(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
大型の倉庫等には、上下左右に物品を複数収容できる収容棚が複数配置されており、その指定された物品を収容棚に対して搬入もしくは搬出を行う際に、物品にアクセス可能な走行レールを敷設し、この走行レールを自走可能な搬送台車を利用することで、収容棚に対する荷物の搬出入の自動化し、作業の効率化を図った搬送設備が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のような搬送設備は、自走可能な搬送台車と、物品を載置支持し、かつ、その載置面を昇降自在な載置台と、搬送台車の駆動車輪が走行する走行レールと、走行レールの上方に配置され物品を載置可能とする棚部と、を備えている。搬送台車には、左右各4輪の走行車輪と、それらの走行車輪をチェーン駆動する減速機付走行用電動モータと、走行フレームの内側面との接触で転動してその走行方向を規制するガイドローラと、物品をパレットごと昇降自在に載置支持する載置面を備えた載置台と、その載置台を駆動昇降させる電動式アクチュエータとしての減速機付昇降用電動モータと、走行用電動モータ及び昇降用電動モータに駆動用の電力を給電する二次電池と、その二次電池に充電するための電力を受け取る受電端子を備えた受電コネクタと、搬送台車の停止位置を検出するためのフォトセンサ、とが設けられている。搬送台車はその載置台を上昇移動させて物品をパレットごと受け取り、揺動アームの駆動揺動で給電端子が搬送台車の受電端子から外れると、搬送台車はその載置台で物品をパレットごと持ち上げた状態で収納部の走行路を走行し、所定の収納位置を検出して停止し、載置台を下降移動させて物品をパレットごと荷載置面に載置するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、搬送台車は、フォトセンサによって収納位置を検出して、すぐに停止制御するため、速度の速い状態で走行用電動モータは大きな逆トルクを発生させて停止することになり、走行モータには大きな負荷、大きなショックが加わる。また、搬送台車が運搬する物品の重量が軽いときは短い距離で停止し、物品の重量が重いときは停止距離が長くなるため、隣接するパレットの間隔が極端に広くなったり、逆にパレット同士が接触して入庫されてしまい、隣接するパレットの間隔がばらついて倉庫のスペースを有効に活用できないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、走行モータに大きな負荷をかけることなく、パレットをほぼ等間隔で倉庫に入庫できる搬送台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の搬送台車は、
物品が載置されたパレットを載置支持し、かつ、その載置面を昇降自在な載置台と、該載置台を昇降させる昇降装置と、収納棚の走行レール
の走行面を走行する走行装置と、を備え、前記走行レールの
前記走行面よりも上方の載置面から浮かせて運搬した前記物品が載置された前記パレットを前記走行レール
の載置面に置く搬送台車であって、
前記搬送台車には、前記物品が載置された前記パレットを載置した状態において、前記走行レール
の載置面上に置かれた前記パレットの端面を検出する非接触式の第1の物体検出手段及び第2の物体検出手段が配設されており、かつ前記第1の物体検出手段が前記走行レール
の載置面上に置かれた前記パレットの端面を検出した後に、前記第2の物体検出手段が該パレットの端面を検出するように前記第1の物体検出手段及び前記第2の物体検出手段の搬送台車に対する取付け角度は、前記搬送台車の側面視にて異なっており、
前記搬送台車は、前記第1の物体検出手段によって前記走行レール
の載置面上に置かれた前記パレットの端面が検出されると減速制御を開始し、前記第2の物体検出手段によって前記前記走行レール
の載置面上に置かれたパレットの端面が検出されると停止制御を開始することを特徴としている。
この特徴によれば、第1の物体検出手段が物体を検出して減速制御を開始し、第2の物体検出手段が物体を検出して停止制御することによって、搬送台車が減速してから停止制御するので搬送台車の走行装置に大きな負荷を与えることなく、搬送台車は精度良く停止することができる。
【0008】
前記第2の物体検出手段は前記第1の物体検出手段が前記走行レール
の載置面上に置かれた前記パレットの端面を検出しその後検出しなくなった後に該パレットの端面を検出するように配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送台車が減速してから停止制御するので搬送台車の走行装置に大きな負荷を与えることなく、搬送台車は精度良く停止することができる。
【0010】
本発明の搬送台車は、
前記第1の物体検出手段及び前記第2の物体検出手段は、超音波センサを使用した物体検出手段であることを特徴としている。
この特徴によれば、第1の物体検出手段及び前記第2の物体検出手段は、超音波センサを使用して物体を検出するので、物体の材質や色、光沢といった検出を不安定にさせる要因に大きな影響を受けず安定して物体を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る搬送台車を
図1から
図5を参照して説明する。以下、
図2の矢印A方向を正面(前側)方向とする。また、
図2のB方向を側面方向とする。
【0013】
図1に示されるように、搬送台車1は、複数の収容部2aを上下左右に備えた収容棚2が複数配置された大型倉庫等において、指定された物品3を収容棚2の所定の収容部2aに対して搬入もしくは搬出を行う際に用いられる。収容棚2には一対に対向する走行レール4が敷設されており、走行レール4の上端面4aには、物品3が載置された複数のパレット5が支持されている。
【0014】
搬送台車1の構成について説明する。
図1及び
図2に示されるように、搬送台車1は走行レール4の走行面4bを走行可能な車体6と、物品3を載置支持し、車体6に対し昇降可能に設けられた載置台7と、載置台7を昇降させる昇降駆動部(図示せず)と、搬送台車1を走行レール4上で走行可能とする走行装置12と、を備えており、載置台7がパレット5の下面から離間する最下降状態で走行レール4の走行面4bを走行してパレット5の下方に進入した後、載置台7を上昇させることでパレット5ごと物品3を持ち上げ、パレット5及び物品3を走行レール4の上端面4aから所定高さ浮かせて運搬するようになっている。
【0015】
図2に示されるように、搬送台車1の車体6は金属板の前後を屈曲して形成され、該車体6には、走行用の走行装置12、図示しない昇降用の昇降駆動部、制御装置、電源装置としてのバッテリが配設されている。制御装置は、走行用の駆動モータを駆動制御する駆動モータ制御部、昇降用の昇降モータを駆動制御する昇降モータ制御部を備えている。
【0016】
走行装置12、12は、駆動モータ、走行車輪13、13、複数個の従動車輪14、14、…により主に構成される。駆動モータは図示しないケーブルにより駆動モータ制御部と接続されており、さらに駆動モータ制御部は車体6内に内蔵されたバッテリに接続される。そして、制御部は、指令信号に基づき、駆動モータに電力を供給して、駆動モータを回転駆動し、駆動モータにより駆動される走行車輪13、13が、
図1及び
図2に示す走行レール4の走行面4bを走行することにより、従動車輪14、14、…が従動して車体6が安定的に走行するようになっている。
【0017】
図2に示すように、搬送台車1の車体6には、後述する物体検出手段としての第1の物体検出手段71及び第2の物体検出手段72が配設されている。第1の物体検出手段71及び第2の物体検出手段72は、超音波センサを使用した物体検出手段で、新たに入庫される物品3を載置した搬送台車1が、すでに入庫され、走行レール4上に載置される物品3を検出するために主に使用される。
【0018】
また、
図2に示すように、車体6の前側と後側には、在荷センサ81が設けられている。在荷センサ81は、光電センサが使用され、載置台7に設けられた孔80を通して、搬送台車の載置台7上の物品3及びパレット5を検出したり、さらには、搬送台車1が載置台7を上昇させてパレット5ごと物品3を持ち上げる際に、搬送台車1が、パレット5のほぼ中央に位置するように、搬送台車の位置を制御するために使用されている。
【0019】
以下、入庫について説明する。
図1に示すように、物品3は、
図1の左の矢印の方向から順次入庫され、
図1の右側の矢印の方向に順次出庫される。パレット5に載置された物品3は、フォークリフト等を使用して収容棚2の入口部2cに搬入される。
【0020】
つぎに、搬送台車1は
図1の1aで示すように、収容棚2の入口部2cに向かって、走行レール4の載置面4aより下方を走行し、ゆっくりパレット5の下方に入り停止する。
【0021】
続いて、搬送台車1は、搬送台車1の載置台7を上昇させ、物品3をパレット5ごと持ち上げ、搬送台車1は
図1の1bに示すように、物品3及びパレット5を載置した状態で収容部2aの走行面4bを走行する。
【0022】
物品3及びパレット5を載置した状態で走行する搬送台車1bは、走行レール4の載置面4aに載置されているパレット5から所定の間隔を隔てて停止し、搬送台車1は、載置台7を降下させて物品3をパレット5ごと走行レール4の載置面4aに載置し、物品3の入庫が完了する。
【0023】
このような入庫作業において、走行レール4の載置面4aにすでに載置されているパレット5及び物品から所定の間隔を隔てて、搬送台車1を減速、停止させる場合に、搬送台車1をソフトに減速、停止しないと、駆動モータには大きな負荷、大きなショックが加わり、駆動モータ及び駆動モータ制御部にダメージを与える場合がある。また、搬送台車1が運搬する物品3の重量が軽い場合は短い距離で停止し、物品3の重量が重い場合は停止距離が長くなるため、隣接するパレット5の間隔が極端に広くなったり、逆にパレット同士が接触して入庫されてしまい、隣接するパレットの間隔がばらついて倉庫のスペースを有効に活用できなくなってしまう問題がある。
【0024】
そこで、本発明は、搬送台車1に備えられた第1の物体検出手段71及び第2の物体検出手段72によって、物体を検出して減速、停止制御することによって、搬送台車が所定の速度に減速してから停止するので、搬送台車の走行装置に大きな負荷を与えることなく、隣接するパレットの間隔をほぼ均等に入庫できるようにするものである。以下、第1の物体検出手段71及び第2の物体検出手段72を備えた搬送台車1の減速制御、停止制御について説明する。
【0025】
図2に示すように、搬送台車1の車体6には、第1の物体検出手段71及び第2の物体検出手段72が配設されている。第1の物体検出手段71及び第2の物体検出手段72は、超音波センサを使用した物体検出手段である。
【0026】
超音波センサは、送波器によって超音波を対象物に向け発信し、その反射波を受波器で受信することにより、物体の存在の有無や物体までの距離を検出するものである。超音波センサは、レーザを使用した検出器と異なり、物体の材質や色、光沢といった検出を不安定にさせる要因に大きな影響を受けず安定して物体を検出することができるという特徴を有している。また、
図4に示すように、所定の角度θ1の範囲内に存在する物体を正確に検出するように調整できるので、レーザ光、赤外線等の光を使用したセンサに比較して検出範囲が格段に広くなり、センサの取付け及び調整が容易となる。
【0027】
また、
図3に示すように、第1の物体検出手段71の搬送台車に対する取付け角度と第2の物体検出手段72の搬送台車1に対する取付け角度は異なっている。第1の物体検出手段71は、搬送台車1から略水平方向の予め設定された距離L1の範囲内に物体が存在するときに、物体の検出信号を出力するように設定されている。また、第1の物体検出手段71は、搬送台車1から略水平方向の予め設定された距離L1の範囲内に物体を検出するように、搬送台車1の車体6に対し、略水平方向、またはやや上向きの取付け角度で取付けられている。一方、第2の物体検出手段72は、搬送台車1の水平方向から斜め上の予め設定された距離L2の範囲内に物体が存在するときに、物体の検出信号を出力するように設定されている。また、第2の物体検出手段72は、搬送台車1の水平方向から斜め上の予め設定された距離L2の範囲内の物体を検出するように、搬送台車1の車体6の水平方向から斜め上を向く取付け角度で取り付けられている。
【0028】
上述のように、第1の物体検出手段71は、超音波を略水平方向、またはやや上向きに発信し、
図4に示すθ1の範囲内に存在する物体を正確に検出するように調整されている。そして、
図4に示すように、搬送台車1から予め設定された距離L1以内の位置にパレット5の端面5aが存在すると、第1の物体検出手段71は、パレット5の検出信号を出力する。
【0029】
しかし、
図3に示すように、搬送台車1がパレット5に次第に近づくと、パレット5の端面5aは、第1の物体検出手段71の有効検出範囲θ1の範囲外になるため、第1の物体検出手段71はパレット5の端面5aを正確に検出できなくなる。
【0030】
そこで、搬送台車1とパレット5との距離が近くなったときには、水平方向から斜め上の方向の物体を検出する第2の物体検出手段72によってパレット5の端面5aを検出するようにしている。
図5に示すように、第2の物体検出手段72の有効検出範囲θ2の範囲内で、搬送台車1から予め設定された距離L2以内の位置にパレット5の端面5aが存在すると、第2の物体検出手段72は、パレット5の検出信号を出力する。
【0031】
続いて、搬送台車1の減速制御及び停止制御について説明する。
図4に示すように、搬送台車1が、前方のパレット5に載置された物品3に近づき、パレット5の端面5aが搬送台車1から予め設定された距離L1以内に入ると、第1の物体検出手段71はパレット5の端面5aを検出し、該検出信号を駆動モータ制御部に送信される。該検出信号を受信した駆動モータ制御部は、走行車輪13、13を駆動する駆動モータの減速制御を開始し、搬送台車1の速度を減速させ、搬送台車1とパレット5の端面5aとの距離がL2となるときに、停止制御に適した速度範囲になるように減速する。
【0032】
つぎに、
図5に示すように、パレット5の端面5aが搬送台車1から予め設定された距離L2以内に入ると、第2の物体検出手段72はパレット5の端面5aを検出し、該検出信号を駆動モータ制御部に送信し、駆動モータ制御部は、走行車輪13、13を駆動する駆動モータの停止制御を開始し、駆動モータを停止して駆搬送台車1を停止させる。
【0033】
このように、搬送台車1は、第1の物体検出手段71がパレット5の端面5aを検出して減速制御を開始し、停止制御に適した速度範囲になるように減速した状態で、第2の物体検出手段72がパレット5の端面5aを検出して搬送台車1を停止するように制動停止するので、搬送台車1をソフトに停止させることができる。さらに、停止制御に適した速度範囲になるように減速した状態で、パレット5の端面5aを検出して停止するので、隣接するパレット5の間隔をほぼ均等にできる。
【0034】
ここで、搬送台車3が運搬する物品3の重量が重いときには、減速制御を開始して搬送台車1とパレット5の端面5aとの距離が予め設定された距離L2以内に入るまでに、停止制御に適した速度範囲に減速できない場合がある。このような場合には、減速制御開始から減速レートを検出して、上記距離L2における搬送台車の速度を推定し、停止制御に適した速度範囲に低下しないと判断される場合には制動トルクを増加するように制御する。反対に、検出された減速レートが大きく、上記距離L2に到達する前に、搬送台車1が停止することが推定される場合には、制動トルクを小さくして、搬送台車1が上記距離L2に到達する前に停止してしまうことを防いでいる。このように制御することで、搬送台車3が運搬する物品3の重量が重い場合であっても、軽い場合であっても、すでに走行レール4の載置面4aに載置されているパレット5及び物品に接触することなく、適切なパレット間隔を保つように、かつ、ソフトに停止させることができる。
【0035】
本発明の搬送台車1は、以下のような作用効果を奏する。
【0036】
搬送台車1は、第1の物体検出手段71がパレット5の端面5aを検出して減速制御を開始し、十分減速した状態で第2の物体検出手段72がパレット5の端面5aを検出して搬送台車1を停止するので、ソフトに停止させることができる。さらに、十分に減速した状態で、パレット5の端面5aを検出して停止するので、隣接するパレットの間隔をほぼ均等にできる。
【0037】
また、物品3はパレット5の中央に置かれたり、パレット5の端に置かれたりするため、パレット5上の物品3を検出して減速制御、停止制御すると、隣接するパレットの間隔はばらついてしまう。これに対し、本発明の搬送台車は、第1の物体検出手段71がパレット5の端面5aを検出して減速制御、第2の物体検出手段72がパレット5の端面5aを検出して停止制動制御するので、隣接するパレットの間隔をほぼ一定にできる。
【0038】
加えて、第1の物体検出手段71及び第2の物体検出手段72の搬送台車1に対する取付角度を搬送台車の側面視にて異ならせることにより、第1の物体検出手段71が検出する距離L1を減速制御の開始に適した距離に設定でき、さらに第2の物体検出手段72が検出する距離2を停止制御の開始に適した距離に設定することができる。
【0039】
さらに、第1の物体検出手段71及び第2の物体検出手段72は、超音波センサを使用して物体を検出するので、物体の材質や色、光沢といった検出を不安定にさせる要因に大きな影響を受けず安定して物体を検出することができる。
【0040】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0041】
例えば、上記実施例では、駆動モータを電気的に制御して減速制御、制動制御をしているが、駆動モータをブレーキ付モータ等の機械ブレーキを使用して減速制御、制動制御をしてもよい。
【0042】
また、第1の物体検出手段及び第2の物体検出手段は、超音波センサを使用しているが、コストは上昇するがレーザ光を使用したセンサ、赤外線等の光電センサ等、予め決めた距離を必要な精度で検出できるものを使用してもよい。