(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298375
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】バルクハンドリング設備における払い出し管理方法及び払い出し管理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 67/60 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
B65G67/60 B
B65G67/60 G
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-148035(P2014-148035)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-23039(P2016-23039A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 正吉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】荒井 晴輝
【審査官】
中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−153025(JP,A)
【文献】
特開平06−127699(JP,A)
【文献】
特開2000−211744(JP,A)
【文献】
特開2013−159468(JP,A)
【文献】
特開2009−196777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00−63/06
B65G 65/00−65/28
B65G 67/00−67/62
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船倉内のバラ物をニューマチックアンローダにて荷揚げすると共にこれを、払い出し位置に設けたホッパからバラ物貯蔵サイロ間を往復移動する搬送車両に払い出すためのバルクハンドリング設備における払い出し管理方法であって、
前記バラ物の払い出しを待つ待機車両の待機状態を監視し、かつ、前記ニューマチックアンローダでの荷揚げ能力を測定し、前記待機車両の待機状態と前記荷揚げ能力をマッチングさせるように前記荷揚げ能力を調節することを特徴とするバルクハンドリング設備における払い出し管理方法。
【請求項2】
船倉内のバラ物をニューマチックアンローダにて荷揚げすると共にこれを、払い出し位置に設けたホッパからバラ物貯蔵サイロ間を往復移動する搬送車両に払い出すためのバルクハンドリング設備における払い出し管理システムであって、
前記バラ物の払い出しを待つ待機車両の待機状態を監視する車両監視センサと、前記ニューマチックアンローダの荷揚げ能力を測定するバラ物計量センサと、記搬送車両の待機状態と前記荷揚げ能力をマッチングさせるように前記荷揚げ能力を調節する制御装置とを備えることを特徴とするバルクハンドリング設備におけるトラック払い出し管理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記バラ物の物性が入力され、バラ物計量センサからの荷揚量を基にニューマチックアンローダの荷揚能力を、待機車両の待機状態に合わせて制御する請求項2に記載のバルクハンドリング設備におけるトラック払い出し管理システム。
【請求項4】
前記ホッパには、開度調節可能なゲートが設けられ、前記制御装置は、前記荷揚げ能力に合わせて前記ゲートの開度及び開時間を調節する請求項3に記載のバルクハンドリング設備におけるトラック払い出し管理システム。
【請求項5】
前記バルクハンドリング設備内の搬送車両には、予め識別番号が記載又は記憶された識別ラベルが設けられ、前記車両監視センサは、前記識別ラベルから前記識別番号を非接触で読み取る読み取り機能を有し、前記制御装置は、搬送車両の識別番号と最大積載量との対応関係が予め記憶された車両記憶部を有し、前記車両監視センサからの識別番号に対応する最大積載量を前記車両記憶部から取得し、前記払い出し位置に停車中の搬送車両の最大積載量に合わせて前記ゲートの開度及び開時間をさらに調節する請求項2又は3に記載のバルクハンドリング設備におけるトラック払い出し管理システム。
【請求項6】
前記制御装置は、荷揚げするバラ物の荷揚げ能力に合わせて前記搬送車両の台数を調節する請求項2から5のいずれかに記載のバルクハンドリング設備におけるトラック払い出し管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船倉内のバラ物をニューマチックアンローダにて荷揚げすると共に搬送車両に払い出すバルクハンドリング設備における払い出し管理方法及び払い出し管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
船倉内のバラ物をニューマチックアンローダ(Pneumatic Unloader:以下、PUL)にて荷揚げするバルクハンドリング設備には、PULが船倉内のバラ物を一旦ホッパに荷揚げし、ホッパからダンプトラックなどの搬送車両に払出し、バラ物を積んだ搬送車両が設備内のサイロまで走行してバラ物を搬送するものがある。
【0003】
かかるバルクハンドリング設備では、ホッパとサイロとの間で搬送車両を往復移動させると共に、ホッパ側に戻ってきた搬送車両は、払出のために待機させておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−159468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PULは払い出し量を一定にして運転しているため、PULの荷揚げと、搬送車両への払い出しの速度がマッチングしない場合、例えば、PULは払い出し量が少なく、バラ物の払い出しを待つ搬送車両(以下、待機車両)が多い場合、待機車両は順番が来るまで長時間待つしかなかった。また、払い出し量が多く、待機車両がない場合、ホッパ積載レベルが最高になると荷役を休止しなければならず、PULの停止、再起動に時間がかかると共に、エネルギーをロスするという問題があった。
【0006】
そこで、本願発明の目的は、荷揚げと払い出しの速度をマッチングでき、荷揚げからサイロに搬送するまでの効率を向上できるバルクハンドリング設備における払い出し管理方法及び払い出し管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は、船倉内のバラ物をニューマチックアンローダにて荷揚げすると共にこれを、払い出し位置に設けたホッパからバラ物貯蔵サイロ間を往復移動する搬送車両に払い出すためのバルクハンドリング設備における払い出し管理方法であって、前記バラ物の払い出しを待つ待機車両の待機状態を監視し、かつ、前記ニューマチックアンローダでの荷揚げ能力を測定し、前記搬送車両の待機状態と前記荷揚げ能力をマッチングさせるように前記荷揚げ能力を調節するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷揚げと払い出しの速度をマッチングでき、荷揚げからサイロに搬送するまでの効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るバルクハンドリング設備における払い出し管理システムの説明図である。
【
図3】バルクハンドリング設備の平面説明図である。
【
図5】他の実施の形態に係る計量センサの説明図である。
【
図6】バラ物の払い出し制御を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0011】
図1及び
図3に示すように、バルクハンドリング設備1は、船舶2が係留される係船岸3と、係船岸3に設けられたPUL4と、バラ物を収容するバラ物貯蔵サイロ5と、PUL4、バラ物貯蔵サイロ5間に敷設された搬送路6と、PUL4にて荷揚げされたバラ物を積載すると共にそのバラ物をバラ物貯蔵サイロ5まで搬送する複数の搬送車両7と、バラ物の払い出しを待つ待機車両7aの待機状態を監視する車両監視センサ8と、PUL4でのバラ物の荷揚げ能力を測定する計量センサ9と、待機車両7aの待機状態と荷揚げ能力をマッチングさせるように荷揚げ能力を調節する制御装置10とを備える。
【0012】
図1及び
図2に示すように、PUL4は、船倉2a内のバラ物に対して垂直に延び下端にバラ物を吸引するための吸引ノズル11を有する垂直管12と、垂直管12で搬送されたバラ物を吸引流から分離するレシーバタンク13と、レシーバタンク13内を負圧に保持する吸引ポンプ14と、吸引ポンプ14とレシーバタンク13を接続する吸引管15と、吸引管15に接続されレシーバタンク13内の負圧を制御する大気吸入弁15Vと、レシーバタンク13からバラ物を受けて払い出し位置U近傍まで移送する機内コンベア16と、払い出し位置Uに設けられ機内コンベア16からのバラ物を積載すると共に搬送車両7の荷台に払い出すためのホッパ17とを備える。
【0013】
垂直管12は、伸縮自在に形成されている。垂直管12は、水平管18を介してレシーバタンク13に接続される。水平管18は、伸縮自在に形成されており、一端がスイングジョイント19を介して垂直管12の上端と回動自在に接続され、他端がレシーバタンク13の上下方向の中央にボールジョイント20を介して俯仰自在に接続されている。また、水平管18は、俯仰自在なブーム21に沿って延びると共にブーム21を介してワイヤ22に支持されている。ワイヤ22は、ブーム21の先端側に接続されており、ブーム21を俯仰自在に吊り上げるようになっている。また、ワイヤ22は、レシーバタンク13のマスト部23の頂部を経て起伏装置24に巻き掛けられており、起伏装置24によって巻き出し長さが調節されるようになっている。また、ブーム21には、スイングジョイント19を支持する水平台車43がブーム21の長手方向に走行自在に設けられている。水平台車43には、垂直管12を伸縮させて吸引ノズル11を昇降させるための垂直伸縮装置44が設けられている。垂直伸縮装置44は、ワイヤ45の巻取、ふり出しが可能であり、ワイヤ45の先端には垂直管12の下部又は吸引ノズル11が接続されている。垂直伸縮装置44は、オペレータが操作できるように形成されると共に、制御装置10によっても操作されるようになっている。
【0014】
吸引ポンプ14は、図示しないインバータにて回転数可変に駆動され、そのインバータが制御装置10で制御されて吸引ポンプ14の回転数が調節されるようになっている。
【0015】
レシーバタンク13は、上下に延びる容器状に形成され重力で吸引流からバラ物を分離するようになっている。レシーバタンクの上部には、図示しないバグフィルタが設けられており、レシーバタンク13の下端にはロータリフィーダ25が設けられている。ロータリフィーダ25は、レシーバタンク13内の負圧を維持しつつバラ物を機内コンベア16に払い出す。
【0016】
図4に示すように、機内コンベア16は、チェーンコンベアからなる。機内コンベア16は、両端に設けられたスプロケット26と、これらスプロケット26間に掛け渡された無端チェーン27と、無端チェーン27に所定ピッチで取り付けられたブレード28とを備える。
【0017】
図1及び
図2に示すように、ホッパ17は、一対隣接して配置されており、同時に二台の搬送車両7にバラ物を払い出せるようになっている。また、ホッパ17の下端には、開度調節可能なゲート29が設けられており、払い出し流量が調節できるようになっている。
【0018】
図3に示すように、バラ物貯蔵サイロ5は、PUL4から離間されて配置されている。また、バラ物貯蔵サイロ5は、搬送車両7からバラ物を受けるためのバラ物投入部30を有する。
【0019】
搬送路6は、PUL4の払い出し位置Uからバラ物投入部30に延びる往路6aと、バラ物投入部30から払い出し位置Uに戻る復路6bとからなる。復路6bには、搬送車両7が一時的に搬送作業から離脱して駐車又は停車するための駐停車エリア41が設けられている。駐停車エリアは41、複数台の搬送車両7が同時に駐停車できるように形成されている。
【0020】
搬送車両7は、ダンプトラックからなる。搬送車両7には、最大積載量が異なる複数種類のものがある。例えば、搬送車両7には、最大積載量が10トンのものと、15トンのものとがある。また、搬送車両7と制御装置10には、通信装置42が設けられている。通信装置42は、制御装置10に設けられ搬送車両7に指示を出すための送信機42aと、搬送車両7に設けられ制御装置10からの指示を受信するための受信機42bとからなる。また、搬送車両7には、受信機42bで受信した指示を運転手に伝達するための音響装置(図示せず)及び表示装置(図示せず)が設けられている。なお、通信装置42は、制御装置10と搬送車両7との間で双方向通信が可能なものであってもよい。この場合、搬送車両7がトラブル等によって搬送作業から離脱するとき、その旨を制御装置10に連絡でき、搬送作業をより効率よく行うことができる。
【0021】
図1に示すように、車両監視センサ8は、払い出し位置U近傍の復路6bに設けられる。車両監視センサ8は、バーコードやQRコード(登録商標)等のコード情報を非接触で読み取る光学式読み取り装置からなる。具体的には、バルクハンドリング設備1内の全ての搬送車両7には、予め識別番号がコード情報として記載された識別ラベル(図示せず)が設けられており、車両監視センサ8は、識別ラベルから搬送車両7の識別番号を読み取るようになっている。なお、車両監視センサ8は、光学式読み取り装置に限るものではない。例えば、車両監視センサ8はICカードリーダ等からなるものとしてもよい。この場合、搬送車両7には、識別番号等が記録された非接触型、かつ、遠隔型のICカード(図示せず)が設けられるとよい。
【0022】
計量センサ9は、船倉2aからホッパ17に移送されるバラ物の流量をPUL4の荷揚げ能力として測定する。計量センサ9は、インパクト計量計からなり、機内コンベア16の出口に設けられている。計量センサ9は、バラ物が落下する通路の壁にピン31を介して回動自在に設けられ機内コンベア16から落下するバラ物を受ける受け板32と、受け板32に作用する力を計測するロードセル33とを備え、受け板32に単位時間当たりに作用する力からPULの荷揚げ量を計測する。なお、計量センサ9は、これに限るものではない。例えば、
図5に示すように、計量センサ9は、落下するバラ物に超音波を発し、反射波の周波数のシフト量から流量を測定するドップラー式の超音波流量計からなるものであってもよく、他の方式のものであってもよい。
【0023】
制御装置10は、車両監視センサ8、計量センサ9の測定値が入力され、これに基づいて、ゲート29、垂直伸縮装置44及び吸引ポンプ14を制御する。また、制御装置10には、バラ物の形状、比重(見掛け比重)及び安息角等の物性を入力するための入力装置34が接続されている。具体的には、入力装置34は、ボタン等を押すことにより、バラ物の種類を選択して入力できるように形成されている。また、制御装置10は、複数種類のバラ物の物性が数値化して記憶された物性記憶部35を有すると共に、バルクハンドリング設備1内の全ての搬送車両7の識別番号と最大積載量との対応関係が予め記憶された車両記憶部36を有する。
【0024】
制御装置10は、バラ物の物性に応じた適正な効率で荷揚げを行うことを基本とするもので、バラ物の物性に応じて吸引ポンプ14の回転数、大気吸入弁15Vの開度、垂直伸縮装置44による吸引ノズル11の高さの制御を行う。PUL4による荷揚げ能力はバラ物の物性に応じて大幅に相違するため、物性記憶部35からのバラ物情報と、計量センサ9からの実際の荷揚げ量を基に吸引ポンプ14の回転数、大気吸入弁15Vの開度、垂直伸縮装置44による吸引ノズル11の高さの最適化を行う。また、制御装置10は、車両記憶部36からの待機している搬送車両7の情報を基に、ホッパ17からこれら搬送車両7に払い出す払い出し量を求める。
【0025】
この際、制御装置10は、現状のPUL4による荷揚げ能力と、待機車両7aの待機状態から求められる払い出し量とがマッチングしないとき、これらをマッチングさせるように荷揚げ能力を制御するか、待機車両7aの待機状態を調節するか、或いは荷揚げ能力と待機車両7aの待機状態の双方を制御・調節する。
【0026】
すなわち、待機車両7aが多いとき、制御装置10は、バラ物の物性を基に、吸引ポンプ14の回転数、大気吸入弁15Vの開度、垂直伸縮装置44による吸引ノズル11の高さを制御して、現状の荷揚げ能力を待機状態から求められる払い出し量にマッチングさせるようにPUL4の能力を最大能力の範囲内で増大することで、荷揚げ量と払い出し量とをマッチングさせる。また、待機車両7aが少ないときには、現状の荷揚げ能力を減少させるべく吸引ポンプ14の回転数、大気吸入弁15Vの開度、吸引ノズル11の高さを制御することで、PUL4を休止させることなく荷揚げ量と払い出し量とをマッチングさせる。
【0027】
このように荷揚げ量と払い出し量とをマッチングさせたのち、ホッパ17から搬送車両7への払い出しは、バラ物の性状に合わせてゲート29の開度を調整して払い出せばよい。
【0028】
この制御装置10は、荷揚げするバラ物の物性で、PUL4の荷揚げ能力が決定できるため、ホッパ17とバラ物貯蔵サイロ間を往復移動する搬送車両の適正台数もPUL4の荷揚げ量から、求めることができるため、予め適正な搬送車両の台数を決定することで、荷揚げ量と払い出し量とをマッチングさせた荷揚げと払い出しが行える。
【0029】
また、搬送車両7によるホッパとバラ物貯蔵サイロ間の往復時間は一定でなく待機車両7aが変動する場合でもホッパ17のゲート29の開度を調整することで、待機時間の調整が行える。
【0030】
次に、この制御装置10の制御フローについて説明する。
【0031】
図1及び
図6に示すように、バラ物の払い出し制御は、まず、ステップS1にて入力装置34からの入力を待ち、入力装置34からバラ物の種類が入力されると、そのバラ物の物性を物性記憶部35から取得する。物性は数値化されており、後述するバラ物の流量調節、ゲート29の開度及びゲート29の開時間の調節に用いられる。
【0032】
この後、ステップS2にてバラ物の物性に応じた吸引力でPUL4を稼働させる。PUL4は、バラ物を空気と共に吸引するものであるため、バラ物の比重、形状等によって効率の良い混合比(空気に対するバラ物の比)、吸引力が異なる。
【0033】
しかるのち、ステップS3にてバラ物の流量を計量センサ9から取得する。PUL4ではバラ物の流量は常に変動する。例えば、船倉2a内のバラ物が吸引されて減り、吸引ノズル11がバラ物から離れたとき、バラ物の流量は減る。また、バラ物がバイオマス(例えば、おがくず状の木材をペレット状に固めたもの)である場合、PUL4中でバラ物が割れて小さくなることがある。このとき、バラ物の流量は増す。
【0034】
また、ステップS4にて待機台数を取得すると共に、ステップS5にて最大積載量を取得する。待機台数の取得は、搬送車両7の識別ラベルから識別番号を読み取り、読み取りに成功した数を待機台数とする。また、最大積載量の取得は、ステップS4にて読み取った識別番号を車両記憶部36に照会することで行う。
【0035】
この後、ステップS6にてバラ物の流量が待機台数に対して過多であるか否かを判断する。過多である場合(Yes)、ステップS7にてバラ物の流量が待機台数に対して適正な範囲内になるようにバラ物の流量を減少させる。具体的には、バラ物の流量が減るように垂直伸縮装置44又は吸引ポンプ14のインバータモータを制御する。例えば垂直伸縮装置44の制御でバラ物の流量を減少させる場合、ワイヤ45を巻き取って吸引ノズル11を上昇させる。吸引ノズル11が船倉2a内のバラ物から離間することで吸引ノズル11に吸引される空気に対するバラ物の割合が減り、バラ物の流量が減る。また、垂直伸縮装置44又はインバータモータのいずれを制御するかは、PUL4の運転状態に応じて決定する。例えば、船倉2a内のバラ物に対する吸引ノズル11の高さが上限に近い状態でバラ物の流量を減少させる場合、吸引ポンプ14の回転数を減少させる。また逆に、吸引ポンプ14の回転数が下限に近い状態でバラ物の流量を減少させる場合、垂直伸縮装置44を制御して吸引ノズル11を上昇させる。
【0036】
この後、ステップS8にて払い出し流量をバラ物の流量に合わせて減少させる。具体的には、ゲート29の開度を払い出し流量がバラ物の流量と同じになるようにバラ物の物性に合わせて減少させる。例えば細長い形状のバラ物は球状のバラ物よりゲート29を通過し難い。このため、バラ物が細長い形状である場合、ゲート29の開度は球状のバラ物を扱うときよりも開き気味となる。
【0037】
また、ステップS9にて搬送車両7を通信装置42を用いて呼び出す。このとき、呼び出す搬送車両7の台数は、ステップS2のバラ物の物性に応じた最大の流量に対して不足している台数とする。これにより、PUL4の荷揚げ能力を最大化させた状態で荷揚げ能力と搬送能力とをマッチングさせることができる。この後、ステップS3に戻る。ただし、ステップS9にて搬送車両7を呼び出した後は、再度ステップS9に至った場合でも呼び出した搬送車両7が全て到着するまでは他の搬送車両7の呼び出しは行わない。具体的には、呼び出した搬送車両7の識別番号がステップS4にて読み込まれるまで、ステップS9をスキップし、実行しない。
【0038】
また、ステップS6にて過多ではない場合(No)、ステップS10にてバラ物の流量が待機台数に対して過少であるか否かを判断する。過少である場合(Yes)、ステップS11にてバラ物の流量が待機台数に対して適正な範囲内になるようにバラ物の流量を増加させ、ステップS12にて払い出し流量をバラ物の流量に合わせて増加させる。この後、ステップS3に戻る。また、バラ物投入部30から払い出し位置Uに戻る搬送車両7は、呼び出しがあるまでは駐停車エリア41で停車させる。搬送車両7の呼び出しを行わないことで待機台数を減らすことができる。
【0039】
ステップS10にてバラ物の流量が待機台数に対して過少でない場合(No)、すなわち、バラ物の流量が待機台数に対して適正な範囲にある場合、何も実行せずにステップS3に戻る。
【0040】
このように、待機車両7aの待機状態を監視し、かつ、PUL4での荷揚げ能力を測定し、待機車両7aの待機状態と荷揚げ能力をマッチングさせるように荷揚げ能力を調節するため、荷揚げと払い出しの速度をマッチングさせることができ、荷揚げからバラ物貯蔵サイロ5に搬送するまでの効率を改善できる。
【0041】
なお、搬送車両は、ダンプトラックからなるものとしたが、制御装置からの命令で走行・ダンプする無人搬送車(AGV)等であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 バルクハンドリング設備
2a 船倉
4 PUL
5 バラ物貯蔵サイロ
7 搬送車両
7a 待機車両
17 ホッパ
U 払い出し位置