(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
加工機本体の筐体に形成された搬送口を通じて前記筐体内の保持具に被加工物をローディングするローディング装置であって、前記筐体の外側において複数の被加工物を上下に配列した状態で格納するストッカーと、移載機と、前記筐体の外側且つ前記ストッカーの側方において前記移載機を昇降させる昇降機と、を備え、前記昇降機が前記移載機を前記複数の被加工物のうち何れかの所定被加工物の高さにまで移動させて、前記移載機が前記ストッカーから前記所定被加工物を引き抜き、前記昇降機が前記移載機を前記搬送口の高さにまで移動させて、前記移載機が前記搬送口を通じて前記保持具に前記所定被加工物を装填するローディング装置が明らかとなる。
【0014】
また、搬送口が形成された筐体と、前記筐体内に配される工具と、前記筐体内に配され、前記工具を回転駆動する回転駆動機と、前記筐体内に配され、被加工物を保持する保持具と、前記筐体内において前記保持具に対して相対的に前記工具及び前記回転駆動機を前記回転駆動機の回転軸に平行なZ軸方向と、前記Z軸方向に直交するとともに互いに直交するX軸方向及びY軸方向とに移動させるよう駆動する三次元変位機構と、前記筐体の外側において複数の被加工物を上下に配列した状態で格納するストッカーと、移載機と、前記筐体の外側且つ前記ストッカーの側方において前記移載機を昇降させる昇降機と、を備え、前記昇降機が前記移載機を前記複数の被加工物のうち何れかの所定被加工物の高さにまで移動させて、前記移載機が前記ストッカーから前記所定被加工物を引き抜き、前記昇降機が前記移載機を前記搬送口の高さにまで移動させて、前記移載機が前記搬送口を通じて前記保持具に前記所定被加工物を装填する加工装置が明らかとなる。
【0015】
以上によれば、ストッカーに格納された複数の被加工物のうち所定の被加工物が移載機及び昇降機によって加工機本体の筐体内の保持具に装填されるので、加工機本体の保持具やストッカーの動きを最小限に抑えることができたり、それら保持具やストッカーを固定した状態とすることができたりする。
【0016】
好ましくは、前記昇降機が前記ストッカーに関して前記搬送口の反対側の昇降位置において前記移載機を昇降させ、前記移載機が前記所定被加工物を前記ストッカーから前記昇降位置にまで引き抜くとともに、前記所定被加工物を前記昇降位置から前記ストッカー及び前記搬送口に通過させて、前記保持具まで送る。
好ましくは、前記移載機が、前記所定被加工物を把持するピッカーと、前記昇降位置から前記保持具までの範囲で前記ピッカーを送る送り機構と、前記送り機構を駆動する駆動機と、を有する。
好ましくは、前記送り機構による前記ピッカーの軌跡が直線的である。
【0017】
以上によれば、移載機が所定被加工物をストッカーから昇降位置にまで引き抜くとともに、所定被加工物を昇降位置からストッカー及び搬送口に通過させて、保持具まで送るので、上又は下から見て、所定被加工物が引き抜かれる際の軌跡と、所定被加工物が保持具にまで送られる際の軌跡が部分的に重なっている。そのため、ローディング装置をコンパクトにすることができる。
【0018】
好ましくは、前記ローディング装置が、前記筐体に並設されたハウジングを更に備え、前記ストッカー、前記移載機及び前記昇降機が前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングには前記筐体の前記搬送口に連なる第二搬送口が形成されている。
【0019】
以上によれば、筐体の内側とハウジングの内側が別室になっているので、筐体内の保持具に保持された被加工物の加工時に発生する屑がハウジング内に侵入しづらい。
【0020】
好ましくは、前記ローディング装置が、前記第二搬送口を通常時閉じるように前記第二搬送口を設けられ、前記筐体の内側に向けて開放可能な扉を更に備える。
【0021】
以上によれば、扉が筐体の内側に向けて開放可能であるので、移載機が搬送口を通じて保持具に所定被加工物を装填する際に、扉が移載機或いは保持具によって押し開かれる。また、扉が通常閉じたものであるので、被加工物の加工時に発生する屑がハウジング内に侵入しづらい。
【0022】
===第1の実施の形態===
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0023】
<加工装置について>
図1は加工装置1の正面図であり、
図2は加工装置1の平面図である。
図1及び
図2において、方向を表す補助線としてX軸、Y軸及びZ軸を図示するが、これらX軸、Y軸及びZ軸は互いに直交し、X軸方向及びY軸方向は水平な方向であり、Z軸方向は鉛直な方向である。なお、X軸が水平面に対して傾斜し、Z軸が鉛直方向に対して傾斜してもよい。
【0024】
図1及び
図2に示すように、加工装置1は、板状の被加工物(ワーク、ワークピース)8を加工する加工機本体2と、加工機本体2に対する被加工物8のローディング・アンローディングをするローディング装置3と、加工機本体2及びローディング装置3を制御する制御部4と、を備える。被加工物8は例えばセラミック材料(例えば、ジルコニアセラミック材料)、樹脂材料、ガラス材料、金属材料又はワックス材からなる。被加工物8を加工することで得られる加工物は、例えば義歯、歯科用クラウン、ブリッジ又はアバットメント等である。
【0025】
<加工機本体について>
加工機本体2は、筐体10と、スピンドルモーター32と、スピンドル34と、切削工具36と、チルト機構42と、保持具48と、三次元変位機構とを備える。三次元変位機構は、保持具48に対して相対的にスピンドル34をY軸方向、X軸方向及びZ軸方向に移動するよう駆動する機構である。具体的には、三次元変位機構は、スピンドルモーター32の回転軸に平行なZ軸方向にスピンドル34を移動するよう駆動するZ軸方向の直動駆動機構30と、Y軸方向にスピンドル34を移動するよう駆動するY軸方向の直動駆動機構20と、X軸方向に保持具48を移動するよう駆動するX軸方向の直動駆動機構40と、を有する。
【0026】
筐体10が箱状に設けられ、筐体10に内部空間10aが形成されている。筐体10のサイド部12には、搬送口12aが形成されている。
【0027】
Y軸方向の直動駆動機構20は、リニアガイド部材21、キャリッジ22、Y軸方向直動伝動機構23及びモーター24を有する。リニアガイド部材21の左右両端部が筐体10のサイド部12,13に支持され、リニアガイド部材21が左右に延在するようにサイド部12,13間に架設されている。リニアガイド部材21の延びる方向がY軸方向である。リニアガイド部材21には、キャリッジ22が摺動自在に取り付けられている。キャリッジ22はリニアガイド部材21に沿ってY軸方向に移動可能に設けられている。また、キャリッジ22にはY軸方向直動伝動機構23が連結され、Y軸方向直動伝動機構23にはモーター24が連結されている。Y軸方向直動伝動機構23はサイド部12,13間に設けられ、モーター24がサイド部12に設けられている。Y軸方向直動伝動機構23は例えばベルト伝動機構、チェーン伝動機構、ボールねじ伝動機構又はピニオンラック機構であり、モーター24の動力がY軸方向直動伝動機構23によってキャリッジ22に伝動し、モーター24によってキャリッジ22がY軸方向に移動する。
【0028】
キャリッジ22には、直動駆動機構30、スピンドルモーター32及びスピンドル34が搭載されている。具体的には、直動駆動機構30及びスピンドルモーター32がキャリッジ22に取り付けられ、スピンドル34が伝動機構を介してスピンドルモーター32及び直動駆動機構30に接続されている。直動駆動機構30によってスピンドル34がZ軸方向に移動するように駆動され、スピンドルモーター32によってスピンドル34がZ軸に平行な回転軸回りに回転駆動される。スピンドル34には、例えばエンドミル、ドリル、リーマー又はタップ等の切削工具36が取り付けられる。なお、切削工具36がスピンドル34に対して着脱可能であり、筐体10内には(例えば、後述の移動体41上には)、交換用の切削工具が収容されたマガジンが設けられている。
【0029】
X軸方向の直動駆動機構40は、X軸に対して平行となるように筐体10のサイド部13に取り付けられている。この直動駆動機構40には移動体41が連結されており、直動駆動機構40によって移動体41がX軸方向に移動するように駆動される。
【0030】
移動体41には、チルト機構42及び保持具48が取り付けられている。保持具48は、被加工物8を保持するものである。チルト機構42は、Y軸に平行な第一回転軸回りに保持具48及び被加工物8を揺動するとともに、第一回転軸に直交する第二回転軸回りに保持具48及び被加工物8を揺動するものである。
【0031】
チルト機構42は第一揺動用モーター43、揺動杆44及び第二揺動用モーター45を備える。第一揺動用モーター43はその出力回転軸(第一回転軸)43aがX軸に対して平行になるようにして移動体41の内部に取り付けられ、その出力回転軸43aが移動体41の内側から外側へX軸方向に延在している。第一揺動用モーター43の出力回転軸43aにはアーチ状の揺動杆44の中間部が連結されている。揺動杆44の一端部の外周側には第二揺動用モーター45が取り付けられており、第二揺動用モーター45の出力回転軸(第二回転軸)45aが揺動杆44の一端部を内周側へ貫通している。この第二揺動用モーター45の出力回転軸45aは第一揺動用モーター43の出力回転軸43aに対して垂直である。第二揺動用モーター45の出力回転軸45aにはアーチ状の保持具48の一端部が連結されている。保持具48の他端部が、第二揺動用モーター45の出力回転軸45aと同軸の回転軸46を介して揺動杆44の他端部に連結されている。
【0032】
被加工物8はカセット9に装着された状態で保持具48に保持される。被加工物8は円盤状に設けられ、カセット9はリング状に設けられ、被加工物8の外周部がカセット9に取り付けられることによって被加工物8がカセット9に保持され、被加工物8の上面及び下面はカセット9に覆われずに露出している。保持具48がカセット9の外周部を磁着、吸着、挟持、係止又は係合等により保持する。なお、カセット9を用いずに、被加工物8が保持具48に直接保持されてもよい。
【0033】
第一揺動用モーター43が作動すると、その出力回転軸43a回りに揺動杆44、保持具48及び被加工物8が揺動される。第二揺動用モーター45が作動すると、その出力回転軸45a回りに保持具48、カセット9及び被加工物8が揺動される。
【0034】
<ローディング装置について>
ローディング装置3は、ハウジング50と、ハウジング50内に設けられたストッカー55と、被加工物8及びカセット9をY軸方向に送るように被加工物8及びカセット9の移載を行う移載機70と、ハウジング50内において移載機70を昇降させる昇降機60と、を備える。
【0035】
ハウジング50が箱状に形成され、ハウジング50には内部空間50aが形成されている。ハウジング50のサイド部53が加工機本体2の筐体10のサイド部12に固定され、ハウジング50と筐体10が並設されている。ハウジング50のサイド部53には搬送口53aが形成されている。この搬送口53aが筐体10の搬送口12aに重なっており、ハウジング50の内部空間50aと筐体10の内部空間10aが搬送口12a,53aを通じて連通している。
【0036】
ハウジング50のサイド部53には、搬送口53aを開閉する扉57が設けられている。扉57は、ハウジング50の外側且つ筐体10の内側に向けて開く扉である。また、扉57は、ばね等の付勢手段により通常時に閉じられた状態となったノーマリークローズ型の扉である。
【0037】
ハウジング50内のサイド部53側には、ストッカー55が配設されている。ストッカー55には、複数の被加工物8を横に倒伏した姿勢で上下に並べて格納することができる。具体的には、ストッカー55には、複数の保持棚56が上下方向に並べられた状態に設けられている。これら保持棚56は上下二つのグループに分けられており、上側のグループの最下段の保持棚56と下側のグループの最上段の保持棚56との間隔は他の隣り合う保持棚56の間隔よりも広い。ハウジング50の搬送口53aの位置(高さ)は、上側のグループの最下段の保持棚56と下側のグループの最上段の保持棚56との間である。なお、本実施形態では、上側のグループの保持棚56の数(具体的には3)と下側のグループの保持棚56の数(具体的には3)が等しいが、これに限るものではない。
【0038】
保持棚56に対してはカセット9がY軸方向に挿抜可能であり、カセット9及びそれに装着された被加工物8を保持棚56に差し込んだり、保持棚56からカセット及び被加工物8を引き出したりすることができる。ここで、カセット9が保持棚56に差し込まれる向きはハウジング50から搬送口12a,53aを通じて筐体10に向かう向きと同じであり、カセット9が保持棚56から引き出される向きは筐体10から搬送口12a,53aを通じてハウジング50に向かう向きと同じである。磁着、吸着、挟持、係止又は係合等を利用したロック機構が保持棚56に設けられており、カセット9が保持棚56に差し込まれた状態ではロック機構によってカセット9が保持棚56にロックされるとともに、そのロックの解除が可能である。
【0039】
ハウジング50のフロント部54aには、カセット9及び被加工物8をストッカー55に装着したり、ストッカー55からカセット9及び被加工物8を取り外したりするために開閉ドア54cが設けられている。なお、開閉ドア54cは、フロント部54aではなく、サイド部52又はリア部54bに設けられてもよい。
【0040】
ハウジング50内のサイド部53の反対のサイド部52側には、昇降機60が設けられている。昇降機60は、リニアガイド部材61、昇降体62、直動伝動機構63及びモーター64を有する。リニアガイド部材61が上下方向(Z軸方向)に延在するようにハウジング50に取り付けられており、リニアガイド部材61には昇降体62が摺動自在に取り付けられている。昇降体62は、ストッカー55に関して搬送口12a,53aの反対側の位置(昇降位置)において、リニアガイド部材61に沿ってZ軸方向に移動可能に設けられている。また、昇降体62には直動伝動機構63が連結され、直動伝動機構63にはモーター64が連結されている。直動伝動機構63はハウジング50の頂部51bと底部51aの間に設けられ、モーター64がハウジング50の頂部51bに設けられている。直動伝動機構63は例えばボールねじ伝動機構、ピニオンラック機構、ベルト伝動機構又はチェーン伝動機構であり、モーター64の動力が直動伝動機構63によって昇降体62に伝動し、モーター64によって昇降体62がZ軸方向に移動する。
なお、上述したようにZ軸が水平面に対して直交又は斜交するので、昇降体62が水平面に対して垂直に昇降するか、又は水平面に対して斜めに昇降する。
【0041】
昇降体62には移載機70が設けられている。移載機70はピッカー(例えば、クランパ)71、送り機構72及びモーター73等を有する。送り機構72がY軸方向に展開・折り畳み可能なアーム機構等からなり、送り機構72の基部が昇降体62に取り付けられており、送り機構72の先端部にはピッカー71が設けられている。モーター73が送り機構72に連結され、モーター73の動力が送り機構72に伝動する。送り機構72がモーター73により駆動され、モーター73の動力によって送り機構72が昇降体62からサイド部13に向かってY軸方向に展開・伸長したり、反対方向に折り畳み・収縮したりする。送り機構72の伸縮に伴うピッカー71の軌跡はY軸に対してほぼ平行な直線であり、送り機構72によるピッカー71の軌跡の範囲は昇降体62からY軸に沿って保持具48までの範囲である。
ピッカー71は、磁着、吸着、挟持、係止又は係合等によりカセット9を把持するものである。例えば、ピッカー71は、カセット9を挟み込むクランパ、カセット9を磁力により保持する電磁石、又は、カセット9を負圧により吸着するノズル等である。
【0042】
<制御部について>
直動駆動機構20(特にモーター24)、直動駆動機構30、スピンドルモーター32、直動駆動機構40、チルト機構42(特にモーター43,45)、昇降機60(特にモーター64)及び移載機70(特にモーター73)は制御部4によって制御される。この制御部4は例えば筐体10に設けられている。制御部4は各種の駆動回路(例えばモータードライバ)及びマイクロコンピュータ(例えばプログラムロジックコントローラ)等を有する制御回路である。
【0043】
<加工装置の動作及び使用方法>
加工装置1の動作及び加工装置1の使用方法について説明する。
【0044】
(1) 初期状態
加工装置1を起動すると、制御部4が加工装置1の各部を初期状態にまで動作させる。具体的には、保持具48がスピンドル34の下にまで移動するように直動駆動機構20,30,40が制御部4によって作動される。また、保持具48が横に倒伏した状態(Y軸及びX軸に対して平行な状態)になるようにチルト機構42が制御部4によって作動される。また、ピッカー71が昇降体62に引き込まれるように移載機70が制御部4によって収縮動作させられる。また、昇降機60が制御部4によって作動されて、昇降体62が所定の待機位置(例えば、ハウジング50内の上端部、或いは、最上段の保持棚56よりも上の位置)にまで移動する。
【0045】
(2) セッティング(
図3参照)
次に、ハウジング50の開閉ドア54cを開く。そして、未加工の被加工物8が装着されたカセット9をハウジング50内のストッカー55の保持棚56に差し込んで、カセット9を保持棚56に支持する。その後、ハウジング50の開閉ドア54cを閉じる。
【0046】
(3) 保持棚の高さにまで移動(
図4参照)
次に、昇降機60が制御部4によって制御される。これにより、
図4に示すように、昇降体62が何れかの保持棚56の高さにまでモーター64によって移動する。
【0047】
(4) ピックアップ(
図5参照)
次に、移載機70が制御部4によって制御される。これにより、
図5に示すように、移載機70の送り機構72がモーター73により展開・伸長されて、ピッカー71がY軸方向に保持棚56へ近接する。そして、ピッカー71がカセット9にまで到達すると、カセット9がピッカー71に把持される。
【0048】
(5) 抜き取り(
図6参照)
次に、移載機70が制御部4によって制御される。これにより、移載機70の送り機構72がモーター73により折り畳み・収縮されて、ピッカー71が保持棚56からY軸方向に離間する。そして、カセット9及び被加工物8が保持棚56から抜き取られて、ピッカー71が昇降体62にまで到達すると、移載機70及びモーター73が停止される。
【0049】
(6) 搬送口の高さにまで移動(
図7参照)
次に、昇降機60が制御部4によって制御される。これにより、
図7に示すように、昇降体62が搬送口12a,53aの高さにまでモーター64によって移動(上昇又は下降)する。
【0050】
(7) 装填(
図8参照)
次に、直動駆動機構40が制御部4によって制御される。これにより、保持具48のX軸方向の位置が搬送口12a,53aに揃うまで、保持具48が直動駆動機構40によってX軸方向に移動する(
図2の矢印A参照)。
また、移載機70が制御部4によって制御される。これにより、
図8に示すように、移載機70の送り機構72がモーター73により展開・伸長されて、ピッカー71がY軸方向に保持具48に向かって移動する。ピッカー71が搬送口12a,53aを通過する際には、送り機構72、ピッカー71又はカセット9によって扉57が押し開かれる。そして、カセット9が保持具48に到達して装填されると、そのカセット9が保持具48に保持されるとともに、ピッカー71によるカセット9の把持が解除される。
【0051】
(8) 引き込み(
図1参照)
次に、移載機70が制御部4によって制御される。これにより、移載機70の送り機構72がモーター73により折り畳み・収縮されて、ピッカー71が保持具48からY軸方向に離間する。そして、ピッカー71が搬送口12a,53aを通って昇降体62にまで到達すると、移載機70及びモーター73が停止される。また、ピッカー71がハウジング50内に入ると、扉57が付勢手段の付勢力により閉じられる。
【0052】
(9) 加工
次に、スピンドルモーター32が制御部4によって作動される。そうすると、スピンドル34及び切削工具36がスピンドルモーター32により回転駆動される。スピンドルモーター32が作動された状態で、制御部4が直動駆動機構20,30,40を制御する。これにより、スピンドル34及び切削工具36が直動駆動機構20によりY軸方向に移動するともに直動駆動機構30により昇降し、被加工物8及び保持具48が直動駆動機構40によりX軸方向に移動する。従って、被加工物8の中心点(チルト機構42の第一回転軸と第二回転軸の交点)に対する切削工具36の先端の相対的な三次元位置が変位する。そのような変位中に切削工具36が被加工物8に当接すると、被加工物8が切削工具36によって切削される。また、被加工物8の切削中に制御部4がチルト機構42を制御すると、保持具48及び被加工物8がチルト機構42によってモーター43,45の出力回転軸43a,45a回りに揺動される。これにより切削工具36と被加工物8との成す接触角度が変位する。
【0053】
(10) 受け取り
次に、直動駆動機構40が制御部4によって制御される。これにより、保持具48のX軸方向の位置が搬送口12a,53aに揃うまで、保持具48が直動駆動機構40によってX軸方向に移動する。
また、移載機70が制御部4によって制御される。これにより、移載機70の送り機構72がモーター73により展開・伸長されて、ピッカー71がY軸方向に保持具48に向かって移動する。ピッカー71が搬送口12a,53aを通過する際には、送り機構72、ピッカー71又はカセット9によって扉57が押し開かれる。そして、ピッカー71が保持具48に保持されたカセット9にまで到達すると、カセット9がピッカー71に把持される。
【0054】
(11) 引き込み
次に、移載機70が制御部4によって制御される。これにより、移載機70の送り機構72がモーター73により折り畳み・収縮されて、ピッカー71が保持具48からY軸方向に離間する。そして、ピッカー71が搬送口12a,53aを通って昇降体62にまで到達すると、移載機70及びモーター73が停止される。また、ピッカー71がハウジング50内に入ると、扉57が付勢手段の付勢力により閉じられる。
【0055】
(12) 保持棚の高さにまで移動
次に、昇降機60が制御部4によって制御される。これにより、昇降体62が空の保持棚56の高さにまでモーター64によって移動(上昇又は下降)する。
【0056】
(13) 差し込み
次に、移載機70が制御部4によって制御される。これにより、移載機70の送り機構72がモーター73により展開・伸長されて、ピッカー71がY軸方向に保持棚56へ近接する。そして、カセット9が保持棚56に差し込まれて保持棚56に保持されるとともに、ピッカー71によるカセット9の把持が解除される。
【0057】
(14) 引き込み
次に、移載機70が制御部4によって制御される。これにより、移載機70の送り機構72がモーター73により折り畳み・収縮されて、ピッカー71が保持棚56からY軸方向に離間する。そして、ピッカー71が昇降体62にまで到達すると、移載機70及びモーター73が停止される。
【0058】
(15) 続いて別の被加工物8を加工する場合には、上記(3)〜(14)の工程が行われる。一方、別の被加工物8を加工しない場合には、昇降機60が制御部4によって制御されて、昇降体62が所定の待機位置(例えば、ハウジング50内の上端部、或いは、最上段の保持棚56よりも上)にまで移動する。
【0059】
<効果・利点について>
以上の実施の形態によれば、次のような効果が得られる。
(1) 保持具48に対する被加工物8及びカセット9の着脱がローディング装置3により自動的に行われるので、作業効率が向上する。
【0060】
(2) 複数の保持棚56が上下に配列されているので、ハウジング50の開閉ドア54cを開放して全ての保持棚56に対して被加工物8及びカセット9の出し入れをすることができる。
【0061】
(3) ストッカー55に格納された複数の被加工物8のうち何れかが移載機70及び昇降機60によって筐体10内の保持具48に装填されるので、保持具48の動きを最小限に抑えることができるとともに、ストッカー55を固定した状態とすることができる。そのようなストッカー55、昇降機60及び移載機70がハウジング50の内側に取り付けられているので、ローディング装置3をモジュール(機能的にまとまったユニット)として採用することができる。
【0062】
(4) 筐体10の内部空間とハウジング50の内部空間がサイド部12,53によって仕切られて別室になっているので、筐体10内の被加工物8の切削により発生した切削屑がハウジング50内の被加工物8に付着しない。特に、筐体10内の被加工物8の切削中に扉57が閉じるので、切削屑がハウジング50内に入り込まない。
【0063】
(5) 保持棚56に対して被加工物8及びカセット9を挿抜する方向と、保持具48に対して被加工物8及びカセット9を挿抜する方向が同一方向である。つまり、保持具48に対して被加工物8及びカセット9を挿抜する際には、被加工物8、カセット9及びピッカー71が保持棚56の下又は上をY軸方向に通過するようになっており、上又は下から見て、ストッカー55及び保持棚56が被加工物8、カセット9及びピッカー71の軌跡に部分的に重なっている。このように昇降機60、ストッカー55及び保持棚56の設置場所を工夫した上、移載機70の運動方向を工夫したので、ローディング装置3がコンパクトとなっている。特に、送り機構72による被加工物8、カセット9及びピッカー71の軌跡が直線的であるので、ローディング装置3をよりコンパクトにすることができる。
【0064】
(6) 昇降機60がハウジング50内に設けられ、移載機70が昇降機60の昇降体62に取り付けられているので、被加工物8の切削時には移載機70はその全体がハウジング50内に収容された状態で待機した状態となる。それゆえ、被加工物8の切削時に発生した切削屑が移載機70に付着しない。
【0065】
===第2の実施の形態===
図9は、第2の実施の形態に係る加工装置1Aの平面図である。ここで、第2実施形態の加工装置1Aと第1実施形態の加工装置1との間で互いに対応する構成要素には同一の符号を付す。また、以下では、第2実施形態の加工装置1Aの構成要素のうち、第1実施形態の加工装置1と相違する構成要素について主に説明する。
【0066】
<加工機本体について>
第1実施形態では、搬送口12aが筐体10のサイド部12に形成されているのに対して、第2実施形態では、搬送口15aが筐体10のリア部15に形成されている。それ以外については、第2実施形態の加工機本体2と第1実施形態の加工機本体2は同様に構成されている。
【0067】
<ローディング機構のハウジングについて>
第1実施形態では、ハウジング50と筐体10が左右に並設されているのに対して、第2実施形態では、ハウジング50と筐体10が前後に並設されている。以下、第2実施形態におけるハウジング50について詳細に説明する。
【0068】
箱状に形成されたハウジング50のフロント部54aが筐体10のリア部15に固定され、ハウジング50と筐体10が並設されている。ハウジング50のフロント部54aに搬送口54dが形成され、この搬送口54dが筐体10の搬送口15aに重なっており、ハウジング50の内部空間50aと筐体10の内部空間10aが搬送口15a,54dを通じて連通している。
また、ハウジング50のサイド部52には、カセット9及び被加工物8の出し入れのための開閉ドア52aが設けられている。
なお、扉57は搬送口54dを開閉するようにハウジング50のフロント部54aに設けられている。
【0069】
<ローディング機構の昇降機>
第2実施形態の昇降機60は、第1実施形態の昇降機60と同様に設けられている。つまり、第2実施形態の昇降機60はリニアガイド部材61、昇降体62、直動伝動機構63及びモーター64を有する。
なお、上から見て、昇降体62が後述のストッカー55と保持具48との間に配置され、その位置において昇降体62がZ軸方向に移動する。
【0070】
<ローディング機構のストッカー>
第1実施形態では、ストッカー55がハウジング50内のサイド部53側に配設されているのに対して、第2実施形態では、ストッカー55がハウジング50内のリア部54b側に配設されている。また、第1実施形態では、ストッカー55の保持棚56に対してカセット9がY軸方向に挿抜可能であるのに対して、第2実施形態では、ストッカー55の保持棚56に対してカセット9が後述の回転軸75aを中心とした円弧に沿う方向に挿抜可能である。
それ以外については、第2実施形態のストッカー55と第1実施形態のストッカー55は同様に構成されている。
【0071】
<ローディング機構の移載機>
第1実施形態では、移載機70が被加工物8及びカセット9をY軸に沿って直線的に送るに対して、第2実施形態では、移載機70が被加工物8及びカセット9を円弧に沿って送る。以下、第2実施形態における移載機70について詳細に説明する。
【0072】
第2実施形態の移載機70はピッカー71、回転駆動機75及びアーム76を有する。回転駆動機75は昇降機60の昇降体62に取り付けられている。モーター等であり、回転駆動機75の回転軸75aがZ軸に対して平行である。アーム76の基端部が回転駆動機75の回転軸75aに連結され、そのアーム76が回転軸75aから径方向に延出し、アーム76の先端部にピッカー71が取り付けられている。アーム76は回転駆動機75によって回転軸75aから後方に延出した状態と前方に延出した状態との間に回転させられ、ピッカー71が回転駆動機75によって回転軸75aを中心にして回転駆動される。回転駆動機75によるピッカー71の軌跡は半円弧である。
【0073】
アーム76がY軸に対してほぼ平行になった状態では、アーム76全体がハウジング50内に配置される。アーム76がX軸に対してほぼ平行に後方へ延出した状態では、ピッカー71がストッカー55に近接している。アーム76がX軸に対してほぼ平行に前方へ延出した状態では、アーム76が搬送口15a,54dを貫通して、ピッカー71が保持具48に近接する。
【0074】
ピッカー71は、第1実施形態のピッカー71と同様に、磁着、吸着、挟持、係止又は係合等によりカセット9を把持するものである。
【0075】
<加工装置の動作>
移載機70の回転駆動機75によってアーム76がY軸に対して平行になるまで回転させられる。
次に、昇降体62及び移載機70が何れかの保持棚56の高さにまでモーター64によって移動した後、移載機70の回転駆動機75によってアーム76がX軸に対してほぼ平行に後方へ延出した状態になるまで回転する。これにより、ピッカー71が保持棚56へ近接して、カセット9がピッカー71に把持される。
【0076】
次に、移載機70の回転駆動機75によってアーム76がY軸に対して平行になるまで回転させられる。これにより、ピッカー71が保持棚56から離間して、カセット9及び被加工物8が保持棚56から抜き取られる。
次に、昇降体62及び移載機70が搬送口15a,54dの高さにまでモーター64によって移動する。
【0077】
次に、移載機70の回転駆動機75によってアーム76がX軸に対してほぼ平行に前方へ延出した状態になるまで回転させられる。これにより、ピッカー71が保持具48に向かって移動する。そして、ピッカー71が搬送口15a,54dを通過した後に保持具48にまで到達すると、カセット9が保持具48に装填される。この際、そのカセット9が保持具48に保持されるとともに、ピッカー71によるカセット9の把持が解除される。
次に、移載機70の回転駆動機75によってアーム76がY軸に対して平行になるまで回転させられる。これにより、ピッカー71がハウジング50内に戻る。
【0078】
次に、スピンドルモーター32が作動された状態で、スピンドル34及び切削工具36が直動駆動機構20によりY軸方向に移動するともに直動駆動機構30により昇降し、被加工物8及び保持具48が直動駆動機構40によりX軸方向に移動する。これにより、被加工物8が切削工具36によって切削される。切削完了後、スピンドルモーター32、直動駆動機構20,30,40が停止する。
【0079】
次に、移載機70の回転駆動機75によってアーム76がX軸に対してほぼ平行に前方へ延出した状態になるまで回転させられる。これにより、ピッカー71が保持具48に向かって移動する。そして、ピッカー71が搬送口15a,54dを通過した後に保持具48にまで到達すると、カセット9がピッカー71に把持される。
【0080】
次に、移載機70の回転駆動機75によってアーム76がY軸に対して平行になるまで回転させられる。これにより、ピッカー71が保持具48から離間してハウジング50内に戻る。
次に、昇降体62及び移載機70が空の保持棚56の高さにまでモーター64によって移動する。
次に、移載機70の回転駆動機75によってアーム76がX軸に対してほぼ平行に後方へ延出した状態になるまで回転させられる。これにより、ピッカー71が保持棚56に向かって移動する。そして、ピッカー71が保持棚56にまで到達すると、カセット9が保持棚56に差し込まれる。この際、カセット9が保持棚56に保持されるとともに、ピッカー71によるカセット9の把持が解除される。
【0081】
次に、移載機70の回転駆動機75によってアーム76がY軸に対して平行になるまで回転させられる。これにより、ピッカー71が保持棚56から離間する。
なお、上述のような動作タイミングは制御部4によって制御される。
【0082】
===変形例====
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する変更点は、可能な限り組み合わせて適用してもよい。
【0083】
(1) 上記実施形態では、X軸方向の直動駆動機構40によって移動体41、チルト機構42及び保持具48がX軸方向に移動する構成であった。それに対して、移動体41の代わりに固定体が筐体10に取り付けられて固定され、チルト機構42及び保持具48が上述のように移動体41に設けられたのと同様にして、これらチルト機構42及び保持具48がその固定体に設けられてもよい。この場合、リニアガイド部材21、キャリッジ22、Y軸方向直動伝動機構23及びモーター24が、X軸方向の直動駆動機構によって一体的にX軸方向に移動するように駆動される。
【0084】
(2) 上記実施形態では、スピンドル34がY軸方向の直動駆動機構20によりY軸方向に移動する構成であった。それに対して、直動駆動機構20のキャリッジ22が例えばリニアガイド部材21の中央部に固定された固定部であり、スピンドル34がY軸方向に移動しないものとしてもよい。この場合、別途、Y軸方向直動駆動機構が筐体10に設けられ、そのY軸方向駆動機構にX軸方向の直動駆動機構40が連結され、直動駆動機構40、移動体41、チルト機構42及び保持具48が一体的にY軸方向直動駆動機構によってY軸方向に移動するように駆動される。
【0085】
(3) 上記実施形態では、スピンドル34及びスピンドルモーター32が直動駆動機構30によってZ軸方向に移動する構成であった。それに対して、スピンドル34及びスピンドルモーター32がキャリッジ22に固定され、スピンドル34及びスピンドルモーター32がZ軸方向に移動しないものとしてもよい。この場合、Z軸方向直動駆動機構がX軸方向直動駆動機構40と移動体41との間に設けられ、移動体41、チルト機構42及び保持具48が一体的にZ軸方向直動駆動機構によってZ軸方向に移動するように駆動される。
【0086】
(4) 上記実施形態では、搬送口12a,53aの高さは変更してもよく、例えば最下段の保持棚56の下であってもよい。
【0087】
(5) 上記実施形態では、初期の待機位置がハウジング50内の上端部、或いは、最上段の保持棚56よりも上の位置であったが、これに限らず、ハウジング50内の下端部、最下段の保持棚56よりも下の位置、或いは、搬送口12a、53aと同じ高さであってもよい。
【課題】複数の被加工物を格納するストッカーの動きや、加工機本体内に設けられた被加工物保持具の動きを可能な限り最小限にしても、被加工物をストッカーから保持具に装填できるようにする。
【解決手段】ローディング装置3、複数の被加工物8を上下に配列した状態で格納するストッカー55と、移載機70と、移載機70を昇降させる昇降機60と、を備える。昇降機60が移載機70を複数の被加工物8のうち何れかの被加工物8の高さにまで移動させて、移載機70がストッカー55からその被加工物8を引き抜き、昇降機60が移載機70を搬送口12aの高さにまで移動させて、移載機70が搬送口12aを通じて保持具48に被加工物8を装填する。