(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該単位期間を構成する各時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値のうちの最小値又は当該最小値に関連する値に基づいて、当該生活区域において少なくとも1人又は所定人数の人が活動しているか否かの判定基準となる活動電力値を算出する活動電力値算出手段と、
当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値と、当該時間帯より前の時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値との差に対する基準であって、生活行動の発生に相当するか否かの判定基準となる活動電力幅を設定する活動電力幅設定手段と
を更に有し、
前記生活行動判定手段は、当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値、及び該代表値と当該時間帯より前の時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値との差に基づき、算出された当該活動電力値及び設定された当該活動電力幅を判定の閾値として、当該時間帯に当該生活区域において生活行動が発生したか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の生活行動パターン抽出装置。
前記生活行動パターン生成手段は、当該単位期間において発生したと判定された生活イベント毎に、発生したと判定された時間帯の当該抽出対象期間での最頻値を対応付けた生活行動パターンを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の生活行動パターン抽出装置。
前記生活行動パターン生成手段は、各単位期間における当該生活イベントセットに基づいて、当該生活イベントセットを構成する各生活イベントの発生した時間帯を要素とする特徴ベクトルを生成し、当該特徴ベクトル群についてクラスタリング処理を行い、要素数が最多となるクラスタに基づいて当該生活行動パターンを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の生活行動パターン抽出装置。
当該単位期間を構成する各時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値のうちの最大値又は当該最大値に関連する値に基づいて、当該生活区域において生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動しているか否かの判定基準となる最大活動電力値を算出する最大活動電力値算出手段を更に有し、
前記生活行動判定手段は、当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値に基づき、算出された当該最大活動電力値を判定の閾値として、当該時間帯に当該生活区域において生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の生活行動パターン抽出装置。
前記生活イベント管理手段は、当該抽出対象期間内の単位期間毎に、生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動している最大生活行動の時間帯を対応付けた当該生活イベントセットを蓄積し、
前記生活行動パターン生成手段は、各単位期間における当該生活イベントセットにおいて、当該生活区域からの外出に相当する生活イベントが発生した時間帯、当該生活区域への帰還に相当する生活イベントが発生した時間帯、及び当該最大生活行動の時間帯に基づいて、生活者全員の不在時間と、少なくとも1人の不在時間を算出し、算出した当該生活者全員の不在時間及び当該少なくとも1人の不在時間に基づいて、当該生活区域の生活者における外出の際に同行する程度を示す外出同行度を算出する
ことを特徴とする請求項5に記載の生活行動パターン抽出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に開示された従来技術では、異常の発生や人間活動の有無といった動的な生活行動の変化、即ち動的な世帯属性の抽出を実現している。しかしながら、特許文献1に開示された技術のように消費電力量の時間変化である時間帯別の波形をパターン化しても、その波形パターン自体に生活行動上の意味づけがなされるわけではない。従って、これらの従来技術では、例えば、午前5時に起床して日中在宅していることが多い、といった静的な世帯の属性を表す生活行動パターンを自動的に生成することは困難である。ここで、生活行動パターンとは、発生した生活行動(生活イベント)を発生時点の時系列に並べたものである。
【0007】
即ち、従来技術のように消費電力パターンの動的変化を解析・判定しているだけでは、生活行動の意味づけがなされず、判定対象である世帯の生活行動パターンを推定することができない。その結果、世帯の生活者の具体的な生活行動の情報に基づいたサービスを形成することが困難となる。例えば、生活者にとって的を射たサービス情報やアドバイス、レコメンド等を配信することが難しくなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、生活者の生活行動パターンを、当該生活者に係る消費電力量に基づいて生成可能な生活行動パターン抽出装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、生活区域における生活者の生活行動パターンを抽出する生活行動パターン抽出装置であって、
生活行動パターンの抽出対象期間の構成単位である単位期間を構成す
る時間帯
毎に、当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値
、及びこの代表値と当該時間帯より前の時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値との差に基づき、
代表値に係る所定の閾値
、及び代表値の差に係る所定の閾値を用いて、当該時間帯に当該生活区域において生活行動が発生したか否かを判定する生活行動判定手段と、
時間帯毎に生活行動の種別である生活イベントを対応付けた生活イベントテーブルを有し、生活行動判定手段によって生活行動が発生したと判定された際、当該判定に係る時間帯に対応付けられた生活イベントが発生したと判定する生活イベント判定手段と、
当該抽出対象期間内の単位期間毎に、当該生活区域において発生したと判定された生活イベントと、当該生活イベントが発生したと判定された時間帯とを対応付けた生活イベントセットを蓄積する生活イベント管理手段と、
各単位期間における当該生活イベントセットに基づいて、発生したと判定された生活イベントの時系列である生活行動パターンであって、当該時系列内の生活イベント毎に、発生したと判定された時間帯の当該抽出対象期間での頻度又は確率の情報を含む生活行動パターンを生成する生活行動パターン生成手段と
を有する生活行動パターン抽出装置が提供される。
【0010】
この生活行動パターン抽出装置の一実施形態として、本装置は、
当該単位期間を構成する各時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値のうちの最小値又は当該最小値に関連する値に基づいて、当該生活区域において少なくとも1人又は所定人数の人が活動しているか否かの判定基準となる活動電力値を算出する活動電力値算出手段と、
当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値と、当該時間帯より前の時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値との差に対する基準であって、生活行動の発生に相当するか否かの判定基準となる活動電力幅を設定する活動電力幅設定手段と
を更に有し、
生活行動判定手段は、当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値
、及びこの代表値と当該時間帯より前の時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値との差に基づき、算出された当該活動電力値及び設定された当該活動電力幅を判定の閾値として、当該時間帯に当該生活区域において生活行動が発生したか否かを判定する
ことも好ましい。
【0011】
また、本発明による生活行動パターン抽出装置において、生活行動パターン生成手段は、当該単位期間において発生したと判定された生活イベント毎に、発生したと判定された時間帯の当該抽出対象期間での最頻値を対応付けた生活行動パターンを生成することも好ましい。
【0012】
または、変更態様として、生活行動パターン生成手段は、各単位期間における当該生活イベントセットに基づいて、当該生活イベントセットを構成する各生活イベントの発生した時間帯を要素とする特徴ベクトルを生成し、当該特徴ベクトル群についてクラスタリング処理を行い、要素数が最多となるクラスタに基づいて当該生活行動パターンを生成することも好ましい。
【0013】
さらに、本発明による生活行動パターン抽出装置の他の実施形態として、本装置は、
当該単位期間を構成する各時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値のうちの最大値又は当該最大値に関連する値に基づいて、当該生活区域において生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動しているか否かの判定基準となる最大活動電力値を算出する最大活動電力値算出手段を更に有し、
生活行動判定手段は、当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値に基づき、算出された当該最大活動電力値を判定の閾値として、当該時間帯に当該生活区域において生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動しているか否かを判定する
ことも好ましい。
【0014】
また、本発明による生活行動パターン抽出装置の更なる他の実施形態として、
生活イベント管理手段は、当該抽出対象期間内の単位期間毎に、生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動している最大生活行動の時間帯を対応付けた当該生活イベントセットを蓄積し、
生活行動パターン生成手段は、各単位期間における当該生活イベントセットにおいて、当該生活区域からの外出に相当する生活イベントが発生した時間帯、当該生活区域への帰還に相当する生活イベントが発生した時間帯、及び当該最大生活行動の時間帯に基づいて、生活者全員の不在時間と、少なくとも1人の不在時間を算出し、算出した当該生活者全員の不在時間及び当該少なくとも1人の不在時間に基づいて、当該生活区域の生活者における外出の際に同行する程度を示す外出同行度を算出する
ことも好ましい。
また、本発明によれば、さらに、生活区域における生活者の生活行動パターンを抽出する生活行動パターン抽出装置であって、
生活行動パターンの抽出対象期間の構成単位である単位期間を構成する各時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値のうちの最大値又は当該最大値に関連する値に基づいて、当該生活区域において生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動しているか否かの判定基準となる最大活動電力値を算出する最大活動電力値算出手段と、
当該単位期間を構成する各時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値に基づき、算出された当該最大活動電力値を判定の閾値として、当該時間帯に当該生活区域において生活者全員又は所定割合以上の生活者による生活行動が発生したか否かを判定する生活行動判定手段と、
時間帯毎に生活行動の種別である生活イベントを対応付けた生活イベントテーブルを有し、前記生活行動判定手段によって生活行動が発生したと判定された際、当該判定に係る時間帯に対応付けられた生活イベントが発生したと判定する生活イベント判定手段と、
当該抽出対象期間内の単位期間毎に、当該生活区域において発生したと判定された生活イベントと、当該生活イベントが発生したと判定された時間帯とを対応付けた生活イベントセットを蓄積する生活イベント管理手段と、
各単位期間における当該生活イベントセットに基づいて、発生したと判定された生活イベントの時系列である生活行動パターンであって、当該時系列内の生活イベント毎に、発生したと判定された時間帯の当該抽出対象期間での頻度又は確率の情報を含む生活行動パターンを生成する生活行動パターン生成手段と
を有する生活行動パターン抽出装置が提供される。
さらに、この本発明による生活行動パターン抽出装置の一実施形態として、
生活イベント管理手段は、当該抽出対象期間内の単位期間毎に、生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動している最大生活行動の時間帯を対応付けた当該生活イベントセットを蓄積し、
生活行動パターン生成手段は、各単位期間における当該生活イベントセットにおいて、当該生活区域からの外出に相当する生活イベントが発生した時間帯、当該生活区域への帰還に相当する生活イベントが発生した時間帯、及び当該最大生活行動の時間帯に基づいて、生活者全員の不在時間と、少なくとも1人の不在時間を算出し、算出した当該生活者全員の不在時間及び当該少なくとも1人の不在時間に基づいて、当該生活区域の生活者における外出の際に同行する程度を示す外出同行度を算出する
ことも好ましい。
【0015】
本発明によれば、また、生活区域における生活者の生活行動パターンを抽出する装置に搭載されたコンピュータを機能させる生活行動パターン抽出プログラムであって、
生活行動パターンの抽出対象期間の構成単位である単位期間を構成す
る時間帯
毎に、当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値
、及びこの代表値と当該時間帯より前の時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値との差に基づき、
代表値に係る所定の閾値
、及び代表値の差に係る所定の閾値を用いて、当該時間帯に当該生活区域において生活行動が発生したか否かを判定する生活行動判定手段と、
時間帯毎に生活行動の種別である生活イベントを対応付けた生活イベントテーブルを有し、生活行動判定手段によって生活行動が発生したと判定された際、当該判定に係る時間帯に対応付けられた生活イベントが発生したと判定する生活イベント判定手段と、
当該抽出対象期間内の単位期間毎に、当該生活区域において発生したと判定された生活イベントと、当該生活イベントが発生したと判定された時間帯とを対応付けた生活イベントセットを蓄積する生活イベント管理手段と、
各単位期間における当該生活イベントセットに基づいて、発生したと判定された生活イベントの時系列である生活行動パターンであって、当該時系列内の生活イベント毎に、発生したと判定された時間帯の当該抽出対象期間での頻度又は確率の情報を含む生活行動パターンを生成する生活行動パターン生成手段と
してコンピュータを機能させる生活行動パターン抽出プログラムが提供される。
【0016】
本発明によれば、さらにまた、生活区域における生活者の生活行動パターンを抽出する
装置に搭載されたコンピュータによる生活行動パターン抽出方法であって、
生活行動パターンの抽出対象期間の構成単位である単位期間を構成す
る時間帯
毎に、当該時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値
、及びこの代表値と当該時間帯より前の時間帯における当該生活区域での消費電力の代表値との差に基づき、
代表値に係る所定の閾値
、及び代表値の差に係る所定の閾値を用いて、当該時間帯に当該生活区域において生活行動が発生したか否かを判定する第1のステップと、
時間帯毎に生活行動の種別である生活イベントを対応付けた生活イベントテーブルを有し、第1のステップで生活行動が発生したと判定された際、当該判定に係る時間帯に対応付けられた生活イベントが発生したと判定する第2のステップと、
当該抽出対象期間内の単位期間毎に、当該生活区域において発生したと判定された生活イベントと、当該生活イベントが発生したと判定された時間帯とを対応付けた生活イベントセットを蓄積する第3のステップと、
各単位期間における当該生活イベントセットに基づいて、発生したと判定された生活イベントの時系列である生活行動パターンであって、当該時系列内の生活イベント毎に、発生したと判定された時間帯の当該抽出対象期間での頻度又は確率の情報を含む生活行動パターンを生成する第4のステップと
を有する生活行動パターン抽出方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の生活行動パターン抽出装置、プログラム及び方法によれば、生活者の生活行動パターンを、当該生活者に係る消費電力量に基づいて生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
[生活行動パターン抽出システム]
図1は、本発明による生活行動パターン抽出システムの一実施形態における模式図である。
【0021】
図1において、本実施形態での生活行動パターン抽出システムは、事業者通信網2に設置された生活行動パターン抽出装置1を含む。生活行動パターン抽出装置1は、生活者(電力のユーザ)の消費電力量に基づいてユーザがどのような生活行動の種別(生活イベント)を発生させたかを判定し、生活イベントを発生時点の時系列に並べた生活行動パターンを生成する。
【0022】
具体的に、本実施形態でのユーザの生活イベントの判定では、判定対象となる場所である生活区域(例えば自宅)において、当該区域で生活するユーザ(例えば世帯構成員)のうちのどの程度の人が、どのような「生活イベント」を発生させたかを判定する。ここで、「生活イベント」としては、例えば、「起きた」(起床)、「外出した」(外出)、「帰宅した」(帰宅)、「寝た」(就寝)等が挙げられる。
【0023】
ユーザ(生活者)の消費電力量は、本実施形態においてユーザの自宅に設置されたホームゲートウェイ(HGW)4から事業者通信網2を介して生活行動パターン抽出装置1に送信される。ここで、消費電力量はスマートメータ3で計測され、この計測値が、例えばHEMS(Home Energy Management System)を介してHGW4に出力されてもよい。また、変更態様として、スマートメータ3が、ネットワークに設置された(図示していない)MDMS(Meter data Management System)に消費電力量を送信し、生活行動パターン抽出装置1は、このMDMSから消費電力量を取得することも可能である。
【0024】
事業者通信網2は、例えば光ファイバ網若しくはADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の固定系アクセスネットワークとすることができる。また、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)又は3G(3rd Generation)等の無線系アクセスネットワークとすることも可能である。
【0025】
スマートメータ3は、ユーザによる自宅における消費電力量を計測し、単位時間毎の消費電力量の計測値を、例えばHEMSを介してHGW4に出力する。ここで、スマートメータの代わりに、分電盤に設置されたCTセンサ、クランプメータ(架線電流計)、又はコンセントに設置されたコンセントタップ(タップ型電力計)等を使用してもよい。この場合、CTセンサやコンセントタップ等によって宅内配電の個別の消費電力量を計測し、消費電力量の計測値をHGW4に出力することができる。
【0026】
HGW4は、例えば、宅内に設けられたホームネットワークと事業者通信網2との間の通信を中継・制御する。このホームネットワークには例えば無線アクセスポイント(AP)を介してパーソナルコンピュータ(PC)が接続されていてもよい。HGW4は、さらに、スマートメータ3から取得した単位時間毎の消費電力量の計測値を、事業者通信網2を介して生活行動パターン抽出装置1宛てに送信する。
【0027】
生活行動パターン抽出装置1は、ユーザの自宅内における消費電力量の計測値を受信し、当該計測値から消費電力データを生成して蓄積する。尚、変更態様として、生活区域(自宅)内に設置されたサーバが、消費電力量の計測値から消費電力データを生成し蓄積することも可能である。
【0028】
次いで、生活行動パターン抽出装置1は、生成した消費電力データに基づいて、
(a)生活行動パターンの抽出対象期間(例えば100日間)の構成単位である単位期間(例えば1日間)を構成する各時間帯(例えば1時間毎の時間帯)における自宅での消費電力の代表値に基づき、所定の閾値を用いて、当該時間帯に自宅において生活行動が発生したか否かを判定する。次に、
(b)時間帯毎に「生活イベント」を対応付けた生活イベントテーブルを有し、(a)で生活行動が発生したと判定された際、当該判定に係る時間帯に対応付けられた「生活イベント」が発生したと判定する。
【0029】
ここで、1つの時間帯における消費電力の代表値とは、この時間帯に含まれる消費電力量の時間値のうちの中央値とすることができる。例えば、1時間の時間帯において、生データが消費電力量の4つの15分値である場合、これら4つの15分値のうちの中央値をこの時間帯での代表値とする。従って、生データの時間粒度が粗い場合、例えば1時間の時間帯において生データが消費電力量の1つの1時間値である場合、この1時間値がこの時間帯での代表値となる。尚、このように生データの時間粒度が細かい場合に「中央値」を代表値とすることは、生データに含まれ得る消費電力量の異常値の影響をより小さくする効果を有する。さらに、変更態様として、1つの時間帯における消費電力の代表値を、この時間帯に含まれる消費電力量の時間値の平均値、例えば1時間帯に含まれる4つの15分値の平均値とすることも可能である。
【0030】
本実施形態では、このように、例えば所定日時での在宅有無の情報といった教師データを何ら使用することなく、宅内での消費電力量を計測値として取得した段階で、即ちリアルタイムで、「生活イベント」の発生を判定することが可能となる。
【0031】
生活行動パターン抽出装置1は、さらに、
(c)抽出対象期間(例えば100日間)の単位期間毎(日毎)に、当該生活区域において発生したと判定された「生活イベント」と、当該生活イベントが発生したと判定された時間帯とを対応付けた生活イベントセットを蓄積する。次いで、
(d)各単位期間(各日)における生活イベントセットに基づいて、発生したと判定された「生活イベント」の時系列である「生活行動パターン」を生成する。
【0032】
ここで、生成された「生活行動パターン」は、時系列内の「生活イベント」毎に、発生したと判定された時間帯の抽出対象期間(100日間)での頻度又は確率の情報を含む。例えば、「生活行動パターン」は、「世帯Aは、毎朝(最頻値としての)6時台に起床し、(最頻値としての)10時台に外出し、(最頻値としての)18時台に帰宅し、(最頻値としての)25台時(午前1時台)に就寝する」といった形をとる。
【0033】
本実施形態では、このように、単に消費電力パターンの動的な変化を解析しているだけではなく、「6時に起床し、10時に外出する」といった静的な世帯の属性を表す「生活行動パターン」を自動的に生成する。即ち、生活者の「生活行動パターン」を、当該生活者に係る消費電力量に基づいて生成することを可能とする。これにより、世帯の生活者の具体的な生活行動パターン情報に基づいた、的を射たサービス、アドバイスやレコメンド等の形成に貢献することができる。
【0034】
[生活行動パターン抽出装置]
図2は、本発明による生活行動パターン抽出装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
【0035】
図2によれば、生活行動パターン抽出装置1は、通信インタフェース部101と、消費電力データ管理部102と、プロセッサ・メモリとを有する。ここで、プロセッサ・メモリは、生活行動パターン抽出装置1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって、生活行動判定機能を実現させる。
【0036】
ここで、プロセッサ・メモリは、閾値設定部11と、生活行動判定部12と、生活イベント判定部13と、生活イベント管理部14と、生活行動パターン生成部15とを有する。
【0037】
このうち、閾値設定部11は、活動電力値算出部111と、活動電力幅設定部112と、最大活動電力値算出部113と、閾値蓄積部114とを有する。また、生活行動判定部12は、生活行動発生判定部121を有し、さらに最大生活行動判定部122を有することも好ましい。また、生活行動パターン生成部15は、外出同行度算出部151を含むことも好ましい。
【0038】
尚、
図2によれは、各機能構成部を矢印で接続した処理の流れは、本発明による生活行動パターンを抽出する方法の一実施形態としても理解される。
【0039】
通信インタフェース部101は、
(a)生活行動判定の対象である生活者(電力のユーザ)についての自宅(生活区域)に設置されたスマートメータ3やHGW4等から、消費電力量の計測値データを受信し、さらに、
(b)生活行動パターン生成部15から出力される生活行動パターン情報を外部の通知先に送信する。例えば、ウェブサイトやアプリケーション等を介する形で、この情報を必要とするユーザ又は事業者に提示することもできる。
【0040】
消費電力データ管理部102は、受信した消費電力量の計測値から生成される消費電力データを蓄積する。消費電力データは、例えば、判定期間(例えば100日間)を構成する単位期間(例えば1日間)毎の、各時間帯(例えば0時台、1時台、・・・、23時台)における消費電力値(1時間値:単位Wh)の集合とすることができる。または、電力消費データは、1時間毎の各時間帯において、消費電力量の4つの15分値若しくは2つの30分値で構成されていてもよい。
【0041】
活動電力値算出部111は、単位期間(1日間)を構成する各時間帯における自宅(生活区域)での消費電力の代表値のうちの最小値又は当該最小値に関連する値に基づいて、自宅において少なくとも1人(又は所定人数の人)が活動しているか否かの判定基準となる「活動電力値」を算出する。この「活動電力値」は、言い換えると、自宅の居住者のうちの誰かが自宅内で何かしらの生活行動をしている状態を判断するための閾値となる。
【0042】
活動電力値算出部111は、具体的に、
(a)例えば100日間(判定期間)を構成する各1日について、各時間帯、例えば0時台、1時台、・・・及び23時台の各々における自宅での消費電力の代表値のうちの最小値を算出し、
(b)1日毎に算出された(例えば計100個の)最小値における平均値MIN
AV及び標準偏差σ
MINに基づき、「活動電力値」P
TH1を、次式
(1) P
TH1=MIN
AV+C
1・σ
MIN
を用いて算出する。ここで、係数C
1は経験値として2とすることも好ましい。
【0043】
尚、各時間帯、例えば0時台、1時台、・・・及び23時台の各々における自宅での消費電力の代表値は、生データが15分値である場合、当該時間帯での4つの15分値のうちの中央値とすることができる。また、生データが1時間値である場合、この1時間値が代表値となる。また、以上に述べた判定期間や「活動電力値」P
TH1の算出式(係数C
1)は、当然に上記のものに限定されるものではない。例えば、判定期間も係数C
1も、判定期間における冬季、夏季、中間季等の季節性を考慮した期間及び値としてもよい。また、以下の実施形態では、上式(1)の「活動電力値」P
TH1を、「自宅において少なくとも1人が活動しているか否か」の判定を行う基準とする。ここで、式(1)における最小値の平均値MIN
AVは、生活者の生活行動に依存しない電力量であって、自宅内に設置された電力消費機器のバックグラウンドとしての動作に依存する電力量と捉えることができる。
【0044】
活動電力幅設定部112は、1つの時間帯における自宅(生活区域)での消費電力の代表値と、この時間帯より前の時間帯、例えば1つ前の時間帯における自宅での消費電力の代表値との差に対する基準となる「活動電力幅」を設定する。この「活動電力幅」は、後述するように生活行動の発生に相当するか否かについて経験的に得られる判定基準であり、例えば、隣接する1時間帯間の差として30Wh(ワット時)とすることができる。例えば、午前2時台の「活動電力幅」は、午前2時台の消費電力の代表値と午前1時台の消費電力の代表値との差に対する基準としてもよい。
【0045】
尚、「活動電力幅」は、所定地域内の複数の世帯(生活区域)の各々に個別の値として設定されることも好ましい。または、これらの複数の世帯に共通した値として設定されることも好ましい。複数の世帯数としては、例えば30とすることができる。
【0046】
最大活動電力値算出部113は、単位期間(1日間)を構成する各時間帯における自宅(生活区域)での消費電力の代表値のうちの最大値又は当該最大値に関連する値に基づいて、自宅において生活者(世帯構成員)全員(又は所定割合以上の生活者)が活動しているか否かの判定基準となる「最大活動電力値」を算出する。この「最大活動電力値」は、言い換えると、世帯が積極的に活動している状態を判断するための閾値となる。
【0047】
最大活動電力値算出部113は、具体的に、
(a)例えば100日間(判定期間)を構成する各1日について、各時間帯、例えば0時台、1時台、・・・及び23時台の各々における自宅での消費電力の代表値のうちの最大値を算出し、
(b)1日毎に算出された(例えば計100個の)最大値における平均値MAX
AV及び標準偏差σ
MAXに基づき、「最大活動電力値」P
TH2を、次式
(2) P
TH2=MAX
AV+C
2・σ
を用いて算出する。ここで、係数C
2は経験値として1とすることも好ましい。
【0048】
尚、以上に述べた判定期間や「最大活動電力値」P
TH2の算出式(係数C
2)もまた、当然に上記のものに限定されるものではない。例えば、判定期間も係数C
2も、判定期間における冬季、夏季、中間季等の季節性を考慮した期間及び値としてもよい。また、以下の実施形態では、上式(2)の「最大活動電力値」P
TH2を、「自宅において生活者(世帯構成員)全員が活動しているか否か」の判定を行う基準とする。ここで、本実施形態では、「活動電力幅」をこの判定の閾値として使用していない。これは、生活者全員が活動している電力消費のピークは、多くの場合、時間経過と共に累積的に電力値が増加することにより発生する(例えば夜間なら照明、エアコン、加湿機、テレビ等が順次ONとなる)ことによる。
【0049】
閾値蓄積部114は、活動電力値算出部111で算出された「活動電力値」、活動電力幅設定部112で設定された「活動電力幅」、及び最大活動電力値算出部113で算出された「最大活動電力値」を、生活行動判定の際に使用する閾値(指標)として保存する。また、生活行動判定時には、保存したこれらの閾値を生活行動発生判定部121に出力する。
【0050】
生活行動発生判定部121は、消費電力データ管理部102から取得した判定対象の時間帯における自宅(生活区域)での消費電力の代表値に基づき、閾値蓄積部114から入力した「活動電力値」及び「活動電力幅」を判定の閾値として、当該時間帯に自宅において生活行動が発生したか否かを判定する。
【0051】
具体的に、生活行動発生判定部121は、判定対象となる時間帯について、
(ア)当該時間帯における消費電力の代表値が「活動電力値」よりも大きく、且つ
(イ)当該時間帯における消費電力の代表値と当該時間帯より1つ前の時間帯における消費電力の代表値との差が「活動電力幅」よりも大きく、且つ
(ウ)当該1つ前の時間帯における消費電力の代表値が「活動電力値」よりも小さい場合、
当該時間帯に、「自宅での活動が増加する方向の生活行動」が発生したと判定する。尚、(ア)〜(ウ)の判定ステップを実行する順序は問わない。
【0052】
また、生活行動発生判定部121は、判定対象となる時間帯について、
(エ)当該時間帯における消費電力の代表値が「活動電力値」よりも小さく、且つ
(オ)当該時間帯より1つ前の時間帯における消費電力の代表値と当該時間帯における消費電力の代表値との差が「活動電力幅」よりも大きく、且つ
(カ)当該1つ前の時間帯における消費電力の代表値が「活動電力値」よりも大きい場合、
当該時間帯に、「自宅での活動が減少する方向の生活行動」が発生したと判定する。尚、(エ)〜(カ)の判定ステップを実行する順序は問わない。
【0053】
このように、単純に消費電力値を閾値で判断するのではなく、時間帯間の消費電力の代表値の差分と、当該時間帯それぞれでの消費電力の代表値とを勘案することにより、生活行動の「発生」についてより精度良く判定することが可能となる。
【0054】
最大生活行動判定部122は、消費電力データ管理部102から取得した判定対象の時間帯における自宅(生活区域)での消費電力の代表値に基づき、算出された「最大活動電力値」を判定の閾値として、判定対象となる時間帯に自宅(生活区域)において生活者全員が活動しているか否かを判定する。具体的には、
(キ)当該時間帯における消費電力の代表値が「最大活動電力値」よりも大きい場合、
当該時間帯に、生活者全員が活動していると判定する。
【0055】
図3は、消費電力値の時間変化から生活行動に係る判定を行った結果を示すグラフである。
【0056】
図3には、2012年9月21日の各時間帯(1時間帯)における消費電力(代表)値、及び2012年9月22日の各時間帯(1時間帯)における消費電力(代表)値のグラフが示されている。同グラフにおいて、時刻n時での消費電力(代表)値は、n時台の1時間での電力値(Wh)を示す。
【0057】
ここで、
図3のグラフにおいて、「活動電力値」は110Whであり、「活動電力幅」は30Whであって、「最大活動電力値」は210Whである。
【0058】
例えば、2012年9月21日では、5時(5時台)の電力値データ点(丸点)が破線の丸で囲まれている。これは、5時において上記(ア)〜(ウ)の判定ステップの条件が満たされ、「自宅での活動が増加する方向の生活行動」が発生したと判定されたことを示す。また、例えば、2012年9月22日では、11時(11時台)の電力値データ点(四角点)が破線の四角で囲まれている。これは、11時において、上記(キ)の判定ステップの条件が満たされ、生活者(世帯構成員)全員が活動していると判定されたことを示す。
【0059】
このように、各時間帯での消費電力(代表)値が順次取得されれば、「活動電力値」及び「活動電力幅」を用いて、さらには「最大活動電力値」を用いることにより、教師データを使用せずにリアルタイムで生活行動に係る判定を行うことが可能となるのである。
【0060】
図4は、所定期間を構成する各1日における生活行動判定結果を示すテーブルである。
【0061】
図4のテーブルは、2012年9月23日以降の各1日における0時台、1時台、2時台、・・・の各時間帯の消費電力(代表)値に係る判定結果が、次の(a)〜(c)のいずれに該当するかを示している。
(a)「0:誰も活動していない」:上記(ア)〜(ウ)の判定ステップの条件及び(エ)〜(カ)の判定ステップの条件のいずれをも満たさない場合。
(b)「1:誰かが活動している」:上記(ア)〜(ウ)の判定ステップの条件又は(エ)〜(カ)の判定ステップの条件を満たす場合。
(c)「2:全員活動している」:上記(キ)の判定条件を満たす場合。
【0062】
因みに、(b)「1:誰かが活動している」には、(ア)〜(ウ)の判定ステップの条件を満たす時間帯の後に続く、「活動電力値」よりも大きい消費電力(代表)値を示す時間帯も該当する。
【0063】
このように、消費電力値のデータを用いるだけで、所定期間を構成する各1日における各時間帯での生活行動についての情報を、活動人数の程度まで含めて取得することが可能となるのである。
【0064】
尚、生活行動の判定は、当然に、以上に詳細に説明した実施形態に限定されるものではない。生活行動判定部12は、生活行動パターンの抽出対象期間(例えば100日間)の構成単位である単位期間(例えば1日間)を構成する各時間帯における生活区域(例えば自宅)での消費電力の代表値に基づき、所定の閾値を用いて、当該時間帯に自宅において生活行動が発生したか否かを判定するものであればよい。
【0065】
例えば、生活行動判定部12は各世帯の各時間帯での消費電力値データから、特定の生活行動が生じた時刻を推定してもよい。例えば、3時台から8時台までの消費電力値から、生活行動の発生を推定する場合、消費電力値が、当日の夜間の待機電力値と比較して閾値以上に増加すれば、生活行動(例えば起床)が発生したと推定することができる。または、変更態様として、例えば、3時台から8時台までの時間帯において、ある時間帯の消費電力値が直前の時間帯に比べて例えば50%増加した場合、当該時間帯において生活行動(例えば起床)が発生したと判定することも可能である。
【0066】
[生活イベント判定]
図2に戻って、生活イベント判定部13は、時間帯毎に生活行動の種別である「生活イベント」を対応付けた生活イベントテーブル13tを有し、生活行動判定部12によって生活行動が発生したと判定された際、この判定に係る時間帯に対応付けられた「生活イベント」が発生したと判定する。即ち、生活イベント判定部13は、例えば
図4の形で得られた生活行動判定結果の(「0」、「1」又は「2」の数値で分類された)各欄を、「生活イベント」でラベル化することができる。
【0067】
図5は、生活イベントテーブル13tの一例を示すテーブルである。ここで、
図5(A)には、時間帯と「自宅での活動が増加する方向の」生活イベントとを対応付けて記憶した生活イベントテーブル13tが示されている。また、
図5(B)には、時間帯と「自宅での活動が減少する方向の」生活イベントとを対応付けて記憶した生活イベントテーブル13tが示されている。
【0068】
例えば、
図4の2012月9月23日の6時台は、「1」:「誰かが活動している」となっている。また、この「1」は、上記(ア)〜(ウ)の判定ステップの条件を満たしたものであり、「自宅での活動が増加する方向の生活行動」が発生したものとする。この場合、
図5(A)の生活イベントテーブル13tを用いると、6時台(朝)であるから、発生した生活イベントを「起床」であると決定することができる。
【0069】
また、
図5(B)の生活イベントテーブル13tによれば、例えば、上記(エ)〜(カ)の判定ステップの条件を満たす時間帯であっても、当該時間帯が昼(10時〜16時)であれば生活イベントは「外出」と決定され、当該時間帯が夜(22時〜4時)であれば生活イベントは「就寝」と決定される。
【0070】
このように、生活イベントテーブル13tによれば、発生した生活行動が「増加する方向」か「減少する方向」かに応じて、判定対象の時間帯に適した「生活イベント」を決定することが可能となる。即ち、本来意味づけのされていない動的な生活行動の発生に対し、発生時間帯を勘案して「生活イベント」を意味づけることが可能となるのである。
【0071】
[生活行動パターン抽出]
図2に戻って、生活イベント管理部14は、抽出対象期間(例えば100日間)内の単位期間(例えば1日間)毎に、生活区域(自宅)において発生したと判定された「生活イベント」と、当該生活イベントが発生したと判定された時間帯とを対応付けた生活イベントセットを蓄積する。即ち、生活イベント管理部14は、各時間帯において生活行動に対する「生活イベント」のラベル化を行い、複数日の生活イベントセットを記録する。
【0072】
図6は、所定期間を構成する各1日での生活イベントセットを示すテーブルである。
【0073】
図6によれば、例えば、2012年9月23日では、生活イベント「起床」が6(6時台)に発生し、「外出」が10(10時台)に発生し、「帰宅」が18(18時台)に発生し、「就寝」が27(27時台(午前3時台))に発生したことが分かる。また、自宅での生活者(世帯構成員)全員が、7(7時台)、18(18時台)及び22〜23(22〜23時台)で生活行動を行っていたことも分かる。
【0074】
このように、本実施形態によれば、どの時間帯でどの程度の数の生活者が何の「生活イベント」を行っていたかを、何ら教師データを用いることなく、当該生活区域での消費電力値だけから決定することができるのである。
【0075】
図2に戻って、生活行動パターン生成部15は、各単位期間(各1日)における当該生活イベントセットに基づいて、発生したと判定された「生活イベント」の時系列である「生活行動パターン」を生成する。ここで、生成される「生活行動パターン」は、この時系列内の「生活イベント」毎に、発生したと判定された時間帯の抽出対象期間(例えば100日間)での頻度又は確率の情報を含む。
【0076】
即ち、「生活行動パターン」は、1つの例として、
(P1)「世帯Aは、毎朝(最頻値としての)6時台に起床し、(最頻値としての)10時台に外出し、(最頻値としての)18時台に帰宅し、(最頻値としての)25時台(午前1時台)に就寝する」といった形式をとる。
【0077】
この形式をとる場合、生活行動パターン生成部15は、単位期間(1日)において発生したと判定された「生活イベント」毎に、発生したと判定された時間帯の抽出対象期間での最頻値を取り出す。実施例として、
図6に示したテーブルにおいて、抽出対象期間を2012年9月23日〜2012年10月16日の24日間とすると、生活イベントとしての「起床」について、最頻値は6(6時台)であることが分かる。即ち、この世帯では「(最頻値としての)6時台に起床する」との生活行動パターンが導出される。
【0078】
一方、ランキング(頻度)を利用する場合、「生活行動パターン」は1つの例として、
(P2)「世帯Aでは、
起床は、6時台が最も多く、次いで7時台に起床することが多い。
外出は、10時台が最も多く、次いで13時台に外出することが多い。
帰宅は、18時台が最も多く、次いで22時台に帰宅することが多い。
就寝は、25時台(午前1時台)が最も多く、次いで24時台が多い。」といった形式をとる。
【0079】
この形式をとる場合、生活行動パターン生成部15は、単位期間(1日)において発生したと判定された「生活イベント」毎に、発生したと判定された時間帯の抽出対象期間における出現頻度(出現ランキング)を算出する。実施例として、
図6に示したテーブルにおいて、抽出対象期間を2012年9月23日〜2012年10月16日の24日間とすると、生活イベントとしての「起床」について、6(6時台)が最も多く(16回)、次いで7(7時台)が多い(6回)であることが分かる。即ち、この世帯では「起床は、6時台が最も多く、次いで7時台に起床することが多い」との生活行動パターンが導出される。
【0080】
さらに、確率をパターンとして利用する場合、「生活行動パターン」は、1つの例として、
(P3)「世帯Aでは、
起床は、67%が6時台であり、25%が7時台である。
外出は、40%が10時台であり、15%が13時台である。
帰宅は、80%が18時台であり、5%が22時台である。
就寝は、35%が25時台(午前1時台)であり、30%が24時台である。」といった形式をとる。
【0081】
この形式をとる場合、生活行動パターン生成部15は、単位期間(1日)において発生したと判定された「生活イベント」毎に、発生したと判定された時間帯の抽出対象期間における出現確率を算出する。実施例として、
図6に示したテーブルにおいて、抽出対象期間を2012年9月23日〜2012年10月16日の24日間とすると、生活イベントとしての「起床」について、6(6時台)の出現確率は約67%(16/24)であり、7(7時台)の出現確率は約25%(6/24)であることが分かる。即ち、この世帯では「起床は、67%が6時台であり、25%が7時台である」との生活行動パターンが導出される。
【0082】
さらに、「生活行動パターン」の生成についての更なる他の実施形態として、生活行動パターン生成部15は、各単位期間(各1日)における生活イベントセットに基づいて、当該生活イベントセットを構成する各「生活イベント」の発生した時間帯を要素とする特徴ベクトルを生成し、当該特徴ベクトル群についてクラスタリング処理を行い、要素数が最多となるクラスタに基づいて生活行動パターンを生成してもよい。
【0083】
例えば、
図6に示したテーブルにおいて、抽出対象期間を2012年9月23日〜2012年10月16日の24日間とし、生活イベントとしての「起床」、「外出」、「帰宅」及び「就寝」の各々における発生した時間帯をベクトル要素とする4次元の特徴ベクトルを算出し、24個の4次元特徴ベクトルについて、階層型クラスタリング処理を行ってもよい。所定のクラスタ数を指定したとき、最も要素(特徴ベクトル)の数が多いクラスタを代表クラスタとして、このクラスタの代表値(各生活イベントの代表的発生時間)を算出し、この各生活イベントの代表的発生時間に基づいて、上述した形式(P1)、(P2)又は(P3)の「生活活動パターン」を生成することができる。
【0084】
以上説明したように、「生活行動パターン」は、種々の算出方法で導出することができ、種々の形式で表現することが可能となっている。本発明によれば、本来、生活行動上の意味づけがなされているわけではない消費電力データから、静的な世帯の属性を表す生活行動パターンを、種々の形式として自動的に生成することが可能となるのである。
【0085】
[外出同行度算出]
図2に戻って、外出同行度算出部151は、生活行動パターン生成部15に含まれた機能部であり、生活区域(例えば自宅)の生活者における外出の際に同行する程度を示す外出同行度を算出する。この際、
(a)最初に、生活イベント管理部14は、抽出対象期間(例えば100日間)内の単位期間(1日間)毎に、生活者全員又は所定割合以上の生活者が活動している最大生活行動の時間帯を対応付けた生活イベントセットを蓄積する。次いで、
(b)外出同行度算出部151は、各単位期間(各1日)における(a)で生成された生活イベントセットにおいて、(b1)生活区域(例えば自宅)からの外出に相当する「生活イベント」が発生した時間帯と、(b2)自宅への帰還(帰宅)に相当する「生活イベント」が発生した時間帯と、(b3)最大生活行動の時間帯とに基づいて、「生活者全員の不在時間」と、「少なくとも1人の不在時間」とを算出する。さらに、
(c)外出同行度算出部151は、算出した「生活者全員の不在時間」及び「少なくとも1人の不在時間」に基づいて、自宅(生活区域)の生活者における外出の際に同行する程度を示す外出同行度を算出する。
【0086】
図7は、外出同行度算出の一実施例を示すテーブルである。
【0087】
図7のテーブルに示すように、抽出対象期間(例えば100日間)内の単位期間(1日間)毎に、(b1)「外出」の発生した時間帯と、(b2)「帰宅」の発生した時間帯とが算出されており、これらのデータから、「全員の不在時間」が決定されている。例えば、2012年2月1日では、「外出」が10(10時台)であって「帰宅」が16(16時台)であるから、「全員の不在時間」を10時から16時までと決定する。
【0088】
さらに、
図7のテーブルに示すように、抽出対象期間(例えば100日間)内の単位期間(1日間)毎に、(b3)最大生活行動の時間帯が算出されている。外出同行度算出部151は、この「最大生活行動の時間帯」と、決定された「全員の不在時間」とから、「少なくとも1人の不在時間」を決定する。例えば、2012年2月1日では、「全員の不在時間」が10(10時台)から16(16時台)までであって、「最大生活行動の時間帯」が、7(7時台)、18(18時台)、22(22時台)、23(23時台)であるから、「全員の不在時間」に含まれているか又は「最大生活行動の時間帯」に含まれていない時間帯の全てである0〜6(0〜6時台)、8〜17(8〜17時台)、及び19〜21(19〜21時台)を、「少なくとも1人の不在時間」に決定する。
【0089】
外出同行度算出部151は、次いで、「全員の不在時間」の合計時間をT
Aとし、「少なくとも1人の不在時間」の合計時間をT
Lとして、次式
(3) (外出同行度)=T
A/T
L
を用いて、当該1日における外出同行度を算出する。例えば、2012年2月1日では、「全員の不在時間」の合計時間T
Aが7時間(10〜16時台)であり、「少なくとも1人の不在時間」の合計時間T
Lが20時間(0〜6時台、8〜17時台、及び19〜21時台)であるから、外出同行度は、35%(7/20)となる。
【0090】
さらに、抽出対象期間における各1日での外出同行度を算出し、例えば同期間での平均値をとることによって、その推定対象である世帯の外出同行度を決定することもできる。この際、この推定対象世帯での外出同行度を、例えば同じ地域の他の世帯における外出同行度の平均値と比較することで、当該推定対象世帯に対し、外出同行度についてのラベル化、例えば「別々に外出することが多い/少ない」等の情報付与、を行うことも可能となる。
【0091】
以上詳細に説明した外出同行性は、本来、例えば上述した閾値である活動電力値及び活動電力幅や、最大活動電力値から直接的には算出できない情報である。しかしながら、本実施形態のように、抽出された生活行動パターンを勘案し、「全員の不在時間」及び「少なくとも1人の不在時間」を決定してやることによって、この外出同行性が算出可能となるのである。このように、サービス対象世帯について外出同行度が決定されれば、一緒に出かける際に役立つ製品を紹介したり、または留守にした自宅についての防犯アドバイス等を提供したりすることも可能となる。
【0092】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、生活者の生活行動パターンを、当該生活者に係る消費電力量に基づいて生成することができる。特に、本来、生活行動上の意味づけがなされているわけではない消費電力データから、静的な世帯の属性を表す生活行動パターンを自動的に生成することが可能となる。
【0093】
さらに、このように抽出されたユーザの生活行動パターンに基づいて、ユーザの電力消費や生活パターンについての適切な支援情報、例えば節電アドバイスや生活時間帯についてのアドバイス等を提供したり、生活リズムの乱れ等に係る警告情報を通知したりすることもできる。また、これにより、例えば世帯の省エネルギー化を実現したり、生活者の健康維持・改善等を図ったりすることも可能となる。
【0094】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。