(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機、スマートフォン、タブレットPCなどの電子機器において、近距離非接触通信の機能を搭載するため、RFID(Radio Frequency Identification)用のアンテナモジュールが用いられている。
【0003】
このアンテナモジュールは、リーダライタなどの発信器に搭載されたアンテナコイルと誘導結合を利用して通信を行っている。すなわち、このアンテナ装置は、リーダライタからの磁界をアンテナコイルが受けることによって、それを電力に変換して通信処理部として機能するICを駆動させることができる。
【0004】
アンテナモジュールは、確実に通信を行うため、リーダライタからのある値以上の磁束をアンテナコイルで受ける必要がある。そのために、従来例に係るアンテナ装置では、携帯電話機の筐体にループコイルを設け、このコイルでリーダライタからの磁束を受けている。
【0005】
携帯電話機などの電子機器に組み込まれたアンテナモジュールは、機器内部の基板やバッテリーパックなどの金属が、リーダライタからの磁界を受けることによって発生する渦電流のために、リーダライタからの磁束が跳ね返されてしまう。例えば、携帯電話機の筐体表面で考えると、リーダライタからくる磁界は、筐体表面の外周部分が強くなり、筐体表面の真ん中付近が弱くなる傾向にある。
【0006】
通常のループコイルを用いるアンテナの場合、ループコイルは、その開口部が、上述した筐体表面の外周部分を通過する磁界をあまり受けることができない携帯電話機の中央部分に位置している。このため、通常のループコイルを用いるアンテナでは、磁界を受ける効率が悪くなっている。
【0007】
そこで、リーダライタからくる磁界が強い、筐体表面の外周部分にループアンテナを配置するようにしたアンテナ装置や、さらに、磁性シートを用いて磁束を増やし、性能を高めるようにしたアンテナ装置が提案されている。これらのアンテナ装置では、ループアンテナの形状を長方形にして、その長辺が筐体表面の外周端に沿うように設置されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本件出願人は、金属による磁界のシールド効果を利用して効率を高めたアンテナ装置として、例えば、特願2013−021616において、電子機器の筐体内部に設けられ、外部機器に対向する第1の金属板と、電子機器の筐体内部に設けられ、外部機器と誘導結合されるアンテナコイルと、電子機器の筐体内部に設けられ、第1の金属板と重畳又は接触するとともに、アンテナコイルの外部機器と対向する面と反対側の面と、少なくとも一部が重畳するシート状の第2金属箔とを備えたアンテナ装置を提案している。
【0010】
このように金属による磁界のシールド効果を利用して効率を高めたアンテナ装置では、金属板の端部に近い位置にアンテナコイルを実装配置することにより、金属による磁界のシールド効果を利用して効率を高めることができ、アンテナコイルを実装配置位置が重要になる。
【0011】
しかしながら、携帯機器では、その内部構造上、金属板の端部は携帯機器そのものの端部と一致していることが多く、また、金属板や金属物が多層となることが多く、対向するアンテナから遠い層による影響で実質的に端部に配置した効果が得られないという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述の如き従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、対向するアンテナから遠い側に位置する金属板とアンテナコイルの位置関係に拘わらずに、アンテナコイルとほぼ同一平面の主たるエッジを構成する金属板との位置関係でアンテナの性能が維持され、金属板による磁気シールド効果を有効に利用して、筐体の小型化と通信の安定化を図ったアンテナ装置及び電子機器を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、金属物が多層に配設された電子機器に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置であって、対向する外部機器のアンテナから遠い位置に配置された金属物の内壁表面に貼り付けられた磁性シートの端部に沿ってループアンテナの一方側部と他方側部に二分されるアンテナコイルを備え、上記ループアンテナの一方側部が上記磁性シートと対向し、上記ループアンテナの他方側部が上記遠い位置に配置された金属物と対向することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るアンテナ装置は、上記アンテナコイルの一方側部側では、上記アンテナコイルよりも上記磁性シート側に位置し、上記アンテナコイルの一方側部と対向し、上記アンテナコイルの他方側部側では、上記アンテナコイルよりも上記外部機器側に位置し、上記アンテナコイルの他方側部と対向するように配置された第2の磁性シート、あるいは、上記アンテナコイルよりも上記磁性シート側に位置し、上記アンテナコイルの一方側部と対向するように配置された第3の磁性シート、又は、上記アンテナコイルよりも上記外部機器側に位置し、上記アンテナコイルの他方側部と対向するように配置された第4の磁性シートを備えるものとすることができる。
【0016】
また、本発明は、外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置が組み込まれ、金属物が多層に配設された電子機器であって、対向する外部機器のアンテナから遠い位置に配置された金属物の内壁表面に貼り付けられた磁性シートと、上記磁性シートの端部に沿ってループアンテナの一方側部と他方側部に二分されるアンテナコイルとを備え、上記ループアンテナの一方側部が上記磁性シートと対向し、上記ループアンテナの他方側部が上記遠い位置に配置された金属物と対向することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る電子機器において、上記磁性シートは、例えば、上記アンテナコイルの中心ラインから上記金属物の先端までを覆うように上記金属物の内壁表面に貼り付けられているものとすることができる。
【0018】
また、本発明に係る電子機器は、上記アンテナコイルの一方側部側では、上記アンテナコイルよりも上記磁性シート側に位置し、上記アンテナコイルの一方側部と対向し、上記アンテナコイルの他方側部側では、上記アンテナコイルよりも上記外部機器側に位置し、上記アンテナコイルの他方側部と対向するように配置された第2の磁性シート、あるいは、上記アンテナコイルよりも上記磁性シート側に位置し、上記アンテナコイルの一方側部と対向するように配置された第3の磁性シート、又は、上記アンテナコイルよりも上記外部機器側に位置し、上記アンテナコイルの他方側部と対向するように配置された第4の磁性シートを備えるものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、対向するアンテナから遠い側に位置する金属板とアンテナコイルの位置関係に拘わらずに、アンテナコイルとほぼ同一平面の主たるエッジを構成する金属板との位置関係でアンテナの性能が維持され、金属板による磁気シールド効果を有効に利用して、筐体の小型化と通信の安定化を図ったアンテナ装置及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明が適用される無線通信システムの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】無線通信システムにおけるアンテナ基板及び金属板を示す斜視図である。
【
図3】無線通信システムにおける電子機器の内部の一例を示す斜視図であり、第1の導電体として、筐体内部に貼付されたメタルカバーを用いた場合を示す。
【
図4】無線通信システムにおける電子機器の内部の一例を示す斜視図であり、第1の導電体として、バッテリーパックの金属筐体を用いた場合を示す。
【
図5】無線通信システムにおける電子機器の内部の一例を示す斜視図であり、第1の導電体として、液晶モジュールの裏面に設けられた金属板を用いた場合を示す。
【
図6】電子機器内に組み込まれたアンテナ装置を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【
図7】金属箔がアンテナ基板の一方側を、長手方向の全幅に亘って重畳する状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明を適用したアンテナ装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図9】上記アンテナ装置の要構成を模式的に示す縦断側面図であり、(A)は全体構成を示す縦断側面図、(B)はアンテナコイル部分を拡大して示す縦断側面図である。
【
図10】上記アンテナ装置における磁性シートの大きさを変えた状態(A),(B),(C)を示す平面図である。
【
図11】上記アンテナ装置において、対向するリーダライタのアンテナをY方向に移動させた場合の結合係数をシミュレーションで求めた結果を示す図である。
【
図12】上記アンテナ装置における磁性シートの他の配置例(A),(B)を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることはもちろんである。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0022】
本発明が適用されたアンテナ装置は、電子機器に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信する装置であって、たとえば
図1に示すようなRFID(Radio Frequency Identification)用の無線通信システム100に組み込まれて使用される。
【0023】
無線通信システム100は、アンテナ装置1と、アンテナ装置1に対するアクセスを行うリーダライタ120とからなる。ここで、アンテナ装置1とリーダライタ120とは、三次元直交座標系XYZのXY平面において互いに対向するように配置されているものとする。
【0024】
リーダライタ120は、XY平面において互いに対向するアンテナ装置1に対して、Z軸方向に磁界を発信する発信器として機能し、具体的には、アンテナ装置1に向けて磁界を発信するアンテナ121と、アンテナ121を介して誘導結合されたアンテナ装置1と通信を行う制御基板122とを備える。
【0025】
すなわち、リーダライタ120は、アンテナ121と電気的に接続された制御基板122が配設されている。この制御基板122には、一又は複数の集積回路チップ等の電子部品からなる制御回路が実装されている。この制御回路は、アンテナ装置1から受信されたデータに基づいて、各種の処理を実行する。たとえば、制御回路は、アンテナ装置1に対してデータを送信する場合、データを符号化し、符号化したデータに基づいて、所定の周波数(たとえば、13.56MHz)の搬送波を変調し、変調した変調信号を増幅し、増幅した変調信号でアンテナ121を駆動する。また、制御回路は、アンテナ装置1からデータを読み出す場合、アンテナ121で受信されたデータの変調信号を増幅し、増幅したデータの変調信号を復調し、復調したデータを復号する。なお、制御回路では、一般的なリーダライタで用いられる符号化方式及び変調方式が用いられ、たとえば、マンチェスタ符号化方式やASK(Amplitude Shift Keying)変調方式が用いられている。
【0026】
なお、以下では、上記非接触通信システム100におけるアンテナ装置等について説明をするが、Qi(チー)等の非接触充電システムについても同様に適用することができるのは言うまでもない。
【0027】
アンテナ装置1は、通信時にリーダライタ120とXY平面において対向するように配置される携帯電話機等の電子機器の筐体の内部に組み込まれる。アンテナ装置1は、電子機器の筐体の内部に組み込まれ、誘導結合されたリーダライタ120との間で通信を行うアンテナモジュール2と、電子機器の筐体内に設けられ、リーダライタ120に対向する第1の導電体となる金属板3と、電子機器の筐体内に設けられ、金属板3と重畳又は接触するとともに、アンテナモジュール2のループアンテナ11のリーダライタ120と対向する面と反対側の面と、少なくとも一部が重畳するシート状の第2の導電体となる金属箔4とを備える。
【0028】
アンテナモジュール2は、誘導結合されたリーダライタ120との間で通信可能となるループアンテナ11と、ループアンテナ11に流れる電流により駆動し、リーダライタ120との間で通信を行う通信処理部13とを備える。
【0029】
ループアンテナ11には、たとえばフレキシブルフラットケーブルなどの可撓性の導線をパターンニング処理などをすることによって形成されるアンテナコイル12と、アンテナコイル12と通信処理部13とを電気的に接続する端子部14とが実装されている。
【0030】
ここでは、ループアンテナ11は、
図2に示すように略矩形状をなし、外形に沿ってアンテナコイル12の1本の導線が周回されている基本的な構造のものとして、アンテナ装置1の構成を説明する。
【0031】
ループアンテナ11は、アンテナコイル12が周回する主面が、通信時にリーダライタ120とXY面において対向するように配置される。また、ループアンテナ11は、アンテナコイル12の中心部12aを境に、アンテナコイル12の導線を、長手方向に沿う電流の向きが同一方向に流れる方向を周回の方向とするループアンテナ11の一方側部11aと、アンテナコイル12の導線を長手方向に沿う電流の向きが逆方向に流れる周回の方向とするループアンテナ11の他方側部11bとを有する。そして、ループアンテナ11は、長手方向に沿う一側縁を金属板3側に向けて、すなわち、一方側部11a又は他方側部11bを金属板3側に向けて配置される。
【0032】
ループアンテナ11は、リーダライタ120から発信される磁界を受けると、リーダライタ120と誘導結合によって磁気的に結合され、変調された電磁波を受信して、端子部を介して受信信号を通信処理部13に供給する。
【0033】
通信処理部13は、ループアンテナ11に流れる電流により駆動し、リーダライタ120との間で通信を行う。具体的に、通信処理部13は、受信された変調信号を復調し、復調したデータを復号して、復号したデータを、当該通信処理部13が有する内部メモリに書き込む。また、通信処理部13は、リーダライタ120に送信するデータを内部メモリから読み出し、読み出したデータを符号化し、符号化したデータに基づいて搬送波を変調し、誘導結合によって磁気的に結合されたループアンテナ11を介して変調された電波をリーダライタ120に送信する。
【0034】
なお、通信処理部13は、ループアンテナ11に流れる電力ではなく、電子機器内に組み込まれたバッテリーパックや外部電源などの電力供給手段から供給された電力によって駆動してもよい。
【0035】
金属板3は、たとえば携帯電話やスマートフォン、あるいはタブレットPC等の電子機器の筐体内に設けられ、アンテナモジュール2の通信時にリーダライタ120に対向する第1の導電体を構成するものである。この第1の導電体は、たとえば
図3に示すスマートフォン130の筐体131の内面に貼付されたメタルカバー132や、
図4に示すスマートフォン133内に収納されたバッテリーパック134の金属筐体135、あるいは、
図5に示すタブレットPC136の液晶モジュールの裏面に設けられた金属板137等が相当する。以下では、主に電子機器としてスマートフォン133を例に、このスマートフォン133に収納されたバッテリーパック134の金属筐体135において、通信時にリーダライタ120に対向される主面を、第1の導電体を構成する金属板3として説明する。
【0036】
アンテナモジュール2のループアンテナ11は、スマートフォン133に組み込んだ際に、当該スマートフォン133の小型化を図りつつ、リーダライタ120との間で良好な通信特性を実現する観点から、
図6の(A)に示すような三次元直交座標系XYZのXY平面上であって、たとえばスマートフォン133の外筐体141内部に設けられたバッテリーパック134と外筐体141の内周壁141aとの空間142に配置される。具体的に、ループアンテナ11は、
図6の(B)に示すようなバッテリーパック134の金属筐体135のリーダライタ120に対向した金属板3の端部3aと、外筐体141の内周壁141aとの間に配置されている。
【0037】
ここで、
図6の(B)の断面図で示すように、スマートフォン133に配置されたバッテリーパック134の金属筐体を構成する金属板3は、電気を比較的よく流すので、外部から交流磁界が加わると渦電流が発生し、磁界を跳ね返してしまう。このような外部から交流磁界が加わるときの磁界分布を調べると、リーダライタ120と対向したバッテリーパック134の金属板3の端部3aの磁界が強いという特性を有する。
【0038】
このようなスマートフォン130の筐体131内部の磁界強度の特性を利用して良好な通信特性を実現するため、例えば
図2に示すように、Z軸と平行な中心部12aが、金属板3の端部3aと外筐体141の内周壁141aとの空間142を通過し、長手方向の一側縁を金属板3の端部3a側に向けて、すなわち、一方側部11aを金属板3の端部3a側に向けて配置される。
【0039】
このとき、ループアンテナ11は、金属板3の端部3aと接することなく、離間した位置に設けられていてもよい。このように、アンテナ装置1は、電子機器の筐体内のレイアウト上の制約から金属板3とループアンテナ11とを離間して配置した場合にも、金属板3とループアンテナ11とに亘って金属箔4を重畳させることで良好な通信特性を得ることができる。
【0040】
なお、ループアンテナ11は、金属板3と接していてもよい。さらに、ループアンテナ11は、金属板3と重畳していてもよい。このとき、ループアンテナ11は、後述する金属箔4が重畳する一方側部11aと金属板3とが重畳すればよく、他方側部11bまで金属板3と重畳しないように設けられる。他方側部11bと金属板3とが重畳すると却って他方側部11bとリーダライタ120の磁束との誘導結合が阻害されるおそれがある。
【0041】
ループアンテナ11と金属板3との間には、金属板3(第1の導電体)と重畳又は接触するとともに、ループアンテナ11のリーダライタ120と対向する面と反対側の面と、少なくとも一部が重畳するシート状の第2の導電体となる金属箔4が設けられている。金属箔4は、ループアンテナ11の一部に重畳することにより、重畳するループアンテナ11の一部において磁界を跳ね返すことにより重畳する領域における誘導結合を抑制し、また、重畳していない領域への磁束の集中を促し、通信性能の向上を図る。
【0042】
すなわち、ループアンテナ11を通過するリーダライタからの磁束が、コイルの導線が一方向に周回する一方側部11aとコイルの導線が他方向に周回する他方側部11bとで、反対方向の電流を生じさせ、その結果、効率よく結合させることができない。
【0043】
そこで、アンテナ装置1は、金属箔4をループアンテナ11のリーダライタ120と対向する面と反対側の面と一部重畳させることで、重畳領域における磁界を跳ね返して重畳領域における誘導結合を抑制し、重畳していない領域において発生した電流を効率よく送電することができる。また、アンテナ装置1は、金属箔4をループアンテナ11のリーダライタ120と対向する面と反対側の面と一部重畳させることで、重畳していない領域に磁束を集中させ、当該領域における効率のよい発電を促すことができる。
【0044】
また、アンテナ装置1は、金属箔4が金属板3とも重畳又は接触することにより、金属板3からの磁束を漏らさずに、金属箔4が重畳していないループアンテナ11の領域へ誘導することができ、効率のよい誘導結合を行うことができる。また、アンテナ装置1は、金属箔4が金属板3とも重畳することにより、金属板3からの漏れ磁束によって金属箔4が重畳する一部において誘導結合による電流の発生を防止することができる。
【0045】
金属箔4は、たとえば銅箔等の良導体が好ましく用いられるが、必ずしも良導体でなくともよい。また、金属箔4は、アンテナ装置1とリーダライタ120との通信周波数に応じて適宜厚さが決められ、たとえば通信周波数13.56MHzにおいては、20μm〜30μm厚の金属箔を用いることができる。
【0046】
なお、金属箔4は、金属板3やループアンテナ11と重畳していれば必ずしも接している必要はない。ただし、金属箔4は、金属板3やループアンテナ11に近接するほど結合係数にとって有利となるため、近接あるいは接触していることが好ましい。
【0047】
図7に示すように、金属箔4は、ループアンテナ11の一方側部11aの端部からアンテナコイル12の中心部12aまで重畳することが好ましい。これにより、金属箔4は、ループアンテナ11の一方側部11aにおける結合を抑制して、他方側部11bにおいて発生する電流と反対の向きの電流量を相対的に低くするとともに、ループアンテナ11の一方側部11aから他方側部11bへ磁束を誘導させ、他方側部11bにおける結合を促進させ、通信特性の向上を図ることができる。
【0048】
また、
図7に示すように、金属箔4は、ループアンテナ11の一方側部11aの長手方向以上の幅を有し、ループアンテナ11の一方側部11aを長手方向に亘って全て重畳することが好ましい。これによっても、金属箔4は、ループアンテナ11の一方側部11aにおける誘導結合を抑制し、他方側部11bにおいて発生する電流と反対の向きの電流量を相対的に低くするとともに、ループアンテナ11の一方側部11aから他方側部11bへ磁束を誘導させ、他方側部11bにおける結合を促進させ、通信特性の向上を図ることができる。
【0049】
ここで、以上の説明では、無線通信システム100に備えられたアンテナ装置1にループアンテナ11は、
図2に示すように略矩形状をなし、外形に沿ってアンテナコイル12の導線が周回されている基本的な構造のものとして、アンテナ装置1の構成を説明したが、スマートフォン130などの携帯機器では、その内部構造上、金属板の端部は携帯機器そのものの端部と一致していることが多く、また、金属板や金属物が多層となることが多く、対向するアンテナから遠い層による影響で実質的に端部に配置した効果が得られないので、本発明を適用したアンテナ装置1では、対向する上記リーダライタ120のアンテナ121から遠い位置に配置された金属物111の表面に磁性シート110を配置したものとされる。
【0050】
すなわち、本発明を適用したアンテナ装置1におけるループアンテナ11のアンテナコイル12は、例えば
図8に示すように、金属物111や金属板112が多層に配設された電子機器例えばスマートフォン130に適用され、対向する上記リーダライタ120のアンテナ121から遠い位置に配置された金属物、例えば非磁性金属からなるカバー111の内壁表面に磁気シールド機能を有する金属シートからなる磁性シート110が貼り付けられている。上記磁性シート110は、上記ループアンテナ11のアンテナコイル12の中心ラインから上記非磁性金属からなるカバー111の先端まで覆うことが好ましい。
【0051】
上記アンテナコイル12は、
図9に示すように、その中心部12aが上記磁性シート110の端部110Aに位置することにより、その中心ラインで上記ループアンテナ11の一方側部11aと他方側部11bに二分され、上記ループアンテナ11の一方側部11aが上記磁性シート110と対向し、上記ループアンテナ11の他方側部11bが他の金属板112等を介して上記非磁性金属からなるカバー111と対向する状態となっている。
【0052】
このように対向する上記リーダライタ120のアンテナ121から遠い位置に配置された金属物111の表面に磁性シート110を配置してなるアンテナ装置1では、
図9に示すように、上記リーダライタ120のアンテナ121から発信される磁界Hを、上記磁性シート110に上記アンテナコイル12の中央開口部を介して、確実に引き込むことができる。
【0053】
ここで、
図9に示すループアンテナ11では、アンテナコイル12の中央開口部に磁性シート20が差し込まれている。すなわち、ループアンテナ11の一方側部11aではアンテナコイル12が磁性シート20よりもリーダライタ120側に位置し、他方側部11bでは磁性シート20がアンテナコイル12よりもリーダライタ120側に位置するように、磁性シート20が、アンテナコイル12の中心部12aに形成された中央開口部に差し込まれている。
【0054】
このループアンテナ11は、アンテナコイル12の中心部12aに長手方向に亘って中央開口部が形成され、この開中央口部に磁性シート20が差し込まれた構造となっている。すなわち、上記磁性シート20が、プリント基板上に形成された上記アンテナコイル12の中心部12aに差し込まれることで、上記リーダライタ120と対向する中央開口部側では該磁性シート20が上記アンテナコイル12よりも上記リーダライタ120側に位置する配置条件と、上記磁性シート110側では該アンテナコイル12が該磁性シート20よりも該リーダライタ120側に位置する配置条件との両方の配置条件を満たすようにして、該アンテナコイル12と該磁性シート20とが互いに重畳されている。
【0055】
このようにアンテナコイル12の中央開口部に磁性シート20を挿入することにより、アンテナ121から発信される磁界Hをさらに効率よく引き込むことができ、導かれた磁界によって、アンテナコイル12には大きな起電力を生じるので、通信特性をより向上させることができる。
【0056】
ここで、このような構成のアンテナ装置1について、
図10の(A),(B),(C)に示すように磁性シート110の大きさを変えて、対向するリーダライタ120のアンテナ121をY方向に移動させた場合の結合係数をシミュレーションで求めた結果を
図11に示す。
【0057】
このシミュレーションにおいて、リーダライタ120のアンテナ121は外形66mm×100mmの2巻コイルである。上記リーダライタ120のアンテナ121から遠い位置に配置された金属物111は、120mm×60mm×0.3mm厚のステンレスとした。NFCアンテナコイルすなわちループアンテナ11のアンテナコイル12は40mm×8mmである。上記金属物111からリーダライタ120のアンテナ121までの距離は5mmである。そして、上記金属物111の内壁表面に貼り付け磁性シート110の大きさを、
図10の(A)に示す10mm×60mmとしたサンプル1、(B)に示す30mm×60mmとしたサンプル2、(C)に示す50mm×60mmとしたサンプル3について、評価した。
【0058】
上記サンプル1〜3について対向するリーダライタ120のアンテナ121をY方向に移動させた場合の結合係数をシミュレーションで求めた結果を
図11に示すように、上記金属物111の先端からNFCアンテナコイルすなわちループアンテナ11のアンテナコイル12の中心までの長さの磁性シート110を配置することにより、最も良好な特性を得ることができる。
【0059】
なお、アンテナコイル12の中央開口部に磁性シート20を挿入する代わりに、
図12の(A)に示すように、上記アンテナコイル12よりも上記磁性シート110側に位置し、上記アンテナコイル12の一方側部11aと対向するように配置された磁性シート20a、又は、
図12の(B)に示すように、アンテナコイル12よりもリーダライタ120側に位置し、上記アンテナコイル12の他方側部11bと対向するように配置された磁性シート20bを備える構造であっても、上記アンテナ121から発信される磁界Hをアンテナコイル12に効率よく引き込むことができ、通信特性をより向上させることができる。