(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297908
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】エンジン作業機の始動方法
(51)【国際特許分類】
F02N 11/08 20060101AFI20180312BHJP
F02N 15/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
F02N11/08 N
F02N11/08 X
F02N15/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-89874(P2014-89874)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-209770(P2015-209770A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 克明
【審査官】
首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭56−135732(JP,A)
【文献】
特開2008−297926(JP,A)
【文献】
実開昭55−163459(JP,U)
【文献】
特開昭56−044443(JP,A)
【文献】
特開2005−180386(JP,A)
【文献】
特開昭63−255565(JP,A)
【文献】
実開昭54−111231(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02N 11/08
F02N 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機を駆動するエンジンを外部信号で自動的に始動させる自動始動装置を備えたエンジン作業機の始動方法において、
前記自動始動装置は、タイマー回路と予熱回路とクランキング回路とを備え、
該タイマー回路は、タイマーリレーと並列にコンデンサを備え、
エンジンを始動させる外部信号の入力によって、予熱を開始するとともに、前記コンデンサへの充電を開始し、あらかじめ定められた時間が経過したら予熱を終了し、
予熱終了後にインターバルを設けてクランキングを行い、
クランキング中は、前記コンデンサから前記タイマーリレーへの給電が行われる
ことを特徴とするエンジン作業機の始動方法。
【請求項2】
前記インターバルは、機械式リレーの接点動作遅れによりなされることを特徴とする請求項1記載のエンジン作業機の始動方法。
【請求項3】
エンジンを停止させる外部信号が入力されたら、前記コンデンサを放電させることを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン作業機の始動方法。
【請求項4】
前記エンジンを始動させる外部信号及び前記エンジンを停止させる外部信号は、運転・停止スイッチのON−OFFによって入力されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンジン作業機の始動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン作業機の始動方法に関し、詳しくは、発電機、油圧ポンプ、コンプレッサ等の作業機を駆動するエンジンを外部信号で自動的に始動させる自動始動装置を備えたエンジン作業機の始動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
震災時の避難所等で使用される可搬式エンジン発電機といったエンジン作業機は、エンジン始動時に、まずキースイッチをACCの位置にして予熱を開始させ、予熱ランプの表示終了後に、キースイッチを回してクランキングを行い、エンジンが起動したことを確認した後にキースイッチを放すことで始動させるタイプのものが一般的である。しかしながら、避難所等ではエンジン作業機の操作に不慣れな者が始動させなければならない場合も多い。そこで、運転制御の進行状況を明確に視覚表示することのできるエンジン作業機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−64004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のエンジン作業機では、現在の進行状況は把握できるとしても、始動プロセスを十分に理解していない場合には、次の操作に手動で移行するのに戸惑ってしまう場合がある。また、寒冷地等で予熱時間が長く、予熱ランプがなかなか消灯しない場合には、不慣れな作業者にとっては故障したと勘違いをしてしまい、不安を抱いてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、操作する者が運転始動スイッチを押すなどの1つの操作だけで、確実にエンジンを始動させることのできるエンジン作業機の始動方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン作業機の始動方法は、作業機を駆動するエンジンを外部信号で自動的に始動させる自動始動装置を備えたエンジン作業機の始動方法において、前記自動始動装置は、タイマー回路と予熱回路とクランキング回路とを備え、該タイマー回路は、タイマーリレーと並列にコンデンサを備え、エンジンを始動させる外部信号の入力によって、予熱を開始するとともに、前記コンデンサへの充電を開始し、あらかじめ定められた時間が経過したら予熱を終了し、予熱終了後にインターバルを設けてクランキングを行い、クランキング中は、前記コンデンサから前記タイマーリレーへの給電が
行われることを特徴としている。
【0007】
また、前記インターバルは、機械式リレーの接点動作遅れによりなされることが好ましく、エンジンを停止させる外部信号が入力されたら、前記コンデンサを放電させることが好ましい。さらに、前記エンジンを始動させる外部信号及び前記エンジンを停止させる外部信号は、運転・停止スイッチのON−OFFによって入力されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエンジン作業機の始動方法によれば、予熱終了からクランキングまでにインターバルを設けていることにより、バッテリー電圧が一時的に回復し、コンデンサへの充電容量が増すため、タイマーのプログラムが途中で中断したりすることなく、クランキング中の必要電圧を確保することができるため、確実にエンジンを始動することができる。
【0009】
また、機械式リレーの接点動作遅れを利用することによりインターバルを設けているので複雑な制御プログラムを必要としない。さらに、エンジンを停止させる外部信号が入力されたらコンデンサを放電させることによって、エンジン停止後すぐにエンジンを始動させる外部信号が入力されてもタイマー回路が最初から起動することが可能となる。
【0010】
さらに、エンジンの始動及び停止の外部信号を運転・停止スイッチのON−OFFスイッチによって入力されることにより、作業者がスイッチを押すという一つの動作のみでエンジンを始動させることができるため、予熱の必要性といった知識のない不慣れな作業者にとっても容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のエンジン作業機の始動方法を実施するエンジン作業機の運転操作パネルの図である。
【
図2】本発明のエンジン作業機の始動方法を実施するための自動始動装置の回路図である。状態)。
【
図3】本発明のエンジン作業機の始動方法における始動までの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本形態例では、エンジン作業機としてディーゼルエンジンによって発電機を駆動するエンジン発電機を自動始動装置10によって始動する方法を
図1乃至
図3を用いて説明する。
図2に示すように、本形態例の自動始動装置10は、運転・停止スイッチ11と、ブザー回路12と、タイマー回路13と、予熱回路14と、クランキング回路15とを備えている。
【0013】
なお、
図3では、上から順に、運転・停止スイッチ11、予熱回路14、クランキング回路15のON・OFF状態を示す(下側のベースラインがOFF状態、上側のラインがON状態をそれぞれ示す)とともに、タイマー回路13の電圧の変化を下部側に示している。
【0014】
図1はエンジン作業機の運転操作パネル1を示すものである。始動操作手順を開始させるために作業者は、運転・停止スイッチ11を押し、ON状態にする(
図3における時間0)。なお、運転・停止スイッチ11をON状態にすることが、本発明における自動始動装置10にエンジンを始動させる外部信号となる。
【0015】
運転・停止スイッチ11がON状態になると、運転・停止スイッチのランプ(L)11aが点灯するとともに、第1リレー(RYP1)16が作動し、スイッチ16aがON状態になるとともに、タイマー回路13に設けられたスイッチ16bがOFF状態となる。
【0016】
スイッチ16aがON状態になることで、バッテリー17の電流がブザー回路12に流れて運転準備中を知らせるブザーが鳴るとともに、タイマー回路13に流れて、タイマー回路13に設けられたコンデンサ(C1)の充電を開始させ、タイマーリレー(RYT1)20があらかじめ定められた時間(
図3におけるt1)のカウントを開始する。
【0017】
また、同時に予熱回路14にも電流が流れ、グローリレー18が作動し、スイッチ18aがON状態になりグロープラグ19に電源が供給され、予熱が開始される。
【0018】
上述した時間t1が経過すると、タイマー回路13に設けられたタイマーリレー(RYT1)20が作動し、予熱回路14に設けられたスイッチ20aがOFF状態となり、予熱が終了するとともに、スイッチ20bがON状態となり、第2リレー(RYP2)21が作動する。
【0019】
第2リレー(RYP2)21は機械式リレーであることから、第2リレー(RYP2)21が時間t1で作動しても、1秒以内のわずかな時間であるが接点動作遅れが生じるため、スイッチ21aがON状態になるのは時間t2となる。
【0020】
スイッチ21aがON状態になると、クランキング回路15に設けられたスタータリレー22が作動して、スイッチ22aがスタータ23側に切り替わり、スタータ23が作動し、一定時間クランキングが行われる。
【0021】
クランキングによりエンジンが始動すると(
図3におけるt3)、オルタネータ24が作動して発電を開始する。オルタネータ24が作動すると、第3リレー(RY70)25が作動し、スイッチ25aがON状態になり、ダイナモ発電状態となってバッテリー17に充電を開始するとともに、スイッチ25bがOFF状態となり、ブザー回路12、タイマー回路13、予熱回路14、第2リレー(RYP2)21への電源供給が遮断される。また、第2リレー(RYP2)21への電源供給が遮断されることで、スイッチ21aがOFF状態となり、スタータリレー22のスイッチ22aが切り替わることでクランキング回路15への電源供給も遮断される。
【0022】
図3に示されるように、予熱回路14がOFF状態になったt1からクランキング回路15がON状態になるt2までの間は、機械式リレーである第2リレー(RYP2)21の接点動作遅れによるインターバルとなり、この間は予熱もクランキングも行われない。したがって、
図3のタイマー回路13の電圧に示されるように、t1からt2までの間は、バッテリー電圧が一時的に回復し、コンデンサへの充電容量が増すことになる。また、クランキング中は、コンデンサC1からタイマーリレー(RYT1)20への給電が行われるため、電圧降下が小さく、最低許容電圧を下回らないことが分かる。さらにエンジン始動後は、バッテリー電圧である12Vよりも高い電圧となった後に徐々に低下することとなるが、上述のようにスイッチ25bがOFF状態となり、電源供給が遮断されていることから、制御プログラム等へ支障をきたすものではない。 通常、クランキング時にはバッテリー17からスタータ22に大電流が供給されるため、制御部の電圧が大きく降下する。消費電力の多い予熱とクランキングを同時に行ってしまうと電圧降下がさらに大きくなってしまい、タイマー回路13が他のリレー類と比較して最低許容電圧が高いことから、プログラムが途中で中断してしまうおそれがあるが、上述のように、本形態例では予熱もクランキングも行われないインターバルが設けられ、クランキング中も予熱を行わないため、確実な始動プログラムが実行される。
【0023】
また、運転・停止スイッチ11をOFF状態にする(本発明における自動始動装置10にエンジンを停止させる外部信号の入力)と、第1リレー(RYP1)16が非作動状態となり、タイマー回路13に設けられたスイッチ16bがON状態となり、抵抗R1がコンデンサC1に接続され、コンデンサC1を放電させる。コンデンサC1の残充電分を放電しないとすると、タイマー回路13はコンデンサC1を電源として作動するおそれがあり、十分な予熱時間を得る前にクランキングを開始してしまう可能性があるが、上述のように放電させることにより、運転・停止スイッチ11をOFF後にまたすぐON状態に戻しても、タイマー回路13が最初から起動するので、誤作動がない。
【0024】
なお、運転操作パネル1には、各種計器類や作業状態を示すランプ類が各種設けられているが、操作する者は、始動時及び停止時に運転・停止スイッチ11を押す作業と、エンジン発電機に接続された各種機器に電源を供給するための遮断器2をONにする作業とをすればよく、不慣れな者であっても始動操作を容易かつ確実に行うことができる。
【0025】
なお、本形態例では、予熱終了後からクランキング開始までのインターバルを機械式リレーの接点動作遅れを利用して設けているが、シーケンス等のプログラムで設定してもよい。また、外気温や冷却水温等の関係で、クランキングを行ってもエンジンが始動しない場合には、エンジンが始動するまで予熱とクランキングとを繰り返すように始動プログラムを設定すればよい。
【符号の説明】
【0026】
1…運転操作パネル、2…遮断器スイッチ、10…自動始動装置、11…運転・停止スイッチ、11a…ランプ、12…ブザー回路、13…タイマー回路、14…予熱回路、15…クランキング回路、16…第1リレー、16a,16b,18a,20a,20b,21a,22a,25a,25b…スイッチ、17…バッテリー、18…グローリレー、19…グロープラグ、20…タイマーリレー、21…第2リレー、22…スタータリレー、23…スタータ、24…オルタネータ、25…第3リレー、C1…コンデンサ、R1…抵抗