(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
並行使用可能な複数の基板処理ユニットと、前記複数の基板処理ユニットに基板を搬送し前記複数の基板処理ユニットから基板処理後の基板を搬出する基板搬送手段と、を備えた基板処理装置であって、
前記基板処理ユニットで基板処理された後の基板が前記基板搬送手段によって前記基板処理ユニットから搬出されるのを待機する搬出待機時間が所定の許容値を超えない時間となるように、並行使用する基板処理ユニットを前記複数の基板処理ユニットの中から選択する選択手段と、
前記並行使用する基板処理ユニットに向けた前記基板搬送手段による基板搬送処理と、前記並行使用する基板処理ユニットでの基板処理と、前記並行使用する基板処理ユニットからの前記基板搬送手段による基板搬出処理と、を含む基板処理スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、
前記スケジュール作成手段により作成された前記基板処理スケジュールに従って前記基板処理ユニットと前記基板搬送手段とを制御して複数の基板を順次基板処理する制御手段とを備え、
前記基板搬送手段は、前記並行使用する基板処理ユニットに対して複数の基板を順番に搬送する手段であり、
前記並行使用するすべての基板処理ユニットに向けて一通り基板を搬送する基板搬送サイクルを繰り返し実行する基板処理スケジュールに従って前記制御手段が前記基板処理ユニットと前記基板搬送手段とを制御する場合に、前記スケジュール作成手段は、前の基板搬送サイクルの実行中、次の基板搬送サイクルの開始前に、前記次の搬送サイクルのための基板処理スケジュールを作成する、基板処理装置。
並行使用可能な複数の基板処理ユニットと、前記複数の基板処理ユニットに基板を搬送し前記複数の基板処理ユニットから基板処理後の基板を搬出する基板搬送手段と、を備えた基板処理装置であって、
前記基板処理ユニットで基板処理された後の基板が前記基板搬送手段によって前記基板処理ユニットから搬出されるのを待機する搬出待機時間が所定の許容値を超えない時間となるように、並行使用する基板処理ユニットを前記複数の基板処理ユニットの中から選択する選択手段と、
前記並行使用する基板処理ユニットに向けた前記基板搬送手段による基板搬送処理と、前記並行使用する基板処理ユニットでの基板処理と、前記並行使用する基板処理ユニットからの前記基板搬送手段による基板搬出処理と、を含む基板処理スケジュールを作成するスケジュール作成手段と、
前記スケジュール作成手段により作成された前記基板処理スケジュールに従って前記基板処理ユニットと前記基板搬送手段とを制御して複数の基板を順次基板処理する制御手段とを備え、
前記基板処理ユニットには基板を洗浄する基板洗浄処理ユニットが含まれ、
前記複数の基板処理ユニットには前記基板の表面を洗浄する表面洗浄処理ユニットと、前記基板の裏面を洗浄する裏面洗浄処理ユニットと、が含まれ、
前記裏面洗浄処理ユニットを用いた基板処理スケジュールにおける前記許容値は、前記表面洗浄処理ユニットを用いた基板洗浄処理スケジュールにおける前記許容値よりも短い時間が設定される、基板処理装置。
並行使用可能な複数の基板処理ユニットと、前記複数の基板処理ユニットに基板を搬送し前記複数の基板処理ユニットから基板処理後の基板を搬出する基板搬送手段と、を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記基板処理ユニットで基板処理された後の基板が前記基板搬送手段によって前記基板処理ユニットから搬出されるのを待機する搬出待機時間が所定の許容値を超えない時間となるように、並行使用する基板処理ユニットを前記複数の基板処理ユニットの中から選択する選択ステップと、
前記並行使用する基板処理ユニットに向けた前記基板搬送手段による基板搬送処理と、前記並行使用する基板処理ユニットでの基板処理と、前記並行使用する基板処理ユニットからの前記基板搬送手段による基板搬出処理と、を含む基板処理スケジュールを作成するスケジュール作成ステップと、
前記基板処理スケジュールに従って前記基板処理ユニットと前記基板搬送手段とを制御して、複数の基板を順次基板処理するスケジュール実行ステップと、を備え、
前記基板搬送手段は、前記並行使用する基板処理ユニットに対して複数の基板を順番に搬送する手段であり、
前記並行使用するすべての基板処理ユニットに向けて一通り基板を搬送する基板搬送サイクルを繰り返し実行する基板処理スケジュールに従って前記基板処理ユニットと前記基板搬送手段とが制御される場合には、前の基板搬送サイクルの実行中、次の基板搬送サイクルの開始前に、前記次の搬送サイクルのための基板処理スケジュールが作成される、基板処理方法。
並行使用可能な複数の基板処理ユニットと、前記複数の基板処理ユニットに基板を搬送し前記複数の基板処理ユニットから基板処理後の基板を搬出する基板搬送手段と、を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記基板処理ユニットで基板処理された後の基板が前記基板搬送手段によって前記基板処理ユニットから搬出されるのを待機する搬出待機時間が所定の許容値を超えない時間となるように、並行使用する基板処理ユニットを前記複数の基板処理ユニットの中から選択する選択ステップと、
前記並行使用する基板処理ユニットに向けた前記基板搬送手段による基板搬送処理と、前記並行使用する基板処理ユニットでの基板処理と、前記並行使用する基板処理ユニットからの前記基板搬送手段による基板搬出処理と、を含む基板処理スケジュールを作成するスケジュール作成ステップと、
前記基板処理スケジュールに従って前記基板処理ユニットと前記基板搬送手段とを制御して、複数の基板を順次基板処理するスケジュール実行ステップと、を備え、
前記基板処理ユニットには基板を洗浄する基板洗浄処理ユニットが含まれ、
前記複数の基板処理ユニットには前記基板の表面を洗浄する表面洗浄処理ユニットと、前記基板の裏面を洗浄する裏面洗浄処理ユニットと、が含まれ、
前記裏面洗浄処理ユニットを用いた基板処理スケジュールにおける前記許容値は、前記表面洗浄処理ユニットを用いた基板洗浄処理スケジュールにおける前記許容値よりも短い時間が設定される、基板処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す平面図である。また、
図2は、
図1におけるA−A断面から矢印a方向に見た基板処理装置1の側面図である。また、
図3は、
図1におけるA−A断面から矢印b方向に見た基板処理装置1の側面図である。なお、この明細書に添付した図において、X方向およびY方向は水平面を規定する2次元座標軸であり、Z方向はXY面に垂直な鉛直方向を規定している。
【0024】
この基板処理装置1は、半導体ウエハ等の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型の基板洗浄装置である。
図1に示すように、基板処理装置1は、インデクサ区画2と、このインデクサ区画2に結合された処理区画3とを備えており、インデクサ区画2と処理区画3との境界部分には、中継部50が配置されている。中継部50は、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wの受け渡しを行うための中継ユニット50a、センターロボットCRとの間で基板Wの反転を行う反転ユニット(RT1)、基板Wを反転しつつインデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wの受渡を行うための反転受渡ユニット(RT2)とからなる。
図2に示すように、中継部50は中継ユニット50aの上方に反転ユニットRT1を配置し、中継ユニット50aの下方に反転受渡ユニットRT2を配置した積層構造を有している。
【0025】
また、基板処理装置1には、基板処理装置1における各装置の動作を制御するための制御部60が備えられている。処理区画3は、後述するスクラブ洗浄処理等の基板処理を行う区画であり、基板処理装置1全体として枚葉型の基板洗浄装置となっている。
【0026】
制御部60は、基板処理装置1の外部に置かれたホストコンピュータとLANを介して接続されている。ホストコンピュータから制御部60へは基板処理装置1内部での個々の基板Wの搬送内容や表面処理部SS・裏面処理部SSRでの基板処理内容を決定するフローレシピFRが送信される。制御部60は受信したフローレシピFRを参照して基板処理装置1内部での各基板Wの搬送スケジュールおよび表面処理部SS・裏面処理部SSRでの基板処理スケジュールを作成する。
【0027】
この第1実施形態の基板処理装置1においては、各基板の処理や搬送のスケジュールをデジタルデータの形式で作成するためのコンピュータプログラムが、制御部60にあらかじめ記憶されている。そして、制御部60のコンピュータがこのコンピュータプログラムを実行することにより、この制御部60のひとつの機能として、スケジュール作成装置が実現される。これらの詳細については後述する。
【0029】
インデクサ区画2は、基板処理装置1の外部から受け取った基板W(未処理基板W)を処理区画3に渡すとともに、処理区画3から受け取った基板W(処理済み基板W)を基板処理装置1の外部に搬出するための区画である。
【0030】
インデクサ区画2は、複数枚の基板Wを収容できるキャリアCを保持することができるキャリア保持部4と、基板の搬送手段であるインデクサロボットIRと、インデクサロボットIRを水平に移動させるインデクサロボット移動機構5(以下では、「IR移動機構5」という。)とを備えている。
【0031】
キャリアCは、たとえば複数枚の基板Wを上下に一定の間隔を空けて水平に保持できるものであり、表面(2つの主面のうち電子デバイスを形成する主面)を上に向けて複数枚の基板Wを保持している。複数のキャリアCは、所定の配列方向(第1実施形態においては、Y方向)に沿って配列された状態で、キャリア保持部4に保持されている。IR移動機構5は、Y方向に沿ってインデクサロボットIRを水平に移動させることができる。
【0032】
各キャリア保持部4に対しては、未処理基板Wを収納したキャリアCが、装置外部から、OHT(Overhead Hoist Transfer)、AGV(Automated Guided Vehicle)等によって搬入されて載置される。また、処理区画3でのスクラブ洗浄処理等の基板処理が終了した処理済み基板Wは、センターロボットCRから中継部50を介してインデクサロボットIRに受け渡され、キャリア保持部4に載置されたキャリアCに再度格納される。処理済み基板Wを格納したキャリアCは、OHT等によって装置外部に搬出される。すなわち、キャリア保持部4は、未処理基板Wおよび処理済み基板Wを集積する基板集積部として機能する。
【0033】
本実施形態におけるIR移動機構5の構成について説明する。インデクサロボットIRには可動台が固設されており、この可動台はキャリアCの並びと平行にY方向に沿って延びるボールネジに螺合されるとともに、ガイドレールに対して摺動自在に設けられている。よって、回転モータによってボールネジが回転すると、可動台と固設されたインデクサロボットIRの全体がY軸方向に沿って水平移動する(いずれも図示省略)。
【0034】
このように、インデクサロボットIRはY方向に沿って自在に移動可能であるので、各キャリアCに、または、中継部50に基板の搬入出(以下、基板の搬入出のことを「アクセス」と称する場合がある。)可能な位置まで移動することができる。
【0035】
図4は、インデクサロボットIRの図解的な側面図である。
図4の各要素に付された参照記号のうち、カッコ内に示す参照符号は、インデクサロボットIRとほぼ同じ自由度を有するロボット機構をセンターロボットCRとしても用いる場合についての、センターロボットCRでの要素の参照符号である。したがって、ここでのインデクサロボットIRの構成説明においては、カッコ外にある参照符号を参照する。
【0036】
インデクサロボットIRは、基台部18を有している。アーム6aおよびアーム7aの一端は基台部18に取り付けられており、各々のアームの他端にはハンド6b,6cおよびハンド7b,7cが、互いに干渉しないように上下方向に高さをずらして配置されている(
図1では、ハンド6b,6cおよびハンド7b,7cが上下に重なり合っている。)。
【0037】
したがって、ハンド6b,6cは、アーム6aを介して基台部18に保持されている。また、ハンド7b,7cは、アーム7aを介して基台部18に保持されている。
【0038】
各ハンド6b,6c,7b,7cの先端は、いずれも一対のフィンガ部を有している。すなわち、各ハンド6b、6c、7b、7cの先端は、上面視にて二股のフォーク状に形成されており、基板Wの下面を下方から支持することにより1枚の基板Wを水平に保持することができる。また、本実施形態においては、ハンド7b,7cは洗浄処理を行う前の未処理基板を搬送する際にのみ用い、ハンド6b,6cは洗浄処理後の処理済基板を搬送する場合にのみ用いる。なお、各ハンドの一対のフィンガ部の外寸は、中継部50(
図9)に対向配置された一対の支持部材54の間隔よりもよりも小さい。このため、後述する基板搬入および搬出作業において、各ハンド6b、6c、7b、7cはこの支持部材54に干渉することなく基板Wを中継部50に搬入出することができる。
【0039】
また、各ハンド6b、6c、7b、7cの一対のフィンガ部の外寸は基板Wの直径よりも小さい。このため基板Wを安定して保持することができる。したがって、このインデクサロボットIRは4つのハンド6b,6c,7b,7cを有しているものの、未処理基板の同時搬送としては最大2枚の基板が可能であり、処理済基板の同時搬送としても最大2枚の基板が可能なロボット機構となっている。
【0040】
アーム6aおよびアーム7aは、いずれも多関節型の屈伸式アームである。インデクサロボットIRは、進退駆動機構8により、アーム6aおよびアーム7aを個別に伸縮させることができる。したがって、当該アーム6a,7aに対応するハンド6b,6cおよび7b,7cを別々に水平に進退させることができる。また、基台部18には、基台部18を鉛直軸線まわりに回転させるための旋回機構9と、基台部18を鉛直方向に昇降させるための昇降駆動機構10とが内蔵されている。
【0041】
以上の構成となっているため、インデクサロボットIRは、IR移動機構5によってY方向に沿って自在に移動可能である。また、インデクサロボットIRは、旋回機構9および昇降機構10によって、水平面における各ハンドの角度、および、鉛直方向における各ハンドの高さを調節することができる。
【0042】
そのため、インデクサロボットIRは、各ハンド6b,6cおよびハンド7b,7cをキャリアCや中継部50に対向させることができる。インデクサロボットIRは、ハンド6b,6cおよびハンド7b,7cがキャリアCに対向した状態で、アーム6aまたはアーム7aを伸長させることにより、当該アーム6a,7aに対応するハンド6b,6cおよびハンド7b,7cを当該キャリアCや中継部50にアクセスさせることができる。
【0044】
処理区画3は、インデクサ区画2より搬送された未処理の基板Wに洗浄処理を施し、当該洗浄処理を施した処理済基板Wを再びインデクサ区画2へと搬送する区画である。
【0045】
処理区画3は、基板の表面に一枚ずつ洗浄処理を施す表面洗浄処理部11と、基板の裏面に一枚ずつ洗浄処理を施す裏面洗浄処理部12と、基板の搬送手段であるセンターロボットCRと、センターロボットCRを水平に移動させるセンターロボット移動機構17(以下では、「CR移動機構17」という。)とを備えている。以下、処理区画3における各装置の構成を説明する。
【0046】
図1〜3に示すとおり、洗浄処理部11は、それぞれの組が上下方向に積み重ねられて4段構成とされた2組の表面洗浄処理ユニットSS1〜SS4、SS5〜SS8を備えており、また洗浄処理部11,12は、それぞれの組が上下方向に積み重ねられて4段構成とされた2組の裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR4、SSR5〜SSRを備えた構成である。
【0047】
図1に示すように、表面洗浄処理部11および裏面洗浄処理部12は、Y方向に所定距離離隔した状態で並んで配置されている。センターロボットCRは、表面洗浄処理部11と裏面洗浄処理部12との間に配置されている。
【0048】
図5は、表面洗浄処理部11の各洗浄処理ユニットSS1〜SS8における、基板W表面のスクラブ洗浄処理の様子を示した図である。洗浄処理ユニットSS1〜SS8は、表面が上側を向く基板Wを水平姿勢で保持して鉛直方向に沿った軸心周りで回転させるスピンチャック111、スピンチャック111上に保持された基板Wの表面に当接または近接してスクラブ洗浄を行う洗浄ブラシ112、基板Wの表面に洗浄液(例えば純水)を吐出するノズル113、スピンチャック111を回転駆動させるスピン回転支持部114、および、スピンチャック111上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等、およびこれらの部材を格納するユニットケース115を備えている。ユニットケース115には基板Wを搬入および搬出するためのスライド開閉可能なスリット116が配設されたゲート117が形成されている。
【0049】
さらに、各洗浄処理ユニットSS1〜SS8の天板や側板には、ユニットSS1〜SS8の内部を洗浄するための洗浄液を吐出するユニット洗浄液ノズル118が設けられている。
【0050】
裏面洗浄処理部12では、基板Wの裏面のスクラブ洗浄処理を行う。裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8も、表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8と同様に、スピンチャック、洗浄ブラシ、ノズル、スピンモータ、カップ、およびこれらの部材を格納するユニットケース、さらにユニット洗浄液ノズルを備えている。また、ユニットケースには基板Wを搬入および搬出するための開閉可能なスリットが配設されたゲートが形成されている(いずれも図示省略)。
【0051】
なお、表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8のスピンチャック111は、基板Wを裏面側から保持するため真空吸着方式のものであってもよいが、裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8のスピンチャック111は、基板Wの表面側から保持するため基板端縁部を機械的に把持する形式のものが好ましい。
【0052】
洗浄ブラシ112によって基板Wの表面を洗浄するときには、図示しないブラシ移動機構によって、表面を上に向けてスピンチャック111に保持された基板Wの上方に洗浄ブラシ112を移動させる。そして、スピンチャック111によって基板Wを回転させつつノズル113から基板Wの上面に処理液(たとえば純水(脱イオン水))を供給させ、洗浄ブラシ112を基板Wの上面に接触させる。さらに、洗浄ブラシ112を基板Wの上面に接触させた状態で、当該洗浄ブラシ112を基板Wの上面に沿って移動させる。これにより、洗浄ブラシ112によって基板Wの上面をスキャンして、基板Wの表面全域をスクラブ洗浄することができる。このようにして、基板Wの表面に対する処理が行われる。基板Wの裏面洗浄についても同様である。
【0053】
基板Wの洗浄が行われた後、リンス処理が実行されて基板Wの表面から洗浄液がリンス液に置換され、その後、基板Wを高速回転させるなどして、基板Wからリンス液を除去する乾燥処理が実行される。
【0054】
図示は省略するが、洗浄処理ユニットSS(SSR)の各部にはノズル113やスピンチャック114、スピン回転支持部114の異常を検知するセンサーが設けられている。
【0055】
洗浄処理ユニットSS(SSR)で実行される、洗浄処理・リンス処理・乾燥処理等の標準的な処理の手順および条件はユニットレシピとして予め決定されている。制御部60の後述する記憶装置64には、複数のユニットレシピを格納するユニットレシピデータベースUDBが設けられている。ユニットレシピにはそれぞれ異なるレシピ番号が付与されている。ユニットレシピは作業者が入力部66を操作することによって作成することができるほか、ホストコンピュータからLAN65を介して制御部60に与え、ユニットレシピデータベースUDBに格納することもできる。
【0056】
なお、本実施形態では、洗浄処理部11、12内の洗浄処理ユニットSS1〜SS8およびSSR1〜SSR8を基板Wへのスクラブ洗浄を行う装置として説明している。しかし、洗浄処理部11、12内の洗浄処理ユニットSS1〜SS8およびSSR1〜SSR8が行う基板処理は当該スクラブ洗浄に限定されるものではない。例えば、ブラシ洗浄を行わず、基板の表面または裏面に対向するノズル等から吐出される処理液(洗浄液・リンス液等)またはガス等の流体によって基板Wの枚葉洗浄を行う洗浄処理ユニットであってもよい。
【0057】
図6は、反転ユニットRT1および反転受渡ユニットRT2の図解的な側面図である。反転ユニットRT1と反転受渡ユニットRT2とは、前者がセンターロボットCRのみからアクセス可能であるのに対して、後者はセンターロボットCRからだけでなくインデクサロボットIRからもアクセス可能である点のみで異なるため、同じ
図6を用いて説明する。
【0058】
反転ユニットRT1はセンターロボットCRにより搬入された基板Wに反転処理を施す処理ユニットであり、反転ユニットRT1により基板Wが反転されると、センターロボットCRが当該基板を反転ユニットRT1から搬出する。
【0059】
反転受渡ユニットRT2はインデクサロボットIRおよびセンターロボットCRの両方からアクセス可能とされている。インデクサロボットIRにより反転受渡ユニットRT2に基板Wが搬入されると、反転受渡ユニットRT2は当該基板Wを反転する。その後、センターロボットCRは当該基板を反転受渡ユニットRT2から搬出する。また、センターロボットCRにより反転受渡ユニットRT2に基板Wが搬入されると、反転受渡ユニットRT2は当該基板Wを反転する。その後、インデクサロボットCRは当該基板を反転受渡ユニットRT2から搬出する。
【0060】
第1実施形態における基板処理装置1において、表面洗浄処理部11および裏面洗浄処理部12の各洗浄処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8では、基板の上面(基板の表裏とは無関係であり、その時点での鉛直方向上側が上面、鉛直方向下側が下面)に洗浄処理が施される。そのため、基板の両面の洗浄処理を行う場合などは、洗浄処理とは別に基板Wの反転処理を行う必要があり、その際に用いられるのが反転ユニットRT1および反転受渡ユニットRT2である。
【0061】
図6に示すように、反転ユニットRTは、水平に配置された固定板33と、固定板33を上下に挟んで水平に配置された4枚の可動板34とを有している。固定板33および4枚の可動板34は、それぞれ、矩形状であり平面視において重なり合うように配置されている。固定板33は、支持板35に水平状態で固定されており、各可動板34は、鉛直方向に延びるガイド36を介して、水平状態で支持板35に取り付けられている。
【0062】
各可動板34は、支持板35に対して鉛直方向に移動可能となっている。各可動板34は、エアーシリンダなどの図示しないアクチュエータによって鉛直方向に移動させられる。また、支持板35には、回転アクチュエータ37が取り付けられている。固定板33および4枚の可動板34は、回転アクチュエータ37によって、支持板35とともに水平な回転軸線まわりに一体的に回転させられる。回転アクチュエータ37は、支持板35を水平な回転軸線まわりに180度回転させることにより、固定板33および4枚の可動板34の上下を反転させることができる。
【0063】
また、固定板33および4枚の可動板34において、互いに対向する面(たとえば、上側の可動板34の下面と固定板33の上面)には、それぞれ複数本の支持ピン38が取り付けられている。複数本の支持ピン38は、それぞれの面において、基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けて配置されている。各支持ピン38の高さ(基端から先端までの長さ)は、一定とされており、ハンド6b、6c、ハンド7b、7c、およびハンド13b〜16bの厚み(鉛直方向への長さ)よりも大きくされている。
【0064】
固定板33は、複数本の支持ピン38を介して、その上方で一枚の基板Wを水平に支持することができる。また、4枚の可動板34は、それぞれ、下側に位置しているときに、複数本の支持ピン38を介して、その上方で一枚の基板Wを水平に支持することができる。固定板33による基板支持位置と可動板34による基板支持位置との鉛直方向の間隔は、インデクサロボットIRの各ハンド6b、6c、ハンド7b、7cにより保持される二枚の基板Wの鉛直方向への間隔、およびセンターロボットCRの各ハンド13b〜16bにより保持される二枚の基板Wの鉛直方向への間隔と等しくなるように設定されている。
【0065】
反転ユニットRT1が以上のような構成となっているため、センターロボットCRは、各ハンド13b〜16bにより保持される基板Wを反転ユニットRTにアクセス(搬入出)させることができる。また、反転受渡ニットRT2が以上のような構成となっているため、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCR(以下、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRを総称して「ロボットIRおよびCR」ということがある)は、各ハンド6b、6c、ハンド7b、7c、および各ハンド13b〜16bにより保持される基板Wを反転受渡ユニットRT2にアクセス(搬入出)させることができる。なお、詳細な基板Wの受け渡し動作については後述する。
【0066】
インデクサロボットIRまたはセンターロボットCRは、固定板33とその直上の可動板34との隙間に1枚目の基板Wを、当該可動板34とさらに上方の可動板34との隙間に2枚目の基板Wを挿入する。この状態でこれら2枚の可動板34を固定板33に向けて移動させることでこれら2枚の基板Wを反転ユニットRT1または反転受渡ユニットRT2に保持させることができる。同様に、固定板33とその直下の可動板34との隙間に1枚目の基板Wを、当該可動板34とさらにその下方の可動板34との隙間に2枚目の基板Wを保持することができる。
【0067】
そして、反転ユニットRT内に基板Wが保持された状態で、回転アクチュエータ37によって支持板35を水平な回転軸線まわりに回転させることにより、保持された2枚の基板Wの上下を反転させることができる。以上説明したように、反転ユニットRT1および反転受渡ユニットRT2は、複数枚(この第1実施形態では、2枚)の基板Wを水平に保持し、保持した基板Wの上下を反転させることできる。
【0068】
本実施形態におけるCR移動機構17の構成は、既述のIR移動機構5の構成と同様である。つまり、CR移動機構17は、図示しない可動台、X方向に長尺なボールネジ・ガイドレール、および、ボールねじを回転させる回転モータによって構成される。ボールネジが回転すると、可動台と固設されたセンターロボットCRの全体が、表面洗浄処理部11と裏面洗浄処理部12との間を横切って処理区画3の内部をX方向に水平移動する。このように、センターロボットCRはX方向に沿って自在に移動可能であるので、各洗浄処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8にアクセス(搬入出)可能な位置まで移動することができる。また、同様に、中継部50にアクセス(搬入出)可能な位置まで移動することもできる。
【0069】
センターロボットCRは、
図4のインデクサロボットIRと実質的に同様の構成、すなわち相対固定された2段ハンドを、独立して進退駆動可能に上下に2組構成としたロボット機構(以下、「アーム2組ハンド4個」の意味で「2A4H機構」と呼ぶ)を用いることもできるし、他の構成を用いることもできる。インデクサロボットIRとして2A4H機構のロボットを用いる場合の各構成要素は、
図4においてインデクサロボットIRについて説明したものと同様であるため、ここでの重複説明は省略する。
【0070】
図7(a)は、4つのハンド13b〜16bのそれぞれを4つのアーム13a〜16aで独立して進退駆動可能な形式(以下「4A4H機構」と言う)で構成した場合のセンターロボットCRの図解的な側面図である。また、
図7(b)は、後述する基板の搬入作業および搬出作業においてセンターロボットCRが洗浄ユニットSS(SSR)にアクセスする様子を示す図解的な上面図である。
【0071】
図7(a)に示すように、4A4H機構とした場合のこのセンターロボットCRは、基台部28を有している。各アーム13a〜16aの一端は基台部28に取り付けられ、各アーム13a〜16aの他端には各ハンド13b〜16bが取り付けられている。したがって、各ハンド13b〜16bは、それぞれ、各アーム13a〜16aを介して基台部28に保持されている。
【0072】
また、ハンド13b〜16bは隣接するハンド13b〜16bに対して互いに干渉しないように上下方向に高さをずらして(鉛直方向に互いに同一距離h1で隔離して)配置されている。さらに、各ハンド13b〜16bの先端は、いずれも一対のフィンガ部を有している。すなわち、各ハンド13b〜16bの先端は、上面視において二股のフォーク状に形成されており、各ハンド13b〜16bは、基板Wの下面を下方から支持することにより1枚の基板Wを水平に保持することができる。本実施形態においては、ハンド15b,16bは洗浄処理を行う前の未処理基板を搬送する際にのみ用い、ハンド13b,14bは洗浄処理後の処理済基板を搬送する場合にのみ用いる。
【0073】
なお、各ハンド13b〜16bの一対のフィンガ部の外寸は中継部50における一対の対向する支持ピン55の間隔よりも小さい。このため、後述する基板搬入および搬出作業において、各ハンド13b〜16bが中継部50の支持部材54に干渉することが防止されている。
【0074】
さらに、各ハンド13b〜16bの一対のフィンガ部の間には部材通過領域が形成されている。当該領域は洗浄ユニットSS(SSR)のスピンチャック111よりも大きい。このため、後述する基板搬入および搬出作業において、各ハンド13b〜16bがスピンチャック111に干渉することが防止されている(
図7(b)参照)。また、各ハンド13bの厚みはスピンチャック111の上面と回転支持部114の上面との間隔よりも小さい大きさとされている。また、アーム13a〜16aは、いずれも多関節型の屈伸式アームである。センターロボットCRは、各アーム13a〜16aを進退駆動機構29により個別に伸縮させ、当該アームに対応するハンド13b〜16bを別々に水平に移動させることができる。また、基台部28には、基台部28を鉛直軸線まわりに回転させるための旋回機構31と、基台部28を鉛直方向に昇降させるための昇降駆動機構32とが内蔵されている。
【0075】
CR移動機構17によって、各洗浄処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8にアクセス可能な位置までセンターロボットCRを移動させた後、旋回機構31により基台部28を回転させて各ハンド13b〜16bを所定の鉛直軸線まわりに回転させるとともに、昇降駆動機構32により基台部28を鉛直方向に昇降させることにより、これらの任意のハンド13b〜16bを所望の洗浄処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8に対向させることができる。そして、ハンド13b〜16bが洗浄処理ユニットに対向した状態で、アーム13a〜アーム16aを伸長させることにより、当該アームに対応するハンド13b〜16bを当該洗浄処理ユニットにアクセスさせることができる。同様に、センターロボットCRは、任意のハンド13b〜16bを中継部50へアクセスさせることができる。
【0076】
センターロボットCRとして2A4H機構を採用した場合も、4A4H機構を採用した場合も、中継部50から処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8へ一括搬送(同時搬送)できる未処理基板は最大で2枚であり、処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8から中継部50へと一括搬送できる処理済基板は最大で2枚となっている。したがって、一括搬送可能な基板の最大枚数はいずれも同一であるため、以下では、説明の便宜上、4A4H機構として構成されたセンターロボットCRについて説明するが、センターロボットCRとして2A4H機構を用いた場合についても、インデクサロボットIRのアーム動作から類推することにより、センターロボットCRについての個々のアーム動作は理解可能である。
【0077】
なお、上記ではCR移動機構17を併用することによりセンターロボットCRの各ハンド13b〜16bを処理ユニットSS、SSR、および中継部50にアクセス可能とした形態について説明した。しかし、CR移動機構17を用いずにセンターロボットCRの旋回機構31・昇降駆動機構32・進退駆動機構29のみによってセンターロボットCRの各ハンド13b〜16bを洗浄処理ユニットSS、SSR、および中継部50にアクセス可能とすることももちろん可能である。
【0078】
なお、IR移動機構5、インデクサロボットIR、CR移動機構17、センターロボットCRの各部にはこれらの機構の動作異常を検知するセンサーが設けられている。
【0080】
インデクサ区画2と処理区画3との境界部分には、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wの受け渡しを行うための中継ユニット50aが配置されている。中継ユニット部50aは基板載置部PASS1〜PASS4を備える筐体であり、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wの受け渡しが行われる際には、基板載置部PASS1〜PASS4内に基板Wが一時的に載置される。
【0081】
図8は、第1実施形態における中継ユニット50aの側面図である。また、
図9は
図8におけるA−A断面の矢印方向からみた上面図である。中継ユニット50aの筐体の側壁の、インデクサロボットIRに対向する一側壁には、基板Wを搬入出するための開口部51が設けられている。また、上記一側壁に対向する、センターロボットCR側に位置する他側壁にも、同様の開口部52が設けられている。
【0082】
筐体内の開口部51,52に対向する部位には、上記基板Wを略水平に支持する基板載置部PASS1〜PASS4が設けられている。このため、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRは、それぞれ、開口部51,52より、基板載置部PASS1〜PASS4にアクセス可能となっている。なお、本実施形態においては、上側の基板載置部PASS1、PASS2は、処理済基板Wを処理区画3からインデクサ区画2へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS3、PSS4は、未処理基板Wをインデクサ区画2から処理区画3へ搬送する際に用いられる。
【0083】
図8,9に示すように、基板載置部PASS1〜PASS4は、筐体内部の側壁に固設される一対の支持部材54と、当該支持部材54上面の両端部に2本一組で設けられる合計4本の支持ピン55とから構成される。また、支持部材54は、開口部51,52が形成された側壁と異なる一対の側壁に固設されている。支持ピン55の上端は円錐状に形成されている。そのため、一対の支持ピン55には、基板Wが周縁部の4箇所を係合させて着脱可能に保持される。
【0084】
ここで、PASS1−PASS2間、PASS2−PASS3間、およびPASS3−PASS4間における各支持ピン55は、鉛直方向に同一距離h2で隔離して設けられている(
図8参照)。この距離h2は、前記したセンターロボットCRのハンド13b〜16bの鉛直方向の間隔h1と等しい。このため、センターロボットCRが中継ユニット50aに対向させた状態で、センターロボットCRのハンド15b、16bを進退駆動機構29により同時に伸長させることにより、中継ユニット50aの基板載置部PASS3、PASS4から2枚の未処理基板Wを同時に受け取ることができる。同様に、センターロボットCRのハンド13b、14bを進退駆動機構29により同時に伸長させることにより、これらのハンド13b、14bに保持されている2枚の処理済基板Wを、中継ユニット50aの基板載置部PASS1、PASS2に同時に引き渡すことができる。
【0086】
図10は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。また、
図11は、制御部60の内部構成を説明するためのブロック図である。制御部60は、
図11に示されるように、例えば、CPU61、ROM62、RAM63、記憶装置64等が、バスライン65を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成される。ROM62は基本プログラム等を格納しており、RAM63はCPU61が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置64は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成される。記憶装置64には、レシピ変更データベースCDB、およびホストコンピュータから制御部60に送信されたフローレシピFR、フローレシピFRに基づいて作成されるスケジュールデータSD(後述)、ユニットレシピデータベースUDBが格納されている。
【0087】
図10に示すように、制御部60は、機能的に、スケジュール機能部71および処理実行部72を備えている。制御部60は、CPU61にROM62等に予め格納された制御プログラムを実行させることにより、CPU61を、スケジュール機能部71および処理実行部72等の機能部として機能させると共に、RAM63、記憶装置64等の記憶手段を、フローレシピFR記憶部、スケジュールデータSD記憶部、ユニットレシピデータベースUDB記憶部、許容値記憶部等の機能部として機能させる。
【0088】
スケジュール機能部71は、フローレシピFRに基づいて、処理対象となる各基板Wのスケジュールデータ(以下「SD」とする。)を時系列順に配列したテーブル形式などで作成する。なお、作成されたスケジュールデータSDは、記憶装置64に格納される。
【0089】
処理実行部72は、スケジュールデータSDに従って、基板処理装置1の各種機能を作動させ、対象基板Wの基板処理装置1内での搬送や処理ユニットSS(SSR)での洗浄処理を実行する。
【0090】
制御部60では、入力部66、表示部67、通信部68もバスライン65に接続されている。入力部66では、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、オペレータから処理レシピ等の各種の入力設定指示を受ける。表示部67は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、CPU61による制御のもと各種の情報を表示する。通信部68は、LAN65等を介したデータ通信機能を有する。制御部60には、インデクサロボットIR、センターロボットCR、IR移動機構5、CR移動機構17、表面洗浄処理部11、裏面洗浄処理部12、反転ユニットRT1、および反転受渡ユニットRT2が制御対象として接続されている。なお、スケジュールデータSDの作成および変更に関する詳細な説明は、基板処理装置1の動作に関する説明の後に行う。
【0092】
これまで、基板処理装置1における各装置の構成、および、各装置内での動作(洗浄処理や反転処理等)について説明を行った。以下、基板処理装置1内部の各装置(基板載置部PASS、反転ユニットRT1、反転受渡ユニットRT2、洗浄処理ユニットSS等)とインデクサロボットIRやセンターロボットCRとの基板Wの受渡し動作、および、基板処理装置1全体を通しての基板処理動作について説明する。
<2.1 基板Wの受渡し動作>
【0093】
既述したとおり、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRには、移動機構、旋回機構、昇降機構、進退機構が設けられており、当該ロボットの各ハンドを基板処理装置1内部の各要素にアクセスさせることが可能である。
【0094】
この際の基板の受渡し動作について、センターロボットCRが表面洗浄処理ユニットSSにアクセスした場合と、センターロボットCRが中継部50にアクセスした場合とを例に挙げて説明する。
図12および
図13は、センターロボットCRと表面洗浄処理ユニットSSとの間の基板受渡し動作の一例を示した模式図である。また、
図14は、センターロボットCRとPASS(中継部50)との間の基板受渡し動作を示した模式図であり、理解を容易にするため、基板Wと、基板載置部PASS1〜PASS4の支持部材54と、ハンド13b〜16bとのみで基板受渡し動作を簡易的に表現している。
【0095】
[センターロボットCRと処理ユニットとのアクセス]
【0096】
図12(a)に示す通り、処理ユニットSSのスピンチャック111上には処理済基板W1が載置されている。また、処理ユニットSSのスリット116がスライドしてゲート117が開放されている。センターロボットCRがこのような表面洗浄処理ユニットSSから処理済基板W1を搬出するときは、まず、制御部60が旋回機構31を制御して、ハンド13bを当該表面洗浄処理ユニットSSに対向させる。同時に、制御部60は昇降駆動機構32を制御して、ハンド13bの上面がスピンチャック111の上面よりも下であって、ハンド13bの下面が回転支持部114の上面よりも上になる高さ位置にする(
図12(a)参照)。
【0097】
次に、制御部60が進退駆動機構29を制御して、アーム13aを伸長させる。これにより、ハンド13bが水平移動して表面洗浄処理ユニットSSの内部に入り込み、ハンド13b先端の部材通過領域がスピンチャック111を通過し、
図12(b)に示すように、ハンド13bがスピンチャック111に保持された基板W1の下方に配置される。本実施形態の各ハンド13b〜16bは個別に伸縮可能であるため、基板の搬入出作業に必要なハンド(ここではハンド13b)のみを処理ユニットSS(SSR)のユニットケース115の中に進入させることができる。これによりハンド13b〜16bがユニットケース115内に持ち込むおそれのあるパーティクルの量を最小限にすることができる。また、スピンチャック111と回転支持部114とのスペースを1本のハンド13b〜16bのみが進入可能な程度の上下幅に狭めることができる。
【0098】
その後、制御部60が昇降駆動機構32を制御して、ハンド13bを上昇させる。これにより、
図12(c)に示すように、スピンチャック111上に載置されていた基板W1がハンド13bの上側に渡される。続いて、制御部60が進退駆動機構29を制御して、アーム13aを収縮させる。これにより、
図12(d)に示すように、ハンド13bが表面洗浄処理ユニットSSから退避していく。また、前述の一連の動作では、ハンド13bを用いて何れかの表面洗浄処理ユニットSSに基板Wを一枚搬出する場合について説明したが、他の基板保持ハンド14b〜16bを用いるときにおいても、前述の1枚搬出と同条件となるように昇降機構32によりハンドの高さを変更すれば、同様の搬出動作を行うことができる。
【0099】
続いて、基板の搬入動作について説明する。制御部60は昇降駆動機構32を制御して、ハンド15bの上面に保持された未処理基板W2がスピンチャック111の上方となる高さまでアーム15aを上昇させる(
図13(a))。次に、制御部60が進退駆動機構29を制御して、アーム15aを伸長させる。これにより、ハンド15bが水平移動して表面洗浄処理ユニットSSの内部に入り込み、
図13(b)に示すように、ハンド15bの上側に保持された基板W2が、スピンチャック111の上方に配置される。その後、制御部60が昇降駆動機構32を制御して、ハンド15bを下降させる。これにより、
図13(c)に示すように、ハンド15bに保持されていた基板W2がスピンチャック111に渡される。そして、制御部60が進退駆動機構29を制御して、アーム15aを収縮させる。これにより、
図13(d)に示すように、ハンド15bが表面洗浄処理ユニットSSから退避していく。
【0100】
また、前述の一連の動作では、ハンド15bを用いて表面洗浄処理ユニットSSに基板Wを一枚搬入する場合について説明したが、この1枚搬入動作は、裏面洗浄ユニットSSRに基板Wを一枚搬入する場合についても同様である。
【0101】
なお、ハンド15bを降下させるとき、
図13(b),13(c)に示されるように、ハンド15bは、側面視において(水平方向から見て)スピンチャック111と重なり合うタイミングがある。しかし、既述したようにハンド15bが二股のフォーク状にされているので、このとき、スピンチャック111は、基板保持ハンド15bの内側に入り込み、ハンド15bと干渉することはない。同様に、基板載置部PASSや反転ユニットRTにおける支持ピンと各ハンドとの基板受渡し動作においても、側面視において(水平方向から見て)支持ピンと各ハンドとが重なり合うタイミングはあるが、干渉することがないように設計されている。
【0102】
[センターロボットCRの中継部50へのアクセス]
【0103】
図14は、センターロボットCRによって基板載置部PASS1,PASS2に基板Wを2枚同時に搬入するときの動作の一例を説明するための模式図である。センターロボットCRによって基板載置部PASS1,PASS2に基板Wを2枚同時に搬入するときは、たとえば、ハンド13b、14bに基板Wを1枚ずつ保持させた状態で、2枚の基板Wを基板載置部PASS1,PASS2に同時に搬入する(2枚搬入動作)。
【0104】
具体的には、制御部60が、旋回機構9および昇降駆動機構10を制御して、ハンド13b,14bを基板載置部PASS1,PASS2に対向させる。このとき、ハンド13b、14bは、
図14(a)に示すように、ハンド13b、14bに保持された2枚の基板Wが、それぞれ、基板載置部PASS1,PASS2よりも上方となる高さまで上昇または下降されている。
【0105】
前述のように、基板載置部PASS1〜PASS4における上下の基板支持位置の鉛直方向の間隔が、センターロボットCRの各ハンド13b、14bにより保持される2枚の基板Wの鉛直方向への間隔と等しくなるように設定されている。したがって、昇降駆動機構10によってハンド13bが保持する基板Wが基板載置部PASS1の上方にくるように配置すれば、その他のハンド14bについても、それぞれ、基板載置部PASS2の上方に配置させることができる。
【0106】
次に、制御部60が進退駆動機構8を制御してアーム13aおよびアーム14aを同時に伸長させる。これにより、ハンド13b,14bが基板載置部PASS1,PASS2の内部に入り込み、
図14(b)に示すように、ハンド13b、14bにそれぞれ保持された2枚の基板Wが、それぞれ、基板載置部PASS1,PASS2の上方に配置される。
【0107】
その後、制御部60が、昇降駆動機構10を制御して、当該2枚の基板WがPASS1、PASS2に支持されるまで、ハンド13b、14bを降下させる。これにより、
図14(c)に示すように、PASS1,PASS2の図示しない支持ピン55上に基板Wが同時に載置され、インデクサロボットIRから基板載置部PASS1,PASS2に2枚の基板Wが同時に渡される。そして、制御部60が進退駆動機構29を制御してアーム13aおよびアーム14aを同時に収縮させる。これにより、ハンド13b、14bが基板載置部PASS3,PASS4から退避していく(2枚搬入動作)。
【0108】
図を用いた説明は省略するが、センターロボットCRが基板載置部PASS3,PASS4から2枚の未処理基板Wを同時に搬出するときは、前述の一連の動作を逆に行う。つまり、ハンド15b,16bを基板載置部PASS3,PASS4の下方に伸長させる。次に、当該ハンド15b、16bcを上昇させ、続いてアーム15aおよびアーム16aを同時に収縮させることにより、ハンド15b、16bを用いて基板載置部PASS1,PASS2から2枚の基板Wを同時に搬出することができる(2枚搬出動作)。
【0109】
ここまで、センターロボットCRとPASSとにおける基板Wの2枚搬入動作および2枚搬出動作について説明したが、この一連の動作はセンターロボットCRと他のユニット間での基板の受渡しについても同様である。具体的には、センターロボットCRと反転ユニットRT1とにおける基板の受渡し、インデクサロボットIRまたはセンターロボットCRと反転受渡ユニットRT2とにおける基板の受渡し、インデクサロボットIRと基板載置部PASSとにおける基板の受渡し、および、インデクサロボットIRとキャリアCとにおける基板の受渡しにおいて、既述した2枚搬入動作および2枚搬出動作を行うことができる。
【0110】
なお、本実施形態における各ロボット(CRまたはIR)の各ハンドでは、保持される基板Wが洗浄処理前の未処理基板であるか洗浄処理済みの処理済基板であるか、という使い分けがなされている。そのため、未処理基板用のハンドであるハンド7b,7c、ハンド15b,16bで処理済み基板Wの搬入や搬出を行うことは既述の搬入動作および搬出動作の原理としては可能ではあるが、本実施形態の中では実施しない。処理済み基板用のハンドであるハンド6b,6c、および、ハンド13b,14bにおいても同様である。
【0111】
なお、センターロボットCRが複数枚の基板Wを保持している場合、複数の洗浄処理ユニットSS(またはSSR)に基板Wを1枚ずつ順番に搬入していくことがある。同様に、センタ−ロボットCRが複数の洗浄処理ユニットSS(またはSSR)から基板Wを1枚ずつ搬出していくことがある。これらの場合、個別の洗浄処理ユニットSS(またはSSR)とセンターロボットCRとの関係性だけに着目すれば1枚搬入動作または1枚搬出動作を行っているが、複数の洗浄処理ユニットSS(またはSSR)の総体である洗浄処理部11(または12)とセンターロボットCRとの関係においては2枚搬入動作または2枚搬出動作を行っているとみなすことができる。したがって、本明細書では、複数の基板Wを保持したセンターロボットCRが複数の洗浄処理ユニットSS(またはSSR)に順番搬入するケースや複数の洗浄処理ユニットSS(またはSSR)から複数の基板Wを順番搬出して別のセグメントに移動するケースも、センターロボットCRが中継部50とアクセスして2枚搬入(または搬出)動作を行うケースと同様に、2枚搬入(または搬出)動作を行っていると同じものとして説明を行う。
<2.2 基板処理のパターン>
【0112】
ここで、本基板処理装置1において実施可能な基板処理のパターンについて説明する。
【0113】
本基板処理装置1では、「表面洗浄のみ」、「裏面洗浄のみ」、および「両面洗浄(裏面→表面)」「裏面洗浄(表面→裏面)」等のさまざまな基板処理パターンを基板Wに対して選択的に施すことが可能である。「表面洗浄のみ」のパターンでは、基板WをキャリアCから搬出した後、基板Wの表裏を反転することなく、基板Wの表面の洗浄処理を行う。洗浄処理後は基板Wの表裏を反転することなく、キャリアCに返却する。「裏面洗浄のみ」のパターンでは、基板WをキャリアCから搬出した後、基板Wの表裏を反転した上で基板Wの裏面の洗浄処理を行う。洗浄処理後は、基板Wの表裏を反転した上で、キャリアCに返却する。「両面洗浄(裏面→表面)」のパターンでは、基板WをキャリアCから搬出した後、基板Wの表裏を反転した上で、基板Wの裏面の洗浄処理を行う。その後、基板Wの表裏を反転して、基板Wの表面が上を向いた状態にして、基板Wの表面の洗浄処理を行う。その後、基板Wの表裏を反転することなく、キャリアCに基板を返却する。「両面洗浄(表面→裏面)」のパターンでは、基板WをキャリアCから搬出した後、基板Wの表裏を反転することなく、基板Wの表面の洗浄処理を行う。その後、基板Wの表裏を反転して、基板Wの裏面が上を向いた状態にして、基板Wの裏面の洗浄処理を行う。その後、基板Wの表裏を反転した上で、キャリアCに返却する。
【0114】
図15は、上記の一連の処理を行う処理区画を複数の処理区画S1〜S13に分割し、これら複数の処理区画S1〜S13を処理の流れに沿って配置した表である。
【0115】
処理区画S1は未処理基板Wを保持する処理区画である。処理区画S2は未処理基板Wを搬送する処理区画である。処理区画S3は未処理基板Wをインデクサ区画2から処理区画3に引き渡す処理区画である。処理区画S4は未処理基板Wを1回目の基板処理を行う洗浄処理ユニットSS(SSR)に向けて搬送する処理区画である。処理区画S5は1回目の基板処理を行う処理区画である。処理区画S6は1回目の基板処理が行われた基板Wを洗浄処理ユニットSS(SSR)から搬出し、中継部50に搬入する処理区画である。処理区画S7は1回目の基板処理が行われた基板Wを反転する処理区画である。処理区画S8は1回目の反転が行われた基板Wを中継部50から搬出し2回目の基板処理を行う洗浄処理ユニットSS(SSR)に搬入する処理区画である。処理区画S9は2回目の基板処理を行う処理区画である。処理区画S10は2回目の基板処理が行われた基板Wを洗浄処理ユニットSS(SSR)から搬出する処理区画である。処理区画S11は処理区画3からインデクサ区画2に基板Wを引き渡す処理区画である。処理区画S12は処理後の基板Wを搬送する処理区画である。処理区画S13は処理後の基板Wを保持する処理区画である。
【0116】
図15の表に示すように、パターン1の場合、基板Wは処理区画S1でキャリアCに保持され、処理区画S2でインデクサロボットIRにより搬送され、処理区画S3で基板載置部PASSに保持され、処理区画S4でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S5で表面洗浄処理ユニットSSにより表面の洗浄処理が行われ、処理区画S6でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S11で基板載置部PASSに保持され、処理区画S12でインデクサロボットIRにより搬送され、処理区画S13でキャリアCに保持される。
【0117】
また、パターン2の場合、基板Wは処理区画S1でキャリアCに保持され、処理区画S2でインデクサロボットIRにより搬送され、処理区画S3で反転受渡ユニットRT2により反転され、処理区画S4でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S5で裏面洗浄処理ユニットSSRにより裏面の洗浄処理が行われ、処理区画S6でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S11で反転受渡ユニットRT2により反転され、処理区画S12でインデクサロボットIRにより搬送され、処理区画S13でキャリアCに保持される。
【0118】
パターン3の場合、基板Wは処理区画S1でキャリアCに保持され、処理区画S2でインデクサロボットIRにより搬送され、処理区画S3で反転受渡ユニットRT2により反転され、処理区画S4でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S5で裏面洗浄処理ユニットSSRにより裏面の洗浄処理が行われ、処理区画S6でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S7で反転処理ユニットRT1により反転され、処理区画S8でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S9で表面洗浄処理ユニットSSにより表面が洗浄され、処理区画S10でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S11で基板載置部PASSにより保持され、処理区画S12でインデクサロボットIRにより搬送され、処理区画S13でキャリアCに保持される。
【0119】
パターン4の場合、基板Wは処理区画S1でキャリアCに保持され、処理区画S2でインデクサロボットIRにより搬送され、処理区画S3で基板載置部PASSに保持され、処理区画S4でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S5で表面洗浄処理ユニットSSにより表面の洗浄処理が行われ、処理区画S6でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S7で反転処理ユニットRT1により反転され、処理区画S8でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S9で裏面洗浄処理ユニットSSRにより裏面が洗浄され、処理区画S10でセンターロボットCRにより搬送され、処理区画S11で反転受渡ユニットRT2により反転され、処理区画S12でインデクサロボットIRにより搬送され、処理区画S13でキャリアCに保持される。
<3.フローレシピ>
【0120】
次に、
図16および
図17を参照して、フローレシピFRのデータ構造を説明する。
図16および
図17はフローレシピFRの例(フローレシピFR1およびフローレシピFR2)のデータ構造を示す表である。
図16および
図17に示すように、フローレシピFRは、第1項目「ステップ」、第2項目「処理ユニット」、および第3項目「ユニットレシピ」のデータ項目を含む。
【0121】
既述したように、未処理基板Wは中継ユニット50aの基板載置部PASS等を経由して、センターロボットCRによって処理ユニットSS(SSR)に搬入される。フローレシピFRの「Step1」行の「処理ユニット」は、基板載置部PASS等に載置された基板Wが最初に搬送される洗浄処理ユニットSS(SSR)を規定するデータ項目である。フローレシピFR1(
図16)およびフローレシピFR2(
図17)の例では、「処理ユニット」の項目にSS1乃至SS4が記載されている。これは基板Wを表面洗浄処理ユニットSS1乃至SS4のいずれかに最初に搬送すべきことを意味している。
【0122】
基板Wはロット単位であらかじめ用意されており、インデクサロボットIRによって基板載置部PASS等に載置されていく。センターロボットCRはこれら複数の基板Wを処理実行部72(
図10参照)の指示に従って順番に搬出し、表面洗浄処理ユニットSS1乃至SS4に振り分けて搬送する。
【0123】
本基板処理装置1では両面洗浄処理を行うことができる。この場合、基板Wは複数の洗浄処理ユニットSS(SSR)をまたいで処理される(
図15のパターン3およびパターン4参照)。このように、処理対象の基板Wを複数の洗浄処理ユニットSS(SSR)にまたがって搬送する場合には、基板Wの搬送先を追加する必要がある。このような場合、フローレシピFRには追加された搬送先の数だけステップの行のデータが追加される。
【0124】
例えば、フローレシピFR1が「パターン4(両面洗浄(表面→裏面)」のパターンであれば、「Step1」の下に、「Step2」の行が追加され、この行において表面洗浄後の基板Wをどの裏面洗浄処理ユニットSSRに搬送すべきかが特定される。
【0125】
「ユニットレシピ」欄は、洗浄処理ユニットSS(SSR)での処理をレシピ番号により規定したデータ項目である。既述したように、洗浄処理ユニットSS(SSR)では、基板処理を実行することができる。フローレシピFRの基板処理の欄では、処理対象の基板Wに施される基板処理の内容がレシピ番号で特定されている。フローレシピFR1の基板処理の欄にはレシピ番号「ユニットレシピ1」が、フローレシピFR2の基板処理の欄にはレシピ番号「ユニットレシピ2」がそれぞれ指定されている。
【0126】
次に、洗浄処理ユニットSS(SSR)の選択について説明する。
【0127】
既述したように、本基板処理装置1はフローレシピの各ステップが指定する基板処理を複数の処理ユニットSS(SSR)で並行して実行することができる。例えば、
図16のフローレシピFR1のステップStep1は、洗浄処理ユニットSS1乃至SS4のいずれでも実行することができる。この場合は、洗浄処理ユニットSS1乃至SS4で「ユニットレシピ1」に対応する内容の基板処理を並行して実行する。
【0128】
通常、スケジュール機能部71(
図10参照)は、ジョブを開始する時点で使用可能な洗浄処理ユニットSS(SSR)の中からフローレシピが指定する洗浄処理ユニットSS(SSR)をすべて抽出し、これらの洗浄処理ユニットSS(SSR)のすべてで並行して基板処理を実行するように基板処理スケジュールを立案する。
【0129】
例えば、
図18に示すようなスケジュールが作成される。
【0130】
図18はセンターロボットCRのハンド13b、15bを用いて基板載置部PASS1、PASS3と4つの洗浄処理ユニットSS1〜SS4との間で基板Wの搬送を行った場合のタイムチャートである。
【0131】
センターロボットCR(ハンド15b)は4つの表面洗浄処理ユニットSS1〜SS4に向けて一定の順番で基板Wを1枚ずつ搬送している。すなわち、センターロボットCR(ハンド15b)は表面洗浄処理ユニットSS1、SS2、SS3、およびSS4の順番で基板Wを搬送している。
【0132】
より具体的には、時刻t0に未処理基板W1が基板載置部PASS3に載置される。時刻t1にセンターロボットCRのハンド15bが基板載置部PASS3から基板W1を取り出し、時刻t1から時刻t2までの期間で洗浄処理ユニットSS1に対向する位置まで移動する。時刻t3にハンド15bが基板W1を表面洗浄処理ユニットSS1に搬入する。
【0133】
次に、時刻t2から時刻t3の期間にセンターロボットCRが移動してハンド15bが基板載置部PASS3に対向する位置まで移動し、時刻t3にハンド15bが2枚目の未処理基板W2を基板載置部PASS3から取り出し、時刻t4にハンド15bが2つ目の表面洗浄処理ユニットSS2に2枚目の基板W2を搬入する。
【0134】
以上のようにして、並行処理に使用される4個の表面洗浄処理ユニットSS1〜SS4に向けて、4枚の基板W1〜W4(一組の基板W1〜W4という)が順番に搬入され並行して基板処理が行われる。先行する組の1枚目の基板(例えば基板W1)の搬送をセンターロボットCRが開始するタイミング(例えば時刻t1)から次の組の1枚目の基板(例えば基板W5)の搬送をセンターロボットCRが開始するタイミング(例えば時刻t9)までの期間を搬送サイクルという。
【0135】
第1搬送サイクル(時刻t1〜時刻t9)の完了と同時に、センターロボットCRは二組目の基板W5〜W8のための搬送サイクル(第2搬送サイクル)を開始する(時刻t9)。第2搬送サイクル(時刻t9〜時刻t17)では、第1搬送サイクル(時刻t1〜時刻t9)の場合とは異なり、センターロボットCRから洗浄処理ユニットSSへの処理済基板Wの搬入とほぼ同時に、表面洗浄処理ユニットSSからセンターロボットCRへの未処理基板Wの搬出が行われる(時刻t10、t12、t14、およびt16。
図12参照)。また、センターロボットCRから基板載置部PASSへの処理済基板Wの搬入とほぼ同時に、基板載置部PASSからセンターロボットCRへの未処理基板Wの搬出が行われる(時刻t11、t13、およびt15。
図14参照)。
【0136】
第2搬送サイクルの完了と同時に、第3搬送サイクルを開始する(時刻t17)。センターロボットCRは第2搬送サイクルの動作を繰り返し実行することで、並行処理を行う全ての洗浄処理ユニットSS1〜SS4に向けて4枚一組の基板Wを1枚ずつ搬送するとともに、これらの洗浄処理ユニットSS1〜SS4全てから4枚一組の基板Wを1枚ずつ回収する。
【0137】
図18に示す例では、基板搬送1サイクルに要する時間(時刻t1〜時刻t9)と洗浄処理ユニットSS1〜SS4の中で1枚の基板Wが滞在しなければならない時間(必要滞在時間。時刻t2〜時刻t10)とが完全に一致している。このため、基板搬送サイクルと各洗浄処理ユニットSS1〜SS4での基板処理とは完全に同期して進行する。したがって、センターロボットCRおよび洗浄処理ユニットSS1〜SS4のいずれでも待ち時間は発生していない。なお、必要滞在時間とは、洗浄処理ユニットSS(SSR)への基板Wの搬入動作が開始してから、該ユニットSS(SSR)からの基板Wが搬出可能な状態になるまでの時間である。必要滞在時間は、1つの洗浄処理ユニットSS(SSR)の中で基板Wに対して基板処理を実行する時間に、基板搬入と基板搬出とに要する時間とを加えた時間とほぼ等しい。したがって、必要滞在時間は、既述したフローレシピFR1を参照して求めることができる。
【0138】
ところで、基板搬送1サイクルに要する時間と、各洗浄処理ユニットSS(SSR)での必要滞在時間とが一致しないことがある。
【0139】
基板搬送1サイクルに要する時間が必要滞在時間よりも長くなると搬送律速状態となる。この状態では、基板処理が完了した基板Wが洗浄処理ユニットSS(SSR)からの搬出を待機する時間が発生する。
【0140】
一方、必要滞在時間が基板搬送1サイクルに要する時間よりも長くなるとプロセス律速状態となる。この状態では、センターロボットCRが洗浄処理ユニットSS(SSR)にアクセス可能となってから実際に基板搬入出を開始するまで待機しなければならない時間が発生する。
【0141】
並行処理数が多ければ多いほど基板処理装置1のスループットが向上するため、通常は、並行処理ユニット数をできるだけ増やして搬送律速状態となるように基板搬送スケジュールが作成される。但し、この場合、基板処理が完了したにもかかわらず基板Wが洗浄処理ユニットSS(SSR)から搬出できない状態が発生することがある。
【0142】
図5を用いて既述したように、各洗浄処理ユニットSS(SSR)では、基板Wに対して洗浄処理・リンス処理・乾燥処理が順番に実行される。乾燥処理が行われた基板Wは洗浄処理ユニットSS(SSR)からできるだけ早く搬出することが望ましい。洗浄処理ユニットSS(SSR)内部に浮遊する洗浄液などのミストが乾燥処理が行われた基板Wの表面(裏面)に対して付着して基板Wの表面(裏面)を再汚染するおそれがあるためである。
【0143】
図19は搬送律速状態のタイムチャートである。基板搬送1サイクルに要する時間(時刻t1〜t9までの期間)は、必要滞在時間(時刻t2〜時刻t9までの期間)よりも長くなっている。このため、各洗浄処理ユニットSS1〜SS4で搬出待機時間(時刻t9〜時刻t10、時刻t11〜時刻t12、時刻t13〜時刻t14、時刻t15〜時刻t16など)が発生している(
図19等のタイムチャートでは搬出待機時間が発生した洗浄処理ユニットSSの時間区間に着色を施している)。これらの搬出待機時間が必要以上に長くなると、洗浄液のミスト等が乾燥処理後の基板Wに再付着して基板Wの洗浄品質を劣化させるおそれがある。但し、搬出待機時間が発生したからといって直ちに基板Wの洗浄品質が劣化するわけではない。搬出待機時間がごく短期間であれば許容できる程度のミストしか基板に付着しないからである。したがって、搬出待機時間に対しては所定の許容値を設定することが可能である。搬出待機時間の許容値は、洗浄処理ユニットSS(SSR)内部のミストの量や要求される基板の洗浄品質、あるいは作業者による指定に基づいて設定することができる。
<4.基板処理>
【0144】
次に、本実施形態における基板処理の流れを
図20のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、図示しないホストコンピュータから制御部60にジョブが与えられる(ステップST1)。
【0145】
スケジュール機能部71は記憶装置64からジョブによって指定されるフローレシピFRを読み出す(ステップST2)。スケジュール機能部71は並行して動作させる洗浄処理ユニットSS(SSR)の数(並行ユニット数という。)をフローレシピFRを参照して設定する(ステップST3)。並行ユニット数は搬送律速状態となるように設定される。搬送律速状態は、基板搬送1サイクルに要する時間が洗浄処理ユニットSS(SSR)での必要滞在時間を上回ると出現する。基板搬送1サイクルに要する時間は並行ユニット数と必要滞在時間とに基づいて算出することができる。必要滞在時間は、既述したようにフローレシピFRに記載されたユニットレシピ番号を参照することにより取得することができる。したがって、スケジュール機能部71は、フローレシピFRを参照することにより並行ユニット数を設定することができる。
【0146】
次に、スケジュール機能部71は、ステップST2で設定された並行ユニット数を上回らない範囲で、スケジュール設定時点において使用可能な洗浄処理ユニットSS(SSR)の中から実際に使用する洗浄処理ユニットSS(SSR)を選択する(ステップST4)。
【0147】
スケジュール機能部71は、ステップST2で読み出したフローレシピFRと、フローレシピFRに含まれるレシピ番号で特定される具体的なユニットレシピ(既述したように記憶装置64内のユニットレシピデータベースUDBに記憶されている)の内容と、ステップST4で選択された洗浄処理ユニットSS(SSR)とに基づいてスケジュールデータSDを作成する(ステップST5)。スケジュールデータSDは、基板処理装置1の動作を時系列で記述したデータである。ここでは、
図19に示すようなスケジュールデータSDが作成されたとする。
【0148】
スケジュール機能部71はステップST5で作成されたスケジュールデータを参照して、並行処理に使用される洗浄処理ユニットSS(SSR)での搬出待機時間を計算する(ステップST6)。次に搬出待機時間が許容値を超える洗浄処理ユニットSS(SSR)が発生しないか確認する(ステップST7)。許容値は基板処理装置1の固有の値として記憶装置64が予め記憶している(
図11参照)。但し、許容値の値は基板処理の内容にも依存するためフローレシピFRに記述しておいてもよい。例えば洗浄液のミストを多量に発生させる基板処理や特に高品質な洗浄性能が要求される基板処理の場合には、比較的短い時間の許容値を設定してもよい。逆に、洗浄液のミストが少量しか発生しない基板処理や洗浄性能の要求レベルが高くない基板処理の場合には比較的長い時間の許容値を設定してもよい。許容値の値は、洗浄処理ユニットSS(SSR)毎に同一でもよいし異なっていてもよい。例えば、表面洗浄処理ユニットSSよりも裏面洗浄処理ユニットSSRの方がより多量のミストを発生させることが通例のため、前者よりも後者の方が比較的短い時間の許容値を設定してもよい。
【0149】
ステップST7において、「Yes」と判断された場合には、ステップST8に遷移して並行ユニット数の再設定が行われる。ここでは、並行ユニット数の数が1つ減らされる。これにより搬出待機時間が短縮される。そして、既述したステップST4〜ST7までの工程が再度実行される。
【0150】
図21は
図19に示す基板処理スケジュールにおける並行ユニット数を「4」から「3」に減じた場合のタイムチャートである。並行ユニット数を減じることにより搬送律速状態からプロセス律速状態に変化し、それによって各洗浄処理ユニットSS1〜SS3での搬出待機時間はゼロになっている。逆に、センターロボットCR(ハンド15b)の側で、洗浄処理ユニットSSにアクセス可能になってから実際に基板搬送(または搬出)を開始するまで待機しなければならない待機時間が発生している(時刻t8〜時刻t9。時刻t15〜時刻t16)。
【0151】
したがって、ステップST7は「No」となり、ステップST9に移行する。
【0152】
なお、
図19と
図21とを用いて説明した例では並行ユニット数を減じることにより搬送律速状態からプロセス律速状態に変化している。しかし、搬送律速状態であっても、ステップST7が「No」となることは可能である。したがって、搬送律速状態であっても、搬出待機時間が許容値を超えないように基板処理スケジュールを作成することは可能である。
【0153】
ステップST9では、スケジュールデータSDが確定され、記憶装置64(
図11参照)に記憶される。
【0154】
そして、処理実行部72は確定されたスケジュールデータSDに基づいて基板処理装置1の各要素を作動させて複数の基板Wの基板処理を順次実行させる(ステップST10)。
【0155】
第1実施形態では、基板処理が実行され始めた後にはスケジュールデータSDの更新を行わないものであったが、以下に説明する第2実施形態のように、基板処理の実行と並行してスケジュールデータSDの更新を逐次実行するようにしてもよい。第2実施形態では、新たな基板搬送サイクルを開始するタイミングで並行ユニット数を見直すフィードバック制御を行う。
【0157】
図22は第2実施形態に係る基板処理の流れを説明するフローチャートである。第2実施形態の特徴は、基板処理が開始された後に並行ユニット数を見直すようにしたことにある。
【0158】
第2実施形態に係る基板処理では、第1実施形態と同様に、ステップST1〜ST9までの処理によりスケジュールデータSDが確定された後、処理実行部72が基板処理を開始する(ステップST10)。ここでは、並行処理ユニット数=「3」とされ、洗浄処理ユニットSS1〜SS3が並行処理に使用される基板処理スケジュールが作成されたとする。すなわち、
図23のタイムチャートのように洗浄処理ユニットSS1〜SS3が用いられて第1搬送サイクルが実行される。第1搬送サイクルでは、3枚の基板W1、W2、W3が3つの洗浄処理ユニットSS1〜SS3で並行して処理される。
【0159】
第2搬送サイクルを開始するタイミング(時刻t7)が到来する直前に(ステップST11で「Yes」に移行した時点で)、並行ユニット数の変更要否が判断される(ステップST12)。ここでは、以下のような考え方で並行ユニット数の変更要否が判断される。
【0160】
ステップST12では、並行ユニット数を「4」に変更して第2基板搬送サイクルを実行した場合を想定し、その場合における各洗浄処理ユニットSS1〜SS4での搬出待機時間を計算する。仮に、洗浄処理ユニットSS1〜SS4を用いても搬出待機時間が許容値を上回らないことが確認された場合には並行使用する洗浄処理ユニットの数を「3」から「4」に増やし、スケジュールデータを更新する(ステップST13)。
【0161】
この場合、第2搬送サイクルの1枚目の基板W4は
図23の矢印A1のように、時刻t9にハンド15bから洗浄処理ユニットSS1に搬送される代わりに、矢印A2のようにハンド15bから洗浄処理ユニットSS4に搬送される。そして、第2搬送サイクルの残りの三枚の基板W5、W6、W7が洗浄処理ユニットSS1、SS2、SS3に順次搬送される。このように、第2搬送サイクルでは、4つの洗浄処理ユニットSS4、SS1、SS2、SS3を用いた並行処理が行われる。
【0162】
このように第2実施形態では、各搬送サイクル毎に搬出待機時間が許容値を超えない限度でできるだけ多くの洗浄処理ユニットSS(SSR)を用いて並行処理を実行するようにしているため、高いスループットを維持しつつ、処理済基板の再汚染を有効に防止することが可能となる。
【0164】
次に、
図24〜
図28を用いて、第3実施形態を説明する。第3実施形態は第2実施形態と同様に実際の基板処理と並行してスケジュールデータSDの変更可能性を逐次検討するものである。第3実施形態では、先行するジョブ(第1ジョブ。パターン1「表面洗浄のみ」)の実行中に次のジョブ(第2ジョブ。パターン3「両面洗浄(裏面→表面)」の表面洗浄工程部分。)がホストコンピュータから制御部60に与えられる。
【0165】
図24および
図25は、第1ジョブから次の第2ジョブに切り替わる際の基板処理のタイムチャートの一例である。図示の都合上、1つのタイムチャートを
図24と
図25とに分割して示している(
図24:時刻t0から時刻t22までの工程部分、
図25:時刻t22から時刻t34の工程部分)。このタイムチャートでは、まず、第1ジョブの最後の一組の基板W1〜W4の各洗浄処理ユニットSS1〜SS4への搬送工程(第1ジョブの最終搬送サイクル)が行われる(
図24の時刻t1〜t10)。続いて、基板W1〜W4の各洗浄処理ユニットSS1〜SS4からの回収工程(第1ジョブの最終回収サイクル)と第2ジョブの最初の一組の基板W5〜W8の各洗浄処理ユニットSS1〜SS4への搬送工程(第2ジョブの第1搬送サイクル)とが並行して行われる(
図24の時刻t10〜時刻t22)。続いて、第2ジョブの第2搬送サイクル(
図25の時刻t22〜時刻t34)が実行される。
【0166】
第1ジョブは
図15におけるパターン1「表面洗浄のみ」のパターンの基板処理に対応するジョブである。「表面洗浄のみ」のパターン場合、洗浄処理ユニットSSで処理された基板Wは、センターロボットCRのハンド13bによって取り出され(
図15の処理区画S5からS6への移行。
図24の時刻t2)、基板載置部PASS1に対向する位置まで移動する(
図15の処理区画S6。
図24の時刻t2〜t3の期間)。その後、この基板Wは基板載置部PASS1に受け渡される(
図15の処理区画S6からS11への移行。
図24の時刻t3)。
【0167】
これとほぼ同時刻に、基板載置部PASS3に載置されていた未処理基板W2がセンターロボットCRのハンド15bによって取り出される(
図15の処理区画S3からS4への移行。
図24の時刻t3)。その後、センターロボットCRは洗浄処理ユニットSSに対向する位置まで移動する(
図15の処理区画S4。
図24の時刻t3〜t4の期間)。
【0168】
このようにセンターロボットCRは、洗浄処理ユニットSSと基板載置部PASS1・PASS3との間を往復移動する(
図24の時刻t2〜時刻t4の期間)。
【0169】
基板載置部PASS1とPASS3とは上下方向に近接している(
図14参照)。このため、ハンド13bにより処理済基板Wを基板載置部PASS1に受け渡した後、ハンド15bにより未処理基板Wを基板載置部PASS3から取り出す間に、センターロボットCRは上下方向に大きく移動する必要がない。したがって、センターロボットCRは洗浄処理ユニットSSと基板載置部PASS1・PASS3との間を比較的高速に往復移動することになる。
【0170】
一方、第2ジョブは
図15におけるパターン3「両面洗浄(裏面→表面)」の表面洗浄工程部分の基板処理に対応するジョブである。この工程部分では、洗浄処理ユニットSS(
図15の処理区画S9)で処理された基板W5は、センターロボットCRのハンド13bによって取り出され(
図15の処理区画S9からS10への移行。
図25の時刻t23)、基板載置部PASS1に対向する位置まで移動する(
図15の処理区画S10。
図25の時刻t23〜時刻t24の期間)。その後、この基板W5は基板載置部PASS1に受け渡される(
図15の処理区画S10からS11への移行。
図25の時刻t24)。
【0171】
その後、センターロボットCRは、反転ユニットRT1に対向する高さ位置まで上昇する。引き続いて、反転ユニットRT1に載置されていた基板W10がセンターロボットCRのハンド15bによって取り出される(
図15の処理区画S7からS8への移行。
図25の時刻t25)。その後、センターロボットCRは洗浄処理ユニットSSに対向する位置まで移動する(
図16の処理区画S8。
図25の時刻t25〜t26の期間)。このように、センターロボットCRは、洗浄処理ユニットSSと反転ユニットRT1・基板載置部PASS1との間を往復移動する(
図25の時刻t23〜t26の期間)。
【0172】
基板載置部PASS1と反転ユニットRT1とは上下方向に離れた別の部材である(
図2参照)。このため、ハンド13bが基板Wを基板載置部PASS1に受け渡した後、ハンド15bが基板Wを反転ユニットRT1から取り出す間に、センターロボットCRは上下方向に大きく移動する必要がある(
図25の時刻t24〜t25の期間)。したがって、センターロボットCRは洗浄処理ユニットSSと反転ユニットRT1・基板載置部PASS1との間を比較的長い時間をかけて往復移動することになる。
【0173】
以上のように、センターロボットCRが中継部50(反転ユニットRT1、PASSおよび反転受渡ユニットRT2)と洗浄処理ユニットSSとの間の往復移動するのに要する時間は第2ジョブの方が第1ジョブよりも長くなっている。
【0174】
センターロボットCRが中継部50と洗浄処理ユニットSSとの間の往復移動に要する時間が一定であると仮定した場合、基板待機時間の長さは洗浄処理ユニットSS毎に異なることがない。しかし、センターロボットCRが中継部50と洗浄処理ユニットSSとの間の往復移動に要する時間が長くなると、搬出待機時間の長さは、基板搬出が後の洗浄処理ユニットSSほど長くなっていく。
【0175】
例えば、1個目の洗浄処理ユニットSS1での搬出待機時間は
図24の時刻t10から時刻t11までの期間であるが、2個目の洗浄処理ユニットSS2での搬出待機時間は時刻t12から時刻t14までの期間、3個目の洗浄処理ユニットSS3での搬出待機時間は時刻t14から時刻t17までの期間、4個目の洗浄処理ユニットSS4での搬出待機時間は時刻t16から時刻t20までの期間と、基板搬出が後の洗浄ユニットSSほど、搬出待機時間が長くなっている。
【0176】
このような搬出待機時間の延長は並行ユニット数の数に比例して大きくなる。したがって、基板搬出が後の基板処理ユニットSSほどユニット内のミストに長くさらされて基板Wの洗浄品質が低下してしまうおそれがある。
【0177】
そこでこの第3実施形態では、前のジョブの最終搬送サイクルを実行する前に、前のジョブの最終搬送サイクルと次のジョブの第1搬送サイクルとを並行して実行した場合の前のジョブに係る基板の搬出待機時間を予測する。そして、前のジョブに係る基板の搬出待機時間が所定の許容値を上回ると予測された場合には前のジョブの最終回収サイクルの内容を変更する。具体的には、前のジョブの最終回収サイクルと同時に実行される次のジョブの第1搬送サイクルにおける並行ユニット数を減少させる。
【0178】
図26は、第3実施形態に係る基板処理の流れを説明するフローチャートである。ステップST1〜ST9までは既述した第2実施形態に係る処理の流れと同一であるので説明を省略する。第3実施形態では、スケジュール機能部71は、処理実行部72による基板処理の実行(ステップST10)と並行して、新しいジョブの追加を監視している(ステップST11)。そして、新しいジョブが追加されると、ステップST12に移行する。ステップST12では、既述したステップST2〜ST9の工程を行うことにより次のジョブを実行するためのスケジュールデータSDを仮確定する。
図24の例では並行処理ユニット数=「4」に設定して追加されたジョブ(第2ジョブ)のための基板処理スケジュールが作成される。
【0179】
次に、スケジュール機能部71は、実行中のジョブ(第1ジョブ)の最終搬送サイクルで搬送された基板の最終回収サイクルと次のジョブ(第2ジョブ)の第1搬送サイクルとを並行して実行した場合のスケジュールデータSDを作成する。これにより、
図24の時刻t10〜時刻t22までの基板搬送スケジュールが作成される。この期間では、第1ジョブ用の基板W1〜W4の基板載置部PASS1への回収と並行して、第2ジョブ用の第1搬送サイクルの基板W5〜W8が洗浄処理ユニットSS1〜SS4に順番に供給されている。
【0180】
次に、スケジュール機能部71はステップST12で作成したスケジュールデータSDを参照して、時刻t10〜時刻t22までの間に、搬出待機時間が許容値を超える洗浄処理ユニットSSが発生するか判断する(ステップST14)。搬出待機時間が許容値を超える洗浄処理ユニットSSが存在しない場合には、ステップST14が「No」となってステップST10に移行し、ステップST12およびステップST13で作成したスケジュールデータSDに従って第1ジョブの最終回収サイクルと第2ジョブの第1搬送サイクルとを同時に実行する。
【0181】
一方、ステップST14が「Yes」と判断された場合には、第2ジョブの第1搬送サイクルにおける並行処理ユニット数を減少させて第1ジョブの最終回収サイクルを変更する(ステップST15)。例えば、
図27に示すように、第2ジョブの第1搬送サイクル(時刻t10〜時刻t20)の並行処理ユニット数が「4」から「2」に減少される。これにより、第1ジョブの最終回収サイクルにおける基板処理が変更される。
【0182】
具体的には、
図24に示す元々の基板処理スケジュールによれば、第1ジョブに係る基板W2がPASS1に搬送(時刻t15)された後、第2ジョブの第1搬送サイクルの3枚目の基板W7を反転ユニットRT1から搬送していた(時刻t16)。これに対して、
図27に示す基板処理スケジュールでは、第1ジョブに係る基板W2がPASS1に搬送(時刻t15)された後、第2ジョブの基板W7の搬送を開始する代わりに、第1ジョブの最終回収サイクルの3枚目の基板W3を洗浄処理ユニットSS3から回収する(
図27の時刻t16)ようにスケジュールを変更する。
【0183】
また、第2ジョブの第1搬送サイクルの4枚目の基板W8を反転ユニットRT1から搬送する(
図24の時刻t19)する代わりに、第1ジョブの最終回収サイクルの4枚目の基板W4を洗浄処理ユニットSS4から回収する(
図27の時刻t18)ように変更する。
【0184】
このように第1ジョブの最終回収サイクルが変更され、第1ジョブの最終回収サイクルの3枚目の基板W3および4枚目の基板W4の回収タイミングを前倒しして実行することにより、洗浄処理ユニットSS3およびSS4での搬出待機時間を減少させることができる。これにより、当該ユニットSS3およびSS4での基板W3およびW4の洗浄品質の低下を抑制または防止することができる。
【0185】
次に、このようなステップST15での第1ジョブの最終回収サイクルの変更に対応するように、ステップST13で作成された第2ジョブの基板処理スケジュールが修正される(
図25のステップST16)。そして、このようにして確定したスケジュールデータSDに従って、第1ジョブの最終回収サイクルと並行して第2ジョブの第1搬送サイクルが実行され(時刻t10〜時刻t20)、続いて、第2ジョブの第2搬送サイクル(時刻t20〜時刻t32)および第2ジョブの第3搬送サイクル(時刻t32〜時刻t45)が順次実行される(ステップST10)。
【0186】
以上のように、第1乃至第3実施形態に係る基板処理装置では、基板処理後の基板Wを不必要に長い時間、洗浄処理ユニットSS(SSR)内に放置することが防止できる。このため、洗浄処理ユニットSS(SSR)内の洗浄液のミスト等に基板Wを長時間さらすことがない。このため、高い基板処理性能を確保することができる。
【0187】
特に、第2および第3実施形態に係る基板処理装置のように、基板処理と並行して基板処理スケジュールを修正するものだと、基板処理スケジュールの内容を常に更新することが可能である。
【0188】
また、第3実施形態に係る基板処理装置によれば、ジョブが切り替わるタイミングにおいて前のジョブに係る洗浄処理後の基板が洗浄処理ユニット内に長時間放置されることを防止することができる。
【0189】
なお、第1乃至第3実施形態では、センターロボットCRが未処理基板W1枚および処理済基板W1枚を搬送するものとして説明したが、センターロボットCRが未処理基板Wを2枚、処理済基板Wを2枚同時に搬送する場合(
図7参照)であっても、本発明は実施可能である。
【0190】
また、第1乃至第3実施形態において、基板処理装置1としてスクラブ洗浄処理装置を例にスケジュールを作成する構成を説明したが、本発明における基板処理装置1はスクラブ洗浄処理装置に限られるものではく、ブラシ洗浄を伴わない枚葉基板洗浄装置や、冷却処理装置や乾燥処理装置など種々の基板処理装置に用いることが可能である。