特許第6297999号(P6297999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6297999
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   H02M7/06 H
   H02M7/06 S
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-54840(P2015-54840)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-178716(P2016-178716A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】横井 良彰
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−198661(JP,A)
【文献】 特開2005−151729(JP,A)
【文献】 特開2007−236035(JP,A)
【文献】 特開2010−142066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00−7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧が入力される入力端子と、該入力端子に入力される交流電圧を倍電圧整流又は全波整流する整流回路と、該整流回路における倍電圧整流又は全波整流を切り替えるスイッチと、前記整流回路にて整流された直流電圧の電圧値を検出する直流電圧検出部と、該直流電圧検出部にて検出した電圧値に応じて、前記整流回路に入力される交流電圧を遮断する遮断スイッチとを備える電源装置であって、
前記直流電圧検出部にて検出した直流電圧の電圧値が直流上限電圧以上である場合、前記遮断スイッチを開く過電圧遮断制御部と、
前記入力端子及び前記遮断スイッチ間で交流電圧の電圧値を検出する交流電圧検出部と、
前記遮断スイッチが開いた場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値に基づいて、遮断解除の可否を判定する判定部と、
該判定部が可と判定した場合、前記遮断スイッチを閉じる遮断解除部と
を備え、
前記判定部は、
前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1高電圧閾値未満であるとき、遮断解除可能と判定し、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が全波整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第2高電圧閾値未満であるとき、遮断解除可能と判定する電源装置。
【請求項2】
前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1交流上限電圧以上であるとき、前記遮断スイッチを開く第1過電圧遮断制御部と、
前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が全波整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第2交流上限電圧以上であるとき、前記遮断スイッチを開く第2過電圧遮断制御部と
を備える請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記直流電圧検出部にて検出した直流電圧の電圧値が直流下限電圧未満である場合、前記遮断スイッチを開く低電圧遮断制御部を備え、
前記判定部は、
前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1低電圧閾値以上であるとき、遮断解除可能と判定し、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が全波整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第2低電圧閾値以上であるとき、遮断解除可能と判定する請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1交流下限電圧未満であるとき、前記遮断スイッチを開く第1低電圧遮断制御部と、
前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が全波整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第2交流下限電圧未満であるとき、前記遮断スイッチを開く第2低電圧遮断制御部と
を備える請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記スイッチは手動式である
請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の電源装置。
【請求項6】
前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1電圧範囲内であるか否かを判定する第1電圧範囲判定部と、
前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が前記第1電圧範囲より高電圧の第2電圧範囲内であるか否かを第2電圧範囲判定部と、
交流電圧の電圧値が前記第1電圧範囲判定部にて第1電圧範囲内であると判定された場合、前記スイッチを倍電圧整流に切り替え、交流電圧の電圧値が前記第2電圧範囲判定部にて第2電圧範囲内であると判定された場合、前記スイッチを全波整流に切り替える整流方式切替制御部と
を備える請求項1〜請求項のいずれか一つに記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全波整流回路及び倍電圧整流回路を切り替えることができ、異常電圧から自身の回路を保護する保護機能を備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動する駆動装置は電源装置を備える。電源装置は商用の交流電源を整流し、直流電圧を出力する。交流電源には、100V〜120Vの交流電圧を供給する100V系と、200V〜240Vの交流電圧を供給する200V系とがある。100V系及び200V系は設備の都合により使い分けられている。モータ駆動用の電源装置は、100V系及び200V系の双方に対応する必要がある。このため、電源装置は全波整流回路及び倍電圧整流回路を備える。全波整流回路及び倍電圧整流回路の切り替えは手動又は自動で行われる。交流電源が100V系の場合、倍電圧整流回路に切り替えられ、交流電源が200V系の場合、全波整流回路に切り替えられる。全波整流回路及び倍電圧整流回路を切り替えることにより、交流電源の電圧に拘わらず、電源装置は280Vの直流電圧を出力することができる。駆動装置は280Vの直流電圧を用いてモータを駆動する。
【0003】
全波整流回路及び倍電圧整流回路の切り替えを誤ると、駆動装置及びモータが破損したり、モータの動作が不安定になる。例えば、電源装置を200V系の交流電源に接続し、倍電圧整流回路に切り替えた場合、電源装置から560Vの直流電圧が出力され、駆動装置及びモータの回路が破損する虞がある。逆に、電源装置を100V系の交流電源に接続し、全波整流回路に切り替えた場合、電源装置から出力される直流電圧の電圧値が140Vとなり、駆動装置の回路電圧が低下する。モータの定格電圧が280Vの場合、モータの動作が不安定になる。また、交流電源の異常電圧により、駆動装置及びモータの回路が破損し、またモータの動作が不安定になる可能性がある。
従って、駆動装置及びモータが破損しないよう、電圧を監視し、電圧が正常な時のみ、交流電圧を通電し、電圧に異常がある場合、交流電圧の入力を遮断する必要がある。
【0004】
特許文献1には、入力される交流電圧に応じて全波整流回路と倍電圧整流回路とを切り替えることができる電源装置が開示されている。該電源装置は、整流された直流電圧を監視しており、過電圧を検出した場合、交流電圧の通電を遮断する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−128342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る電源装置においては、交流電圧が遮断された後、交流電源の電圧が正常になっても電源装置の機能は自動的に復帰しないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、全波整流回路及び倍電圧整流回路の切替機能を有し、電圧の異常を検知した場合、交流電圧の通電を遮断することによって自身の回路を保護することができ、しかも交流電圧が正常な状態に戻った際、交流電圧の遮断状態から自動的に復帰することができる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電源装置は、交流電圧が入力される入力端子と、該入力端子に入力される交流電圧を倍電圧整流又は全波整流する整流回路と、該整流回路における倍電圧整流又は全波整流を切り替えるスイッチと、前記整流回路にて整流された直流電圧の電圧値を検出する直流電圧検出部と、該直流電圧検出部にて検出した電圧値に応じて、前記整流回路に入力される交流電圧を遮断する遮断スイッチとを備える電源装置であって、前記直流電圧検出部にて検出した直流電圧の電圧値が直流上限電圧以上である場合、前記遮断スイッチを開く過電圧遮断制御部と、前記入力端子及び前記遮断スイッチ間で交流電圧の電圧値を検出する交流電圧検出部と、前記遮断スイッチが開いた場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値に基づいて、遮断解除の可否を判定する判定部と、該判定部が可と判定した場合、前記遮断スイッチを閉じる遮断解除部とを備え、前記判定部は、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1高電圧閾値未満であるとき、遮断解除可能と判定し、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が全波整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第2高電圧閾値未満であるとき、遮断解除可能と判定する。
【0009】
本発明にあっては、整流回路は入力された交流電圧を倍電圧整流又は全波整流することができ、スイッチによって整流回路の整流方式を切り替えることができる。過電圧遮断制御部は、直流電圧検出部にて検出した直流電圧の電圧値が直流上限電圧以上である場合、遮断スイッチを開き、交流電圧を遮断する。
交流電圧検出部は入力端子及び前記遮断スイッチ間で、整流回路に入力される交流電圧の電圧値を検出する構成であるため、遮断スイッチが開状態であっても交流電圧の電圧値を検出することが可能である。判定部は、遮断スイッチが開いた場合、交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値に基づいて、遮断解除の可否を判定し、遮断解除可能と判定された場合、遮断解除部は遮断スイッチを閉じる。
正常な交流電圧の電圧値は整流回路の整流方式によって異なる。そこで判定部は、整流回路の整流方式が倍電圧整流である場合、交流電圧の電圧値が第1高電圧閾値未満であるとき、遮断解除可能と判定する。また整流回路の整流方式が全波整流である場合、交流電圧の電圧値が第2高電圧閾値未満であるとき、遮断解除可能と判定する。
第2高電圧閾値は、例えば第1高電圧閾値の略2倍である。
【0010】
本発明に係る電源装置は、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1交流上限電圧以上であるとき、前記遮断スイッチを開く第1過電圧遮断制御部と、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が全波整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第2交流上限電圧以上であるとき、前記遮断スイッチを開く第2過電圧遮断制御部とを備える。
【0011】
本発明にあっては、電源装置は、交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値に基づいて、交流電圧の異常、特に過電圧を判定し、交流電圧の遮断制御を行う。正常な交流電圧の電圧値は整流回路の整流方式によって異なる。そこで第1過電圧遮断制御部は、整流回路の整流方式が倍電圧整流である場合、交流電圧の電圧値が第1交流上限電圧以上であるとき、遮断スイッチを開き、交流電圧を遮断する。第2過電圧遮断制御部は、整流回路の整流方式が全波整流である場合、交流電圧の電圧値が第2交流上限電圧以上であるとき、遮断スイッチを開き、交流電圧を遮断する。
第2交流上限電圧は、例えば第1交流上限電圧の略2倍である。
【0012】
本発明に係る電源装置は、前記直流電圧検出部にて検出した直流電圧の電圧値が直流下限電圧未満である場合、前記遮断スイッチを開く低電圧遮断制御部を備え、前記判定部は、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1低電圧閾値以上であるとき、遮断解除可能と判定し、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が全波整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第2低電圧閾値以上であるとき、遮断解除可能と判定する。
【0013】
本発明にあっては、低電圧遮断制御部は、直流電圧検出部にて検出した直流電圧の電圧値が直流下限電圧未満である場合、遮断スイッチを開き、交流電圧を遮断する。
判定部は、遮断スイッチが開いた場合、交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値に基づいて、遮断解除の可否を判定し、遮断解除可能と判定された場合、遮断解除部は遮断スイッチを閉じる。
正常な交流電圧は整流回路の整流方式によって異なる。そこで判定部は、整流回路の整流方式が倍電圧整流である場合、交流電圧の電圧値が第1低電圧閾値以上であるとき、遮断解除可能と判定する。また整流回路の整流方式が全波整流である場合、交流電圧の電圧値が第2低電圧閾値以上であるとき、遮断解除可能と判定する。
第2低電圧閾値は、例えば第1低電圧閾値の略2倍である。
【0014】
本発明に係る電源装置は、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1交流下限電圧未満であるとき、前記遮断スイッチを開く第1低電圧遮断制御部と、前記スイッチによって前記整流回路の整流方式が全波整流に切り替えられている場合、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第2交流下限電圧未満であるとき、前記遮断スイッチを開く第2低電圧遮断制御部とを備える。
【0015】
本発明にあっては、電源装置は、交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値に基づいて、交流電圧の異常、特に低電圧を判定し、交流電圧の遮断を行う。正常な交流電圧は整流回路の整流方式によって異なる。そこで第1低電圧遮断制御部は、整流回路の整流方式が倍電圧整流である場合、交流電圧の電圧値が第1交流下限電圧未満であるとき、遮断スイッチを開き、交流電圧を遮断する。第2低電圧遮断制御部は、整流回路の整流方式が全波整流である場合、交流電圧の電圧値が第2交流下限電圧未満であるとき、遮断スイッチを開き、交流電圧を遮断する。
【0016】
本発明に係る電源装置は、前記スイッチは手動式である。
【0017】
本発明にあっては、手動で整流回路の整流方式を全波整流及び倍電圧整流のいずれかに切り替えることができる。
【0018】
本発明に係る電源装置は、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が第1電圧範囲内であるか否かを判定する第1電圧範囲判定部と、前記交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値が前記第1電圧範囲より高電圧の第2電圧範囲内であるか否かを第2電圧範囲判定部と、交流電圧の電圧値が前記第1電圧範囲判定部にて第1電圧範囲内であると判定された場合、前記スイッチを倍電圧整流に切り替え、交流電圧の電圧値が前記第2電圧範囲判定部にて第2電圧範囲内であると判定された場合、前記スイッチを全波整流に切り替える整流方式切替制御部とを備える。
【0019】
本発明にあっては、交流電圧検出部にて検出した交流電圧の電圧値に応じて、整流回路の整流方式が自動的に切り替えられる。整流方式切替制御部は、交流電圧が低電圧の第1電圧範囲内である場合、倍電圧整流に切り替え、交流電圧が高電圧の第2電圧範囲内であると判定された場合、全波整流に切り替える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、全波整流回路及び倍電圧整流回路の切替機能を有し、電圧の異常を検知した場合、交流電圧の通電を遮断することによって自身の回路を保護することができ、しかも交流電圧が正常な状態に戻った際、交流電圧の遮断状態から自動的に復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】電源装置の一構成例を示す回路図である。
図2】交流電圧の遮断条件を示す概念図である。
図3】電源装置の保護及び復帰に係る処理手順を示すフローチャートである。
図4】整流方式の切り替えに係る処理手順を示すフローチャートである。
図5】交流電圧の監視及び遮断制御に係る処理手順を示すフローチャートである。
図6】直流電圧の監視及び遮断制御に係る処理手順を示すフローチャートである。
図7】電圧の状態確認に係る処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は電源装置1の一構成例を示す回路図である。本実施形態に係る電源装置1は、交流電圧が入力される入力端子T1,T2と、入力端子T1,T2に入力された交流電圧を整流し、整流された直流電圧を出力する出力端子T3,T4とを備える。入力端子T1,T2には、交流電圧を電源装置1に供給する交流電源2が接続され、出力端子T3,T4には電源装置1から出力された直流電圧によって駆動する負荷3が接続される。負荷3は例えばモータ装置であり、280Vの直流電圧にて駆動する。
入力端子T1,T2は、過電流を遮断する遮断器11a,11bと、交流電圧の通電を遮断する開閉可能な遮断スイッチ12とを介してダイオードブリッジ回路13の第1入力端子及び第2入力端子に接続されている。ダイオードブリッジ回路13の正極出力端子及び負極出力端子には、コンデンサC1,C2の直列回路と、電気抵抗R1,R2の直列回路とが並列接続され、各出力端子はそれぞれ出力端子T3,T4に接続されている。コンデンサC1,C2は、ダイオードブリッジ回路13で整流された電圧を平滑化するための素子である。ダイオードブリッジ回路13及びコンデンサC1,C2によって整流回路が構成されている。電気抵抗R1,R2は、コンデンサC1,C2のバランス抵抗であり、該抵抗によってコンデンサC1,C2にかかる電圧が不均衡になることを防ぐことができる。また、ダイオードブリッジ回路13には倍電圧整流又は全波整流を切り替える切替スイッチ14が設けられている。
【0023】
電源装置1における各素子の接続関係の詳細は次の通りである。一の入力端子T1には遮断器11aの一端が接続され、遮断器11aの他端は遮断スイッチ12の一端に接続されている。遮断スイッチ12の他端はダイオードブリッジ回路13の第1入力端子に接続されている。遮断スイッチ12は例えばリレーであり、遮断スイッチ12の開閉は駆動部17によって制御される。駆動部17による遮断スイッチ12の開閉制御の詳細は後述する。リレーは機械式リレーであっても良いし、半導体リレーであっても良い。他の入力端子T2には遮断器11bの一端が接続されている。遮断器11bの他端はダイオードブリッジ回路13の第2入力端子に接続されている。ダイオードブリッジ回路13は2つの順接続されたダイオードからなる直列回路を2組並列させた回路構成である。
【0024】
ダイオードブリッジ回路13の正極出力端子には、コンデンサC1の一端が接続され、コンデンサC1の他端はコンデンサC2の一端に接続されている。コンデンサC2の他端はダイオードブリッジ回路13の負極出力端子に接続されている。また、正極出力端子には電気抵抗R1の一端が接続され、電気抵抗R1の他端は電気抵抗R2の一端に接続されている。電気抵抗R2の他端はダイオードブリッジ回路13の負極出力端子に接続されている。コンデンサC1,C2の接続点と、電気抵抗R1,R2の接続点とは接続されている。ダイオードブリッジ回路13の第2入力端子には切替スイッチ14の一端が接続され、切替スイッチ14の他端はコンデンサC1,C2の接続点に接続されている。切替スイッチ14は例えばリレーであり、切替スイッチ14の開閉は駆動部17によって制御される。駆動部17による切替スイッチ14の開閉制御の詳細は後述する。
【0025】
また、電源装置1は、入力端子T1,T2に入力される交流電圧の電圧値を検出し、検出した電圧値を駆動部17へ出力する交流電圧検出部15を備える。交流電圧検出部15は、遮断器11a及び遮断スイッチ12を接続する配線と、遮断器11b及びダイオードブリッジ回路13を接続する配線とに接続され、各配線間の電圧値を検出する。従って、交流電圧検出部15は、遮断スイッチ12の開閉状態に拘わらず、交流電源2の交流電圧値を検出することができる。
【0026】
更に、電源装置1は、ダイオードブリッジ回路13で整流され、コンデンサC1,C2で平滑された直流電圧の電圧値を検出し、検出した電圧値を駆動部17へ出力する直流電圧検出部16を備える。直流電圧検出部16は、出力端子T3,T4に接続されており、出力端子T3,T4間の電圧値を検出する。
【0027】
駆動部17は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するマイコンである。駆動部17は、交流電圧検出部15によって検出された交流電圧の電圧値と、直流電圧検出部16によって検出された直流電圧の電圧値とが入力される入力部を備える。また、駆動部17は、遮断スイッチ12及び切替スイッチ14をそれぞれ開閉させる駆動信号を出力する出力部を備える。駆動部17は、入力部に入力された交流電圧及び直流電圧の電圧値に基づいて、異常電圧の有無、適切な整流方式等を判定し、遮断スイッチ12及び切替スイッチ14の開閉を制御する。
なお、駆動部17としてマイコンを使用する例を説明したが、同様の動作を行うアナログ回路によって駆動部17を構成しても良い。また、遮断スイッチ12及び切替スイッチ14を同一の駆動部17によって制御する例を説明するが、遮断スイッチ12及び切替スイッチ14の開閉をそれぞれ異なる駆動回路によって制御するように構成しても良い。
【0028】
図2は交流電圧の遮断条件を示す概念図である。図2中左側の縦棒は交流電圧の電圧値と、該電圧値の正常範囲及び異常範囲を示している。交流電源2には100V系と、200V系とがある。100V系の正常範囲は100V〜120Vであり、200V系の正常範囲は200V〜240Vである。100V未満の範囲、120V〜200Vの範囲、240V以上の範囲は異常電圧である。100V及び120Vはそれぞれ第1交流下限電圧及び第1交流上限電圧の一例であり、200V及び240Vはそれぞれ第2交流下限電圧及び第2交流上限電圧の一例である。
図2中右側の縦棒は直流電圧の電圧値と、該電圧値の正常範囲及び異常範囲を示している。電源装置1から出力される直流電圧の正常範囲は280V〜340Vである。280V未満の範囲、340V以上の範囲は異常電圧である。280Vは直流下限電圧、340Vは直流上限電圧の一例である。
【0029】
駆動部17は、交流電圧の電圧値が100V〜120Vの範囲内にある場合、切替スイッチ14を閉じ、倍電圧整流に切り替え、交流電圧の電圧値が200V〜240Vの範囲内にある場合、切替スイッチ14を開き、全波整流に切り替える。交流電圧の電圧値が異常電圧の範囲にある場合、駆動部17は遮断スイッチ12を開くことによって、交流電圧を遮断する。交流電圧が遮断された場合、駆動部17は交流電圧の電圧値を定期的に検出することにより、交流電圧の状態を監視する。駆動部17は、交流電圧が正常範囲に戻ったことを確認した場合、遮断スイッチ12を閉じる。ただし、交流電圧が正常な状態に戻ったことを確実に確認し、遮断スイッチ12のチャタリングを防止する必要があるため、駆動部17は交流電圧を遮断するときよりも厳しい閾値を用いて、交流電圧値が正常範囲にあるか否かを判定する。例えば、100V系の場合、交流電圧の電圧値が第1低電圧閾値以上、第1高電圧閾値未満の範囲にあるとき、遮断スイッチ12を閉じる。第1低電圧閾値は100Vより高い電圧値であり、第1高電圧閾値は120Vより低い電圧値である。200V系の場合、交流電圧の電圧値が第2低電圧閾値以上、第2高電圧閾値未満の範囲にあるとき、遮断スイッチ12を閉じる。第2低電圧閾値は200Vより高い電圧値であり、第2高電圧閾値は240Vより低い電圧値である。
また、駆動部17は、遮断状態から復帰させる際、確認的に直流電圧も正常範囲に戻っているか否かを判定する。例えば、駆動部17は、一時的に遮断スイッチ12を閉じ、直流電圧検出部16にて検出された直流電圧の電圧値が直流低電圧閾値以上、直流高電圧閾値未満の範囲にあるとき、遮断スイッチ12を閉じる。直流低電圧値は280Vより高い電圧値であり、直流高電圧値は340Vより低い電圧値である。
【0030】
図3は電源装置1の保護及び復帰に係る処理手順を示すフローチャートである。駆動部17は、交流電圧検出部15にて検出した交流電圧に基づいて、整流回路の整流方式を切り替える(ステップS11)。そして、駆動部17は、交流電圧検出部15にて検出した交流電圧の電圧値に基づいて、交流電圧の異常を監視し、異常があれば遮断スイッチ12を開くことにより、交流電圧を遮断する(ステップS12)。次いで、駆動部17は、直流電圧検出部16にて検出した直流電圧の電圧値に基づいて、直流電圧の異常を監視し、異常があれば遮断スイッチ12を開くことにより、交流電圧を遮断する(ステップS13)。
【0031】
次いで、駆動部17は、電源装置1が遮断状態にあるか否か、即ち遮断スイッチ12が開状態にあるか否かを判定する(ステップS14)。遮断状態に無いと判定した場合(ステップS14:NO)、駆動部17は処理をステップS11へ戻す。遮断状態にあると判定した場合(ステップS14:YES)、駆動部17は、交流電圧検出部15にて検出した交流電圧と、直流電圧検出部16にて検出した直流電圧とに基づいて、電源装置1における電圧の状態を確認し(ステップS15)、遮断状態の解除が可能か否かを判定する(ステップS16)。遮断状態の解除が不可と判定した場合(ステップS16:NO)、駆動部17は処理をステップS15へ戻す。遮断状態の解除が可能と判定した場合(ステップS16:YES)、駆動部17は、遮断スイッチ12を閉じることにより、遮断状態を解除し(ステップS17)、処理をステップS11へ戻す。
以下、ステップS11における整流方式を切り替え処理、ステップS12における交流電圧の監視及び遮断制御、ステップS13における直流電圧の監視及び遮断制御、ステップS15における電圧の状態確認処理の具体的処理内容を説明する。
【0032】
図4は整流方式の切り替えに係る処理手順を示すフローチャートである。駆動部17は、交流電圧検出部15にて交流電圧の電圧値を検出する(ステップS31)。そして、駆動部17は、交流電圧の電圧値が100V系下限電圧以上であるか否かを判定する(ステップS32)。電圧値が100V系下限電圧未満であると判定した場合(ステップS32:NO)、駆動部17は、整流方式の切り替えに係る処理を終える。電圧値が100V系下限電圧以上であると判定した場合(ステップS32:YES)、駆動部17は交流電圧が100V系上限電圧未満であるか否かを判定する(ステップS33)。交流電圧が100V系上限電圧未満であると判定した場合(ステップS33:YES)、駆動部17は切替スイッチ14を駆動し、整流回路の整流方式を全波整流に切り替え(ステップS34)、整流方式の切り替えに係る処理を終える。具体的には、駆動部17は切替スイッチ14を開くことにより、全波整流に切り替える。
【0033】
100V系上限電圧以上であると判定した場合(ステップS33:NO)、駆動部17は交流電圧の電圧値が200V系下限電圧以上であるか否かを判定する(ステップS35)。電圧値が200V系下限電圧未満であると判定した場合(ステップS35:NO)、駆動部17は、整流方式の切り替えに係る処理を終える。電圧値が200V系下限電圧以上であると判定した場合(ステップS35:YES)、駆動部17は交流電圧の電圧値が200V系上限電圧未満であるか否かを判定する(ステップS36)。電圧値が200V系上限電圧以上であると判定した場合(ステップS36:NO)、駆動部17は処理を終える。電圧値が200V系上限電圧未満であると判定した場合(ステップS36:YES)、駆動部17は切替スイッチ14を駆動し、整流回路の整流方式を倍電圧整流に切り替え(ステップS37)、整流方式の切り替えに係る処理を終える。具体的には、駆動部17は切替スイッチ14を閉じることにより、倍電圧整流に切り替える。
【0034】
図5は交流電圧の監視及び遮断制御に係る処理手順を示すフローチャートである。駆動部17は、交流電圧検出部15にて交流電圧の電圧値を検出する(ステップS51)。そして、駆動部17は、切替スイッチ14によって整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられているか否かを判定する(ステップS52)。具体的には、切替スイッチ14が閉状態にあるか否かを判定する。切替スイッチ14によって整流回路の整流方式が倍電圧整流に切り替えられていると判定した場合(ステップS52:YES)、駆動部17は、交流電圧の電圧値が100V系上限電圧以上であるか否かを判定する(ステップS53)。電圧値が100V系上限電圧以上であると判定した場合(ステップS53:YES)、駆動部17は遮断スイッチ12を開くことによって、交流電圧を遮断し(ステップS55)、交流電圧の監視処理を終える。電圧値が100V系上限電圧未満であると判定した場合(ステップS53:NO)、駆動部17は交流電圧の電圧値が100V系下限電圧未満であるか否かを判定する(ステップS54)。電圧値が100V系下限電圧未満であると判定した場合(ステップS54:YES)、駆動部17は遮断スイッチ12を開くことによって、交流電圧を遮断し(ステップS55)、交流電圧の監視処理を終える。電圧値が100V系下限電圧以上であると判定した場合(ステップS54:NO)、電源装置1に入力される交流電圧は正常範囲であり、駆動部17は、交流電圧の監視処理を終える。
【0035】
ステップS52において整流回路が全波整流を行っていると判定した場合(ステップS52:NO)、駆動部17は、交流電圧の電圧値が200V系上限電圧以上であるか否かを判定する(ステップS56)。電圧値が200V系上限電圧以上であると判定した場合(ステップS56:YES)、駆動部17は遮断スイッチ12を開くことによって、交流電圧を遮断し(ステップS58)、交流電圧の監視処理を終える。電圧値が200V系上限電圧未満であると判定した場合(ステップS56:NO)、駆動部17は交流電圧の電圧値が200V系下限電圧未満であるか否かを判定する(ステップS57)。電圧値が200V系下限電圧未満であると判定した場合(ステップS57:YES)、駆動部17は遮断スイッチ12を開くことによって、交流電圧を遮断し(ステップS58)、交流電圧の監視処理を終える。交流電圧の電圧値が200V系下限電圧以上であると判定した場合(ステップS57:NO)、電源装置1に入力される交流電圧は正常範囲であり、駆動部17は、交流電圧の監視処理を終える。
【0036】
図6は直流電圧の監視及び遮断制御に係る処理手順を示すフローチャートである。駆動部17は、直流電圧検出部16にて直流電圧の電圧値を検出する(ステップS71)。そして、駆動部17は、直流電圧の電圧値が直流上限電圧以上であるか否かを判定する(ステップS72)。電圧値が直流上限電圧以上であると判定した場合(ステップS72:YES)、駆動部17は遮断スイッチ12を開くことによって、直流電圧を遮断し(ステップS74)、直流電圧の監視処理を終える。電圧値が直流上限電圧未満であると判定した場合(ステップS72:NO)、駆動部17は直流電圧の電圧値が100V系下限電圧未満であるか否かを判定する(ステップS73)。電圧値が100V系下限電圧未満であると判定した場合(ステップS73:YES)、駆動部17は遮断スイッチ12を開くことによって、直流電圧を遮断し(ステップS74)、直流電圧の監視処理を終える。電圧値が100V系下限電圧以上であると判定した場合(ステップS73:NO)、電源装置1に入力される直流電圧は正常範囲であり、駆動部17は、直流電圧の監視処理を終える。
【0037】
図7は電圧の状態確認に係る処理手順を示すフローチャートである。駆動部17は、直流電圧検出部16にて直流電圧の電圧値を検出する(ステップS91)。ダイオードブリッジ回路13及びコンデンサC1,C2で整流及び平滑された直流電圧の電圧値を直流電圧検出部16によって検出する際、駆動部17が一時的に遮断スイッチ12を閉じるように構成しても良い。そして、駆動部17は、直流電圧の電圧値が直流低電圧閾値以上であるか否かを判定する(ステップS92)。電圧値が直流低電圧閾値以上であると判定した場合(ステップS92:YES)、駆動部17は直流電圧の電圧値が直流高電圧閾値未満であるか否かを判定する(ステップS93)。電圧値が直流低電圧閾値未満であると判定した場合(ステップS92:NO)、又は直流電圧が直流高電圧閾値以上であると判定した場合(ステップS93:NO)、駆動部17は、電圧に異常があると判定し(ステップS101)、状態確認に係る処理を終える。
【0038】
直流電圧の電圧値が直流高電圧閾値未満であると判定した場合(ステップS93:YES)、駆動部17は、交流電圧検出部15にて交流電圧の電圧値を検出する(ステップS94)。そして、駆動部17は整流回路が倍電圧整流を行っているか否かを判定する(ステップS95)。整流回路が倍電圧整流を行っていると判定した場合(ステップS95:YES)、駆動部17は、交流電圧の電圧値が第1低電圧閾値以上であるか否かを判定する(ステップS96)。電圧値が第1低電圧閾値以上であると判定した場合(ステップS96:YES)、駆動部17は交流電圧の電圧値が第1高電圧閾値未満であるか否かを判定する(ステップS97)。電圧値が第1高電圧閾値未満であると判定した場合(ステップS97:YES)、駆動部17は、電圧は正常であると判定し(ステップS98)、状態確認に係る処理を終える。電圧値が第1低電圧閾値未満であると判定した場合(ステップS96:NO)、又は電圧値が第1高電圧閾値以上であると判定した場合(ステップS97:NO)、駆動部17は、電圧に異常があると判定し(ステップS101)、状態確認に係る処理を終える。
【0039】
ステップS95において整流回路が全波整流を行っていると判定した場合(ステップS95:NO)、駆動部17は、交流電圧の電圧値が第2低電圧閾値以上であるか否かを判定する(ステップS99)。電圧値が第2低電圧閾値以上であると判定した場合(ステップS99:YES)、駆動部17は交流電圧の電圧値が第2高電圧閾値未満であるか否かを判定する(ステップS100)。電圧値が第2高電圧閾値未満であると判定した場合(ステップS100:YES)、駆動部17は、電圧は正常であると判定し(ステップS98)、状態確認に係る処理を終える。電圧値が第2低電圧閾値未満であると判定した場合(ステップS99:NO)、又は電圧値が第2高電圧閾値以上であると判定した場合(ステップS100:NO)、駆動部17は、電圧に異常があると判定し(ステップS101)、状態確認に係る処理を終える。
なお、図7に示す例では、直流電圧の異常の有無を判定した後、交流電圧の異常の有無を判定する例を説明したが、先に交流電圧の異常の有無を判定するように構成しても良い。
ダイオードブリッジ回路13及びコンデンサC1,C2で整流及び平滑された直流電圧の電圧値を直流電圧検出部16によって検出する際、一時的に遮断スイッチ12を閉じる構成であっても、交流電圧の異常の有無を先に確認する構成であれば、交流電圧が正常であることは確認済みであるため、一時的に遮断スイッチ12を閉じた際に異常な交流電圧が通電することを防ぐことができる。
【0040】
このように構成された本実施形態に係る電源装置1によれば、交流電源2の電圧に応じて、全波整流回路及び倍電圧整流回路を切り替えることができ、電圧の異常を検知した場合、交流電圧の通電を遮断することによって自身の回路を保護することができる。しかも電源装置1は、交流電圧が遮断された後も、電源装置1に入力される交流電圧の電圧値を監視しており、交流電圧が正常な状態に戻った際、交流電圧の遮断状態から自動的に復帰することができる。
【0041】
また、電源装置1は、直流電圧の電圧値を検出し、交流電圧の異常を監視している。直流電圧の電圧値が異常であると判定された場合、駆動部17は交流電圧を遮断する。従って、切替スイッチ14の接点溶接による直流電圧の異常を検出し、交流電圧を遮断することができる。
【0042】
更に、本実施形態の電源装置1は、直流電圧に加えて、交流電圧の電圧値を検出し、交流電圧の異常を監視している。交流電圧の電圧値が異常であると判定された場合、駆動部17は交流電圧を遮断する。直流電圧に変換される前段階の交流電圧を監視する構成であるため、より速やかに電圧の異常を検出し、電源装置1及び負荷3を保護することができる。
【0043】
更にまた、電源装置1は、過電圧のみならず、直流電圧が正常電圧範囲より低下した場合も遮断スイッチ12を開き、交流電圧を遮断することができる。従って、負荷3の動作が不安定になることを防止することができる。駆動部17は、電圧の低下によって交流電圧が遮断された場合も、電源装置1に入力される交流電圧の電圧値を監視しており、交流電圧が正常な状態に戻った際、交流電圧の遮断状態から自動的に復帰することができる。
【0044】
更にまた、電源装置1は、交流電圧が正常電圧範囲より低下した場合、駆動部17は交流電圧を遮断する。直流電圧に変換される前段階の交流電圧の電圧低下を監視する構成であるため、より速やかに電圧の異常を検出し、電源装置1及び負荷3の動作が不安定になることを防止することができる。
【0045】
更にまた、電源装置1は、交流電圧の電圧値に応じて、倍電圧整流及び全波整流を自動的に切り替えることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、交流電圧及び直流電圧の双方を監視し、異常電圧を検出した場合に交流電圧を遮断する例を説明したが、直流電圧のみを監視するように構成しても良い。また、遮断状態からの復帰の可否を判定する際、交流電圧及び直流電圧の双方を検出する構成を説明したが、交流電圧のみを監視し、復帰の可否を判定するように構成しても良い。その他、各種処理の任意の組み合わせが本願発明に含まれる。
【0047】
また、本実施形態において、ステップS72及びステップS74を実行する駆動部17は過電圧遮断制御部として機能し、ステップS15、ステップS16、ステップS96〜ステップS100を実行する駆動部17は判定部として機能し、ステップS17を実行する駆動部17は遮断解除部として機能する。
また、ステップS52及びステップS55を実行する駆動部17は第1過電圧遮断制御部として機能し、ステップS56及びステップS58を実行する駆動部17は第2過電圧遮断制御部として機能する。
更に、ステップS73及びステップS74を実行する駆動部17は低電圧遮断制御部として機能する。
更にまた、ステップS54及びステップS55を実行する駆動部17は第1低電圧遮断制御部として機能し、ステップS57及びステップS58を実行する駆動部17は第2低電圧遮断制御部として機能する。
更にまた、ステップS32及びステップS33を実行する駆動部17は第1電圧範囲判定部として機能し、ステップS35及びステップS36を実行する駆動部17は第2電圧判定判定部として機能し、ステップS34及びステップS37を実行する駆動部17は整流方式切替制御部として機能する。
【0048】
(変形例)
実施形態では、交流電圧の電圧値に基づいて、駆動部17が切替スイッチ14を切り替える構成を説明したが、切替スイッチ14を手動式のスイッチで構成しても良い。手動式の切替スイッチ14を備えた電源装置1の基本的な動作は実施形態と同様であり、交流電圧及び直流電圧が図2に示す異常範囲にある場合、遮断スイッチ12を開き、正常範囲に戻った場合、遮断スイッチ12を閉じる。
なお、切替スイッチ14の切替状態を検出する検出部を駆動部17に備え、駆動部17は検出部にて切替状態、つまり、整流方式として全波整流又は倍電圧電流のいずれが選択されているのかを判定するように構成しても良い。検出部を備えることにより、駆動部17は、交流電圧の異常範囲を整流方式によって切り替えて判定することができる。例えば、倍電圧整流を行っている場合、200V〜240Vの範囲を異常電圧と判定し、交流電圧を遮断することができる。同様に、全波整流を行っている場合、100V〜120Vの範囲を異常電圧と判定し、交流電圧を遮断することができる。
【0049】
変形例によれば、電源装置1の整流方式を手動で切り替えることができる。また、使用者によって誤った整流方式が選択されても、交流電圧を自動的に遮断することができる。従って、電源装置1及び負荷3が破損することを防止することができる。また、電源装置1及び負荷3の動作が不安定になることを防止することができる。
【0050】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
1 電源装置
2 交流電源
3 負荷
11a、11b 遮断器
12 遮断スイッチ
13 ダイオードブリッジ回路
14 切替スイッチ
15 交流電圧検出部
16 直流電圧検出部
17 駆動部
C1,C2 コンデンサ
R1,R2 電気抵抗
T1,T2 入力端子
T3,T4 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7