(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ミキサーの加熱中において、前記第1の混合要素が屈曲して混合要素の熱膨張による前記ハウジングに加わる応力を減らすように、前記第1の混合要素は、前記基部の中央の平面部から半径方向外向きに位置付けられた屈曲部または幾何学的形状を含む、請求項1に記載のミキサー。
前記ハウジングは、前記ミキサーの加熱中において、熱膨張による前記第1の混合要素のサイズの増大に応じて曲がるように位置およびサイズが決められたバネ部分を複数含む、請求項4に記載のミキサー。
前記ハウジングは、第1および第2の対向する端面を前記1対のスロットのうちの片方のスロットの両側に含み、前記第1のフランジは前記第1および第2の端面の間に位置付けられる、請求項9に記載のミキサー。
前記第1の混合要素を収容する前記1対のスロットは止め面に終端し、前記第1および第2のフランジの位置は前記止め面によって限定される、請求項1に記載のミキサー。
【背景技術】
【0002】
いくつかの一段型ミキサーは、最も密接に関連する従来技術から公知である。
【0003】
特許文献1には、流れ誘導面のための壁構造が設けられたミキサーが記載されている。この壁構造は、ハウジングのプロファイルを基本的に占め、ひいては相対的に高い動圧損失を引き起こす。この壁構造は、流れ方向に平行に位置合わせされた波状に起伏する条片材から成るいくつかの層から成る。個々の層は、流れ方向を横切る方向にそれぞれ延在し、流れ方向を横切る方向に位置合わせされて互いに上下に積み重ねられる。ここで、個々の層の条片材は、隣接し合う層の条片材の間に複数のセルが形成されてこれらのセルの各々を流れ方向に通過できるように、積み重ねられる。
【0004】
丸みのある波状起伏に加え、条片材の波状起伏を矩形または台形形状で設計することも可能である。この結果として、個々のセルのプロファイルを矩形または六角形で、あるいはハニカム形状で、実現できる。条片材は支持体を形成し、その上に複数の流れ誘導面が混合フィンとして対で形成される。この目的のために、支持体は、混合フィンを有する領域と、これに連結された、混合フィンの無い領域とを交互に備えるので、1つの混合フィンが各セルに入り込む。
【0005】
特許文献2には、互いに前後に直接配置された複数のフィンから成るフィンユニットによって排気ガスの混合を引き起こす排気ガス混合装置が記載されている。これらフィンユニットは、流れ方向を横切る方向に互いに隣接して、流れ方向に前後に配置される。複数のフィンは、支持体なしに互いに直接連結され、中心平面に対して鏡面対称に配置される。
【0006】
特許文献3には、特に、窒素酸化物を含有する排気ガスに還元剤を追加するために、ガス流路に流入する大量のガス流に流体を混合するための装置が記載されている。この目的のために、流体送達用のノズルを有するノズルランスが用いられる。その軸線は、大量のガス流の流れ方向に対して傾斜している。平坦なミキサー要素が、空間を置いて、ノズルに割り当てられる。ミキサー要素は、大量のガス流の流れ方向に対して傾斜している。ミキサー要素上で流れ渦が複数形成され、流体の少なくとも一部がこれらの流れ渦に入る。被膜の形成を防ぐために、液体が流体として用いられる場合は、大量のガス流の流れ方向に対して傾斜した、互いに反対方向に向いた少なくとも2つのアトマイザノズルがノズルランスに設けられる。両アトマイザノズルは、気化した気体状部分と気化していない飛沫部分との分離が可能であるように、ディスク式ミキサー要素に割り当てられる。
【0007】
特許文献4には、排気ガスを誘導する排気ガスラインと、この排気ガスラインに液体を注入する注入装置とを有する、燃焼機用の排気ガスプラントが記載されている。この排気ガスラインには、排気ガスラインの長手方向に延在する管状板体を少なくとも1つ備えた気化ユニットが注入装置の下流に設けられ、これによって注入された液体の気化を向上させる。更に、気化装置を排気ガスライン内に取り付ける、または前記排気ガスラインに対して気化装置を緊張させる、バネ式クランプ装置が設けられる。
【0008】
特許文献5には、最も密接に関連する従来技術として、還元剤の注入装置を有する排気ガスシステムが記載されている。この排気ガスシステムにおいては、排気ガスラインの長手方向に延在する壁を少なくとも1つ備えた板体が注入装置の下流に配置される。この壁はその両側が排気ガス流に暴露される。この壁の少なくとも一部に還元剤が噴射されることにより、液状の還元剤が蒸気または気体状態に変換される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の概念は、排気ガス管の形状に応じて排気ガスと流体との混合度を上げる方法を提供することである。
【0011】
本解決策は、注入装置によって排気ガスシステムの排気ガス管に注入された流体を排気ガス管内の排気ガス流に混合する方法である。本方法は、以下の方法段階を特徴とする。
a)排気ガス流は、注入装置の領域において、排気ガス管に平行な流れ方向に排気ガス管内を誘導されている。
b)流体は、上記流れ方向から角度seだけ逸れる中心注入方向に注入され、排気ガス管内に配置された偏向要素に直接衝突する。
c)上記偏向要素に設けられた、上記流れ方向に対して角度svで少なくとも部分的に立ち上がる少なくとも1つの金属薄板部材によって、排気ガス流の一部が、上記流れ方向を基準として、その流れ方向から中心分散方向に方向転換される。
d)当該流体の少なくとも一部は、偏向要素に衝突する前および後に、方向転換された排気ガス流部分によって分散方向に運ばれ、立ち上がった金属薄板部材によって分散方向に方向転換される。ここで不可欠なことは、排気ガス流がミキサーの前で金属薄板部材によって、上記流れ方向から著しく逸れた分散方向に方向転換されていることである。ここで、流体を注入可能な方向の角度seは、270°と360°の間で可変である。
【0012】
結果として、一方の側で注入された流体は、中心の方向に排気ガス管のプロファイル全体にわたって運ばれ、従ってミキサーに、ミキサーのプロファイル全体にわたって衝突し、その後、排気ガス流に混合可能である。据え付けスペースにより、排気ガス管が直線状ではなく湾曲している場合でも、偏向要素によって排気ガス管の進行方向に対する流体の移動方向に影響を及ぼすことができる。
【0013】
別の概念は、金属薄板部材の前に注入方向を基準として配置された修正板に流体の少なくとも一部が衝突し、少なくとも部分的に流れ方向に方向転換され、その後に、少なくとも1つの混合要素を有するスタティックミキサーによっていくつかの混合方向に方向転換されることによって更に混合される。修正板は、金属薄板部材に基本的に平行に金属薄板部材の上方に配置され、金属薄板部材の流体注入側に分散される。流体流の他の複数の部分が、金属薄板部材に到達する前に、修正板によって注入方向から流れ方向に既に方向転換されていると、ミキサーの前の流体の分散を向上させることができる。
【0014】
金属薄板部材の立ち上がりは、この金属薄板部材に設けられた、同じ、またはそれぞれ異なる、角度svで立ち上がるいくつかのフィンによって実現されると好都合である。角度svは0°と85°の間である。各フィンが立ち上がるという事実により、金属薄板部材自体を流れ方向に平行に配置可能であり、排気ガス流の、ひいては流体の、必要な方向転換をフィンのみによって引き起こすことができる。
【0015】
穿孔方向に延びるいくつかの穿孔穴が修正板に設けられると更に都合がよい。この穿孔方向は、流れ方向を基準として45°と135°の間の角度bsである。結果として、1つ以上の修正板を介して流体の一部をミキサーのプロファイルにわたって更に分散できる。したがって、流体の一部は注入装置内を更に流れることができ、修正板によって部分的に方向転換される。流れの貯留部分は更に方向転換されて流れ方向に運ばれる一方で、穿孔穴を貫通する流れの非貯留部分は注入方向に次の修正板に達するか、または金属薄板部材に達する。
【0016】
修正板は流れ方向に平行に配置され、流れ方向を基準として角度skで立ち上がる修正フィンをいくつか備える。角度skは95°と265°の間である。これら修正フィンは修正板から打ち抜かれるので、非貯留流体は、打ち抜きによって形成された複数の開口部を通って、修正板を通過できる。同時に、流体は各修正フィンによって安定化されるので、上記の流れ状態と異なり、排気ガス流によってより緩慢に流れ方向に方向転換される。
【0017】
いくつかの混合フィンが混合要素に設けられる。これら混合フィンは、流れ方向を基準として角度msで立ち上がり、分散方向を基準として角度mvで立ち上がる。角度msは最大70°であり、角度mvは1°より大きい。混合プロセスのためには、流体はこれら混合フィンによって更に方向転換され、当該フィンまたは修正フィンによって決められた同じ方向に更に誘導されないことが都合がよい。
【0018】
この方法のためには、排気ガスシステムの排気ガス管内に配置される偏向要素は、排気ガス流を誘導する一方で、注入装置によって排気ガスシステムに注入された流体を保持すると都合がよい。この場合、偏向要素は、流れ方向において、少なくとも1つの混合要素を有するスタティックミキサーの前に位置付け可能であり、排気ガス流内に位置付け可能な金属薄板部材を少なくとも1つ備える。この金属薄板部材は、流れ方向を基準として角度svで分散方向に少なくとも部分的に立ち上がる。この結果として、排気ガス流は、流体と共に、少なくともその一部が流れ方向から分散方向に方向転換される。この金属薄板部材には、角度svで立ち上がるフィンが形成される。金属薄板部材は、排気ガス管のプロファイルにわたって、ひいてはミキサープロファイル全体にわたって、その一部が既に気体状態に変換された流体の対称的な分散を実現するために、流れ方向においてミキサーの直前に配置される。気体状部分が小さいほど、ミキサーによる混合プロセスに対する偏向要素の影響が大きい。金属薄板部材は、フィンによって流れ方向に対して分散方向に角度svで少なくとも部分的に立ち上がる。この結果として、排気ガス流は、流体と共に、流れ方向から分散方向に少なくとも部分的に方向転換される。流れ方向に平行に配置された金属薄板部材自体の方向転換に対する影響は無視できる。
【0019】
金属薄板部材には、角度svで立ち上がるフィンがいくつか形成される。いくつかのフィンによって、排気ガス管のプロファイルにわたって分散される流体の方向転換が実現される。いくつかのフィンを流れ方向に前後に配置することによって、これらのフィンによって実現される流れ方向における方向転換が部分的に累積するので、流れ要素の方向転換がより大きくなる。
【0020】
流体の大部分が偏向要素の方向に大きく衝突するように、偏向要素を排気ガス管内に位置付けることができる。結果として、流体の速度が偏向要素によって最初に低減されるので、その結果として、流れ方向をより容易に変えることができる。
【0021】
排気ガスの質量流量および排気ガスの温度に応じて、排気ガス管内への流体の進入深さと偏向要素への流体の衝突面積とが変わる。
【0022】
偏向要素は、流れ方向に平行に、または金属薄板部材に平行に、配置された修正パネルを1つまたはいくつか備える。これら修正板は、流体を減速させ、排気ガス流による流体の早期方向転換を可能にする。これら修正板は、それぞれ長さが異なってもよく、または全て同じ長さで設計されてもよい。
【0023】
修正板は、95°と265°の間の角度skで立ち上がる1つまたはいくつかの修正フィンと、これら修正フィンによって流れ方向を横切る方向に形成されるいくつかの開口部、および/または穿孔方向に延びるいくつかの穿孔穴、を備える。穿孔方向は、流れ方向を基準として45°と135°の間の角度bsである。あるいは、流れ方向に対して45°と135°の間の角度bsの穿孔方向に延びる穿孔穴がいくつか設けられる。結果として、流体の一部はその注入方向に開口部または穿孔穴を通って直接流れることができ、減速されない。修正板によって流れの修正および安定化が実現される。
【0024】
金属薄板部材は、流れの反対方向を基準として全ての修正板を越えて突出する。金属薄板部材は、中心注入方向を基準として最後の修正板の後方に配置される。このように金属薄板部材が注入点に対向する排気ガス管の壁に直接隣接して配置されるという事実により、金属薄板部材は、流体の全注入量に影響を及ぼすことができる。
【0025】
偏向要素は、流れ方向に対して直角に向いた中心平面を基準として鏡面対称に設計される。あるいは複数のフィンおよび/または複数の修正フィンは、中心平面を基準として鏡面対称に配置される。この対称性の結果として、中央の混合要素または流れ要素が同じ位置合わせとなるので、流体も注入された排気ガス管内の流れの中心領域により大きな影響を及ぼすことができる。
【0026】
上記の説明による偏向要素と、この偏向要素に取り付けられた、またはこの偏向要素の後方に間接的に配置されたスタティックミキサーとで構成される多段分散装置が好都合である。このスタティックミキサーは、1つの流れ要素または複数の混合フィンのための支持体を少なくとも1つ備える混合要素を少なくとも1つ有する。偏向要素とミキサーとの組み合わせにより、極めて有効な混合方法が可能である。
【0027】
金属薄板部材または修正板は、流れ方向に平行な、または斜めの、流れ要素または支持体に配置される。結果として、ミキサーと偏向要素とは、少なくともその一部または全体が、一体として設計され、同一材料で製造される。
【0028】
各混合フィンまたは各流れ要素は、流れ方向を基準として最大70°の角度msで立ち上がり、分散方向を基準として1°より大きい角度mvで立ち上がる。
【0029】
混合要素は、流れ方向に対して直角に配置された中心平面を基準として鏡面対称に設計される。あるいは、各混合フィンおよび/または各支持体は、中心平面を基準として鏡面対称に配置される。
【0030】
用途によっては、混合要素が流れ方向を基準として点対称に設計される、あるいは混合フィンおよび/または支持体が流れ方向を基準として点対称に配置されると好都合であり得る。この配置により、排気ガス管内のミキサーの後ろに逆回転する渦が生成される。
【0031】
組み立てまたは改造のためには、排気ガス管に平行な、かつ排気ガスの流れ方向に平行な、ハウジングが更に設けられ、そこに支持体または流れ要素が配置され、ハウジングが排気ガス管に、またはその内部に、位置付け可能であると好都合であり得る。結果として、ミキサーの混合要素または流れ要素をハウジング内に事前に組み付けてから、排気ガス管に挿入することができる。
【0032】
スタティックミキサーは、流れ方向を横切る方向に互いに隣接して配置されたいくつかの混合要素を排気ガス用に備えると都合がよい。この場合、各混合要素はいくつかの混合フィンを備え、各混合フィンは、流れ方向を基準として1つの後縁領域と2つの側縁領域とを備える。あらゆる混合要素は、流れ方向に平行に位置合わせされた支持体を備え、そこに複数の混合フィンがそれぞれの後縁領域を介して配置され、支持体に対して立ち上がる。あらゆる支持体は、2つの末端領域を備え、これら末端領域を介してそれぞれの支持体が排気ガス管に取り付けられる。少なくとも3つの混合要素が設けられる。これら混合要素の支持体は、末端領域間の領域に流れ方向を横切る方向に、互いに少なくとも5mmの距離を隔てて、互いに隣接して配置される。全ての混合フィンは、全ての側縁領域および前縁領域が排気管から距離を置いて配置される。好ましくは、隣接し合う支持体は、5mmと100mmの間の、好ましくは12mmと15.5mmの間の、距離を置いて相隔たる。結果として、混合要素は、排気ガス管に、または別個のハウジングに、支持体を介して溶接可能であり、混合要素の安定性は、排気ガス流と入熱とが大きい間でも、各支持体とそこに配置された各混合フィンとによって保たれる。各混合要素の絶縁取り付けにより、および各混合フィンが相隔てられて、かつ管壁に面して、それぞれの支持体に配置されることにより、各フィンによって流通が向上され、ひいては混合が向上される。
【0033】
スタティックミキサーがいくつかの混合要素を備え、これらの混合要素が流れ方向を横切る方向に互いに隣接して配置され、それぞれの混合要素が流れ方向に平行に位置合わせされた支持体と、この支持体に配置された、この支持体に対して立ち上がるいくつかの混合フィンとを備える場合は、スタティックミキサーまたは分散装置も好都合であり得る。各支持体は、2つの末端領域と、この2つの末端領域の間に、各末端領域から距離を置いて、支持体の方向に互いに向かい合わせに配置された2つの連結領域とを備える。それぞれの支持体の第1の連結領域と末端領域とは互いに連結されるので、支持体の部分領域は閉じたセルを形成し、このセルを取り囲む支持体の部分領域に、少なくとも2つの混合フィンが配置される。結果として、それぞれのセルは、混合フィンが設けられない支持体の部分領域によっては閉じられず、セルに入り込む混合フィンの前に位置付けられる。
【0034】
スタティックミキサーまたは分散装置にとっては、このミキサーが排気ガス用の流れ要素をいくつか備え、これら流れ要素が流れ方向を横切る方向に互いに隣接して配置されると好都合であり得る。それぞれの流れ要素は、波形断面プロファイルを有する金属薄板から形成される。この断面プロファイルは、プロファイル軸線に平行な方向に互いに隣接して延びるいくつかの流路を備える。それぞれの流れ要素のプロファイル軸線は、流れ方向を基準として最大70°の角度msに、または最大−70°の角度msに、向けられる。これらプロファイル軸線は、方向および大きさの点で等しい角度msで互いに隣接して配置された少なくとも2つの流れ要素によって位置合わせされる。結果として、流れ方向を横切る方向に流れてミキサーの中心に達した流体の流れは、同じ位置合わせを有する2つの中心流れ要素によって基本的に捕捉されるので、別の方向に方向転換させることができる。断面プロファイルは好ましくは規則的に波状に起伏し、全てのプロファイル軸線が平行に配置される。
【0035】
排気管に注入された流体を排気流に混合するためのミキサーは、第1の側壁とこの第1の側壁から離隔された第2の側壁とを相互連結する基部を含む第1の混合要素を含む。第1および第2の側壁は、両側壁が排気管に固定されるべく適合化されるように、排気管の内面を補完するサイズと形状とを有する。第1の混合要素は、注入された流体が衝突するべく位置付けされた偏向要素と、注入された流体を排気ガスに混合するために偏向要素の下流に位置付けされた混合フィンとを含む。第2の混合要素は、相隔たる第1および第2の取り付けフランジを相互連結する基部を含む。第1および第2の取り付けフランジは、第1および第2の側壁の内面に固定される。第2の混合要素は、排気流の方向を変えるための混合フィンを含む。
【0036】
排気管に注入された流体を排気流に混合するための別のミキサーは管状ハウジングを含み、このハウジングは、ハウジングの開口端から軸線方向に延
在する、周方向に相隔たる複数のスロットを含む。第1の混合要素は、第1の周囲部分とこの第1の周囲部分から離隔された第2の周囲部分とを相互連結する中央部分を含む。第1の周囲部分は、複数のスロットのうちの1つの内側に位置付けられる。第2の周囲部分は、複数のスロットのうちの別の1つの内側に位置付けられる。各フランジはハウジングに固定される。第2の混合要素は、相隔たる第3および第4の周囲部分を相互連結する中央部分を含む。第3および第4の周囲部分は、複数のスロットのうちの他のスロットの内側に位置付けられて、ハウジングに固定される。第2の混合要素は、第1の混合要素から離隔される。
【0037】
本発明の更なる利点および詳細は、特許請求の範囲および本願明細書に説明され、図面に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、排気ガスシステム4の一部としての排気管40を示す。排気ガス管40の外面に配置されたフランジ50と、フランジ50に位置付けられた注入装置5とを介して、還元剤としての流体が注入方向Eに排気管40に注入される。分かり易くするために、各図は、注入の中心方向Eを示しており、
図3にv字形状を形成する2本の点線によって示されている実際の円錐形状の流れの状態を示してはいない。
【0040】
排気ガス管40内で、排気ガスは、基本的に排気ガス管40に平行に流れ方向Sに流れる。本発明の説明に関して、簡略化のために、流れ方向Sは、偏向要素6の前では、排気ガス管40の管断面全体にわたって平行に延びていると想定する。
【0041】
還元剤は注入方向Eに排気ガス管40に流入し、排気ガス流によって方向転換される。方向転換される程度は、還元剤の質量流量に応じて異なる。流れ方向Sにおいて注入装置5の後に、偏向要素6付きミキサー1で構成される分散装置が設けられる。分散装置は、ミキサー1とフランジ連結部41とを介して排気ガス管40内に位置付けられる。
【0042】
還元剤は大部分が偏向要素6に衝突するので、還元剤の流れの衝撃が緩和される。偏向要素6は流れ方向Sに対して角度svで立ち上がっているので、排気ガス流は偏向要素6によって流れ方向Sから分散方向Vに方向転換される。この方向転換された排気ガス流により、還元剤は、偏向要素6に衝突する前に、およびとりわけ後に、分散方向Vに沿って部分的に押し流され、排気ガス管40の管中心に誘導される。
【0043】
図2は、
図1を参照して説明したような排気ガスシステム4の一部を示す。ただし、この図では、
図4〜7に全体が詳細に示されているように、混合フィン31付きミキサー1が組み込まれている。このような混合フィン31付きミキサー1のための偏向要素6は、
図9に詳細に示されており、角度svで立ち上がったフィン61を有する、流れ方向に平行に配置された金属薄板部材60と修正フィン64付きの更なる修正板62とを偏向要素6の一部として備える。
【0044】
図4、
図6、および
図7によるミキサー1は、流れ方向Sを横切る方向に配置された、互いに隣接する3つの混合要素3と、1乃至2つの更なる混合要素3aとを有する。混合要素3、3aは、基本的に、支持体30、30aと、そこに配置された1つまたはいくつかの混合フィン31、31aとで構成される。それぞれの混合フィン31、31aは、流れ方向Sを基準として、その後縁領域hRを介して、支持体30、30aに取り付けられる。流れ方向Sを基準として側縁領域sRと前縁領域vRとは自由流動縁を形成し、別の混合フィン31、31aにも、ハウジング2または排気管40にも連結されない。
【0045】
支持体30は、その両端に末端領域34を1つずつ備える。末端領域34は、混合フィン31を備えず、
図7によると傾斜している。支持体30は、
図7の例に示されているように、2つの末端領域34を介してハウジング2に取りつけられるか、あるいは
図6によると、排気ガス管40に取り付けられる。支持体30は、ハウジング2内で、または排気ガス管40内で、2つの末端領域34の間に自由に吊り下がる。すなわち、別の構成要素によって支持または保持されることも、別の構成要素を支持または保持することもない。更に、各支持体30は、末端領域34の間の領域において基本的に互いに平行に配置される。相互間の距離35は、約13.5mmである。
【0046】
ハウジング2は、円筒状の管部材であり、そのシース内面20に、複数の混合要素3が、例示的実施形態によっては更なる混合要素3aも、取り付けられる。この種のミキサー1は、
図2に示されているように、ハウジング2と共に排気ガスシステム4の排気ガス管40に挿入される。排気ガスは、ハウジング2の中心軸線23に平行な流れ方向Sにミキサー1を通過する。
【0047】
支持体30は、
図8に規定されている幅32を有する条片形状の金属薄板材から成り、流れ方向Sに平行に位置合わせされる。流れ方向Sとは、ミキサー1内の排気ガス流の主方向を指し、ミキサー1の中心軸線12およびハウジング2の中心軸線23に平行に延びる。支持体30が流れ方向Sに平行に、ひいては排気ガス管40の壁に平行に、延びるという事実により、ミキサー1は排気ガス管40内の流れ方向を横切る方向に簡単に取り付け可能である。
【0048】
3つの混合要素3が基本的に互いに隣接して点対称で平行に配置された、
図7による例示的実施形態においては、各混合要素3は支持体30と4つの混合フィン31とによって形成される。したがって、混合要素3全体は、支持体30と4つの混合フィン31とで構成される。
【0049】
支持体30は、両末端領域34の間で、3つの部分領域36〜38に分割可能である。外側の部分領域37、38は、中心の部分領域36の両側にそれぞれ隣接する。外側の部分領域37、38の各々は、中心の部分領域36に対して傾斜している。すなわち、中心の部分領域36は、外側の2つの部分領域37、38の各々に対して角度αを成す。したがって、流れ方向Sに平行に延びる第1の軸線11を基準として、外側の2つの部分領域37、38は中心の部分領域36に約12°の角度αで交わる。外側の部分領域37、38は中心の部分領域36を基準として逆に傾斜するので、支持体30は、流れ方向Sに平行な中心軸線12を基準として点対称に設計される。すなわち、支持体30および混合フィン31は互いに点対称に形成されて配置される。
【0050】
3つの混合要素3に加え、2つの更なる混合要素3aが、混合要素3に隣接する領域に更に設けられる。更なる混合要素3aは、支持体30aと混合フィン31aとによって形成される。更なる混合要素3aは、その2つの末端領域34aを介して、ハウジング2のシース内面20に、2つの末端領域34aの間で自由に支持されるように、取り付けられる。
【0051】
図4による例示的実施形態では、支持体30は、
図7による例示的実施形態に従って、3つの部分領域36〜38に分割可能である。外側の部分領域37、38は、中心の部分領域36の両側にそれぞれ隣接する。外側の部分領域37、38の各々は、中心の部分領域36に対して傾斜している。すなわち、中心の部分領域36は外側の2つの部分領域37、38の各々に対して角度αを成す。したがって、流れ方向Sに平行に延びる第1の軸線11を基準として、外側の2つの部分領域37、38は中心の部分領域36に約9°の角度γで交わる。外側の部分領域37、38は中心の部分領域36を基準として同じ方向に傾斜するので、支持体30は、流れ方向Sに平行な中心平面10を基準として鏡面対称に設計される。
【0052】
点対称の結果として、中心平面10の一方の側の流れは、上方および外方へ方向転換され、中心平面10のもう一方の側の流れは、この逆に流れ方向Sを横切る方向に方向転換される。この流れは、
図7に複数の矢印で示されている。
【0053】
図4〜9aによる各例示的実施形態において、各混合フィン31は、支持体30の方向に対して角度βを成し、流れ方向Sに対して角度msを成す。各混合フィン31が交互に示されている。
図8および
図9に詳細に示されているように、角度βは+135°または−135°であり、角度msは+45°または−45°である。更に、直接隣接し合う混合フィン31同士は、特に
図7に示されているように、少なくとも1mmの一定距離33で互いに部分的に離れている。
【0054】
図示されていない一例示的実施形態において、隣接し合う末端領域34は、互いに隣接配置された2つの支持体30によって互いに連結される。また、更なる混合要素3aのそれぞれ一方の末端領域34aが、隣接する混合要素3のそれぞれ一方の末端領域34に連結される。これは、3つの混合要素3と2つの更なる混合要素3aとが単一の金属薄板条片から製作されるという事実によって実現される。
【0055】
図7および
図9に示されているように、留め付け要素24がハウジング2の外側面21に設けられる。留め付け要素24はこぶとして設計され、外側面21の反対側に突出する。留め付け要素24により、ミキサー1を排気ガス管40内に固締して中心軸線23周りの回転を防止できる。更に、留め付け要素24は、その固締時に、中心軸線23を基準とした排気ガスシステム4内のミキサー1の回転姿勢を指定する目的にも同時に役立つ。この目的のために、対応する保持装置(詳細には不図示)が特定の位置に設けられ、そこに留め付け要素24が中心軸線23の方向に押し込まれる。
【0056】
図9によると、ミキサー1は、ハウジング2と共に、2つの排気ガス管40、40’の間に取り付けられる。この目的のために、2つの排気ガス管40、40’は、ハウジング2の両側に取り付けられる。2つの排気ガス管40、40’を溶接するために、および排気ガス管40、40’にミキサー1を溶接接合するために、排気ガス管40、40’の間に間隙42が設けられる。間隙42の形成は、分散された複数の調節要素22から成る円周によって排気ガス管40、40’が中心軸線12の方向に互いに相隔てられる結果である。それぞれの排気ガス管40、40’は、中心軸線12の方向に間隙42の一方の側にそれぞれ隣接する。
【0057】
図4および
図6によるミキサー1は、流れ方向Sに平行に向けられた中心平面10に対して鏡面対称に設計されている。すなわち、支持体30と複数の混合フィン31とは互いに鏡面対称に形成されて配置される。このようなミキサー1は、互いに平行に隣接配置された3つの混合要素3を備える。各混合要素3は、支持体30と、支持体30に配置された1つまたは3つの混合フィン31とによって形成される。
【0058】
支持体30は、末端領域34の間で3つの部分領域36〜38に分割可能である。外側の部分領域37、38は、中心の部分領域36の両側にそれぞれ隣接する。外側の部分領域37、38は、中心の部分領域36に対して傾斜している。すなわち、中心の部分領域36は、外側の2つの部分領域37、38の各々に対して角度γを成す。したがって、外側の2つの部分領域37、38は、流れ方向Sに平行に延びる第1の軸線11を基準として、中心の部分領域36に約9°の角度γで交わる。外側の部分領域37、38は、中心の部分領域36を基準として同じ方向に傾斜するので、支持体30は、流れ方向Sに平行な中心軸線12を基準として、鏡面対称に設計される。
【0059】
中心の混合フィン31は、その中心にスリット39を備える。スリット39の長さLSは、混合フィン31の長さLMの50%と80%の間である。スリット39により、中心領域の流れが方向転換される程度が下がるので、渦の形成が低減される。更に、質量流量が最大であるミキサー1の正に中心領域において、ミキサー1の動的流動抵抗が低減される。
【0060】
3つの混合要素3に加え、更なる混合要素3aが3つの混合要素3の下方に設けられる。更なる混合要素3aは、1つの支持体30aと1つの混合フィン31aとによって形成される。混合フィン31aもスリット39を備える。更なる混合要素3aは、その2つの末端領域34aを介してハウジング2のシース内面20に、2つの末端領域34aの間で自由に支持されるように、取り付けられる。
【0061】
図5は、同一の混合要素3、3’を2つ有する点対称ミキサー1を示す。それぞれの混合要素3、3’は、2つの末端領域34、340と、これら末端領域34、340の間に設けられた2つの連結領域370、380とをそれぞれ備える。それぞれの支持体30の末端領域34と第1の連結領域370とは互いに連結されるので、支持体30の部分領域301は閉じたセル300を形成する。セル300を囲む支持体30の部分領域301においては、2つの混合フィン31が支持体30に配置される。混合要素3は、末端領域340と第2の連結領域380とを介して、排気ガス管40に取り付けられる。
【0062】
図5および
図7による例示的実施形態による点対称ミキサー1にも、
図4および
図6による例示的実施形態による鏡面対称ミキサー1と同じように偏向要素6を組み合わせることができる。偏向要素6は、
図9および
図9aに示されているように、約20°の角度svで立ち上がる1つまたはいくつかのフィン61を有する金属薄板部材60を備える。これらのフィン61により、排気ガス流は分散方向Vに上方に方向転換され、ひいては還元剤も上方に押し流される。金属薄板部材60は、支持体30、30aの表面に直接配置され、図示の各例示的実施形態によると、混合要素3、3aと共に、同一材料製の一体型構成要素を形成する。
【0063】
偏向要素6は、流れ方向Sに平行に、かつ金属薄板部材60に平行に、配置されたいくつかの修正板62、62’、62”を備える。修正板62、62’、62”は、還元剤をミキサー1の直前で分散させる。修正板62は、支持体30、30aの表面に直接配置され、図示の各例示的実施形態によると、混合要素3、3aと共に、同一材料製の一体型構成要素を形成する。
【0064】
修正板62、62’、62”は、
図9によると、流れ方向Sを基準として155°の角度skで立ち上がる修正フィン64をいくつか備える。これら修正フィン64は、
図14に詳細に示されているように、修正板62から部分的に打ち抜かれ、修正板62から、隣接する修正板62の方向に、および/または金属薄板部材60の方向に、突出する。結果として、修正板62から突出する修正フィン64の面積に相当する開口部63がそれぞれの修正板62の修正フィン64の下方に形成される。修正フィン64は、修正板62の一方または両方の面から突出可能である。
【0065】
同様に、金属薄板部材60のフィン61も打ち抜かれるので、金属薄板部材60は、金属薄板部材60から突出するフィン61の面積に相当する開口部63をそれぞれのフィン61の下方に備える。
図14に示されているように、修正フィン64は修正板62の両面から突出し、フィン61は金属薄板部材60の一方の面から突出する。
【0066】
図9aによる修正板62、62’、62”は、修正フィンの代わりに、流れ方向Sに対して90°の角度bsで延びる穿孔方向Bに向けられた穿孔穴65をいくつか備える。これらの穿孔孔を通って、排気ガス流は、還元剤と共に、少なくとも部分的に偏向要素6を通って、中心軸線12の方向に流れることができる。
【0067】
図3は、
図1および
図2で説明したような排気ガスシステム4の一部を更に示す。ただし、この例示的実施形態において、ミキサー1には、ミキサー1自体と同様に構成された偏向要素6が組み合わされる。この種のミキサー1は、
図10によると、互いに隣接して当接し合ういくつかの流れ要素7、7’から形成される。
【0068】
図11は、ミキサー1が互いに隣接して当接し合ういくつかの流れ要素7、7’、7”から構成されることを詳細に示す。流れ要素7、7’、7”は、波形断面プロファイル71を有する金属薄板70でそれぞれ形成される。断面プロファイル71は、前面73といくつかの流路72とを備え、これら流路72は、複数の平行なプロファイル軸線74の方向に互いに隣接して延びる。隣接する2つの流れ要素7、7’のプロファイル軸線74、74’は、流れ方向Sを基準として+40°および−40°の角度psで交互に立ち上がる。結果として、流れは、2つの流れ要素7、7’によって形成された複数の流路内で上方および下方に同時に方向転換される。
【0069】
ただし、本発明によると、中心平面10を基準として隣接する2つの中心流れ要素7、7’のプロファイル軸線74、74’は平行に、すなわち、その方向および大きさの点で同じである−40°の角度psで、延びるので、流れ要素7、7’は互いに当接しない。結果として、
図10の複数の矢印から分かるように、2つの流れ要素7、7’によって形成された流路内の流れは、上方にのみ、すなわち同じ方向に、方向転換される。上記の各例示的実施形態において、角度psは角度msに相当する。
【0070】
中心平面10を基準として両側に、および同時に互いに隣接して、配置された2つの流れ要素7、7’のプロファイル軸線74、74’は同じ位置合わせであるので、ミキサー1の鏡面対称形状が中心平面10を基準として実現される。したがって、ミキサー1の中心を流れる排気ガス流および還元剤の部分は、これら2つの流れ要素7、7’の内部で一方向に方向転換される。
【0071】
図12は、プロファイル軸線74、74’が±30°の角度で立ち上がるミキサー1の断面を示す。ミキサー1の前に、ミキサー1と同様に構成された偏向要素6が配置される。偏向要素6と共に、断面プロファイル66を有するいくつかの金属薄板部材60も互いに直接隣接して配置される。隣接し合う金属薄板部材60の偏向要素6のプロファイル軸線67、67’は、流れ方向Sに対して立ち上がらない。すなわち、プロファイル軸線67、67’は、流れ方向Sに平行に延びる。したがって、偏向要素6は、ミキサー1の中心の2つの流れ要素7、7’に対応して個々の流路を個々の金属薄板部材60の間に形成する。これら流路において、排気ガス流と還元剤とは、流れ方向Sに平行な方向にのみ誘導される。
【0072】
図13は、上記の修正フィン64の角度および角度比と注入方向Eとを、分散方向Vおよび流れ方向Sと共に、表す角線図を示す。
図14は、混合フィン31と金属薄板70とを基準とした、および分散方向Vと流れ方向Sとを基準とした、このような概観を示す。
【0073】
図15〜20は、参照符号400で識別される一代替ミキサーを示す。ミキサー400は、第1の混合要素402と、第2の混合要素404と、第3の混合要素406と、第4の混合要素408とを含む。ミキサー400を一体型組立体として設けるために、各混合要素402、404、406、408は相互に固定される。第1の混合要素402は、ホルダまたはハウジングとして、ならびに混合要素として、機能する。この機能を実現するために、第1の混合要素402は、第1の弓状側壁412とそこから離隔した第2の弓状側壁414とを含む。ほぼ平面状の基部416が第1の側壁412と第2の側壁414とを相互連結して「U」字形状を画成する。各図に示されているように、屈曲する変曲点415、417を設けるために、基部416を屈曲させても、または小さな屈曲部を複数含めてもよい。第1の側壁412は、第2の側壁414の遠位端419から離隔した遠位端418を含む。ミキサー400は、端部418、419間の間隙が注入装置5に位置合わせされるように、排気ガス管40の内部に位置付けられる。管40の内面上方に沿って流れ得る還元剤は、ミキサー壁の存在によって制限されることはなく、代わりに端部418、419間を下流に流れることになる。
【0074】
一体に形成された偏向要素420は、基部416から軸線方向に、流れ方向Sにほぼ平行に、延在する。偏向要素420は、流れ方向に対して30°の角度Aで立ち上がる修正フィン422を複数含む。混合フィン426が流れ方向Sに対して45°の角度Bで延在する。スリット428が混合フィン426に入り込んでフィンの一部を二岐にする。
【0075】
第2の混合要素404は、第1のフランジ430とこれから離隔された第2のフランジ432とを含む。基部434が第1のフランジ430と第2のフランジ432とを相互連結する。基部434は、基部416にほぼ平行に、基部416から離れて延在する。第1のフランジ430は、第1の側壁412の内面440に位置付けられて係合する外面438を含む。第1のフランジ430は第1の側壁412に、溶接、打鋲、または他の何らかの機械的締結手法などの方法を用いて、固定される。同様に、第2のフランジ432は、第2の側壁414の内面444に位置付けられて係合する外面442を含む。
【0076】
第2のフランジ432は、第2の側壁414に固定される。第2の混合要素404も修正フィン450を1つ以上含む。修正フィン450は、流れ方向Sに対して40°の角度Cで延在する。修正フィン450とは反対方向に、混合フィン452が40°の角度Dで延在する。
図15〜20に示されている実施形態においては、横方向に相隔たる2つの混合フィン452より上流に単一の修正フィン450が位置するものとして示されている。部分的に二叉になった別の混合フィン454が、フィン426に平行に延在する。外側の混合フィン456および458が、流れ方向Sに対して45°の角度Eで延在する。角度Eは角度Bに等しい必要はなく、混合フィン454がフィン426に対して非平行に延在することが、多くの場合、好都合であることを理解されたい。特定のシステム内で還元剤の一様な分散を最適に実現するために、上記の両角度を変えることによってミキサー400を「調整」し得る。
【0077】
第3の混合要素406は、第2の混合要素404とほぼ同様である。第3の混合要素406は、第1および第2のフランジ464、468を含む。基部470が第1のフランジ464と第2のフランジ468とを相互連結する。基部470は、流れ方向Sおよび基部434にほぼ平行に延在するべく位置付けられる。第1のフランジ464および第2のフランジ468は、第1の混合要素402の内面440、444に固定されるべく形作られて位置付けられる。第2の混合要素404と同様に、第3の混合要素406は修正フィン474と、横方向に相隔たる一対の混合フィン476と、二叉になった混合フィン478と、外側の混合フィン480、482とを含む。この混合要素406の各フィンは、第2の混合要素404の同様のフィンにほぼ平行に延在する。この関係は単なる例示であり、他の角度も画成され得ることを理解されたい。
【0078】
第4の混合要素408は、第2の混合要素404および第3の混合要素406とほぼ同様である。第4の混合要素408は、第1および第2のフランジ486、488を含む。基部490が第1のフランジ486と第2のフランジ488とを相互連結する。基部490は、流れ方向Sおよび基部470にほぼ平行に延在するべく位置付けられる。第1のフランジ486および第2のフランジ488は、第1の混合要素402の内面440、444に固定されるべく形作られて位置付けられる。第2の混合要素404と同様に、第4の混合要素408は修正フィン494と、横方向に相隔たる一対の混合フィン496と、二叉になった混合フィン498と、外側の混合フィン500、502とを含む。
【0079】
第5の混合要素610は、第9および第10のフランジ684、686を含む。フランジ684、686は、スロット688、690内に位置付けられ、第7および第8のリップ692、694に固定される。
【0080】
第2の混合要素404、第3の混合要素406、および第4の混合要素408の各々を第1の混合要素402に固定した後、ミキサー組立体400を上記の排気ガス管40などの排気導管内に位置付け得る。第1の側壁412および第2の側壁414は、排気ガス管40の内面に接触する、または至近距離で近接する、サイズおよび形状を有することを理解されたい。ミキサー400は、排気ガス管40内に、所望の軸線方向位置に、所望の角度方向で配置され、その後、溶接、機械的締結、圧締などを含む任意の数のプロセスによって排気ガス管40に固定される。
【0081】
図21は、参照符号400aで識別される一代替ミキサーを示す。ミキサー400aは、第1の側壁412aが弓状部分415と417との間に位置付けられたほぼ平面状の部分413を含む以外は、上記のミキサー400とほぼ同様である。ほぼ平面状の部分413が排気ガス管40の内面から離隔されるのに対し、部分415および417は排気ガス管40の内面に適合し、溶接などの方法によって排気ガス管40の内面に固定される。同様に、第2の側壁414aは、湾曲部分421と別の湾曲部分423との間に位置付けられたほぼ平面状の中央部分419を含む。ほぼ平面状の中央部分419は、排気ガス管40の内面から離隔される。
【0082】
図22〜24は、参照符号600で識別される別の代替ミキサーを示す。ミキサー600は、横方向に相隔たる複数の混合要素602、604、606、608、および610を含む。ミキサー600は、混合要素602〜610の各々を収容するハウジング612を含む。ハウジング612を別個の要素とし、排気ガス管の内側に位置付けてもよく、あるいは、要素612が排気ガス管自体を表してもよい。
【0083】
ハウジング612は開口端614を含み、そこから数対のスロットが軸線方向に延在する。第1の対のスロット616、618は、開口端614から軸線方向に互いに平行に所定の距離だけ延在し、止め面617、619に終端する。スロット616、618は、打ち抜き加工の一部として形成され得る。この打ち抜き加工では、ハウジング612を通って延在する複数の切れ目が作成され、第1のリップ620および第2のリップ622など、内向きに突出するリップが工具によって形成される。第1のリップ620は、第2のリップ622にほぼ平行に延在する。
【0084】
第1の混合要素602は、第1の周囲部分すなわちフランジ624と、離隔した、ほぼ平行な第2の周囲部分すなわちフランジ626とを含む。基部628が第1および第2のフランジ624、626を相互連結する。第1のフランジ624は、第1のリップ620に隣接するスロット618に入り込む。同様に、第2のフランジ626は、スロット616に入り込み、第2のリップ622に隣接して位置付けられる。第1および第2のフランジ624、626は、第1および第2のリップ620、622に、溶接または蝋付けによって固定される。フランジ624、626の末端は、ハウジング612の大部分によって画成される円筒面632より下に引っ込んでいる。これにより、ミキサー600は、円形断面を有する排気導管の内部に容易に挿入され得る。基部628は、ほぼ平面状であり、軸線方向に延在する一対のリブ636、638を含むものとして図示されている。リブ636、638は、熱膨張係数に基づく要素サイズの増大に対応するために第1の混合要素602を屈曲させ得る変曲点をもたらす。所望の流れおよび混合特性を実現するために、任意の数の幾何学的特徴が含まれ得ることを理解されたい。例えば、混合要素602、604、606、608、610の何れか1つに、修正フィン450および/または混合フィン476、478、または480と同様の突出するタブまたは屈曲部が1つ以上含まれ得ることが考えられる。
【0085】
第2の混合要素604は、第1の混合要素602とほぼ同様であり、軸線方向に延在する第3および第4のフランジ642、644を有する。第2の対のスロット646、648は、ハウジング612を通って延在し、第3および第4のフランジ642、644をそれぞれ収容する。第2の混合要素604は、ハウジング612の第3および第4のリップ647、649に固定される。
【0086】
一対の対向する凹部650、652がハウジング612に形成される。スロット654、656が凹部650、652内でハウジング612を通って延在する。スロット654、656に隣接するハウジング612からは、リップ620、622のような内向きに延在するリップが形成されない。代わりに、スロット654は、ハウジング612の、互いに向かい合った、相隔たる端面657、659の間に位置付けられる。第3の混合要素606は、ほぼ半径方向に延在してスロット654、656に入り込む第5および第6のフランジ660および662を含む。
【0087】
第3の混合要素606は、半径方向に延在する周囲部分すなわちフランジ660、662から離れた基部664を含む。ミキサー600が加熱および冷却の繰り返しの事象に耐えられ、各混合要素の熱膨張率によって構造的に損なわれ得ないことを保証するために、基部664は、半径方向に延在するフランジ660、662に傾斜壁668、670によって相互連結される。各混合要素は、屈曲する変曲点を設けるために、中央の平面状基部から半径方向外向きに位置付けられた屈曲部または何らかの幾何学的形状を含む。加熱中、中央のほぼ平面状の基部の幅が増加するに伴い、必要であれば、各混合要素が屈曲することによって、応力を軽減し、ハウジング612に加わる力を最小化する。1つ以上の混合要素の中央の基部と周囲部分とが同一平面にあることも考えられる。この場合、ハウジングは、熱膨張を吸収するためのバネ要素を凹部650の一部分として含むことになる。この構成においては、変曲点が混合要素に設けられない。
【0088】
図22〜24の実施形態に戻り、周囲部分すなわちフランジ660、662は上向きではなく、基部664にほぼ平行に延在することに注目されたい。そのため、フランジ660の一方の表面は端面657に隣接して位置付けられ、フランジ660の反対側の表面は端面659に隣接して位置付けられる。同様の配置は、フランジ662にも、およびスロット656を限定する両端面にも存在する。
【0089】
第4の混合要素608は、その相隔たる第7および第8のフランジ674、676が第3および第4のフランジ642、644とは反対方向外向きに延在すること以外は、第2の混合要素604とほぼ同様である。この配置に対応するために、第5および第6のリップ678、680は、第3および第4のリップ647、649に向かって内向きに延在する。
【0090】
各混合要素は、金属薄板に対する打ち抜きまたは成形加工を用いて構成され得る。各混合要素のサイズおよび形状は、標準化されてもよく、あるいは特定の用途に合わせて個々に調整されてもよい。また、各図は5つの混合要素を有するミキサーを示しているが、図示のものより混合要素の数が多いか少ない他のミキサーも複数考えられることを理解されたい。例えば、
図23および
図24は、ミキサー600aを示す。ミキサー600aは、ミキサー600とほぼ同様である。そのため、同様の要素は、小文字の「a」を接尾文字として付けた同様の参照符号によって識別される。ミキサー600aは、第1の混合要素604aと、第2の混合要素606aと、第3の混合要素608aとを含む。ハウジング612aは、これらの混合要素を収容するために必要な数のスロットのみを含む。
【0091】
図25〜27は、第1〜第6の各混合要素702、704、706、708、710、および712を含む代替ミキサー700を示す。ミキサー700の各混合要素は、ミキサー400の混合要素およびミキサー600の混合要素606とほぼ同様であるが、各混合要素の本体部分がほぼ平面状の平板として形作られ、この平板に対して斜めに延在する複数のフィンを有する点が異なる。各混合要素702〜710は、接尾文字「a」付きで識別される上向きの混合フィンを複数含む。混合要素712は、混合フィン702a〜710aとは反対の方向に向いた複数の修正フィン712aを有する、外側に延在する偏向要素716を含む。各混合要素704〜712は、各混合要素の中央部分に配置された、接尾文字「b」付きで識別される複数の後端混合フィンを更に含む。各要素704〜710は、小文字の接尾文字「c」付きで識別される、横方向に相隔たる外側の後端混合フィンを更に含む。注入された還元剤を特定の排気処理システム内で最適に分散させるために、各種の混合フィンの数と、ほぼ平面状の基部から延在する各フィンの角度とを専用に調整し得ることを理解されたい。
【0092】
各混合要素は、幅の狭いタング部分を含む。このタング部分は、混合要素の参照符号に接尾文字「d」を付けて識別され、接尾文字「e」で識別される全幅の本体部分と同一平面に延在する。タングの幅は、リング720のほぼ円筒形状の内面718を通過するために狭められている。
【0093】
リング720は、半径方向内向きに延在する凹部724を複数含む。各凹部は、そこを通って延在するスロット726を含む。これら凹部およびスロットは対で設けられ、接尾文字「a」〜「l」で識別される。各スロットも、対になる位置に応じて対応する接尾文字によって識別される。接尾文字「d」を有する幅が狭いタング部分が最初にリング720に挿入される。接尾文字「e」を有する幅が広い本体部分の周囲部分は、対応する一対のスロットに入り込む。例えば、本体部分702eの周囲部分は、横方向にスロット726aおよび726bに入り込む。第3の混合要素606に関して上述したように、各混合要素702〜712の軸線方向位置は、対応するスロットの長さと、接尾文字「d」を有するタング部分と接尾文字「e」で識別される本体部分との間の移行部の軸線方向位置とによって規定される。
【0094】
各スロット726の一方の側にバネ要素730が位置付けられ、スロット726の反対の側に別のバネ要素732が位置付けられる。分かり易いように、
図26および
図27には、バネ要素730bおよび732bのみが識別されている。混合要素702の温度が上昇し、その幅が線形熱膨張係数により相応に増加する熱事象中、バネ要素730、732は半径方向外側に曲がる。その他のバネ要素も、温度の変化に伴い、それぞれに対応付けられた混合要素の寸法が変わると、同様に機能する。
【0095】
図28に、一代替ミキサー800が示されている。ミキサー800は、上記のミキサーのうちの1つ、すなわちミキサー1、ミキサー400、ミキサー600、またはミキサー700、とほぼ同様のミキサー802を含む。排気管40内での還元剤の分散を向上させるために、ミキサー800においては、ミキサー802に二次ミキサー804が組み合わされる。
【0096】
ミキサー802は、
図18に示されている混合フィン500、または
図39aに示されているような混合フィン31とほぼ同様の混合フィン806を後方最上部に含む。注入された還元剤が排気管40の上面810またはその近傍を流れる問題に対処するために、ミキサー800においては、ミキサー802の混合用の諸特徴に二次ミキサー804が組み合わされる。上面810は、下流に延在する排気管40の内面の、注入装置5の角位置に近い部分として規定される。下流への還元剤の分散を向上させるために、二次ミキサー804は排気流の流れを変化させる。
【0097】
二次ミキサー804は、上面810から半径方向内向きに突出するほぼ球状の突起814として示されている。突起814は、排気管40の直径の約10パーセントまで凹んでいる最大半径方向内向き位置の点816を含む。二次ミキサー804は、ミキサー802からの出力に作用するべく位置付けられる。特に、下流に延在する混合フィン806から延びる構成ライン820が描かれている。構成ライン820は、突起814が半径方向内向きに延在し続けている位置で二次ミキサー804に交差する。換言すると、構成ライン820は、点816より上流の位置で突起814に交差する。この図に示されている特定の例では、構成ライン820が突起814に交差する位置において、突起814の25パーセントが交点の上流にあり、突起814の75パーセントが構成ライン820と突起814との間の交点より下流にある。
【0098】
好都合なことに、二次ミキサー804は、その内向き突起が最小であることにより、背圧に全く、または殆ど、寄与しない。排気速度の分散はほぼ同じままであるのに対し、還元剤の均一性は、ミキサー802のみを用いた配置に比べ、7〜12パーセントの向上を示す。コンピュータによる流体力学モデリングは、ミキサー802を二次ミキサー804と組み合わせて使用することにより、還元剤の濃度ならびに種の分散勾配が広がることを示す。構成ライン820が二次ミキサー804に交差する位置が突起の軸線方向長さの10パーセントから50パーセントの範囲内の位置になるように、突起814が軸線方向に位置付けられ得ることが考えられる。これにより、上面810に沿って移動する排気および還元剤が半径方向内向きに偏向される一方で、混合フィン806を越えて移動する排気および還元剤は半径方向外向きに向けられる。
【0099】
上の説明は、本開示の複数の例示的実施形態を単に開示および説明したものに過ぎない。当業者は、このような説明から、および添付の図面および特許請求の範囲から、添付の特許請求の範囲に定義されている本開示の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、改造、および変形を行い得ることを容易に認識されるであろう。