(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。尚、以下の説明において、「インタフェース」のことを「I/F」と略記することがある。
【0012】
図1に実施形態として示す監視システム1(監視カメラシステム)の概略的な構成を示している。同図に示すように、監視システム1は、複数の拠点2の夫々に設けられた監視カメラ3(監視装置)、複数の拠点2の夫々に設けられたVPNルータ4(通信装置)、各拠点2に設けられ、監視カメラ3とVPNルータ4とを通信可能に接続するローカル通信網5、各拠点2から遠隔した場所に存在する監視制御センタ6に設けられた監視制御装置7、及び監視制御装置7とVPNルータ4とを通信可能に接続する広域ネットワークであるグローバル通信網8を含む。尚、本実施形態では、3つの拠点2A,2B,2Cと1つの監視制御センタ6とがグローバル通信網8を介して接続して構成される監視システム1を一例として説明するが、拠点2や監視制御センタ6の数は必ずしもこれに限定されない。
【0013】
同図に示すように、拠点2Aには3台の監視カメラ3Aa,3Ab,3Acと1台のVPNルータ4Aが、拠点2Bには3台の監視カメラ3Ba,3Bb,3Bcと1台のVPNルータ4Bが、拠点2Cには3台の監視カメラ3Ca,3Cb,3Ccと1台のVPNルータ4Cが、夫々設けられている。尚、各拠点2に設けられる監視カメラ3の数やVPNルータ4の数は必ずしもこれに限定されない。
【0014】
拠点2は、監視カメラ3の撮影対象が存在する場所や区域である。例えば、監視システム1が地域に点在するコンビニエンスストア等の複数の店舗の遠隔監視等を目的として構築されたものであれば各店舗が拠点2に相当する。また監視システム1が駅構内の遠隔監視を目的として構築されたものであれば各駅が拠点2に相当する。また監視システム1が高層ビルの各フロアの遠隔監視を目的として構築されたものであれば各フロアが拠点2に相当する。
【0015】
グローバル通信網8は、無線又は有線方式の通信ネットワークであり、例えば、インターネット、携帯電話網、専用IP網等である。後述するように、監視制御装置7と拠点2のVPNルータ4とはグローバル通信網8を介してVPN(Virtual Private Network)を構成し、これにより監視制御装置7と拠点2のVPNルータ4及び監視カメラ3との間では安全に(セキュアに)通信を行うことができる。尚、本実施形態ではグローバル通信網8はインターネットであるものとする。またグローバル通信網8を介して通信する装置には、ネットワークアドレスとしてIPアドレス(IPv4又はIPv6)(以下、グローバルアドレスとも称する。)が付与されているものとする。
【0016】
ローカル通信網5は、無線又は有線方式の通信手段であり、例えば、LAN(Local Area Network)である。尚、本実施形態では、ローカル通信網5はLANであるものとする。またローカル通信網5を介して通信する装置には、ネットワークアドレスとしてIPアドレス(IPv4又はIPv6)(以下、ローカルアドレスとも称する。)が付与されているものとする。
【0017】
図2に監視カメラ3が備える主なハードウエアを示している。同図に示すように、監視カメラ3は、中央制御装置31(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等)、記憶装置32(RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non Volatile RAM)等)、各種センサ33(動体検知センサ(モーションセンサ)、温度センサ、光センサ、音声センサ、振動センサ、ガスセンサ、放射線センサ、煙センサ等)、通信I/F34(NIC(Network Interface Card)、無線LANモジュール等)、映像取得機構35(光学レンズ、撮像素子(CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary metal−oxide−semiconductor)、画像圧縮デバイス等)、音声取得機構36(コンデンサマイクロフォン等)、及び機械機構37(PTZ(Pan Tilt Zoom)機構、絞り調整機構、レンズ移動機構等)を備える。
【0018】
図3に監視カメラ3が備える主な機能及び監視カメラ3が記憶する主なデータを示している。同図に示すように、監視カメラ3は、映像/音声データ生成送信部311、機械機構制御部312、設定処理部313、及びイベント発生通知処理部314の各機能を備える。尚、これらの機能は、監視カメラ3が備えるハードウエアによって、もしくは、監視カメラ3の中央制御装置31が、記憶装置32に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。同図に示すように、監視カメラ3は、主なデータとして、設定情報351を記憶している。
【0019】
上記機能のうち、映像/音声データ生成送信部311は、映像取得機構35によって取得された映像情報及び音声取得機構36によって取得された音声情報を所定のフォーマットからなるデータ(例えば、ストリーミング形式のデータ(映像データ、音声データ))に変換する。また映像/音声データ生成送信部311は、変換したデータを、グローバル通信網8を介して監視制御装置7に送信する。
【0020】
機械機構制御部312は、能動的に、もしくはグローバル通信網8を介して監視制御装置7から送られてくる制御情報に基づき受動的に、機械機構37を制御する。
【0021】
設定処理部313は、ローカル通信網5を介してVPNルータ4から送られてくる情報やグローバル通信網8を介して監視制御装置7から送られてくる情報に基づき、当該監視カメラ3の設定(機能設定、動作設定等)を行う。設定された情報は記憶装置32に設定情報351として不揮発な状態で記憶される。
【0022】
イベント発生通知処理部314は、各種センサ33から出力される信号を監視することによりイベント(動体検知、警報、装置の稼働状況、センサ(音声、振動、温度(熱)、光、ガス、放射線、煙等)反応通知等)の発生を検知する。またイベント発生通知処理部314は、イベントの発生を検知すると、当該監視カメラ3の識別子(以下、監視カメラIDと称する。)、検知したイベントの種類、イベントが発生した日時等を含んだ情報(以下、イベント発生通知とも称する。)を、グローバル通信網8を介して監視制御装置7に送信する。
【0023】
図4にVPNルータ4が備える主なハードウエアを示している。VPNルータ4は、基本的な動作として、OSI(Open Systems Interconnection)基本参照モデルにおける第1層(物理層)から第3層(ネットワーク層)までの通信に関する制御を行う。同図に示すように、VPNルータ4は、中央制御装置41(CPU、MPU等)、記憶装置42(RAM、ROM、NVRAM等)、ローカル側通信I/F43(イーサネットスイッチ(イーサネット(Ethernet)は登録商標)等)、及びグローバル側通信I/F44(イーサネットスイッチ(イーサネット(Ethernet)は登録商標)等)を備える。VPNルータ4は、例えば、ホームルータ、専用ルータ、複数のネットワークインターフェースを備えるゲートウェイコンピュータなどとして実現される。
【0024】
図5にVPNルータ4が備える主な機能及びVPNルータ4が記憶する主なデータを示している。同図に示すように、VPNルータ4は、通信制御部411、VPN通信部412、及び設定処理部413の各機能を備える。また同図に示すように、VPNルータ4は、主なデータとして、設定情報451を記憶している。
【0025】
上記機能のうち通信制御部411は、グローバルアドレスを用いて行われるグローバル通信網8における通信と、ローカルアドレスを用いて行われるローカル通信網5における通信との間を中継する。具体的には、通信制御部411は、ローカル通信網5で行われる通信に用いられるローカルアドレスとローカルなポート番号との組み合わせと、グローバル通信網8で行われる通信に用いられるグローバルアドレスとグローバルなポート番号との組み合わせとの対応を管理したマッピングテーブル(例えば、NAT(Network Address Translation)テーブル、もしくはNAPT(Network Address Port Translation)テーブル)を記憶装置42に記憶し、グローバル通信網8から受信したパケットのローカル通信網5におけるパケットへの変換もしくはその逆の変換を、マッピングテーブルを利用して行うことにより、グローバル通信網8とローカル通信網5との間の通信を中継する。
【0026】
VPN通信部412は、監視制御装置7との間で、グローバル通信網8を介してVPNを構成する。これによりVPNルータ4と監視制御装置7との間、及び監視カメラ3と監視制御装置7との間でVPN通信が可能になる。
【0027】
設定処理部413は、グローバル通信網8を介して監視制御装置7から送られてくる情報に基づき、当該VPNルータ4の設定(機能設定、動作設定等)を行う。設定された情報は記憶装置42に設定情報451として不揮発な状態で記憶される。
【0028】
図6に監視制御装置7が備える主なハードウエアを示している。監視制御装置7は、中央制御装置71(CPU、MPU等)、記憶装置72(RAM、ROM、NVRAM、ハードディスク(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード等)、計時装置73(RTC(Real Time Clock)等)、ユーザI/F74(入力装置(キーボード、マウス、タッチパネル等)、表示装置(GPU(Graphics Processing Unit)、液晶ディスプレイ)、音声出力装置(スピーカ等))等)、及び通信I/F75(NIC等)を備える。監視制御装置7は、例えば、パーソナルコンピュータやセットトップボックスとモニタを組み合わせたシステム、専用アプライアンスなどとして実現される。
【0029】
図7に監視制御装置7が備える主な機能及び監視制御装置7が記憶する主なデータを示している。同図に示すように、監視制御装置7は、オペレーティングシステム700、仮想マシン管理部710、仮想マシン711、及びイベントサブスクライバ721の各機能を備える。これらの機能は、監視制御装置7が備えるハードウエアによって、もしくは、監視制御装置7の中央制御装置71が、記憶装置72に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。同図に示すように、監視制御装置7は、主なデータとして、リソース情報テーブル751、イベントリスト752、出力スケジュール753、及び最大同時起動可能数754を記憶している。
【0030】
上記機能のうち、オペレーティングシステム700は、監視制御装置7に導入される各種アプリケーションソフトウエア(以下、アプリケーションとも称する。)に対して監視制御装置7が備えるハードウエアを抽象化したインタフェースを提供する。
【0031】
仮想マシン管理部710は、監視制御装置7のハードウエアに基づき仮想マシン711の実行環境を実現する仮想化ソフトウエアとして機能する。仮想マシン管理部710は、オペレーティングシステム700のミドルウエアとして動作する、いわゆるホスト型のソフトウエアとして実現されるものであってもよいし、オペレーティングシステム700とは独立して監視制御装置7のハードウエア資源を利用する、いわゆるハイパーバイザ型のソフトウエアとして実現されるものであってもよい。本実施形態では、仮想マシン管理部710は、前者のホスト型のソフトウエアとして実現されているものとする。
【0032】
仮想マシン管理部710は、各拠点2に対応する仮想マシン711の管理(起動状態(起動、サスペンド、終了等)の制御、設定、監視等)を行う。本実施形態では、仮想マシン管理部710は、拠点2Aに対応する仮想マシン711として「仮想マシンA」を、拠点2Bに対応する仮想マシン711として「仮想マシンB」を、拠点2Cに対応する仮想マシン711として「仮想マシンC」を管理するものとする。仮想マシン711に関する情報は、リソース情報テーブル751に管理されている。リソース情報テーブル751の内容は、例えば、監視制御装置7の管理者等により設定される。
【0033】
図8にリソース情報テーブル751の一例を示している。同図に示すように、リソース情報テーブル751は、拠点ID7511、VPNルータのグローバルアドレス7512、仮想マシンID7513、及び監視カメラID7514の各項目を対応づけた、拠点2ごとの複数のレコードで構成されている。このうち拠点ID7511には、拠点2の識別子(以下、拠点IDとも称する。)が設定される。VPNルータのグローバルアドレス7512には、当該拠点2に設けられているVPNルータ4に付与されているグローバルアドレスが設定される。仮想マシンID7513には、当該拠点2に対応する仮想マシンの識別子(以下、仮想マシンIDとも称する。)が設定される。監視カメラID7514には、当該拠点2に設けられている監視カメラ3の監視カメラIDが設定される。
【0034】
図7に示すように、仮想マシン711には、VPN構成部7111、情報出力部7112、及び設定処理部7113の各機能を実現するソフトウエアが導入(インストール)されている。尚、上記各機能は、例えば、既存の監視カメラシステムのクライアント装置に導入されるアプリケーションを利用して実現することもできる。
【0035】
このうちVPN構成部7111は、当該仮想マシン711に対応づけられている拠点2に設けられているVPNルータ4との間でVPNを構成する。仮想マシン711は、対応する拠点2に設けられているVPNルータ4もしくはこれにローカル通信網5を介して通信可能に接続している監視カメラ3との間で、上記VPNにより相互通信を行う。情報出力部7112は、当該仮想マシン711に対応づけられている拠点2に設けられている監視カメラ3から送られてくるデータ(映像データ、音声データ)に基づき、映像や音声を出力する。設定処理部7113は、当該仮想マシン711に対応づけられている拠点2に設けられている監視カメラ3やVPNルータ4の管理(設定、監視、制御等)を行う。
【0036】
イベントサブスクライバ721は、グローバル通信網8を介して監視カメラ3から送られてくるイベント発生通知の受信を待機する。イベントサブスクライバ721は、監視カメラ3からイベント発生通知を受信すると、その旨を仮想マシン管理部710に通知する。尚、監視カメラ3には、例えば、グローバル通信網8を介してイベントサブスクライバ721にイベント発生通知を直接送信する設定がなされる(イベントサブスクライバ721に対するイベントの購読設定)。
【0037】
仮想マシン管理部710は、イベントサブスクライバ721が監視カメラ3からイベント発生通知を受信したか否かをリアルタイムに監視している。仮想マシン管理部710は、イベントサブスクライバ721が監視カメラ3からイベント発生通知を受信したことを検知すると、受信したイベント発生通知に関するイベント(イベント発生通知の内容から特定されるイベント)が、イベントリスト752に登録されている特定のイベント(以下、対象イベントとも称する。)であるか否かを判定する。
【0038】
図9にイベントリスト752の一例を示している。同図に示すように、イベントリスト752は、監視カメラID7521、仮想マシンID7522、及び対象イベント7523の各項目を対応づけた、監視カメラ3ごとの複数のレコードで構成されている。このうち監視カメラID7521には、監視カメラIDが設定される。仮想マシンID7522には、当該監視カメラ3が設けられている拠点2に対応する仮想マシンIDが設定される。対象イベント7523には、対象イベントの種類を示す情報(動体検知、センサの種類等)が設定される。
【0039】
仮想マシン管理部710は、受信したイベント発生通知に関するイベントがイベントリスト752に登録されていた場合、受信したイベント発生通知に含まれている監視カメラIDとリソース情報管理テーブル751とによって特定される、当該イベント発生通知を送信した監視カメラ3が存在する拠点2に対応する仮想マシン711が現在、サスペンド又は停止中であるか否かを判定する。そして対応する仮想マシン711がサスペンド又は停止中であった場合、仮想マシン管理部710は、特定した仮想マシン711を起動する。
【0040】
仮想マシン管理部710は、現在日時と出力スケジュール753とを逐次対照し、各仮想マシン711を起動させるスケジュールが到来したか否かをリアルタイムに監視する。このスケジュールは、例えば、監視制御装置7のユーザI/F74(表示装置)の画面に、複数の拠点2の監視カメラ3の映像が時間経過とともに循環的に切り換えて表示されるように設定される。
【0041】
図10に出力スケジュール753の一例を示している。同図に示すように、出力スケジュール753は、拠点ID7531、仮想マシンID7532、及び出力スケジュール7533の各項目を対応づけた、拠点2ごとの複数のレコードで構成されている。このうち拠点ID7531には、拠点IDが設定される。仮想マシンID7532には、当該拠点2に対応する仮想マシン711の仮想マシンIDが設定される。出力スケジュール7533には、当該拠点2に設けられている監視カメラ3から送られてくる映像を監視制御装置7のユーザI/F74(表示装置)に表示するスケジュールが設定される。尚、出力スケジュール7533の表現形式は同図に示すものに限られず、例えば、「10:00〜10:20」等の他の表現形式でもよい。
【0042】
仮想マシン管理部710は、監視映像を表示するスケジュールが到来した監視カメラ3が存在する場合、当該監視カメラ3が存在する拠点2に対応する仮想マシン711が現在、サスペンド又は停止中であるか否かを判定し、サスペンド又は停止中である場合は当該仮想マシン711を起動する。
【0043】
最大同時起動可能数754には、監視制御装置7において同時に動作させることを許可する仮想マシン711の最大数(以下、最大同時起動可能数とも称する。)が設定される。仮想マシン管理部710は、監視制御装置7において同時に起動している仮想マシン711の数が最大同時起動可能数を超えないように、各仮想マシン711の起動数を制限する。最大同時起動可能数754は、例えば、監視制御装置7の管理者によって監視制御装置7の負荷を大きく増大させないような適切な値に設定される。
【0044】
<モニタ画面>
図11に監視制御装置7が監視カメラ3から送られてくる映像を提供する際にユーザI/F74(液晶ディスプレイ等)に出力する画面(以下、モニタ画面とも称する。)の構成を示している。モニタ画面1100には、最大同時起動可能数754(ここでは「2」としている。)を超えない数の各拠点2に対応するウィンドウ1110(画面枠)が表示される。このモニタ画面1100には、拠点2A(「拠点A」)及び拠点2B(「拠点B」)の夫々に対応する仮想マシン711(仮想マシンA,B)によって生成された2つのウィンドウ1110が表示されている。
【0045】
各ウィンドウ1110には、一つ以上の監視カメラ3から送られてくる映像が表示される一つ以上の映像表示エリア1120と、監視カメラ3やVPNルータ4の管理(設定、制御、監視等)に際して用いられる制御パネル1130とが表示される。後者の制御パネル1130は、仮想マシン711から監視カメラ3やVPNルータ4を管理(個別設定)する際、監視制御装置7の管理者等によって操作又は参照されるユーザI/F(操作入力欄及び情報表示欄等)を含む。
【0046】
=処理説明=
続いて、以上の構成からなる監視システム1において行われる処理について説明する。
【0047】
<初期処理>
図12は監視システム1にて行われる処理のうち、監視制御装置7にて行われる処理(以下、初期処理S1200と称する。)を説明するフローチャートである。初期処理S1200は、例えば、監視システム1の新規導入時、監視カメラ3や拠点2の新規追加時、監視システム1のメンテナンス時(監視カメラ3、VPNルータ4、及び監視制御装置7のファームウエアのバージョンアップ等)等に実行される。以下、同図とともに初期処理S1200について説明する。
【0048】
同図に示すように、初期処理S1200では、まず仮想マシン管理部710が、仮想マシン711を選択して起動する(S1211)。続いて仮想マシン管理部710は、リソース情報テーブル751に基づき、当該仮想マシン711に対応する拠点2のVPNルータ4とVPNを構成するための設定を行う(S1212)。これにより当該仮想マシン711とこれに対応する拠点2のVPNルータ4及び監視カメラ3との間でVPNが構成される。
【0049】
続いて仮想マシン管理部710は、当該仮想マシン711に対応付けられている拠点2に存在するVPNルータ4及び監視カメラ3の設定を行う(S1213)。この設定は、管理者等が当該仮想マシン711に導入されているソフトウエア(以下、設定アプリとも称する。)を利用して対話方式で行ってもよい。またこの設定は、監視制御装置7に予め記憶されている情報等に基づき設定アプリが自動的に行ってもよい。設定の内容としては、例えば、映像/音声データの送信/受信に関するもの、VPNルータ4や監視カメラ3の動作設定や機能設定に関するもの、VPNルータ4や監視カメラ3から通知されるイベントの購読に関するものなどがある。これらの設定は、例えば、監視カメラシステムについて業界内で定められている標準的なプロトコルに従って行われる。監視カメラ3の設定に際し、VPNルータ4が、ローカル通信網5に接続している監視カメラ3を自動検出するようにしてもよい。監視カメラ3に対するイベントの設定はイベントリスト752の内容に基づいて行われる。尚、各監視カメラ3は、例えば、イベントサブスクライバ721に対して、VPNを経由せずに直接、イベントを通知するように設定される。そのため、各監視カメラ3には、イベントの通知先として、監視制御装置7のグローバルアドレスとイベントサブスクライバ721のポート番号が設定される。
【0050】
以上の設定が終了すると、仮想マシン711は、監視カメラ3から送られてくる映像/音声の出力を開始する(S1214)。
【0051】
S1215では、仮想マシン管理部710は、全ての拠点2に対応する仮想マシン711をS1211で選択済か否か判定する。選択済であれば(S1215:YES)、初期処理S1200は終了し、選択済でなければ(S1215:NO)、処理はS1216に進む。
【0052】
S1216では、仮想マシン管理部710は、監視制御装置7において現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達しているか否かを判定する。現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達している場合(S1216:YES)、仮想マシン管理部710は、現在起動中の仮想マシン711のうちの一つをサスペンド又は終了させ(S1217)、その後、処理はS1211に戻る。尚、仮想マシン管理部710は、このときにサスペンド又は終了させる仮想マシン711として、例えば、最も古くに起動したものを選択する。一方、現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達してない場合(S1216:NO)、処理はS1211に戻る。S1211では、仮想マシン管理部710は、未選択の他の仮想マシン711を選択し、選択した仮想マシン711について同様の処理を繰り返す。
【0053】
<稼働中処理>
図13は、初期処理S1200の実行後、監視システム1が実際に稼働(運用)を開始した際に監視制御装置7にて行われる処理(以下、稼働中処理S1300と称する。)を説明するフローチャートである。以下、同図とともに稼働中処理S1300について説明する。
【0054】
仮想マシン管理部710は、監視システム1の稼働中、各拠点2に設けられている監視カメラ3から、グローバル通信網8を介して、前述した対象イベントのイベント発生通知をイベントサブスクライバ721が受信したか否かをリアルタイムに監視している(S1311)。また仮想マシン管理部710は、監視システム1の稼働中、現在日時と出力スケジュール753を対照することにより、仮想マシン711を起動させるスケジュールの到来をリアルタイムに監視している(S1312)。仮想マシン管理部710は、イベントサブスクライバ721が、対象イベントのイベント発生通知を受信したことを検知すると(S1311:YES)、S1313からの処理を行う。また仮想マシン管理部710は、仮想マシン711を起動させるスケジュールが到来したことを検知すると(S1312:YES)、S1313からの処理を行う。尚、S1311の判定とS1312の判定の実行順序は以上とは逆であってもよい。
【0055】
S1313では、仮想マシン管理部710は、S1311にて受信したイベント発生通知を送信した監視カメラ3が存在する拠点2に対応する仮想マシン711、もしくは、S1312にて仮想マシン711を起動させるスケジュールが到来した仮想マシン711(以下、これらのいずれかに相当する仮想マシン711を該当の仮想マシン711と称する。)が、現在起動中であるか否かを判定する。該当の仮想マシン711が現在起動中であれば(S1313:YES)、仮想マシン管理部710は、S1318からの処理を行う。該当の仮想マシン711が現在起動中でなければ(S1313:NO)、仮想マシン管理部710は、S1314からの処理を行う。
【0056】
S1314では、仮想マシン管理部710は、監視制御装置7において現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達しているか否かを判定する。現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達している場合(S1314:YES)、仮想マシン管理部710は、現在起動中の仮想マシン711のうちの一つをサスペンド又は終了させる(S1315)。尚、仮想マシン管理部710は、このときにサスペンド又は終了させる仮想マシン711として、例えば、最も古くに起動したものを選択する。現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達してない場合(S1314:NO)、仮想マシン管理部710は、S1316からの処理を行う。
【0057】
S1316では、仮想マシン管理部710は、該当の仮想マシン711を起動する。S1317では、起動した仮想マシン711が、対応する拠点2の監視カメラ3から送られてくる映像/音声の出力を開始する。
【0058】
S1318では、監視制御装置7は、管理者等が、稼働中処理S1300に対して稼働中処理S1300の終了操作を行ったか否かを判定する。終了操作が行われていなければ(S1318:NO)、監視制御装置7は、再びS1311からの処理を行う。終了操作が行われた場合(S1318:YES)、監視制御装置7は、稼働中処理S1300を終了する。
【0059】
<具体例>
図14に監視制御装置7と各拠点2に設けられている監視カメラ3との間でVPNを介して行われる一連の通信、及びこの一連の通信に伴い監視制御装置7がモニタ画面1100に表示する画面が変化する様子を示している。同図では紙面の上方から下方に向かって時間軸を設定している。本例では仮想マシン711の最大同時起動可能数を「2」としている。
【0060】
同図におけるS1401〜S1403の処理は、前述した初期処理S1200に相当する。即ち、S1401では、拠点2Aに対応する仮想マシン711(仮想マシンA)について、S1402では拠点2Bに対応する仮想マシン711(仮想マシンB)について、S1403では拠点2Cに対応する仮想マシン711(仮想マシンC)について、夫々仮想マシン管理部710が、初期処理S1200を行っている。
【0061】
同図に示すように、S1401の処理が行われることにより、モニタ画面1100に仮想マシンAのウィンドウ1110が1つ表示される(符号81)。またS1402の処理が行われることにより、モニタ画面1100にはさらに仮想マシンBのウィンドウ1110が表示される(符号82)。またS1403の処理が行われることにより、モニタ画面1100には仮想マシンA,Bの夫々に対応する2つのウィンドウ1110が表示される(符号83)。尚、S1403では、仮想マシンCを起動してしまうと最大同時起動可能数を超えてしまうため、仮想マシン管理部710は、仮想マシンAをサスペンド又は終了させてから、仮想マシンCを起動する。尚、仮想マシン管理部710は、サスペンド又は終了させる仮想マシン711として、例えば、最も古くに起動したもの(ここでは仮想マシンA)を選択する。
【0062】
S1404以降の処理は、いずれも前述した稼働中処理S1300に相当する。S1404では、仮想マシン管理部710が、仮想マシンAを起動させるスケジュールが到来したことを検知し、仮想マシンAが現在、サスペンド又は終了状態であること、及び現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達していることを確認し、仮想マシンBをサスペンド又は終了させた後、仮想マシンAを起動する。尚、仮想マシン管理部710は、サスペンド又は終了させる仮想マシン711として、例えば、最も古くに起動したもの(ここでは仮想マシンB)を選択する。これによりモニタ画面1100は符号84で示す状態になる。
【0063】
S1405では、仮想マシン管理部710が、監視カメラ3Bbからの映像/音声の出力スケジュール753の到来を検知する。仮想マシン管理部710は、拠点2Bに対応する仮想マシン711(仮想マシンB)が現在、サスペンド又は終了状態であること、及び現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達していることを確認し、仮想マシンCをサスペンド又は終了させた後、仮想マシンBを起動する。尚、仮想マシン管理部710は、サスペンド又は終了させる仮想マシン711として、例えば、最も古くに起動したもの(ここでは仮想マシンC)を選択する。これによりモニタ画面1100は符号85で示す状態になる。
【0064】
S1406では、仮想マシン管理部710が、イベントサブスクライバ721がイベントリスト752の対象イベント7523に該当するイベントの通知を監視カメラ3Ccから受信したことを検知する。仮想マシン管理部710は、拠点2Cに対応する仮想マシン711(仮想マシンC)が現在、サスペンド又は終了状態であること、及び現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達していることを確認し、仮想マシンAをサスペンド又は終了させた後、仮想マシンCを起動する。尚、仮想マシン管理部710は、サスペンド又は終了させる仮想マシン711として、例えば、最も古くに起動したもの(ここでは仮想マシンA)を選択する。これによりモニタ画面1100は符号86で示す状態になる。
【0065】
S1407では、仮想マシン管理部710が、イベントサブスクライバ721がイベントリスト752のイベントに該当しないイベントの通知を監視カメラ3Ccから受信したことを検知するが、非該当イベントであるので、仮想マシン管理部710は仮想マシン711の起動状態をそのまま維持する(符号86)。
【0066】
S1408では、仮想マシン管理部710が、イベントサブスクライバ721がイベントリスト752のイベントに該当するイベントの通知を監視カメラ3Aaから受信したことを検知する。仮想マシン管理部710は、拠点2Aに対応する仮想マシン711(仮想マシンA)が現在、サスペンド又は終了状態であること、及び現在起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数に達していることを確認し、仮想マシンBをサスペンド又は終了させた後、仮想マシンAを起動する。尚、仮想マシン管理部710は、サスペンド又は終了させる仮想マシン711として、例えば、最も古くに起動したもの(ここでは仮想マシンB)を選択する。これによりモニタ画面1100は符号87で示す状態になる。
【0067】
S1409では、仮想マシン管理部710が、監視カメラ3Ccからの映像/音声の出力スケジュール753の到来を検知する。仮想マシン管理部710は、拠点2Cに対応する仮想マシン711(仮想マシンC)が現在、起動中であることを確認し、仮想マシン711の起動状態をそのまま維持する(符号87)。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態の監視システム1にあっては、監視制御装置7(例えば、監視カメラシステムにおけるクライアント装置相当)で動作する複数の仮想マシン711の夫々が、夫々に対応づけられた拠点2の監視カメラ3とVPNにより通信するので、一台の監視制御装置7により、複数の拠点2に存在する監視カメラ3を、VPNを介して効率よく管理することができる。このため、複数の拠点2に設けられている監視カメラ3を、一台の監視制御装置7により効率よく集中管理することができる。
【0069】
また監視制御装置7は、監視カメラ3から送られてくるイベント発生通知に応じて、複数の仮想マシン711の夫々の起動状態を制御するので、監視制御装置7のリソースを有効に利用して、複数の拠点2に設けられている監視カメラ3を効率よく集中管理することができる。
【0070】
また監視制御装置7は、イベント発生通知を受信した際、現在起動中の仮想マシン711の数が予め設定された最大同時起動可能数に達していれば、現在起動中の仮想マシン711の少なくともいずれかをサスペンド又は停止させた後、受信したイベント発生通知を送信した監視カメラ3が存在する拠点2に対応づけられた仮想マシン711を起動させ、イベント発生通知を受信した際、現在起動中の仮想マシン711の数が予め設定された最大同時起動可能数に達していなければ、現在起動中の仮想マシン711をサスペンド又は停止させることなくイベント発生通知を送信した監視カメラ3が存在する拠点2に対応する仮想マシン711を起動させるので、起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数を超えないように確実に制御することができる。
【0071】
また監視制御装置7は、受信したイベント発生通知が特定のイベント(対象イベント)に関するものである場合にのみ、当該イベント発生通知を送信した監視カメラ3が存在する拠点2に対応づけられている仮想マシン711を起動させるので、仮想マシン711を稼働させて映像/音声を出力する必要のあるイベントが発生した場合にのみ仮想マシン711が起動され、不必要に仮想マシン711が起動されるのを防いで、監視制御装置7のリソースを効率よく利用することができる。
【0072】
また監視制御装置7は現在サスペンド又は停止中の仮想マシン711について出力スケジュール753に規定された日時が到来し、現在起動中の仮想マシン711の数が予め設定された最大同時起動可能数に達していれば、現在起動中の仮想マシン711の少なくともいずれかをサスペンド又は停止させた後、起動させる日時が到来した仮想マシンを起動し、現在起動中の仮想マシン711の数が予め設定された最大同時起動可能数に達していなければ、現在起動中の仮想マシン711をサスペンド又は停止をさせることなく、起動させる日時が到来した仮想マシンを起動させるので、起動中の仮想マシン711の数が最大同時起動可能数を超えないように確実に制御することができる。
【0073】
また以上の仕組みによれば、対象イベントについてのイベントの発生やスケジュールの到来に応じて、その時点で出力する必要性の高い映像/音声が自動的に切り換えられて表示されるので、各時点で必要な情報を確実にユーザに提供することができるとともに、モニタ画面1100の限られた表示スペースを有効に利用することができる。
【0074】
ところで、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0075】
例えば、以上では、映像や音声を監視制御装置7に提供する装置が監視カメラ3である場合について説明したが、映像や音声を監視制御装置7に提供する装置は、例えば、監視カメラ3及びVPNルータ4と通信し、監視カメラ3によって取得された映像データや音声データを記録する、いわゆるレコーダ装置であってもよい。