(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記画像データにおける前記検査範囲に対応するデータをそれぞれ抽出するとともに、抽出した各データが前記側面の全周分連なってなる連結画像データを作成する画像処理手段を備え、
前記判定手段は、前記連結画像データに基づき、前記被検査物の良否を判定するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の外観検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者の外観検査装置において、凸レンズの光軸に対し中心軸がずれた状態で被検査物が配置されてしまうと、
図15に示すように、画像データIDにおける被検査物TA(画像データID中における被検査物TAに対応する部分)に変形(歪み)が生じてしまい、特に被検査物TAの側面(
図A中、散点模様を付した部位)の幅が変化してしまう。この現象について簡単に説明すると、
図16に示すように、凸レンズLEの光軸CL1に対して被検査物TAの中心軸CL2がずれている場合、イメージセンサISにおいて、被検査物TAの側面のうち光軸CL1に近い側からの光を受ける受光素子LRは比較的少なくなり、光軸CL1に遠い側から光を受ける受光素子LRは比較的多くなる。その結果、上記のように、画像データにおいて被検査物に変形(歪み)が生じてしまう。尚、
図16では、凸レンズLEとして像側テレセントリックのレンズを用いた場合における、被検査物TAの側面からの光がイメージセンサISによって受光されるまでの光路などを示す。
【0007】
そして、上記のように画像データにおける被検査物に変形が生じてしまうと、外観異常の程度(例えば、異物の大きさなど)を画像データから正確に把握することができなくなってしまう。そのため、検査精度の低下を招いてしまうおそれがある。これに対し、被検査物の位置補正を行い、凸レンズの光軸に対し被検査物の中心軸が一致するように構成することも考えられる。しかしながら、この場合には、被検査物の位置補正を行う分、検査効率が低下してしまうおそれがある。結果的に、前者の外観検査装置では、検査精度及び検査効率がトレードオフの関係になってしまうため、双方において良好な性能を得ることが難しい。
【0008】
さらに、被検査物が円形錠剤ではない場合(例えば、異型錠剤やカプセルなどの場合)、凸レンズの光軸と被検査物の中心軸とが一致していても、被検査物の各部から光軸までの距離に応じて、画像データにおける被検査物に変形が生じてしまう。従って、前者の外観検査装置は、検査可能な被検査物が円形錠剤などの円盤状のもの等に限られてしまい、汎用性に劣る。
【0009】
一方、後者の外観検査装置においては、搬送されている被検査物を1台の撮像手段により複数回撮像するため、撮像手段に対する被検査物の相対位置は各撮像時で相違することとなる。例えば、撮像手段(レンズ)の正面に被検査物が存在する状態で撮像を行ったり、撮像手段(レンズ)の正面から被検査物がずれた状態で撮像を行ったりすることとなる。そして、被検査物の位置の相違に伴い、被検査物から撮像手段に対する光の入射角度が変化することで、画像データにおいて、被検査物や付着した異物等の大きさに違いが生じてしまうおそれがある。その結果、検査精度が不十分になってしまうことが懸念される。
【0010】
これに対し、複数の撮像手段を用意するとともに、各撮像手段において、自身に対する被検査物の相対位置がそれぞれ一定位置となったときに撮像を行うようにすることで、画像データにおける被検査物等の大きさに違いが生じないようにすることが考えられる。しかしながら、この場合には、複数の撮像手段が必要となるため、装置の大型化や複雑化、コストの増大などを招いてしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされてものであり、その目的は、検査精度及び検査効率の双方において良好な性能を得ることができるとともに、汎用性に優れ、かつ、小型化等を図ることができる外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0013】
手段1.所定の被検査物を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記被検査物をその上方からレンズを介して撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された画像データに基づき、前記被検査物の良否を判定する判定手段とを備えた外観検査装置であって、
前記レンズは、魚眼レンズであり、
前記搬送手段は、前記魚眼レンズの光軸を中心とした円弧状又は円形状の搬送経路に沿って、前記被検査物を回転させて前記被検査物の側面における前記光軸側に位置する部位を変化させつつ、前記被検査物を複数の撮像ポジションへと順次搬送し、
前記撮像手段は、前記撮像ポジションに前記被検査物が配置される度に、前記被検査物の少なくとも側面を撮像することで、前記側面の全周分の画像データを取得するように構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【0014】
上記手段1によれば、魚眼レンズを介して、前記側面の全周分の画像データが得られる。ここで、魚眼レンズを用いた場合、レンズから所定位置以上離れた場所において、無限遠までピントを合わせることができる。従って、上記手段1によれば、被検査物のうちレンズまで比較的近い部位と、被検査物のうちレンズから比較的遠い部位との双方に対してピントを合わせることができる。これにより、被検査物やこれに付着した異物などが鮮明に表された画像データを得ることができる。尚、「ピントが合う」とあるのは、厳密にピントがあっている場合のみならず、画像データにおいて被検査物がぼやけない程度にピントがほぼ合っている場合も含む。
【0015】
また、上記手段1によれば、被検査物は、レンズの光軸を中心とした円弧状又は円形状の搬送経路に沿って搬送されつつ、撮像される。従って、被検査物の位置補正を特段行うことなく、各撮像ポジションにおいて、レンズから被検査物までの距離やレンズに対する被検査物からの光の入射角をほぼ同一とすることができる。その結果、得られた各画像データにおいて、被検査物や異物などに変形(歪み)が生じてしまったり、被検査物等の大きさにバラツキが生じてしまったりすることをより確実に防止できる。
【0016】
以上のように、上記手段1によれば、被検査物等が鮮明に表され、かつ、被検査物等に変形や大きさのバラツキがほとんどない画像データを、被検査物の位置補正を特段行うことなく、つまり、検査効率の低下を招くことなく、前記側面の全周分得ることができる。従って、前記側面の全周を精度よく、かつ、迅速に検査することができ、検査精度及び検査効率の双方において非常に良好な性能を得ることができる。
【0017】
また、上記手段1によれば、被検査物が、異型錠剤やカプセル、中心に孔の形成された環状錠剤などの円形錠剤以外のものであったり、錠剤径やカプセルの号数等の相違に伴いサイズが種々異なるものであったりしても、撮像時に、被検査物の各部に対しピントを合わせることができ、ひいては被検査物等が鮮明に表された画像データを得ることができる。従って、様々な種類の被検査物を検査することができ、優れた汎用性を得ることができる。
【0018】
さらに、上記作用効果を得るにあたって、撮像手段は1つで足りる。従って、外観検査装置の小型化及び簡素化、並びに、コストの低減を図ることができる。
【0019】
手段2.前記搬送手段は、
前記被検査物が載置される被載置部を有するとともに、該被載置部の回転により前記側面における前記光軸側に位置する部位を変化させる自転手段と、
前記光軸を中心として前記被載置部を前記搬送経路に沿って移動させる公転手段とを備えることを特徴とする手段1に記載の外観検査装置。
【0020】
上記手段2によれば、自転手段によって被検査物の側面における光軸側に位置する部位を変化させつつ、公転手段によって被検査物を複数の撮像ポジションへと順次搬送することができる。従って、比較的簡易な構成により搬送手段を実現することができ、外観検査装置の小型化及び簡素化、並びに、コストの低減をより効果的に図ることができる。
【0021】
手段3.前記被検査物は、その外周形状が平面視円形状をなし、
前記撮像手段は、前記被検査物における前記光軸と対向する部位を中心とし前記側面の周方向に沿った半周分よりも小さな範囲である検査範囲のデータが、前記側面の全周分得られるように前記検査対象を撮像し、
前記判定手段は、前記画像データにおける前記検査範囲のデータに基づき、前記被検査物の良否を判定するように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の外観検査装置。
【0022】
画像データにおいて、被検査物の側面の周方向両端側に位置する部分は、当該側面の中心に位置する部分よりも面積が小さなものとして表れることとなる。従って、例えば、この部分に異物が付着している場合、画像データにおいては比較的小さなサイズで異物が表れることとなり、本来異物として検知すべきものを検知できない可能性がある。これに対し、例えば、異物等の検知精度を前記側面の各部で異なるものとするなど、検査条件を画像データの各部にて異なるものとすることにより、検査精度を高めることが考えられるが、この場合には、処理負担が増大してしまうおそれがある。
【0023】
この点、上記手段3によれば、撮像手段は、少なくとも3回撮像を行うことで、被検査物における光軸と対向する部位を中心とした半周分未満の範囲である検査範囲のデータを側面の全周分取得し、判定手段は、画像データにおける前記検査範囲のデータに基づき検査を行う。従って、画像データにおける前記側面の周方向両端側に位置する部分を検査対象から除外して検査を行うことができる。これにより、同一の検査条件によって被検査物の検査を行うことができる。その結果、処理負担の低減を図りつつ、良好な検査精度を維持することができる。
【0024】
尚、前記検査範囲が小さいほど、検査精度の向上を図ることができる。従って、前記検査範囲を、前記側面の周方向に沿った1/4周分以下の範囲とすることがより好ましく、前記側面の周方向に沿った1/6周分以下の範囲とすることがより一層好ましい。
【0025】
手段4.複数の前記画像データにおける前記検査範囲に対応するデータをそれぞれ抽出するとともに、抽出した各データが前記側面の全周分連なってなる連結画像データを作成する画像処理手段を備え、
前記判定手段は、前記連結画像データに基づき、前記被検査物の良否を判定するように構成されていることを特徴とする手段3に記載の外観検査装置。
【0026】
上記手段4によれば、1つの連結画像データに基づき、前記側面の全周を検査することができる。従って、前記側面の全周を同一の検査条件で容易に検査することができ、良好な検査精度を維持しつつ、処理負担の低減を一層図ることができる。
【0027】
尚、上記手段3によれば、各画像データにおける被検査物の大きさをほぼ一定とすることができる。そのため、連結画像データの作成を容易に行うことができる。
【0028】
手段5.前記被検査物は、前記側面を挟む表面及び裏面を有し、
前記撮像手段は、前記側面とともに、前記表面及び前記裏面のうち少なくとも一方を撮像し、
前記判定手段は、さらに、前記画像データにおける、前記撮像手段により撮像された前記少なくとも一方の面のデータに基づき、前記被検査物の良否を判定するように構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の外観検査装置。
【0029】
上記手段5によれば、被検査物の側面だけでなく、被検査物の表面又は裏面に関しても検査を行うことができる。従って、表面や裏面を別途検査する必要がなくなり、検査に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0030】
また、魚眼レンズが用いられるため、画像データにおいては、被検査物の側面と同様に、被検査物の表面や裏面も鮮明な状態で表れることとなる。従って、被検査物の表面や裏面についても精度よく検査を行うことができる。
【0031】
手段6.前記被検査物は、前記側面を挟む表面及び裏面を有し、
前記撮像手段は、前記側面の全周分の画像データを、前記被検査物の表裏を反転させていない状態と反転させた状態との双方で取得するように構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の外観検査装置。
【0032】
上記手段6によれば、前検査物の表裏を反転させていない状態と反転させた状態との双方における画像データに基づき検査を行うことができる。これにより、被検査物の向き(被検査物が表裏反転しているか否か)の違いによる検査への影響をなくすことができ、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0033】
手段7.前記搬送手段は、前記各撮像ポジションのそれぞれに前記被検査物が配置されるように、複数の被検査物を一度に搬送し、
前記撮像手段は、前記各撮像ポジションに配置された複数の前記被検査物を一度に撮像するように構成されていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の外観検査装置。
【0034】
上記手段7によれば、複数の被検査物に関する画像データを一度に得ることができる。これにより、検査効率の向上を一層図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本実施形態のPTP包装機により得られるPTPシートについて説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0037】
容器フィルム3は、例えば、PP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の比較的硬質で所定の剛性を有する透明又は半透明の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。カバーフィルム4は、例えばポリエステル樹脂等からなるシーラントが表面に塗布された不透明材料(例えば、アルミニウム箔等)により構成されている。
【0038】
また、各ポケット部2には被検査物としての錠剤5が1つずつ収容されている。本実施形態において、錠剤5は、所定の直径(例えば、8mm)を有する平面視円形状の円盤状をなし、側面5Aと、当該側面5Aを挟む平坦状の表面5B及び裏面5Cとを備えた構成となっている。
【0039】
さらに、PTPシート1の容器フィルム3には、例えば2つのポケット部2が含まれたペア小片に切り離すことができるように複数の横スリット6が形成されている(もちろん縦スリットが形成されていてもよいし、スリットを省略してもよい)。
【0040】
加えて、PTPシート1は、それぞれ帯状の容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム7(
図3参照)が打抜かれることで、シート状に製造される。
【0041】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機(ブリスタ包装機)10の構成について説明する。
【0042】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3がロール状に捲回されている。ロール状に捲回された容器フィルム3は、間欠的に搬送されるようになっており、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置12とポケット部形成装置13とが順に並設されている。そして、加熱装置12によって容器フィルム3が部分的に加熱され、該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置13によって容器フィルム3にポケット部2が形成される。このポケット部2の形成は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルに行われる。
【0043】
ポケット部2が形成された容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤供給装置15、充填装置16、検査装置17、シール装置18等が配設されている。
【0044】
錠剤供給装置15は、多量の錠剤5を貯留するための図示しないホッパ、錠剤5の外観を検査するための外観検査装置50、前記ホッパから外観検査装置50へと錠剤5を送るためのフィーダ(例えば、ボールフィーダ)、及び、外観検査装置50から充填装置16へと錠剤5を供給するための図示しないスプリングシュート等を備えている。錠剤供給装置15においては、外観検査装置50によって錠剤5の良否が判定された上で、良品判定された錠剤5が充填装置16へ順次供給されることとなる。外観検査装置50の詳細については後述する。
【0045】
充填装置16は、ロータリドラム等を備え、搬送される容器フィルム3のポケット部2に対し錠剤5を自動的に充填する。
【0046】
検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5の欠け、ひび等の外観異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。検査装置17は、ポケット部2の開口側からの検査を行う。
【0047】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、シール装置18の方へと案内されている。
【0048】
シール装置18は、フィルム受けロール19と、加熱ロール20とを備えており、フィルム受けロール19に加熱ロール20が圧接可能に構成されている。そして、両ロール19,20間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっており、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール19,20間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム7が製造される。
【0049】
前記シール装置18の下流には、ポケット部2側から錠剤5等の異常を検出するための検査装置23が設けられている。尚、検査装置17,23によって不良品判定された場合、図示しない不良シート排出機構に不良品信号が送られ、その不良品判定となったPTPシート1は、前記不良シート排出機構によって別途排出されるようになっている。
【0050】
検査装置23の下流ではPTPフィルム7の搬送経路に沿って、スリット形成装置24及びシート打抜装置26が順に配設されている。スリット形成装置24は、PTPフィルム7の所定位置に前記横スリット6を形成する機能を有する。シート打抜装置26は、PTPフィルム7をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。
【0051】
シート打抜装置26によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア27によって搬送され、完成品用ホッパ28に一旦貯留される。
【0052】
また、シート打抜装置26の下流側には、裁断装置29が配設されている。裁断装置29は、シート打抜装置26による打抜き後に残った残材部を所定寸法に裁断する機能を有する。裁断装置29により裁断された残材部(スクラップ部)は、スクラップ用ホッパ30に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0053】
このようなPTP包装機10は、衛生面を考慮して、筐体内部に構築されている。本実施形態では、錠剤供給装置15及び充填装置16は、所定のユニットカバーで覆われることにより、装置本体11とは別体の充填ユニット40としてユニット化されている。充填ユニット40は、装置本体11に対し着脱可能となっている。
【0054】
次いで、外観検査装置50の構成について説明する。外観検査装置50は、
図5に示すように、錠剤5を撮像して画像データを得るための撮像ユニット60と、当該撮像ユニット60の動作を制御するとともに、前記画像データに基づき錠剤5を検査するための制御処理ユニット70とを備えている。
【0055】
撮像ユニット60は、
図5〜
図8に示すように、公転モータ61、公転テーブル62、自転モータ63、被載置部64、照明装置65、撮像手段としての撮像装置66などを備えている(
図6〜
図8では、照明装置65を不図示)。尚、本実施形態では、公転モータ61及び公転テーブル62により公転手段が構成され、自転モータ63及び被載置部64並びに後述する自転駆動ベルト67により自転手段が構成される。また、これら自転手段及び公転手段により搬送手段が構成される。
【0056】
公転モータ61は、所定のサーボモータにより構成されており、自身の回転軸が鉛直方向に延びるようにして配置されている。また、公転モータ61は、所定のエンコーダを内蔵しており、当該エンコーダから自身の回転量に関する情報(信号)を出力可能となっている。
【0057】
公転テーブル62は、円板状をなしており、自身の中心軸が公転モータ61の回転軸と同軸となった状態で、公転モータ61における軸部分と接続されている。公転テーブル62は、公転モータ61の回転により回転する。
【0058】
自転モータ63は、所定のサーボモータにより構成されており、自身の回転軸が公転モータ61の回転軸と平行な状態で、公転テーブル62の外周よりも外側に配置されている。また、自転モータ63は、所定のエンコーダを内蔵しており、当該エンコーダから自身の回転量に関する情報(信号)を出力可能となっている。
【0059】
被載置部64は、円板状をなし、公転テーブル62の外周側において、公転テーブル62の回転方向に沿って等間隔に複数設けられている。また、被載置部64は、その中心軸が公転モータ61や自転モータ63の回転軸と平行となっており、公転テーブル62に対し、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされている。
【0060】
そして、各被載置部64のうち自転モータ63とは反対側に位置する180°の範囲内に配置されたものの外周面には、自転モータ63における回転を伝達するための帯状の自転駆動ベルト67が架け渡されている。これにより、自転モータ63が回転したときには、前記180°の範囲内に位置する各被載置部64が自身の中心軸を回転軸として回転することとなる。以下においては、自転モータ63の回転による被載置部64の回転を「被載置部64の自転」と称することがある。
【0061】
尚、自転モータ63の回転が被載置部64へとより確実に伝達されるようにすべく、自転駆動ベルト67を、内周に複数の歯が形成されてなる歯付ベルトとするとともに、被載置部64の外周を、自転駆動ベルト67に噛合可能な歯車形状としてもよい。
【0062】
さらに、被載置部64は、公転テーブル62の回転に伴い、公転モータ61の回転軸を中心とした円形状の搬送経路に沿って移動する。以下においては、公転モータ61の回転による被載置部64の移動を「被載置部64の公転」と称することがある。本実施形態において、各被載置部64は、円弧状に並ぶ、配置ポジションP0、撮像ポジションP1〜P6及び取外ポジションP7(
図8参照)に対し、この順序で移動(公転)する。
【0063】
配置ポジションP0は、所定の載置用装置(図示せず)により、被載置部64の上面中心部に対する錠剤5の載置が行われるポジションである。錠剤5は、表面5B又は裏面5Cが上面となった状態で載置される。
【0064】
撮像ポジションP1〜P6は、被載置部64に載置された錠剤5の撮像が行われるポジションである。
【0065】
取外ポジションP7は、所定のピックアップ装置(図示せず)により、被載置部64に載置されている錠剤5のピックアップが実行されるポジションである。ピックアップされた錠剤5は、通常、下流側(前記スプリングシュート側)へと移送される。但し、不良判定された錠剤5は、図示しない所定の不良品貯留ホッパへと移送される。
【0066】
照明装置65は、各撮像ポジションP1〜P7の上方に設置されており、被載置部64に載置された錠剤5に対し所定の光(例えば近赤外光や可視光)を照射する。
【0067】
撮像装置66は、照明装置65から照射される光の波長領域に感度を有するカメラ(例えば、CCDカメラやCMOSカメラなど)を備えている。撮像装置66は、カメラレンズとして魚眼レンズ66Aを有している。
【0068】
魚眼レンズ66Aは、等距離射影方式を採用したものであり、画角が180°以上とされている。魚眼レンズ66Aとしては、例えば、富士フィルム株式会社(フジノン)製の型式FE185C057HA−1などを用いることができる。魚眼レンズ66Aは、
図9に示すように、ピントの合う最も近傍の位置(「最短撮像位置」と称し、
図9中、太線で示す位置)は、レンズを中心に弧を描くように曲がった状態となっている。また、魚眼レンズ66Aにおける被写界深度は非常に深いものとされている。そして、魚眼レンズ66Aは、前記最短撮像位置よりも離れた範囲(例えば、
図9中、散点模様を付した範囲)の各位置に対しピントを合わせることが可能となっている。尚、「ピントが合う」とあるのは、厳密にピントがあっている場合のみならず、撮像により得られる画像において錠剤5がほとんどぼやけていない程度にピントがほぼ合っている場合も含む。
【0069】
また、本実施形態において、魚眼レンズ66Aは、最短撮像距離(レンズ中心から最短撮像位置までの距離)が十分に小さなもの(例えば、20mm以下)とされている。
【0070】
さらに、魚眼レンズ66Aは、その光軸が公転モータ61の回転軸と一致するように配置されている。そして、撮像装置66は、魚眼レンズ66Aを介して、撮像ポジションP1〜P6に位置する複数の錠剤5は斜め上方側から一度に撮像する。これにより、
図10に示すように、複数の錠剤5が円弧状に並ぶとともに、各錠剤5において側面5A及び上面(表面5B又は裏面5C)の表れた画像データID(輝度画像データ又はカラー画像データ)が得られる。
【0071】
尚、本実施形態では、魚眼レンズ66Aから被載置部64に載置された錠剤5までの距離(いわゆるワークディスタンスであり、例えば、50mm)が、前記最短撮像距離よりも大きくなるように設定されている。そのため、錠剤5の側面5A及び上面(表面5B又は裏面5C)のそれぞれに対しピントを合わせることができ(
図9参照)、ひいては錠剤5の各部位やこれに付着した異物等が鮮明に表された画像データIDを得ることができるようになっている。
【0072】
撮像装置66により得られた画像データは、撮像装置66内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御処理ユニット70(後述する画像処理装置74)へと入力される。
【0073】
次いで、制御処理ユニット70の構成について説明する。制御処理ユニット70は、
図5に示すように、モーションコントローラ71と、制御装置72と、撮像制御装置73と、画像処理装置74とを備えている。
【0074】
モーションコントローラ71は、公転モータ61及び自転モータ63に対し、所定のパルス信号を出力可能に構成されており、このパルス信号のオン・オフを切換えることで、両モータ61,63の動作のオン・オフを切換えるものである。本実施形態では、前記パルス信号が入力されている間、公転モータ61及び自転モータ63が回転する。
【0075】
また、モーションコントローラ71は、制御装置72から所定の搬送制御信号が入力されると、公転モータ61及び自転モータ63を所定の態様で同期させて動作させる。具体的には、被載置部64を所定角度(本実施形態では、36°)公転させるとともに、被載置部64を所定角度(本実施形態では、60°)自転させるように、公転モータ61及び自転モータ63を動作させる。結果的に、モーションコントローラ71は、被載置部64を半周(180°)公転させる間に1周(360°)自転させる。
【0076】
尚、本実施形態では、被載置部64の自転を上記のように実現するため、自転駆動ベルト67における被載置部64に架け渡された部分の半径をR(mm)とし、被載置部64の半径をr(mm)としたとき(
図8参照)、1回の搬送動作における自転駆動ベルト67の繰出し量が、(πR−2πr)×(36/180)又は(πR+2πr)×(36/180)となるように自転モータ63の回転が制御される。これは、自転駆動ベルト67における被載置部64に架け渡された部分の長さであるπR(mm)に対し、被載置部64の外周の長さである2πr(mm)だけずれるように自転駆動ベルト67による繰出し量を設定することで、被載置部64が半周(180°)公転する間に、1周(360°)自転することになる点を踏まえて導出したものである。
【0077】
また、モーションコントローラ71に対しては、両モータ61,63に設けられた前記エンコーダから、両モータ61,63の回転量に関する情報が入力される。
【0078】
制御装置72は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)により構成されており、モーションコントローラ71及び撮像制御装置73に対し情報(信号)の入出力が可能に構成されている。制御装置72は、主として錠剤5の搬送や撮像に関する制御を行うものであり、基本的には、撮像ルーチンと搬送ルーチンとを交互に繰り返し実行する。
【0079】
撮像ルーチンは、撮像装置66において撮像動作を実行させるための動作であり、具体的には、撮像制御装置73に対し所定の撮像制御信号を出力するという動作である。
【0080】
搬送ルーチンは、被載置部64を所定角度(本実施形態では、36°)公転させつつ、被載置部64を所定角度(本実施形態では、60°)自転させるという前記搬送動作を実行させるための動作である。具体的には、モーションコントローラ71に対し前記搬送制御信号を出力するという動作である。
【0081】
搬送ルーチンが一度実行される度に、配置ポジションP0に位置する被載置部64が撮像ポジションP1に移動し、撮像ポジションP1に位置する被載置部64がその隣りの撮像ポジションP2に移動し、といった具合に、被載置部64がそれぞれ隣りのポジションへと移動する。これにより、各被載置部64に載置された各錠剤5が一度に搬送されていくこととなる。
【0082】
また、搬送ルーチンが一度実行される度に、被載置部64に載置された錠剤5の向きが変化する。より詳しくは、
図11に示すように、錠剤5の側面をその周方向に沿って6つの領域A1〜A6に分割したとき、搬送ルーチンが一度実行される度に、領域A1〜A6のうち魚眼レンズ66Aの光軸と対向していた領域が1つずつずれるように錠剤5の向きが変化する。結果的に、被載置部64が撮像ポジションP1から撮像ポジションP6へと移動する間に、側面5Aの全領域A1〜A6が前記光軸側に配置されることとなる。
【0083】
加えて、制御装置72に対しては、モーションコントローラ71を介して公転モータ61及び自転モータ63の回転量に関する情報が入力されている。制御装置72は、搬送ルーチン及び撮像ルーチンの実行タイミングを、入力された回転量に関する情報に基づいて決定する。そして、決定した実行タイミングに合わせて、モーションコントローラ71や撮像制御装置73に対し、前記撮像制御信号や搬送制御信号を出力する。
【0084】
撮像制御装置73は、錠剤5の撮像に関する制御を行うものであり、撮像装置66や照明装置65の動作(例えば、撮像装置66による撮像タイミングや撮像条件等)を制御する。撮像制御装置73は、前記撮像ルーチンの実行により制御装置72から前記撮像制御信号が入力されると、撮像装置66に所定のパルス信号を出力する。これにより、撮像装置66において撮像動作が実行される。
【0085】
画像処理装置74は、いわゆるコンピュータシステムとして構成されており、撮像装置66により得られた画像データが入力される。
【0086】
画像処理装置74は、画像メモリ、検査結果記憶装置、判定用メモリ、及び、画像・検査条件記憶装置などを備えており、二値化処理や塊処理などの各種画像処理や、不良判定処理(検査処理)等を実施可能となっている。本実施形態では、画像処理装置74により、判定手段及び画像処理手段が構成される。
【0087】
画像メモリは、撮像装置66から入力された画像データなど、各種の画像データを記憶する。この画像メモリに記憶された画像データに基づいて検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像データに対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。シェーディング補正は、錠剤5全体を照明装置65の光で均一に照らすことは技術的に限界があることから、位置の相違により生じる光の明度のばらつきを補正するためのものである。
【0088】
検査結果記憶装置は、錠剤5の検査結果のデータ、及び、該データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶する。これら検査結果のデータや統計データは、図示しない表示装置にて表示させることが可能となっている。また、検査結果のデータ等に基づいて、撮像制御装置73に対し所定の制御信号を出力することができる。撮像制御装置73は、この制御信号に応じて、例えば、撮像条件の再設定や照明の調節などを実行する。
【0089】
判定用メモリは、検査に用いられる判定値(閾値等)を記憶する。判定値は、検査項目毎に設定される。検査に用いられる判定値には、例えば、錠剤5などの寸法、各種検査領域を画定するための各種ウインドウ枠の形状や寸法、二値化処理に係る閾値、面積や長さの判定に係る判定値などが含まれる。また、判定値の中には、過去の検査で良品と判定されたものについての検査計測結果を統計して決定される判定値もある。
【0090】
画像・検査条件記憶装置は、検査によって不良と判定された検査項目、不良判定の日時、画像データ、検査に用いられた検査条件などを記憶する。
【0091】
次いで、外観検査装置50による錠剤5の検査処理について、
図12のフローチャートを参照して説明する。尚、ここでは、説明の便宜上、1の錠剤5Tを対象とした検査処理について説明するが、実際には、複数の錠剤5の検査処理が一度に並列的に実行される。また、検査処理に先立って、錠剤5Tが被載置部64に対して既に載置されているものとする。
【0092】
図12に示すように、まず、ステップS11において、前記撮像ルーチン及び搬送ルーチンを交互に繰り返し実行することで、各撮像ポジションP1〜P6にて錠剤5Tを撮像する。これにより、複数(本実施形態では、6つ)の画像データID1〜ID6(
図13参照)を得る。
【0093】
尚、本実施形態では、各撮像ポジションP1〜P6において、錠剤5Tのそれぞれ異なる領域A1〜A6の中心が魚眼レンズ66Aの光軸と対向することとなる。従って、画像データID1〜ID6には、各領域A1〜A6のうちのいずれか1つに関するデータが含まれることとなる。本実施形態では、各領域A1〜A6が検査範囲に対応する。つまり、検査範囲に関するデータは、前記側面5Aの全周分取得されることとなる。
【0094】
複数の画像データID1〜ID6が取得されると、続くステップS12において、一般的な画像処理で用いられる、画像の切り出し技術を用いて、各画像データID1〜ID6から錠剤5T(に相当する部分)を切り出して抽出する。その上で、抽出した錠剤5Tに関するデータ(「一次イメージデータ」と称す)MD1〜MD6(
図13参照)を、前記画像メモリに保存する。
【0095】
続くステップS13では、一般的な画像回転処理(例えば、アフィン変換など)を用いて、前記各一次イメージデータMD1〜MD6を必要に応じて回転させ、それぞれ向きを揃えたデータ(「二次イメージデータ」と称す)GD1〜GD6(
図13参照)を取得する。また、取得した二次イメージデータGD1〜GD6を、前記画像メモリに保存する。
【0096】
その後、ステップS14において、前記ウインドウ枠を利用した、一般的な画像の切り出し技術により、各二次イメージデータGD1〜GD6における前記検査範囲に対応する部分を切り出すとともに、切り出した部分を連結し、連結画像データCD(
図13参照)を得る。本実施形態において、連結画像データCDには、側面5Aだけでなく、表面5B又は裏面5Cも含まれることとなる。また、得られた連結画像データCDを、前記画像メモリに保存する。
【0097】
続くステップS15では、前記二値化処理用の閾値に基づき、得られた連結画像データCDに対し二値化処理を施すことで、二値化画像データを得るとともに、得られた二値化画像データを再び画像メモリに記憶する。尚、二値化処理では、前記閾値以上の明度を有する部分が「1(明)」、前記閾値未満の部分が「0(暗)」として、連結画像データCDを二値化画像データに変換させる。二値化画像データにおいては、異物や欠け等の破損が存在する部位は、「0(暗)」となり、これを除いた正常な部位が「1(明)」となる。
【0098】
次にステップS16において、画像メモリに記憶された前記二値化画像データに基づいて、判定処理を実行し、錠剤5Tの良否を判定する。判定処理では、まず、二値化画像データに対し塊処理を実行することで、二値化画像データの「0(暗)」及び「1(明)」について各連結成分を特定するとともに、それぞれの連結成分についてラベル付けを行う。
【0099】
さらに、「0(暗)」の連結成分の中から、上記異物等に相当する連結成分すなわち不良領域を特定する。そして、特定した各不良領域の長さを算出する。不良領域の長さは、例えば、撮像装置66の画素に応じたドット数で表される。その上で、算出した各不良領域の長さが予め設定した判定値以下であるか否かを判定することにより、錠剤5Tの良否を判定する。結果的に、本実施形態では、錠剤5Tの側面5Aとともに表面5B又は裏面5Cも一度に検査される。良否判定後、検査処理を終了する。
【0100】
また、本実施形態において、前記判定値は、不良領域の長さが40μm以上である場合に不良と判定されることができる値に設定されている。二値化画像データの各部は、この判定値に基づき良否判定される。すなわち、判定処理では、二値化画像データの各部を同一の検査条件に基づいて判定する。
【0101】
尚、錠剤5の検査手法は、ここで挙げているものに限定されず、適宜変更可能である。例えば、不良領域の面積を算出するとともに、算出した不良領域の面積に基づき、錠剤5の良否を判定してもよい。勿論、両者を組合わせることとしてもよい。
【0102】
また、ステップS16において不良判定されると、錠剤5Tは、前記ピックアップ装置によって前記不良品貯留ホッパへと移送され、当該不良品貯留ホッパに貯留される。一方、ステップS16において良品判定されると、錠剤5Tは、前記ピックアップ装置によって下流(スプリングシュート等)側へと移送される。
【0103】
尚、本実施形態において、検査範囲を前記光軸と対向する部位を中心とした1/6周分の範囲としたのは、次の理由による。すなわち、画像データにおいて、錠剤5の側面5Aの周方向両端側に位置する部分は、当該側面5Aの中心に位置する部分よりも面積が小さなものとして表れ、結果的に、当該部分に存在する異物等も比較的小さなものとして表れることとなる。
【0104】
例えば、
図14に示すように、錠剤5の側面5Aに異物BZが付着していると仮定した場合において、錠剤5を平面視したとき、錠剤5の前記光軸に対向する部位と錠剤5の中心とを通過する基準線L1に対する異物BZの付着角度をθ1(°)とし、異物BZから魚眼レンズ66Aに対する入射光と基準線L1とのなす角の角度をθ2(°)とし、前記側面5Aの接線方向に沿った異物の長さをX(μm)とする。このとき、錠剤5の直径を8mmとし、ワークディスタンス(魚眼レンズ66Aから被載置部64に載置された錠剤5までの距離)を50mmとすると、画像データにおける異物の長さL(μm)は、X×sin[90°−(θ1+θ2)]で表されることとなる。
【0105】
このように付着角度θ1等に応じて長さLが変化する点に対応すべく、画像データにおける錠剤5の各部において、検査条件を異なるものとすることが考えられるが、この場合には、処理負担が増加してしまう。
【0106】
そこで、本実施形態では、長さXを50μmとした場合、付着角度θ1が30°以下であれば、上記式から、長さLは40μm以上となる点を考慮し、検査範囲を前記光軸と対向する部位を中心とした1/6周分の範囲(つまり、前記部位を中心とした±30°の範囲)としている。このように検査範囲を設定し、かつ、長さが40μm以上の不良領域が存在する場合に不良と判定するように判定値を設定することにより、各部で検査条件を変更することなく、長さが50μm以上の異物を検出することができ、検知精度を十分に高めることが可能となっている。
【0107】
但し、ここで挙げた検査範囲は、あくまで錠剤5のサイズやワークディスタンスを上述の数値とした場合に設定され得る一例であり、検査範囲は、錠剤5のサイズやワークディスタンス、良否判定を行う際の判定値などに基づいて、適宜変更される。尚、検査範囲の変更に合わせて、搬送ルーチンを一度実行したときにおける被載置部64の公転角度や自転角度も変更する必要がある。
【0108】
以上詳述したように、本実施形態によれば、魚眼レンズ66Aを介して撮像を行うことにより、錠剤5などが鮮明に表された画像データを得ることができる。
【0109】
また、錠剤5は、魚眼レンズ66Aの光軸を中心とした円弧状の搬送経路に沿って搬送されつつ、撮像される。従って、錠剤5の位置補正を特段行うことなく、各撮像ポジションP1〜P6において、魚眼レンズ66Aから錠剤5までの距離や魚眼レンズ66Aに対する錠剤5からの光の入射角をほぼ同一とすることができる。その結果、得られた各画像データにおいて、錠剤5に変形(歪み)が生じてしまったり、錠剤5の大きさにバラツキが生じてしまったりすることをより確実に防止できる。
【0110】
このように、本実施形態によれば、錠剤5等が鮮明に表され、かつ、錠剤5に変形や大きさのバラツキがほとんどない画像データを、錠剤5の位置補正を特段行うことなく、つまり、検査効率の低下を招くことなく、前記側面5Aの全周分得ることができる。従って、前記側面5Aの全周を精度よく、かつ、迅速に検査することができ、検査精度及び検査効率の双方において非常に良好な性能を得ることができる。
【0111】
また、上記作用効果を得るにあたり、撮像装置66は1つで足りるため、外観検査装置50の小型化及び簡素化、並びに、コストの低減を図ることができる。加えて、本実施形態では、被載置部64を公転させつつ、自転させる手段が比較的簡易な構成により実現されているため、外観検査装置50の小型化等をより効果的に図ることができる。
【0112】
さらに、本実施形態では、画像データにおける前記側面5Aの周方向両端側に位置する部分を検査対象から除外して検査を行うことができる。これにより、上述の通り、同一の検査条件によって錠剤5の検査を行うことができる。その結果、処理負担の低減を図りつつ、良好な検査精度を維持することができる。
【0113】
また、1つの連結画像データCDに基づき検査を行うことで、前記側面5Aの全周を同一の検査条件で容易に検査することができる。その結果、良好な検査精度を維持しつつ、処理負担の低減を一層図ることができる。
【0114】
加えて、本実施形態では、側面5Aに加えて、表面5B又は裏面5Cも撮像されるため、側面5Aとともに表面5B又は裏面5Cの検査を行うことができる。従って、表面5Bや裏面5Cを別途検査する必要がなくなり、検査に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0115】
併せて、本実施形態によれば、複数の錠剤5に関する画像データを一度に得ることができるため、検査効率の向上を一層図ることができる。
【0116】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0117】
(a)上記実施形態では、表面5B及び裏面5Cのうちの一方を上面とした状態で、錠剤5の側面5Aの全周分の画像データを得るように構成されている。すなわち、画像データを得るにあたり、錠剤5の裏表は特に反転させないように構成されている。これに対し、錠剤5の裏表を反転させた状態と、反転させていない状態との双方において、少なくとも前記側面5Aの全周分の画像データを得るように構成してもよい。この場合には、錠剤5の表裏を反転させていない状態と反転させた状態との双方における画像データに基づき検査を行うことができる。これにより、錠剤5の向き(錠剤5が表裏反転しているか否か)の違いによる検査への影響をなくすことができ、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0118】
尚、錠剤5を反転させるための反転手段は、錠剤5の搬送経路の途中に設けられることとなる。前記反転手段としては、例えば、錠剤5の側面を把持する把持手段と、当該把持手段を回転させることで、把持された錠剤5の裏表を反転させる回転手段とを備えた機構により構成することができる。
【0119】
(b)上記実施形態において、魚眼レンズ66Aの画角は約180°とされているが、魚眼レンズ66Aの画角はこれに限定されるものではない。魚眼レンズ66Aの画角は、少なくとも被載置部64に載置された錠剤5を撮像できる程度の画角であってもよい。
【0120】
(c)上記実施形態では、自転モータ63により被載置部64を自転させるように構成されているが、公転モータ61による駆動力により、被載置部64を自転させるように構成してもよい。すなわち、1つの動力源によって、被載置部64の自転及び公転が行われるように構成してもよい。
【0121】
(d)上記実施形態において、外観検査装置50は、錠剤供給装置15に設けられているが、外観検査装置50の配設位置は適宜変更可能である。また、外観検査装置50をPTP包装機10とは別に設けてもよい。さらに、PTP包装機10において、外観検査装置50を1台のみ設けてもよいし、複数台設けてもよい。
【0122】
(e)上記実施形態では、被検査物が円盤状の錠剤5である場合について具体化しているが、被検査物は、異型錠剤やカプセル(医薬品や栄養食品等)、中心に孔の形成された環状錠剤などの円形錠剤以外のものであってもよい。また、錠剤径やカプセルの号数等の相違に伴い、被検査物のサイズが種々異なるものであってもよい。上記実施形態によれば、撮像時に、被検査物の各部に対しピントを合わせることができ、ひいては被検査物等が鮮明に表された画像データを得ることができる。従って、様々な種類の被検査物を検査することができ、優れた汎用性を得ることができる。
【0123】
(f)容器フィルム3及びカバーフィルム4の材料は上記実施形態にて挙げたものに限定されず、適宜変更可能である。