【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スプロケット状の主駆動輪及びこの主駆動輪を回転駆動する主駆動部を有する主駆動手段と、従動輪と、前記主駆動輪及び前記従動輪に巻き掛けられる無端状の搬送チェーンとを備え、前記搬送チェーンは、前記主駆動輪と前記従動輪との間の一側部が、前記主駆動輪で牽引されることによって連続熱処理炉内で被処理物を搬送する搬送部とされ、同他側部が、前記主駆動輪側から前記従動輪側に回送されるリターン部とされている連続熱処理炉における搬送装置であって、
前記主駆動輪側から前記従動輪側へ回送させるための駆動力を前記リターン部に付与する補助駆動手段を備え、
前記補助駆動手段と前記主駆動輪との間に、前記リターン部を部分的に弛ませた第1弛み部が設けられ、
前記補助駆動手段と前記従動輪との間に、前記リターン部を部分的に弛ませた第2弛み部が設けられ、
前記第2弛み部における弛み量を測定する弛み測定部をさらに備え、
前記補助駆動手段は、前記主駆動手段が前記搬送チェーンを連続的に回送させているときに、前記搬送チェーンを間欠的に回送させ
、
さらに、前記補助駆動手段は、前記弛み測定部によって測定された弛み量が所定の最小限に達すると作動することを特徴とする。
【0007】
搬送チェーンに生じる最大の張力は、主駆動輪への巻き掛け開始部分、すなわち、搬送部の終端位置に生じ、その大きさは、搬送部に積載された被処理物の重量と、主駆動手段によって回送される搬送チェーンの重量とに概ね比例する。そのため、搬送チェーンの強度を高めることなく積載重量を高めるには、主駆動手段によって回送される搬送チェーンの重量を小さくすることが有効となる。
従来の搬送装置は、一つの主駆動手段によって搬送チェーン全体を回走させていたので、当該主駆動輪への巻き掛け開始部分に生じる最大の張力が、被処理物の重量と搬送チェーン全体の重量とに応じた大きな値となり、それ故に被処理物の積載重量を増やすのは困難であった。
これに対して本発明では、主駆動手段とは別に、搬送チェーンのリターン部に駆動力を付与する補助駆動手段を備えているので、搬送チェーンの回送を主駆動手段と補助駆動手段とで分担することができる。したがって、主駆動手段によって回送される搬送チェーンの重量を小さくし、搬送部の終端位置に生じる最大張力を低減することができ、その分、被処理物の積載重量を増大させることが可能となる。
また、前記補助駆動手段と前記主駆動輪との間に、前記リターン部を部分的に弛ませた第1弛み部が設けられているので、主駆動手段と補助駆動手段との双方によって同時に搬送チェーンを回送させているときに、両者の回送速度の相違等によって搬送チェーンが引っ張られてしまうのを防止することができる。
更に、前記補助駆動手段と前記従動輪との間に、前記リターン部を部分的に弛ませた第2弛み部が設けられ、前記補助駆動手段は、前記主駆動手段が前記搬送チェーンを連続的に回送させているときに、前記搬送チェーンを間欠的に回送させている。
補助駆動手段と従動輪との間に第2弛み部が設けられていると、主駆動手段のみによって搬送チェーンを回送させたとしても、第2弛み部が存在する限りは搬送チェーン全体が回送されることはなく、搬送チェーンに生じる最大の張力も、被処理物の積載重量と搬送チェーンの一部の重量に応じた大きさとなる。また、補助駆動手段を間欠的に作動させることによって、補助駆動手段を常時作動させる場合に比べて運転コストや騒音等を低減することができる。
前記搬送装置は、前記第2弛み部における弛み量を測定する弛み測定部をさらに備え、前記補助駆動手段は、前記弛み測定部によって測定された弛み量が所定の最小限に達すると作動するので、補助駆動手段を間欠的に作動させつつ第2弛み部が消失するのを防止することができる。
【0008】
前記補助駆動手段は、前記搬送チェーンのリターン部が巻き掛けられるスプロケット状の補助駆動輪と、この補助駆動輪を回転駆動する補助駆動部とを備えていることが好ましい。また、前記補助駆動輪は、前記主駆動輪よりも小径であることが好ましい。
主駆動手段は、被処理物の重量と搬送チェーンの一部の重量とを受け持つため、主駆動輪の径を大きくすることによって搬送チェーンに噛み合う歯の数を多くし、各歯にかかる負荷を分散して小さくすることができる。これに対して補助駆動輪は、搬送チェーンの他の一部の重量を受け持つだけであるため、径を小さくすることができ、これによって搬送装置の大型化を抑制することができる。
【0009】
前記補助駆動手段は、前記主駆動輪と前記従動輪との中間位置よりも当該従動輪寄りに設けられていることが好ましい。
このような構成によって、補助駆動手段が受け持つ搬送チェーンの重量を可及的に大きくし、これに相対して主駆動手段が受け持つ搬送チェーンの重量を小さくすることができる。したがって、被処理物の積載重量をより増大することができる。
【0011】
前記補助駆動手段は、前記第2弛み部が維持されるように前記主駆動手段よりも高速で前記搬送チェーン
を回送させることが好ましい。
【0012】
主駆動手段のみによって搬送チェーンを回送させると第2弛み部における弛み量が次第に小さくなり、完全に第2弛み部が消失してしまうと搬送チェーンに生じる張力が大きくなってしまう。そのため、第2弛み部が完全に消失してしまう前に補助駆動手段を作動させ、主駆動手段よりも高速で搬送チェーンを回送させることによって、第2弛み部における弛み量を再び大きくし、第2弛み部を維持することが可能となる
。
【0013】
前記補助駆動手段は、前記弛み測定部によって測定された弛み量が所定の最大限に達すると停止することが好ましい。
この構成によれば、弛み測定部の測定結果に応じて補助駆動手段を作動及び停止させることで、補助駆動手段を間欠的に作動させつつ第2弛み部が消失するのを防止することができる。
【0014】
前記弛み測定部は、第2弛み部の弛み量の最小限及び最大限を直接的に検出する検出器を含むことが好ましい。
このように第2弛み部の弛み量の最小限及び最大限を直接的に検出器によって検出することで、補助駆動手段の作動及び停止のタイミングを正確に判断することができる。
【0015】
前記搬送装置は、前記主駆動手段に対する負荷を検出する負荷検出部をさらに備え、
前記補助駆動手段は、当該負荷検出部によって検出された負荷が所定の最大限に達したときに作動するものであってもよい。
この構成によれば、主駆動手段における負荷が所定の最大限に達した場合、例えば、搬送チェーンに対する被処理物の積載重量が増えた場合に、搬送チェーンに生じる最大張力が過度にならないように補助駆動手段を作動させて、当該最大張力を低下させることができる。したがって、被処理物の最大積載量を増大させることが可能となる。
【0016】
前記搬送チェーンは、セラミック製であることが好ましい。
搬送チェーンがセラミック製である場合、被処理物の積載重量を高めることが困難となるが、上記のような本発明の各構成を適用することによって、当該積載重量を効果的に高めることができる。