特許第6297977号(P6297977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297977中間接続部を備えた長寿命の電気エネルギ貯蔵アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297977
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】中間接続部を備えた長寿命の電気エネルギ貯蔵アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/14 20130101AFI20180312BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20180312BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20180312BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20180312BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20180312BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20180312BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180312BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20180312BHJP
【FI】
   H01G11/14
   H01M10/04 Z
   H01M2/26 A
   H01M2/02 Z
   H01M2/04 C
   H01M2/12 101
   H01M2/10 E
   H01G11/78
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-527639(P2014-527639)
(86)(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公表番号】特表2014-529905(P2014-529905A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】EP2012066733
(87)【国際公開番号】WO2013030213
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年7月27日
(31)【優先権主張番号】1157605
(32)【優先日】2011年8月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513197921
【氏名又は名称】ブルー ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アゼ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィグナラス、エルワン
【審査官】 多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第04213651(DE,A1)
【文献】 特開平03−003219(JP,A)
【文献】 特開2003−229166(JP,A)
【文献】 特開2002−075323(JP,A)
【文献】 特開平04−349347(JP,A)
【文献】 特開2003−272599(JP,A)
【文献】 特表2009−518789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/14
H01G 11/78
H01M 2/02
H01M 2/10
H01M 2/12
H01M 2/26
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
を形成する筒状要素と、
・各々が前記側壁の端部に配置された2つの底壁と
・前記筒状要素の端部に配置され、前記筒状要素の端部を覆い、前記容器の底壁を形成するカバー壁を含む少なくとも1つのカバーと
を備えた容器と、該容器に収容された容量性素子とを備える電気エネルギ貯蔵アセンブリにおいて、
前記容量性素子と前記カバーとの間に配置された少なくとも1つの導電性の中間接続部を備え、
前記中間接続部は、前記容量性素子の端部を覆うカバー板と、前記カバー板の周辺部に延在する周辺境界部とを含み、
前記カバー板は、流体の流路のためのベントを少なくとも1つ含み、
前記カバー板は、前記容量性素子と電気的に接続されるように、前記容量性素子に取付けられ、
前記周辺境界部は、前記容器の前記側壁を周方向に沿って部分的に覆うように構成され、
前記中間接続部の前記周辺境界部は、前記中間接続部に関連する前記底壁の変形が最小となる固定領域で前記容器の前記側壁及び前記底壁と接触するように固定される
ことを特徴とする電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項2】
前記中間接続部の前記カバー板の中央部、前記カバーに対する固定領域を有さないことを特徴とする請求項1に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項3】
前記中間接続部は、接着又は溶接によって、前記容器に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項4】
前記中間接続部は、前記カバー板が、前記カバーの前記カバー壁が広がる面に平行に延在するよう配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項5】
前記筒状要素は、前記側壁の一端にて前記側壁を塞ぎ、前記底壁を形成するベース部を備え、
前記カバーは前記側壁の他端に配置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項6】
前記中間接続部は前記容器の前記側壁の内側に配置され、
前記カバー板は前記ベース部が広がる面に平行に延在し、
前記中間接続部の前記固定領域は、前記周辺境界部に位置して前記側壁の内側の面に接続される面を備えることを特徴とする請求項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項7】
少なくとも1つのカバーは、前記中間接続部の前記周辺境界部を部分的に囲む周辺裾部を含むことを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項8】
前記中間接続部は、前記周辺境界部が、前記筒状要素の前記側壁と前記カバーの前記周辺裾部との間に位置するように配置され、
前記中間接続部の前記固定領域は、前記周辺境界部に位置して前記裾部の内面に接続され面を備え、及び/又は、前記周辺境界部に位置して前記側壁の外面に接続される面を備えることを特徴とする請求項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項9】
少なくとも1つのカバーは、前記容器内部に圧入できるように、前記側壁の端部より小さい大きさのカバー板を備え、
前記中間接続部は、自身のカバー板が、前記カバーの前記カバー壁に平行に延在するように配置され、
前記中間接続部は、自身の周辺境界部が、前記カバー壁に対して垂直に延在する前記カバーの端部と前記容器の前記側壁との間に位置するように配置され、
前記中間接続部の前記固定領域は、前記中間接続部の周辺境界部に位置する面を備えることを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項10】
前記容量性素子の端部にそれぞれ配置される2つの中間接続部を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項11】
前記底壁のうち1つの底壁は、前記底壁のうち他の底壁の厚さより薄く、
前記中間接続部は、前記容量性素子と、厚さの薄い前記底壁との間に配置されることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項12】
少なくとも1つのベントは、開口部から構成されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項13】
中間接続部は、前記カバー板に対して垂直に外側に、前記周辺境界部と同じ方向に延在する少なくとも1つの突起部を備え、
前記突起部は、前記容量性素子内に埋め込まれるように構成されることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の電気エネルギ貯蔵アセンブリ。
【請求項14】
側壁を形成する筒状要素と、各々前記側壁の端部に配置された2つの底壁とを備える容器と、前記容器に収容された容量性素子と、前記筒状要素の端部に配置され、前記筒状要素の端部を覆い、前記容器の底壁を形成するカバー壁を含む少なくとも1つのカバーとを備える電気エネルギ貯蔵アセンブリの製造方法において、
流体の流路のための少なくとも1つのベントを含むカバー板と、前記カバー板の周辺部に延在する周辺境界部とを備え、導電性を有する前記中間接続部を、前記カバー板が前記容量性素子の端部を覆うように前記容量性素子に配置し、前記周辺境界部で前記容器の前記側壁を周方向に沿って部分的に覆い、
続いて、特に溶接により、前記カバー板を容量性素子に接合する
第1の工程と、
記カバーを中間接続部に配置し、
前記中間接続部の前記カバー板に関連する前記カバーの変形を許容するように、前記中間接続部の前記周縁境界部を前記容器及び前記カバーに、接着、ろう付け、又は、溶接によって、接合する
第2の工程と
を備え、
これらの工程は、中間接続部が、前記容量性素子と前記カバーとの間に配置されるように、実行されることを特徴とする電気エネルギ貯蔵アセンブリの製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の少なくとも2つの電気エネルギ貯蔵アセンブリが内部に配置されたケーシングを備えることを特徴とするモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギ貯蔵アセンブリの一般的な技術分野に関する。
【0002】
本発明において、「電気エネルギ貯蔵アセンブリ」は、コンデンサ(すなわち、電極と絶縁体とを含む受動システム)、または超コンデンサ(すなわち、少なくとも2つの電極と、電解質と、少なくとも1つの隔離板とを含む)、または、リチウム電池タイプの電池(すなわち、アノード、カソード及び、アノードとカソードとの間の電解質溶液を含むシステム)の何れかを意味する。
【背景技術】
【0003】
図1は、筒状の超コンデンサ型の電気エネルギ貯蔵アセンブリの一例を示したものである。この貯蔵アセンブリ(storage assembly)10は、自身の両端に開口部を有する筒状ケーシング20と、筒状ケーシング(tubular casing)20に含まれる容量性巻回物(capacitive winding)30及び電解質と、筒状ケーシング20の開口部を覆う2つのカバー40とを備える。各々のカバーは、溶接線に沿って容量性巻回物に電気的に接続されている。溶接線は、目で認識できるカバー表面のほぼ全体に渡って延在している。
【0004】
カバー40を容量性巻回物30に溶接するために、カバー40と容量性巻回物30とは、完全に接触していなくてはならない。したがって、容量性巻回物30にカバー40を溶接する工程において、強い圧力がカバー40にかかる。
【0005】
溶接工程の間、貯蔵アセンブリ10を構成する部材の温度は上昇し、これらの部材が膨張する。溶接工程の最終段階では、貯蔵アセンブリ10を構成する部材の温度は下降し、これらの部材が収縮する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
部材(特にカバー40)の変形のため、溶接部に応力がかかる。この応力のため、このようにして得られた貯蔵アセンブリ10の寿命が短くなるおそれがある。
【0007】
加えて、老朽化に伴い、貯蔵アセンブリ内部のガス(その多くは水素)の放出のため、貯蔵アセンブリの内圧が上昇する。このような圧力の上昇は、エネルギ貯蔵アセンブリに含まれるカバーの変形をもたらす(カバーが凸状になる)傾向がある。この変形のため、カバーと容量性巻回物との溶接部が破損するおそれがある。したがって、内圧の上昇のため、貯蔵アセンブリの寿命が短くなるおそれがある。
【0008】
本発明の一目的は、長寿命の電気エネルギ貯蔵アセンブリを提供するために、上記課題を解決する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的のために本発明は、少なくとも1つの側壁と、各々が側壁の端部に配置された2つの底壁とを含む容器と、該容器に収容された容量性素子とを備えた電気エネルギ貯蔵アセンブリにおいて、該貯蔵アセンブリは、容量性素子と底壁のうち一つとの間に配置された少なくとも1つの導電性の中間接続部をさらに備え、前記中間接続部は、容量性素子の端部のうち一つを覆うカバー板と、前記カバー板の周辺部に延在する周辺境界部とを含み、前記カバー板は、流体の流路のための少なくとも1つのベントを含み、カバー板は、容量性素子及び容器と電気的に接続されるように、容量性素子と容器に固定され、前記周辺境界部は、前記側壁を周方向に沿って部分的に覆うように構成され、中間接続部は、中間接続部に関連する底壁の変形が最小となる固定領域において容器の前記側壁及び前記カバー板と接触するように固定されることを特徴とする。
【0010】
このため、過剰な圧力が発生したときに、容量性素子との接続部、又は、容量性素子そのものが損傷を受けずに、中間接続部は超コンデンサの膨張を許容する。中間接続部は流体(特に空気)の流路を確保し、自身に関連する底壁の変形を許容するように接続されているので、中間接続部は、たとえ容器が変形したとしても、その位置に存在し続けることができる。
【0011】
本発明による貯蔵アセンブリの非限定的な好ましい態様は以下の通りである。
【0012】
それ故、中間接続部は、カバー板の中央部に固定領域を欠いている(すなわち、備えていない)。<中央部>とは、カバー板の一部であり、カバー板と相似の板形状を有し、相似比率は、少なくとも0.5、好ましくは0.8である。カバー板の周辺部は、カバー板の中央部に属さない。
【0013】
固定領域は、特に、中間接続部のカバー板の周辺部上を延びる面を有していてもよい。
【0014】
特定の実施形態において、中間接続部は、カバー板の周辺部の上に延在する周辺境界部を含み、周辺境界部は、側壁を部分的に覆うためのものであり、固定領域は、中間接続部の周辺境界部の上に延在する面を備える。この実施形態は特別な利点がある。なぜならば、底壁がカバー板に全く接続されていないので、容量性素子と容器との間の接続に損傷を与えることなく、この底壁が変形し得る最大の変形を許容するからである。
【0015】
中間接続部は、好ましくは、接着又は溶接によって、容器に取付けられる。また、ろう付け、ねじくぎ、又は他の方法によって取付けられる。
【0016】
容器は、側壁を形成する筒状要素と筒状要素の端部に配置された少なくとも1つのカバーを備え、カバーは、筒状要素の端部を覆うように構成され、容器の底壁を形成するカバー壁を備える。
【0017】
中間接続部は、カバー板が、カバーのカバー壁が延在する面に平行に延在するよう配置され、中間接続部は、中間接続部に関連するカバーのカバー壁の変形が最小となる固定領域において、カバーと筒状要素に接続され、そして、カバーは、超コンデンサの端子を形成する。
【0018】
また、筒状要素は、側壁の一端を閉塞し、底壁を形成するベース部を備え、カバーは側壁の他端側に配置される。この場合、中間接続部は、自身の周辺境界部が、容器の側壁の内側に位置するように配置され、カバー板は、ベース部が延在する面に平行に延在する。そのとき、中間接続部の固定領域は、好ましくは、周辺境界部上に位置し、側壁の内面に接続される面を備える。
【0019】
また、少なくとも1つのカバーは、筒状要素を部分的に囲む周辺裾部を備えることも想定される。中間接続部は、自身の周辺境界部が、側壁と周辺裾部との間に位置するように配置されてもよい。そのとき、中間接続部の固定領域は、好ましくは、周辺境界部上に位置する面を有し、この面は、カバーの裾部の内面と側壁の外面の両方に接続されるか、又は、どちらか1つに接続される。
【0020】
他の実施形態において、少なくとも1つのカバーはカバー壁によって形成され、カバー壁は特に基本的に平面的であり、容器内に圧入され得るように側壁の端部より小さな寸法の大きさにされ、中間接続部は、自身のカバー板がカバーのカバー壁に平行に延在し得るように、自身の周辺境界部が、端壁の周辺部と側壁との間に位置し得るように、配置される。好ましくは、中間接続部の固定領域は、自身の周辺境界部上に位置する面を備え、この面は、カバーを形成する壁の周辺部と側壁の内面の両方に接続されるか、又は、どちらか1つに接続される。
【0021】
上述した実施形態のあらゆる組み合わせが可能であることが指摘される。例えば、エネルギ貯蔵アセンブリは、第1の型のカバーと第2の型のカバーを備えていてもよく、同じ型の2つのカバーを備えていてもよく、又は、カバーとベース部を含む筒状要素を備えていてもよい。
【0022】
アセンブリは、それぞれ容量性素子の端に配置された中間接接続部を2つ備えていてもよい。2つの中間接続部は、異なる構成を有していてもよく、及び/又は、異なる型の底壁に接続されてもよい。
【0023】
アセンブリは、他の底壁よりも薄い厚さの第1の底壁を備えてもよく、中間接続部は、容量性素子と第1の底壁との間に配置される。この方法では、過剰な圧力がかかったときの容器の変形は、底壁が最も薄い側の片側のみ考慮されることを保証する。そのとき、容量性素子と容器との接続部分の損傷を避けながら、1つの中間接続部が節約され、これは、電気エネルギ貯蔵アセンブリの製造方法を簡素にする。
【0024】
また、少なくとも1つのベントは、貫通開口部(through opening)から構成される。
【0025】
また、中間接続部は、カバー板に対して垂直な方向で外側に向かって延在し、周辺境界部と同じ方向に延在する少なくとも1つの突起部を備え、突起部は、好ましくは、容量性素子内に埋め込まれる。
― 各々の突起部は、湾曲した自由端部を備える。
― カバー板は、特に、容量性素子を形成する巻回物にて容量性素子に接するように、自身の表面において容量性素子に直接取付けられている。ひとつの好ましい実施形態では、コレクターの端部は巻回物と接触するカバー板の表面に溶接される。
【0026】
また、本発明は電気エネルギ貯蔵アセンブリの製造方法にも関する。
電気エネルギ貯蔵アセンブリは、いわゆる側壁と、各々が側壁の端部に位置する2つの底壁とを含む容器と、加えて、容器に収容された容量性素子とを備え、
製造方法において少なくとも以下の工程を備えることを特徴とする。
第1に、流体の流路となる少なくとも1つのベントを含むカバー板を備える容量性素子を、カバー板が容量性素子の端部を覆うように容量性素子に配置し、導電性の中間接続部を容量性素子に配置し、そして、特に溶接によって、容量性素子にカバー板を接合し、
第2に、中間接続部に、容器の底壁を備える容器の一部、特にカバーを配置し、そして、中間接続部に関連する底壁の変形を許容するように、特に、接着、ろう付け、又は、溶接によって、中間接続部を容器の一部に接合する。
これらの工程は、容量性素子と底壁の間に中間接続部が配置されるように実行される。
【0027】
上述した方法の工程は、いずれの順序でも実行される。場合によって、中間接続部の配置及び接続は、最初に容量性素子に対して実行されてから、次に容器に対して実行されるか、又は、逆であってもよい。
【0028】
また、方法は、容器の他の部分を、組み立てられた容量性素子、中間接続部、及び容器部に取付ける工程を備えていてもよく、この容器の他の部分は、特に、中間接続部に直接取付けられる。
【0029】
また、本発明は、上述した内容に従う少なくとも2つの電気エネルギ貯蔵アセンブリがその中に配置されたケーシングを備えたモジュールにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、以下の記述からさらに明白になる。その記述は、単なる例示であり、限定するものではなく、添付図面に関連して読まれる。
【0031】
図1】貯蔵アセンブリの従来例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態のエネルギ貯蔵アセンブリを模式的に示す図である。
図3】内圧のない状態のエネルギ貯蔵アセンブリを部分的に示す図である。
図4】内圧のある状態のエネルギ貯蔵アセンブリを部分的に示す図である。
図5】本発明の実施形態の変形例のエネルギ貯蔵アセンブリを示す図である。
図6】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
図7】エネルギ貯蔵アセンブリの製造方法の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る貯蔵アセンブリの様々な実施形態を、図面を参照して説明する。図1〜7では、貯蔵アセンブリの共通する要素には同一の符号を付した。
【0033】
図2に示すように、貯蔵アセンブリ10は、容器を備える。特に、この容器は、2つのカバー40とともに、筒状要素(tubular element)20と、筒状要素20の内部の容量性素子30(capacitive element)とを備える。
【0034】
貯蔵アセンブリ10は、一般的に、筒型の形状である。ここでは他の形状は図示されていないが、本発明の趣旨を変更しなければ、貯蔵アセンブリ10は、平行六面体、立方体、楕円、及び六角形の形状であってもよい。
【0035】
筒状要素20は自身の両端が開口していてもよく、又は、ベース部(base)を備えていてもよい。図2に示す本実施形態では、各々の筒状要素20は、容器の側壁を形成する側壁22と、その上端と下端に位置する2つの開口部とを備える。筒状要素20は、正方形、楕円形、六角形、円形、又は、当業者に知られている他の形の断面形状を有していてもよい。
【0036】
筒状要素20を構成する材料は、例えば、プラスチックのような電気絶縁体であってもよく、例えば、アルミニウムやステンレス鋼などの金属であってもよい。
【0037】
筒状要素20の各開口面は、カバー40によって覆われる。
【0038】
カバー40は導電性である。カバー40を構成する材料は金属であり、例えば、アルミニウムやステンレス鋼などである。
【0039】
各々のカバー40は、
・アセンブリの底壁を形成し、貯蔵アセンブリ10の上面23(それぞれ、下面24)を覆うためのカバー壁(covering wall)41と、
・カバー壁41に対して垂直の方向に延在し、筒状要素20の側壁22を部分的に囲むための周辺裾部(peripheral skirt)42と
から構成される。
【0040】
各々のカバー40は、周辺エッジ43(peripheral edge)を備えていても備えていなくてもよい。周辺エッジ43は、周辺裾部42とは反対側のカバー40の面上にて、貯蔵アセンブリ10の回転軸A−A’に対して平行に外方に延在する。各々のカバーの周辺エッジは、明らかに、任意であることが指摘される。
【0041】
各々のカバー40は、接続端子44を備えていても備えていなくてもよい。接続端子44は、貯蔵アセンブリ10とこれに隣接する貯蔵アセンブリを電気的に接続する接続片図示せず)を受け入れる。
【0042】
また有利に、貯蔵アセンブリ10は、導電性の中間接続部50も備える。中間接続部50は、容量性要素30とカバー40の間の電流(current)の経路を確保する。
【0043】
中間接続部50は、カバー板(covering plate)51と周辺境界部(peripheral border)52を備える。
【0044】
カバー板51は、実質的に平坦である。このカバー板51は、筒状要素20の開口を覆うためのものである。
【0045】
周辺境界部52は、カバー板51の周辺部に亘って、カバー板51に対して垂直な方向に延在する。この周辺境界部52は、筒状要素20の側壁22を部分的に覆うためのものである。
【0046】
中間接続部50は、
― カバー40のカバー壁41が、カバー板51に対して平行に延在しながら、中間接続部のカバー板51を覆い、
― カバー40の周辺裾部42が、周辺境界部52に対して平行に延在しながら、中間接続部50の周辺境界部52を覆う
ように筒状要素20とカバー40の間に配置される。
【0047】
いったん貯蔵アセンブリ10が組立てられると、中間接続部50は、容量性素子30及びカバー50と電気的に接続された状態にある。
【0048】
中間接続部50は、カバー板51にて容量性素子30に取付けられている。また、中間接続部50は、該中間接続部50と関連するアセンブリの底壁を形成するカバーの変形を許容する領域でカバーにも接続されている。この領域は、特に、カバー板51の周辺部又は周辺境界部52である。
【0049】
カバー板51は、流体の流路となるベント53を備える。ベント53は、エネルギ貯蔵アセンブリ10の経時変化による内圧上昇による影響が中間接続部50に及ぶのを防ぐ。なぜならば、カバーと容量性素子との間の電気的な接続に損傷を与えることなく、カバーの膨張が許容されるからである。
【0050】
ベント53の存在により変形が抑えられる中間接続部50に電流の流路を移動させることによって、エネルギ貯蔵アセンブリ10の寿命が改善される。
【0051】
中間接続部50は、エネルギ貯蔵アセンブリ10の内圧の影響をほとんど受けず、エネルギ貯蔵アセンブリ10の内圧の上昇に関連して接続が切断されるおそれは減少する。
【0052】
中間接続部の存在は、非常に多くの利点をもたらす。
【0053】
特に、従来の貯蔵アセンブリのカバー40は、レーザ透過溶接技術によって容量性素子30に取付けられる。レーザ透過溶接は、重ね合わされた2つの部材が、溶接される部材のうち一方を透過する−部材が厚ければ薄くされた部分、部材が薄ければ部材全体を透過する−エネルギの高いビームを用いて溶接されるというものである。
【0054】
このレーザ透過溶接は、カバーに非常に大きな応力をかけてしまう。特にカバーには、均一の厚みや平坦性が必要とされる。
【0055】
加えて、薄くされた領域は、これらカバーに設けられていることが多く、この薄くされた領域において容量性素子にレーザ透過溶接される。
【0056】
つまり、カバーを構成する材料の選択は、レーザ透過溶接工程に適合する必要がある。
【0057】
このレーザ透過溶接工程は、カバー40と容量性素子30との厚さの違いのため、特に煩雑であるが、中間接続部が存在している場合、このレーザ透過溶接工程を省略することが可能である。
【0058】
貯蔵アセンブリ10の製造において、カバー40を容量性素子30に溶接する工程が不要となるので、以下のような利点がある。
― カバーに薄い領域を設ける必要がない。
― カバーの厚さの均一性や平坦性についての制約が減少する。
― カバーを構成するアルミニウムの選択の幅を、アルミニウム3000系(Al−Mn系合金)やアルミニウム6000系(Al−Mg−Si系合金)等の機械的合金や、ステンレス鋼、ニッケル、又は、その他水性の溶媒中で腐食しない金属までも拡大することができる。
【0059】
中間接続部50は、カバー40の変形量が最小となる領域、例えば、カバー40の周辺部で、カバー40に取付けることができる。これにより、たとえ貯蔵アセンブリ10の内圧が上昇した場合でも、中間接続部50とカバー40との間の良好な電気的な接続が保たれる。
【0060】
中間接続部50は、溶接によって、容量性素子30に取付けることができる。
【0061】
有利なことに、中間接続部50の厚さは、容量性素子30の厚さ、例えば1mmオーダーの厚さに近づけることができる。
【0062】
これにより、以下のことが可能となる。
― 中間接続部50を容量性素子30に溶接する際に使用するビームの出力を下げることができる。
― 中間接続部50を容量性素子30に溶接する際のスピードを上げることができる。
― 容量性素子30の加熱を軽減し、このため、劣化(例えば、容量性素子を形成するポリマーやセパレータの劣化)のおそれを減らすことができる。
― 中間接続部50と容量性素子30との間の溶接ビードを広げ、電流の流れを改善することができる。
― 容量性素子30の外側の巻回部に溶接することができる(もし、容量性巻回物であれば)。
【0063】
また、中間接続部50は、ろう付けや拡散ろう付けによって、容量性素子30に取付けられてもよい。なぜならば、密封される必要がなく、機械的な応力にさらされることもない(特に、貯蔵アセンブリの内圧が上昇したときでも)からである。
【0064】
最後に、図4に示すように、中間接続部は容量性素子30に機械的に取付けることができる。
【0065】
本実施形態において、中間接続部は少なくとも1つの突起部54を備える。突起部54は、カバー板51に対して垂直に周辺境界部52と同じ方向に延在する。突起部54の自由端55は、突起部54を固定するために容量性素子30内で曲がっていてもよい。
【0066】
読者は、中間接続部の容量性素子への取付は、前述の3つの取付の技術(溶接、ろう付け、機械的)を組み合わせても良いことが理解できるであろう。
【0067】
中間接続部50のカバー40への取付に関しては、これは溶接や接着によって得られる。
【0068】
図5は、中間接続部50が、接着によって、カバー40と筒状要素20に取付けられたエネルギ貯蔵アセンブリ10の実施形態を示したものである。
【0069】
カバー40と中間接続部50を接着することにより、貯蔵アセンブリの耐圧を改善することができる。それ故、カバー40の厚さを薄くすることができる。
【0070】
貯蔵アセンブリは、3つの接着層(glue deposits)61,62,63を備える。第1の接着層61は、カバー40の周辺裾部42と中間接続部50の周辺境界部52との間に広がっている。第2の接着層62は、周辺境界部と筒状要素20の側壁22との間に広がっている。好ましくは、接着層61,62は、超コンデンサのシール性を高めることが可能な連続した接着剤のビードであることが好ましい。
【0071】
それ故、中間接続部50は以下のように取付けられる。
― カバーに対して径方向に垂直な面を覆うようにカバーに取付けられる。
― カバーに対して径方向に垂直な面を覆うように筒状要素に取付けられる。
【0072】
第3の接着層63は、好ましくはカバー板の周辺部上で、カバー40のカバー壁41と中間接続部50のカバー板51との間に広がっている。この領域は圧力の上昇の影響をほとんど受けない。第3の接着層63は、接着剤からなるパッド形状であってもよい。なぜならば、この第3の接着層63は、超コンデンサのシール性に影響を与えないからである。これにより、アセンブリの高いシール性を確保しながら、軸線方向の膨張による応力を抑えることができる。この軸線方向の膨張は、中間接続部50と同時に容量性素子によってもたらされる。
【0073】
中間接続部を他の部材に取付けることが異なる方法で実行されることが指摘されるであろう。例えば、カバー42の径方向端部と中間接続部との間で、中間接続部をカバーに溶接することが予想される。
【0074】
図6を参照して、本発明の他の実施形態を示す。図6は、超コンデンサ100を示す。
超コンデンサ100は容器を備え、容器は、容器の底壁を形成するベース部121を含む筒状要素120と、筒型の側壁122と、筒状要素120の開口端部に配置され、もう一つの容器の底壁を形成するカバー140とからなる。また、超コンデンサ100は、電解質とともに容器内に収容される巻回された容量性要素130も備える。
【0075】
本実施形態では、カバー140は、実質的に、平坦な円盤状に形成されており、その直径は筒状要素の側壁122の直径よりわずかに小さい。カバーは筒状要素に挿入され、筒状要素の端部と同一平面上に位置するように構成されている。
【0076】
また、アセンブリは、底壁を形成するカバーと容量性素子130との間に配置された中間接続部150を備える。
【0077】
この中間接続部は、カバー140と平行に配置されるように構成されたカバー板151と、カバー板151の端部において延在する周辺境界部152とを備える。周辺境界部は筒状要素の側壁122に沿って延びるように構成されており、中間接続部は、周辺境界部が側壁122とカバー140の端部との間に挿入されるように構成される。
【0078】
また、中間接続部150は流体の経路となるベント153も備える。
【0079】
容量性素子は、筒状要素120のベース部121とカバー板150にて中間接続部150の両方に溶接によって結合される。
【0080】
また、中間接続部150は、筒状要素を中間接続部に接合するための接着層161を介して、自身の周辺境界部において、筒状要素120に接着により接合され、且つ、溶接によってカバーに接合される。この溶接部162による接合のため、カバーを電気的に容量性素子に接続可能な導電性を有する接合ができる。
【0081】
上述した実施形態では、容器内で過剰な圧力が発生した場合、超コンデンサ内部のガスは、ベント153を介して中間接続部150を通り抜け、カバー140を膨張させる原因となる。カバーと容量性素子との間の電気的な接続は損傷を受けない。なぜならば、ベントがあるため過剰な圧力が中間接続部150と容量性素子130との間の接続に影響を与えなからである。カバー140の膨張は、中間接続部とカバーとの間の接続を損傷させない。なぜならば、膨張による応力は、カバーの周辺部では小さいからである。
【0082】
本実施形態では、1つの中間接続部のみを備えた超コンデンサを開示している。ベース部121はカバー140に比べて非常に厚いため、過剰な圧力下においても変形せず、ベース部と容量性素子との間に中間接続部を準備する必要はない。また、前記接続部は、筒状要素のベース部の付近に配置してもよい。
【0083】
図7を参照すると、本発明に係る貯蔵アセンブリの製造方法の一例が示されている。
【0084】
筒状要素120がベース部を備えていない場合、中間接続部50は、容量性素子130の各々の端部に配置される(ステップ200)。中間接続部50は、カバー板51が容量性素子130の端部を覆うように配置される。本実施形態では、中間接続部は周辺境界部を備えていない。そして、中間接続部50は、溶接、ろう付け、又は、機械的な接続によって、カバー板の中央部において容量性素子30に取付けられる。
【0085】
そして、カバー40は、各々の中間接続部50を覆うように重ね合わせられる(ステップ300)。また、筒状要素は容量性素子の周りを囲むように配置される。カバー40は、接着、溶接、又は、圧入によって、カバー板の周辺部において中間接続部50に取付けられる。
【0086】
次に、筒状要素20が、特にコレクターカップ(collector cup)を介してカバーに取付けられる(ステップ400)。とりわけ、この取付は、接着によって得られ、アセンブリのシール性を確保する。
【0087】
そして一般的に、アセンブリはカバーに設けられた開口部を通して容器の内側に電解質を配置することによって満たされる。
【0088】
このようにして、電気エネルギ貯蔵アセンブリを得られる。
【0089】
ここで述べられた新しい技術や利点から実質上離れずに、上述の製造方法やデバイスに多数の変形がなされることを読者は理解するであろう。
【0090】
特に、容量性素子は、巻回されるか、巻き付けられるか、又は、積層された素子であってもよい。容量性素子は、円筒状、角柱状、又は、その他の当業者によく知られている形状を有していてもよい。
【0091】
加えて、方法を実行するとき、中間接続部はカバー(又は、筒状要素のベース部)に最初に取付けられた後に、容量性素子に取付けられてもよい。
【0092】
それ故、このタイプのいかなる変更は、添付の請求項で定義されるような本発明に係るモジュールの要旨の範囲におさまるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7