特許第6298072号(P6298072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6298072集中熱力学的太陽光発電所または従来の火力発電所
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298072
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】集中熱力学的太陽光発電所または従来の火力発電所
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/02 20060101AFI20180312BHJP
   F01K 27/00 20060101ALI20180312BHJP
   F03G 6/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   F01K23/02 Z
   F01K27/00 Z
   F03G6/00 511
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-548113(P2015-548113)
(86)(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公表番号】特表2016-504521(P2016-504521A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】BE2013000066
(87)【国際公開番号】WO2014094079
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】2012/0874
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】515169016
【氏名又は名称】ルツテン・ニユー・エナジー・システム・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルツテン,ジヤン
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05461858(US,A)
【文献】 特開平09−222003(JP,A)
【文献】 米国特許第03611723(US,A)
【文献】 国際公開第97/016629(WO,A1)
【文献】 特開昭52−110350(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/057237(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/02
F01K 27/00
F03G 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
)加圧下の液体からのエネルギーを機械エネルギーに変えるための少なくとも1基のペルトン(Pelton)タービンと、および()機械エネルギーを電気エネルギーに変えるための少なくとも1基の発電機または交流発電機とを組み合わせる、熱力学的サイクル、好都合には、加圧下で液体を生成するための少なくとも本質的にランキン(Rankine)蒸気サイクルに等しいサイクル、に基づく火力または太陽光熱力学的発電所であって、
前記発電所が、
(a)液体を加圧するためのユニット(UP)(図4)、
(b)回転シャフトを含んでなるペルトン(Pelton)タービン(P)、
(c)加圧液をペルトンタービンに供給するために加圧ユニットをペルトンタービン(P)に接続するダクト(20)、ここで、前記ダクト(20)には少なくとも1基のインジェクターが備わっている、および
(d)タービン(P)の回転シャフトにより、好都合には一つまたは複数のギアのシステムの挿入を伴って駆動されるようになっている発電機、好都合には交流発電機:
を含んでなり、
ここで、液体の加圧用ユニット(UP)は少なくとも、
並行に搭載された第1のレザボア(R1)および第2のレザボア(R2)、ここで、各レザボアは5×105Paを超える内部圧力に抵抗するのに適し、そして加圧される液体を含むようになっており、第1および第2のレザボア(R1,R2)の各々はダクト(20)内の加圧液のための弁(V5,V7)をもつ少なくとも第1の排出管(14,14’)、およびレザボア(R1,R2)中に液体を供給するための弁(V6,V8)をもつ第1の流入管(10,10’)、と組み合わされている
並びに
加熱手段と:
を含んでなり、
該加熱手段が、過熱蒸気を生成するための化石材料、木材の生物資源または他の材料を燃焼する発熱体(CF)、あるいは熱力学的太陽光タイプの集中太陽光タイプの発熱体(CS)(図4および10)、であること、
レザボア(R1,R2)の各々がまた、レザボアの第2の流入管(16,16’)に過熱蒸気生成システムを接続する供給ダクト(23)を経由して、レザボア(R1,R2)中に過熱蒸気を供給するための第2の流入管(16,16’)と組み合わされていること
数のレザボア(R1,R2)の各々断熱された浮揚ピストン素子(K,図9)を含んでなり、ピストン素子がそれを含むレザボア(R1,R2)内に存在する液体の表面上に浮揚するようになっていること、および
前記発電所が、その中にペルトンタービン(P)を収納する室を形成するレザボアR3を含み、
前記室が、ペルトンタービン(P)上への液体の作業後に、液体を回収するようになっている、少なくとも一つのコレクター(collector)(FR)を形成する底部を有し、
ここで、ペルトンタービン(P)を含む室を形成するレザボアR3が、ペルトンタービン(P)を含む室を形成するレザボアR3内の圧力が大気圧と等しいことを確保するためのベント(R3のE)を含み、
第1および第2のレザボア(R1, R2)からの加圧された液体が1以上のインジェクター(I)によってペルトンタービン(P)に供給され、
前記コレクター(FR)と、コレクター(FR)より下に位置する第1及び第2のレザボア(R1,R2)の前記第1の流入管(10,10’)との間に延伸するダクト(21)を経由して、重力により、コレクター(FR)より下に位置する第1及び第2のレザボア(R1,R2)の充填を許すために、液体コレクター(R3のFR)を形成するレザボア(R3)の底部は第1および第2のレザボア(R1,R2)に対して本質的に、より高い位置にあって、液体の第1の閉回路がペルトンタービン(P)と、第1および第2のレザボア(R1,R2)との間に形成されること
を特徴とする、火力または太陽光熱力学的発電所。
【請求項2】
断熱素子(K)が、第1および第2のレザボア(R1,R2)の各々の中の液体の表面を、90%を超えて、好都合には99%を超えてカバーすることを特徴とする、請求項1に従う発電所。
【請求項3】
第1および第2のレザボア(R1,R2)の各々が細長い形状をもち、そして、各々が、第1および第2のレザボア内に存在する液体の表面上に浮揚するようになっている細長い形状の断熱浮揚体(K)と組み合わされていることを特徴とし、
前記断熱浮揚体が、組み合わされているレザボア内で、
浮揚体(K)の上に位置し、本質的に過熱蒸気のみおよび恐らくは過熱蒸気から得られる凝縮液を受けるようになっている上方部分、並びに
浮揚体の下に位置し、本質的にペルトンタービンから得られる液体を受けるようになっている下方部分
を区画するようになっており、
ここで、上方部分には少なくとも一つの断熱体が提供されている、
請求項1又は2に従う発電所。
【請求項4】
コンデンサー(C)と、平行に搭載された一連のレザボア(R1,R2)であって、それらの下部において加圧される水を受け入れ、上部において過熱水蒸気を受け入れるように設計されているレザボアを含み、一連のレザボアの各々(R1,R2)は、(a)レザボアにその底部近くにおいて水を供給するための弁(V6,V8)を備える第1の流入管(10,10’)、(b)レザボア内に存在する水を加圧するためにレザボアにその上部近くにおいて過熱蒸気を供給するための弁(V2, V3)を備える第2の流入管(16,16’)、(c)レザボア内の加圧水のための弁(V5,V7)を備える第1の排出管(14,14’)、ここで当該排出管(14,14’)はレザボアの底部に隣接し、ダクト(20)を介して1以上のインジェクター(I)に接続する、および、(d)レザボア内にまだ存在する蒸気を放出し、そしてそれをコンデンサーCに供給するための弁(V1, V4)を備える第2の排出管(12, 12')と組み合わされていることを特徴とする、請求項3従う発電所
【請求項5】
レザボアの上方部分および下方部分が、断熱層であってレザボアの内部の方向を指すその自由端が断熱浮揚体の移動中に好都合には断熱浮揚体の外壁に接するようになっている層、特に断熱膜の介在を伴って、相互に付着されている、請求項3、4のいずれか1項に従う発電所
【請求項6】
一つまたは複数のレザボア(R1,R2)が、好都合にはその内面に沿って断熱されて、過熱蒸気の、ポリトロープまたは本質的に等エントロピー膨張を提供することを特徴とする、前記請求項1から5のいずれか1項に従う発電所
【請求項7】
レザボア(R1,R2)がまた、レザボア(R1,R2)内に存在する蒸気を排出するための第2の排出管(12,12’)と組み合わされていることを特徴とし、そこで、前記第2の排出管(12,12’)が弁(V1,V4)と組み合わされている、前記請求項1から6のいずれか1項に従う発電所
【請求項8】
(a)熱力学的サイクルから、または発熱体(CF)から得られる5×105Paを超える圧力下の蒸気を受けるようになっており、そしてペルトンタービンを対象とした圧力下の液体を含むようになっている、好都合には本質的に同一の、少なくとも1組の、4つのレザボア(R1,R2およびR’1およびR’2)、並びに(b)前記ペルトンタービンにより駆動される発電機または交流発電機が、少なくとも1時間は本質的に安定である電気エネルギーを発電するように、ペルトンタービンに圧力下の液体を供給するための、レザボアに対する制御システム、を含んでなることを特徴とする、前記請求項1から7のいずれか1項に従う発電所
【請求項9】
蒸気を排出するための第2の排出管(12,12’)が、膨張された蒸気を高温液体に変えるために蒸気をコンデンサー(C)中に供給するダクト(22)に接続されていることを特徴とし、ここで、コンデンサー(C)は、排出された蒸気の凝縮に由来する高温液体を供給するためのポンプ手段(P1)を含むダクト(24)により、前記高温液体から過熱蒸気を生成する発熱体(CF、CS)の加熱手段に接続する、請求項7に従う発電所
【請求項10】
過熱蒸気を生成するためのシステム(CS,CF)、ならびに、第1及び第2のレザボア(R1,R2)または平行に搭載された一連のレザボアが、コンデンサー(C)およびポンプシステム(P1)とともに第2の閉回路を形成することを特徴とする、請求項9に従う発電所
【請求項11】
それぞれが最適に近い効率に適合され、そのシャフトが好都合には、ギアトレインを介して同一の発電機、好都合には同一の交流発電機を駆動する一連のペルトンタービン(P)を供給するようになっている、一連の対のレザボア(R1,R2)を含んでなることを特徴とする、前記請求項1から10のいずれか1項に従う発電所。
【請求項12】
液体が好都合には90重量%超の水を含む水性媒質であり、他方、過熱蒸気が90容量%超の、加圧下の水の過熱蒸気よりなる蒸気であることを特徴とする、前記請求項1から11のいずれか1項に従う発電所
【請求項13】
一つまたは複数のレザボア(R1,R2)から放出される蒸気のコンデンサー(C)を含んでなることを特徴とし、そこで、前記コンデンサー(C)が、液体への蒸気の凝縮を確実にするために、流体がその中を循環する熱交換素子を含んでなり、そしてコンデンサー(C)の熱交換素子が、凝縮熱を熱電併給において使用可能にさせる交換機に接続されていることを特徴とする、請求項1に従う発電所
【請求項14】
110℃〜600℃間の、とりわけ150℃を超える蒸気温度に対して、10×105Paを超える、好都合には25×105Paを超える、好適には50×105Pa以上を超える過熱蒸気圧下で運転するようになっていることを特徴とする、前記請求項1から13のいずれか1項に従う発電所
【請求項15】
過熱蒸気、好都合には過熱水蒸気が生成され、
この過熱蒸気が、液体を含むレザボア中に供給されてそれを加圧し、そして
加圧下の液体が、少なくとも1基のペルトンタービンに供給されて、少なくとも1基の発電機または交流発電機を駆動して電気エネルギーを生成する、
請求項1〜14のいずれか1項に従う発電所を使用する、電気エネルギーの生産法。
【請求項16】
少なくとも1組の本質的に同一のレザボア(R1,R2およびR’1およびR’2)が、過熱蒸気により液体を加圧するために使用され、そしてそこで、一対のレザボア(R1,R2)の充填および排水サイクルが組み合わされ、そして、ボイラーから得られる加圧下の蒸気の供給を、連続して、中断されずに制御するために、他の対のレザボア(R’1およびR’2)のサイクルが相互に対して食い違っている、請求項15に従う方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
(a)液体加圧ユニット、
(b)回転シャフトをもつペルトン(Pelton)タービン、
(c)ペルトンタービンに加圧液体を供給するために、ペルトンタービンに加圧ユニットを接続するダクト、ここで、前記ダクトには少なくとも1基のインジェクターが提供されている、および
(d)好都合にはギアシステムの挿入を伴った、タービンの回転シャフトにより直接に駆動されることが可能な発電機、好都合には交流発電機:
を含んでなる発電所に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧および高温下で過熱される蒸気を使用し、その蒸気が1基以上の蒸気タービン内で膨張されて、それを回転させ、そして発電機、好都合には交流発電機を駆動して電気エネルギーを生成させることができる多数の発電所が知られている。
【0003】
過熱蒸気の生成には化石燃料または他の熱源を使用することができる。例えば、過熱水蒸気を生成するために、発熱体上に太陽エネルギーを集中させるために、一連の放物面、円柱放物面またはフレスネル(Fresnel)鏡面を使用する集中太陽光発電所が知られている。
【0004】
先行技術の太陽光発電所は、そこで過熱蒸気(例えば、140×105Paの圧力下で550℃まで)が蒸気タービン内で膨張されるランキン(Rankine)サイクルに基づく。これらの発電所の全体的効率は18%未満に限定される、すなわち、1000W/m2の地上電力までの太陽に対して最大180W/m2を回収することができる。
【0005】
風力タービンも電気を生成することが知られている。先行技術の方法によると、風力タービンのブレードは、交流発電機のシャフトを回転することができるシャフト上に固定されている。
【0006】
風力タービンを使用する方法のバージョンは特許文献1中に提唱された(特許文献1参照)。この変法によると(とりわけ前記特許文献1の図7を参照)、一連の風力タービンは一連のポンプを駆動して水を加圧するようになっており、次に加圧された水がペルトンタービンに供給されて発電機を駆動する。このような装置の効率は風力タービンの性能により限定されるが、特に水を加圧するために多数のポンプが必要とされる。この方法は過熱蒸気を使用するランキン(Rankine)サイクルを使用しない。
【0007】
更に、特許文献2から、極めて爆発性化合物のイソブタンの蒸発により加圧されるレザボアからの流体により起動される、ペルトンタービンを使用する加熱エンジンも知られている(特許文献2参照)。本文書に従う方法は使用することができず、当業者により拒否されると考えられる。事実、ペルトンタービンはイソブタンを含有する雰囲気中で回転し、他方、ペルトンの運転はホットスポット、火花すらも発生すると考えられる。爆発性ガスのイソブタンは低温で等エンタルピー性に膨張するにちがいない。特許文献2の方法においては、イソブタン液の蒸発を確実にするために、水の全質量を例えば50−60℃に加熱しなければならない。この量の水を加熱することは多量のエネルギーを要し、また膨大なエネルギーの喪失源であると考えられる。特許文献2に従う機械は低温(100℃未満)で作動する。イソブタンにより加圧されるための水の加熱温度を70℃、そしてコン
デンサーの温度を40℃と理解すると、その機械の理論効率は9%未満となり、それは、様々な熱および摩擦のロス、等を考慮に入れると、当業者にとり、この方法の実際の効率はゼロまたはマイナスですらあることを示す。最後に、特許文献2に従う方法の運転温度を与えられると、最大運転圧力は7バールであると考えられる。4バールの平均運転圧力を推定すると、2000kWの機械は、30分間の水供給を確保するために、約6m3/sの水流、すなわち10000m3を超える容量をもたなければならないレザボア、を必要とすると考えられる。従って、このような方法は当業者にとり非現実的であると考えられる。
【0008】
特許文献3は地熱水を使用する装置を開示している(特許文献3参照)。ペルトンを駆動するために、170℃未満の平均温度をもつ液体熱水が供給され、他方、放出された蒸気は蒸気タービンに供給される。適したディメンションをもつ蒸気タービンを使用することが経済的およびエネルギー的に、より有利であるので、当業者に関する限り、1基以上のペルトンを蒸気タービンと組み合わせることには、エネルギーとしての、または経済的な興味は引かれない。
【0009】
特許文献4は、高度の膨張性をもつ流体に対して知られるボイラーを開示している(特許文献4参照)。このボイラーは燃焼蒸気と接する部分および二次的流体を加熱するための部分を有する。適切な熱交換を確保するために、冷媒(primary fluid)は液体のままで留まらなければならない。流体が水である場合は、流体の水の容量の変化は約50℃の温度変化に対して約2%のみであると考えられる。次に液体の水のこの膨張が水車を含んでなる上方のつりがね型の覆い(bell)内に過剰圧を形成すると考えられる。従って、水車における水のレベルは低下すると考えられる。従って、このような装置はどんなエネルギーをも生成せず、むしろ二次的交換機への熱水の循環をブロックすると考えられる。
【0010】
最後に特許文献5は、気体により加圧され、熱交換機と組み合わされた、2つのレザボアから得られる水によりローターを駆動するシステムを開示している(特許文献5参照)。明記されるように、カルノー(Carnot)の理論的サイクルにより決定された最大回収可能な作業量(どんなロスも伴わずに)は、22.8%である。特許文献5のシステムを使用すると、すべてのエネルギーロスを伴って、システムの実際効率は22.8%よりずっと少ない、すなわち実際効率はゼロに近く、マイナスですらあると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4710100号明細書
【特許文献2】オーストリア特許第506 796号明細書
【特許文献3】米国特許第4063417号明細書
【特許文献4】欧州特許第0040748号明細書
【特許文献5】国際公開第97/16629号パンフレット
【発明の概要】
【0012】
本発明は高い実際効率、例えば35%以上、そしてカルノー(Carnot)サイクルにより決定される最高の効率、例えば50%を超える、60%すらを許す装置に関する。
【0013】
このような効率に到達するために、本発明に従う装置は、(a)加圧された液体のエネルギーを機械エネルギーに変えるための少なくとも1基のペルトンタービンおよび、機械エネルギーを電気エネルギーに変えるための少なくとも1基の発電機または交流発電機と組み合わせた、加圧下で液体を生成するための、熱力学的サイクル、好都合には、少なくとも本質的にランキン蒸気サイクルに等しいサイクル、に基づく火力または熱力学的発電
所であり、前記発電所は、
(a)液体を加圧するためのユニット(UP)(図4)、
(b)回転シャフトを含んでなるペルトンタービン(P)、
(c)加圧液体をペルトンタービンに供給するために、ペルトンタービン(P)に加圧ユニットを接続するダクト(20)、ここで、前記ダクト(20)は少なくとも1基のインジェクターを備えている、および
(d)タービン(P)の回転シャフトにより、好都合にはギアシステムの挿入により駆動されるようになっている発電機、好都合には交流発電機:
を含んでなり、
ここで、液体を加圧するためのユニット(UP)は少なくとも以下:
5×105Paを超える内部圧に抵抗することができ、そして加圧される液体を含むようになっているレザボア(R1,R2)と[ここで、前記レザボア(R1,R2)は、ダクト(20)内で加圧される液体のための弁(V5,V7)をもつ少なくとも第1の排出管(14,14’)およびレザボア(R1,R2)中に液体を供給するための弁(V6,V8)をもつ第1の流入管(10,10’)と組み合わされている]、並びに
加熱の手段と:
を含んでなる。
【0014】
前記発電所は本質的に、
過熱蒸気を生成するための加熱の手段が、CFで表される化石燃料、木材生物資源または他の要素の燃焼を伴う発熱体、あるいは、CSで表される集中太陽光タイプの発熱体(図4および10)であること、
レザボア(R1,R2)がまた、過熱蒸気生成システムをレザボアの第2の流入管(16,16’)に接続する供給ダクト(23)を経由して、過熱蒸気をレザボア(R1,R2)中に供給するための第2の流入管(16,16’)と組み合わされていること、並びに
一つまたは複数のレザボア(R1,R2)が、問題のレザボア(R1,R2)内に存在する、液体の表面上に浮揚することができる絶縁浮揚ピストン素子(K,図9)を含んでなること、
を特徴するので、これは液体と接する過熱蒸気の凝縮を防止する点で興味深い。
【0015】
絶縁素子(K)は好都合には、レザボア(R1,R2)内の液体の表面の90%超、好都合には99%超をカバーする。絶縁素子は好適には、レザボア内の液体の、本質的に全自由表面をカバーし、従って一種の絶縁ピストンの役割を果たす。絶縁素子は例えば、閉鎖セルをもつ低密度の硬い発泡体を含んでなる。絶縁素子はまた、液体の表面上に浮揚することができる一連の別々の絶縁素子を含んでなることができる。この場合この一連の浮揚素子は一つの中心的絶縁素子の周囲に絶縁床または絶縁シールのいずれかを形成することができる。
【0016】
一つのまたは複数のレザボアは好適には、細長い形状をもち、そしてレザボア内に存在する液体の表面上に浮揚することができる細長い形状をもつ浮揚体と組み合わされ、ここで、前記浮揚体は本質的には過熱蒸気のみおよび恐らくは、過熱蒸気から得られる凝縮液を受けるようになっている上方部分、並びに、本質的にペルトンタービンから得られる液体を受け入れるようになって下方部分を、問題のレザボア内に区画するようになっており、ここで、上方部分には少なくとも一つの絶縁体が提供されている。
【0017】
従って、本発明は、電気エネルギーに変える高い効率を保証することができる簡単なデザインの発電所、特に、その熱量が、木材からの廃棄物、植物油または他の材料の燃焼から得られる発電所、あるいは更に熱力学的太陽光発電所に関する。
【0018】
本発明の目的の、より明確な説明のために、以下に、世界中で100年以上にわたり高い滝に対して使用されるペルトンタービンについての情報が与えられる。ペルトン水力タービンは30m〜1,000m以上の範囲の高い滝に対して配備するのに理想的である。ペルトンタービンはこのような滝からのエネルギーを変えるために多数の利点を有し、特に、それは90%を超える非常に高い効率を有する。本発明のより明快な理解のために、滝とともに使用されるペルトンタービンの主要パラメーターをまとめることは有用である。従って、ペルトンタービンのノズルに対して高さHにおける帯水層(water aquifer)を仮定することとする(図1参照)。ノズルは管内の圧力エネルギーを動的エネルギーに変える。ノズルから(図1)の速度C1は、
【数1】
[φ1:ノズルの効率係数、一般にφ1=0.975、
g:9.81m/s2
H:高度の差(メートル)]
に等しい。例えば、H=400mは速度C1
【数2】
を与える。ペルトンタービンの効率ηPeltonは0.9170になることができる。本発明を理解するために、従来の発電所の運転を非常に簡単に説明する。太陽、原子力、石炭、木材生物資源、等のいずれであろうと、1〜1,000MW以上までの大部分の発電所は、ランキン蒸気サイクル(図2)を使用する。高圧下の過熱蒸気(図2の地点A)は蒸気タービン内で従来通りに膨張される。このポリトロープ膨張はランキングラフ(図2)において曲線ABにより表される。この膨張の効率は、1〜2MWの小規模発電所に対する0.7から、50MWを超える大規模発電所に対する0.85まで変動する。この場合は、その膨張はしばしば15段階を超える多段階タービンにおいて、そして多数の、中間の再加熱段階を伴って起こる。本発明はまた、好都合には、加圧下で過熱される蒸気を生成するためにランキンサイクルを使用する。前記の蒸気は水で充填されたシリンダーに供給される。次に、前記の蒸気により加圧されるシリンダーR1内に含まれる水が、ペルトンPのノズルに供給するために使用される(図4)。2基のシリンダーR1、R2とレザボアR3の相互作用の結果として、ペルトンPは液体含量を連続的に容易に供給されることができる(図4)。シリンダーR1中に受け入れられる蒸気の量は弁V2により制御されると考えられる(図4)。次に圧力Pa下で過熱される蒸気は圧力Paから圧力Pbに膨張される(図2)。シリンダーR1は、膨張ABができるだけ等エントロピーをもつことを確実にするように断熱されると考えられる。例えば、過熱蒸気の圧力が50×105Paから30×105Paに低下する時は、ペルトンタービンは好都合には、その公称ピークとして40×105Paの圧力に対するディメンションを与えられると考えられる。これらの条件下で、ペルトンの効率は90%〜91.7%に継続的に増加し、次に90%に戻ると考えられる。50×105Pa〜30×105Paのこの範囲内で、ペルトンタービンの平均効率は90.85%である。シリンダーC1の熱量喪失が低い場合は(図4)、膨張の平均効率は従来の「蒸気タービン」の膨張の効率をはるかに超えると考えられる。蒸気の膨張を継続し、機械の高い効率を維持することが要求される場合は、第2のペルトンが必要である。第2のペルトンは30×105Pa〜16.87×105Paの蒸気膨張を許すと考えられる。第2のペルトンは好都合には、22.5×105Paに対して設計され、そして発電所の巨大な効率に対して許容され得る残留圧力が得られるまで、第3のペルトンを伴う、等になるであろう。従って、蒸気の膨張を通して、非常に高い平均効率を維持することができる。単なる例として、図3は50×105Pa〜16.87×105Paの圧力変化を伴う、2基のペルトンタービンを使用する効率の変化のグラフを示す。
【0019】
従って、本発明は、(a)圧力下の液体のエネルギーを機械エネルギーに変えるための少なくとも1基のペルトンタービン、および(b)機械エネルギーを電気エネルギーに変えるための少なくとも1基の発電機または交流発電機、を組み合わせる、熱力学的サイクル、好都合には、圧力下の液体を生成するための、少なくとも本質的にランキン蒸気サイクルに等しいサイクル、に基づく、火力発電所または熱力学的太陽光発電所に関する。
【0020】
本発明は、
(a)液体を加圧するためのユニット、
(b)回転シャフトを含んでなるペルトンタービン、
(c)ペルトンタービンに加圧液を供給するために、加圧ユニットをペルトンタービンに接続するためのダクト[ここで,前記ダクトには少なくとも1基のインジェクターが備えられている。(本文献中では、インジェクターは、ダクトから得られる液体を誘導して液体に高い放出速度を与えるシステムを意味するものと理解される。例えば、ノズルがそのようなインジェクターである)]、および
(d)例えば、ペルトンシャフトの回転速度が交流発電機の同期の速度と異なる時に、タービンの回転シャフトにより、好都合にはギアシステムの挿入を伴って駆動されることができる発電機、好都合には交流発電機:
を含んでなる発電所に関する。
【0021】
本発明に従う発電所の特徴および詳細は以下のように説明される:
− レザボアR,R2は、過熱蒸気の圧力に応じ、5×105Paを超える(特に20×105Paを超える、更に例えば40×105Pa、50×105Pa、75×105Pa、100×105Pa、140×105Pa以上もの)内部圧力に抵抗することができ、そして加圧される液体を含むようになっている(ここで、前記レザボアは、ダクト内の加圧液体のための弁をもつ少なくとも第1の排出管、レザボア中に液体を供給するための弁をもつ第1の流入管、およびレザボア中に過熱蒸気を供給するための第2の流入管、と組み合わされている)、そして/または
− レザボアの上方部分および下方部分が、レザボアの内部に面するその自由端が好都合には浮揚体の外壁に接するようになっている絶縁層、特に絶縁膜の挿入を伴って、相互に付着されている、そして/または
− 一つまたは複数のレザボア(R1,R2)が、好都合には、その内面に沿って断熱されて、過熱蒸気のポリトロープまたは本質的に等エントロピー膨張を提供する、そして/または− レザボア(R1,R2)がまた、第2の排出管(12,12’)と組み合わされてレザボア(R1,R2)内に存在する蒸気を排出する(ここで、前記第2の排出管(12,12’)が弁(V1,V4)と組み合わされている。このような排出はそれを新規サイクルのために再充填する時にレザボアを減圧するために有用である)、そして/または
− 該発電所は、(a)熱力学的サイクルから、または発熱体(CF)から得られる5×105Paを超える圧力下の蒸気を受けるようになっており、そしてペルトンタービンを対象にした圧力下の液体を含むようになっている、好都合に、また本質的に同等な4つのレザボア(R1,R2およびR’1およびR’2)の少なくとも1組、並びに(b)前記ペルトンタービンにより駆動される発電機または交流発電機が少なくとも1時間は、確実に、本質的に安定な電気エネルギーを発電するように、ペルトンタービンに加圧下の液体を供給するためのレザボア制御システム、を含んでなる、そして/または
− 蒸気を放出するための第2の排出管(12,12’)が、膨張した蒸気を液体に変えるためにコンデンサー(C)中に蒸気を供給するダクト(22)に接続されている(ここで、前記コンデンサー(C)は、過熱蒸気を生成するために、システム(CS,CF)内の最大圧力へのコンデンサーの圧力からの凝縮(condensation)から得られる液体を供給するためのポンプ手段(P1)を含んでなるダクト(24)により接続されている。前記コンデンサーは好都合には、過熱蒸気を生成するためにシステム内のランキ
ンサイクルの高圧下における蒸気の凝縮から得られる液体を供給するためのポンプ手段を含んでなるダクトにより接続されている。凝縮からのエネルギーは好都合には、乾燥、料理、等の目的に使用のために回収することができる。これは熱電供給と呼ばれる。これがシステム効率を改善させ、蒸気からのエネルギーの一部を回収させる)、そして/または− 該発電所は、並行に設置された少なくとも一つの第1のレザボア(R1)および第2のレザボア(R2)を含んでなる(ここで、前記第1および第2のレザボア(R1,R2)はそれぞれ、5×105Paを超える内部圧力(またはレザボア中に供給される過熱蒸気の最大圧力より少なくとも高い圧力)に抵抗することができ、そして加圧される液体を含むようになっており、各レザボア(R1,R2)は、レザボア内の加圧された液体のための弁(V5,V7)をもつ少なくとも1本の第1の排出管(14,14’)、問題のレザボア内に存在する蒸気を排出するための第2の排出管(12,12’)と組み合わされ、前記第2の排出管(12,12’)は、弁(V1,V4)、問題のレザボア(R1,R2)中に液体を供給するための弁(V6,V8)をもつ第1の流入管(10,10’)、および問題のレザボア(R1,R2)中に過熱蒸気を供給するための第2の流入管(16,16’)、と組み合わされている)、そして/または
− ペルトンタービンが液体コレクターと組み合わされている(ここで、前記コレクターは、液体の第1の回路がペルトンタービンおよび一つまたは複数のレザボアにより形成されるように、その第1の流入管を経由してレザボアに、ダクトまたはポンプ手段により接続されている。これが、更なる液体、例えば水、の消費を低減させ、回避させることさえできる)、そして/または
− 該発電所は、ペルトンタービン(P)に対するその作業後に液体を回収するようになっている少なくとも一つのコレクター(FR)を含んでなる[ここで、前記液体コレクター(R3のFR)は、ペルトンタービン(P)と一つまたは複数のレザボア(R1,R2)との間に液体の第1の閉回路が形成されるように、前記コレクター(FR)と一つまたは複数の問題のレザボアの前記第1の流入管(10,10’)との間に延伸するダクト(21)を経由して、重力により、一つまたは複数の、問題のレザボア(R1,R2)の充填を可能にするように、一つ以上のレザボア(R1,R2)に対して本質的に、より高いレベルにある]、そして/または
− 過熱蒸気を生成するシステム(CS,CF)および一つまたは複数のレザボア(R1,R2)が、コンデンサー(C)およびポンプシステム(P1)ととともに第2の閉回路を形成する。これはまた、過熱蒸気のために使用される更なる液体の消費を低減、回避すらさせることを可能にする、そして/または
− 該発電所は、それぞれが最適に近い効率に適合され、そのシャフトが好都合にはギアトレインを経由して同一の発電機、好都合には同一の交流発電機を駆動する、一連のペルトンタービン(P)を供給するようになっている一連の対のレザボア(R1,R2)を含んでなる、そして/または
− レザボアに、少なくとも一部に、好適には少なくともその内面上に、断熱が提供されている、そして/または
− 一つまたは複数のレザボアが、ポリトロープまたは本質的には等エントロピー膨張を提供するようになっている、そして/または
− 過熱蒸気を生成するシステムが、従来からのCF(ガス、燃料、木材、石炭)他であることができる発熱体および、燃焼蒸気のための排出管を含んでなる(ここで、前記燃焼室および/または前記排煙管は、発熱体に熱量を移行するようになっている。発熱体はまた、集中太陽光エネルギーを供給されることができる。その場合発熱体はCSとして表される)、そして/または
− 該発電所は、そのシャフトが好都合には、ギアトレインを経由して、同一の発電機、好都合には同一の交流発電機を駆動する一連のペルトンタービン(P)を供給するようになっている、一連のレザボアを含んでなる、そして/または
− 液体は、好都合には90重量%を超える水を含む水の媒質であり、他方、過熱蒸気は90容量%を超える過熱水の蒸気より成る蒸気である。過熱蒸気回路はペルトンタービン
に使用される水の回路とは全く独立している。どちらの場合でも、これら二つの異なる回路における水消費は厳密にゼロである、そして/または
− 該発電所は、一つ以上のレザボアから放出される蒸気のコンデンサーを含んでなる(ここで、前記コンデンサーは、コンデンサーの低圧液体への蒸気の凝縮を確保するために、流体がその中を循環する熱交換素子を含んでなる。コンデンサー内の圧力は好都合には、大気圧である。次に凝縮液は適切なポンプを介してサイクルの最大圧に到達される。次にこの高圧液が加熱され、蒸発され、過熱されて、次のサイクルで再度作業を実施される、そして/または
− 該発電所は、一つまたは複数のレザボア(R1,R2)から放出される蒸気のためのコンデンサー(C)を含んでなる(ここで、前記コンデンサー(C)は、液体への蒸気の凝縮を確保するために、流体が循環する熱交換素子を含んでなり、他方、コンデンサー(C)の熱交換素子は、凝縮熱を熱電併給のために使用することを可能にさせる交換機に接続されている)、そして/または
− 該発電所は、110℃〜600℃以上の範囲の、そして特には150℃を超える蒸気温度に対して、10×105Paを超える、好都合には25×105Paを超える、より好適には50×105Pa以上を超える過熱蒸気圧を使用して運転されるようになっている。
【0022】
本発明はまた、そこで過熱蒸気がレザボア内の液体を加圧し、そして加圧された液体がペルトンタービンに供給されて、発電機、好都合には交流発電機のシャフトを回転駆動して電気エネルギーを生成するように、それを回転駆動する、過熱蒸気から電気エネルギーを生成するための本発明に従う発電所の使用に関する。過熱蒸気の生成はまた、好都合には、太陽光システム、特に集中太陽光発電所により実施される。従って本発明に従う方法は、そこで、
− 過熱蒸気、好都合には過熱水蒸気が生成され、
− この過熱蒸気が、それを加圧するための液体を含むレザボア中に供給され、そして
− 加圧される液体が、少なくとも1基のペルトンタービンに供給されて、少なくとも1基の発電機または交流発電機を駆動して電気エネルギーを生成する、
方法である。
【0023】
本発明に従う電気エネルギー生成法において、少なくとも1組の本質的に同一のレザボア(R1,R2およびR’1およびR’2)が好都合には、過熱蒸気、並びに一対のレザボアR1,R2の充填および排出のサイクル、並びに互い違いの他の対のレザボアR’1,R’2のサイクル、により、液体を加圧するために使用されるので、加圧下の、そしてボイラーから得られる蒸気の供給が、中断なく連続的に制御される。
【0024】
好適な実施態様(単に例により与えられる)の特徴および利点は添付図面を参照される以下の詳細な説明から明白になると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1はダムからの水を受けるペルトンタービンの略図である。
図2図2はランキンサイクルの図である。
図3図3は過熱水蒸気の圧力の関数としての2つの連続ペルトンの効率の図である。
図4図4は本発明に従う発電所の略図である。
図5-8】図5〜8は図4に示したタイプの発電所の運転段階を示すが、過熱水蒸気の生成のための従来のまたは太陽光の発熱体を含んでなる。
図9図9は絶縁浮揚素子(断面図で示す)を含んでなるレザボアの部分断面図である。
図10図10図4に示したタイプの発電所の略図であるが、太陽光発熱体と組み合わせた、過熱水蒸気の生成のための木材発熱体を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図4の発電所は、
− そのシャフトがギア装置(図示されていないが、それ自体周知である)を介して交流発電機(図示されていない)を回転駆動するようになっているペルトンタービンP(ここで、このタービンは1基以上のインジェクターIにより加圧下で水を供給される)、
− その中にペルトンタービンPを収納する室を形成するレザボアR3(ここで、前記レザボアR3が、レザボアR3内の圧力が大気圧と等しいことを確保するためのベントEを含んでなり、レザボアの底部FRがペルトンタービンPのブレード上へのその衝突後に水のコレクターを形成し、重力のみがレザボアR1およびR2を充填するために使用されるようにレザボアR3の底部FRが好都合には、レザボアR1およびR2の上方にあると考えられる)、
− 液体の水を高圧下で過熱水蒸気に変えることができる発熱体CF、
− 燃料(例えば、天然ガス、石炭、燃料油、木材、木材ペレット、等)のためのバーナーB、燃焼ガスを誘導するための室、燃焼ガスの出口、燃焼からの熱量を水に移動させ、そしてそれを過熱蒸気に変えるための、室内に配置されたバルーンおよび交換機、を含んでなる回路、を含んでなる火力発電所CF、
− 加圧される水および過熱水蒸気を受け取るようになっている一連のレザボアR1、R2、ここで、各レザボアR1、R2が、レザボア中に(好都合には、前記レザボアの底部に近くに)液体を供給するための弁V6、V8をもつ第1の流入管10、10’、レザボア内に存在する水を加圧するために、レザボア中に(好都合にはその上方部分の近くに)過熱蒸気を供給するための弁V2、V3をもつ第2の流入管16、16’、レザボア内の加圧された水のための弁V5、V7をもつ第1の排出管14、14’(この排出管14、14’はレザボアの底部に隣接する)、並びにレザボア内にまだ存在する蒸気を放出しそしてそれをコンデンサーCに供給するための弁V1、V4をもつ第2の排出管12、12’、と組み合わされている。レザボアR1、R2には好都合には、壁を通る熱の喪失による過熱蒸気からの熱の喪失を最少にするために、断熱体が提供されていると考えられる。この熱の断熱体は例えば、レザボアの内面に必然的に適用される断熱コーティングよりなる。
− それが次に発熱体CFに供給されると考えられる熱水相を形成するために、レザボアR1、R2から得られる蒸気を凝縮するようになっているコンデンサーC、
− レザボアから、放出される加圧水を弁V5またはV7を介して、ペルトンタービンPの1基または複数のインジェクターIに供給するためのダクト20、
− 重力によりレザボアR1、R2を再充填するためにレザボアR3(より正確には、レザボアR3の水コレクターFR)を接続するダクト21(循環ポンプは明らかに管21に付加することができる)、
− レザボアR1、R2からコンデンサーCに、膨張された蒸気を供給するために、コンデンサーCに弁V1およびV4を接続するダクト22、
− 発熱体CFに弁V2およびV3を接続するダクト23(ここで、前記ダクトはレザボアR1、R2に過熱蒸気を供給するようになっている)、
− コンデンサーCから放出される液体を火力発電所CFに供給するために、ポンプP1および弁V9をその上に設置されたダクト24:
を含んでなる。
【0027】
発電所はレザボアR1、R2とレザボアR3との間の液体の水のための「コールド」回路、並びに過熱蒸気および、レザボアR1およびR2と火力発電所間のコンデンサーからの水、に対する「ホット」回路を含んでなる。
【0028】
二つの回路間の分離は、レザボアの水の表面上に浮揚している絶縁素子K(図9)による液体の水−過熱蒸気の界面に生じる。この絶縁素子Kは例えば、硬い発泡体から製造される。この絶縁素子は、そのレザボア内のその移動中に、レザボア内の液体レベルが前以て決められたレベルより低い時に、弁V5、V7の閉鎖、そして/または問題のレザボア内の液体レベルが前以て決められたレベルに到達する時には、弁V2、V3の閉鎖、をコマンドするための信号を送ることができる。
【0029】
図9における絶縁素子Kは、絶縁体Kと、図9のシリンダーR1、R2の上部の基底面D、との間のデッドスペースを最少にすることができる上部の平坦な形状をもつ。更に図9に示すように、レザボアR1またはR2は、その内面に沿って断熱層Lで断熱されている。
【0030】
図4の発電所の熱力学的サイクルは図5〜8に略図で示されるが、しかし図5にはその過熱蒸気源として発熱体CFをもつ発電所が示され、この発熱体は従来のもの(燃料、ガス、石炭、木材、油)でもまたは太陽光でもよい。過熱蒸気が太陽光発電所(図10参照)により、または太陽光−火力混合発電所により生成される場合は、熱力学的サイクルが同様であることは明白である。
【0031】
図5を取り上げ、確立されたサイクルを想定する。過熱蒸気は発熱体またはホットゾーンFにおいて高圧下で生成される。高圧下で過熱された蒸気は、絶縁素子Kの上方に位置するデッドスペースである、レザボアR2のデッドスペース中に、弁V2を介して導入される。弁V3は閉位置にある。
【0032】
図5に示される位置において、レザボアR1はペルトンタービンPに対して加圧下で水を供給するようになっており、他方、レザボアR2は液体の水を再充填する相にある。レザボアR1に対し、弁V2はボイラーCFから得られる過熱蒸気の取り込みを許すために開放されているが、他方、弁V5はペルトンタービンPへの加圧水の通過のために開放されている。弁V1およびV6は閉鎖されている。レザボアR2に対し、弁V3はレザボアR2中への過熱蒸気の通過を防止するために閉鎖されている。弁V7もまた、レザボアR1からレザボアR2への水の通過を防止するために閉鎖されている。一つのタンクから他のタンクへ(R1からR2に、またはR1からR2に)の水の通過を防止するために、弁V5およびV7は好都合には、非回帰システムと連絡している。弁V4はレザボアR2内にまだ存在する膨張された蒸気を排出させ、そしてコンデンサーに供給させるために開放されている。弁V8もまた、レザボアR2内の液体の水(この液体の水は重力によりレザボアR3から得られる)を再充填させるために開位置にある。レザボアR2中への水のこの導入は、水レベルを上昇させ、蒸気をレザボアR2から追い出させる。コンデンサー内の圧力は例えば、ほぼ105Pa、すなわち大気圧である。重力によりレザボアR2に水を充填する操作は好都合には、レザボアR2内に存在する蒸気の圧力が、例えば大気圧に近くに低減される時に実施される。コンデンサーC内の蒸気の凝縮から得られる熱水は回収され、ポンプP1およびダクト24を介してボイラーに戻される(図4)。レザボアR1からの水は例えば、70×105Paの圧力に加圧され、ペルトンタービンPの1基以上のインジェクターIに供給される。回転駆動されるタービンPは交流発電機を駆動し、従って電気エネルギーを生成する。レザボアR1は液体の水を排水される。レザボアR1内の圧力(本質的に、ペルトンインジェクターのノズルからすぐ上流の水の圧力に対応する)は、図5のグラフに示される。この圧力は当初は、本質的に、ボイラーから放出される過熱蒸気の圧力Pa下に維持される(タービンへの液体の水の放出にも拘わらず、ボイ
ラーから得られる過熱蒸気の量が、レザボアR1内の圧力を維持させる相)。地点1と地点2の間において(図5)、蒸気の圧力は一定に維持される。次に弁V2は閉鎖し、蒸気の圧力は、放出される水の容量に従って減少する。圧力は残留圧力Pbまで減少する。蒸気の膨張はレザボアR1内でほぼ等エントロピーをもつ。この残留圧力Pbは例えば2〜10×105Paの範囲にある。
【0033】
図6はレザボアR1内の水レベルおよびR1の部分排水を示す。R1から得られる水のタービンPへの供給が間もなく停止し、他方、レザボアR2内の水レベルがその最大値にあるように、レザボアR1内の水レベルは最小値に近い。
【0034】
浮揚ピストンが頂上に到達する時に、
【数3】
図6)、弁V7およびV4は閉位置にあり、他方、弁V8は閉位置におかれ、ここで、この閉鎖の次に弁V3の開放が続いて、レザボアR2中へ過熱蒸気を導入し、そしてレザボアR2内の圧力を増加する(図7)。従って、レザボアR2内に含まれる水の圧力は、大気圧に近い圧力から、本質的に過熱水蒸気の圧力に対応する圧力Paに増加する。
【0035】
図6のグラフは、弁V5が閉鎖される直前のレザボアR1内の圧力を示す。弁V5が閉鎖されると、弁V7は開放されて、レザボアR2内の加圧水をペルトンタービンPに移動させて、それを回転駆動させる。この相は図7に示される。その地点で、レザボアR1は閉位置にある弁V2、V5を有する。当初は、弁V1は開放して、残留圧力Pb下の蒸気を、蒸気コンデンサーの圧力にもたらす。R1内の蒸気圧が例えば大気圧に近く、十分に低下されると、弁V6が開放して、重力によりレザボアR3から得られる水をレザボアR1内に供給する(ペルトンタービンPから放出される水を回収することにより)。レザボアR1内の水レベルは増加し、弁V1を介してレザボア内に存在する蒸気をコンデンサーCに再度追い出す。R2中への過熱蒸気の注入期間中、レザボアR2内の水レベルは減少するが、他方レザボア内の圧力は一定に留まる(図7を参照)。図7のグラフはレザボアR2内の圧力を示す。
【0036】
レザボアR1、R2の排水および過熱蒸気を使用するそれらの加圧の期間を制御することにより、加圧水を連続的にペルトンタービンに供給することが可能である。更に、ペルトンタービンに供給する1基または複数のインジェクターを制御することにより(例えば、加圧水の供給に使用されるレザボア内で優勢な圧力に従って)、ペルトンタービンにより供給される電力は本質的に一定に維持されることができる。
【0037】
更に、ペルトンタービンPに供給するために使用されるレザボアからの水の圧力は、10×105Pa〜100×105Paの範囲の圧力に対するタービンPの効率(efficiency)または生産率(yield)に対してごくわずかな影響を有することが以前に認められた。ペルトンタービンの効率または生産率は、ブライト仕上げのトレーに対して93%を超えることができる。1組の3基のペルトンタービン、高圧のペルトンHP、中程度の圧力のペルトンタービンMPおよび低圧のペルトンタービンMPを使用すると、ペルトンタービンの効率のロスは最大効率の2%を超えることができない。ペルトンの効率は図3に示すようにばらつく。これは、その本質上、その日を通して変動性のエネルギーを生成する太陽光発電所から得られる過熱蒸気を使用する時に、特に興味深い。最適な効率を確保するために、圧力に応じて異なるペルトンタービンが使用される。例えば、50×105Pa〜30×105Paの圧力を使用する蒸気の膨張のためには、第1のペルトンタービンが使用される。30×105〜16.87×105Paの圧力を使用する蒸気の膨張に対しては、第1のタービンと異なる第2のペルトンタービンが使用される。最後に
、16.87×105Pa未満の蒸気の膨張に対しては第3のペルトンタービンが使用され、この第3のペルトンタービンは第1および第2のタービンと異なる。図4に示される実施態様において、発電所は唯一の火力発電所CF、とりわけ、過熱水蒸気を生成するために木材または木材ペレット、あるいは他のあらゆる化石燃料を使用する火力発電所を含んでなる。このような火力発電所は、過熱蒸気を、一日のうちの要求に従って生成させることができる。
【0038】
図4に示した実施態様において、加圧下の過熱蒸気により交互に加圧され、そして更に交互に充填される二つのレザボアを使用することにより、連続的な電気エネルギー生産を得ることができる。設備の電力を増加するために、二つを超える、例えば4つ以上のレザボアを使用することができることは明白である。バッファーレザボアR1およびR2を使用するサイクルの事例において、ボイラーから得られる蒸気の生成が間欠的であることが認められる。1組のレザボアR’1およびR’2を組み合わせ、そしてR1およびR2のサイクルを同一のレザボアR’1およびR’2と組み合わせることにより、蒸気の連続的流れを、中断することなしに容易に獲得することができる。本発明に従う発電所は、250KWを超える電力、例えば500KW〜50MW間の電力に対し、従ってとりわけ中程度の発電所に対して特に興味深い。並行な幾つかのペルトンタービンPおよび多数のシリンダーR1,R2を使用することにより、本発明に従う発電所は50MWを超える電力を発電することができることは明白である。集中太陽光発電所において、ランキンサイクルに使用される熱量はフレスネル(Fresnel)ヘリオスタットまたは放物鏡を使用して、太陽光により生成されるものである。CSにより表される発熱体は独立して運転することができる。図10はCSにより表される太陽光発熱体と対にされた、CFにより表される従来の燃焼発熱体を備えた、本発明に従う発電所の事例を示す。図10に事例において、エネルギーは日夜、中断されることなく生成されることができる。更に、環境保護の観点から、集中太陽光エネルギーと、木材チップの生物資源、ドライトップ(例えば、トマト)、等の燃焼エネルギーとを組み合わせることもまた、興味深いと思われる。図10はこのような発電所を示す。
【0039】
本発明に従う発電所はデザインが簡単であり、使用場所に容易に運搬し、設置することができる。更に、ペルトンタービンのために使用される加圧水および過熱蒸気の生成のための水のために、本質的に閉鎖される回路を考慮すると、ロスによる水の浪費が理論的にはゼロであるか、またはどちらにしても極めて低い。更に、本発明に従う発電所のペルトンタービンは、蒸気タービン内の膨張を使用してランキンサイクル中に使用される水と反対に、非脱塩水を使用することができる。
【0040】
本発明に従う発電所はまた、ほとんど音を出さないことが示されたので、それは近隣住民に対して、最低レベルの迷惑を与えるのみである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11