(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(C)がカルナバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ベヘニルアルコール、ベヘニン酸ベヘニルから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項記載の顆粒。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について特にその好ましい形態を中心に詳細に記載する。なお、本発明において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味する。
【0015】
本発明に用いられる成分(A)は、ウレタン系ポリマーとアクリル系ポリマーがブレンドされポリマーエマルションの形態をとるものであり、この複合樹脂エマルションは、イソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)(以下、「(a)成分」ということがある)と、特定の重合性単量体(b)(以下、「(b)成分」ということがある)との混合液を水性媒体中に乳化分散し、この乳化液中の(b)成分を重合させて得られる水性エマルションである。
【0016】
成分(A)は、以下の工程(1)〜(4)の工程を順次行うことによって得られる。
(1)エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性単量体であって、これを重合させて得られる重合体のガラス転移温度が95℃以上、105℃以下となる重合性単量体((b)成分)の存在下で、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー((a)成分)を生成させ、(a)成分及び(b)成分の混合液を得る工程、
(2)(1)で得られた混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る工程、
(3)(2)で得られた混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る工程、
(4)(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、複合樹脂エマルションを得る工程
【0017】
以下各工程について説明する。まず、工程(1)において得られる(a)成分のカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーとは、イソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマーであり、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させた重合体である。
【0018】
ポリプロピレングリコールとして、数平均分子量約1000のポリプロピレングリコール(PPG1000)と数平均分子量約2000のポリプロピレングリコール(PPG2000)の2種をPPG1000:PPG2000=94:6〜92:8(質量比)の割合で使用する。
【0019】
脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物とは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有するものであり、具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート等が例示できる。
【0020】
この(a)成分の酸価は15mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。15mgKOH/g未満であると、水性溶媒への分散状態が悪くなる場合がある。一方で、その上限は70mgKOH/gであることが好ましく、60mgKOH/g以下であるとより好ましい。ジメチロールプロピオン酸の使用量は、重合により形成される(a)成分の酸価が上記した範囲となるように調整すればよい。
【0021】
ジメチロールプロピオン酸の望ましい使用割合としては、ポリプロピレングリコールとジメチロールプロピオン酸との合計中30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。一方で、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましい。この範囲内とすることで、上記の酸価の範囲を満たすことができる。
【0022】
一方、ポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物との使用割合は、当量比で、ポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸:多価イソシアネート化合物=1:1.2〜2が好ましく、1:1.5〜1.9がより好ましい。このように、ジオール成分であるポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸に対して、脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物が化学量論的に過剰となる割合で反応させることにより、(a)成分にイソシアネート基が導入される。
【0023】
(a)成分を製造するためのウレタン生成反応は、(b)成分の存在下で行う。この(b)成分によって反応系が希釈されて反応を均一に行うことができる。
【0024】
(b)成分である重合性単量体は、エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性二重結合を有する単量体であり、中でも、イソシアネート基に対して反応性のない重合性単量体、すなわち、活性水素基を含まない重合性単量体が好ましい。
【0025】
このような(b)成分、特に活性水素基を含まない重合性単量体の例としては、炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体等が挙げられる。
【0026】
上記炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸s−ペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等が例示される。これらの中でも、炭素原子数1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、とりわけ炭素原子数1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0027】
上記エステル基含有ビニル単量体の具体例としては、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸ビニル等の疎水性ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル、ラジカル重合性不飽和基含有シリコンマクロモノマー等の不飽和基含有マクロモノマー等が例示される。
【0028】
また、上記スチレン誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられる。上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が例示される。
【0029】
これらの(b)成分は、一種類のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。一種類からなる場合はその単独重合体の、複数種類からなる場合は、その組成比における共重合体のガラス転移温度が、95℃以上、105℃以下である。95℃未満であると、塗膜強度が不足してバルクにじみが生じたり、乾燥速度が遅くなり色移りが生じる場合がある。一方、105℃を超えると、最低造膜温度が高くなり、均一な皮膜が形成されないことがある。
【0030】
なお、共重合体である場合、そのガラス転移温度の算出方法は下記式(1)によるものである。ここで、Tgは共重合体のガラス転移温度(K)、Tga、Tgb、Tgc等は各々の単量体a、b、c等の単独重合体のガラス転移温度(K)であり、Wa、Wb、Wc等は各々の単量体a、b、cの、共重合体中の重量分率を示す。
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+…(1)
各単独重合体のガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK(ポリマーハンドブック)等に記載されている。
【0031】
上記(b)成分の存在下、ポリプロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートをウレタン化反応させることにより、(a)成分が生成する。ウレタン化反応は、50〜100℃程度で、0.5〜20時間程度行えばよい。これにより、カルボキシル基及び末端にイソシアネート基を含有する(a)成分を得ることができる。
【0032】
(a)成分の製造に使用される触媒としては、一般にウレタン化反応に使用される触媒が使用できる。具体例としては、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
【0033】
(a)成分の数平均分子量は800〜10,000であることが好ましく、1000〜9000がより好ましい。数平均分子量が800より小さいと、得られる皮膜が硬くなり、化粧料として用いる際に、ごわつき感等の問題が生じる可能性がある。一方10,000より大きいと、プレポリマーそのものの粘度が高くなり、ゲル化したり、安定なエマルジョンが得られなくなったりする場合がある。
【0034】
ウレタン化反応後、生成した(a)成分と(b)成分との混合液が得られる。混合液中の(a)成分と(b)成分との混合割合は、純分重量比で(a):(b)=50:50〜60:40である。(b)成分の割合がこれよりも多いと皮膜が硬くなり、易崩壊性に劣ることとなり、一方、(b)成分が少ないと、皮膜の水溶性が高まり、保形性に影響する場合があるため、この範囲とすることが好ましい。
【0035】
工程(2)においては、上記工程(1)で得られた(a)成分及び(b)成分の混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る。このように、(a)成分が含有するカルボキシル基を中和させることにより、(a)成分の水性媒体中での分散性を向上させることができる。
【0036】
次いで工程(3)では、工程(2)で得られた(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る。(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液に水性媒体を加える方法としては、混合液に水性媒体を滴下して分散させる方法、混合液を水性媒体中に滴下して分散させる方法のどちらを用いてもよい。水性媒体としては、水や、水とメタノール、エタノール、 等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等が挙げられる。この中でも、環境的な側面から、水が好ましい。乳化分散時の温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。一方で80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。温度が高過ぎると(a)成分が変性するおそれがある。
【0037】
さらに工程(4)において、工程(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、コアシェル型ポリマーエマルジョンを得る。この(b)成分の重合を行う際の重合反応は、(b)成分に合わせた一般的な重合方法で行うことができ、例えば、上記混合液にラジカル重合開始剤を添加して行うことができる。
【0038】
ラジカル重合開始剤としては、慣用のラジカル重合開始剤を用いればよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイドやジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系開始剤を用いることができる。また、有機過酸化物系開始剤や過硫酸塩系開始剤と、アスコルビン酸、ロンガリット又は亜硫酸金属塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤も好ましく用いられる。上記ラジカル重合開始剤の使用量は、重合性単量体(b)に対して、0.1〜5質量%程度、好ましくは0.5〜2質量%程度とすればよい。
【0039】
上記(b)成分の重合は、重合温度10〜80℃で行うことが好ましく、30〜60℃で行うことがより好ましい。重合は、通常、発熱が終了した後、40〜90℃程度に30分〜3時間程度維持することによって、ほぼ完了する。これにより、成分(A)複合樹脂エマルションが得られる。
【0040】
成分(A)複合樹脂エマルションの最低造膜温度は+20℃以下であることが好ましく、+15℃以下であることがより好ましい。+20℃を超えると、得られる皮膜にクラック等の不良が生じやすくなる。また一方で、最低造膜温度は−10℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましい。−10℃未満では得られる皮膜の耐水性が悪化することがある。
【0041】
かくして得られる成分(A)複合樹脂エマルションの固形分濃度は、特に制限されるものではないが、20〜50質量%であることが好ましい。なお、この成分(A)複合樹脂エマルションは、特開2007−001969号公報に記載の製造方法に従って製造することができる。
【0042】
本発明の顆粒における成分(A)の含有量は、顆粒全量に対して、固形分換算で8〜24質量%(以下、単に「%」と記載する)が好ましく、より好ましくは12〜20%である。この含有量とすることで、製剤中での保形性と易崩壊性を向上させることができる。
【0043】
本発明の顆粒は、成分(B)として水不溶性粉体を含有する。成分(B)は、通常化粧料原料として使用されるものであれば、特に限定されるものではなく、板状、紡錘状、針状、球状等の形状、煙霧状、微粒子級等の粒子径、多孔質、無孔質、中空等の粒子構造等、特に限定されず用いることができる。
【0044】
具体的には、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、窒化ホウ素、無水ケイ酸等の無機粉体類、ナイロン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリメチルシルセスキオキサン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N―アシルリジン、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン等の有機粉体類、さらには、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ等の有色無機顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の樹脂積層末等の光輝性顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の、ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ有機顔料粉体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。またこれらの粉体は、1種又は2種以上を複合化したものを用いてもよく、その表面を油剤、シリコーン化合物、フッ素化合物、水溶性高分子、樹脂等の通常公知の表面処理剤で被覆処理して用いることもできる。
【0045】
上記した粉体において、無機粉体が好ましく、粉体形状としては、板状形のものが、易崩壊性に優れ、顆粒崩壊後の粉体による皮膚刺激のなさの観点から好ましい。具体的には、タルク、セリサイト、マイカ等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0046】
また、上記した粉体の粒子径としては、特に限定されるものではないが、顆粒崩壊後の皮膚刺激の無さの観点から、20μm以下のものが好ましく、さらに10μm以下のものが好ましく、そしてさらに5μm以下のものが最も好ましい。なお、これらを前記成分(A)と、後述する成分(C)を用いて造粒した顆粒とするが、この顆粒の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、化粧料容器からの取り出しやすさや、崩壊時の視覚的な面等から、5mm以下が好ましく、1〜3mmのものであるとより好ましい。なお、ここで平均粒子径は、株式会社島津製作所製のレーザー回折式粒度分布計(型番:SALD−2300)において測定される値である。
【0047】
以上より、好ましい成分(B)としての市販品は、タルク:ハイフィラK−5(松村産業株式会社)、マイカ:MIKA POWDER Y−2300(ヤマグチマイカ社製)、セリサイト:GMS−C(KINSERA社製)等がある。
【0048】
本発明の顆粒における成分(B)の含有量は、顆粒全量に対して、20〜60%であることが好ましく、より好ましくは30〜50%である。この量範囲とすることで、使用時に力を加えれば容易に崩壊するという易崩壊性に優れ、顆粒崩壊後の粉体による皮膚刺激のなさに優れる顆粒とすることができる。
【0049】
また成分(A)の固形分に対する成分(B)の含有割合(A)の固形分/(B)は、特に限定されるものではないが、0.1〜1.2の範囲とすることが好ましく、0.3〜1.0の範囲とすることがより好ましい。このような範囲であれば、化粧料中に配合した場合においては、保形性に優れ、さらに手や皮膚の上に取り、使用時に力を加えれば容易に崩壊するという易崩壊性に優れ、顆粒崩壊後の粉体による皮膚刺激のなさに優れることを特徴とする顆粒とすることが可能となる。
【0050】
本願における顆粒とは、粉体を造粒して得られるものであり、顆粒の性質として粉体の使用性と、粉体をつなぐ結合剤とのバランスが特に重要である。具体的には、成分(B)に対して、成分(A)の比率を特定の範囲とすることにより、例えば、成分(B)が無機粉体である場合に、溶出する金属イオン量を抑制すると考えられ、水系基材として汎用されるカルボマーや(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10―30)コポリマー)等の減粘を防止することができると考えられる。このように成分(A)量を増量することにより、保形性を維持させるだけでなく、金属イオンの溶出を抑制しながらも、顆粒としての易崩壊性に優れることが本願の特徴である。
【0051】
本発明に用いられる成分(C)融点が65℃以上〜75℃未満の油剤は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、炭化水素類、エステル類、ロウ類、油脂類、高級アルコール等が使用できる。
具体的にはキャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン(融点70〜75℃)、ヤシ油やパーム油やヒマシ油などを水添して得られる硬化油、セレシンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラロウ炭化水素、キャンデラロウエステルズ、エチレン・プロピレン共重合体、合成ワックス、モンタンワックス、サトウキビワックス、ベヘニルアルコール等を例示することができる。
成分(C)として、融点65〜75℃の油の中でも、粉体表面への濡れ性の観点から、溶融時の表面張力の低い炭化水素を多く含む炭化水素類がより好ましい。具体的にはキャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン(融点70〜75℃)、セレシンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ炭化水素、キャンデラロウエステルズ、エチレン・プロピレン共重合体、合成ワックス、モンタンワックスが挙げられ、中でも、キャンデリラワックスが好ましい。
【0052】
本発明の顆粒における成分(C)の含有量は、顆粒全量に対して、10〜30%であることが好ましく、より好ましくは15〜25%である。この量範囲とすることで、化粧料中に配合した場合においては、保形性に優れる顆粒とすることができる。
【0053】
また成分(C)に対する成分(B)の含有割合(B)/(C)は、0.1〜10の範囲で含有することが好ましく、1〜3の範囲がより好ましい。この範囲とすることにより、顆粒の保形性と易崩壊性の観点でさらに好ましいものとなる。
【0054】
本発明に用いられる成分(D)は、20℃の水100gに対して30g以上溶解する水溶性粉体である。
本発明においては、顆粒に含有されることにより、化粧料の使用時、あるいは洗浄料等の水で洗い流す際に、水に成分(D)の一部が溶解することにより、顆粒の崩壊性がさらに促進することが可能となるものである。
このような性質を有する粉体であれば、通常、化粧料に用いられるものであれば特に限定されることなく使用することが可能である。また、成分(D)の水溶性粉体の平均粒子径としては、特に限定されるものではないが、溶解の速さの観点から、20μm以下のものが好ましく、さらに10μm以下のものが好ましく、そしてさらに5μm以下のものが最も好ましい。なお、ここで平均粒子径は、株式会社島津製作所製のレーザー回折式粒度分布計(型番:SALD−2300)において測定される値である。
また、成分としては、糖類、アルカリ金属塩、二価の金属イオンの塩化物が溶解後の安全性の観点から好ましい。具体的には糖類としては、キシロース、D−グルコース、スクロース、トレハロース、フルクトース、マルトース、マンノース等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。二価の金属イオンの塩化物としては、塩化カルシウム、塩化鉄(II)、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
【0055】
成分(D)として、溶解性と溶解後の皮膚刺激の無さの観点から、安息香酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄(II)、塩化マグネシウム、キシロース、スクロース、トレハロース、フルクトース、マルトース、マンノース、硫酸マグネシウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウムがより好ましい。
【0056】
本発明の顆粒における成分(D)の含有量は、成分(B)に対して、10〜50%であることが好ましく、より好ましくは20〜40%である。この量範囲とすることで、顆粒の崩壊性を向上し、顆粒崩壊後に皮膚刺激を与えにくくすることができる。
【0057】
本発明の顆粒は、上記した成分(A)〜(C)を含有することで得られるものであり、種々の大きさの粉体を用いることが可能であるが、顆粒としての平均粒子径は、顆粒崩壊前の皮膚刺激の無さの観点から、0.2〜3mmのものが好ましく、さらに0.5〜2mmのものが好ましく、そしてさらに1〜1.5mmのものが最も好ましい。
なお、本発明の顆粒は、保形性に優れながらも、手や皮膚の上に取り、使用時に力を加えれば容易に崩壊するという易崩壊性に優れる特性があるものである。25℃において、精製水にて5分間浸漬しておいた顆粒を、キムワイプにて水切後、英弘精機株式会社製テクスチャーアナライザー(TA−XT Plus)を用いて速度0.02mm/秒で荷重をかけ圧縮した時の崩壊時にかかる前記顆粒の崩壊強度(最大荷重値)が20〜150gである
【0058】
本発明の顆粒は、上記記載の成分の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば、成分(A)以外のエマルションポリマー、油性成分、粉体分散や感触調整としての界面活性剤、保湿としての水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0059】
本発明の顆粒は顆粒単独の硬さは十分あり、なおかつ製品系中で溶け崩れし易く、使用時に徐々に顆粒が小さくなり良好な洗浄効果・マッサージ効果を有するため、洗顔料・クレンジング・マッサージ料・リップバーム・ネイルケア化粧料等に配合することができる。
【0060】
本発明の顆粒の製造方法は、攪拌混合槽内で成分(A)〜(C)を80℃以上で加温しながら均一に攪拌混合する。その後、三本ローラーにて処理した後、乾燥を行い、スピードミル(スクリーン径5mm)にて粉砕処理を行うことで製造されるものである。
なお、スクリーン径は、種々のサイズを選択することも可能である。
【実施例】
【0061】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
(複合樹脂エマルション)
[製造例1]:複合樹脂エマルション1
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、反応溶媒として重合性単量体(b)である、メチルメタクリレート19.7重量部及びn−ブチルアクリレート0.8重量部を入れ、ポリプロピレングリコール(数平均分子量1000(*1)を7.7重量部と数平均分子量2000(*2)を0.6重量部)及びジメチロールプロピオン酸2.0重量部を加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネート10.2重量部を加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.3重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基を中和した。次いで、この溶液に精製水56.6重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒として、t−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.15重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.05重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルション1を得た。
(複合樹脂エマルション1は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
*1:ポリプロピレングリコール,ジオール型,1000(和光純薬工業社製 水酸基価:111mgKOH/g)
*2:ポリプロピレングリコール,ジオール型,2000(和光純薬工業社製 水酸基価:56mgKOH/g)
【0062】
[製造例2]:複合樹脂エマルション2
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート20.2重量部及びn−ブチルアクリレートを0.2重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を7.2重量部、前記*2を0.58重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.6重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを10.1重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.8重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体56.3重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.14重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.06重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルジョン2を得た。
(複合樹脂エマルション2は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約102℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
【0063】
[製造例3]:複合樹脂エマルション3
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート19.6重量部及びn−ブチルアクリレートを0.8重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を8.7重量部、前記*2を0.6重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.3重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを8.9重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.6重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体56.5重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.07重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.02重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルジョン3を得た。
(複合樹脂エマルション3は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
【0064】
[製造例4]:複合樹脂エマルション4
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート14.8重量部及びn−ブチルアクリレートを0.6重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を9.8重量部、前記*2を0.7重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.6重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを10.1重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.9重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体53.2重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.11重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.04重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルジョン4を得た。
(複合樹脂エマルション4は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が60:40である。)
【0065】
(顆粒配合化粧料)
本発明品1〜19及び比較品1〜6:マッサージ化粧料
下記、表1〜表3に示す組成のマッサージ化粧料を下記製造方法により、調製し、「易崩壊性」、「保形性」、「顆粒崩壊後の粉体による皮膚刺激のなさ」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果をあわせて表1〜表3に示す。
【0066】
【表1】
※1:製造例1の複合樹脂エマルション((a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg95℃、固形分40%)
※2:リカボンドSU−U0609−SS(中央理化工業社製、(a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg6℃、固形分30%)
※3:YODOSOL GH800F(固形分45%)(アクゾノーベル社製)
※4:DYNAMX(アクゾノーベル社製、ポリウレタン−14:アクリレーツコポリマーの質量比=70:30の混合エタノール水溶液、固形分28%)
【0067】
【表2】
※1:製造例1の複合樹脂エマルション((a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg95℃、固形分40%)
※2:リカボンドSU−U0609−SS(中央理化工業社製、(a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg6℃、固形分30%)
※3:YODOSOL GH800F(固形分45%)(アクゾノーベル社製)
※4:DYNAMX(アクゾノーベル社製、ポリウレタン−14:アクリレーツコポリマーの質量比=70:30の混合エタノール水溶液、固形分28%)
【0068】
【表3】
※1:製造例1の複合樹脂エマルション((a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg95℃、固形分40%)
※2:リカボンドSU−U0609−SS(中央理化工業社製、(a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg6℃、固形分30%)
※3:YODOSOL GH800F(固形分45%)(アクゾノーベル社製)
※4:DYNAMX(アクゾノーベル社製、ポリウレタン−14:アクリレーツコポリマーの質量比=70:30の混合エタノール水溶液、固形分28%)
【0069】
[顆粒配合化粧料の製造方法]
A.成分(1)〜(15)を90℃以上に加温し、均一に混合する。
B.Aを三本ローラーにて混練する。
C.乾燥後、スピードミル(スクリーン径5mm)にて粉砕処理して顆粒を得た。
D.成分(16)〜(20)をディスパーにて5分間攪拌混合する。
E.DにCで得た顆粒を加え、佐竹式ミキサーにて5分間攪拌混合することによりマッサージ化粧料を得た。
【0070】
(評価方法)
下記の項目について、専門パネル20名による使用テストを行った。各顆粒を水系ベースに配合し、顔面に塗布し、下記絶対評価基準にて7段階に評価し、評点をつけ、パネル全員の評点の合計から、その平均値を算出し、下記の判定基準により判定した。
<評価項目>
a.易崩壊性
c.顆粒崩壊後の粉体による皮膚刺激のなさ
<絶対評価基準>
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
<判定基準>
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え4.5点未満 :良好
△ :1点を超え3.5点未満 :やや不良
× :1点未満 :不良
【0071】
(評価方法)
本発明品1〜19及び比較品1〜6について、50℃恒温下にて一ヶ月間保存した、50℃保存サンプルを室温に戻したものと、室温にて一ヶ月保存したものとの状態比較を行った。
<評価項目>
b.保形性
<絶対評価基準>
(評点):(評価)
5 :全く変化がない。
4 :僅かながら顆粒の溶解が確認されるが、ほとんどの顆粒が変化していない。
3 :顆粒の溶解が一部生じているが、かなりの顆粒が初期の大きさを維持している。
2 :顆粒の溶解がかなり生じており、一部の顆粒が初期の大きさを維持している。
1 :顆粒がすべて崩壊している。
【0072】
表1〜表3の結果から明らかな如く、本発明品1〜19の化粧料に配合された顆粒は、比較品1〜6の化粧料に配合された顆粒に比べ、保形性に優れ、さらに手や皮膚の上に取り、使用時に力を加えれば容易に崩壊するという易崩壊性に優れ、顆粒崩壊後の粉体による皮膚刺激のなさに優れたものであった。中でも、成分(A)としては、保形性、易崩壊性の観点から、製造例1がより好ましい。
【0073】
これに対して、成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーのアクリル部分の理論Tgを35℃としたものを使用した比較例1では、アクリル部分の皮膜強度が不足し、保形性に劣るものであった。成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーの代わりにウレタン・アクリル混合ポリマーを用いた比較例2では、皮膜が軟らかく、保形性に欠けるものであった。成分(A)のアクリルウレタン複合エマルションポリマーの代わりにアクリル酸アルキル共重合体エマルションポリマーを用いた比較例3では、皮膜が硬く崩壊性に欠けるものであった。成分(C)の融点65〜75℃の油を含有しない比較例4は、耐水性が低く、保形性に劣るものであった。成分(C)融点65〜75℃の油より融点の低い、融点65℃未満の油を含有した比較例5は、保形性に劣るものであった。成分(C)融点65〜75℃の油より融点の高いの油を含有した比較例6は、易崩壊性に劣るものであった。
【0074】
実施例2:水系マッサージ化粧料(液状)
(成分) (%)
(1)精製水 残量
(2)エタノール 11
(3)1,3−ブチレングリコール 5
(4)(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10―30)コポリマー) 0.07
(5)カルボマー 0.07
(6)水酸化ナトリウム 0.04
(7)顆粒(本発明品1) 10
【0075】
(製造方法)
成分(1)〜(7)を均一に混合する。
A.成分(1)〜(6)を室温でディスパーにて5分間攪拌混合する。
B.Aに成分(7)を添加し、佐竹式ミキサーにて5分間攪拌することにより水系マッサージ化粧料(液状)を得た。
【0076】
以上のようにして得られた水系マッサージ化粧料に配合された顆粒は保形性に優れ、さらに手や皮膚の上に取り、使用時に力を加えれば容易に崩壊するという易崩壊性に優れ、顆粒崩壊後の粉体による皮膚刺激のなさに優れるものであった。また、経時での水系基材の粘度低下を起こすことがなかった。
【0077】
実施例3:リップバーム化粧料
(成分) (%)
(1)ポリブテン 残量
(2)トリエチルヘキサノイン 18
(3)パルミチン酸デキストリン 12
(4)トリイソステアリン酸ポリグリセリルー2 10
(5)ミネラルオイル 8
(6)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 5
(7)ジメチルシリル化シリカ 2
(8)香料 0.2
(9)顆粒(本発明品2) 5
【0078】
(製造方法)
A.成分(1)、(2)を90℃で加熱溶解する。
B.Aに成分(3)〜(8)を加え、90℃で加熱混合する。
C.Bを3本ローラーにて混練する。
D.Cに成分(9)を上部から添加することにより、油性基材に顆粒が塗された形態とすることによりリップバーム化粧料を得た。
【0079】
以上のようにして得られたリップバーム化粧料に配合された顆粒は、保形性、易崩壊性に優れ、顆粒崩壊後の粉体による口唇への刺激のなさに優れていた。
【0080】
実施例4:油性固形マッサージ化粧料
(成分) (%)
(1)エチルヘキサン酸セチル 残量
(2)ミネラルオイル 19
(3)トリエチルヘキサノイン 15
(4)パルミチン酸デキストリン 7
(5)フェノキシエタノール 2
(6)テトラオレイン酸ソルベス−30 1.5
(7)ジメチルシリル化シリカ 1
(8)香料 1
(9)ジメチコン 0.5
(10)顆粒(本発明品3) 20
【0081】
(製造方法)
A.成分(1)〜(6)を90℃で加熱混合溶解後、室温まで冷却する。
B.Aに成分(7)〜(9)を添加し、三本ローラーにて処理する。
C.成分(10)を容器に充填する。
D.Bを95℃に加温し、Cに溶融充填し、室温放冷することにより、組成物を得た。
【0082】
以上のようにして得られた油性固形マッサージ化粧料は、顆粒が保形性に優れ、さらに手や皮膚の上に取り、使用時に力を加えれば容易に崩壊するという易崩壊性に優れ、顆粒崩壊後の粉体による皮膚刺激のなさに優れるものであった。