【0012】
<界面活性剤(B);HLB値12以上20未満の界面活性剤>
(B)成分であるHLB値12以上20未満の界面活性剤は、界面活性剤(A)を水に可溶化し安定化する効果と、水洗時にさっぱりと洗い流す効果を有する。成分(B)としてHLB値が15以上19未満の界面活性剤を一種以上含むとさっぱり感が強まるのでより好ましい。
(B)HLB値12以上20未満の界面活性剤として、具体的には、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
特に、皮膚刺激が少ないクレンジング料を得るためには、細胞毒性の低い界面活性剤を選択する。このような界面活性剤としては、イソステアリン酸と酸化エチレンを付加重合したグリセリンのモノエステルで、酸化エチレンの平均付加モル数は30〜60であるものが好ましい。市販品としては、日本エマルジョン(株)社製のEMALEX GWIS−130(イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル30EO)、EMALEX GWIS−160(イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル60EO)等を入手して用いることができる。
(B)HLB値12以上20未満の界面活性剤は、界面活性剤(A)に対して1/2〜1/4量配合する。1/2量より多いと処方のHLB値が高すぎて十分なクレンジング力が得られない恐れがあり、1/4量より少ないと洗い流し性、安定性が悪くなる恐れがある。
【0013】
<(C)コハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステル>
(C)コハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステルは、コハク酸とエチレングリコールエチルエーテルのジエステルである。
コハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステルは、油剤であって、配合することにより、洗浄対象の化粧料の、様々な剤型に対応できる。
市販品としては、高級アルコール工業(株)社製のハイアクオスターDCS(化粧品表示名称;コハク酸ビスエトキシジグリコール)等を入手して用いることができる。
コハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステルは、水性クレンジング料全量に対し1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%配合することが好ましい。1質量%に満たないとクレンジング効果が不十分になる恐れがある。10質量%を超えて配合するとさっぱりとした使用感が得られなくなる恐れがある。
【実施例】
【0020】
以下に実施例を挙げて、本発明の特徴と効果をさらに詳細に説明する。
本実施例において、まず、界面活性剤について皮膚刺激性の低いものを細胞毒性によりスクリーニングした例を示す。次に選別した界面活性剤を用いて水性クレンジング料を調製しクレンジング力を試験した実施例を示す。さらにまた、水性クレンジング料の皮膚刺激性を評価した実施例を示す。
【0021】
(1)界面活性剤の評価
HLB7〜19の界面活性剤を選択し、細胞毒性試験を行った。参考のため低刺激物と言われている界面活性剤であるTween20の試験も合わせて行った。
[単細胞毒性試験]
正常ヒト線維芽細胞を96穴プレートに3.5×10
4播種し、5日間培養する。コンフルエントの状態で、検体を試験濃度に調整した培地に交換して細胞に暴露させる。24時間暴露後MTTアッセイ法を用いて細胞生存率からEC50(細胞が50%死滅する濃度)を求め評価した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
一般的に低刺激物と言われているTween20のEC50は0.1であった。
【0024】
次に、表1で皮膚刺激性が低いと評価した界面活性剤を用いて水性クレンジング料を調製し、クレンジング力を評価した。
(2)水性クレンジング料の評価
表2に示す組成にて実施例1〜4の水性クレンジング料、比較例1〜4のクレンジング料を調製した。比較例3は界面活性剤を主体とした水性クレンジング料の典型的な処方例であり、比較例4は油性クレンジング料の典型的な処方例である。表3の実施例5〜7、比較例5〜8はコハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステルに着目して様々な濃度に調製した水性クレンジング料である。
【0025】
[調製方法]
成分すべてを常法により混合し、水性クレンジング料を調製した。
【0026】
[評価]
<クレンジング力評価試験>
上腕内側部のφ9mmの領域にマスカラを5mg塗布し、指で上下方向に所定の回数なじませた後、流水で30秒間洗い流した。マスカラは、フィルムマスカラとウォータープルーフマスカラの2種を別々に評価した。フィルムマスカラはスタイリングマスカラb(色番11 ブラック)(株式会社ファンケル製)を使用した。ウォータープルーフマスカラはスポーツビューティ ファシオ カールロックマスカラ(ボリューム)BK001(コーセーコスメニエンス株式会社製)を使用した。ウォータープルーフマスカラの試験では上下方向の移動回数は100回とし、フィルムマスカラの試験では上下方向の移動回数は30回とした。
皮膚に残ったマスカラの状態を下記基準により評価した。
○;落ちる
△;若干マスカラが残る
×;ほとんど落ちない
【0027】
<官能評価試験(洗い流した後の感触)>
試験品を皮膚に塗布し、指で上下方向に30回移動させてなじませた後、水で洗い流した。水洗後の皮膚の感触を下記基準により評価した。
○;残油感がない
×;残油感がある
【0028】
【表2】
【0029】
結果
[皮膚刺激性]
表2の実施例1〜4の水性クレンジング料の細胞毒性試験のEC50値は12〜16であり、極めて皮膚刺激性の低い水性クレンジング料であると判断した。
これに対して、比較例1〜3の水性クレンジング料は、細胞毒性試験のEC50値は0.7〜8.6であり、実施例よりも一桁低い値をとり、低刺激性の水性クレンジング料とは言えないと判断した。
[クレンジング力、残油感]
実施例1〜3の水性クレンジング料は、ウォータープルーフマスカラとフィルムマスカラのいずれもよく落とし、クレンジング力に優れていた。水で洗い流した後の感触も、残油感がなくさっぱりとしており、優れた使用感であった。
これに対して、比較例1および2は、フィルムマスカラは良く落ちたが、ウォータープルーフマスカラは若干落とせず皮膚に残った。比較例3は界面活性剤を主体とした水性クレンジング料の典型的な処方例であるが、フィルムマスカラは落ちたが、ウォータープルーフマスカラを落とすことができなかった。比較例4は油性クレンジング料の典型的な処方例であるが、ウォータープルーフマスカラ、フィルムマスカラも落としたが、水で洗い流した後の残油感があり、さっぱりしなかった。
【0030】
次にコハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステルを種々の濃度に調整した水性クレンジング料について、クレンジング力、残油感を評価した。
結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
<結果>
表3の結果から、(C)のコハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステルは、ウォータープルーフマスカラを落とすことにも寄与しており、その効果を発揮するために有効なコハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステルの配合量は1質量%以上であることがわかった。
また表2の実施例1の細胞毒性試験結果を考慮すると、極めて皮膚刺激性の低い水性クレンジング料であってウォータープルーフマスカラとフィルムマスカラのいずれもよく落とす為にはコハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステルの配合量は1〜5質量%であることが判明した。
【0033】
本発明の構成をとることで、細胞毒性が低く、極めて低刺激性の皮膚に安全な水性クレンジング料が得られた。本発明の水性クレンジング料は、クレンジング効果に優れており、落とす対象物となるメイクアップ化粧料の剤型を選ばない。たとえばマスカラを例にとると、ウォータープルーフタイプ(油性タイプ)のマスカラとフィルムタイプ(水性タイプ)のマスカラのどちらも落とすことができた。
【0034】
以下に本発明の構成を使用した水性クレンジング料の処方例、特性を示す。
処方例1 液状水性クレンジング料
成分 配合量(質量%)
1.トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO) 10
2.イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(30EO) 3
2.イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO) 3
3.コハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステル 2
4.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 0.5
5.ジプロピレングリコール 15
6.1,2−ペンタンジオール 3
7.クエン酸 0.02
8.クエン酸ナトリウム 0.2
9.精製水 残余
得られた液状水性クレンジング料は、クレンジング効果に優れ、皮膚刺激が全くなく安全性に優れていた。
【0035】
処方例2 ジェル状水性クレンジング料
成分 配合量(質量%)
1.トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO) 15
2.イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(30EO) 5
3.コハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステル 3
4.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30クロスポリマー)) 0.3
5.キサンタンガム 0.03
6.水酸化カリウム 0.8
7.ジプロピレングリコール 20
8.精製水 残余
得られたジェル状水性クレンジング料は、クレンジング効果に優れ、皮膚刺激が全くなく安全性に優れていた。