【文献】
Annals of Oncology,2012年 8月10日,Vol. 24, No. 1,pp. 84-90
【文献】
Laboratory Investigation,2008年,Vol. 88,pp. 602-614
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アクチニン−4阻害剤は、アンチセンス−オリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNAまたはこれを含むベクター;または、抗体のうちいずれか1つである、請求項4に記載の子宮頸癌の予防または治療用薬学組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の構成を具体的に説明する。
本発明は、アクチニン−4(actinin−4)遺伝子のmRNAまたはそのタンパク質水準を測定する製剤を含む子宮頸癌診断用組成物に関する。
【0015】
本発明の一具体例によれば、アクチニン−4は、子宮頸癌細胞であるHeLa細胞で過発現され(
図1A)、子宮頸癌細胞腫であるHeLa、SiHa及びME−180細胞を利用してアクチニン−4とE−カドヘリンの発現量を比較した結果、HeLa細胞では、アクチニン−4が多く発現されているが、ME−180細胞では、ほとんど発現されていなかった。一方、アクチニン−4発現が少ないME−180細胞は、E−カドヘリンの発現が多く認められた(
図1B)。
【0016】
また、アクチニン−4の増加によってAKTの活性化の増加及び転写因子Snailの発現増加を示すが、アクチニン−4の発現抑制は、AKTの活性化を減少させ、Snailの発現も減少した(
図2A)。Snailは、E−カドヘリンのプロモーターに結合して、当該発現を抑制するため、E−カドヘリンプロモーターの転写活性を測定することによって、アクチニン−4は、子宮頸癌細胞でSnailを増加させることによって、E−カドヘリンの発現を調節することを確認した(
図2)。
【0017】
アクチニン−4は、HeLa、SiHa、ME−180の順に少なく発現されるため、HeLa及びSiHa細胞では、アクチニン−4の発現抑制細胞を製作し、アクチニン−4の発現がほとんどないME−180細胞には、過発現細胞を製作して実験した結果、アクチニン−4の発現抑制細胞であるHeLa及びSiHa細胞では、Snailの発現が減少し、E−カドヘリンは、反対に増加することを確認した(
図3)。HeLa細胞の場合、E−カドヘリンが発現されない細胞であり、アクチニン−4を発現抑制しても、さらに増加しなかった。これは、アクチニン−4がSnail発現を用いたE−カドヘリンの発現調節と関連しているが、細胞内の他の様々な因子によるE−カドヘリンの発現抑制もなされているからであると認められる。また、アクチニン−4が過発現されたME−180細胞では、E−カドヘリンが減少する様相を示した。この細胞の表現型を確認した結果、発現抑制細胞で形態がEMTの反対現象であるMET表現型、すなわち、細胞−細胞間の結合となる表現型に変わって現われた(
図3の下段)。
【0018】
また、アクチニン−4の過発現による細胞の移動性増加を確認した結果、アクチニン−4の過発現が子宮頸癌細胞で移動性を増加させた(
図4)。移動性と浸潤性は、癌細胞の転移において非常に重要な過程中の1つであるため、アクチニン−4の発現が癌細胞の移動性及び浸潤性に関与するかを確認するために、トランスウェル移動及びマトリゲル浸潤分析を進行した結果、アクチニン−4の発現抑制細胞は、対照群細胞に比べて移動が減少した(
図5A)。マトリゲル浸潤の分析結果、アクチニン−4の発現抑制細胞で浸潤された細胞の数が減少した(
図5B)。また、アクチニン−4は、Snailを通じてMMP−9の発現を増加させるため、アクチニン−4発現抑制細胞であるSiHa細胞から得た培地を利用してトランスウェル移動による移動性を確認した結果、発現抑制細胞から得た培地の場合、対照群培地に比べて細胞の移動性が減少した(
図6A)。このような移動性の減少が細胞の増殖に起因して発生するかを確認するために、同一培地を利用してMTT分析を進行した結果、各培地による細胞の増殖には変化がなかった(
図6B)。したがって、アクチニン−4の発現は、AKT−Snail−MMP−9増加またはAKT−snail−E−カドヘリン抑制の機作を用いた細胞のEMT及び移動性を増加させる役目をする重要な癌マーカータンパク質であると認められる。
【0019】
また、アクチニン−4の過発現細胞であるMDCK細胞でβ−カテニンの発現が増加しており、また、β−カテニンのターゲットタンパク質であるビメンチン(Vimentine)が増加した(
図7A)。β−カテニンは、細胞の増殖を誘導し、通常、細胞−細胞間の結合に関与するE−カドヘリンに結合して存在するが、E−カドヘリンの減少は、β−カテニンの減少につながる。しかし、本発明においてアクチニン−4の過発現細胞では、E−カドヘリンの発現が抑制されて消えるにもかかわらず、β−カテニンの発現は増加している。したがって、アクチニン−4の増加がβ−カテニンの安定化に関与するものと判断され、siRNAを利用してE−カドヘリンの発現を減少させるとき、アクチニン−4によってβ−カテニンの分解が抑制されるかを確認した結果、E−カドヘリンが減少することによるβ−カテニンの減少がアクチニン−4の過発現によって抑制された(
図7B)。また、トランスレーション抑制剤であるサイクロヘキサマイドを処理してタンパク質の合成を抑制し、β−カテニンの分解がアクチニン−4によって抑制されるかを時間別に確認した結果、アクチニン−4の過発現の場合、対照群(mock)に比べて分解がさらに遅延され、β−カテニンのターゲットタンパク質であるc−mycの減少も遅延された(
図7C)。細胞内でβ−カテニンの分解は、プロテオソーム(proteosome)によって起きる現象であるため、アクチニン−4がプロテオソーム分解による分解を抑制して、β−カテニンの安定化を誘導するかを確認するために、プロテオソーム抑制剤であるALLNを処理して確認した結果、アクチニン−4の過発現時に、β−カテニンのプロテオソーム分解が抑制され、さらに安定化され、量が増加していることを確認した(
図8A)。また、β−カテニンのターゲットタンパク質であるサイクリンD1の転写活性を確認した結果、アクチニン−4の発現濃度別にその活性が増加した(
図8B)。β−カテニン及びそのターゲットタンパク質であるサイクリンD1の増加は、細胞の増殖を誘導するため、アクチニン−4の発現は、細胞増殖に関与するものと判断され、コロニー形成分析を利用して細胞増殖を確認した結果、アクチニン−4発現抑制細胞であるHeLaとSiHa細胞の場合、コロニー形成が抑制され(
図9A及びB)、反対に、アクチニン−4が過発現されたME−180細胞では、コロニー形成が増加された(
図9C)。したがって、アクチニン−4の過発現は、細胞の増殖を増加させて、癌の形成を誘導するものと考えられる。アクチニン−4発現抑制細胞でコロニー形成分析を通じて細胞の増殖が減少することを確認したことがあり、アクチニン−4の低い発現が細胞増殖に関与するかをMTT分析を通じて細胞の成長を確認した結果、HeLaとSiHa細胞がいずれも対照群に比べて細胞成長が減少した(
図10)。細胞の成長や増殖を確認できるPI染色分析結果、
図11のように、HeLa及びSiHa細胞のアクチニン−4発現抑制細胞の場合、S期の比率が減少した。前記結果から、アクチニン−4は、癌で誘導される細胞の成長を促進する役目をするものと判断される。これは、動物実験でも立証され、アクチニン−4の発現が抑制されたSiHa細胞をマウスに注射して腫瘍形成を確認した結果、アクチニン−4発現抑制細胞で対照群細胞に比べて癌形成が抑制され(
図12A)、腫瘍のサイズも対照群に比べて小さかった(
図12B)。また、アクチニン−4の発現抑制細胞を注射したマウスから除去した腫瘍を比較した結果、対照群に比べてサイズが小さく(
図13A)、癌のサイズ及び重さも、格別に減少した(
図13B)。
【0020】
したがって、アクチニン−4は、子宮頸癌を診断するためのバイオマーカーとして使用できる。
【0021】
用語「診断」は、病理状態を確認することを意味するものであって、本発明の目的上、前記診断は、子宮頸癌診断マーカーの発現有無を確認して、子宮頸癌の発病可否、進展及び軽減可否を確認することを意味する。
【0022】
用語「診断用マーカー(diagnosis marker)」とは、子宮頸癌の細胞を正常細胞と区分して診断できる物質を意味し、正常細胞に比べて子宮頸癌の細胞で増加または減少を見せるポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA等)、脂質、糖脂質、糖蛋白質、糖(単糖類、二糖類、オリゴ糖類等)等のような有機生体分子等を含む。本発明において提供する子宮頸癌診断用マーカーは、正常細胞に比べて子宮頸癌の細胞で発現量が増加するアクチニン−4遺伝子から発現されたタンパク質であることができる。
【0023】
本発明の子宮頸癌診断用組成物は、アクチニン−4遺伝子のmRNAの発現水準または前記遺伝子から発現されたタンパク質の量を測定する製剤を含み、このような製剤として、アクチニン−4mRNAに相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド、例えば、アクチニン−4mRNAに特異的に結合するプライマーまたは核酸プローブや、アクチニン−4タンパク質に特異的な抗体を含むことができる。
【0024】
前記プライマーは、適合な温度及び適合な緩衝液内で適合な条件(すなわち、4種の異なるヌクレオチドトリホスフェート及び重合反応酵素)の下で鋳型−指示DNA合成の開始点として作用できる単一ストランドオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーの適合な長さは、多様な要素、例えば、温度とプライマーの用途によって変化があり得る。また、プライマーの配列は、鋳型の一部配列と完全に相補的な配列を有する必要がなく、鋳型と混成化されて、プライマー固有の作用が可能な範囲内において十分な相補性を有すれば十分である。したがって、本発明におけるプライマーは、鋳型である遺伝子のヌクレオチド配列に完全に相補的な配列を有する必要がなく、この遺伝子配列に混成化されて、プライマー作用が可能な範囲内で十分な相補性を有すれば十分である。また、本発明によるプライマーは、遺伝子増幅反応に用いられるものが好適である。前記増幅反応は、核酸分子を増幅する反応を言い、このような遺伝子の増幅反応に対しては、当業界によく知られており、例えば、重合酵素連鎖反応(PCR)、逆転写重合酵素連鎖反応(RT−PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写介在増幅(TMA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)等が含まれることができる。
【0025】
前記核酸プローブは、自然のまたは変形されたモノマーまたは連鎖(linkages)の線形オリゴマーを意味し、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを含み、ターゲットヌクレオチド配列に特異的に混成化でき、自然的に存在するかまたは人為的に合成されたものを言う。本発明によるプローブは、単一鎖であってもよく、好ましくは、オリゴデオキシリボヌクレオチドであってもよい。本発明のプローブは、自然dNMP(すなわち、dAMP、dGMP、dCMP及びdTMP)、ヌクレオチド類似体または誘導体を含むことができる。また、本発明のプローブは、リボヌクレオチドをも含むことができる。例えば、本発明のプローブは、骨格変形されたヌクレオチド、例えば、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオエートDNA、ホスホロジチオエートDNA、ホスホロアミダートDNA、アミド−連結されたDNA、MMI−連結されたDNA、2’−O−メチルRNA、アルファ−DNA及びメチルホスホネートDNA、糖変形されたヌクレオチド、例えば、2’−O−メチルRNA、2’−フルオロRNA、2’−アミノRNA、2’−O−アルキルDNA、2’−O−アリールDNA、2’−O−アルキニルDNA、ヘキソースDNA、ピラノシルRNA及びアンヒドロヘキシトールDNA、及び塩基変形を有するヌクレオチド、例えば、C−5置換されたピリミジン(置換基は、フルオロ−、ブロモ−、クロロ−、ヨード−、メチル−、エチル−、ビニル−、ホルミル−、エチニル−、プロピニル−、アルキニル−、チアゾリル−、イミダゾリル−、ピリジル−を含む)、C−7置換基を有する7−デアザプリン(置換基は、フルオロ−、ブロモ−、クロロ−、ヨード−、メチル−、エチル−、ビニル−、ホルミル−、アルキニル−、アルケニル−、チアゾリル−、イミダゾリル−、ピリジル−)、イノシン及びジアミノプリンを含むことができる。
【0026】
前記アクチニン−4に特異的な抗体は、ポリクロナル抗体、モノクロナル抗体、ヒト抗体及びヒト化抗体を使用できる。
【0027】
前記抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片;ディアボディー(diabody);線形抗体(Zapata et al.、Protein Eng.8(10):1057−1062(1995));単一鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体等が含まれる。
【0028】
抗体をパパイン(papain)で分解すれば、2個の同一の抗原結合断片、すなわち単一抗原結合部位がある各「Fab」断片、及びその残りである「Fc」断片が生成される。ペプシンを処理すれば、2個の抗原結合部位があり、相変らず抗原に交差結合できるF(ab’)2断片が生成される。Fvは、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小限の抗体断片である。この部位は、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変領域の二量体で構成され、非共有結合で堅く結合されている。
【0029】
ポリクロナル抗体の製造方法は、当業者に公知されている。ポリクロナル抗体は、哺乳動物に1回以上免疫化剤を注入し、必要な場合、免疫補強剤とともに注入して製造できる。通常、免疫化剤及び(または)免疫補強剤は、哺乳動物に皮下注射または腹腔内注射で数回注入される。免疫化剤は、本発明のタンパク質またはその融合タンパク質であることができる。免疫化される哺乳動物に免疫原性があるものと公知されたタンパク質とともに免疫化剤を注射することが効果的なことがある。
【0030】
本発明によるモノクロナル抗体は、文献(Kohler et al.、Nature、256:495(1975))に記載されたハイブリドーマ方法で製造できるか、または再組合DNA方法(例えば、米国特許第4,816,576号参照)で製造できる。モノクロナル抗体は、また、例えば、文献(Clackson et al.、Nature、352:624−628(1991)及びMarks et al.、J.Mol.Biol.、222:581−597(1991))に記載された技術を利用してファージ抗体ライブラリから単離できる。
【0031】
本発明におけるモノクロナル抗体は、具体的に、目的する活性を発揮すると、重鎖及び(または)軽鎖の一部分が特定の種から由来した抗体または特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の相当する配列と同一であるか、相同性があるが、鎖の残りは、他の種から由来した抗体または他の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体またはそれら抗体の断片と同一であるか、相同性がある「キメラ」抗体を含む(Morrison et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851−6855(1984))。
【0032】
非ヒト(例えば、ネズミ科動物)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンから誘導された最小配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合配列)である。大部分の場合、ヒト化抗体は、受容者の相補性決定領域(CDR)の残基を所望する特異性、親和度及び能力を有するマウス、ネズミまたはウサギのようなヒト以外の種(供与者抗体)のCDR残基で置換させたヒト免疫グロブリン(受容者抗体)を含む。いくつかの場合に、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、相当する非ヒト残基によって置換される。また、ヒト化抗体は、受容抗体、または導入されるCDRまたはフレームワーク配列で発見されない残基を含むことができる。一般的に、ヒト化抗体は、1つ以上、一般的に2つ以上の可変ドメインを実質的にすべて含み、ここで、すべてのまたは実質的にすべてのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリンの領域に対応し、すべてのまたは実質的にすべてのFR領域は、ヒト免疫グロブリン配列の領域に該当する。また、ヒト化抗体は、免疫グロブリン不変領域(Fc)の少なくとも一部、一般的にヒト免疫グロブリン領域の一部を含む(Presta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992))。
【0033】
本発明の子宮頸癌診断用組成物は、キットの形態で含まれることができる。
前記キットは、アクチニン−4遺伝子の発現水準またはタンパク質の量を測定できるプライマー、プローブまたは抗体を含むことができ、これらの定義は、前述した通りである。
【0034】
前記キットがPCR増幅過程に適用される場合、選択的に、PCR増幅に必要な試薬、例えば、緩衝液、DNA重合酵素(例えば、Thermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilus(Tth)、Thermus filiformis、Thermis flavus、Thermococcus literalisまたはPyrococcus furiosus(Pfu)から収得した熱安定性DNA重合酵素)、DNA重合酵素補助因子及びdNTPsを含むことができ、前記キットが免疫分析に適用される場合、本発明のキットは、選択的に、二次抗体及び標識の基質を含むことができる。さらに、本発明によるキットは、前述した試薬成分を含む多数の別途パッケージングまたはコンパートメントで製作され得る。
【0035】
また、本発明の子宮頸癌診断用組成物は、マイクロアレイの形態で含まれることができる。
【0036】
本発明のマイクロアレイにおいて、前記アクチニン−4タンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の発現水準を測定できるプライマー、プローブまたは抗体は、混成化アレイ要素(hybridizable array element)として利用され、基質(substrate)上に固定化される。好ましい基質は、適合な堅固性または半堅固性支持体であって、例えば、膜、フィルタ、チップ、スライド、ウェーハ、ファイバー、磁気性ビーズまたは非磁気性ビーズ、ゲル、チュービング、プレート、高分子、微小粒子及び毛細管を含むことができる。前記混成化アレイ要素は、前記基質上に配列されて固定化され、このような固定化は、化学的結合方法またはUVのような共有結合的方法によって行われることができる。例えば、前記混成化アレイ要素は、エポキシ化合物またはアルデヒド基を含むように変形されたガラス表面に結合され得、また、ポリリジンコーティング表面でUVによって結合され得る。また、前記混成化アレイ要素は、リンカー(例:エチレングリコールオリゴマー及びジアミン)を介して基質に結合され得る。
【0037】
一方、本発明のマイクロアレイに適用される試料が核酸の場合には、標識され得、マイクロアレイ上のアレイ要素と混成化され得る。混成化条件は、多様であることができ、混成化程度の検出及び分析は、標識物質によって多様に実施され得る。
【0038】
また、本発明は、前記アクチニン−4遺伝子の発現水準またはその発現タンパク質水準を測定する方法を通じて子宮頸癌を診断する方法を提供し、より具体的に、前記方法は、(a)子宮頸癌疑心患者の生物学的試料からアクチニン−4遺伝子の発現水準またはその発現タンパク質の量を測定する段階と;(b)正常対照群試料から前記遺伝子の発現水準またはその発現タンパク質の量を測定して、前記(a)段階の測定結果と比較する段階とを含むことができる。
【0039】
前記で遺伝子の発現水準またはタンパク質の量を測定する方法は、公知の技術を利用して生物学的試料からmRNAまたはタンパク質を分離する公知の工程を含んで行われることができる。
【0040】
前記生物学的試料は、子宮頸癌発生または進行程度による前記遺伝子の発現水準またはタンパク質の水準が正常対照群とは異なる、生体から採取された試料を言い、前記試料としては、例えば、これに制限されないが、組織、細胞、血液、血清、血しょう、唾液及び尿等が含まれることができる。
【0041】
前記遺伝子の発現水準の測定は、好ましくは、mRNAの水準を測定することであり、mRNAの水準を測定する方法としては、逆転写重合酵素連鎖反応(RT−PCR)、リアルタイム逆転写重合酵素連鎖反応、RNase保護分析法、ノーザンブロット及びDNAチップ等があるが、これに制限されない。
【0042】
前記タンパク質水準の測定は、抗体を利用でき、このような場合、生物学的試料内の前記アクチニン−4タンパク質とこれに特異的な抗体は、結合物、すなわち抗原−抗体複合体を形成し、抗原−抗体複合体の形成量は、検出ラベル(detection label)のシグナルのサイズを通じて定量的に測定できる。このような検出ラベルは、酵素、蛍光物質、リガンド、発光物質、微小粒子(microparticle)、レドックス分子及び放射線同位元素よりなるグループの中から選択でき、これに制限されるものではない。タンパク質水準を測定するための分析方法としては、これに制限されないが、ウェスタンブロット、ELISA、放射線免疫分析、放射線免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、免疫沈降分析法、補体固定分析法、FACS、タンパク質チップ等がある。
【0043】
したがって、本発明は、前記のような検出方法を通じて、対照群のmRNA発現量またはタンパク質の量と子宮頸癌患者、または子宮頸癌疑心患者におけるmRNA発現量またはタンパク質の量を確認でき、前記発現量の程度を対照群と比較することによって、子宮頸癌の発病可否、進行段階等を診断できる。
【0044】
また、本発明による前記子宮頸癌の診断方法は、本発明によるアクチニン−4遺伝子の発現水準またはその発現タンパク質の量が正常対照群試料に比べて増加した場合、子宮頸癌が誘発されたものと判断できる。
【0045】
また、本発明は、アクチニン−4(actinin−4)阻害剤を含む子宮頸癌の予防または治療用薬学組成物に関する。
【0046】
また、本発明は、子宮頸癌の予防または治療用薬学組成物の製造のためのアクチニン−4阻害剤の用途を提供する。
【0047】
本発明によれば、アクチニン−4は、前述したように、子宮頸癌細胞で過発現され、アクチニン−4の発現は、AKT−Snail−MMP−9増加またはAKT−Snail−E−カドヘリン抑制機作を通じて細胞のEMT及び移動性を増加させ、細胞の増殖に関与するβ−カテニンの分解を抑制して、そのターゲットタンパク質であるc−mycの減少をも遅延させ、サイクリンD1の転写活性を増加させて、細胞の増殖を増加させることによって、癌形成を誘導するが、アクチニン−4の発現を抑制する場合、MET表現型、すなわち、細胞−細胞間の結合となる表現型を示し、細胞の移動性と浸潤性が減少し、細胞増殖が減少し、動物モデルで腫瘍形成を抑制し、形成された腫瘍のサイズも、対照群に比べて小さかった。したがって、アクチニン−4の阻害剤は、子宮頸癌の治療に使用できる。
【0048】
したがって、本発明の子宮頸癌の予防または治療用組成物は、アクチニン−4遺伝子のmRNA発現またはそのタンパク質の発現を減少させるか、機能または活性を減少させる製剤を含むことができる。
【0049】
前記アクチニン−4タンパク質阻害剤は、アクチニン−4タンパク質と結合して神経分化経路の信号を調節するペプチドまたは化合物等であることができる。このような阻害剤は、タンパク質構造分析等の下記例示されたスクリーニング方法を通じて選定され得、当業界に公知された方法を利用して設計され得る。
【0050】
また、前記タンパク質阻害剤は、アクチニン−4タンパク質に対するポリクロナル抗体、モノクロナル抗体、ヒト抗体及びヒト化抗体を使用でき、前記抗体の定義は、前述した通りである。
【0051】
前記抗体を利用して細胞内のアクチニン−4の機能を抑制することによって、子宮頸癌を予防または治療できる。
【0052】
本発明のアクチニン−4タンパク質の機能または活性阻害剤は、リポソーム、ウイルス、遺伝子ガン(gene gun)、ポリマー(polymer)、超音波、電気衝撃を利用して伝達され得るが、これに特に制限されるものではない。
【0053】
前記アクチニン−4遺伝子は、これらをコーディングするDNAまたはこれから転写されるmRNAであることができる。したがって、前記遺伝子に対する阻害剤は、遺伝子自体に結合して転写を妨害するか、または遺伝子から転写されたmRNAに結合してmRNAの解読を妨害する阻害剤であることができる。
【0054】
したがって、前記アクチニン−4遺伝子の阻害剤は、アクチニン−4遺伝子の発現を阻害する阻害剤をすべて含む。例えば、このような阻害剤は、前記遺伝子に結合するペプチド、核酸または化合物等であることができる。このような阻害剤は、細胞基盤スクリーニング等の下記例示されたスクリーニング方法を通じて選定され得、当業界に公知された方法を利用して設計され得る。
【0055】
一具体例で、前記阻害剤は、アクチニン−4遺伝子に対するアンチセンス−オリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNAまたはこれらを含むベクターであることができる。このようなアンチセンス−オリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNAまたはこれらを含むベクターは、当業界に公知された方法を利用して製作できる。
【0056】
本明細書で、「siRNA」は、標的遺伝子のmRNAの切断を通じてRNA干渉現象を誘導する二本鎖RNAを意味し、標的遺伝子のmRNAのような配列を有するセンス配列のRNAストランドと、これと相補的な配列を有するアンチセンス配列のRNAストランドで構成される。
【0057】
前記siRNAは、試験管内で合成したsiRNA自体またはsiRNAをコーディングする塩基配列を発現ベクターに挿入して発現される形態を含むことができる。
【0058】
本発明において、前記「ベクター」は、ポリペプチドを暗号化するゲノム内に挿入された外部DNAを含む遺伝子作製物を言う。
【0059】
本発明と関連したベクターは、前記遺伝子を阻害する核酸配列がゲノム内に挿入されたベクターであって、これらのベクターは、DNAベクター、プラスミドベクター、コスミドベクター、バクテリオファージベクター、酵母ベクター、またはウイルスベクターが例示できる。
【0060】
また、前記アンチセンスは、アクチニン−4遺伝子またはその断片から転写されるmRNA配列全体または一部と相補的な配列を有し、前記mRNAと結合して前記アクチニン−4遺伝子または断片の発現を抑制できる。
【0061】
また、前記shRNAi(short hairpin RNAi)は、ヒトまたはマウスのshRNAi共通塩基配列部位を標的にして通常の方法によって製作されたものを使用できる。
【0062】
また、本発明の医薬組成物は、薬剤学的に許容可能な担体をさらに含むことができる。
前記薬剤学的に許容可能な担体は、医薬分野で通常使用される担体及びビヒクルを含み、具体的に、イオン交換樹脂、アルミナ、アルミニウムステアレート、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、各種リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、カリウムソルベート、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物)、水、塩または電解質(例えば、プロタミンスルフェート、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム及び亜鉛塩)、膠質性シリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロース系基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアリレート、ワックス、ポリエチレングリコールまたは羊毛脂等を含むが、これに制限されない。
【0063】
また、本発明の組成物は、前記成分以外に、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、または保存剤等をさらに含むことができる。
【0064】
1つの様態として、本発明による組成物は、非経口投与のための水溶性溶液で製造でき、好ましくは、ハンクス溶液(Hank’s solution)、リンゲル溶液(Ringer’s solution)または物理的に緩衝された塩水のような緩衝溶液を使用できる。水溶性注入(injection)懸濁液は、ソジウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランのように懸濁液の粘度を増加させることができる基質を添加できる。
【0065】
本発明の組成物は、全身または局所的に投与され得、このような投与のために公知の技術で適合な剤形に製剤化され得る。例えば、経口投与時には、不活性希釈剤または食用担体と混合するか、硬質または軟質ゼラチンカプセルに密封されるかまたは錠剤に圧縮成形して投与することができる。経口投与用の場合、活性化合物は、賦形剤と混合されて、摂取型錠剤、頬側錠剤、トローチ、カプセル、エリクシール、サスペンション、シロップ、ウェーハ等の形態で使用され得る。
【0066】
注射用、非経口投与用等の各種剤形は、当該技術分野に公知された技法または通用される技法によって製造できる。アクチニン−4は、食塩水または緩衝液によく溶解されるので、冷凍乾燥状態で保管した後、有効量のアクチニン−4を静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与等に適合な形態で食塩水または緩衝液に投与直前に溶液に製剤化して投与してもよい。
【0067】
本発明の医薬組成物の有効成分の有効量は、疾患の予防、抑制または軽減効果を奏するのに要求される量を意味する。
【0068】
したがって、疾患の種類、疾患の重症度、組成物に含有された有効成分及び他の成分の種類及び含量、剤形の種類及び患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、同時使用される薬物を含めた多様な因子によって調節され得る。これに制限されるものではないが、例えば、大人の場合、本発明の阻害剤は、1日1回〜数回投与時に、化合物の場合、0.1ng/kg〜10g/kg、ポリペプチド、タンパク質または抗体の場合、0.1ng/kg〜10g/kg、アンチセンス−オリゴヌクレオチド、siRNA、shRNAi、miRNAの場合、0.01ng/kg〜10g/kgの用量で投与できる。
【0069】
本発明は、また、アクチニン−4阻害剤を含む子宮頸癌の予防または治療用薬学組成物の薬剤学的有効量を子宮頸癌個体に投与する段階を含む子宮頸癌を治療する方法を提供する。
【0070】
前記子宮頸癌の治療方法に使用される薬学的組成物及び投与方法は、前記で説明したので、これら2つの間に共通された内容は、本明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【0071】
一方、前記子宮頸癌の予防または治療用薬学的組成物を投与できる個体は、すべての動物を含む。例えば、犬、猫、マウスのようなヒトを除いた動物であることができる。
【0072】
また、本発明は、アクチニン−4(actinin−4)遺伝子を候補物質と人体外で接触させ、前記候補物質が前記遺伝子の発現を促進するかまたは抑制するかを判断することを含む子宮頸癌の予防または治療用医薬のスクリーニング方法を提供する。
【0073】
また、本発明は、アクチニン−4(actinin−4)タンパク質を候補物質と人体外で接触させ、前記候補物質が前記タンパク質の機能または活性を増進するかまたは抑制するかを判断することを含む子宮頸癌の予防または治療用医薬のスクリーニング方法を提供する。
【0074】
本発明のスクリーニング方法によれば、まず、前記遺伝子またはタンパク質を含む子宮頸癌細胞に、分析しようとする候補物質を接触させることができる。
【0075】
前記候補物質は、通常的な選定方式によってアクチニン−4遺伝子塩基配列でmRNA、タンパク質への転写、翻訳を促進するかまたは抑制する物質、あるいはアクチニン−4タンパク質の機能または活性を増進するかまたは抑制する医薬としての可能性を有するものと推定されるかまたは無作為的に選定された個別的な核酸、タンパク質、ペプチド、その他抽出物または天産物、化合物等になり得る。
【0076】
その後、候補物質が処理された細胞から前記遺伝子の発現量、タンパク質の量またはタンパク質の活性を測定でき、測定結果、前記遺伝子の発現量、タンパク質の量またはタンパク質の活性が増加または減少することが測定されれば、前記候補物質は、子宮頸癌を治療または予防できる物質として判断できる。
【0077】
前記で遺伝子の発現量、タンパク質の量またはタンパク質の活性を測定する方法は、当業界に公知された多様な方法を通じて行われることができ、例えば、これに制限されないが、逆転写重合酵素連鎖反応(reverse transcriptase−polymerasechain reaction)、リアルタイム重合酵素連鎖反応(real time−polymerase chain reaction)、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、ELISA(enzyme linked immunosorbent assay)、放射線免疫分析(RIA:radioimmunoassay)、放射免疫拡散法(radioimmunodiffusion)及び免疫沈降分析法(immunoprecipitation assay)等を利用して行うことができる。
【0078】
本発明のスクリーニング方法を通じて得た、遺伝子発現を抑制させるか、タンパク質の機能を抑制する活性を示す候補物質は、子宮頸癌治療剤の候補物質になり得る。
【0079】
このような子宮頸癌治療剤の候補物質は、以後の子宮頸癌治療剤の開発過程で先導物質(leading compound)として作用するようになり、先導物質がアクチニン−4遺伝子またはそれから発現されるタンパク質の機能を促進または抑制効果を示すことができるように、その構造を変形させ、最適化することによって、新しい子宮頸癌治療剤を開発できる。
【0080】
本発明で遺伝工学的技術と関連した事項は、サムブルック等の文献(Sambrook、et al.Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor laboratory Press、ColdSpring Harbor、N.Y.(2001))及びフレドリック等の文献(Frederick M.Ausubel et al.、Current protocols in molecular biology volume 1、2、3、John Wiley & Sons、Inc.(1994))に開示されている内容によってさらに明確になる。
【0081】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、ただ本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0082】
以下、実験に使用された試薬、培地等の入手先は、次の通りである:
Dulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)、ウシ胎児血清(fetal bovine serum(FBS))、ペニシリン、ストレプトマイシン、Lipofectamine 2000 reagentは、Invitrogen(Carlsbad、CA)から購入した。
【0083】
抗−ACTN4、抗−ビメンチン、抗−N−カドヘリン、抗−β−アクチン及び抗−AKT1抗体は、Santa Cruz Biotechnology、Inc.(Santa Cruz、CA)から購入し、抗−p−GSK3β、抗−snail及び抗−p−AKT(S473)抗体は、Cell Signaling Technologyから購入し、抗−E−カドヘリン、抗−β−カテニン抗体は、BD Biosceincesから購入した。モノクロナル抗−Flag−M2抗体は、Aligent Technologyから購入した。
【0084】
sh−ACTN4プラスミドは、Open−biosystemから購入した。
【0085】
トリファンブルー(Tryphan blue)及び3−(4、5−Dimethylthiazol−2−yl)−2、5−Diphenyltetrazolium Bromide(MTT)は、Sigma(St、Louis、MO)から購入した。
【0086】
〈実施例1〉多様な癌細胞におけるアクチニン−4発現及び子宮頸癌細胞における発現比較
多様な癌細胞におけるアクチニン−4の発現量を比較するために、ウェスタンブロットを利用してタンパク質発現量を比較した。
【0087】
このために、一般細胞であるヒト胎児腎臓細胞(human embryonic kidney、HEK−293T)を含んで、様々な癌細胞(前立腺癌:LNCaP、DU145、PC3/乳房癌:MCF−7、T47D、MDA−MB−231/肺癌:A549、H460/大腸癌:HCT116/肝癌:HepG2/子宮頸癌:HeLa)におけるアクチニン−4の発現を比較した。各細胞の蛋白質量は、30μgと10% SDS−PAGEゲルを使用し、アクチニン−4の抗体(Santa Cruz)は、1:3000比率で使用した。各タンパク質検出のために、West Pico ECL(Thermo scientific、Rockford、IL)を使用して暗室で確認した。チューブリン抗体(Santa Cruz)は、各細胞のタンパク質を同一量で比較したかを把握できる対照群であって、1:3000比率で処理した。
【0088】
図1Aに示されたように、他の癌細胞に比べて子宮頸癌細胞であるHeLa細胞で過量のアクチニン−4が発現された。
【0089】
前記結果に基づいて子宮頸癌細胞腫であるHeLa、SiHa及びME−180細胞を利用してアクチニン−4の発現量を比較し、発現量によるE−カドヘリン(E−cadherin)の発現を確認した。
【0090】
このために、子宮癌細胞に含まれる3つの子宮癌細胞(HeLa、SiHa、ME−180)から得た30μgのタンパク質をウェスタンブロットを利用してアクチニン−4とE−カドヘリン(BD Biosceinces)のタンパク質発現量を比較した。E−カドヘリン抗体は、1:5000比率で使用した。
【0091】
図1Bに示されたように、HeLa細胞では、アクチニン−4が多く発現されており、ME−180細胞では、ほとんど発現されていなかった。一方、アクチニン−4発現が少ないME−180細胞は、E−カドヘリンが多く発現されていた。
【0092】
このような結果は、アクチニン−4の過発現によるE−カドヘリンの発現調節によるものと認められる。
【0093】
〈実施例2〉子宮頸癌細胞でアクチニン−4の発現によるAKT−Snail信号機作及びE−カドヘリンの転写活性の調査
先行研究報告において、MDCK細胞でアクチニン−4の発現によるAKT−Snailの信号機作を確認したことがある。したがって、子宮頸癌細胞でも、同じ機作が起きるかを確認した。
【0094】
このために、SiHa細胞にflag−アクチニン−4DNA(1μg)またはsh−アクチニン−4(1.5μg)をLipofectamine 2000(Invitrogen)を利用してトランスフェクションした。DNAとLipofectamine 2000の比率は、1:2で使用し、方法は、製造メーカのマニュアルによって行った。sh−アクチニン−4の場合、Open−biosystemから購入して使用した。当該細胞からRIPAライシスバッファーを利用してタンパク質を抽出した後、30μgのタンパク質をウェスタンブロットでそれぞれ(FLAG:Aligent Technology、p−AKT:Cell Signaling Technology、AKT:Santa Cruz、p−GSK3β、snail:Cell Signaling Technology及びβ−アクチン:Santa Cruz)の抗体を使用してタンパク質の発現を確認し、それぞれの抗体は、1:3000比率で使用した。
【0095】
また、HEK−293T細胞を12−ウェルプレートに各ウェル当たり2×10
5細胞をシーディングした後、0.5μgのE−カドヘリンプロモーター構造物(全長サイズ:−427〜+53、Del−mutant:−78〜+53)とFlag−ACTN4(0.5μg)またはsh−ACTN4(0.5μg)を同時にトランスフェクションした。Deletion mutantの製作は、全長プロモーターでsnail結合部位を含む−207〜−194部分を除いた−78〜+53部分をクローニングして製作した。snは、snailの結合部位(−207〜−194)を示す。当該細胞をice−cold PBSで洗浄及びレポーターライシスバッファー(Promega、Madison、WI)でウェル当たり80μLを使用して細胞を壊した後、10,000×gに4℃で10分間遠心分離して、上澄み液を収集し、ルシフェラーゼ活性を測定した。機器は、Luminometer 20/20
n(Turner Biosystems、Sunnyvale、CA)を使用した。標準化(Normalization)のために、pSV40−β−ガラクトシダーゼを一緒にトランスフェクション(co−transfected)した。収集された上澄み液は、β−ガラクトシダーゼ活性を測定してルシフェラーゼ活性を補正し、値をグラフで示した。これにβ−ガラクトシダーゼ酵素分析システム(Promega、Madison、WI)が使用され、DU530 spectrophotometer(Beckman Instruments、Palo Alto、CA)を使用して分析した。
【0096】
図2Aに示されたように、アクチニン−4の増加によってAKTの活性化増加及びSnailの発現増加を示すが、アクチニン−4の発現抑制は、AKTの活性化を減少させ、Snailの発現をも減少させた。
【0097】
転写因子Snailは、E−カドヘリンのプロモーターに結合し、当該発現を抑制する役目をする。したがって、Snailの結合部位を含むかまたは除去された2つのE−カドヘリンプロモーターの転写活性を測定した結果、Snail部位が含まれたプロモーターでは、転写活性が減少し、除去された場合は、転写活性がアクチニン−4の有無による変化がなかった(
図2B)。また、アクチニン−4の発現を抑制した場合、E−カドヘリンの転写活性が増加した(
図2C)。
【0098】
このような結果を見れば、アクチニン−4は、子宮頸癌細胞でSnailを増加させることによって、E−カドヘリンの発現を調節するものと認められる。
【0099】
〈実施例3〉子宮頸癌細胞腫であるHeLa、SiHa及びME−180細胞にアクチニン−4発現抑制細胞及び過発現細胞の製作によるSnailとE−カドヘリンの発現様相の調査
実施例1でアクチニン−4は、HeLa、SiHa、ME−180の順に少なく発現された。したがって、HeLa及びSiHa細胞では、アクチニン−4の発現抑制細胞を製作し、アクチニン−4の発現がほとんどないME−180細胞には、過発現細胞を製作した。
【0100】
アクチニン−4発現抑制安定化細胞を製作するために、HeLa、SiHa細胞にshACTN4プラスミド(1.5μg)をトランスフェクションし、2週間プロマイシン(puromycin)(2μg/mL)で選別した。当該細胞からタンパク質を抽出した後、ウェスタンブロットを利用してアクチニン−4とSnailのタンパク質発現量を確認した。また、ME−180細胞では、アクチニン−4の過発現安定化細胞を製作するために、Flag−ACTN4プラスミドをトランスフェクションした後、2週間G−418(400μg/mL;Sigma)を処理することによって選別した。当該細胞の表現型(細胞形態)を確認するために、顕微鏡を用いて写真を撮った(Zeiss Axiovert 100;倍率×10)。
【0101】
図3に示されたように、アクチニン−4の発現抑制細胞であるHeLa及びSiHa細胞では、Snailの発現が減少し、E−カドヘリンは、反対に増加した。HeLa細胞は、E−カドヘリンが発現されない細胞であり、アクチニン−4を発現抑制しても、さらに増加しなかった。これは、アクチニン−4がSnail発現によるE−カドヘリンの発現調節と関連しているが、細胞内に他の様々な因子によるE−カドヘリンの発現抑制も行われているからであると考えられる。
【0102】
次に、アクチニン−4が過発現されたME−180細胞では、E−カドヘリンが減少する様相を示した。この細胞の表現型を確認した結果、発現抑制細胞で形態がEMTの反対現象であるMET表現型、すなわち、細胞−細胞間の結合になる表現型に変わって現われることを確認した(
図3の下段)。
【0103】
〈実施例4〉子宮頸癌細胞でアクチニン−4の過発現による細胞の移動性の調査
子宮頸癌細胞でアクチニン−4の過発現による細胞の移動性を確認するために、創傷傷治癒分析(wound healing assay)を進行した。
創傷傷治癒分析のために、6−ウェルプレートに各ウェル当たりHeLa及びSiHa 5×10
5細胞をシーディングしてアクチニン−4(1μg)をトランスフェクションした後、各ウェルの細胞を200pチップを利用して直線で細胞を掻き出した後、細胞が除去された位置に各表面の細胞が移動する程度を比較した(HeLa 24h、SiHa48h)。
【0104】
図4のように、アクチニン−4の過発現が細胞の移動性を増加させた。
移動性と浸潤性は、癌細胞の転移において非常に重要な過程中の1つである。したがって、アクチニン−4の発現が癌細胞の移動性及び浸潤性に関与するかを確認するために、アクチニン−4発現抑制細胞でトランスウェル移動(transwell migration)及びマトリゲル浸潤分析(matrigel invasionassay)を進行した。
【0105】
細胞の移動性測定(migration)のために、アクチニン−4の発現抑制安定化細胞(HeLa−KD、SiHa−KD)を利用してトランスウェル移動を進行した。8μm−気孔サイズの孔があるトランスウェルインサート(BD Biosciences)にコラーゲンI(20μg)を1時間コーティングした。その後、HeLa(対照群とKD細胞:3×10
5)とSiHa(対照群とKD細胞:5×10
5)細胞をインサートにシーディングして、36時間後に気孔の反対側に移った細胞の数を測定し、グラフで示した。
【0106】
図5Aに示されたように、アクチニン−4の発現抑制細胞が対照群細胞に比べて移動が減少した。
【0107】
マトリゲル浸潤分析は、1つの癌組織の細胞から他の生体器官に転移される場合、血管または組織に浸透できる能力が必要であるため、そのように能力を調べるために使用する実験である。マトリゲルを経てメンブレインの反対に移動する細胞数を測定した。
【0108】
このために、8μm−気孔サイズの孔があるインサートプレート(BD Biosciences)にマトリゲル(2mg/mL;BD Biosciences)を1時間コーティングした。その後、HeLa(対照群とKD細胞:5×10
5)とSiHa(対照群とKD細胞:5×10
5)細胞をインサートプレートにシーディングして、36時間後に気孔の反対側に移った細胞の数を測定し、グラフで示した。
【0109】
図5Bに示されたように、アクチニン−4の発現抑制細胞で浸潤された細胞の数が減少した。
【0110】
また、アクチニン−4は、Snailを通じてMMP−9の発現を増加させるので、アクチニン−4発現抑制細胞から得た培地も、細胞の移動性を抑制するものと考えられ、アクチニン−4発現抑制細胞であるSiHa細胞から得た培地を利用してトランスウェル移動による移動性を確認した。
【0111】
このために、アクチニン−4発現抑制細胞から得たならし培地(conditioned medium;CM)をHeLaとSiHa細胞に処理し、細胞の移動性(migration)をトランスウェル移動方法を利用して実験した。CMは、アクチニン−4発現抑制SiHa細胞を6−ウェルプレートにウェル当たり5×10
5細胞をシーディングした後、無血清DMEMを48時間処理後、その培地を収集して、500×gに5分間遠心分離して残っている細胞を除去し、培地だけを回収した。細胞移動性(migration)実験方法は、前述した移動性実験と同一に行った。
【0112】
また、当該培地(CM)が細胞の成長に関与するかを確認するために、96−ウェルプレートにHeLa及びSiHaそれぞれ1×10
4数の細胞をシーディングした後、SiHa−アクチニン−4発現抑制細胞から得たCM(対照群CMまたはACTN4−KD CM)を処理して、時間別(0−48h)に細胞数を測定してグラフで示し、それぞれ3回ずつ実験を進行した。それぞれのウェルにMTT溶液100μL(5mg/mL、Sigma)を6時間処理した後、反応を停止するために、100mLのジメチルスルホキシド(DMSO)を付加した。590nm波長でELISA reader(Bio−Rad Laboratories、Inc)を利用して測定した。
【0113】
図6Aに示されたように、発現抑制細胞から得た培地は、対照群培地に比べて細胞の移動性が減少した。
【0114】
このような移動性の減少が、細胞の増殖に起因して発生するかを確認するために、同一培地を利用してMTT分析を進行した結果、各培地による細胞の増殖には変化がなかった(
図6B)。
【0115】
したがって、アクチニン−4の発現は、AKT−Snail−MMP−9増加またはAKT−snail−E−カドヘリン抑制の機作を用いた細胞のEMT及び移動性を増加させる役目をする重要な癌マーカータンパク質であるものと確認された。
【0116】
〈実施例5〉アクチニン−4の過発現細胞でβ−カテニンの発現の調査
アクチニン−4の過発現細胞であるMDCK細胞でβ−カテニンの発現を調査するために、MDCK細胞でアクチニン−4の過発現安定化細胞を製作した。このために、Flag−ACTN4プラスミドをトランスフェクションした後、2週間G−418(400μg/mL;Sigma)を処理することによって選別した。当該細胞でRIPAライシスを進行して、タンパク質を抽出した後、30μgのタンパク質を使用してウェスタンブロットでβ−カテニン(BD Biosceinces)とそのターゲット遺伝子であるビメンチン(Santa Cruz)の発現を確認した。それぞれの抗体は、1:3000比率で確認した。
【0117】
驚くべきことに、アクチニン−4の過発現細胞であるMDCK細胞でβ−カテニンの発現が増加し、β−カテニンのターゲットタンパク質であるビメンチン(Vimentine)も増加した(
図7A)。
【0118】
β−カテニンの細胞における役目は、細胞の増殖を誘導することであり、β−カテニンは、通常、細胞−細胞間の結合に関与するE−カドヘリンに結合されて存在する。しかし、E−カドヘリンの減少は、β−カテニンの減少につながる。しかし、アクチニン−4の過発現細胞では、E−カドヘリンの発現が抑制されて消えるにもかかわらず、β−カテニンの発現は増加している。したがって、アクチニン−4の増加がβ−カテニンの安定化に関与するものと考えられ、siRNAを利用してE−カドヘリンの発現を減少させるとき、アクチニン−4によってβ−カテニンの分解が抑制されるかを確認した。
【0119】
このために、si−E−カドヘリン(olig onucleotide CAGACAAAGACCAGGACUA、Bioneer)を製作した。SiHa細胞にsi−E−カドヘリン(100nM)とアクチニン−4(1μg)遺伝子をトランスフェクションしてE−カドヘリンの発現が抑制される場合、β−カテニンとビメンチンの発現量をウェスタンブロットを利用して確認した。各当該抗体は、1:3000比率で使用した。
【0120】
図7Bに示されたように、E−カドヘリンが減少することによるβ−カテニンの減少がアクチニン−4の過発現によって抑制された。
【0121】
また、アクチニン−4によってβ−カテニンの分解が抑制されるかを確認するために、タンパク質合成抑制剤であるサイクロヘキサマイド(Cyclohexamide、CHX、40μg/mL)を時間別(0−36h)に処理して、アクチニン−4の過発現による変化を確認した。ウェスタンブロットを利用してβ−カテニンとそのターゲットタンパク質であるc−mycを確認した。各抗体は、1:3000比率で使用した。
【0122】
その結果、アクチニン−4の過発現の場合、対照群(mock)に比べて分解がさらに遅延され、β−カテニンのターゲットタンパク質であるc−myc減少も、遅延された(
図7C)。
【0123】
細胞内でβ−カテニンの分解は、プロテオソーム(proteosome)によって起きる現象である。したがって、アクチニン−4がプロテオソーム分解による分解を抑制して、β−カテニンの安定化を誘導するかを確認するために、プロテオソーム抑制剤であるALLN(20μM/mL、Calbiocam)を6h処理して、アクチニン−4によってβ−カテニンの分解が抑制されるかをウェスタンブロットを利用して確認した。
【0124】
また、HEK−293T細胞にアクチニン−4を濃度別(0、0.05、0.1、0.25及び0.5μg)に発現させた後、サイクリンD1(0.5μg、CCND1)のプロモータールシフェラーゼ活性を測定した。
【0125】
その結果、アクチニン−4の過発現時にβ−カテニン(β−カテニン)のプロテオソーム分解が抑制され、さらに安定化されて、量が増加した(
図8A)。また、β−カテニンのターゲットタンパク質であるサイクリンD1(CCND1)の転写活性も、アクチニン−4の発現濃度別に増加した(
図8B)。
【0126】
〈実施例6〉アクチニン−4発現抑制細胞及び過発現細胞の増殖の調査
β−カテニン及びそのターゲットタンパク質であるサイクリンD1の増加は、細胞の増殖を誘導するので、アクチニン−4の発現は、細胞増殖に関与するものと考えられ、HeLaとSiHaのアクチニン−4発現抑制安定化細胞(HeLa−KD、SiHa−KD)の増殖をコロニー形成分析を利用して確認した。12−ウェルプレートにそれぞれの細胞を3×10
3数をシーディングして、5日間維持した後、コロニーが形成された数を確認した。また、アクチニン−4の過発現安定化細胞であるME−180−OV#3細胞を利用して細胞増殖程度をコロニー形成実験を通じて確認した。このために、12−ウェルプレートにそれぞれの細胞を3×10
3数をシーディングして、5日間維持した後、コロニーが形成された数を確認した。コロニーの染色は、0.05%クリスタルバイオレット(crystal violet)で24時間染色後、蒸留水(DW)で洗浄した後、Nikon COOLPIX P300 digital camera(12.2 Mega−pixel;Nikon Corp.、Tokyo、Japan)で写真を撮った。
【0127】
その結果、アクチニン−4発現抑制細胞であるHeLaとSiHa細胞の場合、コロニー形成が抑制されたが(
図9A及び
図9B)、反対にアクチニン−4が過発現されたME−180細胞では、コロニー形成が増加した(
図9C)。したがって、アクチニン−4の過発現は、細胞の増殖を増加させて、癌形成を誘導するものと考えられた。
【0128】
前記でアクチニン−4発現抑制細胞でコロニー形成分析を通じて細胞の増殖が減少し、子宮頸癌細胞であるHeLaとSiHa−アクチニン−4発現抑制安定化細胞でアクチニン−4の細胞増殖関与可否を確認するために、MTT分析を行った。このために、96−ウェルプレートにHeLa及びSiHa発現抑制細胞それぞれ1×10
4数をシーディングした後、時間別(12−36h)に測定してグラフで示し、それぞれ3回ずつ実験を進行した。それぞれのウェルにMTT溶液100μL(5mg/mL、Sigma)を6h処理した後、反応を停止するために、100mLのジメチルスルホキシド(DMSO)を付加した。590nm波長でELISA reader(Bio−Rad Laboratories、Inc)を利用して測定した。
【0129】
図10に示されたように、HeLaとSiHa細胞がいずれも対照群に比べて細胞成長が減少した。
【0130】
また、細胞の成長や増殖を確認できる実験として、プロピジウムイオダイド(propidium iodide、PI)染色分析がある。これは、細胞の分化過程を確認できる実験であって、G0、G1、S、G2/M期の細胞を区別して、その数を測定する方法である。前記結果のように、細胞の成長及び増殖が増加すれば、細胞の分裂が増加する場合、S期の細胞数が増加し、反対に増殖が減少する場合、S期の細胞数が減少する原理を利用した実験である。このために、HeLaとSiHaの対照群細胞(control)と発現抑制細胞(KD)を100mmディッシュに2×10
6細胞をシーディングした後、細胞固定のために70%エタノールに−20℃で1時間固定作業を進行した。固定された細胞は、RNaseを含むプロピジウムイオダイド(Sigma)を50μg/mLの濃度で付加し、37℃で30分間インキュベーションした。30分後、当該細胞をFACSan(BD Biosciences、FACS Calibur)を利用して各細胞周期別に細胞数(%)を確認した。
【0131】
図11のように、HeLa及びSiHa細胞のアクチニン−4発現抑制細胞の場合、S期の比率が減少した。
【0132】
これから、アクチニン−4は、癌で誘導される細胞の成長を促進する役目をするものと判断される。
【0133】
〈実施例7〉アクチニン−4の発現抑制細胞を注射したマウスで腫瘍形成の調査
前記実施例6でアクチニン−4の過発現が細胞の成長を増加させるので、マウスモデルでこの効果を実験した。
【0134】
このために、アクチニン−4発現抑制細胞と対照群細胞を利用して実験用ヌードマウスで癌組織の形成有無を確認するために、SiHa−対照群またはSiHa−KD(0.1mLのPBSで3×10
6個の細胞数)細胞を皮下注射(S.C.)した。4週齢の雄性BALB/cヌードマウス(Orient Bio Inc.)を使用し、各細胞ごとに5匹ずつ使用した(n=5)。癌細胞を注射した後、マウスは、22±2℃の温度及び50±10%の湿度で12 h light/12 h darkを維持した。生成された癌のサイズの測定は、注射後、1〜28日間デジタルカリパー(digital caliper)を使用して毎日測定し、ボリュームは、V=0.5×(width
2×length)で計算した。
【0135】
また、癌細胞注射28日後、SiHa−対照群とSiHa−発現抑制群のヌードマウスに形成された癌のサイズを、写真を撮って比較した。写真は、Nikon COOLPIX P300 digital camera(12.2 Mega−pixel;Nikon Corp.、Tokyo、Japan)を利用した。
【0136】
前記で形成された各群の癌組織を抽出してサイズを比較するために、写真を撮り、写真は、Nikon COOLPIX P300 digital camera(12.2 Mega−pixel;Nikon Corp.、Tokyo、Japan)を利用した。
【0137】
また、形成された癌のサイズ(digital caliper、V=0.5×(width
2×length))と重さ(Adventurer
TM、OHAUS Corp.USA)を測定し、癌細胞注射後、日付別に各マウス群の体重を比較した。
【0138】
アクチニン−4の発現が抑制されたSiHa細胞をマウスに注射して腫瘍形成を時間別に確認した結果、アクチニン−4発現抑制細胞が対照群細胞に比べて癌形成が抑制された(
図12A)。また、注射28日後に、マウスで生成された腫瘍形成を確認した結果、対照群に比べて、見られるサイズも小さかった(
図12B)。
【0139】
また、アクチニン−4の発現抑制細胞を注射したマウスで除去された腫瘍を比較した結果、対照群に比べてサイズが小さかった(
図13A)。マウスから抽出された癌を比較した結果、アクチニン−4発現抑制細胞の場合、癌のサイズと重さが確実に減少した(
図13B)。しかし、癌細胞を注射したマウスの体重には変化がなかった(
図13C)。