(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298078
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】増分評価に基づくネットワーク容量の割り当て
(51)【国際特許分類】
H04L 12/917 20130101AFI20180312BHJP
G06Q 50/32 20120101ALI20180312BHJP
G06Q 30/08 20120101ALI20180312BHJP
【FI】
H04L12/917
G06Q50/32
G06Q30/08
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-552785(P2015-552785)
(86)(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公表番号】特表2016-509410(P2016-509410A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014010945
(87)【国際公開番号】WO2014110303
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】13/738,972
(32)【優先日】2013年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】マクナイト,グレゴリー・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー,デーヴィッド・ティー,ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】ハナオカ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,エリック・シー
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ミーン
【審査官】
衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−503958(JP,A)
【文献】
特開平10−303932(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0133571(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0194108(US,A1)
【文献】
荻野 長生,市場経済モデルに基づく通信リソース割当,電子情報通信学会誌,1999年 9月25日,第82巻,第9号,p.967〜976
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/917
G06Q 30/08
G06Q 50/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算ネットワークにおけるリンクを介して素量データを送信する計算デバイスであって、
当該計算デバイスが多数の異なるアウトバウンド・リンクを介してデータを送信することができるネットワーク・インターフェースと、
1つ以上の処理ユニットであって、
宛先に送信されている素量データおよび関連する入札情報を受信するステップと、
少なくとも1つのアウトバウンド・リンクを、前記多数の異なるアウトバウンド・リンクの中から選択するステップであって、該選択が前記宛先を通知されるステップと、
前記関連する入札情報に基づいて、前記受信した素量データの前記選択したアウトバウンド・リンクを介した送信に対して入札を出すステップと、
前記出した入札が受け付けられた場合にのみ、前記受信した素量データを、前記選択したアウトバウンド・リンクを介して送信するステップと、
を含むステップを実行するように構成される1つ以上の処理ユニットと、
を備える、計算デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の計算デバイスにおいて、
前記関連する入札情報が、総合入札の残りの量を示す情報を含み、
前記総合入札が、前記素量データの二点間送信に対する入札を表し、前記アウトバウンド・リンクが前記二点間送信における多数のリンク間の1つのみのリンクであり、更に、
前記入札を出すステップが、前記総合入札の残りの量に対して同等である入札を出すステップを含む、計算デバイス。
【請求項3】
請求項1記載の計算デバイスにおいて、
前記関連する入札情報が、総合入札の残りの量を示す情報を含み、
前記総合入札が、前記素量データの二点間送信に対する入札を表し、前記アウトバウンド・リンクが前記二点間送信における多数のリンク間の1つのみのリンクであり、更に、
前記入札を出すステップが、前記総合入札の残りの量の所定部分に対して同等である入札を出すステップを含む、計算デバイス。
【請求項4】
請求項1記載の計算デバイスであって、
前記1つ以上の処理ユニットが、更に、前記素量データと関連付けされたレイテンシ要件を受信するステップを含むステップを実行するように構成され、
前記入札を出すステップが、前記素量データと関連付けられた前記レイテンシ要件が満たされ続ける場合にのみ、前記入札を出すステップを含む、計算デバイス。
【請求項5】
請求項1記載の計算デバイスであって、
前記1つ以上の処理ユニットが、更に、前記素量データと関連付けられたルーティング情報を受信するステップを含むステップを実行するように構成され、
前記選択が、更に、前記受信したルーティング情報を通知される、計算デバイス。
【請求項6】
請求項1記載の計算デバイスにおいて、
前記選択が更に、前記多数の異なるアウトバウンド・リンクと関連付けられた過去の価格決定情報を通知され、前記過去の価格決定情報が、入札選択プロセスによって確定される、計算デバイス。
【請求項7】
請求項1記載の計算デバイスにおいて、前記素量データが1つのパケットである、計算デバイス。
【請求項8】
多数のリンクを含む計算ネットワークを介してデータをルーティングする方法であって、前記多数のリンクのそれぞれがリンク・エンドポイントを有し、当該方法が、
前記計算ネットワークの第1リンクを介した素量データの送信に対して、前記素量データと関連付けられた入札情報から、入札を出すステップと、
ソート判断基準にしたがって、前記出した入札をソートするステップと、
前記ソートの後、前記計算ネットワークの前記第1リンクを介して、最高入札と関連付けられた素量データを送信するステップと、
前記第1リンクを介して、未だ送信されていない前記素量データの少なくとも幾らかについて前記出すステップを繰り返すステップと、
前記計算ネットワークの他のリンクについて、前記出すステップ、前記ソートするステップ、および前記送信するステップを繰り返すステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、更に、前記計算ネットワークの前記第1リンクを介して、前記最高入札と関連付けられた前記素量データを送信する前記ステップに対し、前記ソートした入札の中から、2番目に高い入札の値よりも1刻みだけ大きい量を顧客に課金するステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、前記ソート判断基準が入札の金銭的な量である、方法。
【請求項11】
請求項8記載の方法であって、更に、リンク毎に前記計算ネットワークについての過去の価格決定情報を提示するステップであって、各リンクが、当該リンクを介してデータを送信するために課金された以前の量を示す、ステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、更に、前記過去の価格決定情報を事前処理して、容量計画策定において補助する判断基準を生成するステップを更に含む、方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法であって、入札を出すためのリンクを、多数の異なるリンクの中から選択するステップであって、該選択が前記過去の価格決定情報を通知されるステップを更に含む、方法。
【請求項14】
請求項8記載の方法であって、更に、
前記素量データの少なくとも幾らかと関連付けられるルーティング情報を受信するステップと、
前記素量データの前記少なくとも幾らかについて、入札を出すためのリンクを、多数の異なるリンクの中から選択するステップであって、該選択が前記ルーティング情報を通知されるステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項8記載の方法において、前記ソートするステップが、前記計算ネットワークの第1リンクがデータを送信する準備ができているときに生じる、方法。
【請求項16】
計算ネットワークのリンクを介して素量データを送信する方法であって、
宛先に送信されている素量データおよび関連する入札情報を受信するステップと、
少なくとも1つのアウトバウンド・リンクを、多数の異なるアウトバウンド・リンクの中から選択するステップであって、該選択が前記宛先を通知されるステップと、
前記関連する入札情報に基づいて、前記受信した素量データの前記選択したアウトバウンド・リンクを介した送信に対して入札を出すステップと、
前記出した入札が選択された場合にのみ、前記受信した素量データを、前記選択した前記アウトバウンド・リンクを介して送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、
前記関連する入札情報が、総合入札の残りの量を示す情報を含み、
前記総合入札が、前記素量データの二点間送信に対する入札を表し、前記アウトバウンド・リンクが前記二点間送信における多数のリンク間の1つのみのリンクであり、更に、
前記入札を出すステップが、前記総合入札の残りの量に対して同等である入札を出すステップを含む、方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、
前記関連する入札情報が、総合入札の残りの量を示す情報を含み、
前記総合入札が、前記素量データの二点間送信に対する入札を表し、前記アウトバウンド・リンクが前記二点間送信における多数のリンク間の1つのみのリンクであり、更に、
前記入札を出すステップが、前記総合入札の残りの量の所定部分に対して同等である入札を出すステップを含む、方法。
【請求項19】
請求項16記載の方法であって、更に、
前記素量データと関連付けされたレイテンシ要件を受信するステップを含み、
前記入札を出すステップが、前記素量データと関連付けられた前記レイテンシ要件が満たされ続ける場合にのみ、前記入札を出すステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項16記載の方法であって、更に、
前記素量データと関連付けられたルーティング情報を受信するステップを含むステップを含み、前記選択するステップが、更に、前記受信したルーティング情報を通知される、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近年のネットワーキング・ハードウェアは、以前に可能であったよりも何乗倍も速く、物理的に離れた計算デバイスが互いに通信することを可能にするので、計算デバイス間の通信のスループットは向上し続けている。その結果、大量のデータを含むデータは、計算デバイス間において、増々減少する時間枠内で転送できるようになった。したがって、このようなデータの処理は、このようなデータが現在格納されている計算デバイスに制限される必要はない。何故なら、近年のネットワーキング・ハードウェアは、このようなデータを1つ以上の他の計算デバイスに伝達することを可能にし、他の計算デバイスにおいてこのようなデータを処理することができるからである。
【0002】
計算デバイス間で、大量のデータを含む、データを転送できることには、無数の利点が存在するので、個人、会社、および他の組織は、通例、ネットワーク・リソースまたはサービス・プロバイダからネットワーク容量を購入することによって、そうすることが多い。従前より、このようなネットワーク容量は、離散的な時間単位で、そして特定の帯域幅で購入されている。例えば、ある会社が1ヶ月間ネットワーク容量を購入しようとして、このようなネットワーク容量は、ネットワーク・サービス・プロバイダによって提供されるネットワークを介して、1ヶ月中毎秒1ギガビットのデータを転送する能力をこの会社に提供するということが考えられる。次いで、ネットワーク・サービス・プロバイダは、2つ以上の全く異なる計算デバイスが互いに通信し、互いの間でデータを転送することが可能になるように、関連するネットワーキング・ハードウェアを維持し、これに対するアクセスを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生憎、典型的なネットワーク利用は連続的でなくむしろ非常に変動する可能性があるので、時間単位でのネットワーク容量の購入および販売は非効率になる。例えば、ある会社が毎秒1ギガビットのデータを送信するのに十分な容量を購入したが、この会社は、通常の業務時間中、または予定されたデータ転送動作の間というように、このような容量を全て利用しきることは希にしかないことが考えられる。残りの時間中、このような会社によって購入されたネットワーク容量は、利用されないままとなる。しかしながら、生憎、ネットワーク・サービス・プロバイダは、当該ネットワーク・サービス・プロバイダの顧客によって購入されたネットワーク容量を提供するために、ネットワーク・ハードウェアの購入および保守に、時間およびリソースを投資しなければならなかった。このような容量が利用されないまたは十分に利用されないと、ネットワーク・サービス・プロバイダによって行われた投資は、単に少数の顧客または利用に広げられるだけであるため、ネットワーク・サービス・プロバイダおよびその顧客双方によって、価格上昇という形態で負担される非効率となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、市場に基づくシステムを介して、トランザクション毎にネットワーク容量を購入することができ、ネットワーク容量の潜在的購入者はそのような容量を求めて入札し、ネットワーク・プロバイダは、最も望ましい購入者を選択し、ネットワーク・プロバイダはこの購入者に、指定されたトランザクションのためにネットワーク容量を販売する。トランザクションは、ネットワーク・サービス・プロバイダによって提供されるネットワークの少なくともある部分を通る素量データ(a quantum of data)の送信を伴うことができる。素量データは、1パケット程の少なさでも可能であり、多数のパケット、または他の同様のデータの分割部分(division)を含むこともできる。
【0005】
更に他の実施形態では、ネットワーク容量を求める入札は、ネットワーク・サービス・プロバイダが利潤を最大にすることを求める場合、金銭的価値の順に順位付けることができ、あるいはネットワーク・サービス・プロバイダに関連する他の判断基準によって順位付けることもできる。適用される順位付けに基づいて、最も高い入札を選択することができ、その入札に基づいて、そして他の競合入札に基づいて、課金される金額(amount charged)が次に高い入札よりもある刻み額だけ大きくなるように、ネットワーク容量を販売することができる。
【0006】
更に他の実施形態では、計算デバイスのネットワークにおける2点間の所与のリンクを介したデータの送信に対する入札は、リンクの始点からリンクの終点までリンクがデータを送信する準備ができた時点において評価することができるように、入札をリアル・タイムで評価することができる。入札は、多数のリンクに跨がるデータの送信を含むトランザクションのために指定することができ、個々の入札がトランザクション全体に対して指定された入札を超えない限り、自動化システムは、データが送信されるときに通る各リンクにおいて、このような個々の入札を行うことができる。
【0007】
更に他の実施形態では、自動入札アルゴリズムは、レイテンシ要件、ルーティング要件、または他の同様の判断基準のような、入札情報の一部として指定することができる追加の判断基準を考慮に入れることができる。素量データに関連付けられた入札情報は、各リンクにおいて利用してこのようなリンクを通る素量データの送信のために入札を出す(generate)ことができるように、入札情報はこのようなデータと共に計算デバイスのネットワークを通過させることができる。
【0008】
更に他の実施形態では、ネットワーク・サービス・プロバイダによって維持される計算デバイスのネットワークの離散リンクを跨ぐデータの転送のために顧客によって支払われる価格は、追加の容量を有利に追加できるリンクを識別するために利用することができ、更に他の同様のネットワーク容量計画策定の目的に利用することができる。
【0009】
この摘要は、詳細な説明において以下で更に説明する概念から選択したものを、簡略化した形態で紹介するために設けられている。この摘要は、特許請求する主題の主要な特徴や必須の特徴を特定することを意図するのではなく、特許請求する主題の範囲を限定するために使用されることを意図するのでもない。
【0010】
添付図面を参照しながら進める以下の詳細な説明から、更に他の特徴および利点が明白にあるであろう。
以下の詳細な説明は、添付図面と併せて検討するときに、最良に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、ネットワーク容量に対する入札の評価例のブロック図である。
【
図2】
図2は、ネットワーク容量に対する入札の他の評価例のブロック図である。
【
図3】
図3は、入札に基づくネットワークによって提供される価格決定情報例のブロック図である。
【
図4】
図4は、入札に基づくネットワークを通るデータ送信の評価例の流れ図である。
【
図5】
図5は、汎用計算デバイス例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、入札に基づくネットワークに関し、特定のトランザクションに対して行われる入札にしたがって、トランザクション毎にネットワーク容量が購入される。トランザクションは、ネットワークの少なくともある部分を通る素量データの送信を伴うことができる。素量データは、1パケット程の少なさでも可能であり、多数のパケット、または他の同様のデータの分割部分(division)を含むこともできる。ネットワーク容量を求める入札は、ネットワーク・サービス・プロバイダが利潤を最大にすることを求める場合、金銭的価値の順に順位付けることができ、あるいはネットワーク・サービス・プロバイダに関連する他の判断基準によって順位付けることもできる。最高入札者に課金される金額は、入札を順位付けした後、次に高い入札者の最大入札に基づくことができる。計算デバイスのネットワークにおける2点間の所与のリンクを介したデータの送信に対する入札を、リンクの始点からリンクの終点までリンクがデータを送信する準備ができた時点において評価することができるように、入札をリアル・タイムで評価することができる。入札は、多数のリンクに跨がるデータの送信を含むトランザクションのために指定することができ、個々の入札がトランザクション全体に対して指定された入札を超えない限り、自動化システムは、データが送信されるときに通る各リンクにおいて、このような個々の入札を行うことができる。このような自動入札アルゴリズムは、レイテンシ要件、ルーティング要件、または他の同様の判断基準のような、入札情報の一部として指定することができる追加の判断基準を考慮に入れることができる。素量データに関連付けられた入札情報は、各リンクにおいて利用してこのようなリンクを通る素量データの送信のために入札を出すことができるように、入札情報はこのようなデータと共に計算デバイスのネットワークを通過させることができる。最終的に、ネットワーク・サービス・プロバイダによって維持される計算デバイスのネットワークの離散リンクを跨ぐデータの転送のために顧客によって支払われる価格は、追加の容量を有利に追加することができるリンクを識別するために利用することができ、更に他の同様のネットワーク容量計画策定の目的に利用することができる。
【0013】
本明細書において説明する技法は、入札および具体的なタイプの判断基準を指定することができる、具体的なトランザクションを参照する場合がある。例えば、パケット毎、リンク毎に行われる入札を参照する。同様に、他の例として、レイテンシまたはルーティングの指定も参照する。しかしながら、このような参照は、厳格に例示であり、説明および紹介を容易にするために行われるに過ぎない。実際に、選択される特定の例は、理解の明確さおよび容易さのために、最も簡素なレベルで説明されるメカニズムを例示することを意図している。パケット毎、リンク毎の入札、ならびにレイテンシおよびルーティングの指定に対する参照および特定例は、説明されるメカニズムを具体的な実施形態に限定するという意図はない。逆に、本明細書において説明する技法は、ネットワークにわたって送信されるデータ量、またはデータが送信されるネットワーク・リンクの数には関係なく、変更無しに、あらゆるトランザクションに対する入札の評価に等しく適用可能である。同様に、本明細書において説明する技法は、変更なしに、単なるレイテンシおよびルーティングを超える他の判断基準の指定にも、等しく適用可能である。
【0014】
必須ではないが、以下の説明の態様は、プログラム・モジュールのような、計算デバイスによって実行されるコンピュータ実行可能命令という一般的なコンテキストで行われる。更に具体的には、説明の態様は、別段指示がなければ、1つ以上の計算デバイスまたは周辺機器によって実行される動作のアクト(act)および象徴的表現を参照する。したがって、このようなアクトおよび動作は、コンピュータによって実行されると言われることもあるが、構造化された形式のデータを表す電気信号の処理ユニットによる操作を含む。この操作は、データを変形するか、またはメモリにおける位置に維持し、当業者には周知の様態で、計算デバイスまたは周辺機器の動作を再構成するか、またそうでなければ変更する。データが維持されるデータ構造は、データのフォーマットによって定義される特定のプロパティを有する物理的位置である。
【0015】
一般に、プログラム・モジュールは、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含み、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装する。更に、計算デバイスは従来のサーバ計算ラックや従来のパーソナル・コンピュータに限定される必要はなく、ハンドヘルド・デバイス、マルチプロセッサー・システム、マイクロプロセッサー・ベースまたはプログラマブル消費者用電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータ等を含む、他の計算構成を含むことも、当業者には認められよう。同様に、計算デバイスは、単体計算デバイスに限定される必要はない。何故なら、本メカニズムは、通信ネットワークを介してリンクされる分散型計算環境においても実施できるからである。分散型計算環境では、プログラム・モジュールは、ローカルおよびリモート双方のメモリ記憶デバイスに配置されてもよい。
【0016】
図1を参照すると、システム例100が示され、システム例100は、ソース計算デバイス111、宛先計算デバイス112、およびソース計算デバイス111を宛先計算デバイス112に通信可能に結合するネットワーク190を含む。以下の説明に対するコンテキストを与えるために、ネットワーク190は、ネットワーク・サービス・プロバイダによって維持することができる。ネットワーク・サービス・プロバイダは、ネットワーク容量の購入者に、ネットワーク190へのアクセスを提供することができる。したがって、このようなネットワーク容量を利用して、コンピュータ読み取り可能データおよび命令を、ソース計算デバイス111から宛先計算デバイス112へというように、1つのコンピュータから他のコンピュータに送信することができる。当業者には認められようが、ネットワーク190は、サーバ計算デバイスのような汎用計算デバイス、ならびにルータ、スイッチ、ファイアウォール、および特定の動作の実行を一層迅速に、または「ライン・レート」(line rate)で可能にするために、多くの場合特殊回路を含むことができる同様の特殊目的計算デバイスのような、特殊目的計算デバイスを含むことができる。
【0017】
一実施形態では、ネットワーク190のサービス・プロバイダの顧客が、ソース計算デバイス111から宛先計算デバイス112に素量データ120をネットワーク190を介して送信することを求めることができる。このような素量データ120は、一実施形態では、1つのデータ・パケット、またはそれ以上再分割されない同様の原子単位のデータであることができる。このような実施形態では、顧客がソース計算デバイス111から宛先計算デバイス112に送信することを求める総データをパケットに分割することができ、各パケットを別個のトランザクションとして扱うことができる。その結果、このような顧客に課金することができる金額は、各パケットの送信に対して課金される総額とすることができる。何故なら、各パケットを別個のトランザクションとして扱うことができ、金銭的対価は独立して成立するからである。他の実施形態では、素量データ120は、顧客がソース計算デバイス111から宛先計算デバイス112に送信しようとする総合データの全てまで、そして全てを含む、2つ以上のデータ・パケットを含むことができる。以下で例示するように、説明するメカニズムは、所与のトランザクションに関連付けられるデータ量に関しては、不可知論的である。
【0018】
ネットワーク190を介して素量データ120を送信しようとするとき、顧客は、素量データ120に関連付けることができる入札情報121を提供することができ、顧客が素量データ120をソース計算デバイス111から宛先計算デバイス112に送信するために支払ってもよい金額を示すことができる。このような入札情報121は、次に、ネットワーク190を介してどのデータを送信すべきか、そしてこのような送信に対していくら課金すべきか決定するために利用することができる。汎用計算デバイスおよび目的特定計算デバイスを含む2つの計算デバイス間で、ネットワーク190を構成する1つのリンク130のコンテキスト内で、
図1のシステム例100における簡略化した例を示す。図示のように、1つのリンク例130は、リンク130の始点131として作用することができる、汎用計算デバイスまたは目的特定計算デバイスのいずれかを含む計算デバイスと、リンク130の終点132として作用することができる、同様に汎用計算デバイスまたは目的特定計算デバイスとすることができる他の計算デバイスとの間における通信接続を表すことができる。
【0019】
図示する実施形態では、リンク130の始点131は、リンク130の始点131において終了する多数の他のリンクを含むことができる。このようなリンクの1つ以上は、リンク130の始点131に対して、素量データ141、143、および145のような、1つ以上の素量データを供給することができる。素量データ141、143、および145は、ネットワーク190を介してリンク130の始点131まで送信されてきたという可能性がある。一実施形態では、素量データ141、143、および145の各々は、入札情報142、144、および146のような、それらに関連付けられた入札情報を、それぞれ、有することができる。
【0020】
入札情報142、144、および146は、入札ジェネレータ(bid generator)150によってというように、素量データ141、143、および145の各々に対して入札151を出すために利用することができる。更に具体的には、入札151は、素量データ141、143、および145の内1つをリンク130を介して送信するために顧客が支払おうとする金額を表すことができる。つまり、例えば、素量データ141に関連付けられた入札情報142は、入札ジェネレータ150によって処理されて、素量データ141をリンク130を介して送信するために20ドルの入札が行われようとしていると判断することができる。同様に、他の例として、素量データ143に関連付けられた入札情報144は、入札ジェネレータ150によって処理されて、素量データ143をリンク130を介して送信するために、11ドルの入札が行われようとしていると判断することができる。この例を完成させるために、素量データ145に関連付けられた入札情報146は、入札ジェネレータ150によって処理されて、素量データ145をリンク130を介して送信するために、16ドルの入札が行われようとしていると判断することができる。これらの入札例151は、想定されるメカニズムを例示するために厳格に一例として示されるのであって、実際の入札金額を反映することも、意味することも意図していない。逆に、実施態様では、サイズが1パケットである素量データでは特に、リンク130のような1つのリンクに対して、1ペンスの端数のように、入札金額はかなり低い可能性が高い。
【0021】
素量データを、リンク130を介して送信するための入札151は、リンク130の始点131からリンク130の終点132まで他の素量データを搬送する準備がリンク130にできた時点において、入札エバリュエータ(bid evaluator)160によって評価することができる。一実施形態では、入札エバリュエータ160は、ソート・アクション(sort action)162によって例示されるように、入札151をソート入札161の集合にソートすることができる。このようなソート162は、ネットワーク・サービス・プロバイダによって制定される、任意の数の判断基準に基づくことができる。例えば、ネットワーク190のネットワーク・サービス・プロバイダがその収益を最大化することを求める場合、ソート・アクション162は入札の金銭的価値に基づいて、入札151をソート入札161の集合にソートすることができ、20ドルの入札例がソートされて、16ドルの入札例および11ドルの入札例よりも前になる。他の例として、ネットワーク190のネットワーク・サービス・プロバイダがネットワーク190の利用度を最大化することを求める場合、このような入札の対象となる素量データのサイズまたはタイプに基づいて、入札151をソート入札161の集合にソートすることができる。しかしながら、想定されるメカニズムを例示する目的のために、その収益を最大化することを求めるネットワーク・サービス・プロバイダにしたがって、金銭的価値に基づく入札のソートについて説明する。つまり、
図1に示す例では、素量データ141に関連付けられた20ドルの入札が、ソート・アクション162によってソートされて、最高の、即ち、最も突出した入札となることができる。その結果、入札エバリュエータ160は、素量データ141が「落札」したと判断し、命令164によって例示されるように、リンク130の始点131に、次に素量データ141を、リンク130を介して送信するように命令することができる。
【0022】
一実施形態では、素量データ141を送信する顧客には、素量データ141に関連付けられた入札情報142だけでなく、入札情報144および入札情報146のような競合する入札情報にも基づいて、課金することができる。例えば、リンク130を介した素量データ141の送信に対する入札は、一例として、20ドルにすることができたが、入札エバリュエータ160は、素量データ141を送信する顧客には、素量データ145に関連付けられた一例の16ドルのような、次に最も高い入札よりも、ある刻み額だけ多く課金するだけでよいと判断する(163)ことができる。つまり、例えば、入札エバリュエータ160は、入札の刻み幅が最少の1セントであるとすると、素量データ141を送信する顧客には16ドル1セントだけ課金すればよいと判断することができる。当業者には認められようが、1セントの小さい端数を含む、他の入札刻み値も、同様に利用することができる。このように、ネットワーク190を介してデータを送信するコストは、個々の顧客が支払おうとする額(what)に基づくのではなく、競合する入札に基づく構造によって成立する市場価格(market rate)に基づくことができる。つまり、1人の顧客だけがリンクを介する素量データの送信のために入札している状況では、競合する入札は受けられず、このようなネットワーク容量は、無料で、または何らかの最低閾値額で提供することができる。最低閾値額未満では、ネットワーク容量は販売されない。これは、ネットワーク・サービス・プロバイダによって確定することができる。
【0023】
一旦入札エバリュエータ160が、素量データ141が次にリンク130を介して送信されることになると決定したなら、任意に、
図1に示す破線の画像によって表されるように、関連入札情報142をリンク130の始点131からリンク135を介して送信することができる。以下で更に詳しく説明するが、リンク130の終点132が素量データ141の最終的な宛先でない場合、以上で説明したプロセスを、リンク130の終点132において、そして、当業者には認められるように、直前のリンクの終点である、各リンクの始点において、繰り返すことができる。
【0024】
一実施形態では、入札ジェネレータ150、入札エバリュエータ160、またはこれらの組み合わせは、リンク130の始点131のような、各始点において実行することができるコンピュータ実行可能命令の形態で実現することができる。既に示したように、このような始点は、サーバ計算デバイスのような、汎用計算デバイスとすることができ、その場合、入札ジェネレータ150および入札エバリュエータ160は、汎用計算デバイスおよび処理ユニット上で実行するように構成されたコンピュータ実行可能命令とすることができる。代わりに、同様に既に示したように、このような始点は、スイッチまたはルータのような、目的特定計算デバイスとすることもでき、この場合、入札ジェネレータ150および入札エバリュエータ160は、このような目的特定計算デバイス内にある特定用途集積回路および他の同様の処理ユニット上で実行するように構成されたコンピュータ実行可能命令とすることができる。他の実施形態では、入札ジェネレータ150および入札エバリュエータ160は、ネットワーク190における1つ以上の計算デバイスが、リンク例130のような、ネットワークにおける多数のリンクのために、入札ジェネレータ150、入札エバリュエータ160、またはこれらの組み合わせとして機能するように、集中的に実現することができる。
【0025】
図2に移ると、そこに示されるシステム200は、リンク毎に、
図1に示したネットワーク例190のような、ネットワークを介して1つの素量データの伝搬例を例示する。既に示したように、一実施形態では、素量データの送信に対する入札は、1つのリンクを介したその素量データの送信のためだけにすることができ、このようなリンクが素量データを送信する準備ができた時点において、入札を評価することができる。このような実施形態では、顧客は、理論的に、顧客のデータが横断する特定のリンク毎に、異なる特定の入札を提出することができる。しかしながら、代わりに、顧客が、素量データ210に関連付けられた、総合入札情報211のような、総合入札情報を提出することもできる。総合入札情報211は、始点から終点まで素量データ210を送信するときに横断される中間リンクの数には関係なく、素量データ210を始点から終点まで送信するためにこの顧客が支払ってもよい金額を表す。
【0026】
このような実施形態を例示するために、始点220から終点270まで、
図2のシステム例200に示される素量データ210を送信することを求めることができ、素量データ210に関連付けることができる総合入札情報211は、素量データ210を始点220から終点270まで送信するために顧客が支払ってもよい合計金額を表すことができる。このような実施形態では、以下で詳しく説明するように、入札ジェネレータ150からというように、素量データ210に添付された入札情報から出された入札は、素量データ210がネットワークを通過する(proceed through)ときに、総合入札情報211を考慮に入れることができる。
【0027】
最初に、素量データ210を地点220から地点230までリンク233を介して送信するために、入札ジェネレータは、以上で詳細に説明した様態でというように、素量データをリンク223を介して送信するための入札を出すことができる。続いて、同様に以上で詳細に説明したのと似た様態で、入札エバリュエータは、リンク223を介したデータ送信に対して受けた入札を評価することができ、例示の目的に限り、素量データ210が、例えば、決定221によって例示されるように、15ドルの価格で「落札した」と決定することができる。リンク223を介した素量データ210の送信の一部として、この素量データに関連付けられた入札情報を、入札情報211から入札情報212に修正して、入札情報212を素量データ210と共に、リンク223を介して送信することができる。一実施形態では、入札情報212は、ネットワークを介した素量データ210の送信に対する総合入札の内、素量データ210がリンク223を介して送信された後にどの位残っているかの指示を編集することができる。
図2のシステム200によって例示される特定例では、入札情報212は、リンク223を介した素量データ210の送信のための15ドルのコストの後、最初の100ドルの総合入札から85ドルが残っていることを示すことができる。
【0028】
地点230において、素量データ210を、地点270におけるその最終的な宛先までの経路上で、リンク234に沿ってまたはリンク236に沿って送信することができる。一実施形態では、入札ジェネレータ、または入札ジェネレータと共同して実行するコンピュータ実行可能命令が、素量データをリンク234に沿って導くか、または代わりにリンク236に沿って導くか選択することができる。このような判断は、他の指定または要件によって知らせることができ、入札情報212に加えて、素量データ210と共に送信することもできる。例えば、
図2には具体的に示されないが、ルーティング情報を素量データ210と共に提供および送信することができる。このようなルーティング情報は、関連付けられた素量データ210を導こうとする具体的なリンクまたは経路を指定することができ、関連付けられた素量データ210が避けるべき具体的なリンクまたは経路を指定することができ、あるいはこれらの組み合わせを指定することができる。ルーティング情報が素量データ210と共に提供される実施形態では、このような明示的なルーティング情報に基づいて、地点230における判断のように、素量データ210に対する入札をどのリンクに対して提出するかに関する判断を行うことができる。つまり、例えば、素量データ210と共に提供されたルーティング情報が、素量データ210はリンク234、245、よび256に沿って導かれるとよいことを示した場合、地点230において、リンク234に沿った素量データ210の送信に対して入札を行い、リンク236に沿った素量データ210の送信に対しては入札しないと決定することができる。同様に、素量データ210と共に提供されたルーティング情報が、素量データ210はリンク236を避けるべきことを示す場合、地点230において、リンク236ではなく、リンク234に沿った素量データ210の送信に対して入札すると決定することができる。
【0029】
他の実施形態では、素量データ210は、それに関連付けられた特定のルーティング情報が全く有さなくても、または一緒に送信されなくてもよい。このような実施形態では、例えば、指定されたレイテンシのような、他の指定された判断基準に基づいて、どのリンクを入札するかに関して判断を行うことができる。例えば、リンク234、245、および256に沿って素量データ210を導くと、代わりにリンク236に沿って素量データ210を導くときよりも、レイテンシが大きくなる可能性がある。したがって、素量データ210と共に送信することもできるレイテンシ指定情報が、リンク234、245、および256に沿った素量データのルーティングを禁止する場合、地点230において、リンク236に沿った素量データ210の送信に対して入札すると決定することができる。更に具体的には、素量データ210が、2ミリ秒のレイテンシを指定するレイテンシ要求と共に送信され、リンク234、245、および256に沿った素量データ210の送信の結果、地点230のような判断が行われている地点までのこれらのリンクに沿った素量データ210の送信と合計して、2ミリ秒のレイテンシよりも大きくなる場合、地点230において、リンク236に沿った素量データ210の送信に対して入札すると決定することができる。
【0030】
更に他の実施形態では、ルーティングに関する判断は、このような入札に基づくネットワークから入手可能な履歴情報に基づくことができる。更に具体的には、リンクに沿った素量データの送信に対する「落札」、したがって課金される価格は、中央監視局へというように、報告することができる。このような中央監視局は、リンクに沿って素量データを送信するために課金された最近のコストを示すコスト・データの「ヒート・マップ」(heat map)または他の同様の視覚的集計(amalgamation)を生成することができる。当業者には認められようが、リンクは、輻輳が多い程、このようなリンクに沿って素量データを送信するためには一層高いコストがかかることによって、明らかにされる(reveal)可能性が高い。逆に、輻輳が少ないリンク程、このようなリンクに沿って素量データを送信するためには、相当低いコストが支払われる可能性が高い。このような実施形態では、素量データのためにルーティングを選択するとき、このような履歴情報を参照することができ、例えば、リンクに沿って素量データを導くために支払われるコストが安い方を選択することができる。つまり、例えば、リンク234、245、および256に沿って素量データを送信するために支払われた最近の価格が、それぞれ、20ドル、10ドル、および10ドルであり、リンク236に沿って素量データを送信するために支払われた最近の価格が60ドルであったことを、このような履歴データが明らかにする場合、地点230において、リンク236ではなく、リンク234に沿った素量データ210の送信に入札すると決定することができる。
【0031】
一旦判断がなされたなら、入札情報212に基づいてというようにして、
図2のシステム例200では、リンク234またはリンク236のいずれかというような、地点230から出るリンクに対する入札を、素量データ210のために出すことができる。素量データ210の進展の説明を続けるために限って言うと、リンク234に沿った素量データ210の送信に対して入札することができる。一実施形態では、このような入札は、入札情報213によって示すことができるように、総合入札(aggregate bid)の残りの部分全てに対して同等とすることができる。何故なら、支払われる金額は、次に高い入札よりも刻み幅だけ高い金額より大きくならず、総合入札の残りの部分を全て入札することによって、その入札が選択される機会は多くなるからである。他の実施形態では、通過される残りのリンク、既に通過したリンク、または他の判断基準に基づくことができる既定の割合というような、総合入札の残り部分の一部だけに入札することができる。このような代替実施形態は、二点間送信において手前側にあるリンク程、全体的な二点間送信内におけるそれらの位置だけのために、より高い収益を不適正に発生する機会を減らすことができる。
【0032】
図2に示す例を続ける目的で、判定231に示すように、リンク234を介する素量データ210の送信に対して行われた入札が、20ドルの価格で落札することができ、素量データ210は、入札情報213と一緒に、リンク234に沿って送信することができる。入札情報213は、以前と同様、以前の入札情報212、および判定231によって示されるような、現在のリンクに沿った送信に対して支払われた金額に基づくことができる。このようにして、素量データ210は
図2のシステム200を通過することができる。例えば、地点240において、リンク245を介した素量データ210の送信のために入札することができる。このような入札は、判断241によって示されるように、10ドルの料金例で落札することができ、素量データ210は、入札情報214と共に、リンク245を介して地点250まで送信することができる。以前と同様、入札情報214は、以前の入札情報213、およびリンク245に沿った素量データ210の送信に課金された金額に基づくことができる。同様に、地点250において、リンク256を介した素量データ210の送信に入札すると決定することができ、10ドルの価格で落札することができ、素量データ210は、入札情報215と共に、リンク256に沿って送信することができる。そして最後に、地点260において、リンク267を経由して地点270までの素量データ210の送信に入札すると決定することができる。地点270は、素量データ210の宛先地点とすることができる。一例として、リンク267に沿った送信に対する入札は、15ドルで落札することができ、素量データ210は、入札情報216と共に、リンク267に沿って地点=270まで送信することができる。このようにして、素量データ210は、地点220から地点270まで、
図2のシステム200によって示される例において、80ドルで配信することができる。
【0033】
一実施形態では、素量データ210が地点270まで達しないこともあり得る。このような場合、一実施形態では、素量データ210がリンク223、234、236、245、256、および267の内1つ以上を通過し終えていても、それが宛てられた地点270まで素量データを配信し損ねたため、ネットワーク・サービス・プロバイダの顧客は全く課金されないようにすることができる。代替実施形態では、宛てられた宛先に到達しなくても、このような素量データが既に通過したリンクに対して、顧客に課金してもよい。素量データ210のような、素量データは、無数の理由のために、終点に到達し損ねる可能性がある。一実施形態では、このような理由は、素量データ210の送信の一部として指定された判断基準を満たすことがネットワークによってできなかったことによる、ネットワークによる素量データの明示的な欠落を含むことができる。例えば、以前に示したように、1つ以上の要件または指定、例えば、入札情報211およびレイテンシ情報を、素量データ210と共に送信することができる。このような情報は、素量データ210をそれ以上送信すべきでなく、さもなければ、欠落することになると判断するために利用することができる。
【0034】
例えば、地点220から地点270までの素量データ210の送信に対する総合入札金額が、
図2に示すように、100ドルではなく65ドルであった場合、リンク256を介した素量データ210の送信完了時に、以上で詳細に述べた例にしたがって素量データ210の処理が行われたと仮定すると、パケットを地点260まで送信して、65ドルの総合入札金額を全て「使い果たした」ということがあり得る。したがって、地点260からは、リンク267を介した素量データ210の送信のために、入札ジェネレータによってというように、入札できる追加の金額が残っていないことがあり得る。このような実施形態では、したがって、素量データ210は、地点260まで配信された後、欠落される可能性がある。その後、最終的に素量データ210を地点220から地点270まで送信できなかったことにより、顧客が素量データ210を再送することを可能にするように、障害通知を生成することができる。
【0035】
他の例として、地点220から地点270までの素量データ210の送信に対する総合入札金額が70ドルであった場合、リンク256を介した素量データ210の送信完了時に、以上で詳細に述べた例にしたがって素量データ210の処理が行われたと仮定すると、パケットを地点260まで送信して、65ドルを「使い果たし」リンク267を介した素量データ210の送信に入札ジェネレータが入札するために、5ドルしか残っていないということがあり得る。5ドルの入札は、素量データ210のリンク267を介した送信には不十分であると考えられる。しかしながら、入札ジェネレータは、5ドルの入札を出し続けることができる。一実施形態では、このような入札は、他の入札者がいなくなったため等で5ドルの入札で落札でき、素量データ210が最終的に地点270まで配信されるまで続けることができ、あるいは他の要件または指定が、素量データ210を欠落させることを指令するまで、続けることができる。例えば、レイテンシ要件が素量データ210と関連付けられ、それとともに送信された場合、効率良い素量データの送信を確保するための5ドルの入札が失敗すると、素量データ210の初期送信から十分な時間量が経過し、素量データ210に関連付けられたレイテンシ要件がもはや満たされなくなる可能性がある。このような場合、素量データ210に関連付けられたレイテンシ要件を満たすために、素量データ210の送信失敗のために、地点260において素量データ210を欠落させることができる。このような例によって例示されるような、このようなレイテンシ要件を満たすことの失敗は、入札に利用可能な資金が不十分であったためである可能性がある。
【0036】
図3に移り、一実施形態では、以上で説明した入札プロセスによって確定された金銭的価値、即ち、ネットワーク・リンクを介した素量データの転送に対する「落札」に関する履歴データを保持し、ルーティング、ネットワーク容量計画策定、およびその他の使用のために利用することができる。例えば、入札が受け付けられた素量データが、1つのパケットというように、小規模である場合、特定のリンクに対する直前の落札に関する情報は、1秒の端数だけしか古くない可能性があり、したがって、ルーティングの目的に利用することができる本質的にリアル・タイムの情報となることができる。一実施形態では、このような直前の落札は、「ヒート・マップ」または他の同様のデータ提示で追跡することができ、色、形状、または他の同様の表現によって、金銭的価値を表すことができる。
図3のシステム300は、このようなヒート・マップの一例を示す。つまり、例えば、リンク245および256は、それらの直前の落札は、例えば、
図3に示す10ドルの落札例のような、金額的に低かったことを示す明るい陰影を有することができる。リンク223および267は、それらの直前の落札が、例えば、
図3に示す15ドルの落札例のような、金銭的にそれよりは多少高かったことを示す、もっと暗い陰影を有することができる。同様に、リンク234に付けられた陰影は、直前の落札が、例えば、20ドルにすることができるので、更に暗くすることができる。最後に、リンク236に付けられた陰影は最も暗く、例えば、60ドルというような、他のリンクの落札よりも高い金銭的価値を示すことができる。
【0037】
一実施形態では、このような情報は、ルーティングの目的に利用することができる。例えば、既に示したように、リンク236を通過するデータに随伴する高いコストのために、リンク236を迂回してデータを導くことができる。他の実施形態では、このような情報は、ネットワーク容量計画策定の目的に利用することができる。例えば、リンク236に沿った追加のネットワーク容量における投資は、
図3のシステム300の他のどのリンクに沿った追加のネットワーク容量における投資よりも財政的に有利である可能性がある。何故なら、リンク236に沿った通信は、直前の落札データによって示されるように、他のリンクに沿った通信よりもはるかに高い収益を出すことができるからである。更に、自動化プロセスが履歴データを分析して、ネットワーク容量計画策定において更に補助するために、"what-if'シナリオ・モデリングを可能にすることができる。例えば、輻輳リンクにおける非落札は、他のリンクの形態でより多くの容量が追加されるに連れて、落札になるかもしれない。その結果、このような非落札は、容量が拡大されたならどの位の収益を出すことができるかについての推定値を与えることができる。次いで、履歴データおよび容量拡大のコストから推定される予想収益に基づいて、投資利益率(ROI)のような従前からの分析メトリックを自動的に生成することができる。
【0038】
図4に移り、そこに示される流れ
図400は、入札に基づくネットワーク容量割り当てシステムを実現するための一連のステップ例を示す。最初に、ステップ410において、ネットワークの少なくとも一部を介した送信のために、素量データを、関連する入札情報と共に受信することができる。先に示したように、このような入札情報は、ネットワークの個々のリンクに対する個々の入札とすることができ、またはネットワーク全体にわたる素量データの二点間送信に対する、1つに纏めた入札とすることができる。続いて、ステップ415において、関連する入札情報に加えて、ステップ410において受信した素量データに対してルーティング情報も指定されたか否かについて、判定を行うことができる。ルーティング情報が受信された場合、ステップ420において、このようなルーティング情報にしたがってアウトバウンド・リンクを選択することができる。逆に、ルーティング情報が指定されなかった場合、ステップ425において、例えば、過去のコストが高いリンクを避ける、または指定されたレイテンシ要件を満たせない結果となるリンクを避けるというように、他の判断基準に基づいて、アウトバウンド・リンクを選択することができる。
【0039】
リンクがステップ420において選択されるかまたはステップ425において選択されるかには関係なく、処理はステップ430に進み、入札を出すことができ、ステップ410において受信した素量データの、ステップ420またはステップ425のいずれかにおいて選択されたアウトバウンド・リンクを介する送信に対して入札する。一実施形態では、先に詳細に説明したように、ステップ430において出された入札は、ステップ410において素量データと共に受信された関連入札情報に従うことができる。選択されたアウトバウンド・リンクが素量データまたはその一部を送信する準備ができているとき、選択されたアウトバウンド・リンクを介したデータの送信に向けられた入札を、ステップ435に示すように、評価することができる。先に詳しく説明したように、入札の評価は、例えば、収益最大化を求める場合には、例えば、金銭的価値を含む1つ以上の判断基準にしたがって、このような入札をソートすることを含むことができる。
【0040】
ステップ440において、ステップ430において出された入札が、ステップ410において受信された、関連する素量データを、アウトバウンド・リンクを介して送信できるように選択されたという意味で「落札」したか否かについて判定を行うことができる。出された入札が、ステップ440において判定されたように、落札した場合、処理はステップ455に進むことができる。ステップ455については、以下で更に詳しく説明する。逆に、出された入札が落札できなかった場合、処理はステップ445に進み、レイテンシ要件のような、他の要件または指定が未だ満たされているか否かについて判定を行うことができる。ステップ445において、レイテンシ要件が満たされなくなろうとしていると判定された場合、処理はステップ450に進み、素量データを欠落させる、または破棄することができる。次いで、関連処理はステップ470において終了することができる。逆に、ステップ445において、レイテンシ要件が未だ満たされている、または同様に、他の指定された要件が満たされていると判定された場合、処理はステップ415に戻り、同じアウトバウンド・リンク、またはステップ420または425の再実行の一部として選択することができる新たなアウトバウンド・リンクのいずれかに対して、最後に他の入札を出せることを示すことができる。
【0041】
ステップ440に戻って、出された入札が落札した場合、処理はステップ455に進むことができ、任意に、ステップ410において受信された関連入札情報を、落札にしたがって修正することができる。例えば、先に詳細に説明したように、関連入札情報が、素量データの二点間送信に対する総合入札であった場合、このような関連入札情報は、アウトバウンド・リンクを介した素量データの送信のために、素量データを送信する顧客に課金されることになる金額を含むように修正することができる。続いて、ステップ460において、素量データを、あらゆる関連情報と共に、選択されたアウトバウンド・リンクを介して送信することができる。ステップ465において、落札額に関する情報、または他の同様の情報を、請求書発行用計算デバイス、または他の同様の計算デバイスに提供することができ、ステップ410において受信された素量データを送信する顧客には、ステップ435において決定された、落札の金額にしたがって請求することができる。次いで、関連処理はステップ470において終了することができる。
【0042】
図5に移り、以上で説明したメカニズムを実行する、またはその実行を補助する目的特定または計算デバイスの1つというような、計算デバイス例が、計算デバイス例500の形態で示されている。本明細書において利用される場合、「計算デバイス」という用語は、先に列挙したような、汎用および目的特定計算デバイスの双方を含み、更に先に引用したASIC、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、その他の同様のコンポーネントまたは処理ユニットというような、個々のコンポーネントまたはその集合体も含む。
図5の計算デバイス例500は、1つ以上の中央処理ユニット(CPU)520、システム・メモリ530、およびシステム・メモリから処理ユニット520までを含む種々のシステム・コンポーネントを結合するシステム・バス521を含むことができるが、これらに限定されるのではない。システム・バス521は、メモリ・バスまたはメモリ・コントローラー、周辺バス、および種々のバス・アーキテクチャーの内任意のものを使用するローカル・バスを含む、様々なタイプのバス構造の内任意のものでよい。具体的な物理的実施態様に依存して、CPU520、システム・メモリ530、および計算デバイス500の他のコンポーネントの内1つ以上を、単体チップ上のように、物理的に同じ場所に配置することができる。このような場合、システム・バス521の一部または全部は、単体チップ構造内部のシリコン・パスウェイと全く同様にすることができ、
図5におけるその図示は、例示を目的とした表記上の都合に他ならない。
【0043】
また、計算デバイス500は、通例、コンピュータ読み取り可能媒体も含み、コンピュータ読み取り可能媒体は、計算デバイス500によってアクセスすることができる任意の入手可能な媒体を含むことができる。一例として、そして限定ではなく、コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能命令、データ構造、プログラム・モジュール、または他のデータというような情報の格納のためのいずれかの方法または技術で実現される媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM、ディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)または他の光ディスク・ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージまたは他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を格納するために使用することができそして計算デバイス600によってアクセスすることができる他のあらゆる媒体を含む。しかしながら、コンピュータ記憶媒体は、通信媒体を含まない。通信媒体は、通例、コンピュータ読み取り可能命令、データ構造、プログラム・モジュール、または他のデータを、搬送波のような変調データ信号または他の移送メカニズムに具体化し、任意の情報配信媒体を含む。一例として、そして限定ではなく、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続というような有線媒体と、音響、RF、赤外線、および他のワイヤレス媒体というようなワイヤレス媒体とを含む。以上の内任意のものの組み合わせも、コンピュータ読み取り可能媒体の範囲に含まれてしかるべきである。
【0044】
システム・メモリ530は、リード・オンリ・メモリ(ROM)531およびランダム・アクセス・メモリ(RAM)532のような、揮発性および/または不揮発性メモリの形態としたコンピュータ記憶媒体を含む。基本入力/出力システム533(BIOS)は、起動中におけるように、コンピュータ500内部にあるエレメント間で情報を転送するのに役立つ基本的なルーチンを含み、通例ROM531に格納される。RAM532は、通例、処理ユニット520によって直ちにアクセス可能なデータおよび/または現在処理ユニット520によって処理されているデータおよび/またはプログラム・モジュールを含む。一例として、そして限定ではなく、
図5は、オペレーティング・システム534、他のプログラム・モジュール535、およびプログラム・データ636を示す。
【0045】
[0050] 通信媒体を使用するとき、計算デバイス500は、1つ以上のリモート・コンピュータへの論理接続を介して、ネットワーク接続環境において動作することができる。
図5に示す論理接続は、ネットワーク190への汎用ネットワーク接続571であり、これはローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、インターネットのようなワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、またはその他のネットワークとすることができる。計算デバイス500は、ネットワーク・インターフェースまたはアダプタ570を介して汎用ネットワーク接続571に接続され、一方、ネットワーク・インターフェースまたはアダプタ570はシステム・バス521に接続される。ネットワーク接続環境では、計算デバイス500またはその一部または周辺部に関して図示したプログラム・モジュールは、汎用ネットワーク接続571を介して計算デバイス500に通信可能に結合された1つ以上の他の計算デバイスのメモリに格納することもできる。尚、図示したネットワーク接続は一例であり、計算デバイス間に通信リンクを確立する他の手段を使用してもよいことは認められよう。
【0046】
また、計算デバイス500は、他のリムーバブル/非リムーバブル、揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体も含むことができる。一例に過ぎないが、
図5は、非リムーバブル、不揮発性媒体に対して読み取りおよび書き込みを行うハード・ディスク・ドライブ541を示す。この計算デバイス例と共に使用することができる他のリムーバブル/非リムーバブル、揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体には、磁気テープ・カセット、フラッシュ・メモリ・カード、ディジタル・バーサタイル・ディスク、ディジタル・ビデオ・テープ、ソリッド・ステートRAM、ソリッド・ステートROM等が含まれる。ハード・ディスク・ドライブ541は、通例、インターフェース540のような非リムーバブル・メモリ・インターフェースを介して、システム・バス521に接続される。
【0047】
以上で論じ
図5に示すこれらのドライブおよびそれに関連するコンピュータ記憶媒体は、計算デバイス500のためのコンピュータ読み取り可能命令、データ構造、プログラム・モジュール、および他のデータの格納を行う。
図5では、例えば、ハード・ディスク・ドライブ541は、オペレーティング・システム544、他のプログラム・モジュール545、およびプログラム・データ546を格納することが示される。尚、これらのコンポーネントは、オペレーティング・システム534、他のプログラム・モジュール535、およびプログラム・データ536と同一であること、または異なることもできることを注記しておく。オペレーティング・システム544、他のプログラム・モジュール545、およびプログラム・データ546は、ここでは、少なくともこれらが異なるコピーであることを示すために、異なる番号が与えられる。
【0048】
以上の説明から分かるように、入札に基づくネットワーク容量割り当てシステムが紹介された。本明細書において説明した主題には多くの可能な変形があることを考慮して、以下の請求項およびその均等物の範囲に該当し得る全ての実施形態を本発明として、特許請求する。