特許第6298235号(P6298235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6298235意匠ブロックの量産製造装置と量産製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298235
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】意匠ブロックの量産製造装置と量産製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/02 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   B28B3/02 G
   B28B3/02 J
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-31927(P2013-31927)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-162010(P2014-162010A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591286085
【氏名又は名称】東洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】西村 裕三
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−244517(JP,A)
【文献】 特開昭60−253508(JP,A)
【文献】 特開平09−262817(JP,A)
【文献】 特開平09−011217(JP,A)
【文献】 特開平02−204005(JP,A)
【文献】 特開2003−062819(JP,A)
【文献】 特許第4381695(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 3/02− 3/10
B28B 1/00− 1/54
B28B 11/04−11/06
C04B 41/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した成型型枠と、
この成型型枠内に基層材を上方から投入する第1位置とこの第1位置から水平方向に退避した第2位置との間を移動可能に設けられた基層材供給箱と、
第1位置とこの第1位置から水平方向に退避した第3位置との間を移動可能に設けられるとともに表層材を収容する表層材供給箱と、
前記成型型枠内に充填された基層材を上方からプレスするプレス位置とこのプレス位置から上方へ退避する待機位置との間を移動可能に設けられたプレス手段とを備え、
前記基層材供給箱から基層材を成型型枠内に投入して充填した後、プレス手段によってプレスして基層を成型し、この基層の上に材料供給箱から表層材を充填してプレス手段によってプレスして基層の上に表層を成形する意匠ブロックの量産製造装置であって、
骨材を収容した骨材供給箱と、
この骨材供給箱に収容された骨材をばらまくばらまき手段とを設け、
前記成型型枠内に成形された基層の上に材料供給箱から表層材を充填した後、この表層材の上に前記ばらまき手段によって骨材供給箱の骨材をばらまき、
この後、前記基層の上に充填された表層材を前記プレス手段によりプレスして、ばらまいた骨材を表層材の上面に食い込ませて表層を成形すると共に、前記成型型枠内の基層の上に充填された表層材の表面を自然柄、レンガ柄又はタイル柄にプレス成形して、意匠ブロックを成型し、
前記ばらまき手段は、複数の穴を設けたパンチングメタルと、その複数の穴を閉塞する閉塞板と、骨材を前記パンチングメタルの穴へ案内する傾斜壁とを有し、
前記閉塞板をパンチングメタルから離間する位置へ移動させることによって前記パンチングメタルの穴を開放して、前記骨材を該穴を通してばらまくようにしたことを特徴とする意匠ブロックの量産製造装置。
【請求項2】
前記骨材供給箱は、所定の径の骨材または複数種類の径の骨材を収容することを特徴とする請求項1に記載の意匠ブロックの量産製造装置。
【請求項3】
前記表層材供給箱は、一色に着色されたコンクリート材または異なる色に着色された複数種類のコンクリート材を収容することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の意匠ブロックの量産製造装置。
【請求項4】
前記骨材供給箱は、径が1mmないし50mmの骨材を収容することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1つに記載の意匠ブロックの量産製造装置。
【請求項5】
請求項に記載の意匠ブロックの量産製造装置であって、
前記骨材は1mmないし50mmの径の珪砂であり、
前記プレス手段は、前記表層材をレンガ柄にプレス成形して、表層の上面に種石をばらまいたように仕上げることを特徴とする意匠ブロックの量産製造装置。
【請求項6】
請求項に記載の意匠ブロックの量産製造装置で製造したレンガに似せた意匠ブロックをレンガ風に加工する意匠ブロックの量産製造方法であって、
前記意匠ブロックを焼成加工することを特徴とする意匠ブロックの量産製造方法。
【請求項7】
前記表層材に酸化鉄顔料を主原料とする顔料を混練させ、
前記焼成加工は、圧縮酸素を使用するガスバーナから発せられる火炎を火力調整して前記表層材を焼成し、酸化鉄顔料の色合いの変化に基づく色むらを前記表層材に発生させて、該表層材の表面をレンガ柄にすることを特徴とする請求項に記載の意匠ブロックの量産製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば舗装用や建築用などに使用される意匠ブロックの量産製造装置と量産製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ブロック表面に彩色を施す意匠ブロックの製造方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
係る意匠ブロックの製造方法は、上面が開口した成型型枠内に原材を供給する給材箱の前側に、赤,青,黄色の塗料を噴射する3つの噴射スプレを設け、給材箱から原材を成型型枠内に充填し、この後、給材箱が退避する際に、成型型枠内の原材の表面に3つの噴射スプレから所望の彩色材料を噴射し、この後、プレス型によって成型型枠内の原材をプレス成形することにより、所望する彩色形態に表面を彩色した意匠ブロックに成型する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−1174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような意匠ブロックの製造方法にあっては、噴射スプレから所望の彩色材料を噴射して、ブロック表面を所望する彩色形態に彩色するものであり、意匠性の富んだコンクリートブロックを成型することができる。
【0006】
この発明の目的は、噴射スプレなどを使用しなくても、自然の風合いを十分に出すことが出来き、意匠性の富んだ意匠ブロックを成型することのできる新たな意匠ブロックの量産製造装置と量産製造方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、上面が開口した成型型枠と、この成型型枠内に基層材を上方から投入する第1位置とこの第1位置から水平方向に退避した第2位置との間を移動可能に設けられた基層材供給箱と、第1位置とこの第1位置から水平方向に退避した第3位置との間を移動可能に設けられるとともに表層材を収容する表層材供給箱と、前記成型型枠内に充填された基層材を上方からプレスするプレス位置とこのプレス位置から上方へ退避する待機位置との間を移動可能に設けられたプレス手段とを備え、前記基層材供給箱から基層材を成型型枠内に投入して充填した後、プレス手段によってプレスして基層を成型し、この基層の上に材料供給箱から表層材を充填してプレス手段によってプレスして基層の上に表層を成形する意匠ブロックの量産製造装置であって、骨材を収容した骨材供給箱と、この骨材供給箱に収容された骨材をばらまくばらまき手段とを設け、前記成型型枠内に成形された基層の上に材料供給箱から表層材を充填した後、この表層材の上に前記ばらまき手段によって骨材供給箱の骨材をばらまき、この後、前記基層の上に充填された表層材を前記プレス手段によりプレスして、ばらまいた骨材を表層材の上面に食い込ませて表層を成形すると共に、前記成型型枠内の基層の上に充填された表層材の表面を自然柄、レンガ柄又はタイル柄にプレス成形して、意匠ブロックを成型し、前記ばらまき手段は、複数の穴を設けたパンチングメタルと、その複数の穴を閉塞する閉塞板と、骨材を前記パンチングメタルの穴へ案内する傾斜壁とを有し、前記閉塞板をパンチングメタルから離間する位置へ移動させることによって前記パンチングメタルの穴を開放して、前記骨材を該穴を通してばらまくようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、骨材を意匠ブロックの表層の上面に食い込ませるものであるから自然の風合いを十分に出すことができる意匠ブロックや意匠性の富んだ意匠ブロックを成型することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】意匠ブロックの量産製造装置の構成を示した概略構成図である。
図2図1に示す意匠ブロックの量産製造装置の原材料供給箱の一部と骨材収容箱とを示した平面図である。
図3】原材料供給箱と成形型枠との位置関係を示した説明図である。
図4】ばらまき手段の構成を示した側断面図である。
図5】パンチングメタルを示した説明図である。
図6】原材料供給箱が退避した状態とプレス型が下降した状態を示した説明図である。
図7】原材料供給箱から成形型枠内に表層材を充填した説明図である。
図8】ばらまき手段の開閉蓋が開成した状態を示した説明図である。
図9】骨材収容箱から骨材がばらまかれる状態を示した説明図である。
図10】原材料供給箱が退避した状態とプレス型が下降した状態を示した説明図である。
図11】意匠ブロックが脱型された状態を示した説明図である。
図12】成型された意匠ブロックを示した斜視図である。
図13図12に示す意匠ブロックの基礎層と表層の断面を示した部分断面図である。
図13A】意匠ブロックの表層に凹凸を設けた説明図である。
図14】第2実施例の意匠ブロックの量産製造装置の構成を示した概略構成図である。
図15図14に示す意匠ブロックの量差製造装置の材料供給箱の一部と骨材収容箱とを示した平面図である。
図15A】基層材供給箱から成型型枠内へ基層材が充填された状態を示した説明図である。
図15B】成型型枠の上方に材料供給箱が移動した状態を示した説明図である。
図16】表層材を成型型枠内に投入し終わって骨材を表層材の表面にばらまいている状態を示した説明図である。
図17】骨材のばらまきが終わった状態を示した説明図である。
図18】第2実施例の意匠ブロックの脱型を示した説明図である。
図19】第2実施例の意匠ブロックを示した斜視図である。
図20図19に示す意匠ブロックの基礎層と表面層の断面を示した部分断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明に係る意匠ブロックの量産製造装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0011】
[第1実施例]
図1に舗装用の意匠ブロックを製造する意匠ブロックの量産製造装置10を示す。この意匠ブロックの量産製造装置10は、上面が開口した成型型枠20と、この成型型枠20内に基層材Wa(図3参照)を投入する基層材供給箱108と、基層材供給箱108を左右方向(図1において)へ移動させる油圧シリンダ装置(図示せず)と、成型型枠20内に表層材Wb(図2参照)を投入する表層材供給箱11と、この表層材供給箱11を左右方向に移動させる油圧シリンダ装置12と、表層材供給箱11の前側(図1において右側)である前壁部11Aに設けられた骨材供給箱30と、基層材供給箱108へ基層材Waを補給するホッパーHPと、表層材供給箱11に表層材Wbを補給するホッパー13と、成型型枠20内に充填された基層材Waや表層材Wbをプレス成形するプレス型(プレス手段)14などとを備えている。
[成型型枠]
成型型枠20は、平面視が四角形状に形成された枠体21と、この枠体21内に設けられた複数の仕切壁(図示せず)とを有しており、この仕切壁によって成型型枠20内には複数の成型部が形成されている。また、成型型枠20の上下端は開口した開口部20a,20bとなっている。
【0012】
成型型枠20は、図示しない保持部材により保持されており、図1に示すように成型型枠20の開口部20bはパレット23により閉塞された状態となっている。
【0013】
パレット23は昇降テーブル24に支持されており、昇降テーブル24は油圧シリンダ装置25のシリンダロッド26に固定されている。このシリンダロッド26が伸縮動作することにより、昇降テーブル24及びパレット23が昇降移動するようになっている。昇降テーブル24及びパレット23の昇降移動のとき、成型型枠20は図示しない保持部材により保持されていることにより、上下動しない。
【0014】
すなわち、図1に示す状態からシリンダロッド26が後退(下降)すると、昇降テーブル24及びパレット23のみが下降し、成型型枠20は下降しない。
[基層材供給箱]
基層材供給箱108は、油圧シリンダ装置(図示せず)のシリンダロッド109の伸縮動作により左右方向(図1において)に移動するようになっている。すなわち、基層材供給箱108は、ホッパーHPの真下(図1に示す第2位置)と、成型型枠20の上方位置(図3に示す第1位置)との間を移動するようになっている。
【0015】
基層材供給箱108がホッパーHPの真下に移動(退避)したときホッパーHPからコンクリート材である基層材Waが落下投入されて、基層材供給箱108に補給される。ホッパーHPの底部には図示しない開閉蓋が設けられており、この開閉蓋が開成することにより、基層材Waの落下投入が行われる。
【0016】
基層材供給箱108が成型型枠20の上方位置に移動されると、基層材供給箱108から成型型枠20内へ基層材Waが落下投入されて充填されていく。基層材供給箱108の底部には図示しない開閉蓋が設けられており、この開閉蓋の開成により基層材供給箱108から成型型枠20内へ基層材Waが落下投入される。
[表層材供給箱]
表層材供給箱11は、油圧シリンダ装置12のシリンダロッド16の伸縮動作により左右方向(図1において)に移動するようになっている。すなわち、表層材供給箱11は、ホッパー13の真下(図1に示す第3位置)と、成型型枠20の上方位置(図7に示す第1位置)との間を移動するようになっている。
【0017】
表層材供給箱11がホッパー13の真下に移動(退避)したときホッパー13からコンクリート材である表層材Wbが落下投入されて、図2に示すように表層材Wbが表層材供給箱11に補給される。ホッパー13の底部には図示しない開閉蓋が設けられており、この開閉蓋が開成することにより、表層材Wbの落下投入が行われる。
【0018】
表層材供給箱11が図7に示すように成型型枠20の上方位置に移動されると、表層材供給箱11から成型型枠20内へ表層材Wbが落下投入されて充填されていく。表層材供給箱11の底部には図示しない開閉蓋が設けられており、この開閉蓋の開成により表層材供給箱11から成型型枠20内へ表層材Wbが落下投入される。
[骨材供給箱]
骨材供給箱30には、例えば白い骨材K1と、黒い骨材K2とが図2に示すように収容されており、表層材供給箱11が図7に示す位置から退避(左方向へ移動)していく際に、収容した骨材K1,K2をばらまき手段40(図4参照)によって成型型枠20内に充填された表層材Wb上にばらまいていくようになっている。
【0019】
ここで、骨材K1は3号珪砂であり、骨材K2は3〜5号珪砂程度の大きさの水砕である。水砕は、銅カラミ(精錬所で銅を精製するときのノロ:不純物)で、それに水をかけて急冷し、その際に弾けて出来た粒状のものである。
【0020】
骨材供給箱30に収容された骨材K1,K2は、表層材供給箱11が図1に示す第3位置に退避している際に、図示しないホッパーから補給されるようになっている。
[ばらまき手段]
ばらまき手段40は、例えば、図4に示すように、骨材供給箱30の前壁を形成したパンチングメタル41と、パンチングメタル41に設けた複数の穴41a(後述する)を塞ぐ閉塞板42と、骨材供給箱30の底壁を形成した傾斜壁43とを有している。
【0021】
パンチングメタル41は、図5に示すように、下部に多数の穴41aを形成しており、この穴41aの大きさは骨材K1,K2が3〜5号珪砂の大きさの場合、1mm〜5mmであり、3号珪砂の大きさの場合や大きさを調整していない銅カラミの場合には3mm〜5mmである。
【0022】
傾斜壁43は、図4に示すように、骨材K1,K2をパンチングメタル41の穴41aへ案内する方向に傾斜している。傾斜壁43の先端部43aはパンチングメタル41より前方(右方)へ突出している。
【0023】
閉塞板42は、図示しない油圧シリンダ装置によってパンチングメタル41から離間する位置へ、すなわち図4の実線位置から前方の鎖線位置へ移動するようになっており、この移動によってパンチングメタル41の穴41aが開放され、骨材供給箱30に収容された骨材K1,K2がこの穴41aを通って傾斜壁43の先端部43aから矢印Pで示すように落下してランダムにばらまかれていくことになる。
【0024】
なお、図示しない油圧シリンダ装置は骨材供給箱30に設けられている。
[プレス型]
プレス型14は、成型型枠20内に嵌入して、成型型枠20内に充填された基層材Waや表層材Wbを上方からプレスするプレス位置と、このプレス位置から上方へ退避した待機位置との間を上下動可能に設けられている。
【0025】
プレス型14の上下移動は、図示しない油圧シリンダ装置のシリンダロッドの伸縮動作によって行われる。
[製造方法]
次に、上記実施例のように構成される意匠ブロック製造装置10の製造方法について説明する。
【0026】
先ず、図1に示すように、基層材供給箱108をホッパーHPの真下に位置(第2位置)させ、ホッパーHPから基層材Waを基層材供給箱108に補給しておく。
【0027】
また、表層材供給箱11をホッパー13の真下に位置(第3位置)させて、ホッパー13から表層材Wbを表層材供給箱11に補給しておく。また、油圧シリンダ装置25によってパレット23を図1に示す位置へ上昇させておき、成型型枠20の開口部20bをパレット23により閉塞しておく。
【0028】
骨材供給箱30のばらまき手段40の閉塞板42は図4に示すようにパンチングメタル41の穴41aを閉塞しており、骨材供給箱30には骨材K1,K2を図示しないホッパーにより補給しておく。
【0029】
次に、図示しない油圧シリンダ装置によって、図3に示すように基層材供給箱108を成型型枠20の上方の位置へ移動させ、基層材供給箱108の基層材Waを成型型枠20内へ落下投入させ、成型型枠20内に基層材Waを充填していく。成型型枠20内への基層材Waの充填が終了したら、油圧シリンダ装置12により基層材供給箱108を右方向へ退避させていく。
【0030】
この後、プレス型14は、図6に示す鎖線位置から図示しない油圧シリンダ装置によって下降していき、成型型枠20内の基層材Waをプレスしていく。このプレスにより、図12に示す意匠ブロック60の基層60Saを成型する。
【0031】
この成型後、プレス型14を図6に示す鎖線位置へ上昇させるとともに、油圧シリンダ装置12によって表層材供給箱11を図7に示す成型型枠20の上方の位置へ移動させる。そして、表層材供給箱11の表層材Wbを成型型枠20内へ落下投入させ、成型型枠20内の基層60Sa(図12参照)の上に表層材Wbを充填していく。この充填は、必要に応じて表層材供給箱11を左右に移動させて、成型型枠20内にほぼ均一に充填されるようにする。
【0032】
成型型枠20内への表層材Wbの充填が終了したら、油圧シリンダ装置12により表層材供給箱11を図7に示す位置から左方向へ退避させていく。
【0033】
この表層材供給箱11の退避の際、骨材供給箱30のばらまき手段40の閉塞板42を図示しない油圧シリンダ装置によって図8の実線位置へ移動させ、パンチングメタル41の穴41aを開放する。これにより、穴41aから骨材K1,K2が排出され、傾斜壁43の先端部43aから矢印Pで示すように下方へ落下し、ランダムにばらまかれていく。
【0034】
このばらまきは、表層材供給箱11の退避移動とともに骨材供給箱30が左方向へ移動しながら行われていくので、図9に示すように、成型型枠20内の表層材Wbの上面にランダムにばらまかれていくことになる。
【0035】
ばらまき手段40の傾斜壁43の先端部43aが成型型枠20の左端部に位置すると、ばらまき手段40の閉塞板42が図4に示すように実線位置へ移動され、パンチングメタル41の穴41aが閉塞されて骨材K1,K2の落下が停止され、骨材K1,K2のばらまきは停止される。
【0036】
表層材供給箱11が図10に示す位置へ退避されると、ホッパー13から表層材Wbが表層材供給箱11に補給される。
【0037】
一方、プレス型14は、図10に示す鎖線位置から図示しない油圧シリンダ装置によって下降していき、成型型枠20内の表層材Wbの上面を押していく。このとき、表層材Wbの上面にばらまかれた骨材K1,K2がその上面に食い込んでいく。
【0038】
そして、図10の実線で示すように、成型型枠20内に嵌入して、成型型枠20内の基層60Sa上の表層材Wbをさらに押圧していき、基層60Sa及び表層材Wbを成型型枠20とプレス型14とでプレス成型していく。これにより、基層60Saの上に表層60Sbが形成された複数の意匠ブロック60,60(図11参照)がプレス成型されることになる。
【0039】
このプレス成型が終了したら、図11に示すようにプレス型14を油圧シリンダ装置によって上昇させていき、油圧シリンダ装置25によってパレット23及び昇降テーブル24を下降させていく。パレット23及び昇降テーブル24の下降により、意匠ブロック60,60が成型型枠20から脱型される。
【0040】
意匠ブロック60の上面60A(表層60Sb)には、図12に示すように、白い骨材K1と黒い骨材K2とがランダムにばらまかれており、しかも骨材K1,K2はプレス型14によりプレスされることにより、図13に示すように、意匠ブロック60の上面60Aに食い込み、骨材K1,K2の一部が露出する状態となり、自然の風合いを十分に出すことができ、自然石に似た意匠性に富んだ意匠ブロック60を成型することができる。
【0041】
また、プレス型14の下面に適度な凹凸(所定の柄:自然柄)を形成することにより、意匠ブロック60の上面60A(表層60Sb)に図13Aに示すように凹部60aや凸部60bが形成され、この凹凸部60a,60bに骨材K1,K2が食い込んだ状態となる。このため、基層材Waや表層材Wbがコンクリート材であってもより自然石の風合いを出すことができる。すなわち、自然物に似せた意匠ブロックを成型することができる。
【0042】
上記実施例では、白い骨材K1と黒い骨材K2をばらまいているが、自然石の風合いを出せるものであればどちらか一方の骨材であってもよく、他の色の骨材であってもよい。また、一色の色の骨材だけであってもよい。
【0043】
骨材K1,K2のサイズを3〜5号の大きさにしているが、他の大きさであってもよい。
【0044】
骨材K1,K2をパンチングメタル41の穴41aを通して落下させているので、表層材Wbの上面にばらまく骨材K1,K2の量をある程度安定させることができ、製造ロッド毎のばらつきが大きくなり過ぎることがなく、意匠性を安定させることができ、しかもほどよくばらつくので、自然な風合いが十分な意匠性を出すことができる。
【0045】
[第2実施例]
図14は第2実施例の意匠ブロック製造装置100の構成を示す。意匠ブロック製造装置100は、基層材Waを収容した基層材供給箱108(図15A参照)と、表層材であるコンクリート材W1,W2を収容した表層材供給箱110と、コンクリート材W1,W2を表層材供給箱110へ補給するホッパー130などとを備えている。
【0046】
図15Aに示す基層材供給箱108は、第1実施例と同様に、ホッパーHPの真下(図1に示す第2位置)と、成型型枠20の上方位置との間を移動するようになっている。
【0047】
基層材供給箱108がホッパーHP(図1参照)の真下に移動したときホッパーHPからコンクリート材である基層材Waが落下投入されて、基層材供給箱108に補給される。
表層材供給箱110は、図15に示すように、左右方向に延びた複数の仕切壁11Dによって仕切られた複数の収容部11Vaを有している。各収容部11Vaには、表層材である濃いグレーの色のコンクリート材W1と、薄いグレーの色のコンクリート材W2とが図示のように混入されて収容されている。
ホッパー130は、表層材供給箱110の収容部11Vaにコンクリート材W1,W2を補給するようになっている。この実施例ではホッパー130によってコンクリート材W1,W2を表層材供給箱110に補給するようになっているが、ベルトコンベアで補給するようにしてもよい。
【0048】
骨材供給箱30には、3号珪砂の茶系の骨材Kが収容されている。他の構成は第1実施例と同様なので、その説明は省略する。
[製造方法]
次に、第2実施例のように構成される意匠ブロック製造装置100の製造方法を簡単に説明する。
【0049】
先ず、表層材供給箱110を図14に示すようにホッパー130の真下(第3位置)に移動させ、ホッパー130から表層材供給箱110の各収容部11Vaへ混入されたコンクリート材W1,W2を補給しておく(図15参照)。同様に、基層材供給箱108(図1参照)を図示しないホッパーの真下(第1位置)に移動させて、該ホッパーから基層材Waを補給しておく。
【0050】
さらに、第1実施例と同様に、油圧シリンダ装置25によってパレット23を図14に示す位置へ上昇させておき、成型型枠20の開口部20bをパレット23により閉塞しておき、骨材供給箱30には骨材Kを予め収容しておく。
【0051】
次に、図示しない油圧シリンダ装置によって基層材供給箱108を図15Aに示す位置へ移動させ、基層材供給箱108の基層材Waを成型型枠20内へ落下投入させ、成型型枠20内に基層材Waを充填していく。この充填が終了したら、基層材供給箱108を退避させる。
この後、プレス型14を下降させて成型型枠20内の基層材Waをプレスしていく(図6参照)。
【0052】
このプレスにより、第1実施例と同様に、意匠ブロック160(図19参照)の基層160Saを成型する。
【0053】
この成型後、プレス型14を図14に示すように上昇させるとともに、表層材供給箱110を図15Bに示すように成型型枠20の上方の位置へ移動させる。そして、表層材供給箱110に収容されているコンクリート材W1,W2を成型型枠20内へ落下投入させ、成型型枠20内に充填された基層160Saの上にコンクリート材W1,W2を充填していく。
【0054】
成型型枠20内へのコンクリート材W1,W2の充填が終了したら、表層材供給箱110を退避させていく。
【0055】
この表層材供給箱110の退避の際、骨材供給箱30の骨材Kを第1実施例と同様にして図16及び図17に示すようにコンクリート材W1,W2の上面にばらまいていく。
【0056】
この後、プレス型14は、図示しないシリンダ装置によって下降していき、成型型枠20内のコンクリート材W1,W2の上面を押していく(図10参照)。このとき、コンクリート材W1,W2の上面にばらまかれた骨材Kがその上面に食い込んでいく。
【0057】
そして、第1実施例と同様に、プレス型14が成型型枠20内に嵌入して、成型型枠20内のコンクリート材W1,W2をプレス成型していく。これにより、基層160Sa(図19参照)の上に表層160Sbが形成された複数の意匠ブロック160,160(図18参照)がプレス成型されることになる。
【0058】
このプレス成型が終了したら、図18に示すようにプレス型14をシリンダ装置によって上昇させていき、油圧シリンダ装置25によってパレット23及び昇降テーブル24を下降させていく。パレット23及び昇降テーブル24の下降により、意匠ブロック160,160が成型型枠20から脱型される。
【0059】
意匠ブロック160の表層160Sbには、例えば図19に示すように、濃いグレーの部分160aと、薄いグレーの部分160bとが形成され、自然石の風合いとなり、しかも、各部分160a〜160cに骨材Kが食い込んでいることにより、さらに自然石の風合いを出すことができ、意匠性に富んだ意匠ブロック160となる。
【0060】
また、プレス型14の下面に適度な凹凸(所定の柄:自然柄)を形成することにより、意匠ブロック160の表層160Sbの上面160Aに、図20に示すように、凹部161と凸部162を形成すれば、より一層の自然石の風合いを出すことができる。すなわち、自然物に似せた意匠ブロック160を成型することができる。
【0061】
第2実施例では、コンクリート材W1,W2の色は、濃いグレーと薄いグレーとであるが、自然食の色が出るものであればこの色以外の色であってもよい。
【0062】
また、表層材は2色のコンクリート材W1,W2に限定されるものではなく、数種類の色違いのコンクリート材を使用してもよく、プレス型14の下面に木目調などの自然柄に形成して、木目調などの自然物に似せた意匠ブロックを成型するようにしてもよい。またプレス型14の下面の凹凸をタイル柄にしてタイルに似せた意匠ブロックを製造することも可能である。すなわち、建築用の意匠ブロックにも適用できる。
【0063】
また、成型された意匠ブロックを焼成することにより、レンガに似た意匠ブロックにすることができ、骨材Kが3号珪砂の大きさであることにより種石をばらまいた状態となっており、このため、よりレンガに似た意匠ブロックとなる。さらに、2つのコンクリート材W1,W2のうちどちらか一方にして、成型された意匠ブロックを焼成することにより、さらに、レンガに似た意匠ブロックとなる。
【0064】
プレス型14の下面をレンガ柄にすることにより、より一層のレンガ風に意匠ブロックを仕上げることができる。
【0065】
さらに、焼成加工は、予め表層材Wbに酸化鉄顔料を主原料とする顔料を混練させておき、圧縮酸素を適宜混合して使用するプロパンガスを燃料としたガスバーナを用いることにより、ガスバーナから発せられる火炎を火力を調整して酸化炎及び還元炎とし、意匠ブロックの表層材Wbとガスバーナとの距離を調整して焼成するものである。この焼成により、表層材Wbに酸化鉄顔料の色合いの変化に基づく色ムラを発生させることができ、表層材Wbの表面を実際のレンガと同等の色柄にすることができる。
【0066】
焼成加工の詳細は、特許第4381695号公報に記載されているので、その詳細な説明は省略する。
【0067】
また、骨材Kを第1実施例と同様にして、異なる色の2種類の骨材を使用して自然石の風合いを出したりして、上記のように焼成してレンガ風にしてもよい。
【0068】
また、上記実施例では、上述のように舗装用の意匠ブロック60,160の製造方法や建築用の意匠ブロックについて説明したが、これに限定されるものではなく、他の意匠ブロックにも適用できる。
【0069】
上記実施例では、ばらまき手段40は、パンチングメタル41と、パンチングメタル41に設けた複数の穴41aを塞ぐ閉塞板42などとで構成しているが、これに限らず、例えば、櫛目状の穴開き部材を用いて骨材K1,K2をランダムにばらまけるようにしたものでもよく、骨材K1,K2がランダムにばらまけるものであればどのような構造であってもよい。また、意匠ブロックの形状はどのような形状であってもよい。
【0070】
また、骨材K1,K2の径を1mm〜5mmのものについて説明したがこれに限らず、1mm〜50mmの径であってもよい。
【0071】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0072】
10 意匠ブロックの量産製造装置
11 表層材供給箱
12 油圧シリンダ装置
13 ホッパー
14 プレス型(プレス手段)
20 成型型枠
30 骨材供給箱
40 ばらまき手段
K 骨材
K1 骨材
K2 骨材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13A
図14
図15
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20