特許第6298056号(P6298056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6298056薬物送達デバイス用キャップおよび薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298056
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用キャップおよび薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/50 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   A61M5/50 530
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-527861(P2015-527861)
(86)(22)【出願日】2013年8月15日
(65)【公表番号】特表2015-525660(P2015-525660A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】EP2013067056
(87)【国際公開番号】WO2014029679
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2016年8月5日
(31)【優先権主張番号】12180957.8
(32)【優先日】2012年8月20日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ユーグル
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ハルムス
【審査官】 落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−504891(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102010061061(DE,A1)
【文献】 国際公開第2011/078851(WO,A1)
【文献】 特開平5−337182(JP,A)
【文献】 米国特許第6585691(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0227956(US,A1)
【文献】 国際公開第85/00344(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0096597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ(7)と、相互作用部材(13)とを含む、薬物送達デバイス(1)であって、
前記キャップ(7)は、本体(7A)と、該本体(7A)内で可動に保持される少なくとも1つのインジケーション要素(11)と使用者に情報を表示するように構成された少なくとも1つの表示部材(12)を含
インジケーション要素(11)は、本体(7A)に対して第1の位置から第2の位置に動くように構成され、キャップ(7)の表示部材(12)を通じて使用者に示される情報は、インジケーション要素(11)が第1の位置から第2の位置に動かされたときに変えられ、インジケーション要素(11)が第1の位置にあるとき、インジケーション要素(11)が表示部材(12)を通じて使用者に見えないようにし、そして、インジケーション要素(11)が第2の位置にあるとき、インジケーション要素(11)が表示部材(12)を通じて使用者に見えるようにし、
相互作用部材(13)は、インジケーション要素(11)を第1の位置から第2の位置に動かすようインジケーション要素(11)と相互作用するように適合され配置される、前記薬物送達デバイス(1)。
【請求項2】
インジケーション要素(11)が第1の位置に位置するときインジケーション要素(11)は付勢されており、インジケーション要素(11)が第2の位置に位置するとき、付勢が第1の位置における付勢と比べて低減される、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)
【請求項3】
インジケーション要素(11)はロッキング部分(11A)を含み、該ロッキング部分(11A)は、ロッキング部分(11A)と本体(7A)の機械的協働によってインジケーション要素(11)が第1の位置に戻る動きに抗して第2の位置にロックされるように適合され配置される、請求項1または2に記載の薬物送達デバイス(1)
【請求項4】
インジケーション要素(11)は、ロッキング部分(11A)と表示部材(12)の機械的協働によって第2の位置にロックされる、請求項に記載の薬物送達デバイス(1)
【請求項5】
ロッキング部分(11A)は突起を含み、表示部材(12)は開口部を含む、請求項に記載の薬物送達デバイス(1)
【請求項6】
インジケーション要素(11)は保持部分(11B)を含み、該保持部分(11B)は、インジケーション要素(11)を本体(7A)内に保持するように構成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)
【請求項7】
キャップ(7)は阻止部材(7B)を含み、インジケーション要素(11)が第1の位置にあるとき、阻止部材(7B)は、インジケーション要素(11)との機械的協働によって第1の位置から第2の位置に動かされたときインジケーション要素(11)が動く方向と反対方向へのインジケーション要素(11)の動きを阻止するように構成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)
【請求項8】
インジケーション要素(11)はリング状に形作られる、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)
【請求項9】
インジケーション要素(11)はキャップ(7)と異なる色を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)
【請求項10】
薬物保持器(3、4)を含み、相互作用部材(13)は薬物保持器(3、4)の一部である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
相互作用部材(13)はカムを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
キャップ(7)はデバイス(1)の部材に連結され、相互作用部材(13)は、キャップ(7)がデバイス(1)から取り外されるときにインジケーション要素(11)が相互作用部材(13)に沿って進むように、かつインジケーション要素(11)を第1の位置から第2の位置に動かすために相互作用部材(13)がインジケーション要素(11)と機械的に協働するように配置される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
薬物送達デバイスがペン型デバイスである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
本体(7A)と、
該本体(7A)内で可動に保持される少なくとも1つのインジケーション要素(11)と
使用者に情報を表示するように構成された少なくとも1つの表示部材(12)を含む、薬物送達デバイス(1)用のキャップ(7)であって、
インジケーション要素(11)は、本体(7A)に対して第1の位置から第2の位置に動くように構成され、キャップ(7)の表示部材(12)を通じて使用者に示される情報は、インジケーション要素(11)が第1の位置から第2の位置に動かされたときに変えられ、インジケーション要素(11)が第1の位置にあるとき、インジケーション要素(11)が表示部材(12)を通じて使用者に見えないようにし、そして、インジケーション要素(11)が第2の位置にあるとき、インジケーション要素(11)が表示部材(12)を通じて使用者に見えるようにし、
該キャップ(7)は阻止部材(7B)を含み、インジケーション要素(11)が第1の位置にあるとき、阻止部材(7B)は、インジケーション要素(11)との機械的協働によって第1の位置から第2の位置に動かされたとき、インジケーション要素(11)が動く方向と反対方向へのインジケーション要素(11)の動きを阻止するように構成される、前記キャップ(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイス用キャップ、およびそのキャップを含む薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスには、多くの場合、デバイスの少なくともいくつかの部材を覆うためのキャップが設けられる。このようにして、デバイスの内部部材が環境の影響を受けないようにすることができる。
【0003】
薬物送達デバイスが、たとえば特許文献1および特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/058666A1
【特許文献2】WO2008/058668A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、改善されたキャップを提供することである。さらに、本開示の目的は、改善された薬物送達デバイスを提供することでもある。
【0006】
この目的は、とりわけ独立請求項の主題によって達成することができる。有利な実施形態および改良は、従属請求項の主題である。しかし、現在特許請求されているものに加えて、さらに有利な概念を本明細書で開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、薬物送達デバイス用キャップに関連する。このキャップは、デバイスの投薬端部を覆うように適合させ配置することができる。キャップは本体を含むことができる。さらにキャップは、少なくとも1つのインジケーション要素(indication element)を含むことができる。キャップは、2つまたは3つ以上のインジケーション要素を含むことができる。インジケーション要素は、キャップ内、特に本体内で可動に保持すること(好ましくは恒久的に保持すること)ができる。インジケーション要素は、キャップの内側、特に本体の内側に保持することができる。インジケーション要素は、本体に対して第1の位置から第2の位置に動くように構成することができる。キャップは、使用者に情報を提供するように構成することができる。この情報は、デバイスの使用状態を示すことができる。この情報は、キャップがデバイスから少なくとも一度は取り外されたかどうか、特に、キャップがデバイスの要素に連結された後にキャップが初めて取り外されたかどうかを示すことができる。したがって、情報が使用状態を示すという語句は、薬物の用量がデバイスから投薬されたかどうかを情報が示すということを必ずしも意味しない。そうではなくて、情報は、使用者がキャップ7を少なくとも一度は取り外し、したがって、製造者から供給されたようなデバイスの滅菌性を低減させたかどうかを示すことができる。この情報によって使用者は、新しいデバイスと使用中のデバイス(たとえば、少なくとも一度はキャップが取り外されたデバイス)とを区別することができる。キャップによって使用者に示される情報は、インジケーション要素が第1の位置から第2の位置に動かされたときに変わり得る。
【0008】
インジケーション要素が第1の位置に位置するとき、インジケーション要素は、たとえば本体を用いて使用者から見えないようにすることができる。言い換えると、インジケーション要素は本体によって隠すことができる。それに応じて、本体は不透明とすることができる。インジケーション要素が使用者から見えないようにされている場合、使用者は、デバイスがまだ使用されていないこと、および/またはキャップがデバイスから初めてでも取り外されていないことを知ることができる。
【0009】
インジケーション要素が第2の位置に位置するとき、インジケーション要素は、たとえばキャップの本体に設けられた窓を通して使用者に見えるようにすることができる。したがって、インジケーション要素が第1の位置から第2の位置に動かされたときに、インジケーション要素は使用者に見えるようになり得る。使用者は、インジケーション要素を見るとすぐに、デバイスが使用中であるか、または少なくとも一度は使用されたこと、および/またはキャップが少なくとも一度はデバイスから取り外されたことを知ることができる。インジケーション要素がどちらの位置を取る可能性があろうとも、使用者は、キャップを見るとすぐにデバイスの使用状態を認識することができる。これは、使用者の安全を向上する助けとなり得る。
【0010】
さらなる態様は、薬物送達デバイスに関連する。この薬物送達デバイスは、前述のキャップを含むことができる。したがって、キャップについて本明細書の上記および下記で説明される特徴はまた、デバイスに適用することもでき、逆も同様である。デバイスはさらに、相互作用部材を含むことができる。相互作用部材は、インジケーション要素と相互作用するように適合させ配置することができる。インジケーション要素は、相互作用部材がインジケーション要素と機械的に協働するときに、第1の位置から第2の位置に動かすことができる。インジケーション要素は、キャップがデバイスから取り外されるときだけ、特にキャップがデバイスから初めて取り外されるときだけ、第1の位置から第2の位置に動かすことができる。
【0011】
相互作用部材は、デバイスの部材の一部とすることができる。キャップをデバイスに対して動かすとき、たとえばキャップをデバイスから取り外すとき、相互作用部材はインジケーション要素と機械的に協働することができる。こうして、キャップによって提供される情報は、相互作用部材がインジケーション要素と機械的に協働するときに変わり得る。使用者はキャップを見ることによって、デバイスが使用中であるかどうか、特にキャップが少なくとも一度は取り外されたかどうかをすぐに知ることができる。これは、使用者の安全を向上する助けとなり得る。
【0012】
好ましい実施形態によれば、本体と、本体内で可動に保持される少なくとも1つのインジケーション要素とを含む、薬物送達デバイス用キャップが提供される。インジケーション要素は、本体に対して第1の位置から第2の位置に動くように構成され、キャップによって使用者に示される情報は、インジケーション要素が第1の位置から第2の位置に動かされたときに変えられる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、前述のキャップおよび相互作用部材を含む薬物送達デバイスが提供され、相互作用部材は、相互作用部材がインジケーション要素と機械的に協働するときにインジケーション要素を第1の位置から第2の位置に動かすようインジケーション要素と相互作用するように適合され配置されている。
【0014】
もちろん、異なる態様および実施形態に関連して上述した諸機能は互いに、また以下で説明する諸機能と組み合わせることができる。
【0015】
さらなる機能および改良は、添付の図と関連した例示的な実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】薬物送達デバイスを概略的に示す斜視側面図である。
図2図1の薬物送達デバイスの一部分を概略的に示す断面側面図である。
図3図1の薬物送達デバイスの一部分を概略的に示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
同様の要素、同じ種類の要素、および全く同様に作動する要素は、図中で同じ参照番号を用いて提示されることがある。
【0018】
図1に薬物送達デバイス1が示されている。薬物送達デバイス1はハウジング2を含む。薬物送達デバイス1および/またはその部材は、遠位端および近位端を有する。遠位端は矢印8で示されている。近位端は矢印9で示されている。「遠位端」という用語は、薬物送達デバイス1の投薬端部に最も近い、または最も近くに配置されるべき薬物送達デバイス1の端部または部材を表す。「近位端」という用語は、システム1の投薬端部から最も遠い、または最も遠くに配置されるべきシステム1の端部または部材を表す。遠位端と近位端は、軸14の方向に互いに間隔が空けられている。この軸は、薬物送達デバイス1またはその要素の縦軸とすることができる。
【0019】
薬物送達デバイス1は、薬物保持器3、4を含む。薬物保持器3、4は、カートリッジホルダ3を含むことができる。薬物送達デバイス1は、カートリッジ4を含む。カートリッジ4は、カートリッジホルダ3の中に保持される。カートリッジホルダ3は、カートリッジ4の位置を機械的に安定させる。代替実施形態では、薬物保持器3、4はカートリッジ4を含むことができる。この実施形態では、カートリッジホルダ3は余分であり得る。
【0020】
カートリッジホルダ3、特にカートリッジホルダ3の近位端は、たとえばねじ係合によって、薬物送達デバイス1のハウジング2と連結可能である。あるいは、カートリッジ3が余分である実施形態では、カートリッジ4はハウジング2に直に連結することができる(たとえば図1参照)。
【0021】
カートリッジ4は薬物10(好ましくは薬物10の複数の用量)を含むことができる。薬物10は、液体薬物とすることができる。
【0022】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0023】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0024】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0025】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0026】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0027】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0028】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0029】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0030】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0031】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0032】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0033】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0034】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0035】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0036】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0037】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0038】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0039】
栓15は、カートリッジ4の中に可動で保持される。栓15は、カートリッジ4を近位で封止する。特にカートリッジ4は、たとえば充填済みカートリッジとすることができる。カートリッジ4の遠位端と環境の間の流体連通がたとえば針(各図には明示されていない)を介して確立されていれば、栓15の、カートリッジ4に対して遠位方向の動きにより、薬剤10がカートリッジ4から投薬される。
【0040】
薬物送達デバイス1は、ペン型デバイス、特にペン型注射器とすることができる。デバイス1は、薬物10の固定用量(すなわち使用者が変えることができない用量)を投薬するように構成することができる。あるいは、デバイス1は、薬物10の可変用量(すなわち使用者が変えることができる用量)を投薬するように構成することもできる。デバイス1は再使用可能デバイスとすることができ、これはカートリッジ4を、特に再設定作業中に、交換貯蔵器から複数の用量を投薬するための交換貯蔵器と取り換えることができることを意味する。あるいは、デバイス1は使い捨てデバイスとすることもできる。この場合、カートリッジ4は取り換えることができない。カートリッジ4は、たとえばカートリッジホルダ3と解放不能に連結することができる。薬物送達デバイス1は、多用量デバイス(すなわち薬物10の複数の用量を設定および投薬するように構成されたデバイス)とすることができる。薬物送達デバイス1は駆動機構を含む。駆動機構10は、ハウジング2内に保持することができる。この駆動機構は、薬物10の用量を設定および投薬するために使用される。
【0041】
駆動機構はピストンロッド5を含む。ピストンロッド5は遠位端および近位端を有する。ピストンロッド5の遠位端は、ピストンロッド5がデバイス1の中に導入されたときに、薬物送達デバイス1の遠位端に最も近くなる端部とすることができる。ピストンロッド5の近位端は、ピストンロッド5がデバイス1の中に導入されたときに、薬物送達デバイス1の遠位端12から最も遠くなる端部とすることができる。ピストンロッド5は、デバイス1のハウジング2を通って延びる。ピストンロッド5は、たとえば薬物10を送達する目的のために、薬物送達デバイス1を介して軸方向の動きを伝達するように設計されている。ピストンロッド5は、薬物10の用量を送達するために、用量送達方向の軸方向に変位可能である。用量送達方向は、ハウジング2に対して遠位方向とすることができる。好ましくは、ピストンロッド5は、駆動機構のさらなる部材との機械的協働によって、用量設定方向の軸方向に変位しないようになっている。用量設定方向は、ハウジング2に対して近位方向とすることができる。好ましくは、ピストンロッド5は、たとえばハウジング2との機械的な協働によって、薬物10の用量を設定および送達するときにハウジング2に対して回転しないようになっている。薬物送達デバイス1は、薬物10の用量を設定および/または投薬するために使用される用量ボタン6を含む。
【0042】
薬物送達デバイス1はキャップ7を含む。キャップ7は、デバイス1の少なくともいくつかの部分を覆うように構成される。キャップ7は、デバイス1の投薬端部を覆うように構成される。キャップ7は、デバイス1の遠位端に取り付けられた針(各図には明示されていない)を覆うように適合され配置される。さらに、キャップ7は、薬物保持器3、4の少なくとも一部分を覆うように適合され配置される。好ましくは、キャップ7は、薬物保持器の大部分(75%以上など)または薬物保持器3、4全体を覆う。キャップ7は、薬物保持器3、4と連結(好ましくは解放可能に連結)することができる。キャップ7は、たとえばカートリッジホルダ3と連結可能である。キャップ7は、カートリッジホルダ3の近位端部と連結可能とすることができる。キャップ7は、ねじ付連結部、スナップ式連結部、またはピン・溝協働によってカートリッジホルダ3と連結することができる。カートリッジホルダ3が余分である実施形態では、キャップ7はカートリッジ4と直に連結可能とすることができる。代替実施形態では、キャップ7はハウジング2、特にハウジング2の遠位端部と連結することができる。
【0043】
図2および図3は、図1の薬物送達デバイス1の一部分の断面図を概略的に示す。
【0044】
キャップ7は本体7Aを含む。本体7Aは不透明である。本体7Aは可撓性とすることができる。本体7Aは弾性的に変形可能とすることができる。本体7Aは閉端部7Cを含む。閉端部7Cは、キャップ7がデバイス1に連結されるときにデバイス1の投薬端部に最も近く配置される端部である。キャップ7は開端部7Dを含む。開端部7Dは、デバイス1の少なくとも一部分、たとえば、カートリッジホルダ3の一部分またはカートリッジホルダ3全部を受けるように構成される。具体的には、開端部7Dは、カートリッジホルダ3および/またはカートリッジ4を受けるのに適した径方向寸法を有する。開端部7Dは、キャップ7がデバイス1に連結されるときにデバイス1の投薬端部から最も遠くに配置される端部である。
【0045】
キャップ7は表示部材12を含む。あるいは、キャップ7は2つまたは3つ以上の表示部材12を含むことができる。表示部材12は、使用者に対して情報を表示するように構成される。表示部材12は窓とすることができる。表示部材12は開口部を含むことができる。開口部は、本体7Aの表面に配置することができる。
【0046】
キャップ7はインジケーション要素11を含む。インジケーション要素11は、キャップ7の中に保持(好ましくは恒久的に保持)される。具体的には、インジケーション要素11は薬物保持器3、4によっては提供されない。そうではなくて、インジケーション要素11は、薬物保持器3、4に対して連結可能であり可動である部材、すなわちキャップ7によって提供される。
【0047】
インジケーション要素11は、キャップ7、特に本体7A内に可動で保持される。たとえば、インジケーション要素11は、本体7Aに対して第1の位置から第2の位置に軸方向に可動であるが、これについては後でより詳細に説明する。インジケーション要素11は、キャップ7の内部に配置される。インジケーション要素11は、本体7Aと連結することが特にその内面を介してできる。図示の実施形態では、インジケーション要素11は、本体7Aとインジケーション要素11の間に確立されるクランピング動作によって本体7Aと連結される。スナップ式連結部のような他の解放可能連結部はまた、インジケーション要素11を本体7Aに連結するのに適用することもできる。この連結部は、好ましくは、インジケーション要素11の、本体7Aに対する偶発的な動きを防止するのに十分な強度である。したがって、インジケーション要素11とキャップ7の間の連結部は、好都合なことに解放可能な安定した連結部であり、連結部が意図的に解放されるまで安定している。
【0048】
インジケーション要素11は可撓性とすることができる。インジケーション要素11は弾性的に変形可能である。インジケーション要素11は、たとえば、プラスチック材料を含むことができる。インジケーション要素11は、本体7Aの内面に沿って配置される。インジケーション要素11は、リング状またはトーラス状に形成される。代替実施形態では、インジケーション要素11は、旗の形状、または説明したインジケーション要素11の特徴と一致する任意の形状を含むことができる。インジケーション要素11は、保持部分11B(図3参照)を含む。保持部分11Bは、本体7A、特に本体7Aの内面と機械的に協働するように構成され、そのためインジケーション要素11がキャップ7内に保持されるようになる。たとえば、インジケーション要素11は、保持部分11Bと本体7Aの内面との機械的協働によって、キャップ7にクランプされる。
【0049】
インジケーション要素11、特に保持部分11Bは、本体7Aの内壁と機械的に協働する。本体7A、特に本体7Aの内面または内壁は、阻止部材7Bを含む。阻止部材7Bは突起を含むことができる。阻止部材7Bは、本体7Aの内面まわりに配置することができる。阻止部材7Bはフランジを含むことができる。阻止部材7Bは、内面から径方向内向きに突出する。インジケーション要素11、特に保持部分11Bと阻止部材7Bの機械的協働によって、インジケーション要素11の、本体7Aに対する遠位方向の動きが防止される。具体的には、阻止部材7Bとインジケーション要素11の機械的協働によって、キャップ7の閉端部7Cに向かうインジケーション要素11の動きが制限される。阻止部材7Bとインジケーション要素11の機械的協働によって第1の位置から第2の位置に動かされたときインジケーション要素11が動く方向と反対のインジケーション要素11の動きは、インジケーション要素11が第1の位置にあるときには阻止される。
【0050】
インジケーション要素11はロッキング部分11Aを含む。図示の実施形態では、ロッキング部分11Aは、保持部分11Bよりも軸寸法が小さい。言い換えると、保持部分11Bはロッキング部分11Aよりも長い。ロッキング部分11Aは、保持部分11Bよりもキャップ7の開端部7Dに近く配置される。ロッキング部分11Aは、保持部分11Bよりもインジケーション要素11の第2の位置に近く配置される。
【0051】
ロッキング部分11Aはインジケーション要素11の突起を含むことができる。ロッキング部分11Aは、保持部分11Bに対して半径方向に、好ましくは径方向外向きに突出することができる。表示部材12は、ロッキング部分11Aを受けるように構成される。ロッキング部分11Aは、インジケーション要素11が第2の位置にあるときにインジケーション要素11を表示部材12内に恒久的にロックするために、表示部材12と機械的に協働するように構成されるが、これについては後で詳細に説明する。
【0052】
インジケーション要素11は、上述のように本体7Aに対して可動である。インジケーション要素11は、本体7Aに対して第1の位置から(図2参照)、本体7Aに対して第2の位置に(図3参照)可動である。第1および第2の位置は、インジケーション要素11の安定した位置である。第1の位置は一時的に安定した位置とすることができる。第1の位置は、保持部分11Bと本体7Aの機械的協働によって、特に本体7Aにクランプされている保持部分11Bによって、一時的に安定していることができる。第1の位置から、インジケーション要素11は第2の位置に可動とすることができる。第2の位置は、恒久的に安定した位置とすることができる。第2の位置は、ロッキング部分11Aと表示部12の機械的協働によって、特に表示部にロックされているロッキング部分11Aによって、恒久的に安定していることができる。インジケーション要素11は、第2の位置から元の第1の位置に可動にはできない。第2の位置では、インジケーション要素11は、好都合なことに本体7Aに解放不能に連結される。
【0053】
インジケーション要素11が第1の位置にあるとき、インジケーション要素11は使用者から見ることができない。具体的には、インジケーション要素11は、本体7Aによって使用者からは見えないようになっている。インジケーション要素11は、本体7Aによって完全に隠される。第1の位置では(図2参照)、インジケーション要素11は付勢されている。具体的には、インジケーション要素11は、本体7Aにインジケーション要素11をクランプすることにより弾性的に変形されている。インジケーション要素11は、力がインジケーション要素11に作用してインジケーション要素11が本体7Aに対して径方向外向きに動く傾向になるように付勢される。第1の位置では、インジケーション要素11で、特に保持部分11Bは、キャップ7の内側に突出する。インジケーション要素11は、ある角度が保持部分11Bと本体7Aの内面との間にあるように、内側に突出する。この角度は、90度未満(好ましくは45度未満)とすることができる。この角度は15度以上とすることができる。第1の位置では、インジケーション要素11で、特に保持部11Bは、本体7Aの阻止部材7Bに当接することができる。したがって、第1の位置は、本体7Aに対してインジケーション要素11の最も遠位の位置とすることができる。この位置は、インジケーション要素11が第1の位置から第2の位置へ可動であるように、一時的に安定していることができる。
【0054】
第2の位置では(図3参照)、インジケーション要素11は第1の位置よりも小さく付勢される。具体的には、保持部分11Bと本体7Aの内面との間の角度は、インジケーション要素11が第2の位置にあるときに10度未満、好ましくは0度とすることができる。インジケーション要素11が第2の位置にあるとき、保持部分11Bと本体7Aの内面との間には角度がない。保持部分11Bは、インジケーション要素11が第2の位置にあるとき、本体7Aの内面と当接することができる。第2の位置は、上述のように恒久的に安定している位置である。第2の位置では、インジケーション要素11で、特にロッキング部分11Aは、表示部材12にロックされる。具体的には、ロッキング部分11Aは、インジケーション要素11が表示部材12に受け入れられ、第2の位置に恒久的にロックされるように、表示部材12と機械的に協働する。第2の位置では、インジケーション要素11の少なくとも一部分、特にロッキング部分11Aは、使用者が見ることができる。具体的には、ロッキング部分11Aは、表示部材12を通して見ることができる。第2の位置では、インジケーション要素11で、特に表示部分11Bは、本体7Aの阻止部材7Bに当接しないようになっている。したがって、第2の位置は、インジケーション要素11の、本体7Aに対して最も近位の位置とすることができる。
【0055】
デバイス1は相互作用部材13を含む。あるいは、デバイス13は、2つまたは3つ以上の相互作用部材13を含むことができる。相互作用部材13は、デバイス1の部材の一部とすることができる。相互作用部材13は、薬物保持器3、4によって提供することができる。たとえば、相互作用部材13は、カートリッジホルダ3の部材の一部とすることができる。あるいは、カートリッジホルダ3が余分である実施形態では、相互作用部材13は、カートリッジ4の一部とすることができる。相互作用部材13は、インジケーション要素11が第1の位置から第2の位置に動くように構成されるが、これについては後で詳細に説明する。
【0056】
相互作用部材13は突起とすることができる。相互作用部材13はカムを含むことができる。相互作用部材13は、インジケーション要素11と相互作用するように適合され配置される。相互作用部材13がインジケーション要素11と機構的に協働するとき、インジケーション要素11は第1の位置から第2の位置に動く。相互作用部材13の、ハウジング2に対する軸方向位置は、キャップ7がデバイス1に連結されるときのインジケーション要素11の、ハウジング2に対する軸方向位置によって決まる。相互作用部材13は、キャップ7をデバイス1と連結または分離するためにキャップ7をデバイス1に対して動かすときにインジケーション要素11が相互作用部材13に沿って進むように、ある軸方向位置をハウジング2に対して含む。相互作用部材13は、たとえば、デバイス1の遠位端部分に配置することができる。あるいは、相互作用部材13は、上述のようにインジケーション要素11の軸方向位置に応じて、デバイス1の中間部分または近位端部分に配置することもできる。相互作用部材13の軸方向位置は、インジケーション要素11のロッキング部分11Aの軸方向位置よりも遠位にすることができる。
【0057】
キャップ7で、特にインジケーション要素11および表示部材13は、使用者に対して情報を表示するように構成される。この情報は、デバイス1の使用状態を示すことができる。この情報は、キャップ7がデバイス1から初めて取り外されたのかどうかを示すことができる。したがって、情報が使用状態を示すという語句では、薬物の用量がデバイス1からすでに投薬されたかどうかを情報が示すということを必ずしも意味しない。そうではなくて、情報は、使用者がキャップ7をデバイス1から少なくとも一度は取り外し、したがって、製造者から供給された状態と比較してデバイス1の滅菌性を低減させたかどうかを示すことができる。
【0058】
この情報を表示するために、インジケーション要素11は、キャップの色とは異なる色を有する。インジケーション要素11は、たとえば青色を有することができ、キャップ7は、たとえば白色を有することができる。使用者に提供される情報は、インジケーション要素11が第1の位置から第2の位置に動かされたときに変わる。これについて以下で説明する:
【0059】
デバイスが製造者から供給されるとき、インジケーション要素11は第1の位置にある。製造時にデバイス1を組み立てるとき、キャップ7は、滅菌状態下でキャップ7をデバイス1に連結するために、相互作用部材13に沿って案内される。それによって、相互作用部材13とロッキング部分11Aの間の機械的協働が、本体7Aの可撓性により、特に本体7Aにクランプされたインジケーション要素11の可撓性により、阻止される。
【0060】
したがって、デバイス1が製造者から供給されるとき、キャップ7はデバイス1に連結されている。デバイス1が製造者から使用者に供給されるとき、デバイス1は新しい。したがって、デバイスは以前に使用されていなく、キャップ7は、デバイス1から初めてでも取り外されなかった。デバイス1が製造者から供給されるとき、インジケーション要素11は、上述のように第1の位置(図2参照)に位置している。したがって、使用者は、表示部材12を通してロッキング部分11Aを見ることができない。もっと正確に言えば、使用者は、たとえば白色を有するキャップ7しか見ることができない。この白色は、デバイス1がまだ使用されていないこと、特に、キャップ7がデバイス1から初めてでも取り外されていないことを示す。
【0061】
デバイス1を初めて使用できるようにするために、使用者は、キャップ7をデバイス1から取り外さなければならない。デバイス1からキャップ7を取り外すために使用者がキャップ7をハウジング2に対して動かすとき、インジケーション要素11は、ハウジング2に対して、また相互作用部材13に対して遠位方向に、カートリッジホルダ3(および/またはカートリッジ4)に沿って動く。具体的には、インジケーション要素11は、相互作用部材13に沿って進む。それによって相互作用部材13は、ロッキング部分11Aと機械的に協働する。これは、インジケーション要素11が上述のように第1の位置にあるときには、インジケーション要素11がキャップ7の内側に突出するので可能である。それゆえに、インジケーション要素11が第1の位置にあるときには、相互作用部材13とロッキング部分11Aは径方向で重なる。相互作用部材13は、インジケーション要素11を遠位に、ならびに本体7Aに対して径方向外向きに、第2の位置に付勢する。インジケーション要素11を第2の位置に動かすと、キャップ7によって提供される情報が変わる。具体的には、インジケーション要素11が第2の位置に動くとき、ロッキング部分11Aは、少なくとも部分的に径方向外向きに表示部材12の中へ弛緩し、それによって表示部材12と係合する。したがって、ロッキング部分11Aは、表示部材12を通して見えるようになる。したがって、使用者は、デバイス1が使用中であることを示す、特に、キャップ7がデバイス1から少なくとも一度は取り外され、それによってデバイス1の滅菌性が低下したことを示す、(たとえば青)色のインジケーション要素11を見ることができる。
【0062】
第2の位置では、インジケーション要素11は、表示部材12との機械的協働による動きに抗して恒久的にロックされる。したがって、インジケーション要素11は、第2の位置から元の第1の位置に動かすことができない。インジケーション要素11が第2の位置にあるとき、インジケーション要素11はもはや、それが相互作用部材13と機械的に協働できるようにキャップ7の中に突出することがない。具体的には、インジケーション要素11が第2の位置(図3参照)にあるときには、ロッキング部分11Aと相互作用部材13の間に径方向の距離があるので、インジケーション要素11と相互作用部材13の間のさらなる機械的協働が阻止される。
【0063】
キャップ7がデバイス1から取り外されるとすぐに、使用者は、薬物10の用量を設定し投薬するためのデバイス1を使用することができる。その後、使用者は、キャップ7をデバイスに再連結するために、ハウジング2に対して近位方向にキャップ7を動かすことができる。それによって、相互作用部材13とインジケーション要素11の間の機械的協働は、上述の径方向の距離により防がれる。したがって、使用者は、キャップ7をデバイス1に連結するために、キャップ7をデバイス1の上で容易に滑らせることができ、インジケーション要素11は、第2の位置に恒久的にロックされ、そうしてキャップ7は、デバイス1から少なくとも一度はキャップ7が取り外されたことを示す情報を恒久的に提供する。キャップ7がデバイス1から2回目に、またそれに続く回数にわたって取り外されるときには、示される情報は変わらない。
【0064】
もちろん、本明細書に記載の異なる実施形態の特徴を互いに組み合わせて、上記で説明されなかったさらなる実施形態を形成することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 薬物送達デバイス
2 ハウジング
3 カートリッジホルダ
4 カートリッジ
5 ピストンロッド
6 ボタン
7 キャップ
7A 本体
7B 阻止部材
7C 閉端部
7D 開端部
8 遠位端
9 近位端
10 薬物
11 インジケーション要素
11A ロッキング部
11B 保持部分
12 表示部材
13 相互作用部材
14 軸
15 栓
図1
図2
図3