(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各住宅に設置され、密閉容器に収納されたリチウムイオン電池の発熱に起因して発煙した煙を取り込み、その濃度を検出し、検出した濃度が予め設定した閾値を越えたならば電池火災の発生であることを警報信号として出力する電池用警報器と、各住宅に設置された煙感知等の火災警報器と、手動操作して火災発生を通報する火災通報器とから成る警報器群からの警報信号を受信すると共に、当該地域の気象情報をインタネットを通じて取得し、各住宅から受信した警報信号に基づき電池火災か、電池火災以外の住宅火災であるかを判定する判定手段を備えた管理サーバと、各住宅に設置された前記リチウムイオン電池の設置エリアへの第1散水手段、屋根用の第2散水手段、太陽電池パネル用の第3散水手段、樹木エリアの樹木に対して潅水するための第4散水手段と、これら散水手段に対して給水するための貯水手段とを備え、
前記管理サーバの前記判定手段が、電池火災の発生であると判定した場合、該当住宅に設置された前記第1散水手段及び第2散水手段、第3の散水手段による散水を指示すると共に近隣住民及び消防機関に通知する手段と、前記火災警報器または火災通報器からの通報に基づく住宅火災の発生であると判定した場合、該当住宅に設置された前記第2散水手段、第3の散水手段による散水を指示すると共に近隣住民及び消防機関に通知する手段と、電池火災および住宅火災のいずれも発生していない平時においては、前記貯水手段に対して所定の貯水量を維持させると共に、前記インタネットから取得した当該地域の気象情報に基づき該当住宅に植栽された樹木への潅水を第4の散水手段に指示する手段とを備えることを特徴とする総合防災管理システム。
前記管理サーバの前記判定手段が、住宅の外気温度、屋根または太陽電池パネルへの積雪状態を検出し、検出結果に応じて、前記屋根用の第2の散水手段に対して散水を指示する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の総合防災管理システム。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な産業分野において、リチウムイオン電池を使用して電力を蓄電し、その電力を住宅用の電力あるいは自動車や航空機などで使用するようになってきている。
図10は、太陽電池パネル901の出力、またはガス発電装置902の出力をリチウムイオン電池903に蓄電し、パワーコントローラ904で住宅用の電力に変換し、配電盤95を通じて住宅用電気機器96に給電すると共に、住宅内で使用しきれない余剰電力は電力会社97に売電するようにした住宅用発電装置90の構成を示すものである。
【0003】
しかし、このようにして使用されるリチウムイオン電池903は小型で高出力化が可能である反面、過負荷または過充電により、発熱し、その発熱状態が長時間継続すると外装が破壊されて発煙し、ついには火災となってしまう危険性がある。
詳しくは、
図11の発煙に至る説明図に示すように、過負荷または過充電などの原因(ステップ101)が発生すると、時間経過に伴って発熱し(ステップ102)、外装部材が発煙し始め(ステップ103)、膨張した後(ステップ104)、内部破壊(ステップ105)、外装破壊(ステップ106)となり、この状態において各部から白煙が外部に吐出され、電池火災または電池火災の前兆として確認される状態になる。
原因の発生から発煙に至るまでの経過時間Tbは、機械的破壊よりも電気的な過負荷、過充電の場合の方が長く、状況によっては数時間になることが観測されている。
【0004】
このようなリチウムイオン電池903の異状警告装置として下記の特許文献1に開示されたものがある。
一方、複数の消火ロボットを配置し火元や火元の火勢に応じて消火活動の優先順位を決め、その順位に従って消火活動を行う消火設備が下記の特許文献2に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に開示された異状警告装置は、リチウムイオン電池に異常が生じた場合、そのリチウムイオン電池が使用不可の状態になる前に異常をセンサで検出するとともに、外部にその異常を警告することのできるリチウムイオン電池における異常警告装置を提供することを目的とし、リチウムイオン電池に異常が発生するとその異常を検出する異常検出センサと、警告を発する警告装置と、上記異常検出センサが異常を検出するとこの異常検出センサから信号を受け、上記リチウムイオン電池が電力供給できなくなる一定時間以前に上記警告装置に警告を発生させる制御手段を備えた構成となっており、発煙を伴う電池火災を検出することは出来ないという問題がある。
また、特許文献2に開示された消火設備にあっては、複数の消火ロボットは火災発生時のみ稼動するようになっており、火災のない平時においては全く稼動せず、消火資源が有効に活用されていないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、リチウムイオン電池の発煙に伴う電気火災を早期に検出すると共に、煙感知器などの火災警報器または火災通報器からの通報を受けて近隣住民への通報あるいは消防署への通報を行うと共に必要な消火活動を実施し、平時においては消火活動に使用する散水ノズルを有効活用して樹木等に潅水を行い、住宅地における緑化を推進するようにし、さらには各住宅の冷房能力への補助または積雪や高温による太陽電池パネルの発電効率を上げるための散水を実施し、これらの資源をさらに有効活用することができる総合防災管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる総合防災管理システムは、各住宅に設置され、密閉容器に収納されたリチウムイオン電池の発熱に起因して発煙した煙を取り込み、その濃度を検出し、検出した濃度が予め設定した閾値を越えたならば電池火災の発生またはその前兆であることを警報信号として出力する電池用警報器と、各住宅に設置された煙感知等の火災警報器と、手動操作して火災発生を通報する火災通報器とから成る警報器群からの警報信号を受信すると共に、当該地域の気象情報をインタネットを通じて取得し、各住宅から受信した警報信号に基づき電池火災か、電池火災以外の住宅火災であるかを判定する判定手段を備えた管理サーバと、各住宅に設置された前記リチウムイオン電池の設置エリアへの第1散水手段、屋根用の第2散水手段、太陽電池パネル用の第3散水手段、樹木エリアの樹木に対して潅水するための第4散水手段と、これら散水手段に対して給水するための貯水手段とを備え、
前記管理サーバの前記判定手段が、電池火災の発生またはその前兆であると判定した場合、該当住宅に設置された前記第1散水手段及び第2散水手段、第3の散水手段による散水を適宜指示すると共に近隣住民及び消防機関に通知する手段と、前記火災警報器または火災通報器からの通報に基づく住宅火災の発生であると判定した場合、該当住宅に設置された前記第2散水手段、第3の散水手段による散水を適宜指示すると共に近隣住民及び消防機関に通知する手段と、電池火災および住宅火災のいずれも発生していない平時においては、前記貯水手段に対して所定の貯水量を維持させると共に、前記インタネットから取得した当該地域の気象情報に基づき該当住宅に植栽された樹木への潅水を第4の散水手段に指示する手段とを備えることを特徴とする。
また、前記管理サーバの前記判定手段が、住宅の外気温度、屋根または太陽電池パネルへの積雪状態を検出し、検出結果に応じて、前記屋根用の第2の散水手段に対して散水を指示する手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リチウムイオン電池の発煙に伴う電気火災の発生またはその前兆を早期に検出すると共に、煙感知器などの火災警報器または火災通報器からの通報を受けて近隣住民への通報あるいは消防署への通知を行うと共に屋根などに設置した散水手段により必要な消火活動を実施し、平時においては消火活動に使用する散水ノズルを有効活用して樹木等に潅水を行うため、住宅地に置ける散水手段を有効に活用し、緑化を推進することが可能になる。
また、住宅の外気温度、屋根または太陽電池パネルへの積雪状態を検出し、検出結果に応じて、前記屋根用の第2の散水手段に対して散水を指示することにより、住宅の冷房装置の効率向上に寄与すると共に、太陽電池パネルの発電効率の向上など省エネルギーに寄与することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の電池火災検出装置に用いる電池用警報器10の実施形態を構成図である。本実施形態では、火災検出対象のリチウムイオン電池903は、密閉容器11の中に収納されている。電池用警報器10は、密閉容器11の中の気体(空気や煙)を取り込んでリチウムイオン電池903の状態を確認するように構成されている。
【0012】
電池用警報器10は、密閉容器11の中の雰囲気気体(空気や煙)を取り込んでリチウムイオン電池903の発煙濃度レベルを示す信号Sbを出力する。
この信号Sbは、
図3に示す管理サーバ311に入力される。
電池用警報器10は、
図1(b)に示すように、発光部101から出力した光を受光部103によって検出する構成となっており、密閉容器11から取り込んだ煙102の濃度が高くなると、その濃度に応じたレベルの信号を出力するようになっている。なお、この警報器10の構成は、これ以外の構成であっても構わない。
【0013】
図3は、管理棟31に設置される管理サーバ311の実施形態を示すブロック図であり、
図4は管理サーバ311の内部構成を詳細に示すブロック図、
図5〜
図7は火災種別判定部3110の処理手順を示すフローチャートである。
管理サーバ311は、パソコンなどの情報処理装置で構成され、電池火災及び住宅火災の検出に必要な処理が処理プログラムとして組み込まれている。
管理サーバ311には火災の発生箇所などを表示したり、各種の操作を行う制御盤312が並設されている。
【0014】
管理サーバ311は、
図4の詳細図に示すように、火災種別判定処理部3110、火災警報受信処理部3111、火災通報受信処理部3112、気象情報収集処理3113、散水用水量収集部3114が組み込まれ、また入出力信号の履歴を記憶しておくための入出力履歴記憶部3115が付加されている。
【0015】
図2は、電池火災を検出するためのリチウムイオン電池903の発煙濃度と比較のための閾値の設定例を示す図である。
火災種別判別処理部3110は、リチウムイオン電池903の発煙濃度レベルを示す信号Sbを電池用警報器305から火災警報受信処理部3111で受信したならば、閾値Th1〜Th2と比較し、Th1より大きく、Th2未満の場合には電池火災発生前の警報レベルSb1の段階であると判定する。Th2を超える場合には電池火災発生の前兆が発生していると看做せる警報レベルSb2の段階であると判定する。
Th3を超える場合には電池火災の発生と看做せる警報レベルSb3の段階であると判定する。
ここで、警報レベルSb2を超えた場合、閾値Th3をTh2より大きく、Th3未満の値に設定し直し(再設定し)、Th3’とした後、このTh3’と信号Sbとを比較する。
再設定する閾値Th3’は、警報レベルSb1からSb2に達するまでの時間tに応じて決定する。すなわち、時間tが短い場合は、発煙濃度が急激に上昇している現象が起こっていることと推定されるので、その変化具合を確認するために、時間tに応じて、Th2より大きく、Th3未満の値Th3’に再設定する。そして、その再設定したTh3’を発煙濃度が超えるか否かを再度判定する。再設定したTh3’を発煙濃度が超えていれば、発煙濃度が急激に上昇している電池火災が発生しているものと早期に確認でき、かつ電池火災の進行具合も確認することができる。
一方、時間tが長い場合は、発煙濃度が緩やかに変化している発煙現象が起こっていることと推定されるので、時間tに応じて、Th3未満の値Th3’に再設定し、その再設定したTh3’を発煙濃度が超えるか否かを再度判定する。
火災種別判別処理部3110は、このような動作を発煙濃度レベルのスキャンサイクル毎に繰り返し行う。
Th3’は各スキャンサイクルで計測した時間tの長さに応じた値Th3’に再設定され、次のスキャンサイクルでの動作に移る。従って、発煙濃度が急激に上昇している場合は、時間tが短いので、Th3’はスキャンサイクル毎に漸次小さな値に更新されることになる。
このように電池火災の発生か否かを判定する閾値Th3を警報レベルSb1からSb2に達するまでの計測時間tに応じた値に再設定する処理を加えることにより、電池火災が発生しているか否かに加え、電池火災の進行具合も確認することができるという利点がある。
再設定したTh3’を発煙濃度が超えていない場合は、当初設定した電池火災発生の発煙濃度に対応する閾値Th3を超えるまで待機状態とする。但し、待機時間が異常に長時間(例えば12時間など)になった場合、何らかの異状が発生しているものとして管理棟に確認作業を指示する。
【0016】
図3に示すように、一般住宅30には、住宅用発電装置303が備えられ、さらに一般のタイプの住宅用火災警報器304、電池用警報器305、住宅用火災通報器306、が設置されている。さらに消火用/減災用として太陽電池パネルへの散水装置301、リチウムイオン電池への消火/減災用の散水装置302、屋根用の消火/減災用の散水装置307が設置されている。さらに、住宅敷地内の樹木エリアへの散水装置331,332が設けられている。そして、これらの散水装置へ給水するための散水用水源350が設けられ、散水用センサ340によって水量が監視されている。
ここで、減災用としての散水装置とは、例えばリチウムイオン電池にあっては外装部材を冷却し、発熱温度を下げる程度の水をかけるといった程度の量の散水を行ったり、リチウムイオン電池の爆発的な火災の飛散による2次火災(延焼)を防ぐための周囲への散水による減災を図ることなどを目的とするものであり、消火または消火対象に応じて水の量が異なる。
【0017】
一方、管理サーバ311には、インタネットを通じて、当該地域における気温、降水量などの気象情報、地中含水率センサの情報等が収集されるようになっている。
管理サーバ311は、前述の入出力信号に基づいて、電池火災か、電池火災以外の住宅火災であるかを判定し、その判定結果に基づいて複数の消火/減災用散水装置へ散水指示信号を出力し、消火・減災活動を行うと共に、近隣住民への通報及び消防機関への通知を行う。
また、住宅の外気温度、屋根または太陽電池パネルへの積雪状態を検出し、検出結果に応じて、前記屋根用の散水手段に対して散水を指示する。
【0018】
管理サーバ311が出力する信号は、
図4に示すように、該当住宅への通報3160、太陽電池パネルへの散水指示3161、リチウムイオン電池エリアへの散水指示3162、樹木エリアへの散水指示3163、屋根への散水指示3164、制御盤312への表示出力、消防署、災害センタへの通報出力3166などである。
散水装置301、302、307、331,332が受持つ散水エリアは、例えば
図8の住宅敷地エリアの平面図に示すように設定されている。
【0019】
図5は火災種別判定処理部3110の処理手順を示すフローチャートである。
ここでは、まず、散水用・潅水用の用水源(または貯水槽)350が満水か否かを判定する(ステップ501)。満水でなければ給水を行い(ステップ502)、満水にする。
この後、警報信号の取得処理を行い(ステップ503)、さらに気象情報および地中含水率センサ308からの情報等を収集する(ステップ504)。
【0020】
そして、住宅火災通報器306からの通報信号Sa、住宅火災警報器304からの警報信号Sc、電池用警報器305からの警報信号Sbのいずれかを受信しているか否かを判定し(ステップ505)、受信していなければ、当日の樹木冠水量を算出し(ステップ506)、用水源35への給水と同時に敷地内の樹木への潅水を開始する(ステップ508)。そして、潅水量が算出した量に達したならば、潅水を遮断し、当日の潅水を終了する。
【0021】
ここで、樹木への潅水量は、該当地域の月間降雨量と樹木量に左右されるのであるが、月間降雨量は気象情報によって判明するので、樹木量を住宅毎に設定し、地中含水率センサ308(
図4)によって検出した地中含水率をも考慮して決定する。
潅水が終了したならば、ステップ501に戻り、警報信号や通報信号の監視を継続する。
ステップ505において、通報信号Sa、警報信号Sc、警報信号Sbのいずれかを受信していた場合、防災・消火モードに変更し、散水・潅水モードは遮断する(ステップ510)。
【0022】
防災・消火モードにおいては、通報信号Sa、警報信号Sc、警報信号Sbの組み合わせによって散水指示などの防災・消火活動処理を行う(ステップ511)。
そして、消火活動が完了したならば(ステップ512)、防災・消火活動処理を停止した後(ステップ513)、防災・消火モードは遮断、散水・潅水モードに変更して(ステップ514)、ステップ501に戻る。
【0023】
図6及び
図7は、ステップ511の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
まず、発煙濃度レベルを示す信号Sb1、Sb2のいずれかを受信したかどうかを判定する(ステップ601)。Sb1を受信したならば(ステップ608)、Sb1フラグをONにする(ステップ609)。受信していない場合は受信するまでステップ601に戻り待機する。
【0024】
Sb1を受信したならば、Sb1フラグをONにした後、Sb2を受信したかを判定し(ステップ700)、受信した場合にはSb2フラグをONにする(ステップ703)。
この時、警報信号Sa,Scが受信されていなければ、電池火災警報器305のみが検出した電池火災警報であるので、近隣住宅及び該当住宅へ電池火災の可能性があることを通報する(ステップ711)この場合の通報1Bの内容は、
図9の3番目のようなものである。
【0025】
電池火災であった場合、電池周りを冷却する、または火の飛散による延焼防止のために散水を開始した後(ステップ713)、再確認のために、次のような処理を行う。すなわち、Sb2信号を受信したということは電池火災発生であると判定できる濃度レベルに達しているので、進行具合を確認のために、Sb3の閾値Th3をTh3未満で、Th2以上の値に再設定する(ステップ713)。そして、この再設定した閾値Th3‘と信号Sb3を比較する(ステップ714)。信号Sb3がTh3’を超えている場合には、Th2を超えた濃度が検出されたことになるので、急速に進行している電池火災が発生している旨の電池火災発生通報を関係者宛に出力する(ステップ715)。
次に、管理棟の管理者宛に電池火災発生を通報する(ステップ718)。さらに、住民宛に「火災発生通報2」を通報する(ステップ716)。この「火災発生通報2」は、
図9の例に示すように「火災発生、消防に連絡しました」というようなものである。そして、屋根への散水を開始する(ステップ717)。
【0026】
ここで、管理サーバ311は受信した警報信号に含まれている警報器の設置場所または識別番号によって警報を発した住宅の場所を特定する。そして、特定した場所の住宅についてのみ散水を開始させる。風向きや風速によって延焼の虞がある場合には近隣の住宅の散水装置も並行して稼動させることも可能である。
ステップ704において、警報信号Sa,Scが受信されていた場合には、住人によっても電池火災が認知されていたことになるので、直ちに電池火災発生通報を行い(ステップ705)、当該住宅に設置された電池903への散水を開始する(ステップ706)。この後、管理棟の管理者へ電池火災発生の通報を行う(ステップ707)。
【0027】
ステップ700において、警報信号Sb1は受信されたがSb2が受信されない場合は、T2時間(例えば5分)経過後、警報信号Sa.Scが受信されているかを確認する(ステップ702)。このいずれかの信号が受信されているということは電池用警報器305が警報を発していないけれど住民による通報または住宅用の警報器が通報したことになるので、電池火災が発生しているものと判定し、電池火災発生通報を行う(ステップ705)。すなわち、電池用警報器305が警報を発していない段階であっても、住民によって電池火災が目視確認され、通報器のボタン操作によって通報があった場合には電池火災としての処置をとる。
【0028】
一方、Sb1フラグをONにした後、Sb2信号の受信待ち状態でT1時間(例えば12時間といった長時間)経過したならば(ステップ50)、電池火災発生までは至らない何らかの電池異状が発生している可能性があるので、管理者へ点検指示を出力し、リチウムイオン電池53の状態を点検させる。
点検の結果、異状が無ければ電池火災検出待ち状態に復帰する。異状があった場合、管理者の判断により、リチウムイオン電池53自体を交換するなどの処置を行う。
【0029】
一方、ステップ601において、受信した通報器306からの通報信号Saであった場合、SaフラグをONにし(ステップ602)、そのキャンセル信号が受信されなければ(ステップ603)、当該住宅の屋根への散水を開始する(ステップ605)。その後、近隣住宅への住宅火災通報1を通報する(ステップ606)。この住宅火災通報1は
図9に例示するように「火事のようです。避難または確認してください」といったようなものである。さらに、管理棟の管理者宛にも住宅火災の発生を通知する(ステップ607)
通報後、火災が消火活動により消火されたならば、処理を終了する。
【0030】
ステップ603において、通報信号のキャンセル信号を受信した場合、SaフラグをOFFにしてステップ602に戻る(ステップ604)。
一方、ステップ601において、受信した信号が住宅用火災警報器304からの警報信号Scであった場合、
図7に示すステップ810に進み、まずSbフラグがONであるか否かを判定する(ステップ810)。
住宅用火災警報器304からの警報信号Scが受信されたとき、SbフラグがONであった場合、電池火災が発生して住宅用火災警報器304からの通報があったものと判定し、近隣住宅への通報2を行い(ステップ811)、屋根への散水を指示し(ステップ812)、管理棟への住宅火災通報表示を行い(ステップ803)、住宅火災発生通報を行う(ステップ814)。
近隣住宅への通報2は、
図9に例示するようなものである。
一方、住宅用火災警報器304からの警報信号Scが受信されたとき、SbフラグがOFFであった場合、T3時間経過後に(ステップ815)、近隣住宅への通報1を指示する(ステップ816)。
この後、住宅用火災警報器304のリセット操作が行われた場合、Scフラグを解除した後、処理を終了する。
住宅用火災警報器304のリセット操作が行われなっかた場合、近隣住宅への通報2を指示する(ステップ816)。この後、屋根への散水を指示し(ステップ820)、管理棟への住宅火災通報を表示し(ステップ821)、住宅火災発生通報を行う(ステップ822)。
なお、近隣住宅への通報1,2は、いずれも
図9に例示するようなものである。この通報には必要に応じて火災発生元の住所などを付加するようにしてもよい。
【0031】
なお、上記処理過程において入出力した信号の全ては、入出力時刻、入力元、送信先を付記して入出力履歴記憶部23に記録される。この記録に基づいて電池火災の検出状況を詳細に確認することができる。
また、散水装置による散水エリアは4種類(電池、太陽光パネル、屋根、樹木)としているが、必要に応じて追加、または省略してもよい。
また、上記実施形態においては閾値の再設定処理について、発煙濃度の各スキャンサイクル毎に無限に更新する「可変型」の構成としているが、更新段数は実用性と適用対象のリチウムイオン電池の個々の特性等を考慮し、有限の段数にすることができる。