特許第6297986号(P6297986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6297986センサモジュール及びセンサモジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297986
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】センサモジュール及びセンサモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/02 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   G01L9/02
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-5021(P2015-5021)
(22)【出願日】2015年1月14日
(65)【公開番号】特開2016-130688(P2016-130688A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2016年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 香織
(72)【発明者】
【氏名】武田 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕史
(72)【発明者】
【氏名】松村 伸弥
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−243472(JP,A)
【文献】 特開2005−249799(JP,A)
【文献】 特開昭60−073428(JP,A)
【文献】 特開2000−111368(JP,A)
【文献】 国際公開第97/032320(WO,A1)
【文献】 特開平11−094667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00 − 1/26
G01L 7/00 − 27/02
H01C 1/00 − 1/16
H01C 7/00
H01C 8/00 − 17/30
H01L 27/20
H01L 29/84
H05K 1/09
H05K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアフラム部を有する有底筒状のモジュール本体と、前記ダイアフラム部の平面部に流動性の導電材料を塗布して形成され圧力を検出する検出部とを備え、
前記検出部は、歪量を検出する複数の抵抗素子と、これらの抵抗素子の互いに反対側に位置する一部がそれぞれ重なるように接続される一対の抵抗素子用電極と、前記一対の抵抗素子用電極にそれぞれ接続される線状導体とを有し、
前記検出部における全ての前記一対の抵抗素子用電極は、互いに対向する内側辺が直線とされた直線辺部と、前記直線辺部の両端にそれぞれ連続して設けられた端縁部とを有し、
前記直線辺部の全ては、前記内側辺がそれぞれ平行となるように配置され、
前記抵抗素子は前記直線辺部に接続され、
前記端縁部は前記抵抗素子に接続されることなく露出しており、
前記直線辺部の両端のうち少なくとも一方側の前記端縁部が前記線状導体に接続される
ことを特徴とするセンサモジュール
【請求項2】
請求項1に記載のセンサモジュールにおいて、
前記モジュール本体は、筒状部及び前記筒状部の一方の開口を閉塞する閉塞部を有する金属製の有底筒状部材と、前記有底筒状部材に設けられたセラミック製の板部とを備え、
前記有底筒状部材の前記閉塞部と前記板部とを含んで前記ダイアフラム部が構成され、
前記板部の平面に前記検出部が設けられている
ことを特徴とするセンサモジュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のセンサモジュールにおいて、
前記抵抗素子用電極と前記線状導体との材料が相違する
ことを特徴とするセンサモジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセンサモジュールにおいて、
前記抵抗素子は、平面矩形状であり、前記抵抗素子の互いに反対側の直線辺が前記一対の抵抗素子用電極の互いに反対側に位置する外側辺と、前記直線辺部の内側辺との間に位置する
ことを特徴とするセンサモジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセンサモジュールにおいて、
前記抵抗素子用電極の幅寸法は全て同じである
ことを特徴とするセンサモジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたセンサモジュールを製造する方法であって、
前記ダイアフラム部の平面内の所定の一方向から他方向に向けた第一方向に沿って流動性の導電材料を塗布して前記一対の抵抗素子用電極を形成し、
その後、前記一対の抵抗素子用電極の間で、前記ダイアフラム部の平面内の前記第一方向と交差する第二方向に沿って流動性の導電材料を塗布して前記抵抗素子を形成し、
前記抵抗素子を形成した後に、前記線状導体を形成する
ことを特徴とするセンサモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサモジュール及びセンサモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサを構成するセンサモジュールには、歪量を検出する4つの抵抗素子と、これら抵抗素子に接続される抵抗素子用電極及び線状導体とをダイアフラム部に形成したものがある。線状導体は、抵抗素子用電極と端子部等とを接続するためのものであり、所定の配線パターンを有する。
センサモジュールには、ダイアフラム部に線状導体及び抵抗素子用電極を複数スクリーン印刷で形成し、複数の抵抗素子用電極のうち隣合う抵抗素子用電極の間に抵抗素子をスクリーン印刷で形成する従来例がある(特許文献1)。
特許文献1では、細長く形成された抵抗素子用電極を対向配置するとともに、これらの抵抗素子用電極を両側部で覆うように平面矩形状の抵抗素子が形成されている。
【0003】
力学量を検出する力学量センサには、力学量の加わる金属基板と、この金属基板の表面を被覆する多層絶縁層と、この多層絶縁層の表面に印刷焼成した長方形状の歪抵抗素子と、この歪抵抗素子に接続するように印刷焼成した線状導体と、を備えた従来例がある(特許文献2)。
印刷抵抗体には、電子回路ユニットに適用され、絶縁基板の一面に互いに平行な状態で、一対の帯状の線状導体パターンが形成され、これらの線状導体パターンの間に抵抗体が形成された従来例がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3691842号公報
【特許文献2】特開平9−243472号公報
【特許文献3】特開2004−55946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来例では、スクリーンの開口部からスキージを使って導電性のペーストを押し出すスクリーン印刷によって、抵抗素子、抵抗素子用電極、線状導体が形成される。具体的には、一対の抵抗素子用電極を形成するために、導電性のペーストをダイアフラム部に細長く塗布し、抵抗素子を形成するために、一対の抵抗素子用電極の間に導電性のペーストを平面矩形状に塗布する。通常は、塗布する導電性の材料を少なくするために、抵抗素子用電極の端部に抵抗素子の端縁が合うように導電性のペーストを塗布する。
【0006】
しかし、ペーストが流動性を有するために、導電性のペーストをスクリーン印刷でダイアフラム部に直線状に塗布すると、塗布し始めた端縁部において、ペーストの平面形状が丸みを帯びることになる。スクリーン印刷で形成された抵抗素子用電極に丸みを帯びた部分があり、その部分に抵抗素子がかかると、抵抗素子の距離、つまり、抵抗値が抵抗素子用電極の長手方向に渡って異なることになる。4つの抵抗素子の抵抗値が規定値となる必要があるが、抵抗素子と抵抗素子用電極との接続条件が異なると、個々の抵抗素子の抵抗値が異なる。このように抵抗値が異なると、センサのオフセット値にばらつきが生じ、使用する際に出力調整が煩雑となる。
【0007】
特許文献2の従来例では、線状導体の幅寸法に対して歪抵抗素子の幅寸法が大きいため、歪抵抗素子が印刷時にずれても歪抵抗素子の温度特性のばらつきが低減される。しかし、特許文献2の従来例は、特許文献1の従来例と同様に、線状導体を印刷し始める際の課題については何ら解決するものではない。
特許文献3の従来例は、電子回路ユニットに用いられるものであって、圧力を測定するものではない。しかも、一対の導電パターンと抵抗体とが1組開示されるのみであって、ブリッジ回路を構成する4つの抵抗素子での抵抗値の差に関する課題の提示がない。
【0008】
本発明の目的は、複数の抵抗素子の抵抗値の差を少なくして出力調整が容易なセンサモジュール及びセンサモジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のセンサモジュールは、ダイアフラム部を有する有底筒状のモジュール本体と、前記ダイアフラム部の平面部に流動性の導電材料を塗布して形成され圧力を検出する検出部とを備え、前記検出部は、歪量を検出する複数の抵抗素子と、これらの抵抗素子の互いに反対側に位置する一部がそれぞれ重なるように接続される一対の抵抗素子用電極と、前記一対の抵抗素子用電極にそれぞれ接続される線状導体とを有し、前記検出部における全ての前記一対の抵抗素子用電極は、互いに対向する内側辺が直線とされた直線辺部と、前記直線辺部の両端にそれぞれ連続して設けられた端縁部とを有し、前記直線辺部の全ては、前記内側辺がそれぞれ平行となるように配置され、前記抵抗素子は前記直線辺部に接続され、前記端縁部は前記抵抗素子に接続されることなく露出しており、前記直線辺部の両端のうち少なくとも一方側の前記端縁部が前記線状導体に接続されることを特徴とする。
【0010】
本発明では、抵抗素子が一対の抵抗素子用電極の端縁部から離れており、必ず直線辺部にかかるようになっている。そのため、印刷で検出部をダイアフラム部に形成する際に、印刷の不具合が生じても、抵抗素子の一対の抵抗素子用電極の間の寸法が一定となる。そのため、複数の抵抗素子の抵抗値の差がなくなるので、出力調整が容易となる。
【0011】
本発明のセンサモジュールでは、前記モジュール本体は、筒状部及び前記筒状部の一方の開口を閉塞する閉塞部を有する金属製の有底筒状部材と、前記有底筒状部材に設けられたセラミック製の板部とを備え、前記有底筒状部材の前記閉塞部と前記板部とを含んで前記ダイアフラム部が構成され、前記板部の平面に前記検出部が設けられている構成が好ましい。
この構成では、セラミック製の板部に検出部を印刷で形成し、その後、板部を有底筒状部材の閉塞部に接合することで、センサモジュールを効率的に製造することができる。
この構成では、板部に直接、検出部を形成することで、センサモジュールの大量生産を容易に行うことができる。例えば、大判のセラミック製板を用意し、この板に複数の検出部を印刷でそれぞれ形成し、所定位置をカットして検出部が設けられた板部を製造する。そして、検出部が設けられた板部を別途製造された金属製の有底筒状部材の閉塞部に接着剤等で接合すれば、センサモジュールの大量生産をより効率的に実施することができる。
【0012】
センサモジュールでは、前記抵抗素子用電極と前記線状導体との材料が相違する構成が好ましい。
この構成では、重要な抵抗素子用電極には高価な材料、例えば金を用い、線状導体には安価な材料、例えば、銀パラジウム合金(銀パラ)を用いることで、全体としてコストダウンを図ることができる。
【0013】
センサモジュールでは、前記抵抗素子は、平面矩形状であり、前記抵抗素子の互いに反対側の直線辺が前記一対の抵抗素子用電極の互いに反対側に位置する外側辺と、前記直線辺部の内側辺との間に位置する構成が好ましい。
この構成では、抵抗素子が抵抗素子用電極の外側辺から突出しないので、材料を少なくすることができる。
【0014】
センサモジュールでは、前記抵抗素子用電極の幅寸法は全て同じである構成が好ましい。
この構成では、センサモジュールの製造が容易となる。
【0015】
本発明のセンサモジュールの製造方法は、前述のセンサモジュールを製造する方法であって、前記ダイアフラム部の平面内の所定の一方向から他方向に向けた第一方向に沿って流動性の導電材料を塗布して前記一対の抵抗素子用電極を形成し、その後、前記一対の抵抗素子用電極の間で、前記ダイアフラム部の平面内の前記第一方向と交差する第二方向に沿って流動性の導電材料を塗布して前記抵抗素子を形成し、前記抵抗素子を形成した後に、前記線状導体を形成することを特徴とする。
本発明では、前述のセンサモジュールの発明と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)は本発明の第1実施形態にかかるセンサモジュールの平面図、(B)は断面図。
図2】第1実施形態の要部を示す平面図。
図3】センサモジュールを製造する工程を示すもので、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
図4】本発明の第2実施形態にかかるセンサモジュールを示すもので、図1に相当する図。
図5】本発明の第3実施形態にかかるセンサモジュールの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
図1は第1実施形態のセンサモジュール1の全体を示すものであり、(A)はセンサモジュール1の平面を示し、(B)はセンサモジュール1の断面を示す。
図1に示される通り、センサモジュール1は、モジュール本体10と、モジュール本体10に設けられ流動性の導電材料を塗布して形成された検出部20とを備えている。
モジュール本体10は、筒状部11と筒状部11の一方の開口を閉塞する薄肉のダイアフラム部12とを有する有底筒状部材であり、セラミックから形成されている。
【0018】
ダイアフラム部12の平面部には検出部20が設けられている。ダイアフラム部12の検出部20が設けられた平面の反対側の面と筒状部11の内周面とから被測定流体が導入される凹部10Aが形成されている。
第1実施形態のセンサモジュール1は、凹部10Aに導入される被測定流体の圧力により、ダイアフラム部12が変位し、この変位を検出部20で検知する圧力センサ素子である。
検出部20の上には保護膜(図示せず)が設けられている。
【0019】
図1(A)に示される通り、検出部20は、歪量を検出する4つの抵抗素子3と、抵抗素子3に接続される抵抗素子用電極4と、抵抗素子用電極4の端部に接続される線状導体5とを有する。
抵抗素子3は、酸化ルテニウム等の抵抗素子用ペーストから形成された歪ゲージであり、抵抗素子用電極4は金(Au)から形成され、線状導体5は銀パラジウム合金(銀パラ)から形成されている。これらの材料は、流動性の導電材料である。
なお、図1(A)において、抵抗素子用電極4は、他の部材との違いをわかりやすくするために、複数の縦線が引かれて表示されている。
【0020】
4つの抵抗素子3のうち2つは、ダイアフラム部12の中心にX方向に並んで近接配置された第一抵抗素子31であり、残り2つは、2つの第一抵抗素子31を挟んでY方向に沿って配置された第二抵抗素子32である。4つの抵抗素子3は、同じ平面形状である。
第一抵抗素子31及び第二抵抗素子32は、その平面形状が長方形であり、その長手方向がそれぞれY方向に沿って配置されている。
抵抗素子用電極4は、第一抵抗素子31にそれぞれ接続された一対の第一抵抗素子用電極41A,41Bと、第二抵抗素子32にそれぞれ接続された一対の第二抵抗素子用電極42A,42Bと、を備えている。4つの抵抗素子用電極4は、同じ平面形状である。
【0021】
図2には、第一抵抗素子用電極41A,41Bと第一抵抗素子31との接続関係が示されている。
図2において、第一抵抗素子用電極41A,41Bは、第一抵抗素子31の互いに反対側に位置するものであって、その中央部分がそれぞれ重なるように第一抵抗素子31に接続されている。
第一抵抗素子用電極41A,41Bは、それぞれ平面が長方形に形成されており、かつ、互いに対向する内側辺40Lが直線とされた直線辺部40Sと、直線辺部40Sの両端にそれぞれ連続して設けられた端縁部40Eとを有する。
【0022】
直線辺部40Sは、少なくとも内側辺40Lがそれぞれ平行となるように配置されている。直線辺部40Sは、第一抵抗素子31と接続するための領域である。
端縁部40Eは、第一抵抗素子31に接続されることなく露出している。直線辺部40Sの長さ寸法及び幅寸法は、第一抵抗素子31が印刷される際の誤差を含めて設定される。端縁部40Eの内側の辺は内側辺40Lと同一線上にあることが好ましいが、これに限定されるものではない。
第一抵抗素子用電極41A,41Bは、それぞれ一方の端縁部40Eが線状導体5に接続されている(図1参照)。
第一抵抗素子31の互いに反対側の直線辺30Lは、第一抵抗素子用電極41A,41Bの互いに反対側に位置する外側辺40Mと、直線辺部40Sの内側辺40Lとの間に位置する。
【0023】
第二抵抗素子用電極42A,42Bは、第二抵抗素子32の互いに反対側に位置するものであって、その一部がそれぞれ重なるように第二抵抗素子32に接続されている。
第二抵抗素子用電極42A,42Bは、第一抵抗素子用電極41A,41Bと同様の構成である。つまり、第二抵抗素子用電極42A,42Bは、それぞれ平面が長方形に形成されており、直線辺部40S及び端縁部40Eを有する。直線辺部40Sと第二抵抗素子32とは互いに接続される。端縁部40Eは第二抵抗素子32に接続されることなく露出している。
第二抵抗素子用電極42Aは、第二抵抗素子用電極42Bに比べて、ダイアフラム部12の中心に近い位置に配置され、一方の端縁部40Eが線状導体5に接続されている(図1参照)。第二抵抗素子用電極42Bはダイアフラム部12の中心から遠い位置に配置され、双方の端縁部40Eが線状導体5に接続されている(図1参照)。
第一抵抗素子用電極41A,41B及び第二抵抗素子用電極42A,42Bの幅寸法は全て同じである。
第二抵抗素子32の互いに反対側の直線辺が第二抵抗素子用電極42A,42Bの互いに反対側に位置する外側辺と、直線辺部40Sの内側辺との間に位置する。
【0024】
図1において、線状導体5は、第一抵抗素子用電極41Aと第二抵抗素子用電極42Aとを接続する第一導体51と、第一抵抗素子用電極41Aと第二抵抗素子用電極42Bとを接続する第二導体52と、第一抵抗素子用電極41Bと第二抵抗素子用電極42Aとを接続する第三導体53と、第一抵抗素子用電極41Bと第二抵抗素子用電極42Bとを接続する第四導体54と、第二抵抗素子用電極42Bと図示しないパッドとを接続する第五導体55とを備える。
これらの第一導体51から第五導体55は、それぞれ幅広の直線部分を有する。
【0025】
次に、センサモジュール1を製造する方法について図3に基づいて説明する。図3(A)は要部の平面を模式的に示したものであり、図3(B)は要部の断面を模式的に示したものである。
図3(A)(B)において、まず、予め製造されたモジュール本体10のダイアフラム部12の平面内で第一方向(例えば、X方向)に沿って、流動性の金を塗布して第一抵抗素子用電極41A,41B及び第二抵抗素子用電極42A,42Bを形成する。この状態では、第一抵抗素子用電極41A,41B及び第二抵抗素子用電極42A,42Bは中央部分がやや盛り上がった断面形状となる(図3(B)参照)。
【0026】
その後、ダイアフラム部12の平面内で第一方向とは直交する第二方向(例えば、Y方向)に沿って流動性の抵抗素子用ペーストを塗布して抵抗素子3をスクリーン印刷する。
つまり、第一抵抗素子用電極41Aと41Bとに接続するように第一抵抗素子31を印刷し、第二抵抗素子用電極42Aと42Bとを接続するように第二抵抗素子32を印刷する。第一抵抗素子31は、その両端が第一抵抗素子用電極41Aと41Bとにかかる状態となり、第二抵抗素子32は、その両端が第二抵抗素子用電極42Aと42Bとにかかる状態となる(図3(B)参照)。
さらに、流動性の銀パラジウム合金を塗布して線状導体5をスクリーン印刷する。
【0027】
ここで、印刷の不具合により、第一抵抗素子用電極41A,41B及び第二抵抗素子用電極42A,42Bの角部Rが欠けて円弧状になることがある(図2の想像線参照)。
さらに、第一抵抗素子用電極41A,41Bと第一抵抗素子31との間に印刷誤差が生じ、第一抵抗素子31が第一抵抗素子用電極41A,41Bに対してX方向にずれたり(図2の符号30X参照)、Y方向にずれたり(図2の符号30Y参照)することがある。第一抵抗素子用電極41A,41Bと第一抵抗素子31との間の印刷ずれは、第二抵抗素子用電極42A,42Bと第二抵抗素子32との間にも同じように生じる。
【0028】
印刷ずれで、第一抵抗素子用電極41A,41Bや第二抵抗素子用電極42A,42Bの角部Rが欠けるとしても、その箇所は端縁部40Eに留まる。
さらに、第一抵抗素子31(第二抵抗素子32)が第一抵抗素子用電極41A,41B(第二抵抗素子用電極42A,42B)に対してX方向にずれた場合(符号30X参照)や、Y方向にずれた場合(符号30Y参照)では、第一抵抗素子31(第二抵抗素子32)は直線辺部40Sにかかっているため、第一抵抗素子31(第二抵抗素子32)の一対の第一抵抗素子用電極41A,41B(第二抵抗素子用電極42A,42B)の直線辺部40Sの間の寸法が一定のままであり、第一抵抗素子31(第二抵抗素子32)の抵抗値の差は、印刷ずれの有無にかかわらない。
【0029】
従って、第1実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)ダイアフラム部12の平面部に流動性の導電材料を塗布して形成される検出部20を備え、検出部20は、抵抗素子3と、抵抗素子3の互いに反対側に位置する一部がそれぞれ重なるように接続される抵抗素子用電極4と、抵抗素子用電極4にそれぞれ接続される線状導体5とを有する。抵抗素子用電極4は、互いに対向する内側辺が直線とされた直線辺部40Sと、直線辺部40Sの両端のうち少なくとも一方が線状導体5に接続された端縁部40Eとを有し、直線辺部40Sの全ては、内側辺40Lがそれぞれ平行となるように配置され、抵抗素子3は直線辺部40Sに接続され、端縁部40Eは抵抗素子3に接続されることなく露出している。そのため、印刷ずれが生じても、ずれ具合が全ての抵抗素子3と抵抗素子用電極4との間で同じになる。従って、抵抗素子3の抵抗素子用電極4の間の寸法が一定となり、各抵抗素子3の間での面積の差、つまり、抵抗値の差がなくなるので、出力調整が容易となる。
【0030】
(2)抵抗素子用電極4にのみ金を用い、線状導体5に安価な銀パラジウム合金を用いているので、これらの全てを金として用いる場合に比べて、コストダウンを図ることができる。
(3)抵抗素子3は平面矩形状であり、抵抗素子3の互いに反対側の直線辺30Lが抵抗素子用電極4の互いに反対側に位置する外側辺と内側辺との間に位置する。そのため、抵抗素子3が抵抗素子用電極4の外側辺から突出しないので、材料を少なくすることができる。
【0031】
(4)抵抗素子用電極4は、それぞれ2個ずつの第一抵抗素子用電極41A,41Bと第二抵抗素子用電極42A,42Bとを備え、これらの幅寸法が全て同じであるため、センサモジュール1の製造が容易となる。
(5)4つの抵抗素子用電極4は、同じ平面形状であるため、抵抗値のばらつきを抑えることができ、そのため、出力調整が容易となる。
【0032】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明する。
第2実施形態は、線状導体の平面形状が第1実施形態と異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
図4は第2実施形態のセンサモジュールを示すもので、図1と同様の図である。
【0033】
図4において、ダイアフラム部12の平面部には検出部20Aが設けられている。
検出部20Aは、抵抗素子3、抵抗素子用電極4及び線状導体6を有する。
線状導体6は、第一抵抗素子用電極41Aと第二抵抗素子用電極42Aとを接続する第一導体61と、第一抵抗素子用電極41Aと第二抵抗素子用電極42Bとを接続する第二導体62と、第一抵抗素子用電極41Bと第二抵抗素子用電極42Aとを接続する第三導体63と、第一抵抗素子用電極41Bと第二抵抗素子用電極42Bとを接続する第四導体64と、第二抵抗素子用電極42Bと図示しないパッドとを接続する第五導体65とを備える。
第一導体61から第五導体65は、第1実施形態の第一導体51から第五導体55に比べて幅が狭く形成されており、所定の部分が平面円弧状に形成されている。
第2実施形態は、センサモジュール1を製造する方法及び効果は第1実施形態と同様である。
【0034】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態を図5に基づいて説明する。
第3実施形態は、検出部20が形成される部位が第1実施形態と異なるもので、他の構成は、第1実施形態と同じである。第3実施形態の説明において、第1実施形態と同一構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
図5は第3実施形態のセンサモジュールを示すものである。
図5において、第三実施形態のセンサモジュール1は、モジュール本体7が継手8に一体に形成された構造である。
継手8は、被測定流体を導入する導入孔8Aが形成される軸部81と、軸部81の中央部分から径方向に延びて形成されたフランジ部82とを有する金属製部材である。
軸部81の一端部は、図示しない被取付部に螺合されるねじ部83である。
【0035】
第3実施形態のモジュール本体7は、筒状部11及び筒状部11の一方の開口を閉塞する閉塞部11Aを有する金属製の有底筒状部材12Aと、有底筒状部材12Aに設けられたセラミック製の板部9とを備えている。
有底筒状部材12Aの閉塞部11Aと板部9とは接着層90で接合されている。なお、図5では、板部9及び接着層90は、見やすくするために、厚く図示されている。
第3実施形態では、閉塞部11A、板部9及び接着層90を含んでダイアフラム部9Aが構成されている。
継手8の軸部81の他端部と有底筒状部材12Aとを一体に形成するために、金属の棒状部材を研削加工等するものでもよい。また、有底筒状部材12Aと継手8とを別々に製造し、これらを溶接で互いに接合するものでもよい。
【0036】
板部9は、図では、有底筒状部材12Aの平面形状と同様の円形である。本実施形態では、板部9の平面形状は円形に限定されるものではなく、例えば、八角形状であってもよい。
板部9の平面には検出部20が設けられている。板部9はセラミック製であるため、平面に絶縁層を必ずしも形成することを要しない。
なお、検出部20の平面形状は、第1実施形態と同一であるが(図1参照)、これに限定されるものではなく、第2実施形態の検出部20Aの平面形状と同じであってもよい。
【0037】
次に、センサモジュール1を製造する方法について説明する。
まず、板部9を構成するための大判のセラミック製板を用意し、この大判のセラミック製板に複数の検出部20,20Aを形成する。そのため、大判のセラミック製板の平面の複数の箇所に、第一方向に沿って流動性の金を塗布して第一抵抗素子用電極41A,41B及び第二抵抗素子用電極42A,42Bを形成し、その後、第二方向に沿って流動性の抵抗素子用ペーストを塗布して抵抗素子3をスクリーン印刷する。さらに、流動性の銀パラジウム合金を塗布して線状導体5をスクリーン印刷する。
大判のセラミック製板に複数の検出部20,20Aが形成されたら、これらの検出部20,20Aを分割するように大判のセラミック製板をカットし、それぞれ検出部20,20Aが形成された板部9を複数製造する。
さらに、予め製造された有底筒状部材12Aの閉塞部11Aに接着層90を設け、この接着層90の上に、検出部20,20Aが形成された板部9を接着固定する。
【0038】
従って、第3実施形態では、第1実施形態の(1)〜(5)の効果を奏することができる他、次の効果を奏することができる。
(6)モジュール本体7は、金属製の有底筒状部材12Aと、有底筒状部材12Aに設けられたセラミック製の板部9とを備え、板部9の平面に検出部20,20Aが設けられているから、板部9に精度よく検出部20,20Aを形成することで、センサモジュール1の大量生産を容易に行うことができる。
(7)センサモジュール1を製造するにあたり、大判のセラミック製板に複数の検出部20,20Aを形成し、その後、カットすることで、検出部20,20Aが形成された板部9が複数製造することが可能となる。そのため、センサモジュール1の大量生産を効率的に実施することができる。
【0039】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、抵抗素子用電極4と線状導体5とを異なる材料から形成したが、本発明では、同じ材料、例えば、金から形成するものでもよい。
さらに、第一抵抗素子用電極41A,41Bと第二抵抗素子用電極42A,42Bとの幅寸法が全て同じ平面矩形状に形成したが、本発明では、幅寸法は異なるものであってもよい。
【0040】
また、前記各実施形態では、センサモジュール1を被測定流体の圧力を検知する圧力センサ素子として説明したが、本発明では、温度等を検出するための物理量測定用センサとしてもよい。
さらに、第3実施形態では、センサモジュールを製造するにあたり、大判のセラミック製板に複数の検出部20,20Aを形成するものではなく、大判のセラミック製板をカットして板部9を形成し、この板部9に検出部20,20Aを形成するものでもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…センサモジュール、9…板部、10…モジュール本体、11…筒状部、12…ダイアフラム部、12A…有底筒状部材、20,20A…検出部、3…抵抗素子、30L…直線辺、31…第一抵抗素子、32…第二抵抗素子、4…抵抗素子用電極、40S…直線辺部、40E…端縁部、40L…内側辺、41A,41B…第一抵抗素子用電極、42A,42B…第二抵抗素子用電極、5,6…線状導体
図1
図2
図3
図4
図5