特許第6298294号(P6298294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298294
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20180312BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   F15B15/14 335Z
   B23Q3/06 304K
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-273770(P2013-273770)
(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公開番号】特開2015-113976(P2015-113976A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】横田 英明
(72)【発明者】
【氏名】米澤 慶多朗
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−082025(JP,A)
【文献】 特開2012−111025(JP,A)
【文献】 実開昭54−097974(JP,U)
【文献】 実開平02−071103(JP,U)
【文献】 実開平07−002608(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00−15/28
B23Q 3/00− 3/15; 3/16− 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)内に昇降可能に挿入された検出対象用のピストン(12)と、そのピストン(12)の上側に配置されるとともに作動用の圧力流体が供給及び排出される駆動室(32)と、前記ピストン(12)に連結される出力ロッド(13)と、前記ハウジング(2)の上壁(2a)に配置された検出弁(52)と、を備え、
前記検出弁(52)は、
前記上壁(2a)に上下方向に延びるように形成された装着孔(54)に取り付けられるケーシング(70)と、
前記ケーシング(70)に保密状に挿入される検出部材(73)であって、下限位置(L)に下降された前記ピストン(12)の上部に接当または当該ピストン(12)の近傍位置へ下降する進出位置(A)と、所定の上昇領域に上昇された前記ピストン(12)の上部によって上昇される後退位置(R)とに切り換わって、検出用の加圧流体の流路(45b)を開閉する検出部材(73)と、
前記検出部材(73)を前記進出位置(A)へ押す進出手段(74)と、を備え、
前記検出部材(73)は、前記駆動室(32)の周壁(32a)に上下方向に形成される溝(77)によって案内される、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
ハウジング(2)内に昇降可能に挿入された昇降ピストン(11)及び検出対象用の倍力ピストン(12)と、前記昇降ピストン(11)に連結される出力ロッド(13)と、前記倍力ピストン(12)に作用させた作動用の圧力流体の力を倍力変換して前記出力ロッド(13)に伝達する倍力機構(40)と、圧力流体が供給及び排出される駆動室(32)と、前記ハウジング(2)の上壁(2a)に配置された検出弁(52)と、を備え、
前記検出弁(52)は、
前記上壁(2a)に上下方向に延びるように形成された装着孔(54)に取り付けられるケーシング(70)と、
前記ケーシング(70)に保密状に挿入される検出部材(73)であって、下限位置(L)に下降された前記倍力ピストン(12)の上部に接当または当該倍力ピストン(12)の近傍位置へ下降する進出位置(A)と、所定の上昇領域に上昇された前記倍力ピストン(12)の上部によって上昇される後退位置(R)とに切り換わって、検出用の加圧流体の流路(45b)を開閉する検出部材(73)と、
前記検出部材(73)を前記進出位置(A)へ押す進出手段(74)と、を備え、
前記検出部材(73)は、前記駆動室(32)の周壁(32a)に上下方向に形成される溝(77)によって案内される、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシリンダ装置において、
前記進出手段(74)は、前記ケーシング(70)内に装着されたバネ(75)を備え、そのバネ(75)は、前記駆動室(32)から前記検出部材(73)に作用する前記圧力流体の圧力に抗するように前記検出部材(73)を前記進出位置(A)へ付勢する、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシリンダ装置において、
前記検出部材(73)は、中空状に形成され、その検出部材(73)の下部で前記バネ(75)の下端を受け止めるとともに、前記ケーシング(70)の上部で前記バネ(75)の上端を受け止める、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載のシリンダ装置において、
前記流路(45b)は、前記進出位置(A)に下降した前記検出部材(73)の上部近傍で前記ケーシング(70)に設けられた入口孔(80)を有し、
前記検出部材(73)が前記入口孔(80)を開閉する、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載のシリンダ装置において、
前記検出部材(73)を前記進出位置(A)で受け止めるストッパ(78)を前記駆動室(32)の周壁(32a)に設ける、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項7】
請求項に記載のシリンダ装置において、
前記倍力機構(40)が前記出力ロッド(13)を倍力駆動するときに前記検出部材(73)が前記流路(45b)を開閉する、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出弁を付設したシリンダ装置に関し、より詳しくいえば、そのシリンダ装置のピストンの作動状態を検知するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の検出機能付きシリンダ装置には、従来では、特許文献1(日本国・特開2013−82025号公報)に記載されたものがある。その従来公報の図1には、ハウジングに上下方向に移動可能にピストンを挿入し、そのピストンの上下位置を確認する検出弁を上記ハウジングの上下端部にそれぞれ配置し、各検出弁の検出部材(弁体)を上記ピストンによって操作する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2013−82025 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術は、ピストンが所定の位置に達したことを検出できるが、そのピストンの作動状態を広範囲に検出できなかった。
本発明の目的は、ピストンの作動状態を広範囲に検出できるシリンダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、例えば、図1Aから図5Bに示すように、
シリンダ装置を次のように構成した。
ハウジング2内に検出対象用のピストン12を昇降可能に挿入する。作動用の圧力流体
が供給及び排出される駆動室32を前記ピストン12の上側に設ける。前記ピストン12
に出力ロッド13を連結する。前記ハウジング2の上壁2aに検出弁52を設ける。前記
検出弁52のケーシング70は、前記上壁2aに上下方向に延びるように形成された装着
孔54に取り付けられる。前記ケーシング70に検出部材73を保密状に挿入する。その
検出部材73は、下限位置Lに下降された前記ピストン12の上部に接当または当該ピス
トン12の近傍位置へ下降する進出位置Aと、所定の上昇領域に上昇された前記ピストン
12の上部によって上昇される後退位置Rとに切り換えられ、検出用の加圧流体の流路4
5bを開閉する。前記検出部材73を進出手段74によって前記進出位置Aへ押し、前記検出部材73は、前記駆動室32の周壁32aに上下方向に形成される溝77によって案内される
【0006】
従って、本発明は次の効果を奏する。
前記検出弁の検出部材は、進出手段によって、下限位置に下降された前記ピストンの上
部に接当した位置または近接した位置に下降されると共に、そのピストンの上昇によって
後退位置へ上昇される。このように、ピストンの昇降に追従させて検出部材を広範囲に昇
降できる。従って、前記検出弁は、ピストンの作動状態を広い範囲で検出できる。
そして、前記検出部材は、前記駆動室の前記周壁によって案内される。
この場合、検出部材を前記周壁によって精度よく案内できる。
【0007】
また、第2の発明は、シリンダ装置に関する発明であって、例えば図1Aから図5B
示すように、次のように構成したものである。
ハウジング2内に昇降ピストン11及び検出対象用の倍力ピストン12を昇降可能に挿
入する。前記昇降ピストン11に出力ロッド13を連結する。前記倍力ピストン12に作
用させた作動用の圧力流体の力を倍力機構40によって倍力変換して前記出力ロッド13
に伝達する。その圧力流体が駆動室32に供給及び排出される。前記ハウジング2の上壁
2aに検出弁52を配置する。前記検出弁52のケーシング70は、前記上壁2aに上下
方向に延びるように形成された装着孔54に取り付けられる。前記ケーシング70に検出
部材73を保密状に挿入する。その検出部材73は、下限位置Lに下降された前記倍力ピ
ストン12の上部に接当または当該倍力ピストン12の近傍位置へ下降する進出位置Aと
、所定の上昇領域に上昇された前記倍力ピストン12の上部によって上昇される後退位置
Rとに切り換わって、検出用の加圧流体の流路45bを開閉する。前記検出部材73を進
出手段74によって前記進出位置Aへ押し、前記検出部材(73)は、前記駆動室(32)の周壁(32a)に上下方向に形成される溝(77)によって案内される。
【0008】
従って、上記の本発明は次の効果を奏する。
前記検出弁の検出部材は、進出手段によって、下限位置に下降された前記倍力ピストン
の上部に接当した位置または近接した位置に下降されると共に、その倍力ピストンの上昇
によって後退位置へ上昇される。このように、倍力ピストンの昇降に追従させて検出部材
を広範囲に昇降できる。従って、前記検出弁は、倍力ピストンの作動状態を広い範囲で検
出できる。
しかも、上記のハウジング内に設けられて外部から観察することができない倍力ピスト
ンの作動状態を検出弁によって確実に検出できる。
そして、前記検出部材は、前記駆動室の前記周壁によって案内される。
この場合、検出部材を前記周壁によって精度よく案内できる。
【0009】
第1及び第2の発明に係るシリンダ装置には、下記(1)〜(5)の構成を加えることが好ましい。
【0010】
(1) 前記進出手段74は、前記ケーシング70内に装着されたバネ75を備える。そのバネ75は、前記駆動室32から前記検出部材73に作用する前記圧力流体の圧力に抗するように前記検出部材73を前記進出位置Aへ付勢する。
この場合、バネ力によって前記検出部材73を進出位置Aへ確実に進出できる。
【0011】
(2) 前記検出部材73は、中空状に形成され、その検出部材73の下部で前記バネ75の下端を受け止めるとともに、前記ケーシング70の上部で前記バネ75の上端を受け止める。
この場合、前記バネ75を検出部材73の中空部73aに挿入することで全長が長いバネ75を採用することと、検出弁52の全高を小さくすることとを両立できる。このため、簡素な構造で検出部材73の進退長さを大きくできる。
【0012】
(3) 前記流路45bは、前記進出位置Aに下降した前記検出部材73の上部近傍で前記ケーシング70に設けられた入口孔80を有し、前記検出部材73が前記入口孔80を開閉する。
この場合、上記の検出部材73の後退によって検出部材73の上部近傍で入口孔80を閉じて、ピストン12の作動状態を即座に検知できる。
【0014】
(5) 前記検出部材73を前記進出位置Aで受け止めるストッパ78を前記駆動室32の周壁32aに設ける。
この場合、ストッパ78を検出弁52の外部に設けることで、その検出弁52の構造を簡素にできる。
【0015】
第2の発明にかかるシリンダ装置には、次の構成を加えることが好ましい。
前記倍力機構40が前記出力ロッド13を倍力駆動するときに前記検出部材73が前記流路45bを開閉する。
この場合、外部から観察できない倍力機構40の作動状態を前記検出弁52によって確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1Aは、本発明のシリンダ装置を利用したワーク用クランプを示し、そのクランプのアンクランプ状態の立面図であって、図2A中の1A−1A線の断面図に相当する図である。図1Bは、前記図2A中の1B−1B線の断面図に相当する図であって、前記図1Aに類似する図である。
図2図2Aは、前記図1Aの平面図である。図2Bは、図2Aの右側面図に相当する図である。
図3図3Aは、前記クランプのクランプ状態を示し、前記図1Aに類似する図である。図3Bは、前記クランプのクランプ状態を示し、前記図1Bに類似する図である。
図4図4Aは、図1Aの部分拡大図であって、前記アンクランプ状態における第1検出弁を示している。図4Bは、前記図3Aの部分拡大図であって、前記クランプ状態における第1検出弁を示している。
図5図5Aは、図1Bの部分拡大図であって、前記アンクランプ状態における第2検出弁を示している。図5Bは、前記図3Bの部分拡大図であって、前記クランプ状態における第2検出弁を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1Aから図5Bによって説明する。
この実施形態では、シリンダ装置をワーク固定用の旋回式クランプに適用した場合を例示してある。
まず、図1A図1Bに基づいて上記の旋回式クランプの全体構造を説明する。その旋回式クランプは、図1Aのアンクランプ状態から図3Aのクランプ状態へ切換えられるときに、まず、後述の出力ロッド13が旋回しながら速やかに下降し、その後、出力ロッド13が真っ直ぐ且つ強力に下降する。
【0018】
固定台としてのテーブルTにハウジング2が取付けられ、そのハウジング2内にシリンダ孔3が形成される。そのシリンダ孔3の下半部分に下封止部材7を介して昇降ピストン11が保密状に挿入される。その昇降ピストン11が出力ロッド13に連結される。その出力ロッド13は、上封止部材8を介して、前記ハウジング2の上壁2aに保密状に挿入される。
【0019】
また、上記シリンダ孔3の上半部分に環状の倍力ピストン12が外封止部材17を介して保密状に挿入されるとともに、その倍力ピストン12が内封止部材18を介して出力ロッド13に上下方向へ保密移動可能に外嵌される。
【0020】
上記昇降ピストン11と上記倍力ピストン12との間に、圧縮空気(作動用の圧力流体)が供給および排出されるロック室23が配置される。そのロック室23は、ロック給排路24を介してロックポート25へ連通される。また、前記昇降ピストン11の下側に圧縮空気が供給および排出される第1リリース室31が配置されると共に、上記倍力ピストン12の上側に、圧縮空気が供給および排出される第2リリース室(駆動室)32が配置される。その第2リリース室32は、リリース給排路34を介してリリースポート35へ連通される。また、前記第1リリース室31は、前記昇降ピストン11内と出力ロッド13内とに形成された連通路37を介して第2リリース室32へ連通される。
【0021】
上記第2リリース室32内に倍力機構40を配置する。その倍力機構40は、上記ロック室23に供給された圧縮空気が上記倍力ピストン12を上方へ押す力を下向きの力に反転させると共に倍力変換して出力ロッド13へ伝達するように構成される。
【0022】
前記ハウジング2の前記上壁2aに検出用の加圧エア(加圧流体)の流路45a,45bが形成される。その流路45a,45bの一端に加圧エアの供給ポート46a,46bが連通されると共に、上記流路45a,45bの他端が外気へ連通される。上記の流路45a,45bの途中部に、それぞれ、第1検出弁51及び第2検出弁(検出弁)52が設けられる。
【0023】
上記の第1検出弁51は、図4A図4Bに示すように、次のように構成されている。
図4Aは、前記図1Aの部分拡大図である。図4Bは、前記図3Aの部分拡大図である。
【0024】
前記クランプを図3Aのクランプ状態から図1Aのアンクランプ状態へ切換えるときには、前記出力ロッド13が図4B(及び図3A)の下降位置から図4A(及び図1A)の上限位置へ移動する。その移動途中で、出力ロッド13の途中高さに設けた操作部16によって、前記第1検出弁51が閉弁される(図4Aは、第1検出弁51が既に閉弁された状態を示している。)。
また、その第1検出弁51は、前記出力ロッド13が図4A(及び図1A)の上限位置から所定のストロークだけ下降したときに開弁される。より具体的にいえば、その第1検出弁51は次のように構成されている。
【0025】
前記ハウジング2の前記上壁2aに、第1装着孔53が、下方に向かうにつれて出力ロッド13の軸心に近づくように形成される。その第1装着孔53に、第1検出弁51の第1検出部材56が、保密状に挿入される。また、前記第1装着孔53に第1バネ58が挿入されるとともにキャップ部材59が装着され、その第1バネ58によって前記第1検出部材56が下方へ付勢される。
【0026】
上記の操作部16が上昇するときには、前記第1検出部材56は、図4Bの進出位置から図4Aの後退位置へ上昇される。このため、その第1検出部材56の上部が、前記キャップ部材59の下側に装着された第1封止部材57に係合して前記流路45aの入口61を閉じる。すると、前記流路45aの圧力が高くなり、その状態を圧力スイッチ等のセンサ(図示せず)で検出することにより、前記出力ロッド13の作動状態を確認できる。
【0027】
上記の操作部16が所定のストロークだけ下降するときには、前記第1検出部材56は、前記第1バネ58の付勢力により図4Aの後退位置から図4Bの進出位置へ下降される。このため、その第1検出部材56が前記流路45aの前記入口61を開く。すると、前記入口61に供給された加圧エアが前記第1検出弁51内部を通って、出口62へ流れ、その出口62の加圧エアが逆止弁63のボール63aを押し開いて外気へ排出される。
【0028】
上記の第2検出弁52は、図5A図5Bに示すように、次のように構成されている。
図5Aは、前記図1Bの部分拡大図である。図5Bは、前記図3Bの部分拡大図である。
【0029】
前記倍力ピストン12が図5A(及び図1B)の下限位置Lから図5B(及び図3B)の上昇途中位置Mへ上昇したときに、第2検出弁52が閉弁される(図5Bは、第2検出弁52が既に閉弁された状態を示している。)。また、前記倍力ピストン12が図5Aの上昇途中位置Mから下限位置Lに下降するときに、第2検出弁52が開弁される。より具体的にいえば、第2検出弁52は次のように構成されている。
【0030】
前記上壁2aに段付きの第2装着孔(装着孔)54が、上下方向へ貫通される。その第2装着孔54に、前記第2検出弁52のケーシング70が上側封止部材71を介して保密状に螺合される。
【0031】
上記ケーシング70に第2検出部材(検出部材)73が下側封止部材72を介して保密状に挿入される。その第2検出部材73は、中空部73aと底部73bとを有している。前記第2検出部材73を進出位置Aに付勢する進出手段74がケーシング70内に装着される。そして、前記進出手段74は、第2リリース室32内に供給された圧縮空気の圧力に抗して検出部材73を進出位置Aに付勢する。より詳しくいえば、その進出手段74は第2バネ(バネ)75を有する。その第2バネ75の下端が、第2検出部材73の底部73bによって受け止められるとともに、その上端が、バネガイド76を介してケーシング70の頂壁70aによって受け止められる。
この場合、上記第2検出部材73の前記中空部73aによって前記第2バネ75の収容スペースを広くできるので、全長が長くて単位長さあたりの巻き数の多い前記第2バネ75を採用できる。このため、ストロークの長い前記第2検出部材73を荷重による負担が小さい前記第2バネ75で進出方向に付勢できる。
【0032】
上記の上壁2a内で前記第2リリース室32の周壁32aには、前記第2検出部材73よりも大径の円弧状の溝77が形成される。前記第2検出部材73は、前記中空部73aの外周部を前記周壁32aよりも内方へ突出させた状態で溝77によって案内される。
この場合、長いストロークの第2検出部材73であっても円弧状の前記溝77によって精度よく案内できる。
また、その溝77の下端壁は、前記第2バネ75によって付勢された前記第2検出部材73を進出位置Aで受け止めるストッパ78として構成される。
【0033】
上記ケーシング70の周壁の下部に入口孔80と出口孔81を設ける。その入口孔80は、流路45bの上流部に設けた加圧エアの供給ポート46bに連通する。その出口孔81は、前記流路45bの下流部に設けた逆止弁83を介して外気側に連通される。なお、その逆前記止弁83は、前記逆止弁63と同様に構成されている。
【0034】
上記のクランプは、次のように作動する。図1A及び図1Bのアンクランプ状態では、前記ロック室23から圧縮空気が排出されると共に、前記第1リリース室31及び前記第2リリース室32に圧縮空気が供給されている。これにより、前記出力ロッド11が上限位置へ上昇され、前記倍力ピストン12が下限位置Lに下降されている。
上記アンクランプ状態のクランプをロック駆動するときには、前記の第1リリース室31及び前記第2リリース室32の圧縮空気を排出すると共に前記ロック室23に圧縮空気を供給する。すると、前記倍力ピストン12の上昇が前記倍力機構40の係合ボール42によって阻止されるのに対して、前記昇降ピストン11が速やかに下降していく。そして、前記出力ロッド13のカム溝85が上記係合ボール42の位置に下降したときに、前記倍力ピストン12の押部41が前記係合ボール42を半径方向の内方へ移動させる。これにより、図3B((及び図5B)に示すように、前記倍力ピストン12が上昇していき、その倍力ピストン12の倍力部43が前記係合ボール42を半径方向の内方へ強力に押し出す。
これにより、その倍力ピストン12に作用する上向き推力は、前記倍力部43と前記係合ボール42と前記出力ロッド13の前記カム溝85とを介して下向きに倍力変換され、出力ロッド13が下向きに強力に駆動される。このため、その倍力機構40による押下げ力と前記昇降ピストン11による押下げ力との合力により、上記出力ロッド13が下方へ強力に駆動される。
【0035】
上記図5Aのアンクランプ状態では、倍力ピストン12が前記下限位置Lへ下降し、バネ75の付勢力によって前記検出部材73が下方の進出位置Aに下降し、その検出部材73の上部が前記入口孔80を開いている。
図5Bに示すように、前記倍力ピストン12が上昇途中位置Mへ移動したときには、その倍力ピストン12の上部が前記検出部材73を上昇させ、その検出部材73の上部が前記入口孔80を閉じる。その閉弁状態では前記流路45bの圧力が高くなるので、その状態を圧力スイッチ等のセンサ(図示せず)で検出することにより、倍力機構40の作動状態を確認できる。
なお、上記の倍力ピストン12は、倍力駆動の終期には上限位置H(図5B中の二点鎖線図を参照)まで移動可能になっている。すなわち、この実施例では前記倍力ピストン12の所定の上昇領域は、前記倍力ピストン12の前記上昇途中位置Mから前記上限位置Hまでの領域となっている。
なお、図5Bで示すように、第2検出部材73は、実線図の後退位置Rから2点鎖線図の上限位置まで移動する間に、入口孔80を閉じている。
従って、前記倍力駆動時には、その第2検出部材73の前記進出位置Aから前記上限位置までの広い範囲で倍力機構40の作動状態が確認できる。
【0036】
図3B(及び図5B)のクランプ状態のクランプをリリース駆動するときには、前記ロック室23の圧縮空気を排出すると共に前記第1リリース室31及び前記第2リリース室32に圧縮空気を供給する。すると、前記係合ボール42と前記倍力ピストン12とによって上昇が阻止された前記出力ロッド13に対して前記倍力ピストン12が下降していく。
【0037】
その倍力ピストン12が下降するのに伴って、前記第2検出部材73が後退位置Rから進出位置Aに移動して、前記入口孔80を開ける。すると、その入口孔80の加圧エアは、前記第2検出弁52内部を通って前記流路45bの出口81へ流れ、その出口孔81の加圧エアが逆止弁83のボール(図示せず)を押し開いて外気へ排出される。これにより流路45bの圧力が低下し、その圧力低下状態を前記センサで検出することにより、倍力機構40の作動状態を確認できる。
【0038】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
本発明のシリンダ装置に使用される作動用の圧力流体は、例示した圧縮空気に代えて、他の圧縮気体や圧油等であってもよい。
【0039】
前記進出手段74は、例示の第2バネ(バネ)75に代えて、第2リリース室32の圧力を利用してもよい。この場合、第2検出部材73を差圧ピストンによって構成し、その第2検出部材73内に形成した貫通孔の下端を第2リリース室32に連通させると共に、その貫通孔の上端をケーシング70の上部空間に連通させることが考えられる。
さらに、その進出手段74は、第2リリース室32の圧力を利用するのに代えて、別の供給源から圧縮空気または圧油等の加圧流体を供給してもよい。
【0040】
上記の第2検出弁52の配置姿勢を、例示の縦向きに代えて、斜め向きとしてもよい。
上記の倍力ピストン12と昇降ピストン11とは、例示したように直列に配置することに代えて、並列に配置してもよい。この場合、昇降ピストンに倍力ピストンを昇降可能に外嵌めして、上記2つのピストンの下側と上側とに、それぞれロック室とリリース室とを形成することが考えられる。この場合、検出弁の検出部材は、下限位置に下降された前記倍力ピストンの上部に接当または当該倍力ピストンの近傍位置に配置される。
上記周壁32aに設けられる溝77の断面形状は、円弧状に代えて、U字状やV字状等の形状としてもよい。
前述の各逆止弁63,83は省略してもよい。
【0041】
また、本発明のシリンダ装置は、クランプの技術分野とは異なる技術分野に利用することも可能である。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
2:ハウジング、2a:上壁、11:昇降ピストン、12:倍力ピストン(ピストン),13:出力ロッド、32:第2リリース室(駆動室)、32a:周壁、40:倍力機構、45b:流路、52:第2検出弁(検出弁)54:第2装着孔(装着孔)、70:ケーシング、73:第2検出部材(検出部材)、74:進出手段、75:第2バネ(バネ)、77:溝、78:ストッパ、80:入口孔。
図1
図2
図3
図4
図5