(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記ハウジング内に設置されて前記連続周囲壁により取り囲まれる支持部を具備し、前記支持部は、前記第一開口と前記第二開口との間の流体的連通を提供するように形成される請求項1に記載の移送装置弁。
前記支持部は、前記第二開口の周りに配置された環状壁を具備し、前記環状壁は前記下側部分と前記第二開口との間の流体的連通を提供する少なくとも一つの流体流れ通路を有する請求項2又は3に記載の移送装置弁。
前記ハウジングの前記上側部分は内側壁を具備し、前記内側壁は、前記内側壁に実質的に前記ハウジングの長手軸線に沿って延在する少なくとも一つの凹状通路を具備し、前記ハウジングからの前記連続周囲壁の引き離しは、実質的に、少なくとも一つの前記凹状通路の配置に対応する請求項1〜7のいずれか一項に記載の移送装置弁。
前記表面部は、上面と、第一厚さによって前記上面から分離された底面と、を具備し、前記連続周囲壁が第二厚さを有し、前記連続周囲壁は前記底面から突出する請求項1に記載の移送装置弁。
前記エラストマ部材は、さらに、前記表面部の周囲縁に沿う連続横方向突起部を具備し、前記ハウジングは、前記連続横方向突起部を受け入れて前記エラストマ部材の前記表面部へ半径方向の応力を提供するための対応凹部が形成される請求項1、10及び11のいずれか一項に記載の移送装置弁。
前記エラストマ部材は、さらに、前記上面に一つ以上の垂直突起部を具備し、前記ハウジングは、一つ以上の前記垂直突起部へ垂直応力を提供するように形成される請求項10に記載の移送装置弁。
前記第一開口及び前記第二開口との組み合わせにおける前記切れ目は、前記ハウジングを通して細長い医療装置を受け入れるように形成される請求項1〜18のいずれか一項に記載の移送装置弁。
【発明の概要】
【0004】
第一実施形態において、一つの弁が提供される。この弁は、第一開口及び第二開口を有するハウジングと、ハウジング内に設置されたエラストマ部材と、を具備し、エラストマ部材は、厚さ部と、厚さ部から突出する連続周囲壁と、厚さ部を通り延在する切れ目と、を具備し、周囲壁の連続部は、ハウジングとの連続密閉可能接触部を形成し、ハウジングを上側部分と下側部分とに分割し、エラストマ部材は、ハウジングの上側部分と下側部分との間に差圧を与えるときに、(i)エラストマ部材周りの流体流れを可能とするように周囲壁がハウジングから引き離されること、又は、(ii)エラストマ部材を通る流体流れを可能とするように切れ目が開くことのいずれかを引き起こすように形成される。
【0005】
第一実施形態の態様において、弁は、さらに、ハウジング内に設置されて周囲壁により取り囲まれる支持部を具備し、支持部は、第一開口と第二開口との間の流体的連通を提供するように形成される。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、支持部は、ハウジングによって受け入れられるか、又は、ハウジングと一体化される。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、支持部は、第二開口周りに配置された複数の離間する支柱を具備し、複数の支柱の末端部が周囲壁によって取り囲まれる。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、支持部は、第二開口周りに配置された環状壁を具備し、環状壁は下側部分と第二開口との間の流体的連通を提供する少なくとも一つの流体流れ通路を有する。
【0006】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、第二開口は、ハウジング内へ延在して周囲壁により取り囲まれる流路を具備する。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、ハウジング内へ延在する流路の一部は、ハウジングへ外部から延在する流路より大きな内径である。
【0007】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、ハウジングの一部は傾斜し、周囲壁の末端部はこのハウジングの一部との密閉可能接触のために傾斜する。
【0008】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、ハウジングの上側部分は内側壁を具備し、内側壁は、内側壁に実質的にハウジングの長手軸線に沿って延在する少なくとも一つの凹状通路を具備し、ハウジングからの周囲壁の引き離しは、実質的に、少なくとも一つの凹状通路の配置に対応する。
【0009】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、ハウジングは、流体密閉部組立体を形成するように密閉可能に接続可能な二つ以上の構成部品を具備する。
【0010】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、厚さ部は、上面と、厚さ部によって上面から分離された底面と、を具備し、周囲壁が第二厚さ部を有し、周囲壁が底面から突出する。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、第二厚さ部は、上面と底面との間の厚さ部より薄い。
【0011】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、エラストマ部材は、さらに、厚さ部の周囲縁に沿う連続の横方向突起部を具備し、ハウジングは、連続の横方向突起部を受け入れてエラストマ部材の表面部へ半径方向の応力を提供するための対応凹部が形成される。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、エラストマ部材は、さらに、上面に一つ以上の垂直突起部を具備し、ハウジングは、一つ以上の垂直突起部へ垂直応力を提供するように形成される。
【0012】
他の態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、厚さ部は、凹状、凸状、又は、厚さ部の反対側において凹状及び凸状である。
【0013】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、エラストマ部材は、環形状、長円形状、筒形状、半球形状、又は、カップ形状である。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、エラストマ部材は、円錐切頭体形状である。
【0014】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、エラストマ部材の上面は、周囲縁において終端する一つ以上の流体通路を有する。
【0015】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、切れ目は、ハウジングから周囲壁を引き離すのに必要とされる閾値圧力より大きな閾値圧力で開く。
【0016】
もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、第一開口及び第二開口との組み合わせにおける切れ目は、ハウジングを通して細長い医療装置を受け入れるように形成される。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、支持部は、ハウジングを通して細長い医療装置を受け入れる及び/又は案内するように形成される。もう一つの態様において、単独で、又は、第一実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、切れ目との組み合わせにおける支持部は、ハウジングを通して細長い医療装置を受け入れる及び/又は案内するように形成される。
【0017】
第二実施形態において、装置を通る流れ方向を制御する方法が提供される。本方法は、第一実施形態の任意の態様において定められたような弁を具備する装置において、ハウジングの上側部分と下側部分との間に差圧を与えることと、及び、周囲壁がハウジングから引き離されることを引き起こしてエラストマ部材の周りの流体流れを可能とすること、又は選択的に、エラストマ部材を通る流体の吸引を可能とするように切れ目を開くこと、とを備え、装置を通る流体の流れ方向が制御される。
【0018】
第一態様において、単独で、又は、第二実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、ハウジングの上側部分と下側部分との間の差圧は、切れ目がハウジングの上側部分と下側部分との間の流体流れを可能とするように、ハウジングの上側部分へ提供される負圧によって又はハウジングの下側部分へ提供される正圧によって与えられる。
【0019】
もう一つの態様において、単独で、又は、第二実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、ハウジングの上側部分と下側部分との間の差圧は、周囲壁がエラストマ部材周りの流体流れを可能とするように、ハウジングの上側部分へ提供される正圧によって与えられる。
【0020】
もう一つの態様において、単独で、又は、第二実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、本方法は、さらに、第一開口を介してハウジングの上側部分へ洗浄溶液を導入することと、正圧によってハウジングからの周囲壁の引き離しを引き起こすことと、エラストマ部材周りに洗浄溶液を押圧することと、ハウジングの下側部分において流体流れを方向変換することと、ハウジングの下側部分の少なくとも一部を浄化すること、とを備える。
【0021】
もう一つの態様において、単独で、又は、第二実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、浄化することは、さらに、装置を通しての体液の吸引後における装置内の血栓を防止すること、又は、吸引後における装置内の細菌増殖を防止することを備える。もう一つの態様において、単独で、又は、第二実施形態の前述の態様のいずれかと組み合わせて、本方法は、さらに、装置内の逆流を防止することを備える。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の弁及びこの弁を具備する装置は、血管カテーテルの末端への血液の逆流を低減又は排除する。本発明の弁を具備する装置は、ルーア開口のための独立式交換品として、又は、静脈接続弁の使用だけでは拒絶急速投与から血液の逆流を引き起こすときでさえ、現存の静脈接続弁と共に使用されることができる。弁は、計画的に、高い注入方向流量と高い内部流体混合とを有し、細菌転移増殖及びカテーテル関連血流感染(CRBSI)をもたらす可能性がある非洗浄容積を防ぐ。これら二つの主な利点は、関連技術の現在の弁及び装置において容易に得られない。
【0024】
「圧力作動弁」として、又は、選択的に、「注入開放弁」として言及されることもできる本発明の弁は、医療装置のような装置に組み付けるのに適した弁である。本弁は、ハウジング内に存するように形成されたエラストマ部材を具備し、エラストマ部材は、厚さ部を貫通する切れ目を有し、エラストマ部材は、さらに、流体密閉部を形成してハウジングを上側部分と下側部分とに分割するように、ハウジングの内側に締りばめ接触する引き離し可能な周囲壁を有する。各分割部分は、自身に関連して、流体の入口及び出口のための開口を有する。
【0025】
一態様において、開示された弁は、弁及び装置の開口を通り流れるように一方向に低水頭圧力流体放出を可能とする。この種の流体放出は、注入又は静脈ポンプによる連続の静脈治療及び間欠的な放出の両方に矛盾しない。ルーア取り付け部又は他の注入装置の一方を通る流体が、開示された開放弁を具備する装置の基端部へ導入されるときに、ハウジングの分割部分の間に差圧が与えられる。一つの状態において、差圧は、エラストマ部材の周囲壁表面を引き離し、ハウジングの流体密閉部をこじ開ける。これは、エラストマ部材周りの流体流れを可能とし、この一時的な連通を介して、エラストマ部材により分割されたハウジングの他部分へ流体を導入する。
【0026】
一つの状態、例えば、ハウジングの上側分割部分と下側分割部分との間に形成される正の差圧が存在する注入において、本発明の弁は、低い弁こじ開け圧力を提供する。低いこじ開け圧力に加えて、本発明の弁は、さらに、注入方向(基端から末端への流れ方向)に流れるのに弱い制限を提供し、これは、弁を具備する装置が現存の静脈注入系と共に使用されることを可能とする。ここで開示された弁のゼロではないが低いこじ開け圧力は、依然として、弁が注入位置の垂直高さ近傍にあるときの注入方向における空気の進入を防止する。これは、とりわけ、エラストマ部材周りの流れ構造、及び、大きな流量を提供する一方で弁の洗浄能力の助けとなるようなハウジングの内側形状を形成することによって、提供される。
【0027】
もう一つの状態、例えば、ハウジングの上側分割部分と下側分割部分との間に形成される負の差圧が存在する吸引において、本発明の弁は、注入方向におけるより高い閾値こじ開け圧力を提供する。本発明の弁のこの形状は、とりわけ、一般的に、ルーア部、注入付属品、又は、ニードルフリー接続弁の取り外しによって引き起こされる一時的な減圧から生じるカテーテル管内への血液の逆流を防止する。本発明の弁及びこの弁を具備する装置の設計及び形状の結果として、血液逆流防止が提供され、それにより、管内血栓、及び、細菌転移増殖又は感染の危険は、低減され、又は、排除される。吸引方向における本発明の弁のこじ開け圧力は、それが、依然として、一般的に行われるような注射器又は減圧管を使用する流体の計画的な抜き取りを可能とするのに十分に低いように、設定される。
【0028】
本発明の弁及びこの弁を具備する装置のもう一つの利点は、装置内の弁の形状が、高い流体混合性及び/又は血液接触表面洗浄性を提供することである。注入方向における流体量及び/又は速度は、装置の分割空間における流体混合性を最大化するように制御される。この高い混合程度は、弁の洗浄を改善し、そうしないと非洗浄の養分豊富注入液から細菌転移増殖をもたらす可能性のある死容積を制限する。
【0029】
本発明の弁は、一実施形態において、カテーテルのような穴を有する医療装置の一端部に取り付けられるように形成され、とりわけ、開放弁接続部へ適合する医療装置の一つ又は複数の穴内への血液又は他の流体の逆流を防止するように設計される。単独の又は接続部内のいずれかの弁の包含物は、穴を有する医療装置、例えば血管カテーテルと組み合わせて、又は、一体に使用されることができ、カテーテルの製作中、製作後、又は、使用時点において、このような装置に連結するように形成されるか、又は、組み込むように形成されることができる。
【0030】
本発明の弁及びこの弁を具備する装置の一つの利点は、本弁を具備する装置の基端部からの接続ルーア取り付け装置の取り外し、又は、本弁を具備する装置の基端部へ取り付けられたニードルフリー接続弁からの取り外しは、中心穴(単数又は複数の)への血液の逆流を引き起こさないであろうことである。さらに、本弁を具備する装置は、依然として、接続注射器又は減圧容器(例えば、バキュテーナ)によって穴を通して血液又は他の体液のような流体の抜き取りを可能とする。
【0031】
一態様において、弁は、ハウジングとエラストマ部材とを具備する。もう一つの態様において、弁は、ハウジングとエラストマ部材と支持部とを具備する。弁の様々な態様が、例示的な実施形態及び/又は添付図面を参照して述べられる。
【0032】
弁を具備するハウジングは、単一構成部品から構成され又は多数の構成部品形状であることができる。一つの態様において、ハウジングは、上側部分と、水密組立体を提供するように上側部分へ密閉可能に接続可能な下側部分と、を具備する。もう一つの態様において、ハウジングは、水密組立体を提供するように下側部分へ密閉可能に接続可能な二つ以上の部品から構成される上側部分を具備する。ハウジングは、ポリカーボネート、ポリエステル、環状オレフィン共重合体、及び、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などのような医療装置のために適当な一般的なプラスチックであることができる。
【0033】
エラストマ部材は、上側部分及び下側部分へハウジングを分割するように形成される。概して、エラストマ部材は、環形状、長円形状、筒形状、半球形状、カップ形状、又は、円錐切頭体形状であることができる。一つの態様において、エラストマ部材は、その基部及びその表面部の間に形成された内側空洞を備えるカップ形状又は円錐切頭体形状であることができる。一つの態様において、カップ形状又は円錐切頭体形状を形成する表面部からの周囲壁突出部を備える水平、又は、凸又は凹表面部が、都合よく使用されることができる。このような構造からの周囲壁は、長円形状、円形状、又は、もう一つの形状であることができ、連続の流体密閉部は、ハウジングを上側部分及び下側部分に分割して弁又は装置へ流れ方向付け機能を提供するようにハウジングの内側部及び周囲壁の外側表面と協働して配置されることができることが提供される。周囲壁は、それが突出する表面部から傾斜して離間し、又は、表面部に垂直に突出することができる。選択的に、又は、傾斜に組み合わせて、周囲壁及び/又はそれが突出する表面部の外径は、締りばめ及び/又は流体密閉及び/又はハウジングの分割を提供するように、ハウジングの対応適合部の対応内径より大きくすることができる。周囲壁の傾斜角度は、ハウジングの上側部分と下側部分との間の流体密閉部を容易にすることができる程度の締りばめ関係を提供して、装置のハウジングを少なくとも二つの部分へ効果的に分割するように、ハウジングの内側壁の傾斜より大きくすることができる。選択的に、又は、前述に組み合わせて、周囲壁の厚さは、末端部へ向けて傾斜させられることができる。
【0034】
一つの態様において、エラストマ部材は、表面部を有する円錐切頭体形状を具備し、この表面部が、上面と第一厚さによって上面から分離された底面とを有し、底面から突出する周囲壁が第二厚さを有し、周囲壁が底面を含む空洞を形成する。第二厚さは、第一厚さより薄いか又は第一厚さに等しくすることができる。表面部は、反対側において凹形状及び凸形状にすることができ、又は、一方側だけを凹形状又は凸形状にすることができる。エラストマ部材の上面は、周囲縁において終端する一つ以上の流体通路を有することができる。他の特徴は、以下及び図面において述べられる。
【0035】
エラストマ部材は、ハウジングの上側部分及び下側部分の間の差圧で開くように、厚さを貫通する一つ以上の切れ目を具備し、この差圧は、例えば、エラストマ部材を具備する装置のいずれかの末端部から流体を抜き取ることによって与えられることができる。エラストマ部材の切れ目は、ハウジングから周囲壁を引き離すのに必要な閾値圧力より大きな閾値圧力で開くように形成される。ハウジングは、エラストマ部材より上方の頭隙及び上側ハウジングの内側表面が、切れ目を開くための十分な隙間を提供するように、形成される。第一状態において、切れ目は、とりわけ、基端から末端への流れ方向において開くような切れ目の能力を制限する一態様において、基端から末端への流れ方向(例えば、注入)に流れることに耐える。しかしながら、もう一つの方向(吸引)における流れは、切れ目を通り許可される。
【0036】
一つの態様において、エラストマ部材は、概して平らな又は凸又は凹形状の上面を有し、ハウジングの長手軸線に整列されて突出する一つ以上の支持部(例えば、突出する突起又は壁)によって支持された底面を含有する円錐切頭体形状の空洞を有する。支持部(単数又は複数の)は、下側ハウジングと一体とすることができ、又は、製作中において所定位置に設置されることができる。エラストマ部材の少なくとも一部の締りばめは、上側及び/又は下側ハウジング構成部品及び/又はエラストマ部材のいずれかの特徴によって維持される。エラストマ部材は、製作中及び装置の使用中においてエラストマ部材を所定位置に置くために及び/又は切れ目に半径方向圧縮応力を提供するために(例えば、切れ目のこじ開け圧力を調整又は制御するために)、環状取り付け部又は前述の支持部を有する又は有しない突出部を介して所定位置に固定されても良い。例えば、エラストマ部材は、その円錐切頭体上面の周囲縁に沿って連続横方向突起部を具備することができ、ハウジングには、連続横方向突起部を受け入れてエラストマ部材の表面部厚さへ締りばめ及び/又は半径方向応力を提供するための対応凹部が形成されることができる。連続横方向突起部は、表面部の厚さと等しい又はそれより薄い厚さとすることができる。加えて、又は、組み合わせて、エラストマ部材は、その円錐切頭体の上面からの一つ以上の垂直突起部を具備することができ、ハウジングは、組み立て中又は使用中において、エラストマ部材を固定するために一つ以上の垂直突起部へ垂直応力を提供するように形成されて寸法決定される。
【0037】
一つの態様において、エラストマ部材は、弁組立体の一部である。弁組立体は、二方向、三方向、及び、四方向の連結部のような流体連結部のために設計された様々なハウジング形状に適して形成されることができる。弁組立体は、エラストマ部材と、ハウジング内への導入に適して形成された選択的な支持部とを具備する。本組立体は、上側及び下側ハウジング、長手軸線に沿って分割された二部品のハウジング、又は、それらの組み合わせ、例えば、強固な下側ハウジング及び二部品の上側ハウジングのいずれかを有する二部品ハウジング構造に適合するように形成されることができる。
【0038】
注入開放弁を通る流体の抜き取り(末端から基端方向への流体流れ)は、エラストマ部材の中心軸線を通り形成される切れ目(単数又は複数の)の閾値こじ開け圧力より下に制限される。閾値こじ開け圧力は、ルーア注入付属品又は取り付けられたニードルフリー接続弁の取り外しによって引き起こされる一時的な減圧が、この方向に流れるための切れ目、ゆえに、弁を開かないほど十分に高いように設定される。しかしながら、吸引流れ方向の「こじ開け圧力」は、必要ならば、注射器又は減圧管によって流体の計画的な抜き取りを可能とするほど十分に低くなるように設定される。エラストマ部材の円錐切頭体状部分の形状及びハウジングの円錐内側部とのその締りばめは、漏れなし作用及び容易使用を有して、ハウジングの開口の間のハウジング内の流体流れを制御するいずれかの方向に作動可能な一方向流体流れを提供する。
【0039】
弁及びこの弁を備えて形成される装置は、案内線材又は他の医療装置のような医療装置、例えば、導入器の通路に適して形成されることができる。本弁を備える装置は、「案内線材を超える」設置又は交換技術を提供し、血液逆流又は空気塞栓を排除又は防止することができる。本発明の一つの態様において、実施形態のそれぞれは、スプリング作動弁組立体、又は、弁ハウジングの空洞内に導入弁を有するスプリング作動弁組立体、又は、圧縮リング作動弁組立体を除いている。もちろん、このような装置は、本発明の弁に組み合わせて使用されることができる。ここで開示された弁の実施形態は、例えば、穴によって続けられ、もう一つの切れ目開口によって続けられる切れ目開口の三層形状の必要性を排除する。実際、ある態様において、本発明は、エラストマ部材を支持するためにハウジングの二つの半部分の間におけるエラストマ部材の押し付けがなく、一方、その代わりに、ハウジングの内側壁との協働関係のエラストマ部材の形状が使用される。同様に、本発明の弁の実施形態は、弁組立体の上方及び下方の死容積を最小化し、及び/又は、任意のこのような死容積の効果的な洗浄を提供する。さらに、本弁の実施形態は、1)二方向流体移動のための切れ目を有するドーム状隔壁を通る流体の漏れ、2)ハウジングの壁の間の「トランポリンのような」切れ目を有する装置を通して重力送りすることができないこと、3)切れ目を通る二つの流体流れのために設計された弁を備える装置の内側を効果的に洗浄することができないこと、のような、医療装置において使用される圧力作動弁の他の形状の共通の問題を回避する。本弁は、対照的に、弁を具備する装置の内側の改善された洗浄と共に、漏れの排除と、重力送りする能力と、を提供する。さらに、本発明の弁のさらなる利点は、概して公知の弁装置に関連する欠点又は問題なしに、エラストマ部材を通る又はエラストマ周りのいずれかの通路を介して装置を通る流体流れの方向制御、死容積の最小化、及び/又は、改善された洗浄能力、繰り返し可能な案内線材接近を含有する。
【0040】
エラストマ部材は、一般的な熱硬化性ゴム(合成及び非合成)から製造されることができる。エラストマ部材は、製作中において、基端側ハウジング及び末端側ハウジングの間に形成される。エラストマ部材の円錐周囲部と基端側ハウジングの円錐部との間の締りばめは、常時閉の弁を形成する。この締りばめは、とりわけ、一方向における液体の低圧通過を可能とする。
【0041】
圧力作動開放弁の形状は、装置の中心軸線を通る線材又はカニューレの通過を可能とする。これは、短い補助的な静脈カテーテルと共に、末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)、又は、中心静脈カテーテル(CVC)の設置に役立つ。こうして、本発明の弁は、「出血なしの開始」の弁として機能するように役立つことができ、それにより、カテーテルの設置時に臨床医師が血液にさらされることを制限する。挿入時において、線材又はニードルカニューレは除去されることができ、その除去時において、切れ目は自動的に閉じられ、介護者は、血液に過剰にさらされることから保護される。これは、さらに、この場所での感染の可能性から患者も保護するために、カテーテルハブを養分豊富流体がより存在しないように保持するかもしれない。ハウジングの第一開口及び第二開口に協力して、エラストマ部材の位置は、ハウジングを通る細長い医療装置を受け入れるように形成されることができる。ハウジングは支持部を含有しても良く、又は、第二開口へ送る内側へ傾斜された開口は、ハウジングを通る細長い医療装置を受け入れ、及び/又は、案内するように形成される。
【0042】
前述の弁は、本発明の弁を具備するハウジングの上側部分と下側部分との間の差圧を与える方法を提供する。この差圧は、周囲壁がハウジングから引き離され、エラストマ部材周りの流体流れを可能とするか、又は、選択的に、エラストマ部材を通る流体の吸引を可能とするように切れ目を開くことのいずれかを引き起こす。この方法において、装置を通る流体流れ方向が制御される。例として、ハウジングの上側部分と下側部分との間の差圧は、切れ目がハウジングの上側部分と下側部分との間の流体流れを可能とするように、ハウジングの上側部分に提供される負圧によって、又は、ハウジングの下側部分に提供される正圧によって、与えられる。他の例において、ハウジングの上側部分と下側部分との間の差圧は、周囲壁がエラストマ部材周りの流体流れを可能とするように、ハウジングの上側部分へ提供される正圧によって与えられる。
【0043】
本方法は、さらに、第一開口を介してハウジングの上側部分へ洗浄溶液を導入することと、正圧によって、ハウジングからの周囲壁の引き離しを引き起こすこと、とを含有する。これは、ハウジングの下側部分における流体流れの方向変換に加えて、エラストマ部材周りに、円錐切頭体形状のエラストマ部材の空洞の下側及びそれ内に、洗浄溶液を押圧することを結果としてもたらす。これは、ハウジングの下側部分の少なくとも一部の浄化を提供する。この浄化は、装置を通る体液の吸引後の装置内の血栓を防止し、及び/又は、吸引後の装置内の細菌増殖を防止する。
【0044】
ここに開示された全ての実施形態の上側及び下側ハウジングは、超音波溶接、溶剤接着、接着、粘着、及び/又は、関連技術において公知の他の熱的又は化学的方法によって、固定されても良い。本発明の少なくとも一つの態様において、ハウジング又はその部分組立体は、溶接工程がエラストマ部材をハウジングの間に保持して常時閉の密閉部をもたらすように形成される。ハウジング構成部品は、スナップ嵌め、接着、回転溶接、及び、溶剤接着などに適して形成されることができる。
【0045】
エラストマ部材の任意の部分及び/又はエラストマ部材の切れ目は、潤滑剤を塗布されても良い。一態様において、シリコン潤滑剤が使用されても良い。異なる潤滑材が、エラストマ部材の異なる表面に使用されても良い。一つ以上のシリコン流体が、型成形中にエラストマ部材内へ混合されても良い。
【0046】
ハウジング及び/又は支持部は、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC又は透過アクリロニトリルブタジエンスチレン(MABS))などのような強固な拒絶反応を起こさない工学的標準樹脂から射出成型されることができる。エラストマ部材のある形状は、同様に射出成型される熱可塑性エラストマ(TPE)を使用して構成されても良い。液体射出成型(LIM)は、エラストマ部材のために、及び/又は、弁組立体を形成するために、使用されることができる。圧力型成形又は回転圧力型成形は、エラストマ部材を製作するのに使用されることができる。エラストマ部材は、このような型成形に適してシリコン、ポリウレタンとすることができる。
【0047】
本発明の実施形態は、本発明の実施形態が図示された添付図面を参照して以下により完全に述べられるであろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形状に具体化されても良く、ここに述べられた実施形態に限定されるように解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本発明が、綿密で完璧であり、当業者へ請求の範囲を完全に伝えるように提供される。全体に渡って、同じ番号は同じ要素を指している。
【0048】
図面を参照すると、
図1は装置100を示す第一実施形態の斜視図である。装置100は、雄ルーア適合部への接続を提供するための強固な上側ハウジング101と、雌ルーア適合部への接続を提供する強固な下側ハウジング102とを具備している。本装置は、患者の安楽のための滑らかな外形を有している。装置100は、第一開口101a及び第二開口102aを有している。第一開口101aはねじ山を有するように図示されている一方で、ねじ山のない滑らかに形成されることもできる。
図2は、以下にさらに述べられる断面を示す装置100の上面図である。
【0049】
図3は、支持部112を有する下側ハウジング102と、下側ハウジング102へ向けて表面部167から突出する周囲壁169を有するエラストマ部材110とを示す装置100の分解斜視図である。表面部167には、切れ目117がある。上側ハウジング101は、下側ハウジング102と共に流体密閉部を構成するように形成される。上側ハウジング101は、図示されたように、ねじ山を有する雌ルーア適合部106が形成されることができる。下側ハウジングは、図示されたように、雄ルーア部107及び取り囲み内側ねじ山108が形成されることができる。
【0050】
図4A及び4Bを参照すると、組み立て形状において第一実施形態の装置100のそれぞれ90°離間する断面図が図示されている。
【0051】
図4Aは、上側ハウジング101の内側壁111との連続密閉部を形成するように内側壁111との締りばめを有するエラストマ部材110の周囲壁169の一部を示している。エラストマ部材110は、装置100を、第一開口101aに対応する上側部分と、第二開口102aに対応する下側部分とに分割する。エラストマ部材110は、支持部112によって支持されて図示されている。支持部112は、開口109を形成し、下側ハウジング102と貫通第二開口102aとの間の流体的連通を提供する。エラストマ部材110は、ここでは、切れ目117及び内側壁111との連続密閉部の両方が差圧による装置100の作動以前の開口101a及び102aの間の流体流れを防止するような常時閉の弁として、図示されている。エラストマ部材110とハウジングの内側壁111との間の締りばめは、製作中に上側ハウジング101及び下側ハウジング102を固定するとき、例えば、例えば溶接部114においてハウジング構成部品を共に接合又は溶接するときに、提供されることができる。エラストマ部材は支持部112によって支持され、エラストマ部材は上側ハウジングの内側壁111に対して密閉させられる。流体は、支持部の開口109と貫通第一開口101aとの間を流れることができる。下側ハウジング102は、第二開口102aの一部として基部102eから突出する突出部102cを取り囲む基部102eを含有する。表面(又は基部)102eは、傾斜壁102dへ半径外方向に延在する。傾斜壁102dの外径の一部は、上側ハウジング101の内径と共に、溶接部114により密閉可能構造に形成される。
【0052】
図4Bは第一実施形態の態様を示しており、それにより、流体通路115cが上側ハウジング101の内側壁111に設けられている。図示されたように、流体通路115cは、概して、下側ハウジング102へ向けて装置100の長手軸線と平行に延在する。流体通路115cの長さの末端部(例えば、末端部115d)は、周囲壁169の少なくとも一部(例えば、図示されたような末端部169a)が、内側壁111との連続的な締りばめとされたままであるように形成される。一つの実施形態において、装置100は流体通路115cなしに形成されることができる(幅が0に等しい)。
【0053】
一態様において、二つ以上の流体通路115cが、上側ハウジング101の内側壁111に設けられる。このような態様において、二つの流体通路115cは、装置100の長手軸線と実質的に整列されたそれら両方の対応する長手軸線を有する平行形状に配置されることができる。一実施形態において、エラストマ部材は単一の切れ目から形成される切れ目117を有し、二つの流体通路115cは単一の切れ目117の長手軸線に直交されるように配置される。この形状において、流体の注入中における周囲壁169の引き離し時に、半径方向力は、切れ目117の閉鎖の維持を容易にするように、表面部167へ与えられる。
【0054】
図5は、図示されたように、第一開口101aと流体的連通状態で、上側ハウジング101の長手軸線と概して平行な長さを有する流体通路115cを示す上側ハウジング101の斜視図を図示している。流体通路115cの幅は、0より大きく上側ハウジング101の最大内周長さの半分より小さい数値にほぼ等しい任意の幅に選択されることができる。一態様において、流体通路115cの幅は、注入中及び/又は装置100の洗浄中において周囲壁169上の集中圧力又は力(及び/又は、加速させた流体速度)を促進するように、第一開口101aの最小内側直径より小さくなるように選択される。
図6は、第二開口102aの突出部102c周りに配置された複数の支持部112を示す下側ハウジング102の斜視図を示している。支持部112は、注入中において上側ハウジング101の第一開口101aと下側ハウジング102の第二開口102aとの間の流体的連通を可能にするように、離間して突出部102c周りに半径方向に配置される。支持部112は、エラストマ部材110の下側表面に接触して組み立て中又は使用中にハウジング内でのエラストマ部材110の移動を最小化し、及び/又は、予め負荷を与えるか、及び/又は、上側及び下側ハウジング構成部品の積み重ねを保証するように形成された末端突出部112cを有することができる。
【0055】
図7A及び7Bは、それぞれ、第一状態(例えば、注入)及び第二状態(例えば、吸引)において図示された装置100の断面図である。矢印A1及びA2は、装置100内の流体流れ方向を示している。
【0056】
第一状態における
図7Aを参照すると、分割されたハウジングの間の差圧は第一開口101aを通る流体の注入をもたらし、これは、流体通路115を形成する上側ハウジング101の内側壁111からの周囲壁169の引き離しを引き起こし、エラストマ部材110周りの装置100の上側部分と下側部分との間の流体的連通を許容し、一方、第二開口102aを通る第一開口101aからの指向性流体流れを提供するように切れ目117の閉鎖を維持する。下側ハウジング102の構造、例えば、傾斜壁102d及び突出部102cは、乱流及び/又は実際の流れと接触するエラストマ部材の一部(例えば、周囲壁169の内側表面)の効果的な洗浄を可能とするような流体流れ方向を提供することができる。様々な態様において、長円形状、カップ形状、又は、円錐切頭体形状(又は切頭円錐形状)を提供する周囲壁169は、比較的低い注入こじ開け圧力閾値により差圧を与えるときに(例えば、注入流体の開口101aへの導入を通して)、装置100の中心長手軸線へ向けて内方向に引き離され及び/又は曲がるように形成される。比較的低い注入こじ開け圧力閾値は、約15水柱センチメートル(6水柱インチ)から約91水柱センチメートル(約36水柱インチ)(1.4×10
3PaG(0.2psig)から9.0×10
3PaG(約1.3psig)、ここで、用語「約」は確定値の±20%を包含する)の圧力である。このような圧力は、例えば、輸液バックが患者の注入位置の高さより上へ持ち上げられるときに得られる。注入状態及び吸引状態の両方においてエラストマ密閉弁を通り流れる現存の弁とは異なり、本発明の弁は、注入状態において弁の周りを、吸引状態において弁を通り流れるように形成される。この本形状の利点は、吸引後の漏れ及び「逆流」が殆ど排除され、重力により流体を容易に注入する所望の能力が
図7A及び7Bの例示的な実施形態を参照して述べられるように提供されることである。
【0057】
第二状態における
図7Bを参照すると、第二開口102aを通る流体の吸引時に与えられる差圧は切れ目117が開くことを引き起こし、一方、周囲壁169の末端部169aは上側ハウジング101の内側壁111と接触する連続の密閉可能な締りばめが維持される。一態様において、切れ目は、流体が第二開口102aから切れ目を通過して第一開口101aを通ることを可能とするのに吸引圧力閾値が必要とされるように形成される。一態様において、吸引圧力閾値は、注入こじ開け圧力閾値よりかなり高い。一態様において、吸引圧力閾値と注入こじ開け圧力閾値との間の差は、吸引閾値こじ開け圧力が注入閾値こじ開け圧力よりほぼ3.4×10
4PaG(ほぼ5psig)大きいようになっている。閾値こじ開け圧力におけるこの差は、約2.1×10
4PaG(約3psig)と約4.8×10
4PaG(約7psig)との間の範囲内とすることができる(ここで、「約」は値の±20%を包含する)。閾値こじ開け圧力における差の設定は、さらに以下に述べられる切れ目117の形状及び配置と共に、エラストマ部材110の弾性率、厚さ、及び/又は、厚さ変動、傾斜、架橋又は加硫、及び、材料選択、及び、寸法を変化させることによって、達成されることができる。こじ開け圧力閾値に関して調整されることができるさらなる因子は、流れ通路115cの数、幅、及び、長さと、及び/又は、上側及び下側ハウジング構成部品の内側形状を含有する。
【0058】
図8A、8B、8C、及び、8Dを参照すると、エラストマ部材の変形が図示されている。
図8A及び8Bは、単一切れ目117形状及び複数切れ目117a形状を有するエラストマ部材110を示している。他の切れ目形状が使用されることができる。
【0059】
図8C及び8Dは、それぞれに、例示的な円錐切頭体形状部材110a,110b上のさらなる特徴、すなわち、円錐切頭体形状部材110aの表面部上の突出部1100又は円錐切頭体形状部材110bの表面部の一つ以上の通路1150を有する変形エラストマ部材110a及び110bを示している。
【0060】
図8Dは、さらに、エラストマ部材の実施形態を示しており、ここで、円錐切頭体形状部材110bは、周囲壁169cによって取り囲まれて、それを貫通する流路(図示せず)を備える茎部1175を含有し、この流路は、第二開口102aを取り囲むか、又は、下側ハウジング101の突出部102cを確実に取り囲むように形成される。茎部1175は、開口102a及び切れ目117との流体的連通のための流路として形成されることができる。この形状において、茎部1175は、必然的に、注入中の流体通路又は洗浄のための一つ以上の垂直に配置された(ハウジングの長手軸線に沿って)それを貫通する開口又は切れ目(図示せず)を具備し、この開口又は切れ目は、圧縮注入圧力又は力に応じて、流体が開口102aへ入ることを可能とするように少なくとも部分的に開くように形成されることができ、一方、吸引中において、この開口又は切れ目は、圧縮応力を受けず、開口102aと茎部1175と切れ目117とハウジングの上側部分と開口101aとを通る実質的な全ての流体流れを容易にするように閉じられたままとなるであろう。上述されたエラストマ部材の実施形態のこの変形において、エラストマ部材110のための上述されたような全ての他の機能的特質は維持されるであろう。
【0061】
図9を参照すると、本発明の弁の第二実施形態が図示され、第一開口201aを備える上側ハウジング201と下側ハウジング202とを有する装置200の斜視図を示している。
【0062】
図10は断面12A−12A及び12B−12Bを備える装置200の上面図を示している。
【0063】
図11A及び11Bは、それぞれ、装置200の分解図と分解断面図とを示している。装置200の下側ハウジング202は環状壁212を含有する。この例示的な実施形態において、環状壁212は、周囲壁269によって取り囲まれるエラストマ部材210への支持部を提供する。環状壁212は、図示されたように下側ハウジング201と一体にすることができ、又は、別に型成形されて組み立て中にハウジング内に配置されることができる。エラストマ部材210は、上側ハウジング201の内側壁211内の凹部218aによって受け入れられるように形成された表面部267の縁部からの横方向環状突起部218を有する。加えて、エラストマ部材210は、上側及び下側ハウジング構成部品201,202の組み立て時の締りばめを提供するための表面部267からの縦方向環状突出部2110を含有する。エラストマ部材210の表面部267は、表面部267の厚さを貫通する切れ目217を含有する。前述の実施形態との違いとして、装置200の下側ハウジング202は、第二開口202aへ送り込む傾斜開口202cを含有する。傾斜開口202cは、より小さな直径の第二開口201aへの案内線材などのような医療装置の挿入案内を提供し、このような装置のよじれ及び/又は曲りを防止する。
【0064】
図12A及び12Bを参照すると、それぞれ、組み立て形状における第二実施形態の装置200の90°離間する断面図が図示されている。
図12Aは、上側ハウジング201の内側壁211と共に連続密閉部を形成するように内側壁211との締りばめを有するエラストマ部材210の周囲壁269の一部を示している。エラストマ部材210は、装置200を第一開口201aに対応する上側部分と第二開口202aに対応する下側部分とに分割する。エラストマ部材210は、下側ハウジング202と貫通第二開口202aとの間の流体的連通を提供する流れ通路209を含有する環状突出部212によって支持されて図示される。エラストマ部材210は、ここでは、切れ目217及び内側壁211との連続密閉部の両方が差圧による装置200の作動以前の開口201aと202aとの間の流体流れを防止するような常時閉の弁として図示されている。エラストマ部材210と内側ハウジング壁211との間の締りばめは、製作中に上側ハウジング201及び下側ハウジング202を固定するとき、例えば、例えば溶接部214においてハウジング構成部品を共に接合又は溶接するときに、提供されることができる。エラストマ部材210の周囲壁269は、内側壁211との流体密閉部を形成する。流体は、開口209において環状支持部212と第二開口202aとを通り流れることができる。下側ハウジング202は、第二開口202aの一部として基部202eから突出する環状支持部212を取り囲む表面又は基部202eを含有する。表面又は基部202eは、傾斜壁202dへ半径外方向に延在する。傾斜壁202dの外径の一部は、上側ハウジング201の内径と共に、溶接部214により密閉可能構造に形成される。
図12Bは、第二実施形態の態様を示し、それにより、環状支持部212の内径は第二開口202aの内径へ内方向に傾斜し、これは、装置を通り挿入されるかもしれない医療装置のための案内手段としても役立つ。
【0065】
第一実施形態と同様に、装置200は、下側ハウジング202へ向けて装置200の長手軸線と概して平行に延在する選択的な流体通路215cを具備する。一実施形態において、ここに開示された装置のいずれも流体通路215cなしに形成されることができる。
【0066】
図13Aは、環状支持部212及び通路209を示す下側ハウジング202の側面図を図示している。
図13Bは、環状支持部212及び第二開口202aに送り込む傾斜開口202fを図示する下側ハウジング202の斜視図である。環状支持部212は、エラストマ部材210の下側表面に接触して、組み立て中又は使用中にハウジング内でのエラストマ部材210の移動を最小化するように形成された末端突出部212cを有することができる。
【0067】
装置200は、それぞれ、第一状態(例えば注入)及び第二状態(例えば吸引)において図示された装置200の断面図を図示する
図14A及び14Bに示されたように、第一実施形態と同様に機能する。矢印B1及びB2は、装置200内の流体流れ方向を示している。第一状態における
図14Aを参照すると、第一開口201aを通る流体の注入時において、差圧が装置200の分割されたハウジングの間に与えられ、これは、流体通路215を形成する上側ハウジング201の内側壁211からの周囲壁269の引き離しを引き起こし、エラストマ部材210周りの装置200の上側部分と下側部分との間の流体的連通を可能とする一方、第一開口201aから第二開口202aを通る指向性流体流れを提供するように切れ目217の閉鎖を維持する。下側ハウジング202の構造、例えば、傾斜壁202dは、乱流及び/又は実際の流れと接触するエラストマ部材の一部(例えば、周囲壁269の内側表面)の効果的な洗浄を可能とするような流体流れ方向を提供することができる。周囲壁269は、第一実施形態のために前述されたような比較的低い注入こじ開け圧力閾値により差圧を与えるときに(例えば、注入流体の開口201aへの導入を通して)、装置200の中心長手軸線へ向けて内方向に引き離され及び/又は曲がるように形成される。
【0068】
第二状態における
図14Bを参照すると、第二開口202aを通る流体の吸引時に分割されたハウジング内に差圧が与えられ、これは切れ目217が開くことを引き起こし、一方、周囲壁269の末端部269aは上側ハウジング201の内側壁211と接触する連続の密閉可能な締りばめが維持される。一態様において、切れ目は、流体が第二開口202aから切れ目を通過して第一開口201aを通ることを可能とするのに吸引圧力閾値が必要とされるように形成される。
【0069】
図15A及び15Bは、第二実施形態の装置200からの上側ハウジング201及びエラストマ部材210を備えて形成され図示された第三実施形態300を示し、一方、開口309を有する環状支持部312は、エラストマ部材210の下側表面に接触しないように形成されている。エラストマ部材210の支持は、上述されたように、もっぱら、横方向の環状突起部218及び凹部218aとの締りばめによって提供される。
図15Cは、装置300の下側ハウジング構成部品への変更を有する装置333を示し、ここで、環状支持部312は完全に存在せず、下側ハウジング302´の表面又は基部302eは第二開口302aへ送り込むための開口302cを有している。
【0070】
図16A及び16Bは、雄ルーアロックハウジング組立体を備える圧力作動弁の実装を図示する第四実施形態の装置400の斜視図及び断面16B−16Bに沿う断面図である。配管401aが、雄ルーアハウジング402に結合される管ハウジング401に接合される。雄ルーアロックハブ402cは、下側ハウジング402へスナップ嵌めされる。装置400の機能及び動作は、前述の実施形態のために述べられたと同様である。
【0071】
図17A及び17Bは、それぞれ、上側ハウジング201を備えて組み立てられた第五実施形態の装置500の斜視図及び断面17B−17Bに沿う断面図である。装置500は、圧力作動弁がどのように血管カテーテルハブ502内へ直接的に一体化されることができるかを明示する。カテーテル502aは、末梢静脈カテーテル、末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)、又は、中心静脈カテーテル(CVC)などであることができる。
【0072】
図18A及び18Bは、それぞれ、上側ハウジング201を備えて組み立てられ、さらに雄ルーア装置650に連結された第五実施形態の装置600の斜視図及び断面18B−18Bに沿う断面図である。装置600は、エラストマ部材210の切れ目がどのように傾斜内側流路602eによって案内されてカテーテル602aを通り挿入された医療装置675を収納することができるかを明示する。
【0073】
図19A及び19Bは、それぞれ、第六実施形態の装置700の斜視図及び断面19B−19Bに沿う断面図である。装置700は、ルーア作動弁701に直接的に一体化された本発明の圧力作動弁を明示する。この圧力作動弁組立体は、727においてルーア作動弁組立体に結合される。ルーア作動弁701は、雌ルーアハウジング703内に組み付けられ、728において雌ルーアハウジング内に密閉される。図示されたようなルーア作動弁を具備する装置700は一つの弁の例であり、しかしながら、圧力作動弁組立体は、ここで開示されたような利点を提供するために、任意の数のルーア作動弁と一体化されることができる。
【0074】
第一及び第二などの用語が、様々な要素を述べるためにここで使用されているかもしれないが、これら要素が、これら用語によって限定されるべきでないことは、理解されるであろう。これら用語は、一つの要素をもう一つから区別するために使用されるだけである。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第一要素は第二要素と称されることができ、同様に、第二要素は第一要素と称されることができる。ここで使用されるように、用語「及び/又は」は、一つ以上の関連して列挙された箇条の任意又は全ての組み合わせを包含する。
【0075】
「下方」又は「上方」又は「下側」又は「上側」又は「水平」又は「垂直」のような相対的な用語は、図面に図示されたような一つの要素、層、又は、領域のもう一つの要素、層、又は、領域への関係を述べるために、ここで使用されているかもしれない。これらの用語が、図面に示された配置に加えて、装置の異なる配置を包含することを意図していることは、理解されるであろう。
【0076】
ここで使用された学術用語は、特定の実施形態だけを述べるためのものであり、本発明の制限となることを意図していない。ここで使用されるように、単数形は、そうでないことを明確に示す内容でなければ、同様に複数形を含有することを意図している。
【0077】
ここで使用されるときに、用語「具備する」、「具備」、「包含する」、及び/又は、「包含」は、明言された特徴、完全体、段階、動作、要素、及び/又は、構成部品の存在を特定するが、そうでないことが定められなければ、一つ以上の他の特徴、完全体、段階、動作、要素、構成部分、及び/又は、それらの集団の存在又は追加を排除せず、ここで使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含有する)は、本発明が属する当業者の一人によって普通に理解されるとの同じ意味を有することは、さらに理解されるであろう。ここで使用される用語が、本明細書の内容及び関連技術におけるそれらの意味に一致する意味を有するように解釈されるべきであり、ここで明確に定められなければ、理想化された又は過度に正式的な感覚に解釈されないことは、さらに理解されるであろう。
【0078】
そうでないことが明確に述べられないならば、「より少ない」及び「より多い」のような相対的な量に関する用語は、量の概念を包含することを意図している。例のように、「より少ない」は、最も厳密な数学的な感覚において「より少ない」だけを意味するのでなく、「より少ない又は等しい」も意味する。
【0079】
ここで使用されるような用語「流体」は、液体、気体、又は、それらの組み合わせに及ぶ。