特許第6298104号(P6298104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298104
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】全金属バックシェルアンテナシステム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20180312BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20180312BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H01Q1/24 Z
   H01Q1/38
   H01Q1/52
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-119329(P2016-119329)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-85541(P2017-85541A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】201510700646.5
(32)【優先日】2015年10月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515342457
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC TECHNOLOGIES PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ジン
(72)【発明者】
【氏名】マイ、ジァンチュン、
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チャオ
【審査官】 宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/182391(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3192176(JP,U)
【文献】 特開2011−023853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q1/12−1/26
H04M1/02−1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主体部と、前記主体部から曲がって延在する側壁とを備える金属バックシェルと、主グラウンド点を有する回路基板と、前記回路基板に電気的に接続されるマスターアンテナモジュール、および、スモールアンテナモジュールとを備え、前記側壁が相対して設置された第1の側壁と第2の側壁、および、相対して設置された第3の側壁と第4の側壁とを含む全金属バックシェルアンテナシステムであって、
前記金属バックシェルには、前記第1の側壁と前記主体部との連結箇所に位置する第1のスリットと、前記第2の側壁と前記主体部との連結箇所に位置する第2のスリットとが設けられ、
前記第1のスリット、および、前記第2のスリットは、前記金属バックシェルを、前記第1の側壁を含む第1の金属部と、前記第2の側壁を含む第2の金属部と、前記第1の金属部と前記第2の金属部との間に位置する第3の金属部とに分け、
前記第1の金属部、前記第2の金属部、および、前記第3の金属部は、互いに絶縁され、
前記第1の金属部は、前記第1の側壁と前記第1のスリットとを貫通するアップスリットを備え、前記第2の金属部には、前記第2の側壁と前記第2のスリットとを貫通するボトムススリットが少なくとも1つ含まれ、
前記マスターアンテナモジュールは、前記回路基板に設置されている整合回路と、主給電点と、少なくとも1つのグラウンド点を備え、前記主給電点が前記第1の金属部に電気的に接続され、前記グラウンド点が前記主グラウンド点に電気的に接続され、
前記スモールアンテナモジュールは、少なくとも1つのスモールアンテナユニットを備え、前記スモールアンテナユニットが前記回路基板に設置されている給電点と少なくとも1つのグラウンド点とを備え、前記給電点が前記第2の金属部に電気的に接続され、前記グラウンド点が前記主グラウンド点に電気的に接続され
前記第1のスリットの両端がそれぞれ前記第3の側壁、および、前記第4の側壁における前記第1の側壁に接近する側縁まで延在するとともに、前記第2のスリットの両端がそれぞれ前記第3の側壁、および、前記第4の側壁における前記第2の側壁に接近する側縁まで延在し、
前記スモールアンテナモジュールは、それぞれダイバーシティアンテナユニットとGPS・WIFIアンテナユニットである2つのスモールアンテナユニットを備え、
前記ダイバーシティアンテナユニット、および、前記GPS・WIFIアンテナユニットには、それぞれ前記第2の金属部に電気的に接続される1つの給電点が設置され、2つの前記給電点は、2つの前記ボトムススリット間に位置し、2つの前記給電点間には、前記第2の金属部に電気的に接続される幾つかのグラウンドユニットが設置され、前記グラウンドユニットが前記主グラウンド点に電気的に接続されており、
前記ダイバーシティアンテナユニットは、1つのグラウンド点を備え、前記ダイバーシティアンテナユニットの給電点と前記グラウンド点は、それぞれ前記ダイバーシティアンテナユニットの給電点の近傍にある前記ボトムススリットの両側に前記第2の金属部に電気的に接続されることを特徴とする全金属バックシェルアンテナシステム。
【請求項2】
前記アップスリットは、前記第3の側壁、または、前記第4の側壁に接近して設置され、前記主給電点は、前記アップスリットから離間した位置で前記第1の金属部に電気的に接続される、請求項1に記載の全金属バックシェルアンテナシステム。
【請求項3】
前記整合回路は、第1のインダクタンスと、前記第1のインダクタンスに並列接続される第1の静電容量と、前記第1の静電容量のオンオフを制御し、前記第1の静電容量に直列接続される静電容量スイッチと、前記第1のインダクタンスに直列接続される第2の静電容量と、前記第2の静電容量に並列接続される第2のインダクタンスと、前記第1の金属部がグラウンドされるか否かを制御し、前記アップスリットと前記主給電点との間に設置されているグラウンドスイッチとを備える、請求項2に記載の全金属バックシェルアンテナシステム。
【請求項4】
前記マスターアンテナモジュールは、前記主給電点よりも前記アップスリットから離間した位置に前記第1の金属部に電気的に接続される1つのグラウンド点を有する、請求項2に記載の全金属バックシェルアンテナシステム。
【請求項5】
主体部と、前記主体部から曲がって延在する側壁とを備える金属バックシェルと、主グラウンド点を有する回路基板と、前記回路基板に電気的に接続されるマスターアンテナモジュール、および、スモールアンテナモジュールとを備え、前記側壁が相対して設置された第1の側壁と第2の側壁、および、相対して設置された第3の側壁と第4の側壁とを含む全金属バックシェルアンテナシステムであって、
前記金属バックシェルには、前記第1の側壁と前記主体部との連結箇所に位置する第1のスリットと、前記第2の側壁と前記主体部との連結箇所に位置する第2のスリットとが設けられ、
前記第1のスリット、および、前記第2のスリットは、前記金属バックシェルを、前記第1の側壁を含む第1の金属部と、前記第2の側壁を含む第2の金属部と、前記第1の金属部と前記第2の金属部との間に位置する第3の金属部とに分け、
前記第1の金属部、前記第2の金属部、および、前記第3の金属部は、互いに絶縁され、
前記第1の金属部は、前記第1の側壁と前記第1のスリットとを貫通するアップスリットを備え、前記第2の金属部には、前記第2の側壁と前記第2のスリットとを貫通するボトムススリットが少なくとも1つ含まれ、
前記マスターアンテナモジュールは、前記回路基板に設置されている整合回路と、主給電点と、少なくとも1つのグラウンド点を備え、前記主給電点が前記第1の金属部に電気的に接続され、前記グラウンド点が前記主グラウンド点に電気的に接続され、
前記スモールアンテナモジュールは、少なくとも1つのスモールアンテナユニットを備え、前記スモールアンテナユニットが前記回路基板に設置されている給電点と少なくとも1つのグラウンド点とを備え、前記給電点が前記第2の金属部に電気的に接続され、前記グラウンド点が前記主グラウンド点に電気的に接続され、
前記第1のスリットの両端がそれぞれ前記第3の側壁、および、前記第4の側壁における前記第1の側壁に接近する側縁まで延在するとともに、前記第2のスリットの両端がそれぞれ前記第3の側壁、および、前記第4の側壁における前記第2の側壁に接近する側縁まで延在し、
前記スモールアンテナモジュールは、それぞれダイバーシティアンテナユニットとGPS・WIFIアンテナユニットである2つのスモールアンテナユニットを備え、
前記ダイバーシティアンテナユニット、および、前記GPS・WIFIアンテナユニットには、それぞれ前記第2の金属部に電気的に接続される1つの給電点が設置され、2つの前記給電点は、2つの前記ボトムススリット間に位置し、2つの前記給電点間には、前記第2の金属部に電気的に接続される幾つかのグラウンドユニットが設置され、前記グラウンドユニットが前記主グラウンド点に電気的に接続されており、
前記GPS・WIFIアンテナユニットは、1つのグラウンド点を備え、前記GPS・WIFIアンテナユニットの給電点と前記グラウンド点は、それぞれ前記GPS・WIFIアンテナユニットの近傍にある前記ボトムススリットの両側に前記第2の金属部に電気的に接続されることを特徴とする全金属バックシェルアンテナシステム。
【請求項6】
前記GPS・WIFIアンテナユニットは、前記GPS・WIFIの給電点と前記グラウンド点との間に位置する無給電アンテナを更に備える、請求項に記載の全金属バックシェルアンテナシステム。
【請求項7】
前記無給電アンテナはL型であり、前記無給電アンテナの一端がグラウンドされる、請求項に記載の全金属バックシェルアンテナシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信分野に関し、特に、移動端末アンテナシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信技術の発展に伴い、人々の娯楽および生活における種々の電子製品の役割は重要であるとともに、多くの電子製品は、徐々に通信機能を有する電子通信製品へと世代更新されている。このような中で、アンテナシステムは、電子通信製品の中心部材の1つである。
【0003】
放射部は、アンテナシステムの重要な部材である。従来、電子通信製品においては、アンテナシステムの放射部がプラスチックリアカバー面に設置されている。プラスチックリアカバーは、アンテナシステムの放射を遮蔽することがないので、このような方式は、比較的実現しやすい。
【0004】
しかしながら、消費者の需要の変化に伴い、電子通信製品に対しては、その応用機能の他に、その外観、質感等に対する要求もますます高まっており、金属ケースの通信製品に対する人気がますます増大している。ところで、電磁波は、金属を透過することができないので、アンテナシステムを単に金属ケース内に設置するだけでは、アンテナ性能検出基準を満たすことができない。従来、金属リアカバーにスリットを設置する方法によって信号を放射するものがあるが、このような方法では、電子通信製品の構造全体における完全性を損害してしまう。
【0005】
よって、上述した問題を解決するために、新たなアンテナシステムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術問題は、遮蔽度が良く、金属バックシェルの完全性を最大限度に保つことができ、外見が良い全金属バックシェルアンテナシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術問題を解決するために、本発明は、主体部と、前記主体部から曲がって延在する側壁とを備える金属バックシェルと、主グラウンド点を有する回路基板と、前記回路基板に電気的に接続されるマスターアンテナモジュール、および、スモールアンテナモジュールとを備え、前記側壁が相対して設置された第1の側壁と第2の側壁、および、相対して設置された第3の側壁と第4の側壁とを含む全金属バックシェルアンテナシステムであって、
前記金属バックシェルには、前記第1の側壁と前記主体部との連結箇所に位置する第1のスリットと、前記第2の側壁と前記主体部との連結箇所に位置する第2のスリットとが設けられ、
前記第1のスリット、および、前記第2のスリットは、前記金属バックシェルを、前記第1の側壁を含む第1の金属部と、前記第2の側壁を含む第2の金属部と、前記第1の金属部と前記第2の金属部との間に位置する第3の金属部とに分け、
前記第1の金属部、前記第2の金属部、および、前記第3の金属部は、互いに絶縁され、
前記第1の金属部は、最短経路で前記第1の側壁の縁と前記第1のスリットとを貫通するアップスリットを備え、前記第2の金属部には、最短経路で前記第2の側壁の縁と前記第2のスリットとを貫通するボトムススリットが少なくとも1つ含まれ、
前記マスターアンテナモジュールは、前記回路基板に設置されている整合回路と、主給電点と、少なくとも1つのグラウンド点を備え、前記主給電点が前記第1の金属部に電気的に接続され、前記グラウンド点が主グラウンド点に電気的に接続され、
前記スモールアンテナモジュールは、少なくとも1つのスモールアンテナユニットを備え、前記スモールアンテナユニットが前記回路基板に設置されている給電点と少なくとも1つのグラウンド点とを備え、前記給電点が前記第2の金属部に電気的に接続され、前記グラウンド点が前記主グラウンド点に電気的に接続されることを特徴とする全金属バックシェルアンテナシステムを提供する。
【0008】
前記アップスリットは、前記第3の側壁、または、前記第4の側壁に接近して設置され、前記主給電点は、前記アップスリットから遠く離れた位置で前記第1の金属部に電気的に接続されることが好ましい。
【0009】
前記整合回路は、第1のインダクタンスと、前記第1のインダクタンスに並列接続される第1の静電容量と、前記第1の静電容量のオンオフを制御し、前記第1の静電容量に直列接続される静電容量スイッチと、前記第1のインダクタンスに直列接続される第2の静電容量と、前記第2の静電容量に並列接続される第2のインダクタンスと、前記第1の金属部がグラウンドされるか否かを制御し、前記アップスリットと前記主給電点との間に設置されているグラウンドスイッチとを備えることが好ましい。
【0010】
前記マスターアンテナモジュールは、前記主給電点よりも前記アップスリットから遠く離れる位置に前記第1の金属部に電気的に接続される1つのグラウンド点を有することが好ましい。
【0011】
前記スモールアンテナモジュールは、それぞれダイバーシティアンテナユニットとGPS・WIFIアンテナユニットである2つのスモールアンテナユニットを備えることが好ましい。
【0012】
前記ダイバーシティアンテナユニット、および、前記GPS・WIFIアンテナユニットには、それぞれ前記第2の金属部に電気的に接続される1つの給電点が設置され、2つの前記給電点は、2つの前記ボトムススリット間に位置し、2つの前記給電点間には、前記第2の金属部に電気的に接続される幾つかのグラウンドユニットが設置され、前記グラウンドユニットが前記主グラウンド点に電気的に接続されていることが好ましい。
【0013】
前記ダイバーシティアンテナユニットは、1つのグラウンド点を備え、前記ダイバーシティアンテナユニットの給電点と前記グラウンド点は、それぞれ前記ダイバーシティアンテナユニットの給電点から近い前記ボトムススリットの両側に前記第2の金属部に電気的に接続されることが好ましい。
【0014】
前記GPS・WIFIアンテナユニットは、1つのグラウンド点を備え、前記GPS・WIFIアンテナユニットの給電点と前記グラウンド点は、それぞれ前記GPS・WIFIアンテナユニットから近い前記ボトムススリットの両側に前記第2の金属部に電気的に接続されることが好ましい。
【0015】
前記GPS・WIFIアンテナユニットは、前記GPS・WIFIの給電点と前記グラウンド点との間に位置する無給電アンテナを更に備えることが好ましい。
【0016】
前記無給電アンテナはL型であり、前記無給電アンテナの一端がグラウンドされることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の前記全金属バックシェルアンテナシステムは、第1のスリットが第1の側壁と主体部との連結箇所に位置し、第2のスリットが第2の側壁と主体部との連結箇所に位置し、金属バックシェル全体が、マスターアンテナモジュール放射部としての第1の金属部およびスモールアンテナ放射部としての第2の金属部に分けられる。このため、金属バックシェルの完全性を最大限度に保つことができ、全体の構造は外見が良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの構造を示す模式図である。
図2図2は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムにおける第3の金属部を取り除いた構造を示す模式図である。
図3図3は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの金属バックシェルを示す斜視構造模式図である。
図4図4は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの金属バックシェルを他の角度から見た斜視構造模式図である。
図5図5は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムにおける図2のA部分の拡大図である。
図6図6は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのマスターアンテナモジュールの整合回路を示す模式図である。
図7図7は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムにおける図2のB部分の拡大図である。
図8図8は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのマスターアンテナモジュールの3つの動作状態の周波数−ゲイン特性を示すグラフである。
図9図9は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのマスターアンテナモジュールの3つの動作状態の周波数−効率特性を示すグラフである。
図10図10は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのダイバーシティアンテナユニットの周波数−ゲイン特性を示すグラフである。
図11図11は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのダイバーシティアンテナユニットの周波数−効率特性を示すグラフである。
図12図12は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのGPS・WIFIアンテナユニットの周波数−ゲイン特性を示すグラフである。
図13図13は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのGPS・WIFIアンテナユニットの周波数−効率特性を示すグラフである。
図14図14は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのダイバーシティアンテナユニットおよびGPS・WIFIアンテナユニットの遮蔽度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面、および、実施形態を結合して、本発明をさらに説明する。
【0020】
図1と、図2とを参照する。図1は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの構造を示す模式図であり、図2は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムにおける第3の金属部を取り除いた構造を示す模式図である。
【0021】
全金属バックシェルアンテナシステム1は、金属バックシェル11と、回路基板13と、マスターアンテナモジュール15と、スモールアンテナモジュール17とを備える。マスターアンテナモジュール15、および、スモールアンテナモジュール17は、回路基板13に電気的に接続されている。
【0022】
図3は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの金属バックシェルを示す斜視構造模式図である。また、図4は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの金属バックシェルを他の角度から見た斜視構造模式図である。
【0023】
図3、および、図4に示すように、金属バックシェル11は、主体部11aと、第1の側壁11bと、第2の側壁11cと、第3の側壁11dと、第4の側壁11eとを備える。第1の側壁11b、第2の側壁11c、第3の側壁11d、および、第4の側壁11eは、主体部11aから曲がって延在してなり、第1の側壁11bと第2の側壁11cとが相対して設置され、第3の側壁11dと第4の側壁11eとが相対して設置される。
【0024】
金属バックシェル11には、それぞれ第1のスリット111と第2のスリット113との2つのスリットが設置され、第1のスリット111と第2のスリット113は、設置された位置だけが異なり、構造は同じである。第1のスリット111、および、第2のスリット113の横幅は、約1.5mmである。
【0025】
第1のスリット111が第1の側壁11bと主体部11aのとの連結箇所に位置し、第2のスリット113が第2の側壁11cと主体部11aとの連結箇所に位置する。具体的には、第1のスリット111は、第1の側壁11bと主体部11aとの連結箇所に位置し、その両端がそれぞれ第3の側壁11dと第4の側壁11eにおける第1の側壁11bに接近する側縁まで延在している。第2のスリット113は、第2の側壁11cと主体部11aの連結箇所に位置し、その両端がそれぞれ第3の側壁11dと第4の側壁11eにおける第2の側壁11cに接近する側縁まで延在する。第1のスリット111、および、第2のスリット113は、金属バックシェル11を、第1の側壁11bを含む第1の金属部115と、第2の側壁11cを含む第2の金属部117と、第1の金属部115と第2の金属部117との間に位置する第3の金属部119とに分け、第1の金属部115、第2の金属部117、および、第3の金属部119は、互いに絶縁されている。
【0026】
第1の金属部115と第2の金属部117とは、それぞれマスターアンテナ放射部、および、スモールアンテナ放射部として用いられている。
【0027】
図5は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのマスターアンテナモジュール15の構造模式図である。
【0028】
第1の金属部115は、第1の側壁11bと、アップスリット1151と、仮想破断スリット1153とを備える。アップスリット1151は、最短経路で第1の側壁11bの縁と第1のスリット111を貫通する。アップスリット1151は、第3の側壁11dまたは第4の側壁11eに接近して設置することができるが、本実施例においては、第4の側壁11eに接近して設置されている。
【0029】
仮想破断スリット1153は、絶縁材料コーティングであり、第1の側壁11bの表面に塗布されている。仮想破断スリット1153は、第1の金属部115と第2の金属部117とを同じ構造にするために設置されているものであり、第1の側壁11bを物理的に分離させることがないため、アンテナ信号には影響を与えない。
【0030】
マスターアンテナモジュール15は、主給電点151と、整合回路153と、グラウンド点155とを備える。整合回路153は回路基板13に設置されている。主給電点151は、アップスリット1151から遠く離れた位置に設置され、第1の金属部115に電気的に接続される。
【0031】
図6は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのマスターアンテナモジュールの整合回路を示す模式図である。
【0032】
図6に示すように、整合回路153は、グラウンドスイッチ1531と、静電容量スイッチS1と、第1のインダクタンスL1と、第2のインダクタンスL2と、第1の静電容量C1と、第2の静電容量C2とを備える。
【0033】
グラウンドスイッチ1531は、アップスリット1151と主給電点151との間に設置され、第1の金属部115がグラウンドされるか否かを制御する。第1の静電容量C1は、第1のインダクタンスL1に並列接続され、静電容量スイッチS1は、第1の静電容量C1に直列接続され、第1の静電容量C1のオンオフを制御する。第2の静電容量C2は、第1のインダクタンスL1に直列接続され、第2のインダクタンスL2に並列接続される。
【0034】
本実施例においては、グラウンド点155は、1つしか設置されておらず、主給電点151よりもさらにアップスリット1151から遠く離れる位置に設置され、第1の金属部115に電気的に接続される。
【0035】
マスターアンテナモジュール15は、静電容量スイッチS1とグラウンドスイッチ1531との異なる状態を組み合わせることにより、マスターアンテナモジュール15の3つの動作周波数バンドを実現することができる。静電容量スイッチS1と前記グラウンドスイッチ1531の異なる状態は以下の通りである。
【0036】
1つ目の状態:静電容量スイッチS1とグラウンドスイッチ1531とは、いずれもオフ状態にある。このとき、主給電点151またはグラウンド点155は、第1の金属部115に電気的に接続され、マスターアンテナモジュール15の動作周波数バンドは、GSM900規格、および、2300MHz〜2400MHzである。
【0037】
2つ目の状態:静電容量スイッチS1とグラウンドスイッチ1531とは、いずれもオン状態にある。このとき、主給電点151またはグラウンド点155は、第1の金属部115に電気的に接続され、グラウンドスイッチ1531は、第1の金属部115に電気的に接続され、マスターアンテナモジュール15の動作周波数バンドは、1710MHz〜2170MHz、および、2500MHz〜2690MHzである。
【0038】
3つ目の状態:静電容量スイッチS1は、オフ状態にあり、グラウンドスイッチ1531は、オン状態である。全金属バックシェルアンテナシステム1の動作周波数バンドは、GSM850規格、および、2300MHz〜2400MHzである。
【0039】
図8は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのマスターアンテナモジュールの3つの動作状態の周波数−ゲイン特性を示すグラフである。マスターアンテナモジュール15の3つの動作状態に対応する周波数−ゲイン特性グラスから分かるように、マスターアンテナモジュール15の3つの動作状態は、いずれも性能が良好である。
【0040】
図9は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのマスターアンテナモジュールの周波数−効率特性グラフである。
【0041】
それぞれの動作周波数バンドに対応する平均効率は、次の通りである:
GSM850規格の場合、平均効率は51.90%、GSM900規格の場合、平均効率は51.20%、1710MHz〜2170MHzの場合、平均効率は64.90%、2300MHz〜2400MHzの場合、平均効率は65.90%、2500MHz〜2690MHzの場合、平均効率は63.30%である。
【0042】
動作周波数バンドの平均効率から分かるように、マスターアンテナモジュール15は、効率が良好である。
【0043】
図7は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのスモールアンテナモジュールの構造模式図である。第2の金属部117は、第2の側壁11cと、少なくとも1つのボトムススリット1171とを備え、本実施例において、間隔を空けて2つのボトムススリット1171が設置されている。
【0044】
ボトムススリット1171は、最短経路で第2の側壁11cの縁、および、第2のスリット113を貫通する。以下に、説明の便利のため、ボトムススリット1171は、第4の側壁11eに接近するボトムススリット1171aと、第3の側壁11dに接近するボトムススリット1171bに分けられ、両者は、位置だけが異なる。アップスリット1151、および、仮想破断スリット1153は、2つのボトムススリット1171に対応して設置されるので、金属バックシェルアンテナシステム1全体は構造がより良い。
【0045】
スモールアンテナモジュール17は、1つ、または、複数のスモールアンテナユニットを備えてもよい。本実施例においては、スモールアンテナモジュール17は、それぞれダイバーシティアンテナユニット171とGPS・WIFIアンテナユニット173との2つのスモールアンテナユニットを備える。
【0046】
ダイバーシティアンテナユニット171は、グラウンド点1711と給電点1713とを備える。グラウンド点1711は、少なくとも1つが設置されており、複数のグラウンド点1711は、ダイバーシティアンテナユニット171の複数の動作周波数バンドを実現することができる。本実施例において、グラウンド点1711は、1つしか設置されていない。グラウンド点1711と給電点1713とは、それぞれ給電点1713から近いボトムススリット1171aの両側に設置され、それぞれ第2の金属部117に電気的に接続される。
【0047】
GPS・WIFIアンテナユニット173は、グラウンド点1731と、無給電アンテナ1733と、給電点1735とを備える。グラウンド点1731は、少なくても1つが設置され、GPS・WIFIアンテナユニットの複数の周波数バンドを実現するために用いられる。本実施例においては、グラウンド点1731は、1つ設置されていない。グラウンド点1731と給電点1713とは、それぞれ給電点1735から近いボトムススリット1171bの両側に設置され、それぞれ第2の金属部117に電気的に接続される。無給電アンテナ1733は、L型であり、その一端がグラウンドされ、給電点1735とグラウンド点1731との間に位置している。
【0048】
ダイバーシティアンテナユニット171の給電点1713と、GPS・WIFIアンテナユニット173の給電点1735との間には、幾つかのグラウンドユニットが設置されている。本実施例においては、2つのグラウンドユニット1737が、給電点1713と給電点1735との間に位置する。グラウンドユニット1737は、1つの導体であっても良く、第2の金属部117を、回路基板13の主グラウンド点に接続し、ダイバーシティアンテナユニット171とGPS・WIFIアンテナユニットとの間の遮蔽度を高め、2つのアンテナユニット間の信号干渉を低下することができる。当然ながら、グラウンドユニットは、2つが設置されるものには限られず、1つ、または、3つ以上が設置される場合も同様の理由で本発明の範囲に含まれる。
【0049】
ダイバーシティアンテナユニット171は、1880MHzと2600MHzとの2つの動作周波数を備え、1880MHzの動作周波数が無給電アンテナにより生成され、2600MHzの動作周波数がPIFAアンテナにより生成される。
【0050】
図10は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのダイバーシティアンテナユニットにおける、周波数−ゲイン特性のグラフである。図11は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの、ダイバーシティアンテナユニットの周波数−効率特性曲線図である。ダイバーシティアンテナユニット171は、ゲインおよび効率がいずれも良好である。
【0051】
GPS・WIFIアンテナユニット173は、静電容量値とインダクタンス値とを調整して、1560MHz、2440MHz、5550MHz、および、5820MHzとの4つの動作周波数を実現した。1560MHzの動作周波数がPIFAアンテナにより生成され、2440MHzの動作周波数が無給電アンテナにより生成され、5550MHzの動作周波数がPIFA高階アンテナにより生成され、5820MHzの動作周波数が無給電アンテナ1733により生成される。
【0052】
図12は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの、GPS・WIFIアンテナユニットの周波数−ゲイン特性を示すグラフである。図13は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムの、GPS・WIFIアンテナユニットの周波数−効率特性を示すグラフである。GPS・WIFIアンテナユニット173は、ゲインおよび効率がいずれも良好である。
【0053】
図14は、本発明の全金属バックシェルアンテナシステムのダイバーシティアンテナユニットとGPS・WIFIアンテナユニットの遮蔽度のグラフである。ダイバーシティアンテナユニット171とGPS・WIFIアンテナユニット173とは、第2の金属部117を放射部として共用し、GPSアンテナの近くの遮蔽度が比較的良くない以外に、多くの周波数バンドの遮蔽度が良好であり、放射効果が理想である。
【0054】
以上説明してきたように、本発明の全金属バックシェルアンテナシステム1においては、第1のスリット111が第1のスリット11bと主体部11aの連結箇所に位置し、第2のスリット113が第2の側壁11cと主体部11aの連結箇所に位置する。このため、金属バックシェル11全体が、マスターアンテナモジュール放射部としての第1の金属部115と、スモールアンテナ放射部としての第2の金属部117とに分けられ、金属バックシェル11の完全性を最大限度に保つことができ、全体の外見が良い。
【0055】
なお、上述したのは、本発明の実施形態にすぎず、当業者は、本発明の発明構想を逸脱しない限り、更に改良することができるが、これらの改良は、いずれも本発明の保護請求範囲に属する。
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