特許第6298510号(P6298510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298510
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】薄葉紙収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20180312BHJP
   B65D 43/22 20060101ALI20180312BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20180312BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20180312BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   B65D83/08 B
   B65D43/22
   A47K10/20 Z
   A47K10/42 Z
   A47K10/16 C
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-189042(P2016-189042)
(22)【出願日】2016年9月28日
(62)【分割の表示】特願2012-213790(P2012-213790)の分割
【原出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2017-36091(P2017-36091A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 里枝
(72)【発明者】
【氏名】森 洋介
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0118905(US,A1)
【文献】 特開2011−157095(JP,A)
【文献】 実開昭52−005843(JP,U)
【文献】 特表2001−521864(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0202955(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0170196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/16
A47K 10/20
A47K 10/42
B65D 43/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に取出口を有し、内側に薄葉紙が積層された薄葉紙積層体を収納するケース体と、
前記ケース体の上面に備えられ、前記ケース体に対して直線状にスライド移動することで前記取出口を開閉させる蓋体と、
前記蓋体が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段と、を備え、
前記係止手段は、前記蓋体に設けられ、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向に突出する爪部と、前記ケース体に設けられ前記爪部と係合する爪受部と、からなり、
前記取出口と前記爪受部とは、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に重ならないように配置されており、
前記爪受部は、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部よりも一側に設けられており、
前記取出口は、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部に配置されており、
前記ケース体は、当該ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部よりも前記爪受部と他側に、前記蓋体のスライド移動の方向に凹状となる穴である係合受部を有し、
前記蓋体は、当該蓋体の閉塞状態において前記係合受部と係合する、前記蓋体のスライド移動の方向に凸状となる突起である係合部を有することを特徴とする薄葉紙収納容器。
【請求項2】
上面に取出口を有し、内側に薄葉紙が積層された薄葉紙積層体を収納するケース体と、
前記ケース体の上面に備えられ、前記ケース体に対して直線状にスライド移動することで前記取出口を開閉させる蓋体と、
前記蓋体が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段と、を備え、
前記係止手段は、前記蓋体に設けられ、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向に突出する爪部と、前記ケース体に設けられ前記爪部と係合する爪受部と、からなり、
前記取出口と前記爪受部とは、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に重ならないように配置されており、
前記爪受部は、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部よりも一側に設けられており、
前記取出口は、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部に配置されており、
前記ケース体は、当該ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部よりも前記爪受部と他側に、前記蓋体のスライド移動の方向に凸状となる突起である係合受部を有し、
前記蓋体は、当該蓋体の閉塞状態において前記係合受部と係合する、前記蓋体のスライド移動の方向に凹状となる穴である係合部を有することを特徴とする薄葉紙収納容器
【請求項3】
前記薄葉紙積層体は、前記薄葉紙を取り出すための開口が設けられた包装体によって内包されており、
前記開口は、前記ケース体の平面視にて、前記取出口と前記ケース体の高さ方向に重なるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記薄葉紙積層体を構成する複数の薄葉紙のうち少なくとも最上層の薄葉紙は、端部が前記取出口を介して露出するように折り畳まれていることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の薄葉紙収納容器。
【請求項5】
前記蓋体は、当該蓋体と前記ケース体との間に前記薄葉紙が挟まれた状態で閉塞状態となった場合に、当該薄葉紙に押圧されることによって変形することを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の薄葉紙収納容器。
【請求項6】
前記蓋体を開放状態となる方向に付勢する付勢部材を有し、当該蓋体を開放状態となる方向にスライド移動させる可動機構を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の薄葉紙収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄葉紙を収納する薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床やトイレ、或いは人体などを拭くための薄葉紙を収納する薄葉紙収納容器が知られている。
このような薄葉紙収納容器としては、例えば、内側に積層薄紙を収容する収容空間とこの積層薄紙の取出口とが備わった容器本体と、取出口を閉塞並びに解放するための開閉蓋とが備わり、開閉蓋が容器本体の上壁にほぼ沿って平行にスライド出来るように装着されているとともに、開閉蓋による取出口の閉塞姿勢を保持するロック機構が、開閉蓋の辺縁上面を押圧することでロック解除可能に構成されているスライド式開閉蓋を有する収納容器が知られている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−91834号公報
【特許文献2】特開2012−91835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載の薄葉紙収納容器において、取出口と、係止手段(ロック機構)を構成する爪部及び爪受部(係止突起及び係合凹部)とは、蓋体(開閉蓋)のスライド移動の方向に重なるように配置されている。すなわち、取出口が、蓋体のスライド移動に伴う爪部や爪受部の移動の軌跡下に配置されている。そのため、取出口から突出している薄葉紙(積層薄紙)が蓋体よりも上方に飛び出ている状態で蓋体を閉めようとすると、当該薄葉紙が爪部と爪受部との間に挟まってしまい、スムーズに蓋体を閉塞状態にすることができない。
【0005】
本発明の課題は、スムーズに蓋体を閉塞状態にすることができる薄葉紙収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、薄葉紙収納容器において、
上面に取出口を有し、内側に薄葉紙が積層された薄葉紙積層体を収納するケース体と、
前記ケース体の上面に備えられ、前記ケース体に対して直線状にスライド移動することで前記取出口を開閉させる蓋体と、
前記蓋体が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段と、を備え、
前記係止手段は、前記蓋体に設けられ、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向に突出する爪部と、前記ケース体に設けられ前記爪部と係合する爪受部と、からなり、
前記取出口と前記爪受部とは、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に重ならないように配置されており、
前記爪受部は、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部よりも一側に設けられており、
前記取出口は、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部に配置されており、
前記ケース体は、当該ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部よりも前記爪受部と他側に、前記蓋体のスライド移動の方向に凹状となる穴である係合受部を有し、
前記蓋体は、当該蓋体の閉塞状態において前記係合受部と係合する、前記蓋体のスライド移動の方向に凸状となる突起である係合部を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、薄葉紙収納容器において、
上面に取出口を有し、内側に薄葉紙が積層された薄葉紙積層体を収納するケース体と、
前記ケース体の上面に備えられ、前記ケース体に対して直線状にスライド移動することで前記取出口を開閉させる蓋体と、
前記蓋体が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段と、を備え、
前記係止手段は、前記蓋体に設けられ、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向に突出する爪部と、前記ケース体に設けられ前記爪部と係合する爪受部と、からなり、
前記取出口と前記爪受部とは、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に重ならないように配置されており、
前記爪受部は、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部よりも一側に設けられており、
前記取出口は、前記ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部に配置されており、
前記ケース体は、当該ケース体の平面視にて、前記蓋体のスライド移動の方向に直交する方向の中央部よりも前記爪受部と他側に、前記蓋体のスライド移動の方向に凸状となる突起である係合受部を有し、
前記蓋体は、当該蓋体の閉塞状態において前記係合受部と係合する、前記蓋体のスライド移動の方向に凹状となる穴である係合部を有することを特徴とする
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の薄葉紙収納容器において、
前記薄葉紙積層体は、前記薄葉紙を取り出すための開口が設けられた包装体によって内包されており、
前記開口は、前記ケース体の平面視にて、前記取出口と前記ケース体の高さ方向に重なるように配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1からの何れか一項に記載の薄葉紙収納容器において、
前記薄葉紙積層体を構成する複数の薄葉紙のうち少なくとも最上層の薄葉紙は、端部が前記取出口を介して露出するように折り畳まれていることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1からの何れか一項に記載の薄葉紙収納容器において、
前記蓋体は、当該蓋体と前記ケース体との間に前記薄葉紙が挟まれた状態で閉塞状態となった場合に、当該薄葉紙に押圧されることによって変形することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の薄葉紙収納容器において、
前記蓋体を開放状態となる方向に付勢する付勢部材を有し、当該蓋体を開放状態となる方向にスライド移動させる可動機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、取出口と爪受部とが、ケース体の平面視にて、蓋体のスライド移動の方向に重ならないように配置されており、取出口から突出している薄葉紙が蓋体よりも上方に飛び出ている状態で蓋体を閉めても、当該薄葉紙が爪部と爪受部との間に挟まることがないので、スムーズに蓋体を閉塞状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る薄葉紙収納容器において、(a)は上蓋を閉めた状態を示す斜視図、(b)は上蓋を開けた状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る薄葉紙収納容器において、上蓋を閉めた状態を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る薄葉紙収納容器において、上蓋を開けた状態を示す平面図である。
図4図2の薄葉紙収納容器のIV−IV線における断面図である。
図5図3の薄葉紙収納容器のV−V線における断面図である。
図6】容器本体を示す平面図である。
図7】シャーシ及び付勢部材を示す平面図である。
図8】上蓋を示す平面図である。
図9】容器本体の取出口と包装体の開口との関係を説明するための図である。
図10】薄葉紙収納容器の変形例を示す図である。
図11】薄葉紙収納容器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0016】
図1図8を用いて、本実施形態の薄葉紙収納容器の構成について説明する。
なお、以下の説明では、薄葉紙収納容器の平面視長手方向を左右方向、平面視短手方向を前後方向、高さ方向を上下方向とする。
【0017】
本実施形態に係る薄葉紙収納容器1は、例えば、図1(a)に示すように、上蓋20を閉じた状態で前後方向の側面視にて上側の角が丸みを帯びた略長方形状に形成されており、内部にウェットシートやウェットティシュー等のウェットタイプの薄葉紙Pを収納可能に構成されている。なお、薄葉紙収納容器1には、ティシューペーパーやキッチンペーパーやペーパータオル等のドライタイプの薄葉紙Pを収納しても良い。
具体的には、薄葉紙収納容器1は、例えば、図1(a),(b)、図2から図5に示すように、上面に薄葉紙Pを取り出すための取出開口11を有するとともに下面に薄葉紙Pが積層された薄葉紙積層体Qを詰め替えるための底面開口12を有し、内側の収納空間部Sに薄葉紙積層体Qを収納する容器本体10と、容器本体10の上面にスライド移動自在に設けられ、取出開口11を開閉させる上蓋20と、上蓋20を容器本体10に取り付けるためのシャーシ30と、容器本体10の底面開口12を塞ぐ底蓋40と、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50と、等を備えて構成される。
【0018】
容器本体10、上蓋20、シャーシ30及び底蓋40は、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の熱可塑性樹脂から形成さ
れている。
また、本実施形態においては、付勢部材50として、引張コイルばね(引きばね)を用いるが、これに限ることはなく、付勢部材50は、伸縮部材であれば適宜任意に変更可能であり、例えば、トーションばねや圧縮コイルばね(押しばね)等であっても良い。
また、付勢部材50は、金属材料からなる伸縮部材であっても、高分子材料からなる伸縮部材であっても良い。高分子材料からなる伸縮部材としては、例えば、プラスチック製の伸縮部材、シリコンゴム等のゴムや、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ナイロン系のエラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの弾性体(軟質材料)製の伸縮部材等が挙げられ、また、その形状は、ばね状であっても、板状やチューブ状や紐状であっても良く、適宜任意に変更可能である。付勢部材50が高分子材料からなる場合、金属製の付勢部材と違って錆びることがないので、長期に亘って安定的に使用することができる。薄葉紙収納容器1に収納する薄葉紙Pが、ウェットタイプの薄葉紙Pである場合は特に、金属製の付勢部材50を用いると、薄葉紙Pから蒸発した薬液によって付勢部材が錆びる可能性が高くなるので、高分子材料からなる付勢部材50を用いることが好ましい。
【0019】
容器本体10は、例えば、図1(a),(b)に示すように、当該容器本体10の上面を構成する上面部10aと、当該容器本体10の前後左右の周面を構成する周面部10bと、からなり、容器本体10の下面は平面視にて角のとれた略長方形状を呈する底面開口12となっている。そして、この底面開口12を塞ぐように取り付けられた底蓋40と、容器本体10の上面部10a及び周面部10bと、によって囲まれた空間が、薄葉紙積層体Qを収納するための収納空間部Sとなる。
なお、本実施形態では、下面が開口した容器本体10を用い、薄葉紙積層体Qを容器本体10の下面側から詰め替えるように構成したが、これに限ることはなく、例えば、下面は閉口して前後左右の何れかの面が開口した容器本体10を用い、薄葉紙積層体Qを容器本体10の前後左右の何れかの面側から詰め替えるように構成することも可能である。
【0020】
容器本体10の上面部10aには、例えば、図4図5に示すように、下側に向けて陥没する凹部13が設けられており、この凹部13の底面部13aに取出開口11が形成されている。なお、本実施形態では、底面部13aのうち左右方向(容器本体10の平面視長手方向)中央よりも一側(本実施形態の場合、右側)にずれた位置に取出開口11を形成したが、これに限ることはなく、例えば、底面部13aの左右方向略中央に取出開口11を形成することも可能である。
取出開口11は、容器本体10の内部の収納空間部Sに収納された薄葉紙Pを取り出すための、平面視にて角のとれた略長方形状に形成された開口である。
【0021】
この取出開口11の周縁には、例えば、図4図5に示すように、シリコンゴム等のゴムや、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ナイロン系のエラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの薬液耐性のある軟質材料から形成されたケース側パッキン14が装着されている。
また、上蓋20の下面にも、シリコンゴム等のゴムや、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ナイロン系のエラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの薬液耐性のある軟質材料から形成された蓋側パッキン21が取り付けられている。
蓋側パッキン21は、上蓋20の下面のうち上蓋20の閉塞状態においてケース側パッキン14に対応する位置に設けられており、ケース側パッキン14と蓋側パッキン21とは、上蓋20が閉塞状態となった場合に互いに密着して(図4参照)、収納空間部S内の気密性を保持するように構成されている。すなわち、ケース側パッキン14及び蓋側パッキン21が、収納空間部S内を気密に保つための気密手段として機能する。
これにより、薄葉紙収納容器1に収納する薄葉紙Pが、本実施形態のようにウェットタイプの薄葉紙Pである場合には、薄葉紙Pに含浸した薬液の蒸発を防止できるようになっている。
【0022】
ケース側パッキン14には、例えば、図3図5に示すように、当該ケース側パッキン14本体の下面開口を塞ぐ(すなわち、容器本体10の取出開口11を塞ぐ)底面部14aが設けられている。
底面部14aには、例えば、図3に示すように、取出口Caとなる開口が設けられており、この開口によって、容器本体10の取出開口11の一部が開放されている。
すなわち、本実施形態の場合、上面に取出口Caを有し、内側に薄葉紙Pが積層された薄葉紙積層体Qを収納するケース体Cは、容器本体10と、当該容器本体10の上面に固定されるシャーシ30と、当該容器本体10の上面に装着されるケース側パッキン14と、からなり、上蓋20は、ケース体Cのうちシャーシ30に取り付けられている。
【0023】
取出口Caは、上蓋20が開放状態(図1(b)、図3図5参照)となった場合に開放され、このとき薄葉紙Pは、取出口Caを通じて一枚毎に収納空間部Sから外部に引き出すことができるようになっている。
ここで、収納空間部Sに収納されている薄葉紙積層体Qは、例えば、複数枚の薄葉紙Pが積層された詰替え用の薄葉紙積層体であって、ケース体Cに形成された取出口Caから薄葉紙Pを継続して取り出せるように交互に折り重ねられた状態で積層されている。すなわち、薄葉紙Pを取出口Caからケース体Cの外側へ引き出したときに、次の薄葉紙Pの上端が取出口Caよりも突出する位置まで収納空間部Sから引き出される、いわゆるポップアップ方式となっている。
なお、薄葉紙積層体Qは、本実施形態のように包装体Tによって内包しても良いし、包装体Tによって内包しなくても良い。特に、薄葉紙収納容器1に収納する薄葉紙Pが、本実施形態のようにウェットタイプの薄葉紙Pである場合には、薄葉紙積層体Qを防湿性の包装体Tによって内包することが好ましい。
また、取出口Caは、上蓋20が閉塞状態(図1(a)、図2図4参照)となった場合に閉塞されるようになっている。
【0024】
また、ケース側パッキン14の底面部14aには、例えば、図3図6に示すように、開口(取出口Ca)を塞ぐ方向側に向けて延出する延出部14bが設けられている。これにより、薄葉紙Pを一枚ずつ引き出しやすくなっている。
なお、本実施形態では、延出部14bを先端部が上下動可能な舌片状としたが、これに限ることはなく、延出部14bは、例えば、上下動不能であっても良い。
また、本実施形態では、容器本体10にケース側パッキン14を設けて上蓋20に蓋側パッキン21を設けた、すなわち、ケース体Cと上蓋20との双方に気密手段を設けたが、これに限ることはなく、気密手段によって取出口Caの周縁と上蓋20との隙間を封止できるのであれば、例えば、ケース体Cだけに気密手段を設けても良いし、上蓋20だけに気密手段を設けても良い。
【0025】
シャーシ30は、例えば、図4図5に示すように、容器本体10の凹部13内に収容された状態で容器本体10の上面部10aに固定されており、上蓋20は、シャーシ30を介して容器本体10に取り付けられている。
シャーシ30は、例えば、図7に示すように、凹部13の底面部13a上に載置され、取出開口11を取り囲む枠部31と、閉塞状態の上蓋20と略面一となるよう枠部31に支持される上壁部32と、を備えて構成される。
本実施形態では、上蓋20と上壁部32とを合わせると、平面視にて略楕円形状の板状部材を構成するようになっている。また、上蓋20及び上壁部32は、前後方向(短径方向)に下方へ凸となるよう湾曲した形状をなしている。
【0026】
シャーシ30の枠部31(具体的には、枠部31の連結部31c(後述))の上面には、例えば、図2図3図7に示すように、付勢部材50の一端と係合する固定側係合部33が設けられている。
また、上蓋20の下面のうち前後方向略中央の位置には、例えば、図2図3図8に示すように、付勢部材50の他端と係合する可動側係合部22が設けられている。
本実施形態において、薄葉紙収納容器1は、例えば、図7に示すように、付勢部材50である引張コイルばねを2本備えている。また、シャーシ30の枠部31は、固定側係合部33を2つ備えている。この2つの固定側係合部33は、上蓋20とシャーシ30とが組み合わされた状態で所定の直線(具体的には、左右方向(長径方向)に平行で可動側係合部22を通る直線)に対して互いに線対称となる位置に配置され、かつ、上蓋20の閉塞状態における可動側係合部22との間隔(図2参照)が、上蓋20の開放状態における可動側係合部22との間隔(図3参照)よりも長くなるように、枠部31に設けられている。そして、2本の付勢部材50のうち一方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの一方に掛止されるとともに、2本の付勢部材50のうち他方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの他方に掛止され、2本の付勢部材50の双方の他端が、上蓋20に設けられた可動側係合部22に掛止されている。
【0027】
上蓋20が右側(すなわち、上壁部32側)へとスライド移動して開放状態から閉塞状態に移行すると、付勢部材50の一端に係合する固定側係合部33と、付勢部材50の他端に係合する可動側係合部22と、の間隔が長くなるので、付勢部材50は左側(すなわち、上壁部32とは反対側)に付勢された状態になる。すなわち、付勢部材50は、上蓋20の閉塞状態において、当該上蓋20を開放状態となる方向に付勢している。そして、付勢部材50の付勢力に抗する力が解除されると、付勢部材50の付勢力によって上蓋20が左側(すなわち、上壁部32とは反対側)に引っ張られて、取出口Caが開放される。
【0028】
また、本実施形態において、可動側係合部22は、例えば、図4図5に示すように、固定側係合部33よりも上側に配置されている。そのため、付勢部材50は、ケース体Cの高さ方向(すなわち、上下方向)に対して斜めに設置、具体的には、可動側係合部22と係合する他端が、固定側係合部33と係合する一端よりも上側に配置された状態で設置されている。したがって、付勢部材50は、上蓋20の閉塞状態において、当該上蓋20を開放状態となる方向に付勢するだけでなく、当該上蓋20を下方向(すなわち、当該上蓋20をケース体Cに押し付ける方向)にも付勢するので、気密手段(本実施形態の場合、ケース側パッキン14及び蓋側パッキン21)によって取出口Caの周縁と上蓋20との隙間がしっかりと封止されることとなって、収納空間部Sの気密性が向上する。
これにより、薄葉紙収納容器1に収納する薄葉紙Pが、本実施形態のようにウェットタイプの薄葉紙Pである場合には、薄葉紙Pに含浸した薬液の蒸発を確実に防止できるようになっている。
【0029】
付勢部材50は、伸縮部材により構成され、シャーシ30の固定側係合部33が、ケース体C(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられ付勢部材50の一端と係合する固定点として機能し、上蓋20の可動側係合部22が、上蓋20に設けられ付勢部材50の他端と係合する可動点として機能する。
そして、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が、上蓋20を開放状態となる方向にスライド移動させる可動機構として機能する。
なお、本実施形態では、固定側係合部33(固定点)をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、固定側係合部33(固定点)は、容器本体10に設けても良い。
【0030】
また、本実施形態では、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22は、上蓋20が、開放状態である場合も、閉塞状態である場合も、開放状態から閉塞状態に移行する途中の状態である場合も、閉塞状態から開放状態に移行する途中の状態である場合も、凹部13内に配置された状態で上蓋20に上方から覆われているので、薄葉紙収納容器1の外部から視認することができない。
すなわち、上蓋20は、当該上蓋20の状態にかかわらず、外部から視認不能に付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22を遮蔽している。これにより、薄葉紙収納容器1の美観が向上するとともに、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が触られることを防止できるようになっている。
【0031】
さらに、本実施形態では、凹部13の底面部13aが、容器本体10の内側(収納空間部S側)から視認不能に付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22を遮蔽しているので、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が、容器本体10の内側から触られることも防止できるようになっている。
【0032】
上蓋20の右端部(すなわち、上壁部32側の端部)には、例えば、図4図5に示すように、下側に向けて突出する爪部23が設けられている。
また、シャーシ30には、上壁部32の一部を操作面34aとしたスイッチ部34が設けられている。スイッチ部34は、前後方向に沿って延設された軸部34bを回動軸として回動可能に構成されており、左端側(すなわち、上蓋20側)に爪部23が上方から進入して係合する爪受部34cを有している。また、スイッチ部34は、図示しない付勢手段によって、押圧されて回動する方向とは逆方向に付勢されている。
【0033】
上蓋20が開放状態である際に、付勢部材50の付勢力に抗する力を作用させて上蓋20を右側(すなわち、上壁部32側)へとスライド移動させると、まず、上蓋20の爪部23がスイッチ部34の爪受部34cに当接する。さらに上蓋20を右側へとスライド移動させると、爪受部34cが爪部23に押されてスイッチ部34の付勢手段の付勢力に抗する力が作用し、爪受部34cが下側へと移動するようにスイッチ部34が回動する。そして、上蓋20が閉塞状態になってスイッチ部34の付勢手段の付勢力に抗する力が解除されると、スイッチ部34の付勢手段の付勢力によって爪受部34cがもとの位置に戻るよう(すなわち、操作面34aが上壁部32の表面と略面一の状態となるよう)にスイッチ部34が回動して、爪部23と爪受部34cとが係合する。これにより、上蓋20の閉塞状態を維持できるようになっている。
【0034】
また、爪部23と爪受部34cとが係合している際に、スイッチ部34の操作面34aが押圧されてスイッチ部34の付勢手段の付勢力に抗する力が作用すると、爪受部34cが下側へと移動するようにスイッチ部34が回動する。そして、スイッチ部34の回動に伴い爪部23と爪受部34cとの係合が解除されると、付勢部材50の付勢力によって上蓋20が左側(すなわち、上壁部32とは反対側)へとスライド移動して開放状態になる。
すなわち、上蓋20に設けられた爪部23と、シャーシ30に設けられ爪部23と係合する爪受部34cとが、付勢部材50の付勢力に抗して上蓋20が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段として機能する。
なお、本実施形態では、係止手段による係止を解除する際に押圧されるスイッチ部34をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、スイッチ部34は、容器本体10に設けても良い。
【0035】
ここで、例えば、図3に示すように、爪受部34c(少なくとも爪部23が進入する孔部)は、平面視にて、爪部23と左右方向(上蓋20のスライド移動の方向)に重なるように配置されているが、取出口Ca(本実施形態の場合、ケース側パッキン14の開口)とは左右方向(上蓋20のスライド移動の方向)に重ならないように配置されている。すなわち、爪受部34c(少なくとも爪部23が進入する孔部)は、上蓋20のスライド移動に伴う爪部23の移動の軌跡に重なるように配置されているが、取出口Caは、上蓋20のスライド移動に伴う爪部23の移動の軌跡に重ならないように配置されている。
具体的には、本実施形態では、爪受部34c及び爪部23は、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部に配置されており、取出口Caは、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部よりも当該前後方向の一方側(本実施形態の場合、後側)にずれた位置に配置されている。
【0036】
このように、本実施形態の薄葉紙収納容器1においては、取出口Caが爪部23の移動の軌跡下に配置されていないため、取出口Caから突出している薄葉紙Pが上蓋20よりも上方に飛び出ている状態で、上蓋20を閉めようとしても(上壁部32側へとスライド移動させても)、当該薄葉紙Pが爪部23と爪受部34cとの間に挟まってしまうことがない。したがって、取出口Caから突出している薄葉紙Pが上蓋20よりも上方に飛び出ている場合であっても、スムーズに上蓋20を閉塞状態にする(すなわち、スムーズに爪部23と爪受部34cとを係合させる)ことができる。
【0037】
本実施形態においては、取出口Caから突出している薄葉紙Pが上蓋20よりも上方に飛び出ている状態で、上蓋20を閉める場合、当該薄葉紙Pは、爪部23と爪受部34cとの間には挟まらないが、上蓋20と上壁部32との間には挟まる。上蓋20と上壁部32との間に薄葉紙Pが挟まると、上蓋20の上壁部32への接近が制限されるので、スムーズに上蓋20を閉塞状態にする(すなわち、スムーズに爪部23と爪受部34cとを係合させる)ことができなくなったり、上蓋20の閉塞状態においてケース側パッキン14と蓋側パッキン21との間に隙間ができて気密性が低下してしまったりする可能性がある。
したがって、上蓋20として、上蓋20と上壁部32との間に薄葉紙Pが挟まれた状態で上蓋20が閉塞状態となった場合に、当該薄葉紙Pに押圧されることによって変形可能な蓋体、具体的には、例えば、弾性変形可能な軟質材料から形成された蓋体を用いることが好ましい。
【0038】
これにより、上蓋20と上壁部32との間に薄葉紙Pが挟まっても、上蓋20のうち薄葉紙Pと接する部分のみが凹むように変形するので、薄葉紙Pと接する部分以外の部分の上壁部32への接近は制限されない。したがって、爪部23の爪受部34cへの接近は制限されないので、スムーズに上蓋20を閉塞状態にすることができるとともに、蓋側パッキン21のケース側パッキン14への接近も制限されないので、上蓋20の閉塞状態においてケース側パッキン14と蓋側パッキン21とがぴったりと密着して気密性を保持することができる。
なお、上蓋20全体を、薄葉紙Pに押圧されることによって変形可能な材料(例えば、弾性変形可能な軟質材料)で形成してもよいし、上蓋20の一部(例えば、上壁部32側の端部)のみを、薄葉紙Pに押圧されることによって変形可能な材料で形成してもよい。
【0039】
ところで、薄葉紙積層体Qを包む包装体Tに設けられた開口T1(薄葉紙Pを取り出すための開口)は、通常、例えば、図9(a)に示すように、包装体Tの平面視短手方向の略中央部に設けられている。したがって、本実施形態のように、取出口Caが、ケース体Cの平面視短手方向(すなわち、前後方向)の中央部からずれた位置に配置されていると、例えば、図9(a)に示すように、開口T1の大部分(あるいは、全部)が取出口Caを介して視認できず、取出口Caから収納空間部S内にユーザの指等を入れて包装体Tに内包されている薄葉紙Pを引き出す作業が行いにくいという問題が生じる場合がある。
また、薄葉紙積層体Qを構成する薄葉紙Pは、通常、例えば、図9(a)に示すように、当該薄葉紙Pの端部P1(具体的には、薄葉紙積層体Qの平面視長手方向に沿って延在する端部のうち開口T1側の端部)が薄葉紙積層体Qの平面視短手方向の略中央部に位置するように折り畳まれている。したがって、本実施形態のように、取出口Caが、ケース体Cの平面視短手方向(すなわち、前後方向)の中央部からずれた位置に配置されていると、例えば、図9(a)に示すように、薄葉紙Pの端部P1が取出口Caを介して視認できず、取出口Caから収納空間部S内にユーザの指等を入れて未使用の薄葉紙積層体Qから薄葉紙Pを引き出す作業が行いにくいという問題が生じる場合がある。
【0040】
したがって、開口T1は、例えば、図9(b),(c)に示すように、ケース体Cの平面視にて前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部よりも当該前後方向の一方側(本実施形態の場合、後側)にずれた位置に、取出口Caと上下方向(ケース体Cの高さ方向)に重なるように配置されていることが好ましい。
これにより、開口T1の大部分(あるいは、全部)が取出口Caを介して視認できるようになるので、取出口Caから収納空間部S内にユーザの指等を入れて包装体Tに内包されている薄葉紙Pを引き出す作業が行いやすくなる。
【0041】
また、薄葉紙積層体Qが包装体Tによって内包されている場合も、内包されていない場合も、当該薄葉紙積層体Qを構成する複数の薄葉紙Pのうち最上層の薄葉紙P(すなわち、最初に引き出される薄葉紙P)は、例えば、図9(b),(c)に示すように、その端部P1が、ケース体Cの平面視短手方向の中央部からずれた位置に配置された取出口Caを介して露出するように折り畳まれていることが好ましい。
これにより、最上層の薄葉紙Pの端部P1が取出口Caを介して視認できるようになるので、取出口Caから収納空間部S内にユーザの指等を入れて未使用の薄葉紙積層体Qから薄葉紙Pを引き出す作業が行いやすくなる。
本実施形態の場合、薄葉紙Pはポップアップ方式で折り畳まれているので、取出口Caから収納空間部S内にユーザの指等を入れて最上層の薄葉紙Pの端部P1(上端部)を取出口Caよりも突出する位置まで引き出せば、その他の薄葉紙Pの端部P1(上端部)は、その前の薄葉紙P全体を取出口Caから外側へ引き出したときに取出口Caよりも突出する位置まで引き出される。したがって、少なくとも最上層の薄葉紙Pの端部P1が取出口Caを介して露出するように折り畳まれていれば良く、例えば、図9(b)に示すように、最上層の薄葉紙Pの折り方のみを、通常の折り方(例えば、図9(a)の折り方)と変えても良いし、薄葉紙積層体Qを構成する薄葉紙Pのうち最上層の薄葉紙Pを含む一部の複数の薄葉紙Pの折り方を、通常の折り方と変えても良いし、例えば、図9(c)に示すように、薄葉紙積層体Qを構成する全ての薄葉紙Pの折り方を、通常の折り方と変えても良い。最初に引き出される薄葉紙P以外の薄葉紙Pの折り方も通常の折り方と変えた場合、例えば最初に引き出される薄葉紙P以外の薄葉紙Pの端部P1が取出口Caよりも突出する位置まで引き出された後に収納空間部S内に落ち込んでしまっても、その落ち込んだ端部P1が取出口Caを介して視認できるので、その薄葉紙Pが引き出しやすくなる。
なお、薄葉紙Pの端部P1が取出口Caを介して露出するよう、通常の折り方の折り位置に端部P1を折り返すための折り位置を追加したり(図9(b)参照)、折り位置を通常の折り方の折り位置からずらしたり(図9(c)参照)したが、これに限ることはなく、端部P1が取出口Caを介して露出するのであれば、薄葉紙Pの折り方は適宜任意に変更可能である。また、通常の折り方は、図9(a)に示すZ状の三つ折り(Z折り)に限らず、適宜任意に変更可能である。
【0042】
本実施形態においては、シャーシ30の枠部31の一部が、上蓋20を直線的にスライド移動するようガイドするレール部31aになっている。具体的には、例えば、図7に示すように、シャーシ30の枠部31は、左右方向に沿って延設され、前後方向に並ぶレール部31a,31aと、レール部31a,31aの右端部(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側の端部)同士を連結するとともに上壁部32を支持する支持部31bと、レール部31a,31aの左端部(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側の端部)同士を連結する連結部31cと、からなる。
また、例えば、図8に示すように、上蓋20には、レール部31aに対してスライド移動可能に係合するスライド部24が設けられている。スライド部24は、例えば、上蓋20とシャーシ30とが組み合わされた状態で、レール部31aに設けられた横溝部に挿入可能となるように、上蓋20の下面から垂下する垂壁部(図示省略)の下端に接続されている。
これにより、上蓋20をスムーズかつ確実に開閉できるようになっている。
なお、本実施形態では、上蓋20のスライド移動をガイドするためのレール部31aをシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、レール部31aは、容器本体10に設けても良い。
【0043】
スライド部24の左端部(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側の端部)には、例えば、図8に示すように、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収するダンパー24aが設けられている。
また、容器本体10の凹部13の周縁のうち、上蓋20の閉塞状態においてスライド部24の左端側(ダンパー24aを含む)に対応する位置には、例えば、図6に示すように、上蓋20が閉塞状態から開放状態へと移行する際にスライド部24が入り込む横穴部15が形成されており、上蓋20の開放状態において、横穴部15内でスライド部24のダンパー24aが容器本体10に当接するように構成されている。すなわち、スライド部24が容器本体10に衝突することによって、付勢部材50の付勢力による上蓋20のスライド移動が停止するように構成されており、当該衝突の際の衝撃を、ダンパー24aによって吸収できるようになっている。
なお、本実施形態では、撓むことで衝撃を吸収できるようにダンパー24aを左方へ凸となるよう内側から外側に向けて湾曲した弓状に形成したが、これに限ることはなく、ダンパー24aの形状は、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収できるのであれば、適宜任意に変更可能である。
【0044】
上蓋20には、例えば、図4図5に示すように、上蓋20を閉める際等に指を掛けるための可動側指掛部25が設けられている。具体的には、上蓋20には、可動側指掛部25として、当該上蓋20の右端部(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側の端部)を上側に向けて起立させることによって形成された突起部が設けられている。また、上蓋20には、可動側指掛部25に掛けた指を載置するための指載置部26として、当該上蓋20の上面を下側に向けて窪ませることによって形成された凹部が設けられている。
また、ケース体C(本実施形態の場合、シャーシ30)のうち係止手段(本実施形態の場合、爪受部34c)よりも右側(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側)には、上蓋20を閉める際等に指を掛けるための不動側指掛部35が設けられている。具体的には、シャーシ30には、不動側指掛部35として、シャーシ30の端部(本実施形態の場合、上壁部32の右端部)を上側に向けて起立させることにより形成された突起部が設けられている。
【0045】
すなわち、可動側指掛部25の左側(すなわち、不動側指掛部35とは反対側)に指を掛けて上蓋20を閉める際に、不動側指掛部35の右側(すなわち、可動側指掛部25とは反対側)に指を掛けて容器本体10に左方向の力(上蓋20に作用させる力とは逆方向の力)を作用させて容器本体10が滑らないように容器本体10を固定しておくことができるように構成されている。これにより、片手で上蓋20を閉めることができるようになっている。
また、本実施形態の場合、不動側指掛部35は、スイッチ部34に離間してケース体C(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられている。これにより、不動側指掛部35に掛けた指でスイッチ部34を誤操作してしまうことを防止できるようになっている。
なお、本実施形態では、不動側指掛部35をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、不動側指掛部35は、容器本体10に設けても良い。
【0046】
上蓋20の下面には、例えば、図4図5に示すように、先端が左側(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側)を向くよう前後方向の側面視略逆L字状に突出する突片部27が設けられている。
また、容器本体10の凹部13の周縁のうち、上蓋20の閉塞状態において突片部27の先端側(ダンパー27a(後述)を含む)に対応する位置には、例えば、図6に示すように、上蓋20が閉塞状態から開放状態へと移行する際に突片部27が入り込む横穴部16が形成されており、上蓋20が開放状態になると、上蓋20の突片部27の先端側が容器本体10の横穴部16に入り込んで、突片部27の上下方向の移動が規制されるように構成されている。これにより、上蓋20の開放状態において、上蓋20の左端側が上方向へと移動して上蓋20が起き上がってしまうことを防止できるようになっている。
【0047】
突片部27の先端部には、例えば、図4図5に示すように、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収するダンパー27aが設けられており、上蓋20の開放状態において、横穴部16内で突片部27のダンパー27aが容器本体10に当接するように構成されている。すなわち、突片部27が容器本体10に衝突することによっても、付勢部材50の付勢力による上蓋20のスライド移動が停止するように構成されており、当該衝突の際の衝撃を、ダンパー27aによって吸収できるようになっている。
【0048】
なお、本実施形態では、撓むことで衝撃を吸収できるようにダンパー27aを左方へ凸となるよう上側から下側に向けて湾曲した弓状に形成したが、これに限ることはなく、ダンパー27aの形状は、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収できるのであれば、適宜任意に変更可能である。
また、本実施形態では、突片部27にダンパー27aを設けてスライド部24にダンパー24aを設けた、すなわち、突片部27とスライド部24との双方にダンパーを設けたが、これに限ることはなく、ダンパーによって上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収すること(衝撃を緩めること)ができるのであれば、例えば、突片部27だけにダンパーを設けても良いし、スライド部24だけにダンパーを設けても良いし、突片部27及びスライド部24以外の部分にダンパーを設けても良い。また、ダンパーは、上蓋20側ではなく、ケース体C側に設けても良いし、上蓋20側とケース体C側との双方に設けても良い。突片部27にダンパーを設けない場合は、上蓋20の開放状態において、突片部27が横穴部16内で容器本体10に当接しないように構成することが好ましい。また、スライド部24にダンパーを設けない場合は、上蓋20の開放状態において、スライド部24が横穴部15内で容器本体10に当接しないように構成することが好ましい。
【0049】
なお、本実施形態では、スライド部24の左端側が入り込む横穴部15の上方が上面部10aによって塞がれるように構成したが、これに限ることはなく、横穴部15は上方に開口していてもよい。
また、突片部27は、上蓋20が起き上がってしまうことを防止するために設けられているが、本実施形態のように、スライド部24の左端側が入り込む横穴部15の上方が上面部10aによって塞がれている場合には、スライド部24によって、上蓋20が起き上がってしまうことを防止することができる。具体的には、この場合には、上蓋20が開放状態になると、上蓋20のスライド部24の左端側が容器本体10の横穴部15に入り込んで、スライド部24の上下方向の移動が規制され、上蓋20が起き上がってしまうことを防止することができるので、突片部27を設けなくてもよい。
【0050】
以上説明した本実施形態の薄葉紙収納容器1によれば、上面に取出口Caを有し、内側に薄葉紙Pが積層された薄葉紙積層体Qを収納するケース体Cと、ケース体Cに対してスライド移動することで取出口Caを開閉させる上蓋20(蓋体)と、上蓋20が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段と、を備え、係止手段は、上蓋20に設けられた爪部23と、ケース体Cに設けられ爪部23と係合する爪受部34cと、からなり、取出口Caと爪受部34cとは、ケース体Cの平面視にて、上蓋20のスライド移動の方向(本実施形態の場合、左右方向)に重ならないように配置されている。
【0051】
具体的には、本実施形態の場合、爪受部34cは、ケース体Cの平面視にて、上蓋20(蓋体)のスライド移動の方向に直交する方向(本実施形態の場合、前後方向)の中央部に配置されており、取出口Caは、ケース体Cの平面視にて、上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向の中央部からずれた位置に配置されている。
【0052】
したがって、取出口Caから突出している薄葉紙Pが上蓋20よりも上方に飛び出ている状態で、上蓋20を閉めても、当該薄葉紙Pが爪部23と爪受部34cとの間に挟まることがないので、スムーズに上蓋20を閉塞状態にする(すなわち、スムーズに爪部23と爪受部34cとを係合させる)ことができる。
【0053】
また、以上説明した本実施形態の薄葉紙収納容器1によれば、薄葉紙積層体Qは、薄葉紙Pを取り出すための開口T1が設けられた包装体Tによって内包されており、開口T1は、ケース体Cの平面視にて上蓋20(蓋体)のスライド移動の方向に直交する方向(本実施形態の場合、前後方向)の中央部からずれた位置に、取出口Caとケース体Cの高さ方向(本実施形態の場合、上下方向)に重なるように配置されるよう構成することが可能である。
このように構成することによって、開口T1の大部分(あるいは、全部)が取出口Caを介して視認できるようになるので、包装体Tに内包されている薄葉紙Pが引き出しやすくなる。
なお、本実施形態では、開口T1の全部が取出口Caとケース体Cの高さ方向に重なるよう構成したが、これに限ることはなく、開口T1の大部分(例えば、半分以上)が取出口Caとケース体Cの高さ方向に重なっていれば良い。
【0054】
また、以上説明した本実施形態の薄葉紙収納容器1によれば、薄葉紙積層体Qを構成する複数の薄葉紙Pのうち少なくとも最上層の薄葉紙Pは、端部P1が取出口Caを介して露出するように折り畳まれるよう構成することが可能である。
このように構成することによって、薄葉紙Pの端部P1が取出口Caを介して視認できるようになるので、未使用の薄葉紙積層体Qから薄葉紙Pが引き出しやすくなる。
【0055】
また、以上説明した本実施形態の薄葉紙収納容器1によれば、上蓋20(蓋体)は、当該上蓋20とケース体C(本実施形態の場合、シャーシ30の上壁部32)との間に薄葉紙Pが挟まれた状態で閉塞状態となった場合に、当該薄葉紙Pに押圧されることによって変形するよう構成することが可能である。
このように構成することによって、上蓋20とケース体Cとの間に薄葉紙Pが挟まった場合、上蓋20のうち薄葉紙Pと接する部分のみが凹むように変形し、薄葉紙Pと接する部分以外の部分とケース体Cとの位置関係は薄葉紙Pが挟まっていないときと略同じになるので、上蓋20とケース体Cとの間に薄葉紙Pが挟まっても、スムーズに上蓋20を閉塞状態にすることができるとともに、気密性を保持することができる。
【0056】
<変形例1>
爪受部34cを、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部からずれた位置に配置し、取出口Caを、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部に配置することによって、取出口Caと爪受部34c(少なくとも爪部23が進入する孔部)とが、ケース体Cの平面視にて、上蓋20のスライド移動の方向に重ならないようにすることも可能である。
ここで、取出口Caの位置は、ケース側パッキン14の底面部14aに設ける開口の位置を変えることによって変更することができる。
【0057】
具体的には、例えば、図10に示すように、取出口Caが、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部に配置されるように、ケース側パッキン14の底面部14aに開口を設けるとともに、例えばスイッチ部34の幅(前後方向の長さ)を上記実施形態よりも大きくして、爪受部34cを、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部を挟んで、当該前後方向に並んで2つ設けるように構成しても良い。
【0058】
また、例えば、図11に示すように、取出口Caが、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部に配置されるように、ケース側パッキン14の底面部14aに開口を設けるとともに、例えばスイッチ部34の幅(前後方向の長さ)を上記実施形態よりも大きくして、爪受部34cを、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部よりも一側(図11の場合、前側)に設けるように構成しても良い。
この場合、例えば、図11に示すように、ケース体C(図11の場合、シャーシ30)のうち、ケース体Cの平面視にて前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部よりも他側(図11の場合、後側)に、係合受部36を設け、上蓋20に、当該上蓋20の閉塞状態において係合受部36と係合可能な係合部28を設けると、上蓋20の閉塞状態において当該上蓋20のぐらつきを防止することができ、好適である。
【0059】
なお、図11に示す例では、係合受部36を凹状に形成し、係合部28を凸状に形成したが、係合受部36及び係合部28の形状は適宜任意に変更可能であり、例えば、係合受部36を凸状に形成し、係合部28を凹状に形成することも可能である。
また、係合受部36及び係合部28は、必ずしも設けなくても良い。係合受部36及び係合部28を設けない場合、取出口Caは、ケース体Cの平面視にて、前後方向(上蓋20のスライド移動の方向に直交する方向)の中央部ではなく、当該中央部よりも他側(図11の場合、後側)に配置されていても良い。
また、変形例1の場合、薄葉紙積層体Qを包む包装体Tとして、通常の包装体T、すなわち開口T1が包装体Tの平面視短手方向の略中央部に設けられた包装体T(図9(a)参照)を用いることが好ましい。また、薄葉紙積層体Qを構成する薄葉紙Pの折り方は、通常の折り方、すなわち薄葉紙Pの端部P1が薄葉紙積層体Qの平面視短手方向の略中央部に位置するような折り方(図9(a)参照)であることが好ましい。
【0060】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、前述の実施形態及び変形例の構成を組み合わせて適用しても良い。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0061】
ケース側パッキン14に底面部14aを設け、底面部14aに取出口Caとなる開口を形成するよう構成したが、これに限ることはなく、例えば、容器本体10の取出開口11が取出口Caとなるよう、取出開口11のサイズや位置を調整しても良い。すなわち、容器本体10の取出開口11とシャーシ30の爪受部34cとを、ケース体Cの平面視にて、上蓋20のスライド移動の方向に重ならないように配置することも可能である。この場合、ケース側パッキン14としては、底面部14aが設けられていない(延出部14bは設ける方が好ましい)、取出開口11の周縁に装着可能な大きさに形成された筒状のパッキンが用いられる。また、この場合、ケース体Cには、ケース側パッキン14を含めても良いし、含めなくても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 薄葉紙収納容器
10 容器本体(ケース体)
14 ケース側パッキン(ケース体)
20 上蓋(蓋体)
23 爪部(係止手段)
28 係合部
30 シャーシ(ケース体)
34c 爪受部(係止手段)
36 係合受部
C ケース体
Ca 取出口
P 薄葉紙
P1 端部
Q 薄葉紙積層体
T 包装体
T1 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11