(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
親油性ポリマーからなる多数の糸条体であって全てがスプリットヤーンであるかスプリットヤーンを多数含むものが、それらの基部において保持されると共に基部に向かって密度を増すように設けられ、
水に浮き、水に浮いた状態において、前記糸条体の少なくとも一部は水面付近および/または水中に位置し、
貫通部を有し、前記糸条体が前記貫通部の外周側に基部を有する状態で放射状に設けられている水浮遊性物質除去具。
親油性ポリマーからなる多数の糸条体であって全てがスプリットヤーンであるかスプリットヤーンを多数含むものが、それらの基部において保持されると共に基部に向かって密度を増すように設けられ、
水に浮き、水に浮いた状態において、前記糸条体の少なくとも一部は水面付近および/または水中に位置し、
芯材に貫通部を有し、前記芯材に前記糸条体の基部が直接保持され又は前記糸条体の基部が保持されたものが保持されている水浮遊性物質除去具。
親油性ポリマーからなる多数の糸条体であって全てがスプリットヤーンであるかスプリットヤーンを多数含むものが、それらの基部において保持されると共に基部に向かって密度を増すように設けられ、
水に浮き、水に浮いた状態において、前記糸条体の少なくとも一部は水面付近に位置し、前記糸条体のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わる水浮遊性物質除去具。
水に浮いた状態でその水を漸次吸水して喫水が経時的に増大することに伴い、前記糸条体のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わる請求項3又は4記載の水浮遊性物質除去具。
芯材に貫通部を有し、前記芯材に前記糸条体の基部が直接保持され又は前記糸条体の基部が保持されたものが保持されている請求項3乃至5の何れか1項に記載の水浮遊性物質除去具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における上記のような課題に鑑みて行われたものであり、その目的とするところは、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を吸着し又は取り込み易く、水切れがよく、乾燥し易い水浮遊性物質除去具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水浮遊性物質除去具は、次のように表すことができる。
【0008】
(1) 親油性ポリマーからなる多数の糸条体であって全てがスプリットヤーンであるかスプリットヤーンを多数含むものが、それらの基部において保持されると共に基部に向かって密度を増すように設けられ、
水に浮き、水に浮いた状態で前記糸条体の少なくとも一部は水面付近および/または水中に位置する水浮遊性物質除去具。
【0009】
浴槽等のお湯や水に浮かべて使用した場合、親油性ポリマーからなる多数の糸条体の少なくとも一部は水面付近および/または水中に位置する。
【0010】
それらの糸条体は、親油性ポリマーからなるものであるため、皮脂等からなる湯垢等を吸着し易く、それらの糸条体の全てであるか又はそれらの糸条体に含まれるスプリットヤーンは、親油性ポリマーからなるものであると共に、切れ目を多数有するので、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を吸着し又は取り込み易く離脱させにくい。
【0011】
而も、糸条体が基部に向かって密度を増すように設けられているため、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質が糸条体の基部側に向かって効果的に取り込まれることとなり易い。
【0012】
従って、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を湯や水から効果的に除去することが可能である。
【0013】
更に、親油性ポリマーからなる多数の糸条体が、それらの基部において保持されているため、水切れがよく、乾燥し易い。
【0014】
(2) 水に浮いた状態で上記多数の糸条体の少なくとも一部が水面付近に位置する(1)記載の水浮遊性物質除去具。
【0015】
この場合、水に浮いた状態で水面付近に位置する親油性ポリマーからなる多数の糸条体であって全てがスプリットヤーンであるかスプリットヤーンを含むものに、湯垢等の水浮遊性物質が吸着又は取り込まれて湯や水から除去されることとなり易い。
【0016】
而も、水に浮いた状態で水面付近に位置する親油性ポリマーからなる多数の糸条体が、基部に向かって密度を増すように設けられているので、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質が、より効果的にスプリットヤーンの基部側に向かって吸着又は取り込まれて湯や水から除去されることとなり易い。
【0017】
(3) 水に浮いた状態で、水面付近において、上記多数の糸条体が水面に沿うように端部から基部に向かって密度を増す(2)記載の水浮遊性物質除去具。
【0018】
水に浮いた状態で、水面付近において、上記多数の糸条体が水面に沿うように端部から基部に向かって密度を増すので、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質が一層効果的に親油性ポリマーからなる多数の糸条体の基部に向かって吸着又は取り込まれて湯や水から除去されることとなり易い。
【0019】
(4) 水に浮いた状態で、上記糸条体のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わる(2)又は(3)記載の水浮遊性物質除去具。
【0020】
この場合、多数の糸条体のうち水面付近に位置することにより皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を吸着し又は取り込む糸条体が経時的に入れ替わるので、経時的に水面付近に位置し得る糸条体が、順次、水浮遊性物質の吸着又は取り込みに用いられて可及的に多量の水浮遊性物質が効率良く湯や水から除去され得る。
【0021】
(5) 水に浮いた状態でその水を漸次吸水して喫水が経時的に増大することに伴い、前記糸条体のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わる(4)記載の水浮遊性物質除去具。
【0022】
水に浮いた状態でその水を漸次吸水して沈降することにより喫水が経時的に増大し、糸条体のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わり、可及的に多量の水浮遊性物質が効率良く湯や水から除去され得る。
【0023】
(6) 上記親油性ポリマーからなる多数の糸条体が、スプリットヤーンと、そのスプリットヤーンよりも細い非スプリットヤーン糸条体からなる(1)乃至(5)の何れかに記載の水浮遊性物質除去具。
【0024】
上記多数の糸条体が、スプリットヤーンと非スプリットヤーン糸条体からなり、非スプリットヤーン糸条体はスプリットヤーンよりも細いため、より細かいものを含めて効果的に湯垢等の水浮遊性物質を吸着し又は取り込むことができる。
【0025】
(7) 貫通部を有する(1)乃至(6)の何れかに記載の水浮遊性物質除去具。
【0026】
貫通部を有するため、水が保留されにくく、絞った場合に貫通部を通じて水が切れるので脱水し易い。洗浄及び脱水も行い易い。
【0027】
(8) 芯材に貫通部を有し、前記芯材に上記糸条体の基部が直接保持され又は上記糸条体の基部が保持されたものが保持された(7)記載の水浮遊性物質除去具。
【0028】
芯材に貫通部を有するため、水が保留されにくく、絞った場合に貫通部を通じて水が切れるので脱水し易い。洗浄も行い易い。
【発明の効果】
【0029】
本発明の水浮遊性物質除去具を浴槽等のお湯や水に浮かべて使用した場合、親油性ポリマーからなる多数の糸条体の少なくとも一部が水面付近および/または水中に位置し、それらの糸条体は、親油性ポリマーからなるものであるため、皮脂等からなる湯垢等を吸着し易く、それらの糸条体の全てであるか又はそれらの糸条体に含まれるスプリットヤーンは、親油性ポリマーからなるものであると共に、切れ目を多数有するので、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を吸着し又は取り込み易く離脱させにくい。
【0030】
而も、糸条体が基部に向かって密度を増すように設けられているため、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質が糸条体の基部側に向かって効果的に取り込まれることとなり易い。
【0031】
従って、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を湯や水から効果的に除去することが可能である。
【0032】
更に、親油性ポリマーからなる多数の糸条体が、それらの基部において保持されているため、水切れがよく、乾燥し易い。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0035】
図1乃至
図6は何れも本発明の水浮遊性物質除去具の実施の形態の一例についてのものである。
【0036】
この水浮遊性物質除去具Aは、ポリプロピレンスプリットヤーンYとポリプロピレンモノフィラメント糸Y(
図1乃至
図5においては両者を区別しない)のフレンジ加工品Fと芯材Cと結束バンド(図示を略す)と吊紐Sからなる。
【0037】
フレンジ加工品Fは、一定長さの2350dTexのポリプロピレンスプリットヤーンYと890dTexのポリプロピレンモノフィラメント糸Yを所定の比率で満遍なく混合したものが多数一定方向に並列したもの(複数層のスプリットヤーンY等が並列したもの)が、各スプリットヤーンY等の中間部において、直接縫い合わせされてそれらの並列スプリットヤーンY等が連結したものである。
【0038】
芯材Cは、軸線方向に貫通部Caを有し、軸線方向両側に鍔状張出部C1・C2を有するポリプロピレン製の円環状体であって、鍔状張出部C1・C2間の外周部C3が断面弓形溝状をなし、同外周部C3には、周方向間隔おきに滑り止め用の小突起C4が設けられている。
【0039】
また、芯材Cの一方の鍔状張出部C1における同一直径上の両端部には、それぞれ、軸線方向外方に突起する棒状突起部C5が設けられている。
【0040】
更に、芯材Cの内周部である貫通部Caには、吊紐Sを挿通するための環部(図示を略す)が設けられている。
【0041】
芯材Cにおける鍔状張出部C1・C2間の断面弓形溝状をなす外周部C3には、フレンジ加工品FのポリプロピレンスプリットヤーンYとポリプロピレンモノフィラメント糸Yが縫い合わされた中間部が外周部C3の中央部(溝底部)に位置するようにして多重巻回され、巻回されたフレンジ加工品Fの外周の中間部が結束バンドで結束されることにより芯材Cにフレンジ加工品Fが保持されている。
【0042】
これにより、ポリプロピレンスプリットヤーンYとポリプロピレンモノフィラメント糸Yが、それらの基部(縫い合わされた中間部)において芯材Cに保持され、それらのスプリットヤーン及びモノフィラメントYは、所定の比率で満遍なく混合した状態で放射状をなし、基部に向かって密度(本数の密度)を増す。
【0043】
このようにして芯材Cに保持された多数のスプリットヤーン及びモノフィラメントYの先端部は、球面をやや扁平にした形状にほぼ沿うように位置する。はみ出すものは適宜切断してよい。
【0044】
なお、使用及び洗浄後の乾燥時に吊り下げるための吊紐Sが前記環部に取り付けられている。
【0045】
この水浮遊性物質除去具Aは、材料全ての比重が水より小さく、芯材Cの軸線方向(
図2の左右方向)が上下方向となる姿勢で水に浮くものであり、水に浮いた状態において、スプリットヤーン及びモノフィラメントYの一部は水面付近に位置する。
【0046】
それらのスプリットヤーン及びモノフィラメントYは、親油性ポリマーからなるものであるため、皮脂等からなる湯垢等を吸着し易く、スプリットヤーンYは、親油性ポリマーからなるものであると共に、切れ目を多数有するので、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を吸着し又は取り込み易く離脱させにくい。
【0047】
而も、スプリットヤーンY及びモノフィラメントYが基部に向かって密度を増すように密設され、特にモノフィラメントYはスプリットヤーンYよりも細いため、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質が、より細かいものを含めて、スプリットヤーンY及びモノフィラメントYの基部側に向かって効果的に取り込まれることとなり易い。
【0048】
更に、水浮遊性物質除去具Aは、芯材Cの軸線方向が上下方向となる姿勢で水に浮いた状態において、水中の又は水面に臨むスプリットヤーンY及びモノフィラメントYがその水を漸次吸水して沈降することにより喫水が経時的に増大し、スプリットヤーンY及びモノフィラメントYのうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わり、可及的に多量の水浮遊性物質が効率良く湯や水から除去され得る。
【0049】
従って、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を湯や水から効果的に除去することができる。
【0050】
また、親油性ポリマーからなる多数のスプリットヤーン及びモノフィラメントYが、それらの基部において保持されているため、水切れがよく、乾燥し易い。
【0051】
また、芯材Cが円環状体であって貫通部Caを有するため、水が保留されにくく、絞った場合に貫通部Caを通じて水が切れるので脱水し易い。洗浄及び脱水も行い易い。
【0052】
図7乃至
図12は、本発明の水浮遊性物質除去具の実施の形態の別の例についてのものである。
【0053】
この水浮遊性物質除去具Bは、ポリプロピレンスプリットヤーンXのループフレンジ加工品R、芯材D、結束バンド(図示を略す)、吊紐S及び葉状体Lからなる。
【0054】
ループフレンジ加工品Rは、ポリプロピレンスプリットヤーンXをループ状にして多数一定方向に並列したものを、中間部において縫合したものであり、取り扱いの便宜上、芯材Dに保持させるまで仕付け糸Tにより両端部を縫合している。
【0055】
芯材Dは、棒状突起部C5を有しないこと以外は芯材Cと同様の構成であり、軸線方向の貫通部Daを有する円環状をなす。
【0056】
芯材Dの一対の鍔状張出部D1・D2間の、断面弓形溝状をなし周方向間隔おきに滑り止め用の小突起D4が設けられた外周部D3に、ループフレンジ加工品Rの縫合された中間部が外周部の中央部(溝底部)に位置するようにして多重巻回され、巻回されたループフレンジ加工品Rの外周の中間部が結束バンドで結束されることにより芯材Dにループフレンジ加工品Rが保持され、その後、ループフレンジ加工品Rから仕付け糸Tが取り外されている。
【0057】
得られた水浮遊性物質除去具Bにおいては、ループ状のポリプロピレンスプリットヤーンXが、それらの基部(縫合された中間部)において芯材Dに保持され、それらのループ状のスプリットヤーンXは、放射状をなし、基部に向かって密度(本数の密度)を増す。
【0058】
芯材Dの内周部である貫通部Daに設けられた環部D5に挿通されて取り付けられた吊紐Sには、更に葉状体Lの挿通孔L1が挿通されて葉状体Lが取り付けられている。
【0059】
水浮遊性物質除去具Bは、
図10乃至
図12に示されるように、芯材Dの貫通部Daの軸線方向が上下方向となる姿勢で水Wに浮く。
【0060】
乾燥状態の水浮遊性物質除去具Bは、
図10に示されるように喫水(水面Wsより下の部分)が全体の4分の1程度であるが、多数のポリプロピレンスプリットヤーンXのうち、水中のものや水に臨むもの同士の間に徐々に吸水されることにより、
図11に示されるように喫水は2分の1程度となり、更に吸水されて
図12に示されるように喫水が9割近くとなる。但し、水よりも比重が小さい水浮遊性物質除去具B全体(特にポリプロピレンスプリットヤーンX)が水没することはない。
【0061】
ポリプロピレンスプリットヤーンXは、親油性ポリマーからなるものであると共に、切れ目を多数有するので、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を吸着し又は取り込み易く離脱させにくい。
【0062】
而も、ポリプロピレンスプリットヤーンXが基部に向かって密度を増すように密設されているため、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質が、ポリプロピレンスプリットヤーンXの基部側に向かって効果的に取り込まれることとなり易い。
【0063】
更に、水浮遊性物質除去具Bが水に浮いた状態でその水を漸次吸水して喫水が経時的に増大する(すなわち沈降する)ことに伴い、ポリプロピレンスプリットヤーンXのうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わるので、可及的に多量の水浮遊性物質が効率良く湯や水から除去され得る。
【0064】
従って、皮脂等からなる湯垢等の水浮遊性物質を湯や水から効果的に除去することができる。
【0065】
また、親油性ポリマーからなる多数のポリプロピレンスプリットヤーンXが、それらの基部において保持されているため、水切れがよく、乾燥し易い。
【0066】
また、芯材Dが円環状体であって貫通部Daを有するため、水が保留されにくく、絞った場合に貫通部Daを通じて水が切れるので脱水し易い。洗浄及び脱水も行い易い。
【0067】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0068】
(1) 本発明の水浮遊性物質除去具は、親油性ポリマーからなる多数の糸条体であって全てがスプリットヤーンであるもの、又は、親油性ポリマーからなるスプリットヤーンを多数、好ましくは満遍なく、含むもの(例えば、親油性ポリマーからなる多数のスプリットヤーンと、親油性ポリマーからなる多数の非スプリットヤーン糸条体が混合したもの)が、それらの基部において保持されると共に基部に向かって密度を増すように設けられ、
水に浮き、水に浮いた状態で前記糸条体の少なくとも一部は水面付近および/または水中に位置するものである。
【0069】
尤も、本発明の効果を発揮し得る限り、親油性ポリマーからなる糸条体以外の糸条体又はその他の材料からなる物を含むものであることを妨げない。
【0070】
(2) 親油性ポリマーとしては、好適な例としてポリプロピレンを挙げることができるが、ポリエチレン又はその他の親油性ポリマーを用いることもできる。
【0071】
(3) スプリットヤーン(スプリット糸)は、一軸延伸フィルムに縦方向の切れ目(スリット)が多数形成されることにより、幅方向(フィルムの送り方向に直交する方向)に拡げたときに網状となる糸状体、又はこれに類するものとすることができる。
【0072】
前記スプリットヤーンとしては、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂製のフィルムから得られるものを用いることができる。
【0073】
前記スプリットヤーンは、例えば500乃至5000dTexとすることができる。好適には1000乃至3000dTX、例えば2000dTexである。また本発明におけるスプリットヤーンとしては、例えばスリット幅が0.4乃至0.7mmのものを用いることができる。
【0074】
(4) 親油性ポリマーからなる非スプリットヤーン糸条体、すなわち糸条体であってスプリットヤーンではないものとしては、例えば、ポリプロピレンモノフィラメント、ポリエステルモノフィラメント等の合成繊維モノフィラメントを用いることができる。2種以上を用いることもできる。
【0075】
親油性ポリマーからなる多数のスプリットヤーンと、親油性ポリマーからなる多数の非スプリットヤーン糸条体とを混合したものとしては、例えば、両者を偏りなく混合したものとすることができるが、これに限るものではない。
【0076】
非スプリットヤーン糸条体は、スプリットヤーンよりも細いものとすることが好ましい。例えば、100乃至1500dTexとすることができる。
【0077】
(5) 親油性ポリマーからなる多数の糸条体であって全てがスプリットヤーンであるもの、又は、親油性ポリマーからなるスプリットヤーンを多数、好ましくは満遍なく、含むもの(例えば、親油性ポリマーからなる多数のスプリットヤーンと、親油性ポリマーからなる多数の非スプリットヤーン糸条体が混合したもの)は、基部に向かって密度を増すように密設されているものとすることができる。
【0078】
親油性ポリマーからなる糸条体の形態としては、例えば、先端部がループ状であるものや、先端部が自由端であるものとすることができる。また、スプリットヤーン又は非スプリットヤーン糸条体が例えば所定の長さである場合、そのスプリットヤーン等の一方の端部を基部とし他方の端部を先端部とすることができる他、そのスプリットヤーン等の中間部を基部とし、両端部をそれぞれ先端部とすることもできる。
【0079】
親油性ポリマーからなる多数の糸条体は、基部に向かって(端部から基部の向きに)密度(すなわち糸状体の本数の密度)を増すように、例えば放射状に、設けられている。
【0080】
(6) 本発明の水浮遊性物質除去具は、水に浮くものである。すなわち、水浮遊性物質除去具全体として、又は、例えば用いられる材料全てにおいて、比重が水より小さいものであることが好ましい。
【0081】
水浮遊性物質除去具が水に浮いた状態において、親油性ポリマーからなる多数の糸条体(スプリットヤーン又はスプリットヤーンと非スプリットヤーン糸条体が混合したもの)の少なくとも一部は水面付近および/または水中、すなわち水面付近及び水中の両方又は一方(好ましくは少なくとも水面付近)に位置することにより水浮遊性物質除去作用を確実性高く実現し得るものである。
【0082】
水に浮いた状態で前記多数の糸条体の少なくとも一部が水面付近に位置する場合、水面付近において、多数の糸条体が水面に沿うように(例えば水面に対し糸条体が0乃至30度の角度、好ましくは0乃至20度、より好ましくは0乃至10度の角度で)端部から基部に向かって密度を増すものとすることができる。
【0083】
(7) 本発明の水浮遊性物質除去具は、水に浮いた状態で、親油性ポリマーからなる糸条体(スプリットヤーン又はスプリットヤーンと非スプリットヤーン糸条体が混合したもの)のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わるものとすることができる。
【0084】
例えば、水に浮いた状態でその水を漸次吸水して喫水(水面下の部分)が経時的に増大する(すなわち沈降する)ことに伴い、前記糸条体のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わるものとすることができる。
【0085】
このような吸水の例としては、基部において保持されると共に基部に向かって密度を増すように設けられた(好ましくは密設された)親油性ポリマーからなる糸条体のうち水中のものや水に臨むもの同士の間に徐々に吸水されるものや、水浮遊性物質除去具が親油性ポリマーからなる糸条体以外に吸水性材料を有し、その吸水性材料が徐々に吸水するものを挙げることができる。
【0086】
水に浮いた状態で、親油性ポリマーからなる糸条体のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わるものの他の例としては、水浮遊性物質除去具が吸水性材料を有し、その吸水性材料が徐々に吸水することにより、水に浮いた状態の水浮遊性物質除去具の重心や浮力の中心が変化して水浮遊性物質除去具が回動することにより親油性ポリマーからなる糸条体のうち水面付近に位置するものが経時的に入れ替わるものを挙げることができる。
【0087】
(8) 本発明の水浮遊性物質除去具における親油性ポリマーからなる多数の糸条体の、基部における保持は、例えば、芯材や基布等の保持体に対し糸条体の基部が直接保持され又は糸条体の基部が保持されたものが保持されることにより、或いは、糸条体の基部同士が融着等により互いに保持され又は他の緊締材により保持されることにより実現され得る。
【0088】
(9) 本発明の水浮遊性物質除去具は、貫通部を1又は複数有するものとすることが好ましい。
【0089】
このような水浮遊性物質除去具は、例えば、芯材に貫通部を有し、芯材に親油性ポリマーからなる糸条体(スプリットヤーン又はスプリットヤーンと非スプリットヤーン糸条体が例えば所定の比率で好ましくは満遍なく混合したもの)の基部が直接保持され又は親油性ポリマーからなる糸条体の基部が保持されたものが保持されたものとすることができる。
【0090】
芯材の形態としては、外周部に親油性ポリマーからなる糸条体の基部又は親油性ポリマーからなる糸条体の基部が保持されたものが保持される円環状体又はその他の環状体、軸線方向両側に鍔状張出部を有する円環状体又はその他の環状体であって鍔状張出部間の外周部(例えば鍔状張出部間が断面弓形、半円形又はU字形の溝状である外周部)に親油性ポリマーからなる糸条体の基部又は親油性ポリマーからなる糸条体の基部が保持されたものが保持される環状体等を例示することができるが、これらに限るものではない。
【0091】
芯材は、一定形状を維持し得るものであり、非吸水性であるものが好ましく、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂等からなるものとすることができる。
【0092】
芯材に対し親油性ポリマーからなる糸条体の基部が直接保持されたものの例としては、芯材に親油性ポリマーからなる糸条体の基部が固定されたものを挙げることができるが、これに限るものではない。
【0093】
親油性ポリマーからなる糸条体の基部が保持されたものが芯材に保持されたものの例としては、親油性ポリマーからなる糸条体をフレンジ加工したものや基布に固定したもの等が芯材に保持されたものを挙げることができるが、これらに限るものではない。
【0094】
親油性ポリマーからなる糸条体をフレンジ加工したものとしては、例えば、一定長さの親油性ポリマーからなる糸条体が多数一定方向に並列したもの(糸条体は一層が並列したものでもよく、複数層の糸条体が並列したものでもよい。)を、各糸条体の端部又は中間部において、直接若しくは細幅布等の別部材を介して縫い合わせることにより又はその他の手段により連結させたものを用いることができる。この場合の糸条体の基部は、並列糸条体が連結した部分である端部又は中間部である。
【0095】
糸条体をフレンジ加工したフレンジ加工品の、芯材に対する保持は、例えば、フレンジ加工品を芯材に対し巻回し、フレンジ加工品における並列糸条体が連結した部分である中間部又は端部において、結束バンド等の結束材によりそのフレンジ加工品を芯材に対し結束固定することにより行い得る。芯材のうち、フレンジ加工品が巻回される部分には、フレンジ加工品が巻回時に芯材に対し滑るのを防止し得る小突起等の係合部を1又は2以上有するものとすることもできる。