特許第6298445号(P6298445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298445
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】グリーンネットワーク構築方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   H04L12/46 M
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-508211(P2015-508211)
(86)(22)【出願日】2014年3月3日
(86)【国際出願番号】JP2014055251
(87)【国際公開番号】WO2014156485
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】特願2013-74675(P2013-74675)
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501175281
【氏名又は名称】株式会社サイバー・ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100088096
【弁理士】
【氏名又は名称】福森 久夫
(72)【発明者】
【氏名】キニ グレン マンスフィールド
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−148023(JP,A)
【文献】 特開2011−044842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Layer−2ネットワーク内における効率的な省電力化を図るためのグリーンアーキテクチャを構築するグリーンネットワーク構築方法であって、
ネットワーク内で通信される全てのブロードキャストパケットを収集して{タイムスタンプ(TStamp), 送信元MACアドレス(SMAC), 送信元IPアドレス(SIP), 送信先IPアドレス(DIP) }のパケット情報を抽出するパケット収集プロセスと、
前記パケット収集プロセスで抽出されたパケット情報から{TStamp, SMAC, SIP}の情報を基に{MACアドレス(MAC), IPアドレス(IP), 最新のタイムスタンプ(LastTimeStamp)}のMAC−IP履歴テーブル(MIPT)を生成するMAC−IP履歴生成プロセスと、
前記MAC−IP履歴生成プロセスで生成されたMIPTの情報を基に、前記パケット収集プロセスで抽出された全てのパケット情報を{送信元MACアドレス(SMAC), 送信先MACアドレス(DMAC)}のカテゴリに分類して、該カテゴリ毎のパケット数を一定間隔のタイムスロット毎にカウントして{時間間隔(TimePeriod), 送信元MACアドレス(SMAC), 送信先MACアドレス(DMAC), アクセス数(Count)}のアクセス履歴テーブル(MAcT)を生成するアクセス分析プロセスと、
L2スイッチ毎に、L2スイッチのポートに接続された装置を検出して、前記アクセス分析プロセスで生成されたMAcTの情報を基に、所定時間内におけるそれら装置のアクセス数を分析して{時間帯(HourlyPeriod), L2スイッチポート(Port), 送信先MACアドレス(DMAC), アクセス数(Count)}のL2スイッチ状態テーブル(MDMAcT)を生成するL2スイッチポート分析プロセスと、
前記L2スイッチポート分析プロセスで生成されたMDMAcTの情報を基に、アクセスの有る(1≦Count)ポートを持つ特定のL2スイッチを抽出し、当該L2スイッチのアクセスの有るポートに接続されている装置(DMAC)を当該MDMAcTから削除し、別のL2スイッチのMDMAcTに追加する処理を行うことで、MDMAcTのポート接続構成が更新されたグリーンL2スイッチ状態テーブル(GMDMAcT)を生成するグリーンアーキテクチャ構築プロセスと、
を有することを特徴とするグリーンネットワーク構築方法。
【請求項2】
前記グリーンアーキテクチャ構築プロセスは、前記L2スイッチポート分析プロセスで生成されたMDMAcTの情報を基に、アクセスの有る(1≦Count)ポート数が一番少ないL2スイッチを検出して、そのアクセスの有るポートに接続されている装置(DMAC)を当該MDMAcTから削除し、別のL2スイッチのMDMAcTに追加する処理を繰り返し行うことで、MDMAcTのポート接続構成が更新されたGMDMAcTを生成することを特徴とする請求項1に記載のグリーンネットワーク構築方法。
【請求項3】
L2スイッチ毎に、前記グリーンアーキテクチャ構築プロセスでL2スイッチのポート接続構成が変更されたGMDMAcTの情報を表示する可視化プロセスを有することを特徴とする請求項2に記載のグリーンネットワーク構築方法。
【請求項4】
前記可視化プロセスは、前記アクセス分析プロセスで生成されたアクセス履歴テーブル(MAcT)を参照して、特定の装置間の通信時間帯を分析し、その時間帯が予め設定された閾値よりも長くなった場合に、それらの装置が接続されているL2スイッチの情報を表示することを特徴とする請求項3に記載のグリーンネットワーク構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Layer-2ネットワーク内におけるグリーンネットワーク構築方法に係り、特にLayer-2ネットワーク内における効率的な省電力化を図るためのグリーンアーキテクチャを構築する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスや学校等におけるネットワーク環境の利用が増大してきている中で、使用されていない機器により消費される電力を削減する省電力化に関する技術(グリーンアーキテクチャ)の開発が進んできている。
【0003】
例えば、特許文献1では、サーバルーム内のラック群のうち、所定のラック内のサーバに処理を集中させ、稼働中のサーバが無くなったラックの電源を停止させて省電力化を図る方法が開示されている。
【0004】
また特許文献2では、ネットワークの冗長構成部分となっているルータおよびスイッチの電源を制御することにより、ネットワークシステムの省電力化を図る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−082799
【特許文献2】特開2012−244440
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Layer-2ネットワーク内において効率的な省電力化を図るためには、ネットワーク内に設置された全ての装置(特にL2スイッチ)の使用状況を監視して、その使用状況に応じて当該装置への電力供給を制御する方法が有効であると考えられる。
【0007】
例えば、21時から翌日8時までの間、使用されていないL2スイッチに対して、当該時間帯に電力供給を停止することで省電力化を図ることができる。
【0008】
本発明の目的は、Layer-2ネットワーク内における効率的な省電力化を図るためのグリーンアーキテクチャを構築する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、Layer-2ネットワーク内における効率的な省電力化を図るためのグリーンアーキテクチャを構築するグリーンネットワーク構築方法であって、
ネットワーク内で通信される全てのブロードキャストパケットを収集して{タイムスタンプ(TStamp), 送信元MACアドレス(SMAC), 送信元IPアドレス(SIP), 送信先IPアドレス(DIP) }のパケット情報を抽出するパケット収集プロセスと、
前記パケット収集プロセスで抽出されたパケット情報から{TStamp, SMAC, SIP}の情報を基に{MACアドレス(MAC), IPアドレス(IP), 最新のタイムスタンプ(LastTimeStamp)}のMAC-IP履歴テーブル(MIPT)を生成するMAC-IP履歴生成プロセスと、
前記MAC-IP履歴生成プロセスで生成されたMIPTの情報を基に、前記パケット収集プロセスで抽出された全てのパケット情報を{送信元MACアドレス(SMAC),
送信先MACアドレス(DMAC)}のカテゴリに分類して、該カテゴリ毎のパケット数を一定間隔のタイムスロット毎にカウントして{時間間隔(TimePeriod),
送信元MACアドレス(SMAC), 送信先MACアドレス(DMAC), アクセス数(Count)}のアクセス履歴テーブル(MAcT)を生成するアクセス分析プロセスと、
L2スイッチ毎に、L2スイッチのポートに接続された装置を検出して、前記アクセス分析プロセスで生成されたMAcTの情報を基に、所定時間内におけるそれら装置のアクセス数を分析して{時間帯(HourlyPeriod),
L2スイッチポート(Port), 送信先MACアドレス(DMAC), アクセス数(Count)}のL2スイッチ状態テーブル(MDMAcT)を生成するL2スイッチポート分析プロセスと、
前記L2スイッチポート分析プロセスで生成されたMDMAcTの情報を基に、アクセスの有る(1≦Count)ポートを持つ特定のL2スイッチを抽出し、当該L2スイッチのアクセスの有るポートに接続されている装置(DMAC)を当該MDMAcTから削除し、別のL2スイッチのMDMAcTに追加する処理を行うことで、MDMAcTのポート接続構成が更新されたグリーンL2スイッチ状態テーブル(GMDMAcT)を生成するグリーンアーキテクチャ構築プロセスと、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のグリーンネットワーク構築方法であって、
前記グリーンアーキテクチャ構築プロセスは、前記L2スイッチポート分析プロセスで生成されたMDMAcTの情報を基に、アクセスの有る(1≦Count)ポート数が一番少ないL2スイッチを検出して、そのアクセスの有るポートに接続されている装置(DMAC)を当該MDMAcTから削除し、別のL2スイッチのMDMAcTに追加する処理を繰り返し行うことで、MDMAcTのポート接続構成が更新されたGMDMAcTを生成することを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のグリーンネットワーク構築方法であって、
L2スイッチ毎に、前記グリーンアーキテクチャ構築プロセスでL2スイッチのポート接続構成が変更されたGMDMAcTの情報を表示する可視化プロセスを有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のグリーンネットワーク構築方法であって、
前記可視化プロセスは、前記アクセス分析プロセスで生成されたアクセス履歴テーブル(MAcT)を参照して、特定の装置間の通信時間帯を分析し、その時間帯が予め設定された閾値よりも長くなった場合に、それらの装置が接続されているL2スイッチの情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、所定の時間帯におけるL2スイッチの各ポートの通信状態、すなわち各ポートに接続された装置の通信頻度が容易にわかるようになるとともに、グリーンアーキテクチャ構築のためにL2スイッチのポート接続構成が自動的に変更されようになる。これによりLayer-2ネットワーク内における効率的な省電力化を図ることが可能になる。
【0014】
請求項2の発明によれば、グリーンアーキテクチャ構築のためにL2スイッチのポート接続構成の変更を効率的に行うことが可能になる。
【0015】
請求項3の発明によれば、ネットワーク管理者は、L2スイッチのポート接続構成の変更情報を参照して、容易にL2スイッチのポート接続構成を変更することができるようになる。また所定の時間帯に全ポートにアクセスの無いL2スイッチがわかるようになり、その時間帯において該当するL2スイッチを電源OFFすることが可能となる。すなわち、無駄な電力を使用せずにネットワーク内における省電力化を実現することが可能となる。
【0016】
請求項4の発明によれば、ネットワーク管理者は、特定の装置間の通信時間が閾値よりも長くなった場合に表示されるL2スイッチの情報を見て、それぞれが異なるL2スイッチの場合は、長時間にわたる通信がL2スイッチを経由して行われていることがわかるようになり、例えばネットワーク内の通信負荷を軽減するために、当該装置を同じL2スイッチに接続して容易に接続構成を変更することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るグリーンネットワーク構築方法を説明するフローチャート図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るグリーンネットワーク構築方法を説明するネットワーク構成図の一例を示した模式図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るグリーンネットワーク構築方法において、パケット情報から生成するテーブルの一例を示した模式図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るグリーンネットワーク構築方法において、L2スイッチ状態テーブルの一例を示した模式図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るグリーンネットワーク構築方法において、グリーンアーキテクチャ構築におけるアルゴリズムの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0018】
M1 ネットワーク監視端末
S1〜S2 L2スイッチ
N11〜N33 通信装置
H1〜H2 サーバ
R1 ルータ
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施形態により限定されるものではない。
【0020】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態に係るグリーンネットワーク構築方法は、Layer-2ネットワーク内に設置された全装置間の通信を監視・分析することにより、Layer-2ネットワーク内における効率的な省電力化を図るためのグリーンアーキテクチャを構築する方法であり、図1に示すフローチャートを用いて説明する。
【0021】
パケット収集プロセスS01では、Layer-2ネットワーク内で通信される全てのブロードキャストパケットを収集して{タイムスタンプ(TStamp), 送信元MACアドレス(SMAC),
送信元IPアドレス(SIP), 送信先IPアドレス(DIP) }のパケット情報を抽出する。ここで、Layer-2ネットワーク内で通信されるブロードキャストパケットとして、例えばIpv4プロトコルの場合にはARPパケットがある。
【0022】
次にMAC-IP履歴生成プロセスS02では、パケット収集プロセスS01で抽出されたパケット情報から{TStamp, SMAC, SIP}の情報を基に{MACアドレス(MAC),
IPアドレス(IP), 最新のタイムスタンプ(LastTimeStamp)}のMAC-IP履歴テーブル(MIPT)を生成する。すなわち、このプロセスS02では、Layer-2ネットワーク内に設置された装置間の通信パケットの情報から、装置のMACアドレス(MAC)とIPアドレス(IP)の対応表に最新のタイムスタンプ(LastTimeStamp)を付加した履歴テーブル(MIPT)を作成し、その後同じMACとIPを持つ通信パケットが現れたら、その通信パケットのタイムスタンプ(TStamp)の情報をLastTimeStampに上書きする。
【0023】
次にアクセス分析プロセスS03では、MAC-IP履歴生成プロセスS02で生成されたMIPTの情報を基に、パケット収集プロセスS01で抽出された全てのパケット情報を{送信元MACアドレス(SMAC),
送信先MACアドレス(DMAC)}のカテゴリに分類して、該カテゴリ毎のパケット数を一定間隔のタイムスロット毎にカウントして{時間間隔(TimePeriod),
送信元MACアドレス(SMAC), 送信先MACアドレス(DMAC), アクセス数(Count)}のアクセス履歴テーブル(MAcT)を生成する。ここで、送信先MACアドレス(DMAC)については、パケット収集プロセスS01で抽出されたパケット情報の送信先IPアドレス(DIP)からMIPTを参照することにより求めることができる。
【0024】
このアクセス履歴テーブル(MAcT)により、所定時間内における装置間のアクセス履歴がわかるようになり、例えば、どの装置間で通信が行われたのか、どの位の頻度で通信がおこなわれているのか、また通信が継続している時間はどの程度なのか、等の情報を知ることができるようになる。
【0025】
また上記で説明した所定時間、すなわちアクセス履歴テーブル(MAcT)の時間間隔(TimePeriod)については、ネットワーク環境等を考慮して自由に設定することが可能である。
【0026】
次にL2スイッチポート分析プロセスS04では、L2スイッチ毎に、L2スイッチのポートに接続された装置を検出して、アクセス分析プロセスS03で生成されたアクセス履歴テーブル(MAcT)の情報を基に、所定時間内におけるそれら装置のアクセス数を分析して{時間帯(HourlyPeriod),
L2スイッチポート(Port), 送信先MACアドレス(DMAC), アクセス数(Count)}のL2スイッチ状態テーブル(MDMAcT)を生成する。
【0027】
ここでL2スイッチのポートに接続された装置を検出する方法については、特許第4653164号(特許権者および発明者は、本願の出願人および発明者と同じ)に開示された方法を用いることができる。
【0028】
L2スイッチ毎に生成されたL2スイッチ状態テーブル(MDMAcT)により、所定の時間帯(HourlyPeriod)におけるL2スイッチの各ポートの通信状態、すなわち各ポートに接続された装置(DMAC)の通信頻度がわかるようになる。また時間帯(HourlyPeriod)については、ネットワーク環境等を考慮して自由に設定することが可能である。
【0029】
次にグリーンアーキテクチャ構築プロセスS05では、L2スイッチポート分析プロセスS04で生成されたMDMAcTの情報を基に、アクセスの有る(1≦Count)ポートを持つ特定のL2スイッチを抽出し、当該L2スイッチのアクセスの有るポートに接続されている装置(DMAC)を当該MDMAcTから削除し、別のL2スイッチのMDMAcTに追加する処理を行うことで、MDMAcTのポート接続構成が更新されたグリーンL2スイッチ状態テーブル(GMDMAcT)を生成する。このグリーンL2スイッチ状態テーブル(GMDMAcT)を生成するアルゴリズムの一例を図5
示す。
【0030】
図5に示す例では、MDMAcTの情報を基に、アクセスの有る(1≦Count)ポート数が一番少ないL2スイッチを検出して、そのアクセスの有るポートに接続されている装置(DMAC)を当該MDMAcTから削除し、別のL2スイッチのMDMAcTに追加する処理を繰り返し行うことで、MDMAcTのポート接続構成が更新されたGMDMAcTを生成することを示している。
【0031】
次に可視化プロセスS06では、L2スイッチ毎に、グリーンアーキテクチャ構築プロセスS05でL2スイッチのポート接続構成が変更されたGMDMAcTの情報を表示する。ネットワーク管理者は、L2スイッチ毎のGMDMAcT情報を基に、容易にL2スイッチのポート接続構成を変更することができるようになる。
【0032】
またL2スイッチ毎のGMDMAcTの情報により、所定の時間帯(HourlyPeriod)において、全ポートにアクセスの無い(Count=0)L2スイッチがわかるようになり、その時間帯において該当するL2スイッチを電源OFFすることが可能となる。すなわち、無駄な電力を使用せずにネットワーク内における省電力化を実現することが可能となる。
【0033】
次に、上記で説明したグリーンネットワーク構築方法について、図2に示したネットワーク構成図、図3および図4に示したテーブルを用いて具体的に説明する。
【0034】
パケット収集プロセスS01は、図2に示したLayer-2ネットワーク内で通信される全てのブロードキャストパケットを収集して、図3に示したパケット情報{タイムスタンプ(TSt
amp), 送信元MACアドレス(SMAC), 送信元IPアドレス(SIP), 送信先IPアドレス(DIP) }を抽出する。この例では、10:00:00〜10:09:10の時間帯に抽出したパケット情報を示しており、例えば10:00:00の時刻に通信装置N31からサーバH1にブロードキャストパケットが送信されたことを示している。
【0035】
次にMAC-IP履歴生成プロセスS02は、パケット情報から{TStamp, SMAC, SIP}の情報を基に{MACアドレス(MAC),
IPアドレス(IP), 最新のタイムスタンプ(LastTimeStamp)}の履歴テーブル(MIPT)を生成する。
【0036】
このMIPTの生成例について以下に説明する。
{MAC-N31, IP-N31}:Tstamp=10:00:00の情報がLastTimeStampに設定される。
{MAC-H1, IP-H1}:Tstamp=10:00:10, 10:03:10, 10:06:10, 10:09:10の情報の中から最後の10:09:10の情報がLastTimeStampに設定される。
{MAC-N22, IP-N22}:Tstamp=10:01:30の情報がLastTimeStampに設定される。
{MAC-H2, IP-H2}:Tstamp=10:01:40, 10:04:50の情報の中から最後の10:04:50の情報がLastTimeStampに設定される。
{MAC-N31, IP-N31-1}:Tstamp=10:03:00, 10:06:00のの中から最後の10:06:00の情報がLastTimeStampに設定される。ここでは通信装置N31のIPアドレスがIP-N31からIP-N31-1に変更されているため、上記{MAC-N31,
IP-N31}のLastTimeStampは更新されない。
{MAC-N11, IP-N11}:Tstamp=10:04:40の情報がLastTimeStampに設定される。
{MAC-N31, IP-N31}:Tstamp=10:09:00の情報がLastTimeStampに設定される。ここでは通信装置N31のIPアドレスがIP-N31-1からIP-N31に変更されているため、上記{MAC-N31,
IP-N31}のLastTimeStampは更新されない。
【0037】
次にアクセス分析プロセスS03は、MIPTの情報を基に、パケット情報を{送信元MACアドレス(SMAC), 送信先MACアドレス(DMAC)}のカテゴリに分類して、該カテゴリ毎のパケット数を10分間隔のタイムスロット毎にカウントして{時間間隔(TimePeriod),
送信元MAC
アドレス(SMAC), 送信先MACアドレス(DMAC), アクセス数(Count)}のアクセス履歴テーブル(MAcT)を生成する。ここで、送信先MACアドレス(DMAC)については、パケット情報の送信先IPアドレス(DIP)からMIPTを参照することにより求めることができる。
【0038】
このMAcTの例では、10:00:00〜10:09:59の時間帯に、N31-H1間のアクセス数:8回、N22-H2間のアクセス数:2回、N11-H2間のアクセス数:2回であることを示している。
【0039】
次にL2スイッチポート分析プロセスS04は、L2スイッチ毎に、L2スイッチのポートに接続された装置を検出して、図3に示したMAcTの情報を基に、所定時間内におけるそれら装置のアクセス数を分析して{時間帯(HourlyPeriod),
L2スイッチポート(Port), 送信先MACアドレス(DMAC), アクセス数(Count)}のL2スイッチ状態テーブル(MDMAcT)を生成する。L2スイッチS3のMDMAcTの例を図4に示す。
【0040】
このMDMAcTの例では、21:00:00〜21:59:59の時間帯にポート4に接続されている通信装置N33のアクセス数:6回であり、その他の通信装置N31,N32のアクセス数:0回であることを示している。
【0041】
次にグリーンアーキテクチャ構築プロセスS05は、図4に示すようにL2スイッチS2のMDMAcTの情報を基に、L2スイッチS3のアクセスの有るポート4に接続されている装置N33のDMACを当該MDMAcTから削除し、別のL2スイッチS2のMDMAcTに追加する処理を行うことで、MDMAcTのポート接続構成が更新されたグリーンL2スイッチ状態テーブル(GMDMAcT)を生成する。このグリーンL2スイッチ状態テーブル(GMDMAcT)を生成するアルゴリズムの一例を図5に示す。
【0042】
この例では、L2スイッチS3のGMDMAcTにおいて、ポート4に通信装置N33のDMACが設定されていない。またL2スイッチS2のGMDMAcTにおいて、空きポートであったポート1に通信装置N33のDMACが設定されるようになる。
【0043】
次に可視化プロセスS06は、L2スイッチのポート接続構成が変更されたS2とS3のGMDMAcTの情報を表示する。ネットワーク管理者は、この情報を基に、容易にL2スイッチS2およびS3のポート接続構成を変更する、すなわちL2スイッチS2のポート4に接続されていた通信装置N33を、そのポートから取り外し、別のL2スイッチS2の空きポートであったポート1に通信装置N33を接続することができるようになる。
【0044】
またL2スイッチS3のGMDMAcTの情報により、時間帯21:00:00〜21:59:59において、全ポートにアクセスの無い(Count=0)ことがわかるようになり、その時間帯においてL2スイッチS3を電源OFFすることが可能となる。すなわち、時間帯21:00:00〜21:59:59において、使用されていないL2スイッチS3の電力供給を停止することで省電力化を図ることができるようになる。
【0045】
上述した例では、時間帯21:00:00〜21:59:59にL2スイッチS3の全ポートにアクセスの無い状態であることを説明したが、その後の時間帯でも同じ状態が継続する場合は、例えば時間帯21:00:00〜翌日07:59:59において、使用されていないL2スイッチS3の電力供給を停止することで省電力化を図ることができるようになる。
【0046】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係るグリーンネットワーク構築方法について説明する。第2実施形態では、第1実施形態で説明したプロセスS01〜S05については同じであるので、可視化プロセスS06について説明する。
【0047】
可視化プロセスS06は、アクセス分析プロセスで生成されたアクセス履歴テーブル(MAcT)を参照して、特定の装置間の通信時間帯を分析し、その時間帯が予め設定された閾値よりも長くなった場合に、それらの装置が接続されているL2スイッチの情報を表示する。すなわち可視化プロセスS06は、ネットワーク内で長時間に渡り通信をしている装置を検出し、それらの装置が接続されている2つのL2スイッチの情報を表示する。
【0048】
ここで装置が接続されているL2スイッチを検出する方法については、特許第4653164号(特許権者および発明者は、本願の出願人および発明者と同じ)に開示された方法を用いることができる。
【0049】
ネットワーク管理者は、上記2つのL2スイッチの情報を見て、それぞれが異なるL2スイッチの場合は、長時間にわたる通信がL2スイッチを経由して行われていることがわかるようになり、例えばネットワーク内の通信負荷を軽減するために、当該装置を同じL2スイッチに接続して容易に接続構成を変更することが可能になる。
【0050】
次に図3に示したアクセス履歴テーブル(MAcT)を用いて具体的に説明する。このMAcTの例では、10:00:00〜10:09:59の時間帯に、N31-H1間のアクセス数が8回あったことを示しているが、その後の時間帯においても継続してN31-H1間のアクセスがあり、例えば10:00:00〜10:29:59の時間帯に継続してN31-H1間のアクセスがあった場合に、N31-H1間のアクセス時間帯の閾値として15分に設定されていれば、このN31-H1間のアクセスが検出され、N31が接続されているL2スイッチS3とH1が接続されているL2スイッチS1が表示されることになる。
【0051】
ネットワーク管理者は、この情報を見て、例えばN31をL2スイッチS3から取り外して、L2スイッチS1に接続して容易に接続構成を変更することができる。これにより、ネットワーク内の通信負荷が軽減されることになり、ネットワーク全体としての省電力化も期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、Layer-2ネットワーク内における効率的な省電力化を図るためのグリーンアーキテクチャを構築するシステムに適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5