之裕
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−221910(JP,A)
【文献】 特開2000−081541(JP,A)
【文献】 特開平04−347806(JP,A)
【文献】 特開平11−287929(JP,A)
【文献】 実開昭61−044605(JP,U)
【文献】 実開平04−074433(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0156796(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
6/255−6/27
6/30−6/34
6/36−6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されるフェルールと、
前記ハウジング内の一方向に沿って伸縮して前記フェルールを付勢する付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、その幅方向中央部に前記ハウジングの長手方向に延び、前記フェルールに接続される光ファイバを収容する凹部を有しており
前記付勢部材は、一対の弾性部材と、前記凹部の両側に設けられた一対の弾性部材収容部を有する収容部材と、前記弾性部材を押さえる押さえ部材とを含み、
一対の前記弾性部材は、前記一対の弾性部材収容部にそれぞれ収容され、一対の前記収容部材に収容された状態で前記収容部材と前記押さえ部材とが相対的に可動することにより前記付勢部材が伸縮し、
前記押さえ部材に形成された突起が前記収容部材に形成された溝に嵌合された状態で前記収容部材と前記押さえ部材とが相対的に可動する、光コネクタ。
【請求項2】
前記押さえ部材は、ガイドピンを保持するガイドピン保持部を構成する、請求項2または請求項に記載の光コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の光コネクタにおいて、前記ハウジングに前記フェルールを収容した後で、前記付勢部材を前記ハウジング内に組み込む、光コネクタの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードの端部に取り付けられる光コネクタおよび光コネクタの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、複数本の光ファイバ心線を有するケーブルへ取り付けられる多心光コネクタとして、多心コネクタプラグ内部に多心コネクタ中子(フェルール)を押し付けるためのスプリングが内蔵されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような多心コネクタプラグを組み立てる際には、多心コネクタ中子の取り付け前にスプリングを光ファイバテープに通してから、光ファイバを多心コネクタ中子に固定する。そして、多心コネクタ中子の接続端面を研磨した後に、多心コネクタ中子とスプリングを前部ハウジングおよび後部ハウジングに組み込み、多心コネクタプラグを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−347806号公報
【特許文献2】特開2002−148485号公報
【特許文献3】特開2008−122728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように、多心コネクタプラグを組み立てる際には、光ファイバテープ等の光ケーブルから光ファイバ(光ファイバ心線)を露出させておく必要がある。また、光ケーブルの外被および外被から露出された抗張力繊維を多心コネクタプラグに引き留めておくことがある。光ケーブルに通されたスプリングを多心コネクタ中子側へ移動させると、光ケーブルの端末部においてスプリングが露出された抗張力繊維を巻き込み絡まってしまう。
【0006】
また、特許文献2および特許文献3に示すように、スプリングはコネクタハウジングの後端側に設けられたスプリング押しによりスプリングの反力を受ける構造が知られている。しかし、この構成においては、スプリングとスプリングプッシュを組立てた後に、光ケーブルの抗張力繊維を引き出す作業が困難となる。
【0007】
さらに、特許文献1〜3においては、スプリングを光ケーブルに前もって通しておく必要があるため、光ケーブルのスプリングへの挿入を行う前に光ファイバ心線をフェルールに取り付けてしまうと、フェルールを切り落とさなければならなくなる。このように、先入れ部品であるスプリングが多心光コネクタの組立作業性を阻害する場合がある。
【0008】
本発明は、組立作業性に優れた光コネクタおよび光コネクタの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の光コネクタは、
ハウジングと、
前記ハウジングに収容されるフェルールと、
前記ハウジング内の一方向に沿って伸縮して前記フェルールを付勢する付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、その幅方向中央部に前記ハウジングの長手方向に延び、前記フェルールに接続される光ファイバを収容する凹部を有している。
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の光コネクタの組立方法は、
光コネクタにおいて、前記ハウジングに前記フェルールを収容した後で、前記付勢部材を前記ハウジング内に組み込む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、組立作業性に優れた光コネクタおよび光コネクタの組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である光コネクタおよび光ケーブルを示す側面図である。
図2図1の光コネクタの一部分解図である。
図3図1の光コネクタを構成する付勢部材の分解図である。
図4図3に示す付勢部材の組立図である。
図5図3に示す付勢部材の断面図である。
図6】光コネクタへの光ケーブルの固定方法を示す模式図である。
図7】本実施形態の変形例に係る付勢部材の斜視図である。
図8図7に示す付勢部材とフェルールとの組立状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の実施形態に係る光コネクタは、
(1)ハウジングと、
前記ハウジングに収容されるフェルールと、
前記ハウジング内の一方向に沿って伸縮して前記フェルールを付勢する付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、その幅方向中央部に前記ハウジングの長手方向に延び、前記フェルールに接続される光ファイバを収容する凹部を有している。
この構成によれば、組立作業性に優れた光コネクタを提供することができる。
【0014】
(2)前記付勢部材は、弾性部材と、前記弾性部材を収容する収容部材と、前記弾性部材を押さえる押さえ部材とを含み、
前記弾性部材が前記収容部材に収容された状態で前記収容部材と前記押さえ部材とが相対的に可動することにより前記付勢部材が伸縮することが好ましい。
この構成によれば、弾性部材が収容部材に収容された状態で伸縮が可能であるため、光ファイバが弾性部材に巻き込まれて絡まるおそれがない。
【0015】
(3)前記押さえ部材に形成された突起が前記収容部材に形成された溝に嵌合された状態で前記収容部材と前記押さえ部材とが相対的に可動することが好ましい。
この構成によれば、押さえ部材が収容部材と嵌合されながら可動するため、弾性部材の付勢力により押さえ部材が収容部材から外れてしまうことを防止できる。
【0016】
(4)前記押さえ部材は、ガイドピンを保持するガイドピン保持部を構成することが好ましい。
この構成によれば、押さえ部材がガイドピン保持機能を備えることができる。
【0017】
本願発明の実施形態に係る光コネクタの組立方法は、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光コネクタにおいて、前記ハウジングに前記フェルールを収容した後で、前記付勢部材を前記ハウジング内に組み込む。
この構成によれば、組立作業性に優れた光コネクタの組立方法を提供することができる。
【0018】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る光コネクタを示す側面図である。
【0020】
図1において、光コネクタ1は、光ケーブル2が組み付けられたコード型SCコネクタである。光ケーブル2は、光ファイバテープ3(光ファイバの一例)と、光ファイバテープ3を覆うように設けられた抗張力繊維4と、この光ファイバテープ3および抗張力繊維4を被覆する外被5とを有している。光ファイバテープ3は、複数本の光ファイバ心線が並列状態で一体化された多心光ファイバテープ心線である。各光ファイバ心線は、コアとクラッドを有する光ファイバの周囲に紫外線硬化型樹脂 (UV樹脂)が被覆され、その外径が250μmとされている。外被5を構成する樹脂としては、特に、難燃ポリエチレンが用いられることが好ましい。
【0021】
図1に示すように、光コネクタ1は、ハウジング10と、フェルール12と、ガイドピン14と、ピンキーパ16と、付勢部材30と、スプリングプッシュ18と、引留め部材20と、ブーツ22とを備えている。以下、必要に応じて、ハウジング10側(図1の左側)を光コネクタ1の前方側とし、ブーツ22側(図1の右側)を光コネクタ1の後方側として説明する。
【0022】
ハウジング10の内部には、光ケーブル2から露出された光ファイバテープ3と、フェルール12と、ピンキーパ16と、付勢部材30とがハウジング10の後端側から挿入されて収容される。また、ハウジング10の前端部にはフェルール12が嵌め込まれた小径の開口部10Aが設けられている。
【0023】
フェルール12は、フェルール本体12Aと、このフェルール本体12Aに固定されたフランジ部12Bとを有している。フェルール本体12Aは、ハウジング10の開口部10Aに挿通されている。フランジ部12Bは、フェルール本体12Aおよびハウジング10の開口部10Aよりも大径であって、フェルール本体12Aの後端側に設けられている。このフランジ部12Bにより、ハウジング10の開口部10Aに挿通されたフェルール本体12Aのハウジング10に対する位置決めが可能となっている。
フェルール本体12Aおよびフランジ部12Bの周方向の中央部には、光ファイバテープ3から露出された複数本の光ファイバ心線が挿入される細径の挿入孔(不図示)が設けられている。
【0024】
フェルール12の前端面には、光コネクタ1の接続相手である不図示の接続部材と接続するためのガイドピン14が設けられている。ピンキーパ16は、ガイドピン14の抜け止め用の部材であって、フェルール12の後端部に取り付けられてガイドピン14を保持している。ピンキーパ16に保持されたガイドピン14は、フェルール12に設けられた不図示のガイドピン穴に貫通されて光コネクタ1の前方に突出している。
【0025】
スプリングプッシュ18は、後述の付勢部材30の反力を受けるための部材であって、大筒状部18Aと、この大筒状部18Aの後方側に設けられた小筒状部18Bとを有している。小筒状部18Bの径は、大筒状部18Aの径よりも小さく形成されている。大筒状部18Aは、ハウジング10の内部に収容される。
【0026】
ハウジング10の後端側には、引留め部材20が装着されている。引留め部材20は、略筒状をなし、その後端の開口径は、前端の開口径よりも小さく形成されている。この引留め部材20は、スプリングプッシュ18の小筒状部18Bとの間で、光ケーブル2の抗張力繊維4および外被5を固定するものである。
【0027】
引留め部材20の後端には、ブーツ22が装着される。ブーツ22は、引留め部材20の後方において光ケーブル2に急激な曲げが作用しないように光ケーブル2を保護するものである。
【0028】
図2は、光コネクタ1の一部分解図であり、図3は、付勢部材30の分解図であり、図4は、付勢部材30の組立図である。
図2に示すように、ハウジング10の内部において、付勢部材30は、ピンキーパ16とスプリングプッシュ18との間に配置されている。付勢部材30は、ハウジング10内の一方向(本例においてはハウジング10内の長手方向)に沿って伸縮してフェルール12を付勢する部材である。この付勢部材30は、断面略U字状に形成され、その幅方向中央部にハウジング10の長手方向に延びるファイバ収容部(凹部の一例)30Aを備えている。図2においてフェルール12に接続される光ファイバテープ3の図示は省略するが、ファイバ収容部(凹部の一例)30Aは、フェルール12に挿通された光ファイバテープ3を収容可能な高さおよび幅を有している。
【0029】
図3に示すように、付勢部材30は、一対のスプリング32(弾性部材の一例)と、スプリング収容部34(収容部材の一例)と、スプリング押さえ部36(押さえ部材の一例)とを備えている。
一対のスプリング32は、例えばコイルスプリングから構成されている。
スプリング収容部34は、断面略U字状の樹脂部材(あるいは金属部材)から構成されている。スプリング収容部34の凹部34Aは、光コネクタ1が組み立てられた際に光ファイバテープ3が収容されるファイバ収容部30Aとしての役割を果たす。スプリング収容部34の凹部34Aを挟んだ両端の壁部34Bには、各スプリング32が挿入される円筒形状の開口部34B1が設けられている。また、壁部34Bの上面および下面には、壁部34Bの長手方向に沿って、開口部34B1まで貫通する細長い溝34Cが設けられている。
【0030】
スプリング押さえ部36は、樹脂部材(あるいは金属部材)から構成され、基部36Aと、一対の押さえ片36Bとを備えている。
基部36Aは、凹部36A1と、凹部36A1を挟んで両端に設けられた壁部36A2とを有しており、スプリング収容部34とほぼ同一の略U字状に形成されている。スプリング押さえ部36の凹部36A1は、スプリング収容部34の凹部34Aとともに、光ファイバテープ3が収容されるファイバ収容部30Aとしての役割を果たす。
一対の押さえ片36Bは、スプリング収容部34の開口部34B1に挿入可能な円筒形状の部材であって、基部36Aの壁部36A2からそれぞれ後方側に突出されている。各押さえ片36Bには、押さえ片36Bの突出方向であって基部36Aの凹部36A1の延伸方向である方向に沿って、スリット36B1が設けられている。また、各押さえ片36Bの先端部の上面および下面には、押さえ片36Bの長手方向に沿って、突起36Cが設けられている。
【0031】
図4に示すように、一対の押さえ片36Bは、スプリング収容部34の各開口部34B1内に一対のスプリング32が収容された状態で、各開口部34B1内に挿入される。一対の押さえ片36Bが各開口部34B1内に挿入されると、一対の押さえ片36Bの突起36Cがスプリング収容部34に設けられた溝34Cに嵌合されて固定される。なお、一対の押さえ片36Bにはスリット36B1が設けられているため、一対の押さえ片36Bが開口部34B1内に挿入されて突起36Cがスプリング収容部34の溝34Cに嵌合される際に、各押さえ片36Bが変形しやすい構造となっている。
【0032】
図5(a)に示すように、スプリング収容部34の溝34Cの長さL1は、スプリング押さえ部36の突起36Cの長さL2よりも長く設定されている。溝34Cの長さL1は、例えば1.2mmであり、突起36Cの長さL2は、例えば0.4mmである。そのため、付勢部材30の組立状態において、突起36Cが溝34Cに嵌合されたとき、スプリング押さえ部36は、例えば0.8mm程度の可動範囲を有している。
【0033】
これにより、図5(a)に示すように、スプリング押さえ部36がスプリング収容部34に挿入されて突起36Cが溝34Cに嵌合されたときは、スプリング収容部34に収容されたスプリング32の付勢力によってスプリング押さえ部36が前方側(図5(a)の左側)に押し付けられる。一方、スプリング収容部34とスプリング押さえ部36とが相対的に移動可能であるため、付勢部材30の前後方向から力が加えられたとき(例えば、光コネクタ1がアダプタ等の接続部材と接続されるとき)は、図5(b)に示すように、スプリング32の付勢力に抗してスプリング押さえ部36が後方側(図5(b)の右側)に移動可能である。このように、付勢部材30は、ハウジング10の長手方向に沿って伸縮可能な構成を有している。伸縮可能な付勢部材30により、フェルール12は、光コネクタ1の長手方向に沿って一定距離移動可能となる。
【0034】
次に、以上のように構成した光コネクタ1を組み立て、光ケーブル2を固定する手順について図6(a)〜(e)を参照して説明する。
まず、図6(a)に示すように、光ケーブル2の一端部において外被5を除去または切断し、光ファイバテープ3および抗張力繊維4を露出させる。そして、この光ケーブル2を、スプリングプッシュ18、引留め部材20およびブーツ22に通しておく。
【0035】
続いて、図6(b)に示すように、光ファイバテープ3の先端部(光ファイバテープ3から露出された光ファイバ心線)をフェルール12の挿入孔から挿入する。このとき、フェルール12の後端側にはガイドピン14を保持するピンキーパ16が取り付けられている。なお、露出された光ファイバテープ3を保護するため、光ファイバテープ3を覆うように不図示の保護スリーブを配置させ、その状態で保護スリーブを加熱収縮することにより、融着された保護スリーブを光ファイバテープ3の周囲に密着させておいてもよい。
【0036】
次に、図6(c)に示すように、光ケーブル2が通されたスプリングプッシュ18を光ケーブル2の光ファイバテープ3が露出された位置まで移動させる。
【0037】
続いて、図6(d)に示すように、フェルール12に取り付けられたピンキーパ16とスプリングプッシュ18との間に付勢部材30を配置させる。このとき、付勢部材30のファイバ収容部(凹部)30Aに光ファイバテープ3が収容されることとなる。そして、フェルール12のフェルール本体12Aを、ハウジング10の前端側に設けられた開口部10Aに挿通するとともに、スプリングプッシュ18(大筒状部18A)をハウジング10の後端部に収容する。
【0038】
次に、図6(e)に示すように、引留め部材20をスプリングプッシュ18側に移動させて、スプリングプッシュ18(小筒状部18B)と引留め部材20との間で、光ケーブル2の抗張力繊維4および外被5を挟み込んで固定する。最後に、ブーツ22を引留め部材20の後端に装着する。以上より、図1に示すような光コネクタ1が作製される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る光コネクタ1は、ハウジング10内の一方向に沿って伸縮してフェルール12を付勢する付勢部材30を備えている。そして、この付勢部材30は、その幅方向中央部にハウジング10の長手方向に延び、フェルール12に接続される光ファイバテープ3を収容するファイバ収容部30A(凹部34A,36A1)を有している。
この構成によれば、光コネクタ1の組立の際に、光ファイバテープ3をフェルール12に取り付ける前に付勢部材30を光ケーブル2に通しておく必要がない。そのため、従来のように光ケーブルに前もって通しておいたスプリングをフェルール側に移動させる際に、光ケーブルの外被や抗張力繊維をスプリングが巻きこんでしまうことがない。
【0040】
また、従来は、スプリングとスプリングプッシュを組立てた後に、光ケーブルの抗張力繊維を引き出す作業が困難となっていたが、本実施形態によれば、付勢部材30とスプリングプッシュ18とを組み付ける前に光ケーブル2から抗張力繊維4を引き出しておくことができ、引出し作業が容易である。
【0041】
さらに、従来は、フェルールに光ケーブルを接続する前に光ケーブルをスプリングに挿入しておかなければならなかったため、光ファイバ心線をフェルールに取り付ける前にスプリングの挿入を忘れてしまうと、フェルールを一度切り落として、フェルールと光ファイバ心線との接続作業をやり直す必要があった。一方、本実施形態では、フェルール12に光ファイバテープ3を接続した後に付勢部材30を取り付ける構成となっている。そのため、フェルール12を切り落として接続作業をやり直す必要がない。
以上のように、本実施形態によれば、組立作業性に非常に優れた光コネクタ1を提供することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、スプリング32を収容するスプリング収容部34とスプリング32を押さえるスプリング押さえ部36とが相対的に可動することにより、スプリング32がスプリング収容部34に収容された状態で付勢部材30が伸縮する構成となっている。この構成によれば、付勢部材30の伸縮に伴い光ケーブル2から露出された光ファイバテープ3や抗張力繊維4がスプリング32に巻き込まれて絡まることを防止することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、スプリング押さえ部36に形成された突起36Cが、スプリング収容部34に形成された溝34Cに嵌合された状態で、スプリング収容部34とスプリング押さえ部36とが相対的に可動する。この構成によれば、スプリング32の付勢力によりスプリング押さえ部36がスプリング収容部34から不用意に外れてしまうことを防止することができる。
【0044】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0045】
上記の実施形態においては、ガイドピン14を保持するピンキーパ16がフェルール12と付勢部材30との間に設けられているが、この例に限られない。例えば、図7に示すように、付勢部材130は、スプリング押さえ部136の壁部136A2がガイドピン収容部136A3を備えた構成としてもよい。
当該変形例においては、図8(a)に示すように、最初に、スプリング収容部34に挿入されたスプリング押さえ部136のガイドピン収容部136A3にガイドピン14が取り付けられる。続いて、図8(b)に示すように、スプリング押さえ部136の前端部にフェルール12が取り付けられるとともに、フェルール12にガイドピン14が貫通される。
そして、図8(c)に示すように、スプリング収容部34の後端側にスプリングプッシュ18および引留め部材20が取り付けられる。最後に、上記の実施形態と同様に、これらの部材がハウジングに収容されるとともに、ブーツが装着され、光コネクタが作製される。
この構成によれば、スプリング押さえ部136がガイドピン保持機能を備えるため、上記の実施形態のようにピンキーパ16を設ける必要がなく、光コネクタの部品点数を削減することができる。
【0046】
なお、上記の実施形態においては、光ファイバの一例として、複数本の光ファイバ心線を備えた多心の光ファイバテープ3を用いる構成を説明したが、この例に限られない。例えば、単心の光ファイバ心線や、光ファイバコード等を用いる構成としてもよい。
【0047】
1:光コネクタ
2:光ケーブル
3:光ファイバテープ(光ファイバの一例)
4:抗張力繊維
5:外被
10:ハウジング
10A:開口部
12:フェルール
12A:フェルール本体
12B:フランジ部
14:ガイドピン
16:ピンキーパ
18:スプリングプッシュ
18A:大径部
18B:小径部
20:引留め部材
22:ブーツ
30:付勢部材
30A:ファイバ収容部
32:スプリング(弾性部材の一例)
34:スプリング収容部(収容部材の一例)
34A:凹部
34B:壁部
34C:溝
36:スプリング押さえ部(押さえ部材の一例)
36A:基部
36B:押さえ片
36B1:スリット
36C:突起
136A3:ガイドピン収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8