(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、手作業による切断作業は効率が悪く膨大なコスト(手間及び時間)がかかることから、この作業を自動化する技術が強く望まれている。
【0007】
そこで本発明は、成形された中空発泡体を金型から取り出す前に、その一部を金型の内部で切断することができる発泡中空成形体の型内切断方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。
すなわち、本発明に係る発泡中空成形体の型内切断方法は、発泡樹脂を押し出して発泡パリソンを形成する押し出し工程と、発泡パリソンを開いた状態の分割金型対の間に配置して分割金型対を締める型締め工程と、発泡パリソン内への加圧気体の吹き込み及び発泡パリソン外での真空吸引の少なくとも一方により発泡中空成形体を形成する成形工程と、発泡中空成形体の形成過程又は形成後にて分割金型対のうち一方の分割金型により形成されるキャビティの壁面の一部を開口し、この開口を通じてキャビティ内に刃先を有する切断刃を進入させることにより、このキャビティに接している発泡中空成形体の一部を切断して発泡中空成形体の中空部を開口する切断工程と、分割金型を開いて切断工程により得られる発泡中空成形品を取り出す取り出し工程とを含む。
【0009】
このように本発明は、形成された発泡中空成形体を金型から取り出す前の工程において、金型の内部でその一部を切断して中空部を開口できるため、従来のように金型から取り出した後の工程において手作業で切断していたのと比較し、格段に作業効率を向上させることが可能となる。
また、金型から取り出した後の工程で成形体を切断する場合は、切断した捨て袋の部分を別途回収し、これを粉砕した上で成形樹脂として再利用する必要がある。これに対し、本発明のように金型の内部で切断する場合、切断した捨て袋を周囲の大きなバリ(いわゆる「大バリ」)と一体となった状態でそのまま回収することができる。これにより、大きなバリと捨て袋をまとめて粉砕して再利用することができるため、リサイクル工程における取扱いが容易になり、リサイクル処理の効率を高めることができる。
さらに、刃先を有する切断刃を用いることにより、腰が弱く弾力性に富む発泡パリソンに突き刺さり易いという作用が生じ、形成された発泡中空成形体を容易に切断することが可能となる。
【0010】
本発明において、切断工程では、切断刃の進入前に、一方の分割金型により形成されるキャビティの壁面の一部を形成しつつ切断刃を収納する切断刃収納部を開閉する収納シャッターを開くことで、このキャビティ(=一方の分割金型により形成されるキャビティ)の壁面を面一の状態から開口のある状態に変化させて切断刃収納部を開放し、収納されていた切断刃をキャビティ内に前進させることが望ましい。
【0011】
この形態によれば、発泡中空成形体が形成されるまでの間は収納シャッターが終始閉じられており、キャビティの壁面が面一の状態に保たれているため、一方の分割金型における収納シャッターとその他の部分との境界部に接する位置に形成される発泡中空成形体の表面を、段差のない滑らかなものとすることが可能となる。
【0012】
そして、切断工程ではさらに、分割金型対のうち他方の分割金型により形成されるキャビティの壁面の一部を開口することで、この開口に達するまで切断刃の進入を受け入れることが望ましい。
この形態によれば、開口することにより形成された空間に一方の分割金型から進入してくる切断刃を逃がすことができるため、発泡中空成形体の一部に突き刺した切断刃をそのまま前進させて発泡中空成形体の一部を切断し、中空部を形成することが可能となる。
【0013】
さらに好ましくは、切断刃の前進前に、他方の分割金型により形成されるキャビティの壁面の一部を形成しつつ切断刃の進入を受け入れる切断刃逃がし部を開閉する封鎖部材を開方向へ移動させることで、このキャビティ(=他方の分割金型により形成されるキャビティ)の壁面を面一の状態から開口のある状態に変化させて切断刃逃がし部を開放し、切断刃の進入を受け入れることとする。
【0014】
この形態によれば、発泡中空成形体が形成されるまでの間は封鎖部材が終始閉じられており、キャビティの壁面が面一の状態に保たれているため、他方の分割金型における封鎖部材とその他の部分との境界部に接する位置に形成される発泡中空成形体の表面を、段差のない滑らかなものとすることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の発泡中空成形体の型内切断方法によれば、成形された中空発泡体を金型から取り出す前に型内で機械的に切断して開口できるようになることにより、作業効率を向上できることからコストダウンを図ることができる。また、より正確でより均一に精度の高い切断作業を遂行することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態で示す発泡中空成形体の型内切断方法は好ましい例示であり、本発明はこの例示に限定されるものではない。
【0018】
図1は、発泡中空成形体の型内切断方法のフローチャートを示している。本実施形態において、型内切断方法は以下の工程S1〜S4に沿って行われる。
【0019】
押し出し工程S1:ここでは先ず、ダイスリットから発泡樹脂を大気中に押し出して発泡パリソンを形成する。
型締め工程S2:次に、押し出された発泡パリソンを分割金型間に配置して挟み込み、金型を締める(いわゆる「型締め」する。)。
【0020】
成形・切断工程S3:その後、発泡パリソン内に加圧エアを吹き込んでブロー成形することにより発泡中空成形体を形成するとともにこの形成過程又は形成後に金型の内部で切断刃により必要箇所の切断を行う。なお、発泡パリソン内に加圧エアを吹き込む代わりに、金型のキャビティ内から真空吸引を行うか、もしくはこれらの両方を行うことによりブロー成形を行うこととしてもよい。
取り出し工程S4:最後に、分割金型を開いて成形・切断工程S3により得られた発泡中空成形品を取り出す。
【0021】
次に、各工程における細部の機構について説明する。
図2は、分割金型を用いた発泡ブロー成形の一態様を示す図である。ここでは、
図2中(A)に押し出し工程の概要を示し、
図2中(B)には分割金型14a全体の模式図を示す。また、
図2中(C)には型締め工程から成形・切断工程に至る概要を示している。
【0022】
〔押し出し工程〕
図2中(A):先ず、発泡樹脂がダイ10から大気中に押し出されて円筒形上の発泡パリソン12を形成する。この発泡樹脂は、押し出し機(図示されていない)の中で熱可塑性樹脂に発泡剤を添加して混練されたものである。そして、発泡パリソン12が分割金型14a,14bの間に配置され、これら金型14a,14bが型締めされることにより、発泡パリソン12が分割金型14a,14bで挟み込まれる。なお
図2には、発泡パリソン12とともに分割金型14a,14bの一部の断面が示されているが、実際には成形品のサイズに応じた分割金型14a,14bが用いられる。型締めの方向でみた分割金型14aの背後には、のちの工程で使用する切断刃34及び切断刃収納部32が設けられている。
【0023】
図2中(B):ここでは、型締め方向でみた分割金型14aの正面が示されている。型締めに際してもう片方(他方)の分割金型14bは、発泡パリソン12を挟んで図示の正面側から向かい合わせとなる。このため分割金型14aの正面には、ブロー成形用のキャビティ16aが露出して示されている。分割金型14aには、その一部にスライド式の収納シャッター42が設けられており、この収納シャッター42はキャビティ16aの一部を形成している。このためキャビティ16a内には、収納シャッター42とその他の部位との間に境界部48が形成されており、型締め時に収納シャッター42と分割金型14aのその他の部位とは、境界部48を挟んでキャビティ16aを一続きに成形している。また図中の矢印に示されているように、収納シャッター42は、型締め時の合わせ面に沿う方向にスライド自在となっており、収納シャッター42が型締め時の位置から一方向(ここでは左方向)にスライドすると、境界部48付近に開口が形成され、この開口を通じて切断刃34が前進できる状態になる。切断刃34及びこの進退動作に関わる機構については、詳しく後述する。
【0024】
〔成形工程〕
図2中(C):上記の分割金型14aでも触れたように、分割金型14a,14bには、成形品の形状に合わせたキャビティ16a,16bがそれぞれ形成されている。この例では、図示の断面において成形品を円管状とするため、各分割金型14a,14bに半円形状のキャビティ16a,16bが形成されている。また、キャビティ16a,16bの両端縁にはピンチオフ部18a,18bが形成されている。分割金型14a,14bで型締めされた発泡パリソン12は、ピンチオフ部18a,18bに挟み込まれた状態でキャビティ16a,16b内に収納される。
【0025】
この状態で、吹き込み針及び吹き出し針を発泡パリソン12に突き刺し、吹き込み針から加圧気体を発泡パリソン内部13に吹き込んで、所定のブロー圧にてブロー成形を行う。これにより、発泡パリソン12が図中の矢印側すなわちキャビティ16a,16b側に徐々に引き伸ばされてキャビティ16a,16bの空気が外部に押し出され、最終的には発泡パリソン12がキャビティ16a,16bの壁面に押圧される。
【0026】
図3は、一実施形態の方法により得られる発泡中空成形体の概略図である。
図3中(A)に示されている例は、発泡中空成形品としてのダクト26を得る過程で形成される発泡中空成形体20である。上記の成型工程により形成される発泡中空成形体20には、ダクト26を囲む型割線24の外側にバリ22が形成されている。
【0027】
図3中(B)に示されている例は、発泡中空成形品としてのダクト26である。
図3中(A)の発泡中空成形体20からダクト26を得るには、まず、発泡中空成形体20の中空部を切断して捨て袋28を除去し、中空部切断口30を形成する必要がある。また、型割線24に沿ってバリ22も切除する。
【0028】
ここで、中空部の切断は金型から発泡中空成形体20を取り出した後の工程で手作業により行うこともできる。しかし、この方法では時間も手間も要するため作業効率があまりよくない。そこで本実施形態の方法においては、以下の態様により金型から取り出す前の段階で金型の中で中空部を切断するものとする。
【0029】
図4は、本実施形態において使用する分割金型の断面図である。この断面図における分割金型14a,14bの一部分は、
図2中(C)に示す状態から時計回りに90度回転させたものである。2つのうち一方の分割金型14aは、その内部に切断刃収納部32が設けられており、ここに発泡パリソン12を切断するための切断刃34が収納されている。
【0030】
また、他方の分割金型14bは、その内部に切断刃逃がし部36が設けられており、一方の分割金型14aから前進してくる切断刃34をこの空間内に受け入れることができる。
【0031】
図4中の矢印に示されているように、切断刃34は切断刃収納部32からキャビティ16a,16bに向けて進退自在に設けられている。
図4には図示されないが、切断刃34の進退動作に際して、分割金型14aには切断刃収納部32からキャビティ16a,16bに通じる開口が形成されるものとなっている。
【0032】
切断刃34が切断刃収納部32から進出すると、一方の分割金型14aのキャビティ16aに接している発泡中空成形体20を突き刺すことにより、その一部を切断する。そして切断刃34は前進を続けて発泡パリソン内部13を通過し、切断刃逃がし部36に達するまで前進し続けることにより、発泡パリソン12を切断して上記の中空部切断口30を形成する。なお、発泡パリソン12を切断する際の具体的な機構については、さらに詳しく後述する。
【0033】
図5は、本実施形態において使用する切断刃に特有の形態を他の形態と対比して示した概念図である。なお、図示の便宜上、
図5では長手方向を極端に短縮して示している。
【0034】
図5中(A):ここには、切断刃34を正面より右斜め上から見た場合の斜視図が示されている。切断刃34は、山形に尖った刃先を有しており、この刃先を頂点として、切断刃34の幅方向の両側に向けて傾斜した切刃(エッジ)が形成されている。また、切断刃34の両側端もそれぞれが切刃となっている(いわゆる両刃)。こうした形状の切断刃34は、発泡樹脂のようなあまり腰の強くない素材に対しても刺さり易いため、切込みを入れ易いという利点がある。
【0035】
〔比較例〕
図5中(B):ここでは、切断刃34に対する比較例となる刃40を下向きに樹脂38に押し当てたときの様子を示している。比較例の刃40は刃先が平坦な形状であり、このような刃先を樹脂38に対して押し当てた場合、腰が弱く弾力性に富む樹脂38には刃40が容易には刺さらない。結果として、樹脂38は刃40の動きに追従して変形してしまうため、切込みを入れることが困難である(切断しにくい)。なお、刃40の刃先が円弧状であっても同様である。
【0036】
図5中(C):これに対し、本実施形態で用いる切断刃34を下向きに樹脂38に対して押し当てた場合を見てみる。上記のように、切断刃34は尖った刃先を有しているため、樹脂38に押し当てると刃先が容易に樹脂38に突き刺さり、樹脂38の表面には切込みが形成される。この状態から更に切断刃34を前進させてゆけば、切断刃34の切刃が徐々に樹脂38に進入してゆき、そのまま樹脂38を切断することができる。
【0037】
図6は、本実施形態において使用する分割金型の正面図である。
2つあるうち一方の分割金型14aは、その表面によりキャビティ16aを形成している。また一方の分割金型14aの内部には、切断刃34及び切断刃収納部32が設けられている(いずれも
図6には示されていない)。
【0038】
また、他方の分割金型14bは、その表面によりキャビティ16bを形成しており、その内部には切断刃逃がし部36(同じく
図6には示されていない)が設けられている。 以下、分割金型14a,14bについて、より詳細に説明する。
【0039】
図7は、切断刃収納部の構造を示す断面斜視図(
図6中のVII−VII線に沿う断面図)である。なお、作図の便宜上、ここではピンチオフ部18aについての図示を省略している。
【0040】
図7中(A):分割金型14aは、その内部に上記の切断刃収納部32が設けられている他、キャビティ16aを形成する部位の一部が可動式の収納シャッター42となっている。収納シャッター42は、キャビティ16aの壁面が延びる長手方向(成形されるダクト30の空気流通方向)と同じ方向にスライド可能であり、収納シャッター42は、そのスライド動作に伴い切断刃収納部32を開閉することができる。収納シャッター42のスライド動作には、例えば図示しない油圧アクチュエータやエアシリンダ等を駆動源に用いることができ、ここでは収納シャッター42が切断刃収納部32を閉じた状態を示している。収納シャッター42は、上記のように分割金型14aにおいてキャビティ16aの壁面の一部を形成しており、発泡中空成形体20をブロー成形する初期の段階では、切断刃収納部32を閉じた状態でキャビティ16aの壁面を滑らかに維持している。そして、ある程度まで発泡中空成形体20の成形が進むか、あるいは成形が終了した段階で収納シャッター42が図中の黒塗り矢印の方向にスライドし、切断刃収納部32を開放する。切断刃34は、この開放動作に続いて図中の白抜き矢印の方向に前進し、キャビティ16a,16bに接している発泡中空成形体20を切断して中空部を開口することになる。
【0041】
なお、切断刃収納部32は、押し出し工程から型締め工程を経て成形工程に至り、発泡中空成形体20が形成されるまでの間は、収納シャッター42により終始閉じられたままである。この間はキャビティ16aの壁面が面一の状態で維持されているため、分割金型14aにおいて収納シャッター42とその他の部分との境界部48に接する位置に形成される発泡中空成形体20の表面は、段差がなく滑らかなものとなる。
【0042】
図7中(B):次に切断工程での動作として、切断刃収納部32を覆う収納シャッター42が開き、切断刃34が前進する。形成された発泡中空成形体20の中空部を切断する段階で、収納シャッター42が開くことにより、キャビティ16aの壁面が面一の状態から開口のある状態に変化する。そして、この開口を通じて切断刃34が図中の白抜き矢印の方向に前進していく。
【0043】
図8は、2つのうち他方の分割金型が備える切断刃逃がし部の構造を示す断面斜視図(
図6中のVIII−VIII線に沿う断面図)である。なお、ここでも作図の便宜上、ピンチオフ部18bについての図示を省略する。
【0044】
図8中(A):分割金型14bは、その内部に上記の切断刃逃がし部36が設けられている他、キャビティ16bを形成する部位の一部が可動式の封鎖シャッター44となっている。封鎖シャッター44もまた、キャビティ16bの壁面が延びる長手方向(成形されるダクト30の空気流通方向)と同じ方向にスライド可能であり、封鎖シャッター44は、そのスライド動作に伴い切断刃逃がし部36を開閉することができる。封鎖シャッター44のスライド動作にも、例えば図示しない油圧アクチュエータやエアシリンダ等を駆動源に用いることができる。また、ここでは封鎖シャッター44が切断刃逃がし部36を閉じた状態を示している。封鎖シャッター44もまた、分割金型14bにおいてキャビティ16bの壁面の一部を形成しており、発泡中空成形体20をブロー成形する初期の段階では、切断刃逃がし部36を閉じた状態でキャビティ16bの壁面を滑らかに維持している。そして、上記のように切断工程において切断刃34による発泡中空成形体20の切断が行われると、切断刃34が到達する前に図中の黒塗り矢印の方向にスライドし、切断刃逃がし部36を開放する。
【0045】
なお、切断刃逃がし部36は、切断刃収納部32と同様に、押し出し工程から型締め工程を経て成形工程に至り、発泡中空成形体20が形成されるまでの間は、封鎖シャッター44により終始閉じられたままである。この間は、キャビティ16bの壁面が面一の状態で維持されているため、分割金型14bにおいて封鎖シャッター44とその他の部分との境界部50に接する位置に形成される発泡中空成形体20の表面は、段差がなく滑らかなものとなる。
【0046】
図8中(B):次に切断工程での動作として、切断刃逃がし部36を覆う封鎖シャッター44が開かれる。形成された発泡中空成形体20の中空部を切断する段階で、封鎖シャッター44が開くことにより、キャビティ16bの壁面が面一の状態から開口のある状態に変化し、開口の奥に設けられている切断刃逃がし部36が開放される。この開放動作により、図中の白抜き矢印の方向に進入してくる切断刃34を切断刃逃がし部36で受け入れることができる。
【0047】
切断刃逃がし部36が切断刃34の進入を受け入れることにより、切断刃34が発泡中空成形体20の中空部を横断方向に断ち切ることのできる位置まで切断刃34を前進させることができる。
【0048】
このように、発明実施形態の発泡中空成形体の型内切断方法によれば、成形された中空発泡成形体20を金型から取り出す前に、金型内でその中空部を切断して開口することができる。これにより、金型から取り出した後に別途手作業で切断作業を行う必要がなく、製造効率の向上やコストダウンを図ることができると共に、より正確でより均一に精度の高い切断作業を遂行することが可能となる。
【0049】
また、切断した捨て袋の部分を周囲の大きなバリと一体となった状態で回収でき、大きなバリと捨て袋をまとめて粉砕し成形樹脂として再利用することができるため、金型から取り出した後の工程で切断する場合と比較して、リサイクル工程における取扱いが容易になり、リサイクル処理の効率を高めることができる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することが可能である。
例えば、上述した実施形態においては、切断刃逃がし部36を封鎖する手段として、封鎖シャッター44を用いたが、この代わりにスライド板46を用いてもよい。以下、他の実施形態について説明する。
【0051】
図9は、他の実施形態において使用する分割金型14bが備える切断刃逃がし部36の構造を示す断面斜視図である。ここに示す他の実施形態は、上述した実施形態における切断刃逃がし部36の封鎖手段を封鎖シャッター44からスライド板46に置き換えたものである。なお、作図の便宜上、ピンチオフ部18bについての図示を省略する点については先の実施形態と同様である。
【0052】
図9中(A):この場合、分割金型14bは、スライド板46によって切断刃逃がし部36の空間が埋められている。スライド板46は、切断刃逃がし部36内にてキャビティ16bの壁面に直交する方向(切断刃34が進退する方向)にスライド可能であり、スライド板46は、そのスライド動作に伴い奥方向へ引っ込んで切断刃逃がし部36を開放したり、元の位置に復帰して切断刃逃がし部36を閉鎖したりすることができる。なお、ここではスライド板46が切断刃逃がし部36を閉鎖した状態を示している。スライド板46は、分割金型14bにおいてキャビティ16bの壁面の一部を形成しており、発泡中空成形体20をブロー成形する初期の段階では、切断刃逃がし部36を閉鎖した状態でキャビティ16bの壁面を滑らかに維持している。そして、上記のように切断工程において切断刃34による発泡中空成形体20の切断が行われると、切断刃34が到達する前に図中の黒塗り矢印の方向にスライドし、切断刃逃がし部36を開放する。
【0053】
なお、ここに挙げる他の実施形態においても、切断刃逃がし部36は、切断刃収納部32と同様に、押し出し工程から型締め工程を経て成形工程に至り、発泡中空成形体20が形成されるまでの間は、スライド板46によって終始閉塞されたままであり、キャビティ16bの壁面が面一の状態で維持されているため、分割金型14においてスライド板46とその他の部分との境界部52に接する位置に形成される発泡中空成形体20の表面は、段差がなく滑らかなものとなる。
【0054】
図8中(B):次に切断工程での動作として、切断刃逃がし部36を埋めていたスライド板46が奥方向に移動し、切断刃逃がし部36が開放された状態となる。これにより、キャビティ16bの壁面が面一の状態から段差のある状態に変化する。この段差により生じる空間がそのまま切断刃逃がし部36となることにより、図中の白抜き矢印の方向に進入してくる切断刃34を切断刃逃がし部36で受け入れることができる。
【0055】
なおスライド板46は、例えば図示しないコイルばねによって弾性的に支持されていてもよい。この場合、コイルばねの無負荷(自由長)状態では、スライド板46の端面がキャビティ16bの壁面と面一に位置することで、キャビティ16bの壁面を滑らかに維持することができる。またスライド板46は、外部からの荷重によりスライド動作し、切断刃逃がし部36の奥方向へ引っ込む(逃げる)ことができる。この場合、上記のコイルばねが圧縮された状態となり、荷重がなくなれば、コイルばねの反発力(いわゆる付勢力)で元の位置に復帰する。
【0056】
また、各実施形態に挙げた分割金型14a,14bの形状はあくまで一例であり、成形品の形状に応じて分割金型の形状を変更可能であることはいうまでもない。また、切断刃34や収納シャッター42、封鎖シャッター44等の設置数や設置箇所は任意であり、図示とともに示した一例に限られるものではない。