(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記差動増幅器の出力と前記出力側トランジスタとの間に位置する第1のスイッチを更に含み、前記第1のスイッチは前記複数の電気パルスプログラムの1つに応じて閉じられる、請求項6に記載の神経刺激システム。
1つ又はいくつかの入力側トランジスタを更に含み、前記1つ又はいくつかの出力トランジスタは、前記1つ又はいくつかの入力側トランジスタにミラー連結されている、請求項12に記載の神経刺激システム。
【背景技術】
【0003】
典型的にはFES用途では、電流刺激装置は、対象となる神経筋組織を刺激するために、電極を通じて供給されるプログラマブル電流パルスを供給するのに使用される。電極を通じて供給される電流パルスの振幅と持続時間は、通常ディジタル・アナログ変換器(DAC)を通じてプログラムされる。DACからの電流出力は通常、電流刺激装置で所望の出力電流振幅に増幅される。電流増幅は、典型的には、電流ミラー回路を使用して達成され、特にMOSFETデバイスでは、電流利得が、電流ミラー回路の入力側及び出力側トランジスタのデバイス半導体ダイの幅(W)対長さ(L)の比(W/L)を制御することにより、達成される。例えば、
図1の従来技術の電流ミラー回路では、入力側トランジスタM1と出力側トランジスタM2のW/L比により、全体の電流利得が決定される。
【0004】
供給される電流の振幅に関するエラーが、主に、刺激装置の有限出力インピーダンス及び入力側トランジスタM1と出力側トランジスタM2との間のいくつかの不一致エラーにより生じる。刺激装置の出力インピーダンスの影響を補償するための1つの技法は、刺激装置の出力インピーダンスを増加させるために、カスコード構成のトランジスタMC1及びMC2を備えるように、
図1の回路を構成することにある。典型的には、出力側トランジスタと出力側トランジスタの不一致を補償するため、トランジスタのW及び/又はLは通常増加する。しかしながら、デバイスのW及びLが増加する負の影響としては、増加したトランジスタ容量のせいで、ターンオンからターンオフまでとその逆との間で、刺激装置の応答時間が著しく減速することである。この減速は、特に刺激装置の電流が低電流振幅のためにプログラムされるときに、認識される。
【0005】
最先端の用途では、刺激装置の出力電流は、単に1つの電極を通じてではなく、複数の電極を通じて個々にかつ独立してプログラムされるべきであると意図されている。
図2Aに示すように候補の回路では、カスコードトランジスタを多数のカスコードトランジスタ、すなわち、出力電流をそれぞれの「負荷」に供給するトランジスタMC(2)〜MC(n)に分けることができ、全体の出力電流が入力DAC電流の電流利得K倍に等しいことを意図される。出力電流を供給する出力OUT(2)〜OUT(n)の数は、特定のトランジスタをオンにするため個々のカスコードトランジスタのゲートを電圧源VBPに切り替えて、かつ特定のトランジスタをオフにするためVSに切り替えることにより制御可能である。かかる場合では、個々の出力電流、並びに個々の出力電流の総和は、出力それぞれにおいて異なる電極/組織インピーダンス及び電圧の関数として変化するであろう。
【0006】
図2Bに示すように、これらの変動を低減する1つの技法は、刺激装置の動作を調節するために、差動増幅器又は演算増幅器(オペアンプ)を使用することである。かかる場合では、Aと指定されるオペアンプ20への一方の入力は、カスコードトランジスタMC(2)〜MC(n)のドレインの共通配線であるのに対し、Bと指定されるオペアンプ20への他方の入力は所定の基準電圧である。動作中、
図2Bの調節される設計は、オン又はオフされている出力の数に独立して一定電流ID2がトランジスタM2を流れるので、入力Bにおける電圧と等しい入力Aにおける電圧に維持しようと努力する。しかしながら、多数の異なる電極が電流/刺激の供給のためにプログラムされている場合、オペアンプ20に連結される異なる負荷容量及び負荷のため、この試みは損なわれることがある。また、特に比較的に小さい電流がプログラムされ、多数の電力が使用可能な場合、長いターンオン時間及びターンオフ時間が見込まれる。出力で高電圧に対応するため、カスコードトランジスタのための高電圧トランジスタを使用する場合は特に、この状況はいっそう悪くなる。高電圧トランジスタは通常、高い閾値電圧を有し、それは通常、トランジスタがオンする前に、閾値電圧まで充電するのに長い時間を必要とする。いくつかの例では、必要とされるものは、連続した校正を要件とせず、かつトランジスタのダイ面積を小さくした設計を用いずに、複数の電極用途に対して出力電流精度を改善するための回路の設計であってもよい。電流利得Kを確立する際、少なくともいくつかの例では、利得を確立するため、トランジスタのダイサイズへの依存しない、かつ抵抗などのより信頼性の高いパラメータへの依存しないようにすることが望ましいことがある。
【0007】
更に、特に大電流値を出力可能な多数のプログラマブル刺激電極で、小さい出力電流の供給条件を含む異なる出力電流値の下で高速ターンオン時間を確保するために、いくつかの例では、設計は有用である場合がある。しかしながら、多くの刺激装置の設計においては、小さな出力電流値を供給するためのターンオン時間は通常、非常に長い。これは主に、トランジスタの寄生容量、特にゲート−ソース間容量を充電するため、小さい出力電流値用のトランジスタに流すのに、小さい電流しか利用できないという事実に起因する。特に、大きい電圧出力を有するようにプログラムされ得る高電圧刺激装置では、ターンオン時間は更に長い。これらの高電圧刺激装置では、非常に大きい高電圧トランジスタが必要とされるのは、これらのトランジスタの利得が比較的低いので、大出力電流値が要求されるためである。また、これらの高電圧トランジスタに関連する比較的高い閾値電圧により、これらの高電圧トランジスタをオンするために、小さい電流出力でゲート−ソース間電圧を、この閾値電圧より高くまで充電するのにより長い時間がかかるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非限定的な一実施形態は、対のトランジスタ、好ましくは、MOSFETトランジスタを含み、それぞれの対は電流ミラー構造で接続され、供給トランジスタにカスコード構成で連結される。トランジスタのそれぞれの対は、入力側トランジスタと出力側トランジスタを有し、それぞれの対の出力側トランジスタはそれぞれの対応する組織刺激電極に電気的に連結されている。したがって、出力側トランジスタは、複数電流刺激装置性能を提供するための回路を実装する。本発明はまた、基準電圧に連結される1つの入力と、出力側トランジスタ及び供給トランジスタを駆動する出力に連結される別の入力とを有する演算増幅器又は差動増幅器を含む。定常状態では、演算増幅器は、出力側トランジスタにおける電圧を、基準電圧に等しい電圧に維持する。
【0009】
いくつかの例では、電流源は第1の抵抗器を通じて定電流を供給し、基準電圧を設定し、電圧源は第2の抵抗器を通じて刺激電流全てを供給し、出力側トランジスタにおいて電圧を設定する。全刺激電流を供給するための定電流の値を乗算する係数を表す電流利得Kは、第1の抵抗器と第2の抵抗器の値の比に等しい。このように、本発明は、対応する半導体チップにおいて規定されるMOSFETトランジスタの幅と長さの値への依存性を回避するが、要求される電流利得を達成するためにより信頼性のある抵抗値に依存する。
【0010】
いくつかの例では、有利には、回路がターンオンにて、演算増幅器の出力は、増幅器の入力電圧の差により非常に大きく、そのため、演算増幅器によって駆動される供給トランジスタは、大きな初期電流を供給し、出力側トランジスタに関連する容量を放電することにより、刺激装置のターンオン時間が、刺激装置の出力数からほぼ独立して大幅に改善(減少)する。
【0011】
本開示の一実施形態は、末梢移植可能な神経刺激システムに関する。末梢移植可能な神経刺激システムは、基準電流を生成する基準電流発生器と、複数出力電流刺激装置回路とを含むパルス発生器を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数出力電流刺激装置回路は、例えば、基準電流発生器に接続され得る電流源を含むことができる。複数出力電流刺激装置回路は、電流源に連結され、基準電圧を供給するための第1の抵抗器と、出力電流を供給するための電流出力端子を有する少なくとも1つの出力側トランジスタとを含むことができる。いくつかの実施形態では、複数出力電流刺激装置回路は、電圧源と前記少なくとも1つの出力側トランジスタとの間に連結され、共通検出電圧を出力する第2の抵抗器と、差動増幅器とを含むことができる。いくつかの実施形態では、差動増幅器は、基準電圧に連結された第1の入力、共通検出電圧に連結された第2の入力、及び前記基準電圧と前記共通検出電圧との間の差の関数として、前記少なくとも1つの出力側トランジスタを駆動するように構成された出力、を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システムは、パルス発生器に接続されるリード線を含むことができる。このリード線は複数の導電性電極と複数の非導電性領域を含むことができる。末梢移植可能な神経刺激システムのいくつかの実施形態では、パルス発生器は、例えば、パルス発生器によって生成される電気パルスの周波数及び強度に影響を与える複数の電気パルスプログラムを含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システムは、複数の電気パルスプログラムのうち1つを作成するためにパルス発生器と通信することができる制御装置及び/又は複数の電気パルスプログラムのうち1つを選択するためにパルス発生器と通信することができる制御装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システムは、差動増幅器の出力と出力側トランジスタとの間に位置する第1のスイッチを含むことができる。第1のスイッチを、複数の電気パルスプログラムのうち1つに応じて、閉じることができる。
【0014】
本開示の一実施形態は、末梢移植可能な神経刺激システムに関する。このシステムは、1つ又はいくつかの電気パルスを発生することができるパルス発生器を含むことができる。パルス発生器は、基準電流を生成することができる電流発生器と、刺激装置回路を含む刺激装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、刺激装置回路は、第1の抵抗器と第2の抵抗器の抵抗比に応じて、基準電流を増幅する。このシステムは、パルス発生器に接続される1つ以上のリード線を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のリード線は1つ以上の電極を含むことができ、1つ以上のリード線は、パルス発生器から1つ以上の電極に1つ又はいくつかの電気パルスを伝導することができる。
【0015】
末梢移植可能な神経刺激システムのいくつかの実施形態では、刺激装置回路は、第1の入力と第2の入力とを有する差動増幅器を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の抵抗器を第1の入力に連結することができ、第2の抵抗器を第2の入力に連結することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システムは、第2の抵抗器と電気的に接続される複数の出力を含み、このシステムのいくつかの実施形態では、第2の抵抗器を流れる刺激装置出力電流は出力を流れる電流の和に等しい。末梢移植可能な神経刺激システムのいくつかの実施形態では、第1の抵抗器及び第2の抵抗器の1つ又は両方は複数の抵抗器であってもよい。末梢移植可能な神経刺激システムのいくつかの実施形態では、第1の抵抗器の複数の抵抗器は直列に配置されてもよく、及び/又はいくつかの実施形態では、第2の抵抗器の複数の抵抗器は並列に配置されてもよい。
【0017】
本開示の一実施形態は、末梢移植可能な神経刺激システムに関する。このシステムは、1つ又はいくつかの電気パルスを発生することができるパルス発生器を含むことができる。パルス発生器は、基準電流を生成することができる電流発生器と、刺激装置回路を含む刺激装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、刺激装置回路は、1つ又はいくつかの出力トランジスタの1つ又はいくつかのゲートに接続される出力を有する供給トランジスタを含むことができる。このシステムは、パルス発生器に接続される1つ以上のリード線を含むことができ、1つ以上のリード線は1つ以上の電極を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のリード線は、パルス発生器から1つ以上の電極に1つ又はいくつかの電気パルスを伝導することができる。
【0018】
末梢移植可能な神経刺激システムのいくつかの実施形態では、供給トランジスタのドレインが、1つ又はいくつかの出力トランジスタの1つ又はいくつかのゲートに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システムは、差動増幅器を含むことができる。いくつかの実施形態では、差動増幅器の出力は供給トランジスタを駆動するように構成されてもよい。
【0019】
本開示の一実施形態は、神経障害性疼痛を治療する方法に関する。この方法は、体の末梢部内に1つ又はいくつかの電気パルスを生成することができるパルス発生器を移植する工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、第1の抵抗器と第2の抵抗器の抵抗比に応じて、基準電流を増幅することができる刺激装置回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上の電極を含むことができるリード線を体の末梢部内に移植する工程と、リード線の1つ以上の電極を末梢神経に近接して配置する工程と、リード線をパルス発生器に接続する工程と、を含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、神経障害性疼痛を治療する方法は、パルス発生器で電気パルスを生成する工程と、電気パルスをリード線で末梢神経に伝導する工程と、を更に含むことができる。
【0021】
本開示の一実施形態は、神経障害性疼痛を治療する方法に関する。この方法は、体の末梢部内に1つ又はいくつかの電気パルスを生成することができるパルス発生器を移植する工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、1つ又はいくつかの出力トランジスタの1つ又はいくつかのゲートに接続される出力を有する供給トランジスタを含むことができる刺激装置回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の電極を含むことができるリード線を体の末梢部内に移植する工程と、リード線の1つ以上の電極を末梢神経に近接して配置する工程と、リード線をパルス発生器に接続する工程と、を含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、神経障害性疼痛を治療する方法は、パルス発生器で電気パルスを生成する工程と、電気パルスをリード線で末梢神経に伝導する工程と、を含むことができる。
【0023】
本開示の一実施形態は、末梢移植可能な神経刺激システムに関する。システムは、1つ又はいくつかの電気パルスを発生することができるパルス発生器を含む。パルス発生器は、基準電流を生成することができる電流発生器と、刺激装置回路を含む刺激装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、刺激装置回路は、50mA未満の出力電流に対して5us未満のターンオン時間を有する。いくつかの実施形態では、このシステムは、パルス発生器に接続される1つ以上のリード線を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のリード線は1つ以上の電極を含むことができ、1つ以上のリード線は、パルス発生器から1つ以上の電極に1つ又はいくつかの電気パルスを伝導することができる。
【0024】
末梢移植可能な神経刺激システムのいくつかの実施形態では、ターンオン時間が、200uA〜25mAの出力電流に対して2us未満である。末梢移植可能な神経刺激システムのいくつかの実施形態では、ターンオン時間が、200uA〜25mAの出力電流に対して0.5〜2usである。末梢移植可能な神経刺激システムのいくつかの実施形態では、パルス発生器は、50usのパルス幅を有する少なくとも1つの電気パルスを生成することができる。
【0025】
本開示の一実施形態は、神経刺激システムに関する。神経刺激システムは移植可能なパルス発生器を含む。いくつかの実施形態では、移植可能なパルス発生器は第1の抵抗と、第1の抵抗間に延在する基準電圧又は第1の抵抗を流れる基準電流のうち少なくとも1つである基準信号を生成することができる基準信号発生器と、第2の抵抗とを含む。いくつかの実施形態では、神経刺激システムは複数の電極出力と、基準信号を全出力信号に増幅することができる複数出力刺激装置とを含むことができる。いくつかの実施形態では、全出力信号は、第2の抵抗間に延在する全出力電圧又は第2の抵抗を流れる全出力電流の少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態では、複数出力刺激装置は、全出力信号を複数の電極出力のうち少なくともいくつに分配することができる。いくつかの実施形態では、複数出力刺激装置による増幅の利得値が第1の抵抗及び第2の抵抗に基づいている。いくつかの実施形態では、神経刺激システムは、複数の電極出力に連結され得る複数の電極を含む1つ以上のリード線を含むことができる。
【0026】
神経刺激システムのいくつかの実施形態では、複数出力刺激装置による増幅の利得値が、第2の抵抗により除算される第1の抵抗に等しい。神経刺激システムのいくつかの実施形態では、第1の抵抗は、直列の複数の抵抗器を含み、いくつかの実施形態では、第2の抵抗は、並列の複数の抵抗器を含むことができる。神経刺激システムのいくつかの実施形態では、移植可能なパルス発生器は人体の末梢部に移植するために大きさを決められ、人体の末梢部は腕、脚、手、及び足の1つであってもよい。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
基準電圧を供給するための基準電圧源と、
複数の入力側トランジスタと、
複数の出力側トランジスタの電流ミラーが前記入力側トランジスタのそれぞれに連結された複数の出力側トランジスタであって、前記出力側トランジスタが共通検出電圧を供給するように一緒に連結され、前記出力側トランジスタのそれぞれ1つがそれぞれの出力電流を供給するための電流出力端子を有する、複数の出力側トランジスタと、
それぞれの入力側トランジスタと所定の電圧ポートとの間でカスコード構成で切り替え可能に連結された供給トランジスタと、
前記基準電圧に連結された第1の入力、前記共通検出電圧に連結された第2の入力、及び前記基準電圧と前記共通検出電圧との間の差の関数として、前記供給トランジスタを駆動するように構成された出力、を含む差動増幅器と、
前記対応する入力側トランジスタの電流にしたがって、前記対応する電流ミラー出力側トランジスタにそれぞれの出力電流を供給させるように、前記入力側トランジスタのそれぞれ1つを選択的に作動させるように構成されるスイッチング制御回路と、を備える複数出力電流刺激装置回路。
(項目2)
電流源と、前記電流源に連結され、前記基準電圧を供給するための第1の抵抗器とを更に備える項目1に記載の刺激装置回路。
(項目3)
電圧源と前記出力側トランジスタとの間に連結され、それにより前記共通検出電圧を供給する第2の抵抗器を更に備える、項目2に記載の刺激装置回路。
(項目4)
前記電圧源と前記入力側トランジスタとの間に連結され、電流をそれぞれの入力側トランジスタに供給するための第3の抵抗器を更に備える、項目3に記載の刺激装置回路。
(項目5)
前記それぞれの出力電流の合計は前記電流源によって供給される電流に定数Kを乗算したものに等しく、定数Kは前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器の比に等しい、項目3に記載の刺激装置回路。
(項目6)
前記入力側トランジスタ及び前記出力側トランジスタは、幅(W)と長さ(L)を有するMOSFETトランジスタであり、それぞれのトランジスタのW/L比は1:Lに等しく構成され、前記第3の抵抗器と前記第2の抵抗器の前記抵抗値の比が、L:1に等しく構成され、それによって供給トランジスタにLで除算した記第1及び第2の抵抗器の前記比を、前記電流源電流に乗算したものに等しい電流を供給する、項目3に記載の刺激装置。
(項目7)
前記所定の電圧ポートは接地を含む、項目1に記載の刺激装置。
(項目8)
前記所定の電圧ポートは電圧源を含む、項目1に記載の刺激装置。
(項目9)
第1の複数のスイッチを含み、前記第1の複数のスイッチのそれぞれのスイッチが前記供給トランジスタとそれぞれの入力側トランジスタとの間に接続され、前記スイッチング制御回路は、前記対応する電流ミラーされた出力側トランジスタにそれぞれの出力電流を供給させるように、刺激プロトコロにしたがって前記第1の複数のスイッチを作動させるように構成される、項目1に記載の刺激装置。
(項目10)
第2の複数のスイッチを含み、前記第2の複数のスイッチのそれぞれのスイッチが前記電圧源とそれぞれの入力側トランジスタとの間に接続され、前記スイッチング制御回路は、対応する電流ミラーされた出力側トランジスタにそれぞれの出力電流の供給を停止させるように、刺激プロトコロにしたがって前記第2の複数のスイッチを作動させるように構成される、項目9に記載の刺激装置。
(項目11)
前記第1の複数のスイッチ内のスイッチが作動するとき、前記第2の複数のスイッチ内の対応するスイッチが作動しないようにし、前記第1の複数のスイッチのうちのスイッチが作動しないとき、前記第2の複数のスイッチの対応するスイッチが作動するように、前記スイッチング制御回路が前記第1の複数のスイッチと前記第2の複数のスイッチの状態を相補的な方法で制御する、項目10に記載の刺激装置。
(項目12)
前記第1の複数のスイッチの少なくとも1つのスイッチが作動すると、前記基準電圧が供給され、それによって前記少なくとも1つの事前に選択されるスイッチに対応する前記出力側トランジスタに関連する静電容量を放電するように、前記スイッチング制御回路が前記基準電圧源を制御する、項目11に記載の刺激装置。
(項目13)
前記基準電圧を供給すると、前記少なくとも1つの事前に選択されるスイッチに対応する前記出力側トランジスタに関連する静電容量を放電するように前記差動増幅器が前記供給トランジスタを駆動する、項目12に記載の刺激装置。
(項目14)
基準電圧を供給するための基準電圧源と、
少なくとも1つの入力側トランジスタと、
少なくとも1つの出力側トランジスタの電流ミラーが前記少なくとも1つの入力側トランジスタに連結された少なくとも1つの出力側トランジスタであって、共通検出電圧を供給し、出力電流を供給するための電流出力端子を有する、少なくとも1つの出力側トランジスタと、
前記少なくとも1つの入力側トランジスタと電圧ポートとの間でカスコード構成で切り替え可能に連結された供給トランジスタと、
前記基準電圧に連結された第1の入力、前記共通検出電圧に連結された第2の入力、及び前記基準電圧と前記共通検出電圧との間の差の関数として、前記供給トランジスタを駆動するように構成された出力、を含む差動増幅器と、
前記対応する少なくとも1つの入力側トランジスタ電流にしたがって、前記電流ミラーされた少なくとも1つの出力側トランジスタに出力電流を供給させるように、前記少なくとも1つの入力側トランジスタを作動させるように構成されるスイッチング制御回路と、を備える複数出力電流刺激装置回路。
(項目15)
前記電圧ポートは接地している、項目14に記載の刺激装置。
(項目16)
前記所定の電圧ポートは電圧源である、項目14に記載の刺激装置。
(項目17)
末梢移植可能な神経刺激システムであって、
電流源と、
前記電流源と連結され、基準電圧を供給するための第1の抵抗器と、
出力電流を供給するための電流出力端子を有する少なくとも1つの出力側トランジスタと、
電圧源と前記少なくとも1つの出力側トランジスタとの間に連結され、それによって共通検出電圧を提供する第2の抵抗器と、
前記基準電圧に連結された第1の入力、前記共通検出電圧に連結された第2の入力、及び前記基準電圧と前記共通検出電圧との間の差の関数として、前記少なくとも1つの出力側トランジスタを駆動するように構成された出力、を含む差動増幅器と、を含む複数出力電流刺激装置回路を含むパルス発生器を備える、末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目18)
前記パルス発生器と接続されるリード線を更に含み、前記リード線が複数の導電性電極と複数の非導電性領域とを備える、項目17に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目19)
前記パルス発生器が複数の電気パルスプログラムを含む、項目17に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目20)
前記複数の電気パルスプログラムは前記パルス発生器によって生成される電気パルスの周波数及び強度に影響を与える、項目19に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目21)
前記複数の電気パルスプログラムの1つを作成するために前記パルス発生器と通信することができる制御装置を更に含む、項目20に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目22)
前記複数の電気パルスプログラムの1つを選択するために前記パルス発生器と通信することができる制御装置を更に含む、項目20に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目23)
前記差動増幅器の出力と前記出力側トランジスタとの間に位置する第1のスイッチを更に含み、前記第1のスイッチは前記複数の電気パルスプログラムの1つに応じて閉じられる、項目19に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目24)
末梢移植可能な神経刺激システムであって、1つ又はいくつかの電気パルスを生成するように構成されるパルス発生器であって、前記パルス発生器が、
基準電流を生成するように構成される電流発生器と、
第1の抵抗器と第2の抵抗器の抵抗比に応じて、前記基準電流を増幅する刺激装置回路を含む刺激装置と、を含む、パルス発生器と、
前記パルス発生器に接続され、1つ以上の電極を含む1つ以上のリード線であって、前記パルス発生器から前記1つ以上の電極に前記1つ又はいくつかの電気パルスを伝導するように構成される、1つ以上のリード線と、を含む末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目25)
前記刺激装置回路が、第1の入力と第2の入力を有する差動増幅器を含み、前記第1の抵抗器が前記第1の入力に連結され、前記第2の抵抗器が前記第2の入力に連結される、項目24に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目26)
前記第2の抵抗器と電気的に接続される複数の出力を更に含む、項目24に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目27)
前記第2の抵抗器を流れる刺激装置出力電流が前記出力を流れる電流の合計に等しい、項目26に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目28)
前記第1の抵抗器が複数の抵抗器を含む、項目24に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目29)
前記第2の抵抗器が複数の抵抗器を含む、項目28に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目30)
前記第1の抵抗器の前記複数の抵抗器が直列に構成されている、項目29に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目31)
前記第2の抵抗器の前記複数の抵抗器が並列に構成されている、項目30に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目32)
末梢移植可能な神経刺激システムであって、
1つ又はいくつかの電気パルスを生成するように構成されるパルス発生器であって、
基準電流を生成するように構成される電流発生器と、
1つ又はいくつかの出力トランジスタの1つ又はいくつかのゲートに接続される出力を有する供給トランジスタを備える刺激装置回路を含む刺激装置と、を含む、パルス発生器と、
前記パルス発生器に接続され、1つ以上の電極を含む1つ以上のリード線であって、前記パルス発生器から前記1つ以上の電極に前記1つ又はいくつかの電気パルスを伝導するように構成される、1つ以上のリード線と、を含む末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目33)
前記供給トランジスタのドレインが、1つ又はいくつかの出力トランジスタの1つ又はいくつかのゲートに接続されている、項目32に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目34)
差動増幅器を更に含み、前記差動増幅器の出力が前記供給トランジスタを駆動するように構成される、項目33に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目35)
1つ又はいくつかの電気パルスを生成するように構成され、刺激装置回路を含むパルス発生器を体の末梢部に移植する工程であって、前記刺激装置回路が第1の抵抗器と第2の抵抗器の抵抗の比に応じて基準電流を増幅する、工程と、
前記体の末梢部内に、1つ以上の電極を含むリード線を移植する工程と、
前記末梢神経に近接して前記リード線の1つ以上の電極を配置する工程と、
前記リード線を前記パルス発生器に接続する工程と、を含む神経障害性疼痛を治療する方法。
(項目36)
前記パルス発生器で電気パルスを生成する工程と、前記電気パルスを前記リード線で前記末梢神経に伝導する工程と、を更に含む、項目35に記載の神経障害性疼痛を治療する方法。
(項目37)
1つ又はいくつかの電気パルスを生成するように構成され、刺激装置回路を含むパルス発生器を体の末梢部に移植する工程であって、前記刺激装置回路が1つ又はいくつかの出力トランジスタの1つ又はいくつかのゲートに接続される出力を有する供給トランジスタを含む、工程と、
前記体の末梢部内に、1つ以上の電極を含むリード線を移植する工程と、
前記末梢神経に近接して前記リード線の1つ以上の電極を配置する工程と、
前記リード線を前記パルス発生器に接続する工程と、を含む神経障害性疼痛を治療する方法。
(項目38)
前記パルス発生器で電気パルスを生成する工程と、前記電気パルスを前記リード線で前記末梢神経に伝導する工程と、を更に含む、項目31に記載の神経障害性疼痛を治療する方法。
(項目39)
末梢移植可能な神経刺激システムであって、
1つ又はいくつかの電気パルスを生成するように構成されるパルス発生器であって、
電流発生器と、
50mA未満の出力電流に対して5us未満のターンオン時間と、を有する刺激装置回路を含む刺激装置と、を含むパルス発生器と、
前記パルス発生器に接続され、1つ以上の電極を含む1つ以上のリード線であって、前記パルス発生器から前記1つ以上の電極に前記1つ又はいくつかの電気パルスを伝導するように構成される、1つ以上のリード線と、を含む、末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目40)
前記ターンオン時間が、200uA〜25mAの出力電流に対して2us未満である、項目33に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目41)
前記ターンオン時間が、200uA〜25mAの出力電流に対して0.5〜2usである、項目33に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目42)
前記パルス発生器が、50usのパルス幅を有する少なくとも1つの電気パルスを生成するように構成される、項目33に記載の末梢移植可能な神経刺激システム。
(項目43)
神経刺激システムであって、
移植可能なパルス発生器であって、
第1の抵抗、
前記第1の抵抗間を延在する基準電圧、又は前記第1の抵抗を流れる基準電流のうちの少なくとも1つである基準信号を生成するように構成される基準信号発生器、
第2の抵抗、
複数の電極出力、及び
前記基準信号を、前記第2の抵抗間に延在する全出力電圧又は、前記第2の抵抗を流れる全出力電流の少なくとも1つである全出力信号に増幅するように構成され、前記全出力信号を複数の電極出力の少なくともいくつかに分配するように構成される複数出力刺激装置であって、
前記複数出力刺激装置による増幅の利得値が前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗に基づいている、複数出力刺激装置、を含む、移植可能なパルス発生器と、
前記複数の電極出力に連結されるように構成される複数の電極を含む1つ以上のリード線と、を含む、神経刺激システム。
(項目44)
前記複数出力刺激装置による増幅の利得値が前記第2の抵抗により除算される前記第1の抵抗に等しい、項目43に記載の神経刺激システム。
(項目45)
前記第1の抵抗器が直列の複数の抵抗器を含む、項目44に記載の神経刺激システム。
(項目46)
前記第2の抵抗器が並列の複数の抵抗器を含む、項目45に記載の神経刺激システム。
(項目47)
前記移植可能なパルス発生器は人体の末梢部内の移植のために寸法決めされる、項目43に記載の神経刺激システム。
(項目48)
前記人体の末梢部が、腕、脚、手及び、足の1つを含む、項目47に記載の神経刺激システム。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで
図3を参照すると、複数出力電流刺激装置システムの一実施例、具体的には、パルス発生器の一実施形態の全体のブロック図を示す。このシステムは、陽極の複数出力刺激装置ブロック10Aと陰極の複数出力刺激装置ブロック10Bの両方を含む。このシステムは、臨床医によって決定される組織刺激要件に基づいて陽極又は陰極の刺激装置のいずれかを選択することを提供する。陽極及び陰極の刺激装置の出力は、ディジタルレジスター2の対応する「ビット」を設定することにより、選択される。ディジタルレジスター2は、陽極及び陰極の刺激装置の選択を制御するディジタル制御信号DCSを生成する。
図3は2つの刺激装置10A及び10Bを開示しているが、
図4A及び
図4Bを参照する以下の説明は、陽極刺激装置10Aにのみ焦点を当てる。いくつかの実施形態では、陰極刺激装置(
図4A又は4Bには図示せず)用の補完的回路は、陽極刺激装置と同じ動作原理にしたがって機能するので、単に簡潔化のための以下の説明には、含まれないことを理解されたい。
【0029】
ディジタルレジスター2はまた、刺激パルスの持続時間、振幅及びプロファイル、並びに他の動作パラメータに関する情報を格納する。ディジタルレジスター2に格納される情報及びクロック信号に基づいて、刺激制御装置30は所望の刺激パルスの振幅を生成し、ディジタル・アナログ変換器を起動して、出力を生成する。DAC 4の出力に基づいて、基準電流源発生器6は、Isink電流のためのシンク(
図4A及び
図4BではIsinkポートとして示される)を陽極刺激装置に提供し、ソース電流Isourceを陰極刺激装置に供給する。刺激制御装置30はターンオン信号ANOを生成し、陽極刺激装置10Aをオンにし、プログラムされる陽極パルスの振幅、持続時間及びプロファイルに応じて、選択される出力(
図4AのOUT(2)〜OUT(n)及び
図4BのOUT(1)〜OUT(n))で陽極電流を出力する。同様に、刺激制御装置30はまた、ターンオン信号CATを生成し、陰極刺激装置10Bをオンにし、プログラムされる陰極パルスの振幅、持続時間及びプロファイルに応じて、選択される出力で陰極電流を出力する。
【0030】
図4Aを参照すると、電流検出の複数電流刺激装置回路11Aの非限定的な一実施形態の概略図が示される。上述したように、
図4Aは陽極の複数出力刺激装置回路のみを含み、陰極刺激のための補完的な回路は、
図4Aには示されていないが、全体の回路及びシステムに必要に応じて含まれるものと考えられるべきであると理解されたい。更に、本発明はまた、陰極刺激のためであるか、陽極刺激のためであるかにかかわらず、単一の複数出力刺激装置の使用を意図するものと理解されたい。刺激制御装置30から信号ANOが発行されると、Isinkとして示される電流が電圧源VSから抵抗R1を流れ、R1を流れる電流Isinkにより電圧VR1が抵抗R1間に生成される。基準電圧VREF 14は、抵抗R1を流れる電流Isinkの関数として生成され、演算増幅器(オペアンプ)16の正の入力に連結される。電圧VREFはオペアンプ16の正の入力に連結されるが、オペアンプ16の負の入力にVREFを印加するように回路接続を再構成することは、nチャネルトランジスタの代わりにpチャネルMOSFETトランジスタを使用する際に起こり得る補完的な回路設計による本発明の意図の範囲内であることを理解されたい。電流Isinkは、
図4Aに示すように、Isinkポートを介して
図3に示す基準電流発生器6に連結される。
【0031】
いくつかの例では有利に、
図4Aに示す実施形態において、所望の電流利得Kを達成するためのトランジスタW/L比に依存せずに、電流検出の複数電流刺激装置回路11Aは、正確な全体の刺激装置出力電流IR2を達成するため、抵抗R1及びR2並びにオペアンプ16を使用し、カスコードトランジスタMC(2)〜MC(n)のゲート電圧を制御する。
【0032】
回路11Aは、少なくとも1つのトランジスタを更に含む。トランジスタMC(2)のソースは、抵抗R2を通じて電圧源VSに接続される。トランジスタMC(2)のソースはまた、オペアンプ16の負の入力に接続され、検出電圧をオペアンプ16に供給する。OUT(2)として指定されるトランジスタMC(2)のドレインは、それぞれの電極と接する組織に刺激電流を供給するため、それぞれの電極(図示せず)に連結される。
【0033】
図4Aに更に示すように、オペアンプ16は、1セットのスイッチSA(1)〜SA(n)及びSB(1)〜SB(n)を通じて直接MC(2)〜MC(n)のゲート端子に接続される。いくつかの実施形態では、これらのスイッチは、例えば、「単極単投スイッチ」であってもよい。出力OUT(2)〜OUT(n)のいずれかを電流を供給するために選択するとき、オペアンプ16の出力とMC(2)〜MC(n)の対応するゲート端子に接続されるスイッチSA(1)〜SA(n)はオンされる(導通)。また、ゲート端子MC(2)〜MC(n)及びVSと接続する対応するスイッチSB(1)〜SB(n)は、オフされる(導通しない)。スイッチSA(1)は、ロジック回路35によって制御され、ロジック回路35が制御装置30から信号ANOを、ディジタルレジスター2からディジタル制御信号DCSを受信し、その後、ロジック回路35はスイッチSA(1)を作動させ(SA(1)を閉じさせる)、刺激電流を出力OUT(2)〜そのそれぞれの電極に供給する。ロジック回路35は、スイッチSA(1)を非アクティブ化させる(SA(1)を開かせる)と、出力OUT(2)からの電流供給が停止される。
【0034】
更に、同時に、出力OUT(2)からの電流供給が停止したのを確実にするため、ロジック回路35はスイッチSB(1)を作動する。リモーコントロール又はスマートフォンなどの補助装置によって、刺激療法を無線で制御し、所定の療法プロトコルにしたがって所望の電流供給を行うために、スイッチSA(1)及びSB(1)のアクティブ化のタイミング及び持続時間を制御することができる。好ましくは、ロジック回路35は、スイッチSA(1)がアクティブ化されるとき、スイッチSB(1)は非アクティブ化され、逆もまた同様であるような相補的な方法で、スイッチSA(1)及びSB(1)の状態を制御する。
【0035】
全体的なスイッチング制御を、刺激制御装置30、ディジタルレジスター2及びロジック回路35を、機能的な考慮事項に応じて単独又は組み合わせで利用することによって達成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、電流Isinkが抵抗器R1を通じて電圧源VSから流れるとき、電圧VR1は抵抗R1間に生成される。同様の方法で、全体的な刺激装置出力電流IR2が抵抗R2を電圧源VSから流れるとき、電圧VR2がR2間に生成される。オペアンプ16の正の入力における電圧は、対応するスイッチSA(1)〜SA(n)がアクティブ化され、共通検出電圧とみなすことができるとき、トランジスタMC(1)〜MC(n)のソースで検出される電圧である。一意的に、オペアンプ16に関連するフィードバックループのため、オペアンプ16の正及び負の入力における電圧は、定常状態に等しくなり、したがって、電圧VR2はVR1と強制的に等しくなる。定常状態では、電流IR2は、出力OUT(2)〜OUT(n)の全てにおいて供給される出力電流の和に等しい。したがって、VR2=IR2・R2かつVR1=Isink・R1であるので、IR2はIsink・R1/R2に等しく、したがって、IR2/Isinkとして規定される、必要な全体的電流利得Kは、R1/R2に等しい。したがって、必要な全体の電流利得Kを設定することは、R1とR2の値を選択するという問題である。
【0037】
いくつかの非制限的な用途では、抵抗器は、面積の関数として、集積回路のMOSFETより良好に整合される特性を有することができる。整合する精度が同じ部分間では、本明細書に記載するように抵抗器を使用することにより、MOSFETを使用するより、集積回路上で使用する面積がより少なくなる。いくつかの例における追加の利点は、抵抗器R1とR2を構成することができる方法から生じることがある。例えば、抵抗器R2を、いくつか(Np)の並列抵抗器から作り、R1をいくつか(Ns)の直列抵抗器から作ることができる。したがって、抵抗値Rでは、R1=R・NsかつR2=R/Npかつ電流利得K=R1/R2=Ns・Npである。Ns=Np=Nの場合では、電流利得K=N
2かつ抵抗器の総数は2N(Ns+Np=2N)に等しく、したがって、電流利得の関数としての抵抗器の総数は2・K
1/2に等しい。並列に接続されるトランジスタを整合させるためにトランジスタを直列に接続することはできないので、101の個々のトランジスタの合計はM1とM2(
図1参照)のために必要とされるのに対し、電流利得が100である場合では、抵抗器の数は20である。ダイ面積をはるかに大幅に節減することになるK=100の例より大きい電流利得を考慮する場合、これはより深みのある場合がある。いくつかの例における更に別の利点は、開示される電流利得依存の抵抗値技法の使用に関し、必要とされる電流利得精度を達成するのに典型的にはいかなる校正も必要としないので、追加の電力及びダイ面積の節減をもたらす。
【0038】
図4Bを参照すると、電流検出の複数電流刺激装置回路11Bの非限定的な一実施例の概略図が示される。上述したように、
図4Bは陽極の複数出力刺激装置回路のみを含み、陰極刺激のための補完的な回路は、
図4Bには示されていないが、全体の回路及びシステムに必要に応じて含まれるものと考えられるべきであると理解されたい。更に、本発明はまた、陰極刺激のためであるか、陽極刺激のためであるかにかかわらず、単一の複数出力刺激装置の使用を意図するものと理解されたい。刺激制御装置30から信号ANOが発行されると、Isinkとして示される電流が電圧源VSから抵抗R1を流れ、R1を流れる電流Isinkにより電圧VR1が抵抗R1間に生成される。基準電圧VREF 14は、抵抗R1を流れる電流Isinkの関数として生成され、演算増幅器(オペアンプ)16の負の入力に連結される。電圧VREFはオペアンプ16の負の入力に連結されるが、VREFをオペアンプ16の正の入力に印加するための回路接続を再構成することは、pチャネルトランジスタの代わりにnチャネルMOSFETトランジスタを使用する際に起こり得るような補完的な回路設計による本発明の意図の範囲内である。電流Isinkは、
図3に示す基準電流発生器6に
図4Bに示すIsinkポートを介して連結される。
【0039】
回路11Bは、電流ミラー接続構成で連結される少なくとも1対のトランジスタを更に含む。より具体的には、入力側トランジスタML(1)のゲートは出力側トランジスタMC(1)のゲートに連結され、共通に接続されるゲート32はまた、トランジスタML(1)のドレインに接続される。トランジスタMC(1)のソースは、抵抗器R2を通じて電圧源VSに接続され、トランジスタML(1)のソースは、抵抗器R3を通じてVSに接続される。トランジスタMC(1)のソースはまた、オペアンプ16の正の入力に接続され、検出電圧をオペアンプ16に供給する。OUT(1)として指定されるトランジスタMC(1)のドレインは、それぞれの電極と接する組織に刺激電流を供給するため、それぞれの電極(図示せず)に連結される。
【0040】
トランジスタML(1)及びMC(1)の電流ミラーの組み合わせは、カスコード構成で切り替え可能に連結され、スイッチSA(1)を通じてトランジスタMSに供給する。より具体的には、トランジスタML(1)のドレインは「単極単投」スイッチSA(1)の一方の側に連結され、トランジスタMSのドレインはスイッチSA(1)の他方の側に連結される。トランジスタMSのソースは、陽極刺激装置では接地された電圧ポート12に連結され、トランジスタMSのゲートはオペアンプ16の出力に連結される。陰極刺激装置では、電圧ポートはVSなどの電圧源である。スイッチSA(1)は、ロジック回路35によって制御され、ロジック回路35が制御装置30から信号ANOを、ディジタルレジスター2からディジタル制御信号DCSを受信し、その後、ロジック回路35はスイッチSA(1)を作動させ(SA(1)を閉じさせる)、刺激電流を出力OUT(1)からそれぞれの電極に供給する。ロジック回路35は、スイッチSA(1)を非アクティブ化させる(SA(1)を開かせる)と、出力OUT(1)からの電流供給が停止される。
【0041】
更に、同時に、出力OUT(1)からの電流供給が停止したのを確実にするため、ロジック回路35はスイッチSB(1)を作動する。リモーコントロール又はスマートフォンなどの補助装置によって、刺激療法を無線で制御し、所定の療法プロトコルにしたがって所望の電流供給を行うために、スイッチSA(1)及びSB(1)のアクティブ化のタイミング及び持続時間を制御することができる。好ましくは、ロジック回路35は、スイッチSA(1)がアクティブ化されるとき、スイッチSB(1)は非アクティブ化され、逆もまた同様であるような相補的な方法で、スイッチSA(1)及びSB(1)の状態を制御する。
【0042】
全体的なスイッチング制御は、刺激制御装置30、ディジタルレジスター2及びロジック回路35を、機能的な考慮事項に応じて単独又は組み合わせで利用することによって達成され得る。
【0043】
前述の説明は、トランジスタML(1)とMC(1)を含む単一の電流ミラーの組み合わせに関するが、複数の電流ミラーの組み合わせは本発明で意図されている。この点に関して、
図4Bは、トランジスタML(1)〜ML(n)及びMC(1)〜MC(n)を含むトランジスタの組み合わせを開示しており、ここで、nは、刺激電流をn個のそれぞれの電極に供給するための個々の電流ミラーの組み合わせの数である。
図4Bに示すように、ML(1)及びMC(1)〜ML(n)及びMC(n)を含む電流ミラーの組み合わせのそれぞれは、それぞれのスイッチSA(1)〜SA(n)を通じてトランジスタMSに供給するように連結される。出力側トランジスタMC(i)それぞれの共通に接続されるソースは、オペアンプ16の正の入力に印加される共通検出電圧を供給する。それぞれの電流ミラーの組み合わせML(i)及びMC(i)の任意の1つの出力OUT(i)からそれぞれの電極iに供給される出力電流は、ディジタルレジスター2及びロジック回路35によって、療法又は刺激プロトコルにしたがってそれぞれのスイッチSA(i)を作動させることにより制御される。このプロトコルは、任意の出力OUT(i)に刺激電流を1つずつ、又は同時に任意の組み合わせで若しくは任意の順序でかつ任意の期間で供給させるように刺激装置に指示することができる。
【0044】
電流ミラー構成の従来技術に教示するように、トランジスタが精密にマッチングされている場合のみ、入力側トランジスタは、電流源によってそれに供給される電流を出力側トランジスタに正確にミラーリングするであろう(例えば、米国特許公報第8,575,971号参照)。したがって、このような場合には、トランジスタの製造要件は、製造技法及び加工技法に過度の負担をかけるので、デバイスの歩留まりが低下し、デバイスコストが高くなる。本発明のいくつかの用途では、所望の回路電流利得値を確立するためのトランジスタの幅及び長さ寸法を確立するための厳格な製造プロセスの必要性がなくなることが有利である。後述するように、本発明のいくつかの実施形態は、必要な電流利得値を確実に設定するために、選択される回路の抵抗値に依存する。より具体的には、オペアンプ16と併用した抵抗器R1及びR2は、抵抗器R2を流れる正確な全体的な刺激装置出力電流IR2を達成するため供給トランジスタMSのゲート電圧を制御する。
図4Bにおいて留意すべきように、抵抗器R2を流れる全体的な刺激装置出力電流IR2は、対応するスイッチSA(1)〜SA(n)が作動するとき、出力OUT(1)に流れる電流から出力OUT(n)に流れる電流までの合計である。
【0045】
図4Bに更に示すように、一対のトランジスタML(i)とMC(i)に連結される電流ミラーそれぞれの共通のゲート接続(例えばML(1)及びMC(1)に対して32として示される)は、対応するそれぞれのスイッチSB(i)を通じて電圧源VSに接続される。刺激電流が特定の出力OUT(i)に向けられるときは、ロジック回路35はスイッチSA(i)を作動して、かつスイッチSB(i)を作動しないように、スイッチSB(1)〜SB(n)の状態は、ロジック回路35によって決められ、それによって電流は、トランジスタMC(i)を通じてOUT(i)に供給される。同様の方法で、刺激電流は特定の出力OUT(i)から終了される予定のとき、ロジック回路35はスイッチSA(i)を作動しないように、かつスイッチSB(i)を作動させて、OUT(i)からの電流供給は終了される(停止される)。
【0046】
電流Isinkが抵抗器R1を通じて電圧源VSから流れるとき、電圧VR1は抵抗R1間に生成される。同様の方法で、全体的な刺激装置出力電流IR2が電圧源VSから抵抗R2を流れるとき、電圧VR2がR2間に生成される。オペアンプ16の正の入力における電圧は、対応するスイッチSA(1)〜SA(n)がアクティブ化され、共通検出電圧とみなすことができるとき、トランジスタMC(1)〜MC(n)のソースで検出される電圧である。オペアンプ16に関連するフィードバックループのため、オペアンプ16の正及び負の入力における電圧は、定常状態に等しくなり、したがって、電圧VR2はVR1と強制的に等しくなる。定常状態では、電流IR2は、出力OUT(1)〜OUT(n)の全てにおいて供給される出力電流の和に等しい。したがって、VR2=IR2・R2かつVR1=Isink・R1であるので、IR2はIsink・R1/R2に等しく、したがって、IR2/Isinkとして規定される、必要な全体的電流利得Kは、R1/R2に等しい。したがって、必要な全体の電流利得Kを設定することは、R1とR2の値を選択するという問題である。
【0047】
抵抗器は、同じ領域の集積回路内のMOSFETより良好に整合される特性を有することがよく知られている。整合する精度が同じ部分間では、本発明のいくつかの用途において抵抗器を使用することにより、MOSFETを使用するより、集積回路上で必要となる面積がより少なくなる。本発明のいくつかの用途から生じる追加の利点は、抵抗器R1とR2を構成することができる方法に関する。例えば、抵抗器R2を、いくつか(Np)の並列抵抗器から作り、R1をいくつか(Ns)の直列抵抗器から作ることができる。したがって、抵抗値Rでは、R1=R・NsかつR2=R/Npかつ電流利得K=R1/R2=Ns・Npである。Ns=Np=Nの場合では、電流利得K=N
2かつ抵抗器の総数は2N(Ns+Np=2N)に等しく、したがって、電流利得の関数として必要とされる抵抗器の総数は2・K
1/2に等しい。並列に接続されるトランジスタを整合させるためにトランジスタを直列に接続することはできないので、101の個々のトランジスタの合計はM1とM2(
図1参照)のために必要とされるのに対し、必要とされる電流利得が100である場合では、必要とされる抵抗器の数は20である。ダイ面積がはるかに大幅に節減されることになるK=100の例より大きい電流利得を考慮する場合、これはより深みのある場合がある。本発明のいくつかの用途の更に別の利点は、開示される電流利得依存の抵抗値技法の使用に関し、必要とされる電流利得精度を達成するのに、典型的にはいかなる校正も必要としないので、追加の電力及びダイ面積の節減をもたらす。
【0048】
実際には、トランジスタML(1)とMC(1)は、長さ(L)に対する幅(W)、すなわちW/L比が1:Lを有するように設定され、R2に対するR3の比はL:1に設定されている。結果として、抵抗器R3を流れる電流IR3及び、その後トランジスタMSを流れる電流ID4は、抵抗器R2を流れる電流(IR2)をLで割ったものにほぼ等しく、また等価的には、オペアンプ16がVR1に等しいVR2にさせるように、定常状態で、ID4=Isink・K/Lである。この場合には、電流ID4は十分に規定され、プロセス及び温度の変動と実質的に無関係である。
【0049】
いくつかの用途で刺激装置回路11Bにオペアンプ16を実装することの更なる新規な利点は、回路作動中、すなわち、刺激装置制御装置30がIsinkを流れさせるANO信号を発行し、それによってVREFを供給し、IR2をゼロアンペアに等しくするとき、VR1とVR2の間の電圧差は大きいので、オペアンプ16の出力は非常に大きいことである。しかし、VREFを供給する直前にするか、又はVREFを供給すると同時にするかどうかの時間が定められたロジック回路35は、電流を供給するように選択される出力OUT(i)に対応する、少なくとも1つ以上の事前に選択されるスイッチSA(i)を作動させることを留意されたい。結果として、オペアンプ16は、大きな初期のゲート・ソース間電圧を有するように供給トランジスタMSを駆動して、大きな初期ドレイン電流ID4を生成する。同様に、選択されるスイッチSA(i)に対応する選択されるトランジスタMC(i)のゲート電圧は、速やかにこれらのトランジスタをオンにするため、直ぐに引き下げられる。換言すれば、大きな初期電流ID4は、選択されるトランジスタMC(i)の大きなゲート容量を迅速に放電するために発生し、その結果、刺激装置に、非常に短いターンオン時間が生じる。大きな初期電流ID4は、選択されるトランジスタMC(i)のゲート容量全てを放電するように設計されている。
【0050】
この新規な利点はいくつかの用途で、特に、いくつかの例における短い出力電流パルスでは、非常に重要である場合がある。
図5に示すように、
図3の刺激制御装置30が波形51に示すような信号ANOを、波形52に示すような電流Isink出力とともに基準電流発生器6内に生成するとき、ANOの立ち上がりエッジTonから、短いターンオン時間を有しない
図2Bの刺激装置などの刺激装置に対する刺激装置出力電流Iout(i)の1つまでに、波形53に示すような大幅な遅延時間TD1が存在するであろう。それにもかかわらず、波形53に示すように、典型的な刺激装置に対するターンオフ時間は、ANOの立ち下がりエッジToffの後、ほぼ瞬間的である。結果として、Iout(i)により生成される出力電流パルスは、
図5の波形53に示すようなANOのパルス幅により規定されるパルス幅から大幅に短縮されるであろう。ANOのパルス幅はTD1より短い場合、Iout(i)は完全に消滅するであろう。8つの出力と約200uAである合計電流出力を有する典型的な刺激装置の設計では、TD1は、MC(1)〜MC(n)を実現するための高電圧トランジスタを利用する
図2Aによる刺激装置の設計に対して、100usを超えるであろう。この場合、M(1)とM(2)との間の幅対長さの比は、1:100であり、個々の出力(OUT(2)〜OUT(n))の最大出力電流は25mAを超えることが推定されている。それぞれの出力においてこの最大電流をサポートするため、高電圧トランジスタMC(2)〜MC(n)は非常に大きく、かつ非常に大きいゲート・ソース間容量を有する。典型的な電流刺激装置では、最短のパルスは通常50usより長い。
【0051】
図5の波形53に示すはるかに長い遅延時間TD1と比べて、Tonと電流Iout(i)の立ち上がりエッジの中間点との間の遅延時間TD2が非常に短い点で、
図5の波形54は、本発明の非限定的な用途の高速ターンオン特性の利益を示す。
【0052】
ANOのパルス幅を所望のパルス幅より長いTD1になるように調整することによって、電流パルスの短縮を補償することが可能であるが、遅延時間TD1は、Iout(i)及び/又は、全ての刺激電極への合計出力電流IR2の振幅(又はレベル)に依存することが多い。更に、プロセス変動により異なるICに実装される異なる刺激装置間で、TD1に変動が存在するであろう。したがって、ANOのパルス幅を調整することにより遅延時間TD1を正確に補償するのは非常に難しい。いくつかの実施形態では、出力電流の範囲にわたりターンオン時間を短くすることが可能なパルス発生器を有するのは有利な場合がある。一実施形態では、例えば、パルス発生器は、10us未満、5us未満、2us未満、1us未満又は任意の他の値若しくは中間の値のターンオン時間、及び/又は、約0.1〜約2us、約0.1〜約4us、約0.1〜約10us、約0.1〜約20us、約0.2〜約16us、約0.3〜約12us、約0.4〜約8us、約0.5〜約6us、約0.5〜約4us、約0.5〜約2us、約0.5〜約1usの間の又は任意の他の若しくは中間のターンオン時間を有することができる。いくつかの実施形態では、100mA未満、75mA未満、50mA未満、25mA未満、又は任意の他の又は中間の電流、及び/又は、50uA〜100uA、100uA〜75mA、150uA〜50mA、200uA〜25mA、500uA〜10mAの間の、又は任意の他の若しくは中間の電流の出力電流に対して、これらのターンオン時間を達成することができる。いくつかの実施形態では、上記で用いているように、約(approximately)は規定された範囲の10%を含むことができる。
図4Bは、短いターンオン時間をもつ回路11Bの実施形態を示す。
図4Bでは、回路11Bのターンオン時間は、作動する出力の数が1〜8個の間である場合では、200uA〜25mAの範囲にある全出力電流IR2に対して0.5〜2usの範囲である。ANOのパルス幅のいかなる補償がなくても、この短いターンオン時間は、50usの最短パルス幅に対しても、かなり許容可能である。
【0053】
図4Bに示す実施形態では、オペアンプの出力は供給トランジスタMSのゲート端子にしか接続されていないので、オペアンプの周波数応答は全体の電流IR2及びオンされている出力数に無関係である。更に、上述したように供給トランジスタにおける大きい初期電流ID4のため、MC(1)〜MC(n)は、高電流駆動性能オペアンプを使用せず、これらのトランジスタを直ぐにオンするために直ぐに引き下げられる。したがって、
図4Bの本発明のターンオン時間は、
図4Aの回路トポロジーに基づいた刺激装置のターンオン時間よりはるかに短いであろう。
【0054】
回路11A、11Bはさまざまな刺激デバイスで使用することができる。一実施形態では、上述した回路11A,11Bの利点により、神経障害性疼痛を治療するために、又はその他の用途のために、末梢移植可能な神経刺激システムで回路11A、11Bを使用することができる。
【0055】
西洋(EU及び米国)の人口の約8%は神経障害性疼痛(神経損傷による慢性難治疼痛)に冒される。人々の約5%では、この痛みは重度である。神経に関わる慢性難治疼痛を有する患者が少なくとも200,000人いる。神経障害性疼痛は、部分的に軽減を得る患者の半分しか治療するのが非常に困難である。したがって、個々の患者に対して最良の治療法を決定するのは、依然として困難である。従来の治療法には、特定の抗うつ薬、抗てんかん薬、及びオピオイドが含まれる。しかしながら、これらの薬からの副作用は、有害である恐れがある。これらの場合のいくつかでは、FESを含む電気刺激により、薬に関連する副作用なしで、この疼痛の影響治療を行うことができる。
【0056】
FESデバイスの一種である脊髄刺激装置は、パルス状の電気信号を脊髄に供給し、慢性疼痛を制御するのに使用されるデバイスである。電気刺激は、完全に電気的治療であり、薬により引き起こされるものと同様の副作用を引き起こさないので、疼痛に対する治療法として薬より電気刺激の使用を好む医師及び患者はますます増加している。脊髄刺激(SCS:Spinal Cord Stimulation)による疼痛緩和の正確なメカニズムは不明である。SCS試験の科学的背景は1965年にMelzackとWallによって初めて記述された疼痛のゲート制御理論に最初に基づいていた。この理論には、疼痛は2種類の感覚神経線維によって伝達されることが仮定されている。一方は、激痛メッセージを迅速に運ぶ大きな有髄Aδ線維である。他方は、拍動性の慢性疼痛メッセージを伝達する、より小さい無髄「C」線維である。Aβと呼ばれる、神経線維の第3のタイプは、疼痛刺激を伝達しないことを意味する「非侵害受容性」である。ゲート制御理論は、Aδ疼痛線維とC疼痛線維により伝達される信号が非侵害受容性Aβ線維の活性/刺激により妨害されることがあり、したがって疼痛の個々の知覚を抑制することを主張する。したがって、神経刺激は、疼痛メッセージが脳に到達する前にそれを阻止することによって疼痛緩和をもたらす。
【0057】
現時点では、SCSは、失敗した背部手術症候群、虚血による難治の疼痛を有する複合性局所疼痛症候群の治療において最も使用される。SCS合併症は全SCS患者のうち30%〜40%に報告されている。これにより、患者の疼痛管理の全体コストが増加し、SCSの効能が低下する。一般的な合併症には、感染、出血、神経組織の損傷、間違った区画へのデバイスの配置、ハードウェアの故障、リード線のマイグレーション、リード線の破損、リード線の断線、リード線の侵食、インプラント部位での疼痛、発生器の過熱、及び充電器の過熱が含まれる。一般的な合併症の発生率は驚くほど高い。すなわち、9.5%はリード線拡張接続の問題を占め、6%はリード線の破損によるもので、症例の22.6%はリード線のマイグレーションに関連し、4.5%は感染を経験した。
【0058】
末梢性神経障害は遺伝性又は後天性のいずれかであってもよい。後天性末梢性神経障害の原因としては、神経への物理的な損傷(外傷)、ウイルス、腫瘍、毒素、自己免疫応答、栄養欠乏、アルコール依存症、糖尿病、並びに、血管及び代謝性疾患が挙げられる。後天性末梢性神経障害は、3つの大きなカテゴリー、すなわち全身性疾患に起因するもの、外傷に起因するもの、及び神経組織に影響を与える感染症又は自己免疫疾患に起因するものに分類される。後天性末梢性神経障害の一例としては、三叉神経(頭部と顔の大型神経)への損傷が顔の片側への稲妻のような激しい痛みの偶発性発作を引き起こす三叉神経痛である。
【0059】
末梢性神経障害疼痛をもつ高い割合の患者は、さまざまな理由によりSCSから恩恵を受けていない。しかしながら、これらの患者の多くは、対応する末梢神経への直接的な電気刺激を介して、許容レベルの疼痛緩和を受けることができる。この療法は末梢神経刺激(PNS)と呼ばれる。しかし、米国市場では、FDAが承認したPNSデバイスは存在しない。標準的な脊髄刺激(SCS)デバイスは、この症状を治療するために、疼痛医師によりラベルを剥がして使用されることが多い。SCSデバイスの約15%はPNSのためラベルを剥がして使用されてきたと推定されている。
【0060】
現在市販されているSCSシステムは、末梢神経刺激のためではなく、脊髄を刺激するために設計されていたので、SCSのためよりも、PNSのためにSCSシステムを使用することに関連するデバイス合併症が多くなっている。現在のSCSデバイス(発生器)は大きく、嵩張っている。SCSがPNSのために使用されている場合、SCS発生器は典型的には臀部より上の腹部内又は腰背部内に移植され、長いリード線は複数の関節にわたってトンネルされ、腕、脚又は顔の対象となる末梢神経に到達する。関節への過度のトンネリング及び交差により、手術後の疼痛は増加し、デバイスの故障率は高くなる。また、剛性リード線は、皮膚の侵食及び浸透につながる恐れがあり、リード線の故障率は移植の3年以内に100%に近づく。ほとんどの合併症は、置換手術をすることになり、いくつかの場合には複数の置換手術をすることにもなる。
【0061】
末梢移植可能な神経刺激システム600の一実施形態は
図6に示されている。いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システム600は、例えば、末梢神経由来の慢性、重度、難治の神経障害性疼痛の患者を治療する際に使用することができる。いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システム600は、対象の末梢神経か、又は脊髄の後部硬膜外腔を刺激するのに使用することができる。
【0062】
末梢移植可能な神経刺激システム600は、1つ又はいくつかのパルス発生器を含むことができる。パルス発生器はさまざまな形状及び大きさを含むことができ、さまざまな材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、1つ又はいくつかのパルス発生器は、疼痛を制御するために神経に供給される電気パルスを生成することができる。いくつかの実施形態では、パルス発生器は、外部パルス発生器602又は移植可能なパルス発生器604であってもよい。いくつかの実施形態では、外部パルス発生器602は、末梢移植可能な神経刺激システム600での治療に対する、及び/又は移植可能なパルス発生器604の移植に対する患者の適合性を評価するのに使用することができる。
【0063】
移植可能なパルス発生器604は、大きさ及び形状を変えることができ、かつ移植可能なパルス発生器604を体内に移植できるような材料で作製することができる。いくつかの実施形態では、移植可能なパルス発生器604は、移植可能なパルス発生器604を体内の任意の所望の位置に配置できるように大きさを変え、形状を変えることができ、いくつかの実施形態では、リード線(後述する)が関節をトンネルしないように、及び/又は拡張ケーブルが必要とされないように末梢神経に近接して配置することができる。いくつかの実施形態では、パルス発生器、具体的には、移植可能なパルス発生器604及び/又は外部パルス発生器602は、
図4A及び
図4Bのいずれか又は両方の実施形態に示すように回路11A,11Bの1つを組み込むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、パルス発生器により生成される電気パルスを、1つ又はいくつかの神経610及び/又は1つ又はいくつかの神経610に近接する組織に、1つ又はいくつかのリード線を介して供給することができる。リード線は、電極と呼ばれる導電性部分と、非導電性部分を含むことができる。リード線は、さまざまな形状を有することができ、さまざまな大きさであってもよく、さまざまな材料から作製されることができ、大きさ、形状及び材料は、用途又は他の要因によって決定することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、リード線は、陽極リード線606及び/又は陰極リード線608を含むことができる。いくつかの実施形態では、陽極リード線606及び陰極リード線608は、同一のリード線であってもよいが、パルス発生器から異なる極性のパルスを受信することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、リード線はパルス発生器と直接接続することができ、いくつかの実施形態では、リード線はコネクタ612及びコネクケーブル614を介してパルス発生器と接続され得る。コネクタ612は、リード線をコネクタケーブルに電気的に接続できる任意のデバイスを含むことができる。同様に、コネクタケーブルは、異なる電気パルスを陽極リード線606と陰極リード線608に送信することができる任意のデバイスであってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システム600は、移植可能なパルス発生器604が体内に移植されるとき、移植可能なパルス発生器604を再充電するように構成できる充電器616を含むことができる。充電器616はさまざまな形状、大きさ及び特徴を含むことができ、さまざまな材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、充電器616は、誘電結合を介して、移植可能なパルス発生器604を再充電することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、電気パルスの細部を、制御装置を介して制御することができる。いくつかの実施形態では、これらの細部は、例えば、周波数、強度、パターン、持続時間、又は電気パルスのタイミング及び大きさの他の態様を含むことができる。電気パルスのこの制御は、1つ又はいくつかの電気パルスプログラム、プラン又はパターンの作成を含むことができ、いくつかの実施形態では、これは、1つ又はいくつかの既存の電気パルスプログラム、プラン、又はパターンの選択を含むことができる。
図6に示す実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システム600は、臨床医プログラマー618である制御装置を含むことができる。臨床医プログラマー618は、1つ又はいくつかのパルスプログラム、プラン、又はパターンを作成する、及び/又は選択1つ又はいくつかの作成されたパルスプログラム、プラン、又はパターンを選択するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、臨床医プログラマー618は、例えば、外部パルス発生器602と移植可能なパルス発生器604の1つ又は両方を含むパルス発生器の動作をプログラムするのに使用することができる。臨床医プログラマー618は、有線及び/又は無線でパルス発生器と通信できるコンピューティングデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、臨床医プログラマー618はパルス発生器とリード線の動作及び/又は有効性を表示したパルス発生器から情報を受信するように更に構成することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、末梢移植可能な神経刺激システム600の制御装置は、患者用リモート620を含むことができる。患者用リモート620は、有線又は無線接続を介してパルス発生器と通信できるコンピューティングデバイスを含むことができる。患者用リモート620は、パルス発生器をプログラムするのに使用することができ、いくつかの実施形態では、患者用リモート620は、臨床医プログラマー618によって作成される1つ又はいくつかのパルス発生プログラム、プラン又はパターンを含むことができる。いくつかの実施形態では、患者用リモート620は、既存のパルス発生プログラム、プラン、又はパターンの1つ又はいくつかを選択するのに、かつ、例えば、1つ又はいくつかのパルス発生プログラム、プラン、又はパターンの選択された1つの持続時間を選択するのに使用することができる。
【0070】
有利には、末梢移植可能な神経刺激システム600の上記で説明されている構成要素は、患者の痛みを軽減するために電気パルスの発生を制御及び提供するのに使用することができる。
【0071】
本発明を特定の実施形態及び用途によって説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないで、多くの改造例及び変更例を想到できることは理解されよう。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に記載した形態以外の形態で実施できることは理解されるべきである。