特許第6297979号(P6297979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297979
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】液体酵素製剤及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/10 20060101AFI20180312BHJP
   A23L 29/00 20160101ALN20180312BHJP
【FI】
   C12N9/10
   !A23L29/00
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-539370(P2014-539370)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2014-532421(P2014-532421A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】FI2012051048
(87)【国際公開番号】WO2013064736
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】20116074
(32)【優先日】2011年11月1日
(33)【優先権主張国】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500185416
【氏名又は名称】ヴァリオ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Valio Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】ラヤカリ キルシ
(72)【発明者】
【氏名】ホタカイネン カイ
(72)【発明者】
【氏名】ミュッラリネン パイヴィ
【審査官】 福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/101762(WO,A1)
【文献】 特表2001−514513(JP,A)
【文献】 特表平08−503613(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/028274(WO,A1)
【文献】 特表平08−512359(JP,A)
【文献】 特開2005−034078(JP,A)
【文献】 特表2009−537495(JP,A)
【文献】 和勁松 他,高圧下におけるホエータンパク質の変性、凝集およびゲル化に及ぼすグリセロールの影響,日本農芸化学会大会講演要旨集 2004年度(平成16年度)大会[広島],2004年03月05日,84頁, 2A22p07
【文献】 Proc Natl Acad Sci USA. 1972, vol.69, no.9, p.2373-2376
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25%〜100%(w/w)のポリオールを含み、4.4〜5.1の範囲内のpH値を有するポリオール-水懸濁液に、トランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼから選択される少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を含み、トランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼから選択される前記少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素が、製剤中でその活性を維持することを特徴とする、液体酵素製剤であって、前記ポリオールが、グリセロール及びソルビトールから選択される、前記製剤
【請求項2】
前記ポリオール-水懸濁液が50%〜75%のポリオールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記pHが4.6であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記製剤がトランスグルタミナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
前記製剤がラッカーゼ及び/又はチロシナーゼをも含むことを特徴とする、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
前記製剤が保存料を含まないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
25%〜100%(w/w)のポリオールを含み、4.4〜5.1の範囲内のpH値を有するポリオール-水懸濁液に、トランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼから選択される少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を添加することを特徴とする、液体酵素製剤の調製方法であって、前記ポリオールが、グリセロール及びソルビトールから選択される、前記方法
【請求項8】
下記工程:
a)ポリオール-水懸濁液のpHを食品等級酸で4.4〜5.1の範囲内の値に調整する工程、
b)トランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼから選択される少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を前記懸濁液に添加する工程、
c)任意に保存料を添加する工程
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
下記工程:
a)25%〜100%のポリオールを含むポリオール-水懸濁液に、トランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼから選択される少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を添加する工程、
b)前記懸濁液のpHを食品等級酸で4.4〜5.1の範囲内の値に調整する工程、
c)任意に保存料を添加する工程
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリオール-水懸濁液が50%〜75%のポリオールを含むことを特徴とする、請求項79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリオール-水懸濁液のpHが4.6であることを特徴とする、請求項710のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記酵素がトランスグルタミナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼであることを特徴とする、請求項711のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記懸濁液にラッカーゼ及び/又はチロシナーゼをも添加することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が保存料の添加を含まないことを特徴とする、請求項713のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
液体酵素製剤において、トランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ又はタンパク質グルタミナーゼから選択される少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素の活性を維持する方法であって、下記工程、
a)トランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ又はタンパク質グルタミナーゼから選択される少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を、ポリオール-水懸濁液に添加する工程、及び
b)前記ポリオール-水懸濁液のpHを4.4〜5.1の範囲内の値に調整する工程、
を含み、前記ポリオールが、グリセロール及びソルビトールから選択されることを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記pHを4.6の値に調整する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ラッカーゼをも含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
前記懸濁液にラッカーゼをも添加する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体酵素製剤、特に架橋酵素及び/又は乳タンパク質修飾酵素を含んでなる液体安定製剤に関する。特に本発明は、液体安定トランスグルタミナーゼ製剤に関する。さらに、本発明は液体酵素製剤の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋酵素及び/又は乳タンパク質修飾酵素、例えばラッカーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ又はグルコースオキシダーゼ等を含んでなる酵素製剤は、粉末製剤でも液体製剤でも商業的に入手可能である。しかしながら、トランスグルタミナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼ製品は現在粉末形態でしか市販されていない。粉末化酵素製品はダスト形成のため全ての製造プラントで全面的に許容されているわけではない。特に、労働者の間にダスティングに起因する健康被害の問題を招いている。
ストレプトベルチシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)株由来のトランスグルタミナーゼ及びその調製方法が欧州特許第0379606(B1)号に開示されている。さらに、ストレプトマイセス・リジクス(Streptomyces lydicus)株から単離された遺伝子を用いるトランスグルタミナーゼの製造方法が欧州特許第0777726(B1)号に開示されている。
トランスグルタミナーゼ等の酵素を液体形態で製剤化することに付随する問題の1つは、製剤の安定性の欠如である。さらに、現在の液体酵素製剤に付随する欠点の1つはそれらが少なくとも1種の保存料を含有することである。
【発明の概要】
【0003】
発明の簡単な説明
従って本発明の目的は、室温或いは冷蔵庫及び/又は冷凍庫の温度で安定かつ市販製剤から必要とされる期間貯蔵できる、トランスグルタミナーゼ並びに/或いは別の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素、例えばラッカーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ又はタンパク質グルタミナーゼ等を含んでなる液体酵素製剤を提供することである。
本発明の別の目的は、室温或いは冷蔵庫及び/又は冷凍庫の温度で安定かつ市販製剤から必要とされる期間貯蔵できる、トランスグルタミナーゼを含んでなる液体製剤を提供することである。
本発明のさらなる目的は、トランスグルタミナーゼ並びに/或いは別の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を含んでなる安定液体酵素製剤の調製方法を提供することである。
本発明のなおさらなる目的は、トランスグルタミナーゼを含んでなる安定液体製剤の調製方法を提供することである。
本発明の目的は、独立請求項に記載の製剤及び方法により達成される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
本発明の他の目的、詳細及び利点は、下記詳細な説明及び実施例から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0004】
トランスグルタミナーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ及びタンパク質グルタミナーゼ等の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素は乳タンパク質の修飾を触媒する。これらの酵素の作用には相乗性があり、さらにグルコースオキシダーゼの作用と相乗性があるようである。如何なる理論によっても拘束されないが、グルコースオキシダーゼ及び/又はペルオキシダーゼは、過酸化水素形成を通じて酸素が遊離される反応を触媒するようである。次にこの酸素はチロシナーゼの架橋を触媒(酸化)することができる。
トランスグルタミナーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ及びタンパク質グルタミナーゼ等の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素は、任意にグルコースオキシダーゼと共に加工魚、加工肉及び加工卵製品、ペースト及びパテ、果実、液果及び野菜、大豆製品、シリアル製品、パン及びベーカリー製品の製造で用いられる。
下記乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素は全て酪農食品その他の食品分類の食品加工に関連している。
【0005】
トランスグルタミナーゼは、タンパク質分子中に存在するグルタミン及びリジンアミノ酸残基間の共有結合の生成を触媒する酵素(EC 2.3.2.13)のファミリーである。結合が形成されると、アンモニアが遊離される。
真菌白色腐朽菌(Trametes hirsute)等の真菌及び細菌由来のラッカーゼ(EC 1.10.3.2)は、例えばアレルゲン性の軽減のため食品加工に適用されると、炭水化物及びタンパク質間の架橋(芳香族化合物及びシステインの酸化)を触媒する。
チロシナーゼ(EC 1.14.18.1)は、例えばアレルゲン性の軽減のため食品加工で適用されると、チロシン等のフェノールの酸化を触媒する酵素である。
ペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.7)は、例えばアレルゲン性の軽減のため食品加工で適用されると、芳香族化合物の酸化を触媒する酵素のファミリーである。
スルフヒドリルオキシダーゼ(EC 1.8.3.3)は、ジスルフィド結合の形成、グルタチオンの酸化を触媒する。
タンパク質グルタミナーゼは、タンパク質結合グルタミンのアミド分解を触媒し、グルタミンはグルタミン酸に変換される。
グルコースオキシダーゼは、タンパク質架橋の形成及びペントサンの酸化的ゲル化を触媒する。
【0006】
トランスグルタミナーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ及びタンパク質グルタミナーゼ等の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素は、乳ベース製品の構造を安定化するために酪農業界で用いられる。酪農業界に加えて、これらの酵素は加工魚、加工肉及び加工卵製品、ペースト及びパテ、果実、液果及び野菜、大豆製品、シリアル製品、パン及びベーカリー製品の製造で用いられる。従って、液体酵素製剤は、例えば、酪農、加工魚、加工肉及び加工卵、ペースト及びパテ、果実、液果及び野菜、大豆、シリアル、パン及びベーカリー製品の製造に適している。液体酵素製剤の使用は、特に工業規模製造での粉末製剤の使用より実用的かつ有利であろう。
トランスグルタミナーゼは5.2〜8のpH範囲で最も活性である。液化トランスグルタミナーゼをpH5.2又はpH8で貯蔵すると、この酵素はその活性を急速に失う。トランスグルタミナーゼをpH5.2で7日間室温又は冷蔵庫の温度で貯蔵した後には、活性の半分しか残っていない。
【0007】
本発明は、トランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ又はタンパク質グルタミナーゼをグリセロール又はソルビトール等のポリオールと水の懸濁液中4.4〜5.1のpH範囲で貯蔵すると、室温で貯蔵中には適度に、冷蔵庫及び/又は冷凍庫の温度で貯蔵中には素晴らしくその活性が残存するという知見に基づいている。さらに、本発明は、トランスグルタミナーゼをタンパク質グルタミナーゼと共にグリセロールと水の懸濁液中pH4.6で貯蔵すると、室温で貯蔵中には適度に、冷蔵庫及び/又は冷凍庫の温度で貯蔵中には素晴らしくこれらの酵素の活性が残存するという知見に基づいている。さらに、本発明は、トランスグルタミナーゼをタンパク質グルタミナーゼ及びチロシンと共にグリセロールと水の懸濁液中pH4.6で貯蔵すると、室温で貯蔵中には適度に、冷蔵庫及び/又は冷凍庫の温度で貯蔵中には素晴らしくこれらの酵素の活性が残存するという知見に基づいている。さらに、本発明の液体製剤は、室温並びに冷凍庫及び/又は冷凍庫の温度で貯蔵中に微生物学的にも安定している。さらに、予想外なことに、本発明の液体酵素製剤は、冷蔵庫及び/又は冷凍庫の温度では製剤中に如何なる保存料がなくてもその酵素活性及び微生物学的純度(微生物の成長なし)を維持することを見い出した。
【0008】
一実施形態では、ポリオール-水懸濁液中の液体酵素製剤は4.4〜5.1の範囲内のpH値を有する。本発明の別の実施形態では、酵素製剤のpHは4.4〜4.8の範囲内である。本発明の一実施形態では、酵素製剤のpHは4.4である。本発明の別の実施形態では、酵素製剤のpHは4.6である。本発明のさらなる実施形態では、酵素製剤のpHは4.8である。本発明のなおさらなる実施形態では、酵素製剤のpHは5.1である。
グリセロール、ソルビトール、キシリトール、及び/又はマンニトール等のポリオールを本発明の液体酵素製剤に使用することができる。グリセロールと他のポリオールの混合物等のポリオールの混合物も使用可能である。
本発明の酵素製剤を調合するのに適したポリオールと水又は2種以上のポリオールの混合物と水の懸濁液は、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、及び/又はマンニトール等のポリオールを25%〜100%まで、好ましくは50%〜100%(w/w%)まで含有してよい。本発明の一実施形態では、酵素を25%ポリオール/75%水(w/w)懸濁液に溶かす。本発明の別の実施形態では、酵素を50%ポリオール/50%水(w/w)懸濁液に溶かす。本発明のさらなる実施形態では、酵素を75%ポリオール/25%水(w/w)懸濁液に溶かす。
本発明の酵素製剤を調合するのに適したグリセロールと水の懸濁液は25%〜100%まで、好ましくは50%〜100%までグリセロールを含有してよい。本発明の一実施形態では、酵素を25%グリセロール/75%水の懸濁液に溶かす。本発明の別の実施形態では、酵素を50%グリセロール/50%水の懸濁液に溶かす。本発明のさらなる実施形態では、酵素を75%グリセロール/25%水の懸濁液に溶かす。さらに、本発明の酵素製剤を調合するのに適したソルビトールと水の懸濁液は25%〜100%まで、好ましくは50%〜100%までソルビトールを含有してよい。本発明の一実施形態では、酵素を25%ソルビトール/75%水の懸濁液に溶かす。本発明の別の実施形態では、酵素を50%ソルビトール/50%水の懸濁液に溶かす。本発明のさらなる実施形態では、酵素を75%ソルビトール/25%水の懸濁液に溶かす。
食品用途のために認可された酸、例えば、乳酸、GDL(グルコノデルタラクトン)、クエン酸、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、パントテン酸、プロピオン酸及び/又は塩酸、又は酸若しくは塩形態のそのいずれかの混合物/組合せで懸濁液のpHを所望範囲に調整することができる。本発明の一実施形態では、pH調整用に乳酸を使用する。
本発明の液体酵素製剤は、任意に安息香酸Na等の保存料を含有してもよい。一実施形態では、本発明の液体酵素製剤はいずれの追加の保存料をも含有せず、すなわち、製剤には保存料がない。別の実施形態では、本発明の液体酵素製剤は追加の保存料を含有する。さらなる実施形態では、本発明の液体酵素製剤は保存料として安息香酸Naを含有する。なおさらなる実施形態では、本発明の液体酵素製剤は、安息香酸Naを保存料として0.1〜1%の量、好ましくは0.7%の量で含有する。
本発明の液体酵素製剤は、室温で約2週間、冷蔵庫で少なくとも約1.5〜6カ月、冷凍庫で最短5カ月から24カ月までその活性を維持する。
【0009】
本発明の一実施形態では、液体酵素製剤は1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を含む。本発明の別の実施形態では、液体製剤は2種以上の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を含む。一実施形態では、本発明の製剤中の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼである。別の実施形態では、本発明の製剤中の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はチロシナーゼである。別の実施形態では、本発明の製剤中の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はタンパク質グルタミナーゼである。別の実施形態では、本発明の製剤中の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼとタンパク質グルタミナーゼである。別の実施形態では、本発明の製剤中の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼとチロシナーゼである。別の実施形態では、本発明の製剤中の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼとラッカーゼである。さらなる実施形態では、本発明の製剤中の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼ、タンパク質グルタミナーゼ及びラッカーゼである。なおさらなる実施形態では、本発明の製剤中の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼ、タンパク質グルタミナーゼ及びチロシナーゼである。
【0010】
本発明は、液体酵素製剤の調製方法であって、4.4〜5.1の範囲内のpH値を有するポリオール-水懸濁液に乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を添加する方法にも関する。本発明の一実施形態では、ポリオール-水懸濁液のpHを4.4〜5.1の範囲内の値に調整する。本発明の一実施形態では、ポリオール-水懸濁液のpHを4.4〜4.8の範囲内の値に調整する。本発明の一実施形態では、酵素製剤のpHをpH4.4に調整する。本発明の別の実施形態では、ポリオール-水懸濁液のpHをpH4.6に調整する。本発明のさらなる実施形態では、ポリオール-水懸濁液のpHをpH4.8に調整する。本発明のなおさらなる実施形態では、酵素製剤のpHをpH5.1に調整する。
本発明の方法に適したポリオールと水の懸濁液は、ポリオールを25%〜100%(w-%)まで含有してよい。本発明の一実施形態では、酵素を25%ポリオール-水懸濁液に溶かす。本発明の別の実施形態では、酵素を50%ポリオール-水懸濁液に溶かす。本発明のさらなる実施形態では、酵素を75%ポリオール-水懸濁液に溶かす。本発明の一実施形態では、ポリオールはグリセロールである。本発明の別の実施形態では、ポリオールはソルビトールである。
本方法では、食品用途のために認可された酸(食品等級、GRAS)、例えば、乳酸、GDL、クエン酸、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、パントテン酸、プロピオン酸及び/又は塩酸或いは酸若しくは塩形態のそのいずれかの混合物/組合せで懸濁液のpHを所望範囲に調整することができる。一実施形態では、本発明の方法でpH調整用に乳酸を使用する。
本発明の方法では、液体酵素製剤に任意に安息香酸Na等の保存料を含めてもよい。一実施形態では、本発明の方法は、保存料の添加を含まない。別の実施形態では、本発明の方法は保存料の添加を含む。さらなる実施形態では、本発明の方法は、保存料としての安息香酸Naの添加を含む。なおさらなる実施形態では、本発明の方法は、保存料としての0.1〜1%の量、好ましくは0.7%の量の安息香酸Naの添加を含む。
一実施形態では、本発明の方法は下記工程を含む:
a)ポリオール-水懸濁液のpHを食品等級酸で4.4〜5.1の範囲内の値に調整する工程
b)乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を懸濁液に添加する工程
c)任意に保存料を添加する工程。
別の実施形態では、本発明の方法は下記工程を含む:
a)乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素をポリオール-水懸濁液に添加する工程
b)懸濁液のpHを食品等級酸で4.4〜5.1の範囲内の値に調整する工程
c)任意に保存料を添加する工程。
【0011】
本発明の一実施形態では、1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を懸濁液に添加する。本発明の別の実施形態では、2種以上の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を懸濁液に添加する。一実施形態では、乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼである。別の実施形態では、乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はチロシナーゼである。別の実施形態では、乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はタンパク質グルタミナーゼである。別の実施形態では、乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼとタンパク質グルタミナーゼである。別の実施形態では、乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼとチロシナーゼである。別の実施形態では、乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼとラッカーゼである。さらなる実施形態では、乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼ、タンパク質グルタミナーゼ及びラッカーゼである。なおさらなる実施形態では、乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素はトランスグルタミナーゼ、タンパク質グルタミナーゼ及びチロシナーゼである。
下記実施例を利用して本発明をさらに詳細に説明する。実施例は、如何なる形においても特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0012】
比較例1
4℃でpH5.2のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG(味の素)
乳酸でpHを5.2に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液に、ストレプトベルチシリウム・モバラエンス株由来の16.300nkat/gの活性を有するトランスグルタミナーゼ(Activa(登録商標)TG、味の素)を274nkat/gの活性で溶かした。酵素活性を7日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日7に、トランスグルタミナーゼの活性の50%だけが残っていた。7日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0013】
比較例2
4℃でpH5.2の水中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標)TG(味の素)
乳酸で調整したpH5.2を有する水にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を274nkat/gの活性で溶かした。懸濁液は0.7%の安息香酸Naをも保存料として含有した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の43%だけが残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0014】
実施例1
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG(味の素)
乳酸で調整したpH4.6を有する50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を274nkat/gの活性で溶かした。
酵素活性を7日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日7に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。7日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0015】
実施例2
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG(味の素)
乳酸で調整したpH4.6を有する50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を326nkat/gの活性で溶かした。懸濁液は0.7%の安息香酸Naをも保存料として含有した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0016】
実施例3
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG-YG(味の素)
乳酸で調整したpH4.6を有する50%グリセロール-水(w/w)懸濁液に、ストレプトベルチシリウム・モバラエンス株由来のトランスグルタミナーゼとグルタチオンを含有する味の素のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標)TG-YGを溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0017】
実施例4
4℃でpH4.4のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG(味の素)
pHを乳酸でpH4.4に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を274nkat/gの活性で溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0018】
実施例5
4℃でpH4.8のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG(味の素)
pHを乳酸でpH4.8に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を274nkat/gの活性で溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0019】
実施例6
4℃でpH5.1のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG(味の素)
pHを4℃にて乳酸でpH5.1に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を274nkat/gの活性で溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0020】
実施例7
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Saprona TG(Yiming Biological Products Co, China)
pHを乳酸でpH4.6に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にストレプトベルチシリウム・モバラエンス株由来のトランスグルタミナーゼYiming Saprona TGを溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0021】
実施例8
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤 Reactyn CL 1000 TG (Campus SpA, Italy)
pHを乳酸でpH4.6に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼCampus Reactyn CL 1000 TGを溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0022】
実施例9
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤TG-PG(味の素)
乳酸で調整したpH4.6を有する50%グリセロール-水(w/w)懸濁液に酵素製剤TG-PG(味の素)を溶かすことによって液体製剤を調製した。製剤TG-PG(味の素)は、ストレプトベルチシリウム・モバラエンス株由来のトランスグルタミナーゼ及びクリセオバクテリウム・プロテオリチカム(Chryseobacterium proteolyticum)由来のタンパク質グルタミナーゼを含有する。
液体製剤のトランスグルタミナーゼ活性は100U/gであり、液体製剤のタンパク質グルタミナーゼ活性は100U/gであった。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%及びタンパク質グルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0023】
実施例10
4℃でpH4.6の75%グリセロール/25%水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG(味の素)
乳酸で調整したpH4.6を有する75%グリセロール/25%水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を326nkat/gの活性で溶かした。
酵素活性を4℃の温度で50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0024】
実施例11
4℃でpH4.6の25%グリセロール/75%水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標)TG(味の素)
乳酸で調整したpH4.6を有する25%グリセロール/75%水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を326nkat/gの活性で溶かした。
酵素活性を4℃の温度で50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の72%が残っていた。保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0025】
実施例12
22℃でpH4.4〜4.8のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標)TG(味の素)
pHを乳酸でpH4.4〜4.8に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を2789nkat/gの活性で溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
製剤の酵素活性を22℃の温度で13週間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
2週間の貯蔵後、製剤中の酵素の活性は低下し始めた。保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0026】
実施例13
4℃でpH4.4〜4.8のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標)TG(味の素)
pHを乳酸でpH4.4〜4.8に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を2789nkat/gの活性で溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
製剤の酵素活性を4℃の温度で26週間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
26週間の貯蔵後、酵素の活性の89%が残っていた。保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0027】
実施例14
-20℃でpH4.4〜4.8のグリセロール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標)TG(味の素)
pHを乳酸でpH4.4〜4.8に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を2789nkat/gの活性で溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
製剤の酵素活性を-20℃の温度で26週間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
26週間の貯蔵後、酵素の活性の97%が残っていた。保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0028】
実施例15
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液中のチロシナーゼ製剤
pHを乳酸でpH4.6に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にチロシナーゼ酵素を100U/gの活性で溶かした。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
50日の貯蔵後、チロシナーゼの活性の97%が残っていた。保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0029】
実施例16
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液中のタンパク質グルタミナーゼ製剤
pHを乳酸でpH4.6に調整した50%グリセロール-水(w/w)懸濁液にタンパク質グルタミナーゼを100U/gの活性で溶かした。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
50日の貯蔵後、タンパク質グルタミナーゼの活性の96%が残っていた。保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0030】
実施例17
4℃でpH4.6のソルビトール-水懸濁液中のトランスグルタミナーゼ製剤Activa(登録商標) TG(味の素)
pHを乳酸でpH4.6に調整した50%ソルビトール-水(w/w)懸濁液にトランスグルタミナーゼActiva(登録商標)TG(味の素)を274nkat/gの活性で溶かすことによって液体トランスグルタミナーゼ製剤を調製した。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%が残っていた。50日の保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0031】
実施例18
4℃でpH4.6のグリセロール-水懸濁液にTG-PG(味の素)及びチロシナーゼを含有する液体酵素製剤
乳酸で調整したpH4.6を有する50%グリセロール-水(w/w)懸濁液に酵素製剤TG-PG(味の素)及びチロシナーゼを溶かすことによって液体製剤を調製した。液体製剤のトランスグルタミナーゼ活性は100U/gであり、液体製剤のタンパク質グルタミナーゼ活性は100U/gであり、液体製剤のチロシナーゼ活性は100U/gであった。
酵素活性を50日間モニターした。さらに、製剤の微生物学的純度をモニターした。
日50に、トランスグルタミナーゼの活性の100%、タンパク質グルタミナーゼの活性の100%及びチロシナーゼの活性の98%が残っていた。保存試験中に微生物の成長は検出されなかった。
【0032】
当業者には、技術が進歩するにつれて、本発明の概念を種々の方法で実施できることが明白であろう。本発明及びその実施形態は、上記実施例に限定されるのではなく、特許請求の範囲内で変動しうる。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕25%〜100%(w/w)のポリオールを含み、4.4〜5.1の範囲内のpH値を有するポリオール-水懸濁液に少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を含むことを特徴とする、液体酵素製剤。
〔2〕前記ポリオール-水懸濁液が50%〜75%のポリオールを含むことを特徴とする、前記〔1〕に記載の製剤。
〔3〕前記ポリオールがグリセロール又はソルビトールであることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載の製剤。
〔4〕前記pHが4.6であることを特徴とする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の製剤。
〔5〕前記製剤がトランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ又はタンパク質グルタミナーゼを含むことを特徴とする、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製剤。
〔6〕前記製剤がトランスグルタミナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼを含むことを特徴とする、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製剤。
〔7〕前記製剤がラッカーゼ及び/又はチロシナーゼをも含むことを特徴とする、前記〔5〕又は〔6〕に記載の製剤。
〔8〕前記製剤が保存料を含まないことを特徴とする、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の製剤。
〔9〕25%〜100%(w/w)のポリオールを含み、4.4〜5.1の範囲内のpH値を有するポリオール-水懸濁液に少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を添加することを特徴とする、液体酵素製剤の調製方法。
〔10〕下記工程:
a)ポリオール-水懸濁液のpHを食品等級酸で4.4〜5.1の範囲内の値に調整する工程、
b)少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を前記懸濁液に添加する工程、c)任意に保存料を添加する工程
を含むことを特徴とする、前記〔9〕に記載の方法。
〔11〕下記工程:
a)25%〜100%のポリオールを含むポリオール-水懸濁液に少なくとも1種の乳タンパク質架橋及び/又は修飾酵素を添加する工程、
b)前記懸濁液のpHを食品等級酸で4.4〜5.1の範囲内の値に調整する工程、
c)任意に保存料を添加する工程
を含むことを特徴とする、前記〔9〕に記載の方法。
〔12〕前記ポリオール-水懸濁液が50%〜75%のポリオールを含むことを特徴とする、前記〔9〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の方法。
〔13〕前記ポリオール-水懸濁液のpHが4.6であることを特徴とする、前記〔9〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕前記ポリオールがグリセロール又はソルビトールであることを特徴とする、前記〔9〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕前記酵素がトランスグルタミナーゼ、チロシナーゼ又はタンパク質グルタミナーゼであることを特徴とする、前記〔9〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔16〕前記酵素がトランスグルタミナーゼ及びタンパク質グルタミナーゼであることを特徴とする、前記〔9〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔17〕前記懸濁液にラッカーゼ及び/又はチロシナーゼをも添加することを特徴とする、前記〔15〕又は〔16〕に記載の方法。
〔18〕前記方法が保存料の添加を含まないことを特徴とする、前記〔9〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の方法。