(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなワイパアームでは、アームヘッドとリテーナとが回動可能に連結される回動部を有するため、その連結部分の境目や回動軸のピンが外観を損ねるという問題があった。
【0005】
尚、ワイパ固定軸自体を傾動可能とし、スプリングによってワイパ固定軸を付勢し、リテーナの先端側を車両の払拭面側に付勢させる構成が考えられるが、リテーナは、板材から断面コ字状に形成され、容易に形成することができるものの厚さが薄肉で一定であるため、リテーナにワイパ固定軸が強固に固定される軸固定部を形成することは困難であった。即ち、ワイパ固定軸が貫通される貫通孔が形成され該ワイパ固定軸が固定される軸固定部を構成するには、ある程度の厚みが必要であり、単一の板材からリテーナとともに軸固定部を形成するといったことは困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ワイパ固定軸に強固に固定することができるとともに、美観を向上させることができるワイパアームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するワイパアームは、
傾動可能に構成されワイパアーム付勢部材により付勢力が付与されているワイパ固定軸が貫通される貫通孔が形成され該ワイパ固定軸に固定される軸固定部と該軸固定部から軸直交方向に延びるヘッド延設部とを有するヘッド部材と、板材からなり、前記ヘッド部材の上面及び側面を覆う被覆部と、前記被覆部から前記ヘッド延設部の延びる方向に更に延びるアーム部と、前記被覆部から延びて前記ヘッド延設部の下面を抱える腕部とを有するアーム部材とを備え
ており、前記ヘッド部材には、前記貫通孔に対して前記ヘッド延設部の延びる側とは反対側に、前記アーム部材と軸方向に係合可能な反対側係合部が形成される。
【0008】
同構成によれば、ワイパ固定軸が貫通される貫通孔が形成され該ワイパ固定軸に固定される軸固定部と該軸固定部から軸直交方向に延びるヘッド延設部とを有するヘッド部材を備えるため、ワイパ固定軸に対して強固に固定することができる。そして、板材からなり、ヘッド部材の上面及び側面を覆う被覆部と、被覆部からヘッド延設部の延びる方向に更に延びるアーム部と、被覆部から延びてヘッド延設部の下面を抱える腕部とを有するアーム部材を備えるため、ヘッド部材に強固に固定することができるとともに、回動部を有する(従来の)ワイパアームに比べて、美観を向上させることができる。
【0010】
同構成によれば、ヘッド部材には、貫通孔に対してヘッド延設部の延びる側とは反対側に、アーム部材と軸方向に係合可能な反対側係合部が形成されるため、例えば、アーム部を起こす力が掛かった際に、ヘッド延設部及び腕部側でない側でも上記力をヘッド部材の反対側係合部で受けることができる。これにより、反対側係合部が形成されていないものに比べて、局部的にかかる力を分散させることができ、変形を抑えることができる。
【0011】
上記課題を解決するワイパアームは、傾動可能に構成されワイパアーム付勢部材により付勢力が付与されているワイパ固定軸が貫通される貫通孔が形成され該ワイパ固定軸に固定される軸固定部と該軸固定部から軸直交方向に延びるヘッド延設部とを有するヘッド部材と、板材からなり、前記ヘッド部材の上面及び側面を覆う被覆部と、前記被覆部から前記ヘッド延設部の延びる方向に更に延びるアーム部と、前記被覆部から延びて前記ヘッド延設部の下面を抱える腕部とを有するアーム部材とを備えており、前記貫通孔は、該貫通孔の貫通軸に対して先端側が前記ヘッド延設部の延びる側に傾いた状態の前記ワイパ固定軸を挿通可能とする孔拡大部を有する。
同構成によれば、ワイパ固定軸が貫通される貫通孔が形成され該ワイパ固定軸に固定される軸固定部と該軸固定部から軸直交方向に延びるヘッド延設部とを有するヘッド部材を備えるため、ワイパ固定軸に対して強固に固定することができる。そして、板材からなり、ヘッド部材の上面及び側面を覆う被覆部と、被覆部からヘッド延設部の延びる方向に更に延びるアーム部と、被覆部から延びてヘッド延設部の下面を抱える腕部とを有するアーム部材を備えるため、ヘッド部材に強固に固定することができるとともに、回動部を有する(従来の)ワイパアームに比べて、美観を向上させることができる。
又、貫通孔は、該貫通孔の貫通軸に対して先端側がヘッド延設部の延びる側に傾いた状態のワイパ固定軸を挿通可能とする孔拡大部を有するため、傾動可能とされるとともに付勢されたワイパ固定軸への組み付けが容易となる。即ち、ワイパ固定軸は、ワイパアームが固定されていない状態で車両に取り付けられ、その状態ではワイパアームを付勢するための付勢力により傾いた状態となる。よって、孔拡大部がないと、ワイパ固定軸を付勢力に抗して起こしながら貫通孔に挿通する必要があり組み付け難いが、傾いた状態のワイパ固定軸を貫通孔に挿通することができるため、組み付けが容易となる。尚、傾いた状態のワイパ固定軸を貫通孔に挿通した後、ワイパアームの先端側のブレードラバーを払拭面に当接させた状態でワイパ固定軸にナットを螺合させていくと、前記貫通軸に対するワイパ固定軸の傾きが解消されるようにワイパ固定軸は起き上がり且つブレードラバーは払拭面に押圧接触されることになる。
上記ワイパアームにおいて、前記ヘッド延設部は、略四角柱形状に形成され、前記被覆部と対向する各側面に、自身が延びる方向に一対の側面凸部が形成されることが好ましい。
【0012】
同構成によれば、ヘッド延設部は、略四角柱形状に形成され、前記被覆部と対向する各側面に、自身が延びる方向に一対の側面凸部が形成されるため、一対の側面凸部を板材からなる被覆部に良好に当接(圧接)させることができ、該部分でのヘッド部材とアーム部材とのがたつきを抑えることができる。即ち、ヘッド延設部の側面を平面とすると、被覆部と面接触させることが難しいことから、安定しない隙間が生じてがたつきが生じる虞があるが、これを回避するように一対の側面凸部に被覆部を当接させることで、がたつきを抑えることができる。
【0013】
上記ワイパアームにおいて、前記ヘッド延設部は、略四角柱形状に形成され、前記被覆部と対向する上面の四隅に上面凸部が形成されることが好ましい。
同構成によれば、ヘッド延設部は、略四角柱形状に形成され、前記被覆部と対向する上面の四隅に上面凸部が形成されるため、四隅の上面凸部を板材からなる被覆部に良好に当接(圧接)させることができ、該部分でのヘッド部材とアーム部材とのがたつきを抑えることができる。即ち、ヘッド延設部の上面を平面とすると、被覆部と面接触させることが難しいことから、安定しない隙間が生じてがたつきが生じる虞があるが、これを回避するように四隅の上面凸部に被覆部を当接させることで、がたつきを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のワイパアームでは、ワイパ固定軸に強固に固定することができるとともに、美観を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両用ワイパ装置の一実施形態を
図1〜
図9に従って説明する。
図1及び
図2に示すように、車両用ワイパ装置は、駆動源としての図示しないワイパモータからの動力が入力されることで駆動軸部1の回動軸A1中心で揺動する揺動レバー2と、該駆動軸部1及び揺動レバー2と一体回動可能に設けられるワイパアーム付勢部材Fと、該ワイパアーム付勢部材Fに固定されるワイパ3とを備える。
【0019】
駆動軸部1は、車体に固定される略筒状のピボットホルダ4によって回動軸A1中心で回転可能に支持され、ピボットホルダ4から上方に突出した先端部に揺動レバー2の基端部がかしめ固定されている。詳しくは、本実施形態の揺動レバー2は、板状のレバーであって、その基端部にレバー固定孔2aが形成されている。そして、揺動レバー2は、レバー固定孔2aに駆動軸部1の先端部が貫通されその先端部がかしめられることで駆動軸部1と一体回動するように回り止め状態とされて固定されている。
【0020】
前記揺動レバー2は、リンク機構の一部であって、その先端部がワイパモータに連結されたリンクに連結され、該リンクから動力が入力されることで駆動軸部1の軸中心(回動軸A1)で所定角度で揺動する。
【0021】
又、
図3に示すように、揺動レバー2の基端部において、前記レバー固定孔2aの近傍位置には、その貫通方向から見て該レバー固定孔2aを挟むように一対の締結孔2b(
図3中、一つのみ図示している)が形成されている。そして、揺動レバー2の締結孔2bが形成された部位には、ワイパアーム付勢部材Fの揺動部材5が固定されている。
【0022】
図1、
図3及び
図4に示すように、ワイパアーム付勢部材Fは、前記揺動レバー2に固定される揺動部材5、揺動部材5に前記駆動軸部1の回動軸A1とねじれの位置関係にある傾動軸B1中心で傾動可能に支持される傾動部材6と、揺動部材5に一端が支持され傾動部材6に付勢力を付与する付勢部材としての圧縮ばね(詳しくは、圧縮コイルばね)7とを有する。
【0023】
詳述すると、揺動部材5は、板材からなり、挿通孔5aが形成された略四角形の板状の挿通板部5bと、該挿通板部5bの両側で折曲されて立設されるとともに該挿通板部5bの平面に沿って平行に延びる一対の側壁部5cと、各側壁部5cの先端側で互いに離間する方向に折曲され、その中央に締結孔5dが形成された固定部5eとを有する。尚、挿通孔5aは、挿通板部5bから下方に突出する筒部が形成されるようにバーリング加工により形成されている。そして、揺動部材5は、固定手段としての固定部5eの締結孔5dと揺動レバー2の締結孔2bとを貫通してナット8に螺合されるねじ9によって、揺動レバー2の締結孔2bが形成された部位に締結固定されている。
【0024】
そして、一対の側壁部5cにおける中間部には、軸ピン10が両側壁部5cに渡るように固定され、該軸ピン10には傾動部材6の中央部6aが前記傾動軸B1中心で傾動(回動)可能に支持されている。
【0025】
傾動部材6には、前記中央部6aから前記傾動軸B1の直交方向の一方に延びる傾動部6bが設けられ、該傾動部6bにはワイパ固定部としてのワイパ固定軸6cが立設されている。本実施形態のワイパ固定軸6cは、前記駆動軸部1と同軸状に設けられている。尚、ここで言う同軸状とは、傾動部材6の傾動角度によっては、駆動軸部1の回動軸(軸中心)A1とワイパ固定軸6cの軸中心A2とが一直線上に並ぶということである。そして、ワイパ固定軸6cにはワイパ3の基端側を構成する後述するワイパアーム11の基端部が固定される。尚、ワイパ3は、ワイパアーム11とその先端側に連結される図示しないワイパブレードとを備えている。
【0026】
又、傾動部材6には、前記中央部6aから前記傾動部6bの反対側であって、固定された前記ワイパアーム11の延出側に延びた引き込み部6dが形成されている。そして、引き込み部6dには、ロッド部材12の基端部が前記傾動軸B1と平行な平行軸B2中心で回動可能に支持されている。このロッド部材12は、前記挿通板部5bの挿通孔5aを挿通して下方に延びるように配置されている。又、ロッド部材12の先端部には、その延びる方向の直交方向に突出した一対の被付勢部12aが形成されている。
【0027】
そして、前記圧縮ばね7は、圧縮した状態で、一端(上端)が前記挿通板部5bの下面に支持され、他端(下端)が前記被付勢部12aに平ワッシャ13を介して当接して該ロッド部材12の先端側に下方に向かう付勢力を付与することで、ワイパアーム11の先端側を払拭面側(下側)に付勢すべく引き込み部6dを引き込むように作用する。
【0028】
又、前記揺動部材5には、前記圧縮ばね7の圧縮直交方向における前記駆動軸部1と対向しない側を覆うばねカバー部5fが設けられている。詳しくは、ばねカバー部5fは、前記挿通板部5bにおける前記駆動軸部1から最も離間した位置から下方に折曲された外カバー部5gと、該外カバー部5gの両側から前記圧縮ばね7を囲うように前記駆動軸部1側に折曲された側カバー部5hとを有する。即ちばねカバー部5fの断面は前記駆動軸部1側が開口した略コ字状に形成され、その内側に前記圧縮ばね7が略収容されている。
【0029】
又、一対の側カバー部5hにおける先端側(下端側)には、規制部としてのピン14が両側カバー部5hに掛け渡されて固定されている。又、前記ロッド部材12の先端部には、ロッド部材12の長手方向に延びて先端が開放されたスリット12bが形成され、該スリット12bにピン14が挿通されることで、ロッド部材12の先端部の引き込み方向(下方向)の移動が許容されるとともにロッド部材12の平行軸B2周りの自由な回動が規制されている。このピン14の位置は、前記挿通孔5aの貫通方向から見て該挿通孔5aの中心位置と一致する位置であって、ロッド部材12は駆動軸部1と略平行な軸に沿った移動が許容され、圧縮ばね7は圧縮方向が駆動軸部1と平行となるように設けられている。
【0030】
又、
図1に示すように、本実施形態の傾動部材6には、揺動部材5と傾動部材6との連結部分(中央部6aの部分)の上部を覆うゴム弾性カバー15が固定されている。
詳しくは、
図1、
図2及び
図5に示すように、ゴム弾性カバー15は、中央に固定孔15aが形成された略円盤状の円盤部15bと、該円盤部15bの上面の外縁から上方に延設された環状の壁部15cと、前記壁部15cの内側の前記円盤部15bの一部から下方に筒状に貫通して延びる排水部15dとを有する。
【0031】
図1に示すように、固定孔15aの内周面には、環状で貫通方向に複数の圧接凸部15eが形成されている。そして、ゴム弾性カバー15は、固定孔15aにワイパ固定軸6cが貫通されることで該ワイパ固定軸6c周りに液密に固定される。この際、前記圧接凸部15eは、ワイパ固定軸6cに形成された環状凹部6eに入り込んで圧接することで、ゴム弾性カバー15からワイパ固定軸6cが抜けることと、ワイパ固定軸6cを伝って下方に液体が浸入することが抑制されている。そして、前記円盤部15bによって揺動部材5と傾動部材6との連結部分の上部が覆われている。又、本実施形態の排水部15dは、前記ピボットホルダ4の略中間位置まで延びて形成されている。又、排水部15dは、前記駆動軸部1に対して前記ワイパアーム11の延出側(引き込み部6dや圧縮ばね7が設けられる側であって、
図1中、右側)の反対側(
図1中、左側)に設けられている。
【0032】
又、本実施形態のゴム弾性カバー15は、円盤部15bの外縁から延出して前記引き込み部6dと前記ロッド部材12との連結部分の上部を覆う引き込み連結カバー部15fを有している。本実施形態の引き込み連結カバー部15fは、前記挿通板部5bを上方から覆い隠すように形成され、前記挿通孔5aをも覆っている。
【0033】
又、
図1及び
図6に示すように、本実施形態のワイパアーム11は、ヘッド部材21とアーム部材22とを備えている。
図1、
図7及び
図8に示すように、ヘッド部材21は、アルミ合金よりなり、ワイパ固定軸6cが貫通される貫通孔21aが形成され該ワイパ固定軸6cに固定される軸固定部21bと該軸固定部21bから軸直交方向に延びるヘッド延設部21cとを有する。軸固定部21bは、中央に貫通孔21aが形成された略円盤状に形成され、その下面の外縁から下方に突出する筒部21dを有している。又、軸固定部21bの貫通孔21aは、ワイパ固定軸6cの中間部に形成された縮径部6fに応じた形状であって、上方に向かうほど径が小さくなる縮径部21eを有している。そして、ヘッド部材21は、貫通孔21aにワイパ固定軸6cが貫通され、貫通孔21aから突出したワイパ固定軸6cの先端に図示しないナットが締め付けられることで、ワイパ固定軸6cに対して回り止め状態で固定される。
【0034】
又、ヘッド延設部21cは、軸固定部21bの外縁の片側(略180°の範囲)から軸直交方向に延びるとともに上方への厚みが大きくされた略四角柱形状に形成されている。ヘッド延設部21cの各側面には、ヘッド延設部21cが延びる方向に一対の側面凸部21fが形成されている。又、ヘッド延設部21cの上面の四隅には、上面凸部21gが形成されている。
【0035】
又、軸固定部21bにおいて、前記貫通孔21aに対して前記ヘッド延設部21cの延びる側とは反対側には、後述するアーム部材22と軸方向に係合可能な反対側係合部21hが形成されている。本実施形態の反対側係合部21hは、軸固定部21bの外縁の一部から軸直交方向に一定の突出量で突出している。
【0036】
図1及び
図6に示すように、アーム部材22は、金属製(鉄製)の板材からなり、前記ヘッド部材21の上面及び側面を覆う被覆部22aと、その被覆部22aからヘッド延設部21cの延びる方向に更に延びる(先に図示しないワイパブレードが連結される)アーム部22bと、被覆部22aから延びてヘッド延設部21cの下面を抱える腕部22cとを有する。
図6及び
図9に示すように、本実施形態の腕部22cは、被覆部22aの両側部から一対形成されている。そして、腕部22cが被覆部22aの側部から折曲されていない状態で被覆部22a内にヘッド部材21が収容され、その後、腕部22cが内側に折曲されることでヘッド延設部21cの下面が抱えられてアーム部材22がヘッド部材21に固定されている。尚、この際、前記側面凸部21f及び前記上面凸部21gは前記被覆部22aの内面に圧接される。
【0037】
又、アーム部材22において、前記反対側係合部21hと対向した位置には、切り欠き部22dが形成され、反対側係合部21hは切り欠き部22dに嵌ることになる。これにより、例えば、アーム部22bを起こす力が掛かった際には、アーム部材22の切り欠き部22dと反対側係合部21hとが軸方向に係合して、ヘッド延設部21c及び腕部22c側でない側でも上記力がヘッド部材21(反対側係合部21h)で受け止められることになる。
【0038】
又、アーム部材22の被覆部22aにおける前記貫通孔21aと対応した位置には、開口22eが形成され、該開口22eには、ワイパアーム11がワイパ固定軸6cに固定された後に、図示しないキャップが嵌着され開口22eが閉塞されることになる。
【0039】
次に、上記のように構成された車両用ワイパ装置の作用について説明する。
ワイパモータが駆動されると、駆動軸部1及び揺動レバー2と共にワイパアーム付勢部材Fが一体的に往復回動され、ワイパアーム付勢部材Fに固定されたワイパ3にて払拭面の払拭動作が行われる。
【0040】
このとき、ワイパ3のワイパアーム11自体には、ワイパブレードを払拭面側に押圧接触させるための付勢部材が設けられていないが、ワイパアーム付勢部材Fの作用によりワイパ3全体が付勢され、ワイパブレードが払拭面に押圧接触される。これにより、払拭面に沿った良好な払拭動作が行われる。
【0041】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)ワイパ固定軸6cが貫通される貫通孔21aが形成され該ワイパ固定軸6cに固定される軸固定部21bと該軸固定部21bから軸直交方向に延びるヘッド延設部21cとを有するヘッド部材21を備えるため、ワイパ固定軸6cに対して強固に固定することができる。又、板材からなり、ヘッド部材21の上面及び側面を覆う被覆部22aと、被覆部22aからヘッド延設部21cの延びる方向に更に延びるアーム部22bと、被覆部22aから延びてヘッド延設部21cの下面を抱える腕部22cとを有するアーム部材22を備える。よって、ヘッド部材21に強固に固定することができるとともに、回動部を有する(従来の)ワイパアームに比べて、美観を向上させることができる。尚、勿論、このワイパアーム11は、自身の途中に回動部及び付勢部材を有していないものであって、ワイパアーム付勢部材Fの作用により全体が付勢されることが前提となっている。
【0042】
(2)ヘッド部材21には、貫通孔21aに対してヘッド延設部21cの延びる側とは反対側に、アーム部材22(切り欠き部22d)と軸方向に係合可能な反対側係合部21hが形成されるため、例えば、アーム部22bを起こす力が掛かった際に、ヘッド延設部21c及び腕部22c側でない側でも上記力をヘッド部材21の反対側係合部21hで受けることができる。これにより、反対側係合部21hが形成されていないものに比べて、局部的にかかる力を分散させることができ、変形を抑えることができる。
【0043】
(3)ヘッド延設部21cは、略四角柱形状に形成され、アーム部材22の被覆部22aと対向する各側面に、自身が延びる方向に一対の側面凸部21fが形成されるため、一対の側面凸部21fを板材からなる被覆部22aに良好に当接(圧接)させることができ、該部分でのヘッド部材21とアーム部材22とのがたつきを抑えることができる。即ち、ヘッド延設部21cの側面を平面とすると、被覆部22aと比較的大きな面で面接触させることになって難しいことから、安定しない隙間が生じてがたつきが生じる虞があるが、これを回避するように一対の側面凸部21fに被覆部22aを当接させることで異なる位置でそれぞれ局所的に面接触させることができ、がたつきを抑えることができる。
【0044】
(4)ヘッド延設部21cは、略四角柱形状に形成され、アーム部材22の被覆部22aと対向する上面の四隅に上面凸部21gが形成されるため、四隅の上面凸部21gを板材からなる被覆部22aに良好に当接(圧接)させることができ、該部分でのヘッド部材21とアーム部材22とのがたつきを抑えることができる。即ち、ヘッド延設部21cの上面を平面とすると、被覆部22aと比較的大きな面で面接触させることになって難しいことから、安定しない隙間が生じてがたつきが生じる虞があるが、これを回避するように四隅の上面凸部21gに被覆部22aを当接させることで異なる位置でそれぞれ局所的に面接触させることができ、がたつきを抑えることができる。
【0045】
(5)腕部22cは、被覆部22aの両側部から一対形成されるため、例えば、片方の側部からのみ形成された構成に比べて、アーム部材22をヘッド部材21に強固に固定することができる。
【0046】
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、軸固定部21bは、その下面の外縁から下方に突出する筒部21dを有するとしたが、これに限定されず、筒部21dを有していない軸固定部に変更してもよい。
【0047】
例えば、
図10に示すように、変更してもよい。この例では、軸固定部31に上記実施形態の筒部21dが形成されていない。又、貫通孔21aの軸方向の長さを確保すべく軸固定部31の下面における貫通孔21a周りに下方に膨出した膨出部31aが形成されている。又、この例では、ヘッド延設部32の下面に腕部22cを収容するための凹部33が形成されている。このようにしても、上記実施形態の効果と略同様の効果を得ることができる。
【0048】
・上記実施形態では、ヘッド部材21には、貫通孔21aに対してヘッド延設部21cの延びる側とは反対側に、アーム部材22(切り欠き部22d)と軸方向に係合可能な反対側係合部21hが形成されるとしたが、これに限定されず、反対側係合部21hが形成されていない構成としてもよい。又、反対側係合部21hは、貫通孔21aに対してヘッド延設部21cの延びる側とは反対側に、アーム部材22と軸方向に係合可能に設けられれば、他の形状の反対側係合部に変更してもよい。例えば、反対側係合部は、アーム部材22の被覆部22aの内部で該被覆部22aと軸方向に係合可能に設けられたものとしてもよい。尚、この場合、切り欠き部22dを形成する必要はない。
【0049】
・上記実施形態では、ヘッド延設部21cは、略四角柱形状に形成されるとしたが、これに限定されず、例えば、上方が開口した断面コ字形状等、他の形状のものに変更してもよい。
【0050】
・上記実施形態では、ヘッド延設部21cは、アーム部材22の被覆部22aと対向する各側面に、自身が延びる方向に一対の側面凸部21fが形成されるとしたが、これに限定されず、側面凸部21fが形成されていないヘッド延設部としてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、ヘッド延設部21cは、アーム部材22の被覆部22aと対向する上面の四隅に上面凸部21gが形成されるとしたが、これに限定されず、上面凸部21gが形成されていないヘッド延設部としてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、腕部22cは、被覆部22aの両側部から一対形成されるとしたが、これに限定されず、例えば、片方の側部からのみ形成された構成としてもよい。
・上記実施形態では、ヘッド部材21の貫通孔21aは、下端から上方に向かうほど径が小さくなる縮径部21eと、該縮径部21eから一定の径で上端まで延びる孔上部とを有する形状としたが、貫通孔21aの形状は変更してもよい。
【0053】
例えば、
図11〜
図14に示すように、変更してもよい。この例のヘッド部材41の軸固定部41aにおける貫通孔41bは、下端から上方に向かうほど径が小さくなる縮径部41cと、該縮径部41cから上端まで延びる孔上部41dとを有する。そして、孔上部41dは、貫通孔41bの貫通軸Z(
図13参照)に対して先端側がヘッド延設部41eの延びる側に傾いた状態のワイパ固定軸6cを挿通可能とする孔拡大部41fを有している。
【0054】
詳しくは、
図13に示すように、ワイパ固定軸6cは、ワイパアーム11(ヘッド部材41)が固定されていない状態で車両に取り付けられ、その状態ではワイパアーム11を付勢するための(上記圧縮ばね7による)付勢力により傾いた状態となる。又、ワイパアーム11(ヘッド部材41)は、先端側(ブレードラバー)が払拭面に当接するため、貫通孔41bの貫通軸Zをワイパ固定軸6cの傾きに一致させて該貫通孔41bにワイパ固定軸6cを挿通することはできない場合がある。そこで、この例の貫通孔41bの孔上部41dには、貫通孔41bの貫通軸Zに対して先端側がヘッド延設部41eの延びる側に10°傾いた状態のワイパ固定軸6cを挿通可能とする孔拡大部41fが形成されている。孔拡大部41fは、軸方向に一定の径の孔から
図13に示すように傾いたワイパ固定軸6cの先端側が挿通可能となる分だけ内周面が傾斜面となるように部分的に削除された形状とされている。
【0055】
又、ヘッド延設部41eは、上記実施形態と同様に、軸固定部41aの外縁の片側(略180°の範囲)から軸直交方向に延びるとともに上方への厚みが大きくされた略四角柱形状に形成されるが、厚みが大きくされた部位の軸固定部41a側の内壁面が、前記孔拡大部41fと同様に傾斜した傾斜面41gとされている。これにより、ナット42を螺合させるための工具43の衝突を抑えることができるとともに、作業者が視覚的に工具43を傾けて使用し易くなり、作業性が向上する。
【0056】
そして、この例では、孔拡大部41fによりワイパアーム11(ヘッド部材41)のワイパ固定軸6cへの組み付けが容易となる。即ち、孔拡大部41fがないと、ワイパ固定軸6cを付勢力に抗して起こしながら貫通孔に挿通する必要があり組み付け難いが、傾いた状態のワイパ固定軸6cを貫通孔41bに挿通することができるため、組み付けが容易となる。尚、傾いた状態のワイパ固定軸6cを貫通孔41bに挿通した後、
図13に示すように、ワイパアーム11の先端側のブレードラバー(図示略)を払拭面に当接させた状態でワイパ固定軸6cにナット42を螺合させていくと、貫通軸Zに対するワイパ固定軸6cの傾きが解消されるようにワイパ固定軸6cは起き上がり且つブレードラバーは払拭面に押圧接触されることになる(
図14参照)。又、このとき、ワイパ固定軸6cの縮径部6f(ローレット部)は貫通孔41bの縮径部41cに圧接されて互いの周り止めがなされることになる。より詳細には、貫通孔41bの縮径部41cは貫通軸Zと同心状に形成されているため、ワイパ固定軸6cにナット42を螺合させていくと、縮径部6f(ローレット部)と縮径部41cの全内周面とが互いに圧接され、互いの周り止めがしっかりとなされる。
【0057】
上記各実施形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ
)前記腕部は、前記被覆部の両側部から一対形成されたことを特徴とす
る。
【0058】
同構成によれば、腕部は、被覆部の両側部から一対形成されるため、例えば、片方の側部からのみ形成された構成に比べて、アーム部材をヘッド部材に強固に固定することができる。