特許第6298380号(P6298380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298380
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   A63F5/04 512Z
   A63F5/04 512C
【請求項の数】3
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-162355(P2014-162355)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-36581(P2016-36581A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】菅原 洋俊
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 博一
【審査官】 安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−137518(JP,A)
【文献】 特開2011−062541(JP,A)
【文献】 特開2013−192630(JP,A)
【文献】 特開2010−284381(JP,A)
【文献】 特開2001−246052(JP,A)
【文献】 特開2002−346044(JP,A)
【文献】 特開2013−106688(JP,A)
【文献】 特開2002−011238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する情報を記憶する記憶手段が設けられた制御基板を備える遊技機において、
前記制御基板に設けた第1コネクタに電気的に接続され、外部から供給される電源を該制御基板に供給する電源供給手段と、
前記電源供給手段から制御基板に供給される電源が停電検知電圧以下になったときに該制御基板に電源断信号を出力する電源断監視手段と、
前記電源供給手段および制御基板とは別に設けられると共に、該制御基板に設けた第2コネクタに電気的に接続され、前記電源供給手段に電源が供給されない電源断状態となったときに、前記記憶手段に対して記憶されている情報を当該記憶手段に保持するためのバックアップ用電源を供給するバックアップ手段とを備え、
前記制御基板は、前記電源断信号を契機として、前記記憶手段に記憶されている情報をバックアップ情報として当該記憶手段に記憶するバックアップ処理を行うよう設定されると共に、前記電源断状態となった後に前記電源供給手段から電源供給が開始された時には前記記憶手段に記憶されている前記バックアップ情報に基づいて電源断状態となる前の遊技状態に復帰させる復帰処理を行うよう構成され
前記第2コネクタに電気的に接続される前記バックアップ手段としての蓄電手段のみが実装されたバックアップ基板と、
前記バックアップ基板が収納されるバックアップ基板ケースとを備え、
前記バックアップ基板を収納した前記バックアップ基板ケースは、基板取付部材に設けた取着部に着脱自在に取り付けられるよう構成した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記バックアップ基板ケースは、一方に開口する箱状に形成されると共に、対向する一対の壁に内外方向に弾性変形可能な係合爪が設けられ、
前記バックアップ基板は、前記バックアップ基板ケースの開口と対向する壁側に蓄電手段の実装面を向けた姿勢で、前記一対の係合爪によってバックアップ基板ケースに着脱自在に保持されるよう構成した請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前側に開口する筐体に、前記基板取付部材の一側が回動自在に枢支されて、該基板取付部材は、前記筐体の収納空間に収納された収納位置と、該収納空間の前側に出された非収納位置との間を回動するよう構成され、
前記基板取付部材に対して前記制御基板および前記バックアップ基板ケースは、該基板取付部材を非収納位置に回動した状態で筐体の前側に露出する面に取り付けられ、
前記バックアップ基板に設けられて前記蓄電手段に電気的に接続されるバックアップ基板側コネクタは、前記第2コネクタに配線を介して電気的に接続されるよう構成した請求項1または2記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技に関する制御を実行する制御基板を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技機としてメダル(遊技媒体)を用いたスロットマシンが知られている。スロットマシンは、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が表示された複数のリールを備え、メダルの投入または投入ボタン(ベットボタン)の操作後に、スタートレバーの操作を契機にリールの回転が開始するよう構成されている。そして、各リールに対応して設けたストップボタンが操作されることに基づいて各リールの回転を停止し、全てのリールの回転を停止したときに予め設定された入賞役に対応する図柄の組合わせが入賞ライン上に揃った場合に、該入賞役に応じて所定枚数のメダルが払い出されるよう構成されている。
【0003】
前記スロットマシンは、前記スタートレバーの操作を契機に入賞役の抽選を行うと共に、入賞役抽選の結果に応じて前記ストップボタンの操作に基づいて各リールを停止制御するメイン制御基板や、スロットマシンに設けられた演出表示装置や可動装置等の演出装置を制御するサブ制御基板等の複数の制御基板を備えている。これらの各制御基板は、外部から所定電圧の元電源が供給される電源基板に配線を介して電気的に接続されており、各制御基板には電源基板から必要な電圧の電源が配線を介して供給されるよう構成されている。
【0004】
前記スロットマシンでは、遊技中において停電が発生すると、前記各制御基板に実装されているRAM等の記憶手段に記憶されている情報が消えてしまい、遊技者にとって不利益になると共に、遊技店と遊技者との間でのトラブルの発生原因となる。そこで、電源基板にバックアップ用電源手段を設け、停電発生時にはバックアップ用電源手段から記憶手段(制御基板)にバックアップ用電源を供給することで、該記憶手段に記憶されている情報が消えるのを防止するようにした提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−334406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のスロットマシンでは、通常時(停電時以外)に制御基板に電源を供給する電源用配線と、停電時に制御基板にバックアップ用電源を供給する電源用配線とが纏められると共に単一の配線側コネクタに接続されて、該配線側コネクタが電源基板に設けられた単一の電源用の基板側コネクタに接続されている。このため、制御基板等のメンテナンスに際し、電源基板と制御基板とを接続する電源用配線の配線側コネクタを基板側コネクタから抜き外してしまうと、制御基板にバックアップ用電源が供給されない状態となってしまい、メンテナンス中に前記記憶手段に記憶されている情報が消えてしまう問題を招いていた。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、記憶手段に記憶されている情報が消えるのを防止し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
遊技に関する情報を記憶する記憶手段(45c)が設けられた制御基板(45)を備える遊技機において、
前記制御基板(45)に設けた第1コネクタ(50a)に電気的に接続され、外部から供給される電源を該制御基板(45)に供給する電源供給手段(61)と、
前記電源供給手段(61)から制御基板(45)に供給される電源が停電検知電圧以下になったときに該制御基板(45)に電源断信号を出力する電源断監視手段(69)と、
前記電源供給手段(61)および制御基板(45)とは別に設けられると共に、該制御基板(45)に設けた第2コネクタ(50b)に電気的に接続され、前記電源供給手段(61)に電源が供給されない電源断状態となったときに、前記記憶手段(45c)に対して記憶されている情報を当該記憶手段(45c)に保持するためのバックアップ用電源を供給するバックアップ手段(72)とを備え、
前記制御基板(45)は、前記電源断信号を契機として、前記記憶手段(45c)に記憶されている情報をバックアップ情報として当該記憶手段(45c)に記憶するバックアップ処理を行うよう設定されると共に、前記電源断状態となった後に前記電源供給手段(61)から電源供給が開始された時には前記記憶手段(45c)に記憶されている前記バックアップ情報に基づいて電源断状態となる前の遊技状態に復帰させる復帰処理を行うよう構成され
前記第2コネクタ(50b)に電気的に接続される前記バックアップ手段としての蓄電手段(72)のみが実装されたバックアップ基板(73)と、
前記バックアップ基板(73)が収納されるバックアップ基板ケース(74)とを備え、
前記バックアップ基板(73)を収納した前記バックアップ基板ケース(74)は、基板取付部材(44)に設けた取着部(79)に着脱自在に取り付けられるよう構成したことを要旨とする。
【0009】
請求項1に係る発明によれば、バックアップ手段と制御基板とを電源供給手段とは独立したコネクタによって電気的に接続するよう構成したので、電源供給手段と制御基板との電気的な接続を切っても、バックアップ手段から制御基板にバックアップ用電源を供給することができる。すなわち、メンテナンス等に際して電源供給手段と制御基板との電気的な接続を切っても、制御基板の記憶手段に記憶されている情報を保持することができる。
【0010】
請求項2に係る発明では、前記バックアップ基板ケース(74)は、一方に開口する箱状に形成されると共に、対向する一対の壁に内外方向に弾性変形可能な係合爪(75,75)が設けられ、
前記バックアップ基板(73)は、前記バックアップ基板ケース(74)の開口と対向する壁側に蓄電手段(72)の実装面を向けた姿勢で、前記一対の係合爪(75,75)によってバックアップ基板ケース(74)に着脱自在に保持されるよう構成したことを要旨とする。
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記第1コネクタ(50a)および第2コネクタ(50b)は、前記制御基板(45)に並んで配置されていることを要旨とする。
この構成によれば、制御基板における記憶手段に対する電源供給用の回路構成を簡略化することができる。
【0011】
請求項3に係る発明では、前側に開口する筐体(11)に、前記基板取付部材(44)の一側が回動自在に枢支されて、該基板取付部材(44)は、前記筐体(11)の収納空間(20)に収納された収納位置と、該収納空間(20)の前側に出された非収納位置との間を回動するよう構成され、
前記基板取付部材(44)に対して前記制御基板(45)および前記バックアップ基板ケース(74)は、該基板取付部材(44)を非収納位置に回動した状態で筐体(11)の前側に露出する面に取り付けられ、
前記バックアップ基板(73)に設けられて前記蓄電手段(72)に電気的に接続されるバックアップ基板側コネクタ(73a)は、前記第2コネクタ(50b)に配線(84)を介して電気的に接続されるよう構成したことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、非収納位置に回動した基板取付部材における筐体の前側に露出する面に、制御基板とバックアップ基板を取り付けているので、筐体に対して基板取付部材を非収納位置に回動した状態で、両基板が筐体の前側に露出し、両基板に対する配線の接続状態を簡単に確認することができる。
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記電源供給手段(61)が配設される本体(11)に一側が回動自在に枢支され、前記制御基板(45)が配設される基板取付部材(44)を備え、
前記電源供給手段(61)に配線(65)を介して接続する前記第1コネクタ(50a)は、前記制御基板(45)における前記基板取付部材(44)の枢支側の端部に位置するように設けられることを要旨とする。
この構成によれば、基板取付部材を回動する際の配線の変位量を小さくし得るので、配線の引き回し処理が容易となる。
【0012】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記バックアップ手段(72)は、前記基板取付部材(44)に配設されていることを要旨とする。
この構成によれば、バックアップ手段が制御基板に近接するので、バックアップ手段と制御基板との配線の接続状態の確認が容易である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る遊技機によれば、電源供給手段と制御基板との電気的接続を切っても、該制御基板の記憶手段に記憶されている情報が消えるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例に係るスロットマシンを示す正面図である。
図2】実施例に係るスロットマシンの筐体に対して前扉を開放すると共にリール・制御ユニットを非収納位置に回動した状態を示す概略斜視図である。
図3】実施例に係るスロットマシンの筐体、リール・制御ユニットおよび前扉を分解した概略斜視図である。
図4】実施例のリール・制御ユニットを後側から見た斜視図である。
図5】実施例の収納部材からメイン制御装置およびサブ制御装置を分解して後側から見た要部概略斜視図である。
図6】(a)は実施例の収納部材とバックアップユニットとを分解して後左側から見た要部概略斜視図であり、(b)は、バックアップ基板ケースを後右側から見た概略斜視図である。
図7】実施例の制御基板に対する電源供給関係および各装置との接続関係を示す説明図である。
図8】(a)はメイン制御用電源断処理の流れを示すフローチャートであり、(b)はサブ制御用電源断処理の流れを示すフローチャートである。
図9】(a)はメイン制御用復帰処理の流れを示すフローチャートであり、(b)はサブ制御用復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、遊技機として、メダル(遊技媒体)を用いてゲーム(遊技)を行うスロットマシンを例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにスロットマシンを前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0016】
(スロットマシン10について)
実施例に係るスロットマシン10は、図1図3に示すように、前側に開口する箱状にに形成されて遊技店の図示しない設置枠台に設置される本体としての筐体11と、該筐体11の前側に開閉自在に配設された前面部材としての前扉12とを備えている。また筐体11には、複数の図柄(図示せず)を周囲に配置した複数(実施例では3つ)のリール13a,13b,13cを備えたリールユニット14および各種制御を実行する複数の制御装置15,16を備えた制御ユニット17を有するリール・制御ユニット18と、メダルを払い出すためのホッパー装置19が収納配置されている。
【0017】
(筐体11について)
前記筐体11は、天板、底板、左右の側板および背板を相互に組み付けることで前側に開口する箱状に形成された部材であって、該筐体11の内部に画成された収容空間20に、前記リール・制御ユニット18およびホッパー装置19が収納された状態で、前記前扉12によって筐体11の前部開口が閉じられるよう構成される。
【0018】
(前扉12について)
前記前扉12は、前記筐体11の前部開口を閉成可能な外形サイズに形成されると共に、該筐体11の左側部に設けられて上下に離間する軸支持部88(図3参照)に該前扉12が回動自在に支持されて、前扉12は、筐体11の前部開口を閉成する閉成位置と、該筐体11の前部開口を開放する開放位置との間を回動し得るよう構成されている。また前扉12は、該前扉12および筐体11の右側部に設けられた施錠装置86によって閉成位置に保持されるよう構成されており、該施錠装置86の施錠状態を解除することで該前扉12を開放位置(図2参照)に回動し得るようになっている。
【0019】
前記前扉12は、図2に示す如く、上部側に液晶表示装置等の表示装置21が着脱自在に取り付けられる取付枠部22を備えると共に、該取付枠部22の下側には取付枠部22の前面から前方に突出する操作盤部23が設けられており、該操作盤部23に各種スイッチやボタン等が設けられている。表示装置21は、ゲームの進行に応じて種々の画像や動画等を表示するものであって、取付枠部22に対して裏側から着脱自在に取り付けられて、該表示装置21の表示部が取付枠部22の前後に開口する開口部を介して前側に視認可能に臨むよう構成される。なお、取付枠部22の開口にはガラス等の透明部材22aが配設されて表示装置21の表示部を保護している(図3参照)。表示装置21で表示する画像等としては、予め設定された各種の入賞役に当選した時に、当該当選を遊技者に報知するための画像や、遊技者の興趣を向上させるようなキャラクター動画等が挙げられる。また、表示装置21としては、例えば有機EL(Electro-Luminescence)等、その他の表示原理が異なる各種装置を用いることができる。
【0020】
(操作盤部23について)
前記操作盤部23は、図1,図3に示す如く、前記前扉12の幅方向の全長に亘って前記取付枠部22の前面から前側に延出する上壁部24と、該上壁部24の前端縁から下方に延在する前壁部25と、上壁部24の左右両端縁から下方に延在すると共に前壁部25の左右両端縁に接続する左側壁部26および右側壁部27とから構成される。操作盤部23の上壁部24には、図1,図3に示す如く、右端部側に偏った位置に、メダルを投入するための投入口29が設けられると共に、左端部側に偏った位置に、スロットマシン10の記憶手段に電子的に貯留されているクレジットメダルを1回の遊技について投入可能な最大枚数(例えば3枚)投入するMAX投入ボタン30が設けられている。なお、実施例のスロットマシン10では、クレジットメダルを1枚投入する投入ボタン31が、前記前壁部25における左端部側に偏った位置に設けられると共に、該投入ボタン31に隣り合う位置に、前記記憶手段に電子的に貯留されているクレジットメダルや投入されたメダルを精算するための払出しボタン87が設けられており、該払出しボタン87を操作することでメダルが払い出されるようになっている。また、上壁部24には、左右方向の中央に、前記表示装置21における演出進行の表示内容等の遊技演出やその他各種の演出装置の遊技演出を、押圧操作により切り替えることが可能な演出操作ボタン28が設けられている。
【0021】
前記操作盤部23の前壁部25には、図1,図3に示す如く、左端部側に偏った位置に、遊技者の操作により前記リール13a,13b,13cを回転始動させてゲームを開始させるスタートレバー32が設けられると共に、該前壁部25の中央には、遊技者の操作により各リール13a,13b,13cを回転点止させるためのストップボタン33a,33b,33cが各リール13a,13b,13cに対応して横並びに設けられている。また、前記前扉12の下部中央に、前記ホッパー装置19から払い出されたメダルの排出口34が設けられると共に、前扉12の最下部に、該排出口34から排出されたメダルを貯留する受け皿35が設けられている。なお、前扉12の前面には、前記操作盤部23と受け皿35との間の領域に、当該スロットマシン10のモチーフとなるキャラクタ等や機種名等の各種の情報が表示された装飾パネル36が配設されている。
【0022】
前記スロットマシン10では、前記投入口29にメダルを投入するか、または前記投入ボタン30,31を操作すると、メダルが投入されてスタートレバー32の操作が有効化されるようになっている。そして、有効化されたスタートレバー32が操作されると、これに伴ってゲームが開始される。また、ゲームが開始されると、メイン制御装置15において入賞役に当選か否かを決定する入賞役抽選が実行されて複数種類の入賞役の何れかまたははずれが決定されると共に、各リール13a,13b,13cが回転を開始する。その後、各ストップボタン33a,33b,33cが操作が有効化され、有効化されたストップボタン33a,33b,33cが操作されると、操作されたストップボタン33a,33b,33cに対応するリール13a,13b,13cの回転が停止される。そして、全てのリール13a,13b,13cが停止することで1回のゲームが終了し、このゲームの結果、予め定められた入賞役に対応する図柄の組合わせが入賞ライン上に揃った場合は、入賞した入賞役に対応付けられた処理が実行されるようになっている。
【0023】
ここで、前記入賞役には、所定数のメダルが払い出される小役や、メダルを投入することなくゲームを実行できるリプレイ役や、次回以降に遊技者に有利な特殊ゲームが開始されるボーナス役等、その他各種の入賞役が設定されている。
【0024】
前記前扉12における前記取付枠部22の前面に、前後に開口する開口部をガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透明保護板で覆った表示窓部37aが設けられた前部装飾ユニット37が着脱自在に配設されており、該前部装飾ユニット37の表示窓部37aを介して前記表示装置21の表示部がスロットマシン10の前側から視認可能に構成される。実施例の表示装置21は、前記リールユニット14におけるリール13a,13b,13cに対応する部位の前側に重ならないように位置しており、各リール13a,13b,13cの図柄が前記表示窓部37aを介してスロットマシン10の前側から視認し得るようになっている。実施例では、表示窓部37aを介してリール13a,13b,13cに付された複数の各種図柄が、入賞ライン上に揃い得るように縦方向に3つずつ、合計9個の図柄を視認し得るよう構成されている。なお、図1においては、表示窓部37aを介して視認可能な表示装置21は図示省略してある。
【0025】
前記前部装飾ユニット37に、表示窓部37aの外周を囲繞するようにランプ装置38(図1参照)が配設されると共に、動作を行う各種の可動演出装置39(図7参照)が配設されている。また、前記前扉12には、前記受け皿35や前記前部装飾ユニット37の裏側に臨む位置にスピーカ40が夫々配設されている(図2参照)。そして、前記表示装置21で実行される表示演出に合わせて、前部装飾ユニット37に設けたランプ装置38による発光演出や可動演出装置39による動作演出および前扉12に設けたスピーカ40による音演出等を実行することで興趣を向上し得るようになっている。
【0026】
(リール・制御ユニット18について)
前記リール・制御ユニット18は、図2図4に示す如く、リール13a,13b,13cを備えたリールユニット14および制御装置15,16を備えた制御ユニット17を支持枠41に組み付けてユニット化したものであって、前記筐体11の左側部に設けられて前記前扉12が支持される前記軸支持部88を利用して該支持枠41が回動自在に支持されて、リールユニット14および制御ユニット17が筐体11の収容空間20に収納された収納位置と、該リールユニット14および制御ユニット17が筐体11の収容空間20から前側に出された非収納位置(図2参照)との間をリール・制御ユニット18が回動し得るよう構成されている。またリール・制御ユニット18は、筐体11および支持枠41の右側部に設けられた係止装置89によって収納位置に係止保持されるよう構成されており、該係止装置89の係止状態を解除することで該リール・制御ユニット18を非収納位置に回動し得るようになっている。
【0027】
(リールユニット14について)
前記支持枠41は、図3に示す如く、矩形枠状に形成された下部取付部41aと、該下部取付部41aの左右両端から上方に所定長さで延在する上部取付部41b,41bとを備え、下部取付部41aに前記リールユニット14が取り付けられている。このリールユニット14は、支持枠41の下部取付部41aに取り付けられて前側に開口するリールケース42の内部に、前記3つのリール13a,13b,13cが横並びに配置され、各リール13a,13b,13cは、外周に配置された図柄を上下方向に移動し得るように左右に延在する軸を中心として回転自在に支持されている。なお、リールケース42は、リール13a,13b,13cを収容するケース本体42aと、該ケース本体42aの上下の端縁から外方に延出するフランジ42b,42bとを備え、ケース本体42aを下部取付部41aの開口に前側から挿入した状態で、フランジ42b,42bを下部取付部41aに前側からネジ止めすることで、当該リールケース42はケース本体42aが下部取付部41aから後方に延出した状態で固定される。そして、リールケース42のケース本体42aによって、後述する収納部材44に画成される収納室54の下部開口を塞ぐようになっている(図2,図4参照)。
【0028】
前記各リール13a,13b,13cは、前記リールケース42の内部に配設したステッピングモータなどのパルス制御可能な駆動モータ43a,43b,43c(図7参照)によって夫々独立して回転駆動し得るよう構成されている。そして、前記スタートレバー32が操作されたことを契機として、駆動モータ43a,43b,43cが回転駆動されて3つのリール13a,13b,13cが回転を開始し、前記各ストップボタン33a,33b,33cが操作されたことを契機として、操作された各ストップボタン33a,33b,33cにより回転停止が対応付けられたリール13a,13b,13cの駆動モータ43a,43b,43cが停止するようになっている。
【0029】
(制御ユニット17について)
前記制御ユニット17は、前記支持枠41におけるリールユニット14の配設位置より上側において前記上部取付部41b,41bに取り付けられている。この制御ユニット17は、図4に示す如く、支持枠41の上部取付部41b,41bに後側から取り付けられた収納部材(基板取付部材)44に、メイン制御装置(第1制御装置)15およびサブ制御装置(第2制御装置)16が取り付けられて構成される。メイン制御装置15は、リール13a,13b,13cの動作制御および入賞役抽選等の、主としてスロットマシン10の遊技に関する各種制御を行うためのメイン制御基板(制御基板,第1制御基板)45を備えている(図7参照)。これに対してサブ制御装置16は、遊技の進行に応じた画像や動画等の選択、表示装置21の表示態様やスロットマシン10に配置されているランプ装置38の発光態様、スピーカ40の音出力態様、可動演出装置39の動作態様等に関する、主にスロットマシン10における遊技の演出に関する各種制御を行うためのサブ制御基板(制御基板,第2制御基板)46を備えている(図7参照)。各制御装置15,16は、後述するように各種電子部品45a,45b,45c,46a,46b,46cを実装した対応する制御基板45,46を基板ケース47,57に収納して構成される。
【0030】
(収納部材44について)
前記収納部材44は、図2図4に示す如く、略矩形に形成された後壁51と、該後壁51における左右の両端縁から前方に向けて延在する左側壁52および右側壁53とから構成されて、上下方向および前方に開放する平面視において略コ字状に形成された部材であって、該収納部材44が前記支持枠41に後側から着脱自在に取り付けられる。そして、収納部材44を支持枠41に取り付けた状態で、前記後壁51の前側に収納室54が画成される。収納室54は、支持枠41における前記一対の上部取付部41b,41bの間において前側(サブ制御基板46の板厚方向の一方)に開放するのに対し、該収納室54の下部開口は、前記リールケース42で塞がれるよう構成される。そして、前記筐体11に対してリール・制御ユニット18を非収納位置に回動した状態(図2参照)では、該収納室54は上方および前方に開放するよう構成されており、収納部材44における収納室54の上部開口が、前記サブ制御装置16を収納室54に対して挿脱する挿脱口54aとして機能するようになっている。
【0031】
(メイン制御装置15について)
前記メイン制御装置15は、前記リール13a,13b,13cを制御する前記メイン制御基板(制御基板)45を、第1基板ケース(基板ケース)47に収容保護してケース単位で取り扱い得るようになっている。この第1基板ケース47は、図5に示す如く、前記収納部材44における後壁51の後面に対向するようセットされる皿状の第1ベース体48と、この第1ベース体48の開口面側(後側)に対して着脱可能に組み付けられる第1カバー体49とから構成され、両者共に透明な合成樹脂材により一体成形されて、前記メイン制御基板45を第1ベース体48内に敷設状態で収容すると共に、前記第1カバー体49で覆蓋保護するよう構成される。また、第1基板ケース47は、第1ベース体48と第1カバー体49とをカシメ固定することによってメイン制御基板45を封入して、該メイン制御基板45に実装されているROM等の電子部品が不正な電子部品に取り替えられる不正行為が行われるのを防止し得るよう構成されている。
【0032】
前記メイン制御基板45は、図7に示す如く、制御処理を実行するメイン制御CPU45a、該メイン制御CPU45aが実行する制御プログラムを記憶するメイン制御ROM45b、当該メイン制御CPU45aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な記憶手段としてのメイン制御RAM45c等が備えられている。また、メイン制御基板45には、メイン制御CPU45aの動作を停止させる契機となるリセット信号を出力するリセット信号回路45dが配設されている。なお、リセット信号回路45dの詳細な機能に関しては、後述するサブ制御基板46に配設されるリセット信号回路46dの機能を説明する際に併せて説明する。そして、メイン制御基板45は、メイン制御CPU45a,メイン制御ROM45b,メイン制御RAM45c,リセット信号回路45d等の各種電子部品を実装した実装面が第1カバー体49と対向し、該実装面とは反対の非実装面を第1ベース体48に対向する状態で第1基板ケース47に収納されている。そして、メイン制御装置15は、前記収納部材44における後壁51の後面(外面)に、第1ベース体48が対向する向きで取り付けられている。すなわち、メイン制御装置15は、メイン制御基板45の実装面が後方を向く状態で収納部材44の後面に取り付けられており、前記筐体11に対してリール・制御ユニット18を前記軸支持部88を支点として前側に回動して該リール・制御ユニット18を筐体11の前部開口より前側に臨ませることで(図2参照)、メイン制御装置15が露出してメイン制御基板45の実装面が視認可能となるよう構成されている。
【0033】
前記メイン制御基板45には、図7に示す如く、前記投入ボタン30,31、スタートレバー32、ストップボタン33a,33b,33c、駆動モータ43a,43b,43c、ホッパー装置19等が接続されている。なお、投入ボタン30,31、スタートレバー32、ストップボタン33a,33b,33cは、該投入ボタン30,31、スタートレバー32、ストップボタン33a,33b,33cが操作された際に操作信号を出力するスイッチを備えている。そして、メイン制御装置15のメイン制御基板45は、投入ボタン30,31、スタートレバー32、ストップボタン33a,33b,33c等からの操作信号の入力に基づいて、リール13a,13b,13cの動作制御および入賞役抽選等の、主としてスロットマシン10の遊技に関する各種制御を行うよう構成される。なお、ホッパー装置19は、メダルを所定量だけ貯留可能なタンク19aと、該タンク19aに貯留されているメダルを払い出す払出し機構部19bとを備えている。ホッパー装置19は、メダルの払出しの条件が成立すると、払出し機構部19bが作動してタンク19aのメダルを払い出すよう構成される。ここで、払出しの条件とは、所定数のメダルが払い出されるよう設定された入賞役の入賞や、前記払出しボタン87の操作等がある。また、タンク19aには、投入口29から投入されたメダルが貯留されるようになっている。すなわち、スロットマシン10では、ゲームを行うために投入口29に投入したメダルをホッパー装置19に貯留し、該貯留したメダルを払い出し用に用いるようになっている。また、メイン制御基板45には、入賞役の抽選確率に対応した設定値を変更するための設定変更手段(図示せず)が接続されており、該設定変更手段によって複数段階(例えば6段階)の設定値を変更可能に構成されている。なお、スロットマシン10では、図示しない設定キースイッチをON状態としたもとで、後述する電源スイッチ67をON操作することで設定変更手段による設定変更が可能な状態になると共に初期化処理がなされて、該設定変更手段による設定操作によって新たに設定された設定値で遊技を行い得るよう設定されている。このように、スロットマシン10では、設定キースイッチをON状態としたもとで電源スイッチ67をON操作することで初期化処理が行われるので、該操作について以後は初期化操作という場合がある。
【0034】
前記メイン制御基板45には、後述する電源基板61に第1電源線(配線)65を介して電気的に接続するための第1メイン用基板側コネクタ(第1コネクタ)50aおよび後述するバックアップ基板73にバックアップ用配線(配線)84を介して電気的に接続するための第2メイン用基板側コネクタ(第2コネクタ)50bが実装されている。実施例では、図4,図5に示す如く、第1メイン用基板側コネクタ50aおよび第2メイン用基板側コネクタ50bが、メイン制御基板45の左端部(支持枠41の筐体11に対する枢支側の端部)において上下方向に並んで実装されている。また、前記第1基板ケース47における第1カバー体49には、第1メイン用基板側コネクタ50aおよび第2メイン用基板側コネクタ50bに対応する位置にコネクタ用開口部(開口部)49aが内外に貫通するように夫々形成されており、対応するコネクタ用開口部49a,49aから基板側コネクタ50a,50bが外部(後側)に露出するよう構成される。
【0035】
また、前記メイン制御基板45には、上端縁側に第1カバー体49から外部(前側)に露出するようにメイン側コネクタが実装されており、該メイン側コネクタが、前記サブ制御基板46に実装した後述するサブ側コネクタに電気的に接続されるようになっている。
【0036】
(サブ制御装置16について)
前記サブ制御装置16は、前記表示装置21、ランプ装置38、スピーカ40等の演出装置を制御する前記サブ制御基板46を、第2基板ケース(基板ケース)57に収容保護してケース単位で取り扱い得るようになっている。この第2基板ケース57は、図5に示す如く、前記収納部材44における後壁51の前面に対向するようセットされる皿状の第2ベース体58と、この第2ベース体58の開口面側(前側)に対して着脱可能に組み付けられる第2カバー体59とから構成され、両者共に透明な合成樹脂材により一体成形されて、前記サブ制御基板46を第2ベース体58内に敷設状態で収容すると共に、前記第2カバー体59で覆蓋保護するよう構成される。また、第2基板ケース57は、第2ベース体58と第2カバー体59とをカシメ固定することによってサブ制御基板46を封入して、該サブ制御基板46に実装されているROM等の電子部品が不正な電子部品に取り替えられる不正行為が行われるのを防止し得るよう構成されている。
【0037】
前記サブ制御基板46は、図7に示に示す如く、制御処理を実行するサブ制御CPU46a、該サブ制御CPU46aが実行する制御プログラムを記憶するサブ制御ROM46b、当該サブ制御CPU46aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な記憶手段としてのサブ制御RAM46c等が備えられている。サブ制御基板46には、表示装置21、ランプ装置38、スピーカ40、可動演出装置39の演出装置が接続されると共に、前記演出操作ボタン28が接続されており、演出操作ボタン28から操作信号の入力に基づいてサブ制御基板46(サブ制御CPU46a)が演出装置の遊技演出を切り替え得るよう構成されている。
【0038】
また、前記サブ制御基板46には、サブ制御CPU46aの動作を停止させる契機となるリセット信号を出力するリセット信号回路46dが配設されている。前記メイン制御基板45に配設されている前記リセット信号回路45dおよびサブ制御基板46に配設されているリセット信号回路46dは、後述する電源基板61から各リセット信号回路45d,46dに供給される電圧が、後述する電源スイッチ67をONからOFFに切換えたときや停電時あるいは瞬停時等によって一定電圧以下(以下、リセット検知電圧という場合がある)になったときに、該リセット信号回路45d,46dから対応する制御CPU45a,46aに対してリセット信号を出力(ON)するよう設定されている。そして、リセット信号の入力を契機として対応する制御CPU45a,46aは動作が停止するよう設定される。また、リセット信号回路45d,46dは、電源スイッチ67をOFFからONに切換えたときや停電時あるいは瞬停時からの復帰により電源基板61から供給される電圧がリセット検知電圧より低い状態ではリセット信号を出力(ON)し、該供給電圧がリセット検知電圧以上になったときにリセット信号の出力を停止(OFF)するよう設定される。そして、リセット信号の出力停止を契機として対応する制御CPU45a,46aは、後述する復帰処理(図9参照)を開始(CPUのセキュリティチェックを行い、プログラムを0000番地からスタートする)よう設定されている。なお、前記リセット信号回路45d,46dによるリセット信号の出力および出力停止の契機となる電圧の値については、後述する電源断監視回路69から電源断信号が出力される停電検知電圧との関係で後述することとする。
【0039】
前記サブ制御基板46は、サブ制御CPU46a,サブ制御ROM46b,サブ制御RAM46c,リセット信号回路46d等の各種電子部品を実装した実装面が第2カバー体59と対向し、該実装面とは反対の非実装面を第2ベース体58に対向する状態で第2基板ケース57に収納されている。そして、サブ制御装置16は、前記収納部材44における後壁51の前面(内面)に、第2ベース体58が対向する向きで前記収納室54に収納された状態で該収納部材44に取り付けられる。すなわち、サブ制御装置16は、サブ制御基板46の実装面が前方を向く状態で収納部材44の収納室54に収納されており、該収納部材44にメイン制御装置15およびサブ制御装置16を取り付けた状態で、メイン制御基板45の非実装面とサブ制御基板46の非実装面とが収納部材44の後壁51を挟んで対向するよう構成される。そして、後壁51を挟んで前後方向に重なるように取り付けたメイン制御装置15のメイン制御基板45と、サブ制御装置16のサブ制御基板46とを非実装面同士を対向するようにすることで、両方の制御基板45,46の実装面に対して不正にアクセスする行為を行う場合は、不正部材を各制御基板45,46における相反する方向を向く実装面側に侵入させる必要があり、時間が掛かるために不正行為者の不正行為を行う意欲を抑制することができる。すなわち、一方の制御装置15,16によって他方の制御装置15,16における制御基板45,46の実装面に対する不正アクセスを困難にすることができるので、一度に複数の制御基板45,46(制御装置15,16)に対する不正行為が行われるのを抑制し得る。
【0040】
前記サブ制御基板46には、後述する電源基板61に第2電源線(配線)66を介して電気的に接続するためのサブ用基板側コネクタ60が実装されている。このサブ用基板側コネクタ60は、第2カバー体59に形成されたコネクタ用開口部を介して外部(前側)に露出するよう構成される。実施例では、サブ用基板側コネクタ60は、サブ制御基板46の左端部(支持枠41の筐体11に対する枢支側の端部)に実装されている(図3参照)。また、サブ制御基板46には、上端縁側に第2カバー体59から外部(後側)に露出するようにサブ側コネクタが実装されており、該サブ側コネクタに一端が接続する配線の他端が前記メイン側コネクタに接続されて、両制御基板45,46が電気的に接続するよう構成される。メイン側コネクタとサブ側コネクタとは、メイン制御基板45とサブ制御基板46との重なり方向に並んで位置している。そして、メイン制御基板45とサブ制御基板46とを電気的に接続する両コネクタおよび配線は、第1基板ケース47および収納部材44に配設された保護カバー55によって被覆されて、該コネクタおよび配線に対する不正行為を防止し得るよう構成されている。
【0041】
ここで、実施例のスロットマシン10は、前記メイン制御装置15での入賞役抽選で決定(内部当選)した入賞役に対応する図柄を遊技者に報知したり、決定した入賞役を成立させるストップボタン33a,33b,33cの停止操作順を遊技者に報知するアシスト(AT)遊技機能を備えている。そして、メイン制御装置15で決定した入賞役に対応する図柄や停止操作順の報知を行うか否かの抽選(AT抽選)は、メイン制御装置15から送信されるコマンドに基づいてサブ制御装置16が行うよう構成されている。すなわち、実施例のスロットマシン10は、メイン制御装置15のみがメダルの払い出し数に関わる制御を行うものでなく、サブ制御装置16においてもメダルの払い出し数に関わる制御を一部行うよう構成されている。
【0042】
前記スロットマシン10には、遊技場の電源(外部から供給される電源であって、例えば、AC100V)をスロットマシン10を構成する各種構成部材に供給する電源基板(電源供給手段)61が、前記筐体11の収容空間20に配置されている。この電源基板61は、電装箱62に収納されており、該電装箱62は、図3に示す如く、筐体11に対する前記リール・制御ユニット18(支持枠41)の枢支側(実施例では左側)に位置する左板の内面に沿って配設されている。電装箱62には、電源基板61に接続するメイン用電源側コネクタ63およびサブ用電源側コネクタ64が、箱上面から上側に突出する状態で配設されており、これら電源側コネクタ63,64が、電源線(配線)65,66を介して対応する制御基板45,46に電気的に接続される(図7参照)。なお、両電源側コネクタ63,64は、前後に並んで配置されている。電源基板61とメイン制御基板45とを電気的に接続する第1電源線65は、配線の両端部にメイン用配線側コネクタ65a,65aを接続して構成されたものであって、一方のメイン用配線側コネクタ65aが前記メイン用電源側コネクタ63に接続されると共に、他方のメイン用配線側コネクタ65aがメイン制御基板45に実装されている前記第1メイン用基板側コネクタ50aに接続されている。また、電源基板61とサブ制御基板46とを電気的に接続する第2電源線66は、配線の両端部にサブ用配線側コネクタ66a,66aを接続して構成されたものであって、一方のサブ用配線側コネクタ66aが前記サブ用電源側コネクタ64に接続されると共に、他方のサブ用配線側コネクタ66aがサブ制御基板46に実装されている前記サブ用基板側コネクタ60に接続される。
【0043】
前記電源基板61には、図7に示す如く、電源スイッチ67が配設され、該スイッチ67のON−OFF操作によって、電源の入・切が行われる。この電源基板61には、遊技場の電源を変換処理する電源回路68が設けられており、該電源回路68に前記メイン制御基板45およびサブ制御基板46が接続されている。そして、電源回路68で変換処理された電源が対応する制御基板45,46に供給されるようになっている。実施例のスロットマシン10では、前記電源基板61からメイン制御基板45およびサブ制御基板46に供給された電源が、各制御基板45,46により制御される前記駆動モータ43a,43b,43c、ランプ装置38、スピーカ40等の制御対象装置や各種ボタン28,30,31,33a,33b,33cやレバー32(具体的には操作信号を出力するスイッチ)に、対応する制御基板45,46から夫々供給されるよう構成されている。
【0044】
前記電源基板61には、図7に示す如く、電源断を監視する電源断監視回路(電源断監視手段)69が設けられ、外部電源から供給される電源(以下、監視電源という場合もある)の電圧が一定電圧(以下、停電検知電圧という場合もある)以下になったときに、前記メイン制御基板45およびサブ制御基板46に対して、通常の制御から電源断制御に切換えるための電源断信号を出力するよう設定されている。すなわち、電源断監視回路69は、外部電源から電源基板61に供給される電源の電圧が低下することで、当該電源基板61から各制御基板45,46に供給される電源の電圧が停電検知電圧以下となったときに、各制御基板45,46に電源断信号を出力するようになっている。そして、メイン制御基板45およびサブ制御基板46は、電源断信号を受け取ると、バックアップに必要な処理(電源断処理)を実行するようになっている。この電源断処理としては、例えば、バックアップ情報としてレジスタの値やフラグ内容等をRAMに記憶させる処理、バックアップフラグを設定(復電時には、このフラグを基にバックアップ情報に異常がないかの確認を行う)する処理、RAMに対してのアクセスを禁止する処理等がある。そして、電源断処理終了後、メイン制御基板45およびサブ制御基板46は、各制御CPU45a,46aを停止できる状態(制御CPU45a,46aの電源停止待機状態)で待機する(プログラムがループしている状態で制御CPU45a,46aへの電源の供給が途絶えるのを待っている)。なお、前記復電とは、電源スイッチ67をOFFからONに切換えたときや停電後、あるいは瞬停時に電圧が正規の電圧に達したことを意味する。前記電源断信号は、電源断時において、スロットマシン10(メイン制御基板45およびサブ制御基板46)を、電源供給の開始時(復電時)に電源断状態となる前の遊技状態で復帰させ得る状態で停止させるための処理(電源断処理)を行う契機となる処理信号であり、実施例では電源断を監視する電源断監視回路69が、スロットマシン10を停止させるための停止処理信号を出力する停止処理信号出力手段としても機能する。また、前記停電検知電圧は、スロットマシン10の各種構成部材が動作不能となる電圧より高い値に設定されており、各種構成部材が動作不能となる前にメイン制御CPU45aおよびサブ制御CPU46aが夫々電源断処理を実行するようになっている。
【0045】
ここで、前記メイン制御基板45のリセット信号回路45dおよびサブ制御基板46のリセット信号回路46dが電源断時においてリセット信号を出力する契機となるリセット検知電圧は、電源断監視回路69が電源断信号を出力する契機となる停電検知電圧より低い値に設定されており、電源断時には電源断監視回路69から電源断信号が出力された後に、リセット信号回路45d,46dから対応する制御CPU45a,46aにリセット信号が出力されるようになっている。また、電源断信号が出力された後にリセット信号が出力されるまでの時間が、電源断信号が出力されてから、該電源断信号を契機として開始されるメイン制御基板45およびサブ制御基板46の後述するバックアップ処理に必要な時間以上となるように、停電検知電圧およびリセット検知電圧が設定される。なお、電源断時においてリセット信号を出力したリセット信号回路45d,46dは、所定時間後にリセット信号の出力を停止(OFF)するよう設定されている。
【0046】
(バックアップユニット71について)
前記収納部材44に、前記メイン制御基板45に対してバックアップ用電源を供給するためのバックアップ手段(蓄電手段)としてのコンデンサ72(例えば電気二重層式が好適に用いられるが、その他の型式も採用可能である)を備えるバックアップユニット71が配設されている。そして、メイン制御基板45では、コンデンサ72から供給されるバックアップ用電源によって、該メイン制御基板45に配設されている前記メイン制御RAM45cに記憶されている制御情報を保持し得るよう構成されている。このバックアップユニット71は、図6(a),(b)に示す如く、前記電源基板61およびメイン制御基板(制御基板)45とは別体で構成されてコンデンサ72が実装されたバックアップ基板73を、バックアップ基板ケース74に収納して構成されている。バックアップ基板73には、コンデンサ72が実装される実装面に、該コンデンサ72に電気的に接続するバックアップ基板側コネクタ73aが実装されている。また、バックアップ基板ケース74は、一方に開口する箱状に形成されたものであって、対向する一対の壁(実施例では上下の壁)に内外方向に弾性変形可能な係合爪75,75が設けられており、該一対の係合爪75,75によってバックアップ基板73を着脱自在に保持し得るよう構成される。バックアップ基板73は、バックアップ基板ケース74の開口と対向する壁側に実装面を向けた姿勢で係合爪75,75によって保持されており、該バックアップ基板ケース74によってコンデンサ72を保護している。なお、バックアップ基板ケース74は透明に構成されて、内部を視認可能になっている。またバックアップ基板ケース74には、放熱用の放熱口74aが複数形成されている。
【0047】
前記バックアップ基板ケース74には、開口と対向する壁を開口側に近接するように位置させた開口用壁部76が設けられており、該開口用壁部76に、内外に貫通するコネクタ用開口部76aが形成されている。そして、前記係合爪75,75によって保持されているバックアップ基板73の前記バックアップ基板側コネクタ73aが、コネクタ用開口部76aから外部に突出するよう構成される(図5参照)。また、バックアップ基板ケース74には、図6(a),(b)に示す如く、前記係合爪75,75が形成されている一対の壁とは交差する方向で対向する一対の壁(実施例では前後の壁)の一方に、外方(前側)に延出する差込片77が設けられると共に、他方には外方(後側)に延出する連結部78が設けられている。この連結部78には、後述するネジ82を挿通するための通孔78aが形成されている。
【0048】
(ユニット取着部79について)
前記収納部材44におけるリール・制御ユニット18(支持枠41)の筐体11に対する枢支側に位置する左側壁52の外面に、前記バックアップユニット71が着脱自在に取り付けられるユニット取着部79が設けられている。このユニット取着部79は、図6(a)に示す如く、左側壁52の外面から外側方に突出する突出壁80に設けられた差込孔80aと、突出壁80から後側に離間する位置において左側壁52に形成されたネジ孔81とを備える。そして、前記バックアップ基板ケース74に設けた前記差込片77を差込孔80aに差し込んだ状態で、該バックアップ基板ケース74に設けた前記連結部78の通孔78aに挿通した固定手段としてのネジ82をネジ孔81に螺挿することで、バックアップユニット71は、バックアップ基板ケース74の開口が左側壁52で閉塞された状態で該左側壁52に位置決め固定される。また、ユニット取着部79は、前記突出壁80の上下端部から後方に延在するように左側壁52から外側方に突出する一対の規制壁83,83を備え、前記差込孔80aに差込片77を差し込んだバックアップ基板ケース74の上下両側に規制壁83,83が位置して、該バックアップ基板ケース74(バックアップユニット71)の上下方向の移動を規制し得るよう構成される。
【0049】
前記バックアップユニット71は、前記バックアップ基板73のバックアップ基板側コネクタ73aがコンデンサ72より後側に位置する状態でユニット取着部79に取り付けられている。そして、前記収納部材44の後壁51(メイン制御装置15が取り付けられる壁)に近接して位置するバックアップ基板側コネクタ73aが、バックアップ用配線(配線)84を介して前記メイン制御基板45の第2メイン用基板側コネクタ50bに電気的に接続される。バックアップ用配線84は、図5に示す如く、配線の両端部に配線側コネクタ84a,84aを接続して構成されたものであって、一方の配線側コネクタ84aがバックアップ基板側コネクタ73aに接続されると共に、他方の配線側コネクタ84aが第2メイン用基板側コネクタ50bに接続されることで、コンデンサ72からメイン制御基板45のメイン制御RAM45cにバックアップ用電源を供給し得るよう構成される。すなわち、閉店時における通常の電源OFF時や停電時等の電源断状態によって、電源基板61に外部電源から電源(電力)が供給されなくなったときに、メイン制御基板45のメイン制御RAM45cに対してコンデンサ72からバックアップ用電源を供給して、該メイン制御RAM45cに記憶されている制御情報を所定の時間(バックアップ時間)だけ保持し得るよう構成される。また、コンデンサ72は、前記電源基板61からメイン制御基板45に供給される電源によって充電されるよう構成されている。
【0050】
(サブ制御装置用のバックアップ手段について)
前記サブ制御基板46には、該サブ制御基板46に実装されているサブ制御RAM46cにバックアップ用電源を供給するためのバックアップ手段(蓄電手段)としての電池85が配設されている(図7参照)。そして、閉店時における通常の電源OFF時や停電時等の電源断状態によって、前記電源基板61に外部電源から電源(電力)が供給されなくなったときには、サブ制御基板46のサブ制御RAM46cに対して電池85からバックアップ用電源を供給して、該サブ制御RAM46cに記憶されている制御情報を所定の時間(バックアップ時間)だけ保持し得るよう構成される。また、サブ制御基板46は、前記電源断処理において電池85から供給されるバックアップ用電源によってバックアップ処理を行い得るよう構成される。
【0051】
(メイン制御RAM45cについて)
前記メイン制御基板45に設けられる前記メイン制御RAM(記憶手段)45cには、スロットマシン10の動作中に適宜書き換えられる各種制御情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。また、メイン制御RAM45cには、前記各種制御情報を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、メインバックアップエリアが設けられている。このメインバックアップエリアは、停電等によって電源供給(電力供給)が遮断された場合において、電源供給の開始時(復電時)にスロットマシン10の状態を電源供給の遮断時の状態(電源断状態となる前の遊技状態)に復帰させるべく、電源供給の遮断時の各種制御情報をバックアップ情報として記憶しておくためのエリアである。本実施例では、遊技に関する制御情報として、入賞役抽選で当選した入賞役に関する情報や、入賞役が継続中である旨等、その他各種の制御情報がメインバックアップエリアにバックアップ情報として記憶される。
【0052】
前記メインバックアップエリアへの記憶(書き込み)は、電源供給の遮断時(前記電源断信号の入力時)の電源断処理において実行され、該メインバックアップエリアに記憶されたバックアップ情報の読み出しは、電源供給の開始時(復電時)の復電処理において実行される。また、メイン制御RAM45cには、前記バックアップユニット71のコンデンサ72が接続されており、メイン制御RAM45cは、監視電源の遮断時において、コンデンサ72から供給されるバックアップ用電源によって、前記メインバックアップエリアに記憶されたバックアップ情報を電源供給の遮断後も記憶保持可能に構成される。すなわち、メイン制御基板45では、電源供給の遮断時における遊技状態や遊技内容をバックアップすることが可能となっている。なお、電源断信号の入力を契機として実行される電源断処理において、メイン制御RAM45cに記憶されている制御情報をバックアップ情報として当該メイン制御RAM45cのメインバックアップエリアに記憶する処理がバックアップ処理である。
【0053】
(サブ制御RAM46cについて)
前記サブ制御基板46に設けられる前記サブ制御RAM46cには、スロットマシン10の動作中に適宜書き換えられる各種制御情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。また、サブ制御RAM46cには、前記各種制御情報を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、サブバックアップエリアが設けられている。このサブバックアップエリアは、停電等によって電源供給(電力供給)が遮断された場合において、電源供給の開始時(復電時)にスロットマシン10の状態を電源供給の遮断時の状態(電源断状態となる前の遊技状態)に復帰させるべく、電源供給の遮断時の各種制御情報をバックアップ情報として記憶しておくためのエリアである。本実施例では、遊技に関する制御情報として、AT遊技機能が有効な状態である旨等、その他各種の制御情報がサブバックアップエリアにバックアップ情報として記憶される。
【0054】
前記サブバックアップエリアへの記憶(書き込み)は、電源供給の遮断時(前記電源断信号の入力時)の電源断処理において実行され、該サブバックアップエリアに記憶されたバックアップ情報の読み出しは、電源供給の開始時(復電時)の復電処理において実行される。また、前記サブ制御RAM46cには、サブ制御基板46に実装されている前記電池85が接続されており、サブ制御RAM46cは、監視電源の遮断時において、電池85から供給されるバックアップ用電源によって、前記サブバックアップエリアに記憶されたバックアップ情報を電源供給の遮断後も記憶保持可能に構成されている。すなわち、サブ制御基板46においても、前記メイン制御基板45と同様に電源供給の遮断時における遊技状態や遊技内容をバックアップすることが可能となっている。そして、電源断信号の入力を契機として実行される電源断処理において、サブ制御RAM46cに記憶されている制御情報をバックアップ情報として当該サブ制御RAM46cのサブバックアップエリアに記憶する処理がバックアップ処理である。
【0055】
(電源断処理について)
次に、電源供給が遮断された際に、メイン制御CPU45aおよびサブ制御CPU46aが実行する電源断処理について説明する。
【0056】
前記メイン制御CPU45aは、電源断監視回路69からの電源断信号を入力すると、メイン制御ROM45bに記憶された制御プログラムのうちのメイン制御用電源断処理プログラムに基づき、メイン制御用電源断処理を実行する。また、前記サブ制御CPU46aは、電源断監視回路69からの電源断信号を入力すると、サブ制御ROM46bに記憶された制御プログラムのうちのサブ制御用電源断処理プログラムに基づき、サブ制御用電源断処理を実行する。
【0057】
前記電源断監視回路69は、監視電源の電圧が停電検知電圧まで降下したタイミングにおいて、メイン制御CPU45aおよびサブ制御CPU45aに電源断信号を出力する。これにより、スロットマシン10の各種構成部材が動作不能となる前に、メイン制御CPU45aおよびサブ制御CPU45aが夫々電源断処理を実行する。なお、電源断監視回路69から電源断信号が出力された後、前記監視電源の電圧が更に低下して、前記制御基板45,46に配設されているリセット信号回路45d,46dに供給される電圧がリセット検知電圧まで降下したタイミングで、該リセット信号回路45d,46dから対応する制御CPU45a,46aに対してリセット信号が夫々出力される。
【0058】
(メイン制御用電源断処理について)
メイン制御用電源断処理では、図8(a)に示す如く、メイン制御CPU45aは、メイン制御RAM45cに記憶保持されている各種制御情報をメイン制御RAM45cのメインバックアップエリアにバックアップ情報として記憶保持させる(ステップA11)。その後、メイン制御CPU45aは、メイン制御RAM45cのチェックサムを算出して、メイン制御RAM45cのメインバックアップエリアに記憶保持させる(ステップA12)。
【0059】
次に、メイン制御CPU45aは、メイン制御RAM45cへのアクセスを禁止し、リセット信号回路45dからのリセット信号の入力を待機する。そして、メイン制御CPU45aは、リセット信号を入力すると、メイン制御CPU45aの動作を規制する。電源供給が遮断した後は、前記バックアップユニット71のコンデンサ72からメイン制御RAM45cにバックアップ用電源が供給され、電源断信号の入力を契機としてメインバックアップエリアに記憶されたバックアップ情報は保持される。
【0060】
(サブ制御用電源断処理について)
サブ制御用電源断処理では、図8(b)に示す如く、サブ制御CPU46aは、サブ制御RAM46cに記憶保持されている各種制御情報をサブ制御RAM46cのサブバックアップエリアにバックアップ情報として記憶保持させる(ステップB11)。その後、サブ制御CPU46aは、サブ制御RAM46cのチェックサムを算出して、サブ制御RAM46cのサブバックアップエリアに記憶保持させる(ステップB12)。
【0061】
次に、サブ制御CPU46aは、サブ制御RAM46cへのアクセスを禁止し、リセット信号回路46dからのリセット信号の入力を待機する。そして、サブ制御CPU46aは、リセット信号を入力すると、サブ制御CPU46aの動作を規制する。電源供給が遮断した後は、サブ制御基板46に実装されている前記電池85からサブ制御RAM46cにバックアップ用電源が供給され、電源断信号の入力を契機としてサブバックアップエリアに記憶されたバックアップ情報は保持される。
【0062】
(復帰処理について)
スロットマシン10への電源供給が開始された場合は、前記リセット信号回路45d,46dは、供給電圧が前記リセット検知電圧となるまでの間、対応する制御CPU45a,46aに対してリセット信号を継続出力する。そして、リセット信号回路45d,46dへの供給電圧がリセット検知電圧以上となったときに、該リセット信号回路45d,46dはリセット信号の出力を停止し、該リセット信号の出力停止を契機として各制御CPU45a,46aにおいて復帰処理プログラムが開始される。
【0063】
(メイン制御用復帰処理について)
メイン制御CPU45aは、リセット信号の入力の停止を契機として、メイン制御ROM45bに記憶されているメイン制御用復帰処理プログラムに基づき、メイン制御用復帰処理を実行する。このメイン制御用復帰処理では、図9(a)に示す如く、メイン制御CPU45aは、ステップC11において、メイン制御用電源断処理と同じ演算処理で、メイン制御RAM45cに記憶保持されている各種制御情報に基づきチェックサムを算出する。そして、メイン制御CPU45aは、ステップC11で算出したチェックサムと、メイン制御RAM45cのメインバックアップエリアに記憶保持されているチェックサムが一致するか否かを判定する(ステップC12)。ステップC12の判定結果が否定の場合は、バックアップされている各種制御情報(バックアップ情報)に異常があると判断し、メイン制御CPU45aは、ステップC13の処理に移行する。
【0064】
なお、ステップC12の判定結果が否定となる要因としては、電源供給の遮断時にメイン制御用電源断処理が正常に行われなかった場合や、メイン制御用電源断処理後にノイズ等によって記憶内容に異常が発生した場合等がある。このような場合は、ステップC11にて算出されるチェックサムが異常(異常値)を示すことになる。その他にも、電源供給が遮断されていない場合、すなわちメイン制御CPU45aが再起動した場合等があり、この場合には、メイン制御用電源断処理を実行していないことから、チェックサム自体が記憶保持されていない。
【0065】
前記ステップC12の判定結果が否定の場合は、メイン制御CPU45aはRAM異常と判定して、ステップC13においてエラー処理を行う。このエラー処理では、メダルの投入を受け付けないと共に、投入ボタン30,31およびスタートレバー32の操作信号を受け付けないようにする遊技の進行不能化制御を行うと共に、RAM異常エラーを報知する。そして、このエラー処理は、前記設定変更手段による設定変更を可能とするための前記初期化操作が行われるまで(ステップC14が肯定されるまで)ループし、ステップC14の肯定判定によってループが解除されて、ステップC15に移行する。ステップC15においてメイン制御CPU45aは、メイン制御RAM45cに記憶保持されていた各種制御情報を消去(RAMクリア)する。その後、メイン制御CPU45cは、スロットマシン10を予め設定されたデフォルト状態とするための初期情報設定を行い、スロットマシン10を起動させる(ステップC16)。また、メイン制御CPU45aは、ステップC16で設定した初期情報に対応する初期情報設定コマンドをサブ制御CPU46aに出力(ステップC17)してメイン制御用復帰処理を終了し、初期状態(デフォルト状態)とする。
【0066】
一方、ステップC12が肯定の場合、すなわちバックアップ情報が正しい場合、メイン制御CPU45aは、記憶保持されているバックアップ情報に基づきスロットマシン10を起動させる(ステップC18)。また、メイン制御CPU45aは、メイン制御RAM45cに記憶管理される制御情報を指定する復帰制御コマンドをサブ制御CPU46aに出力する(ステップC19)。そして、メイン制御CPU45aは、メイン制御用復帰処理を終了し、電源供給の遮断前の遊技状態に復帰させる。
【0067】
(サブ制御用復帰処理について)
サブ制御CPU46aは、リセット信号の入力の停止を契機として、サブ制御ROM46bに記憶されているサブ制御用復帰処理プログラムに基づき、サブ制御復帰処理を実行する。このサブ制御用復帰処理では、図9(b)に示す如く、サブ制御CPU46aは、ステップD11において、サブ制御用電源断処理と同じ演算処理で、サブ制御RAM46cに記憶保持されている各種制御情報に基づきチェックサムを算出する。そして、サブ制御CPU46aは、ステップD11で算出したチェックサムと、サブ制御RAM46cのサブバックアップエリアに記憶保持されているチェックサムが一致するか否かを判定する(ステップD12)。ステップD12の判定結果が否定の場合は、バックアップされている各種制御情報(バックアップ情報)に異常があると判断し、サブ制御CPU46aは、ステップD13の処理に移行する。
【0068】
なお、ステップD12の判定結果が否定となる要因としては、前記メイン制御用復帰処理のステップC12に関して説明した場合と同様に、電源供給の遮断時にサブ制御用電源断処理が正常に行われなかった場合や、サブ制御用電源断処理後にノイズ等によって記憶内容に異常が発生した場合等がある。このような場合は、ステップD11にて算出されるチェックサムが異常(異常値)を示すことになる。その他にも、電源供給が遮断されていない場合、すなわちサブ制御CPU46aが再起動した場合等があり、この場合には、サブ制御用電源断処理を実行していないことから、チェックサム自体が記憶保持されていない。
【0069】
前記ステップD12の判定結果が否定の場合は、ステップD13においてサブ制御CPU46aは、サブ制御RAM46cに記憶保持されていた各種制御情報を消去(RAMクリア)する。その後、サブ制御CPU46aは、各種初期設定を行い、メイン制御CPU45aが出力した初期情報制御コマンドが入力するまで待機し、初期情報制御コマンドを入力すると、スロットマシン10を起動させる(ステップD14)。また、サブ制御CPU46aは、ステップD14で設定した各種初期設定に対応する制御コマンドを制御対象となる各演出装置に出力(ステップD15)してサブ制御用復帰処理を終了し、初期状態(デフォルト状態)とする。
【0070】
一方、ステップD12が肯定の場合、すなわちバックアップされていたバックアップ情報が正しい場合、サブ制御CPU46aは、メイン制御CPU45aが出力した復帰制御コマンドが入力するまで待機し、復帰制御コマンドを入力すると、当該復帰制御コマンドから特定可能な制御情報とサブ制御RAM46cに記憶保持されている制御情報とが一致するか否かを判定する(ステップD16)。すなわち、サブ制御CPU46aは、ステップD16において、サブ制御RAM46cのサブバックアップエリアに記憶保持している制御情報(バックアップ情報)と、メイン制御RAM45cのメインバックアップエリアに記憶保持している制御情報(バックアップ情報)とが正しいか否かを判定する。
【0071】
そして、ステップD16の判定結果が否定の場合、すなわちサブ制御RAM46cにて記憶保持されているバックアップ情報とメイン制御RAM45cにて記憶保持されているバックアップ情報とが一致しない場合、サブ制御CPU46aは、ステップD13へ移行して前述した処理を行う。
【0072】
前記ステップD16の判定結果が肯定の場合、すなわちバックアップされていたバックアップ情報が正しい場合、サブ制御CPU46aは、記憶保持しているバックアップ情報に基づきスロットマシン10を起動させる(ステップD17)。その後、サブ制御CPU46aは、サブ制御RAM46cにて記憶管理されている制御情報を指定するサブ用復帰制御コマンドを各演出装置に出力し(ステップD18)、サブ制御用復帰処理を終了して電源供給の遮断前の遊技状態に復帰させる。
【0073】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例に係るスロットマシン10の作用につき説明する。
【0074】
前記スロットマシン10においてメイン制御装置15やサブ制御装置16のメンテナンスを行う場合は、前記電源基板61に設けられている電源スイッチ67をONからOFFに切換える。電源スイッチ67のOFFにより、外部電源からの電源(電力)の供給が停止し、前記電源断監視回路69からメイン制御基板45およびサブ制御基板46に対して電源断信号が出力される。メイン制御基板45およびサブ制御基板46は、電源断信号の入力を契機として、バックアップに必要な処理を実行する。すなわち、前記バックアップユニット71のコンデンサ72からメイン制御基板45にバックアップ用電源が供給され、該メイン制御基板45でのバックアップ処理が正常に行われる。また、サブ制御基板46に実装されている前記電池85から供給されるバックアップ用電源によって、当該サブ制御基板46においてもバックアップ処理が正常に行われる。そして、バックアップ処理によってメイン制御RAM45cのメインバックアップエリアに記憶されたバックアップ情報は、前記コンデンサ72から供給されるバックアップ用電源により保持される。また、バックアップ処理によってサブ制御RAM46cのサブバックアップエリアに記憶されたバックアップ情報は、前記電池85から供給されるバックアップ用電源により保持される。
【0075】
前記電源基板61から各リセット信号回路45d,46dに供給される電圧が、リセット検知電圧以下になったときに、該リセット信号回路45d,46dから対応する制御CPU45a,46aに対してリセット信号が夫々出力される。なお、リセット検知電圧は、前述したように停電検知電圧より低い値に設定されており、リセット信号は、前記電源断監視回路69から電源断信号が出力された後であって、前記メイン制御基板45およびサブ制御基板46のバックアップ処理に必要な時間を経過後にリセット信号回路45d,46dから出力される。そして、各制御CPU45a,46aは、リセット信号の入力を契機として動作を停止する処理を実行する。
【0076】
実施例のスロットマシン10では、前記電源基板61とメイン制御基板45とを電気的に接続する第1電源線65とは別のバックアップ用配線84を介して該メイン制御基板45とバックアップ基板73(コンデンサ72)とを接続するよう構成したので、第1電源線65のメイン用配線側コネクタ65aを第1メイン用基板側コネクタ50aまたはメイン用電源側コネクタ63から抜き外しても、コンデンサ72からのバックアップ用電源はバックアップ用配線84を介してメイン制御RAM45cに供給される。すなわち、メンテナンス等に際して電源基板61とメイン制御基板45との電気的な接続を切っても、メイン制御基板45のメイン制御RAM45cに記憶されているバックアップ情報を保持することができる。
【0077】
前記第1電源線65のメイン用配線側コネクタ65aが接続される第1メイン用基板側コネクタ50aおよびバックアップ用配線84の配線側コネクタ84aが接続される第2メイン用基板側コネクタ50bを、図5に示す如く、前記メイン制御基板45に並べて実装しているので、該メイン制御基板45においてメイン制御RAM45cに電源を供給する回路構成を簡略化することができる。
【0078】
前記第1メイン用基板側コネクタ50aは、メイン制御基板45に対し、該メイン制御基板45が取り付けられているリール・制御ユニット18(収納部材44)における前記筐体11に対する枢支側の端部に実装してあるので、該リール・制御ユニット18を筐体11に対して収納位置と非収納位置との間で回動する際に、筐体11の収容空間20内に配置されている電源基板61(電装箱62)とメイン制御基板45とを接続する第1電源線65が変位する量を小さくすることができる。すなわち、リール・制御ユニット18の回動を許容するために必要となる第1電源線65の余裕分を小さくすることができ、該第1電源線65の引き回し処理が容易となる。また、前記サブ用基板側コネクタ60は、サブ制御基板46に対し、該サブ制御基板46が取り付けられているリール・制御ユニット18(収納部材44)における筐体11に対する枢支側の端部に実装してあるので、該リール・制御ユニット18を筐体11に対して収納位置と非収納位置との間で回動する際に、筐体11の収容空間20内に配置されている電源基板61(電装箱62)とサブ制御基板46とを接続する第2電源線66が変位する量を小さくすることができる。すなわち、リール・制御ユニット18の回動を許容するために必要となる第2電源線66の余裕分を小さくすることができ、該第2電源線66の引き回し処理が容易となる。
【0079】
前記バックアップユニット71を、前記メイン制御基板45が取り付けられる前記収納部材44に配設してバックアップ基板73とメイン制御基板45とを近接しているので、両基板45,73を接続するバックアップ用配線84の接続状態の確認が容易となる。また実施例では、収納部材44にメイン制御装置15を取り付けた状態で、前記メイン制御基板45における第2メイン用基板側コネクタ50bが実装される端部側に近接してバックアップユニット71を収納部材44に取り付けているので、バックアップ基板73とメイン制御基板45とをより近接することができる。更に、前記収納部材44の外面(後面および左側面)にメイン制御基板45とバックアップ基板73を取り付けているので、前記筐体11に対してリール・制御ユニット18を非収納位置に回動した状態で、両基板45,73が筐体11の前側に露出するので、両基板45,73に対するバックアップ用配線84の接続状態をより簡単に確認することができる。
【0080】
また、前記バックアップユニット71を、メイン制御基板45および電源基板61とは独立して収納部材44に対して着脱し得るので、コンデンサ72の劣化等によって交換が必要となった場合の交換作業が容易である。
【0081】
(変更例)
本願発明は、前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、メイン制御基板にバックアップ用電源を供給するバックアップ手段としてコンデンサを用いたが、電池であってもよい。
(2) 実施例では、サブ制御基板にバックアップ用電源を供給する電池を該サブ制御基板に実装するよう構成したが、該サブ制御基板とは別に構成したバックアップ基板に実装したコンデンサから該サブ制御基板(サブ制御RAM)にバックアップ用電源を供給する構成を採用し得る。すなわち、実施例におけるメイン制御基板とバックアップユニットとの関係を、サブ制御基板に適用することができる。
(3) 実施例では、共通の部材(収納部材)にメイン制御基板とバックアップユニット(バックアップ基板)とを取り付けるよう構成したが、メイン制御基板とバックアップユニット(バックアップ基板)とを別々の部材に取り付けるようにしてもよい。
(4) 実施例では、メイン制御基板およびバックアップユニット(バックアップ基板)を取り付ける部材(収納部材)を筐体に対して回動自在に配設した場合で説明したが、該部材を筐体に固定したり、またはメイン制御基板およびバックアップユニット(バックアップ基板)を直に筐体に取り付ける構成を採用し得る。
【0082】
(5) 実施例では、リールユニットが配設された支持枠に制御ユニットを配設したが、制御ユニットをリールユニットとは別に筐体に回動自在に配設する構成を採用し得る。すなわち、制御装置が取り付けられている収納部材(基板取付部材)を、筐体に対して単独で回動自在に枢支する構成であってもよい。
(6) 実施例では、メイン制御基板およびサブ制御基板の夫々にリセット信号回路を設けた場合で説明したが、電源基板にリセット信号回路を設け、電源断監視回路からリセット信号回路に電源断信号を出力するよう構成し、該リセット信号回路が、電源断信号の入力後であってバックアップ処理に必要な時間が経過した後にメイン制御基板およびサブ制御基板に対してリセット信号を夫々出力するよう構成してもよい。
(7) 実施例では、各種の報知や演出のための動画等を表示可能な表示装置を設けたスロットマシンを挙げたが、該表示装置を備えていないものであってもよい。
(8) 遊技機としては、メダルを用いるスロットマシンに限られるものではなく、遊技媒体としてパチンコ球(遊技球)を用いたパチンコ機やアレンジボール機、あるいはパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。すなわち、パチンコ機は、遊技店の設置枠台に固定される固定枠としての外枠の開口前面側に、遊技盤を着脱可能に保持する本体枠としての中枠が開閉および着脱可能に組み付けられ、該中枠の前面側に、遊技盤を透視可能に保護する装飾枠としての前枠が開閉可能に組み付けられると共に、該中枠の後側に、パチンコ機の遊技や演出に係る各種制御情報を記憶する記憶手段を備えて、遊技や演出に係る制御を行う制御基板(メイン制御基板、サブ制御基板)および該制御基板に外部電源からの電源を供給する電源基板が取り付けられている。そこで、パチンコ機の中枠の後側に取り付けられる制御基板(記憶手段)に対する電源基板との接続構成やバックアップ用電源の供給構造として、実施例の構造を採用することができる。
【符号の説明】
【0083】
11 筐
20 収納空間
44 収納部材(基板取付部材)
45 メイン制御基板(制御基板)
45c メイン制御RAM(記憶手段)
50a 第1メイン用基板側コネクタ(第1コネクタ)
50b 第2メイン用基板側コネクタ(第2コネクタ)
61 電源基板(電源供給手段)
9 電源断監視回路(電源断監視手段)
72 コンデンサ(バックアップ手段、蓄電手段)
73 バックアップ基板
73a バックアップ基板側コネクタ
74 バックアップ基板ケース
75 係合爪
79 ユニット取着部(取着部)
84 バックアップ用配線(配線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9