特許第6298529号(P6298529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6298529可変静翼装置のメンテナンス方法及び可変静翼装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298529
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】可変静翼装置のメンテナンス方法及び可変静翼装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/64 20060101AFI20180312BHJP
   F04D 29/56 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   F04D29/64 C
   F04D29/56 C
   F04D29/56 D
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-532847(P2016-532847)
(86)(22)【出願日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】JP2015067631
(87)【国際公開番号】WO2016006411
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】62/023,078
(32)【優先日】2014年7月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩史
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−097510(JP,A)
【文献】 特開昭59−231106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/64
F04D 29/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械に設けられ、流体流路を囲んで環状配置される複数の可変静翼と、
前記回転機械の外周部に設けられた複数のガイドにより前記回転機械の中心軸に対して回転可能に支持されると共に、前記複数の可変静翼と連結されたリングと、
前記リングに固定された取付ブラケットと、
前記取付ブラケットに連結された駆動装置と、
を有し、
前記駆動装置が前記リングを回動することで、前記複数の可変静翼を揺動可能な可変静翼装置において、
前記リングであって、前記取付ブラケットを取付ける第1連結部と、第1連結部とは周方向にずれた位置で前記取付ブラケットを取付ける第2連結部と、を有し、前記第1連結部に前記取付ブラケットが取付けられた前記リングを準備する準備工程と、
前記複数の可変静翼と前記リングとの連結と、前記リングと前記取付ブラケットとの前記第1連結部における連結と、を解除する解除工程と、
前記リングを所定角度だけ回動する回動工程と、
前記複数の可変静翼と前記リングとを前記解除工程の前とは異なる位置で連結し、且つ、前記リングと前記ブラケットとを前記第2連結部において連結する連結工程と、
を有することを特徴とする可変静翼装置のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記複数の可変静翼と前記リングとがリンク機構を介して連結され、前記解除工程では、前記リンク機構を解体し、前記連結工程では、前記リンク機構を組み立てることを特徴とする請求項1に記載の可変静翼装置のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記回動工程は、前記リングを前記複数の可変静翼におけるそれぞれの配置間隔の角度の整数倍だけ回動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変静翼装置のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記回動工程にて、前記リングを180度だけ回動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変静翼装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
回転機械の可変静翼装置であって、
流体流路を囲んで環状配置される複数の可変静翼と、
前記回転機械の外周部に設けられた複数のガイドにより前記回転機械の中心軸に対して回転可能に支持され、前記複数の可変静翼と連結されると共に、周方向にずれた位置に複数の連結部が設けられたリングと、
前記複数の連結部のうちの一つに連結されて前記リングを回転させる駆動装置と、
を有することを特徴とする可変静翼装置。
【請求項6】
前記リングは、周方向にずれた位置に、前記駆動装置と再度連結する際に新たに連結される複数の連結部を有することを特徴とする請求項5に記載の可変静翼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン、ターボ冷凍機、ジェットエンジンなどの軸流圧縮機において、圧縮機の空気取入口に設けられる可変静翼装置、並びに、この可変静翼装置のメンテナンス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なガスタービンは、圧縮機と燃焼器とタービンにより構成されている。圧縮機は、空気取入口から取り込まれた空気を圧縮することで高温・高圧の圧縮空気とする。燃焼器は、この圧縮空気に対して燃料を供給して燃焼させることで高温・高圧の燃焼ガスを得る。タービンは、この燃焼ガスにより駆動し、同軸上に連結された発電機を駆動する。
【0003】
このガスタービンにて、圧縮機は、空気取入口に可変静翼装置が設けられている。この可変静翼装置は、定格回転速度時における静翼の向きに対して、アイドリング時や高回転時に、静翼の向きを揺動させることで空気の取入れ量を制御するものであり、性能の保持や向上を図ることができる。このような軸流圧縮機の可変静翼駆動方法及び装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−001821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この可変静翼装置は、上下方向に立てたリングの外周部を複数のガイドローラにより回転自在に支持し、アクチュエータによりこのリングを回転することで、駆動力伝達機構を介して環状配置された複数の可変静翼を揺動するものである。この可変静翼を回動して開度を変更するとき、アクチュエータによりリングを所定角度だけ回転させる。そのため、ガイドローラは、リングにおける所定の同じ領域だけで接触支持することとなり、この接触部に摩耗による減肉が発生してしまう。リングに減肉が発生すると、ガイドローラがリングを適正に支持することができず、可変静翼を高精度に揺動して角度を調整することができないおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、可変静翼の動作不良を防止することで性能の維持を図る可変静翼装置のメンテナンス方法及び可変静翼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の可変静翼装置のメンテナンス方法は、回転機械に設けられ、流体流路を囲んで環状配置される複数の可変静翼と、前記回転機械の外周部に設けられた複数のガイドにより前記回転機械の中心軸に対して回転可能に支持されると共に、前記複数の可変静翼と連結されたリングと、前記リングに固定された取付ブラケットと、前記取付ブラケットに連結された駆動装置と、を有し、前記駆動装置が前記リングを回動することで、前記複数の可変静翼を揺動可能な可変静翼装置において、前記リングであって、前記取付ブラケットを取付ける第1連結部と、第1連結部とは周方向にずれた位置で前記取付ブラケットを取付ける第2連結部と、を有し、前記第1連結部に前記取付ブラケットが取付けられた前記リングを準備する準備工程と、前記複数の可変静翼と前記リングとの連結と、前記リングと前記ブラケットとの前記第1連結部における連結と、を解除する解除工程と、前記リングを所定角度だけ回動する回動工程と、前記複数の可変静翼と前記リングとを前記解除工程の前とは異なる位置で連結し、且つ、前記リングと前記取付ブラケットとを前記第2連結部において連結する連結工程と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、リングがガイドにより支持位置で摩耗すると、第1連結部に取付ブラケットが取付けられたリングを準備し、複数の可変静翼とリングとの連結とリングと取付ブラケットとの第1連結部における連結とを解除し、リングを所定角度だけ回動した後、複数の可変静翼とリングとを解除工程の前とは異なる位置で連結し、リングと取付ブラケットとを第2連結部において連結する。そのため、リングは、複数のガイドにより支持される位置が変更されることとなり、複数のガイドは、リングを摩耗していない箇所で支持することができ、可変静翼の動作不良を防止することで性能を維持することができる。
【0009】
本発明の可変静翼装置のメンテナンス方法では、前記複数の可変静翼と前記リングとがリンク機構を介して連結され、前記解除工程では、前記リンク機構を解体し、前記連結工程では、前記リンク機構を組み立てることを特徴としている。
【0010】
従って、リンク機構の解体及び組立により複数の可変静翼とリングとの間の関係を変更することにより、作業性の向上を図ることができる。
【0011】
本発明の可変静翼装置のメンテナンス方法では、前記回動工程にて、前記リングを前記複数の可変静翼におけるそれぞれの配置間隔の角度の整数倍だけ回動することを特徴としている。
【0012】
従って、リングを複数の可変静翼におけるそれぞれの配置間隔の角度の整数倍だけ回動することで、複数の可変静翼とリングとの間の関係を変更するため、可変静翼の作動領域を変更することなく、複数のガイドとリングとの支持位置を変更することができる。
【0013】
本発明の可変静翼装置のメンテナンス方法では、前記回動工程にて、前記リングを180度だけ回動することを特徴としている。
【0014】
従って、リングの自重がガイドにより支持されるため、リングの下部におけるガイドによる支持部が摩耗しやすいことから、リングを180度だけ回動するだけで、複数のガイドによるリングの摩耗位置を変更することができる。
【0015】
また、本発明の可変静翼装置は、回転機械の可変静翼装置であって、流体流路を囲んで環状配置される複数の可変静翼と、前記回転機械の外周部に設けられた複数のガイドにより前記回転機械の中心軸に対して回転可能に支持され、前記複数の可変静翼と連結されると共に、周方向にずれた位置に複数の連結部が設けられたリングと、前記複数の連結部のうちの一つに連結されて前記リングを回転させる駆動装置と、を有することを特徴としている。
【0016】
従って、リングに周方向にずれた複数の連結部を設けることで、リングにおけるガイドにより支持位置が摩耗すると、リングを所定開度だけ回動して駆動部を別の連結部に連結することで、リングは、複数のガイドにより支持される位置が変更されることとなり、複数のガイドは、リングを摩耗していない箇所で支持することができ、可変静翼の動作不良を防止することで性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の可変静翼装置のメンテナンス方法及び可変静翼装置によれば、リングにおけるガイドの支持位置が摩耗すると、複数の可変静翼とリングとの連結を解除し、リングを所定開度だけ回動した後、複数の可変静翼とリングとを解除工程の前とは異なる位置で連結するので、リングは、複数のガイドにより支持される位置が変更されることとなり、複数のガイドは、リングを摩耗していない箇所で支持することができ、可変静翼の動作不良を防止することで性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の可変静翼装置を表す正面図である。
図2図2は、図1のII−II断面を表す可変静翼装置の要部断面図である。
図3図3は、可変静翼装置を表す側面図である。
図4図4は、補修前のリングの取付状態を表す正面図である。
図5図5は、補修後のリングの取付状態を表す正面図である。
図6図6は、リングのブラケット取付部を表す概略図である。
図7図7は、可変静翼装置のメンテナンス方法を表すフローチャートである。
図8図8は、ガスタービンの全体構成を表す概略図である。
図9図9は、第2実施形態の可変静翼装置を表す要部概略図である。
図10図10は、可変静翼装置のメンテナンス方法を表す概略図である。
図11図11は、第3実施形態の可変静翼装置を表す要部概略図である。
図12図12は、第4実施形態の可変静翼装置を表す要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る可変静翼装置のメンテナンス方法及び可変静翼装置の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。
【0020】
[第1実施形態]
図8は、第1本実施形態のガスタービンの全体構成を表す概略図である。
【0021】
本実施形態において、図8に示すように、ガスタービン10は、圧縮機11と燃焼器12とタービン13により構成されている。このガスタービン10は、回転軸32の外側に軸心Oの方向に沿って圧縮機11とタービン13が配置されると共に、圧縮機11とタービン13との間に複数の燃焼器12が配置されている。そして、ガスタービン10は、同軸上に図示しない発電機(電動機)が連結され、発電可能となっている。
【0022】
圧縮機11は、空気を取り込む空気取入口20を有し、圧縮機車室21内に可変静翼としての入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)22が配設されると共に、複数の静翼23と複数の動翼24が空気の流動方向(後述するロータ32の軸心Oの方向)に交互に配設されてなり、その外側に抽気室25が設けられている。この圧縮機11は、空気取入口20から取り込まれた空気を圧縮することで高温・高圧の圧縮空気を生成し、車室14に供給される。この圧縮機11は、同軸上に連結された電動機により起動する。
【0023】
燃焼器12は、圧縮機11で圧縮され車室14に溜められた高温・高圧の圧縮空気と燃料が供給され、燃焼することで、燃焼ガスを生成する。タービン13は、タービン車室26内に複数の静翼27と複数の動翼28が燃焼ガスの流動方向(ロータ32の軸心Oの方向)に交互に配設されている。そして、このタービン車室26は、下流側に排気車室29を介して排気室30が配設されており、排気室30は、タービン13に連結する排気ディフューザ31を有している。このタービン13は、燃焼器12からの燃焼ガスにより駆動し、同軸上に連結された発電機を駆動する。
【0024】
圧縮機11と燃焼器12とタービン13は、排気室30の中心部を貫通するように軸心Oの方向に沿ったロータ(回転軸)32が配置されている。ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持されると共に、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持されている。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼24が装着されたディスクが複数重ねられて固定されている。また、タービン13にて、各動翼28が装着されたディスクが複数重ねられて固定されており、排気室30側の端部に発電機の駆動軸が連結されている。
【0025】
そして、このガスタービン10は、圧縮機11の圧縮機車室21が脚部35に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部36により支持され、排気室30が脚部37により支持されている。
【0026】
従って、圧縮機11にて、空気取入口20から取り込まれた空気が、入口案内翼22、複数の静翼23と動翼24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。タービンにて、燃焼器12で生成された高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13における複数の静翼27と動翼28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機を駆動する。そして、タービン13を駆動した燃焼ガスは、排気ガスとして大気に放出される。
【0027】
ここで、圧縮機11に設けられた入口案内翼22について詳細に説明する。図1は、第1実施形態の可変静翼装置を表す正面図、図2は、図1のII−II断面を表す可変静翼装置の要部断面図、図3は、可変静翼装置を表す側面図である。
【0028】
図1から図3に示すように、可変静翼装置50は、複数の入口案内翼(可変静翼)22と、リング51と、駆動力伝達機構52と、駆動装置53とを有している。
【0029】
ケーシング61は、2重の円筒形状をなし、外筒62と内筒63との間に環状をなす流路64が設けられている。入口案内翼22は、軸部65と翼部66とから構成されている。複数の入口案内翼22は、ケーシング61に所定間隔を空けて環状に配置されている。即ち、入口案内翼22は、軸部65が外筒62を貫通して回動自在に支持され、翼部66が外筒62と内筒63との間に設けられる流路64に位置している。
【0030】
リング51は、半リング形状をなす上部リング67と下部リング68が一体に固定されたリング形状をなし、ケーシング61における外筒62の外側に配置されている。上部リング67と下部リング68は、フランジ部67a,68aが密着し、図示しない締結ボルトにより固定されている。ケーシング61は、外筒62の外周部に周方向に所定間隔をあけて複数の支持部材69が固定されており、この各支持部材69にガイドローラ(ガイド)70がそれぞれ支持されている。この各ガイドローラ70は、各支持部材69にケーシング61の軸心方向に沿う支持軸71により回転自在に支持されている。リング51は、外周の支持面51aがこの複数のガイドローラ70により支持されることで、ケーシング61の外周部に回動自在に支持されている。
【0031】
駆動力伝達機構52は、リンク機構であって、リング51の回転力を複数の入口案内翼22に伝達することで、この複数の入口案内翼22の角度を変更することができる。駆動力伝達機構52は、第1リンク72と第2リンク73の各一端部が連結軸74により回動自在に連結されて構成されている。そして、第1リンク72は、他端部が連結軸75によりリング51に回動自在に支持され、第2リンク73は、他端部に入口案内翼22の軸部65が一体に固定されている。
【0032】
そのため、リング51が一方方向に回動すると、回転力が駆動力伝達機構(リンク機構)52を介して各入口案内翼22に伝達され、この各入口案内翼22が一方方向に回動し、流路64を閉止することができる。また、リング51が他方方向に回動すると、駆動力が駆動力伝達機構(リンク機構)52を介して各入口案内翼22に伝達され、この各入口案内翼22が他方方向に回動し、流路64を開放することができる。
【0033】
駆動装置53は、アクチュエータであって、軸方向に往復移動可能な駆動ロッド(駆動部)76を有している。この駆動ロッド76は、回動自在な揺動リンク77を有している。この駆動装置53は、支持ブラケット78に固定され、支持ブラケット78は、複数の締結ボルト79によりケーシング61に固定されている。一方、リング51は、下部に取付ブラケット80が固定されている。そして、駆動装置53は、駆動ロッド76の先端部が取付ブラケット80に連結されている。
【0034】
そのため、駆動装置53により駆動ロッド76を前進させると、駆動力が取付ブラケット80を介してリング51に伝達され、このリング51が一方方向(図1にて、反時計回り方向)に回動する。また、駆動装置53により駆動ロッド76を後退させると、駆動力が取付ブラケット80を介してリング51に伝達され、このリング51が他方方向(図1にて、時計回り方向)に回動する。すると、リング51の回転力が駆動力伝達機構(リンク機構)52を介して各入口案内翼22に伝達され、この各入口案内翼22を回動し、流路64を開閉することができる。
【0035】
ところで、可変静翼装置50は、複数の入口案内翼22を回動するためのリング51が複数のガイドローラ70により回転自在に支持されている。そして、駆動装置53によりこのリング51を回転することで、駆動力伝達機構52を介して各可変静翼22を回動する。この場合、リング51は、駆動装置53により所定角度だけ回転することから、各ガイドローラ70は、リング51における所定の同じ領域だけで接触支持している。そのため、リング51は、ガイドローラ70が接触する領域だけ摩耗が進行して減肉が発生してしまう。
【0036】
そのため、第1実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法では、リング51と複数のガイドローラ70との位置関係を周方向にずらすことで、リング51における摩耗領域を使用しないようにしている。
【0037】
図4は、補修前のリングの取付状態を表す正面図、図5は、補修後のリングの取付状態を表す正面図、図6は、リングのブラケット取付部を表す概略図、図7は、可変静翼装置のメンテナンス方法を表すフローチャートである。
【0038】
第1実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法は、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除する解除工程と、リング51を所定角度だけ回動する回動工程と、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結する連結工程とを有している。
【0039】
第1実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法は、解除工程にて、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除すると共に、リング51と駆動装置53との連結を解除し、連結工程は、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結すると共に、リング51と駆動装置53とを異なる位置で解除工程の前とは連結する。
【0040】
この場合、連結工程にて、リング51には、取付ブラケット80が固定され、駆動装置53は、駆動ロッド76が取付ブラケット80に連結され、連結工程は、取付ブラケット80をリング51に対して解除工程の前とは異なる位置に固定する。また、解除工程にて、駆動力伝達機構(リンク機構)52を解体し、連結工程にて、駆動力伝達機構52を組み立てる。
【0041】
そして、回動工程にて、リング51を複数の可変静翼22におけるそれぞれの配置間隔の角度の整数倍だけ回動することが望ましい。但し、この回動工程にて、リングを180度だけ回動してもよい。
【0042】
具体的に説明すると、図6に示すように、リング51は、取付ブラケット80を取付けるための複数(本実施形態では、2個)の連結部81,82が周方向にずれた位置に設けられている。第1連結部81は、リング51の周方向に所定間隔で形成された5個の取付孔81a,81b,81c,81d,81eであり、第2連結部82は、リング51の周方向に所定間隔で形成された5個の取付孔82a,82b,82c,82d,82eである。この各連結部81,82は、リング51における各可変静翼22の取付ピッチ(距離)の整数倍(本実施形態では、2倍)だけ離間して設けられている。
【0043】
即ち、図4に示すように、取付ブラケット80は、リング51の下端部にて、第1連結部81(取付孔81a,81b,81c,81d,81e)に重なり、複数の締結ボルト85により締結されている。ここで、一点鎖線Aは、可変静翼22の取付位置であり、第2連結部82(取付孔82a,82b,82c,82d,82e)は、第1連結部81(取付孔81a,81b,81c,81d,81e)に対して、リング51における時計回り方向に2ピッチ分だけずれて設けられている。そのため、リング51に対して取付ブラケット80を取外し、リング51を反時計回り方向に2ピッチ分だけ回動した後、図5に示すように、取付ブラケット80を第2連結部82(取付孔82a,82b,82c,82d,82e)に重ね、複数の締結ボルト85a,85b,85c,85d,85eにより締結することができる。
【0044】
ここで、第1実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法について、フローチャートを用いて詳細に説明する。
【0045】
第1実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法において、リング51における各ガイドローラ70が接触する領域に摩耗が進行して減肉が発生すると、リング51と複数のガイドローラ70との位置関係を周方向にずらす。即ち、図3及び図7に示すように、まず、ステップS11にて、駆動力伝達機構(リンク機構)52を解体することで、各可変静翼22とリング51とを分離する。この場合、可変静翼22の軸部65と第1リンク72と第2リンク73と連結軸74,75との連結を解除する。なお、可変静翼22の軸部65と第2リンク73との連結を解除するだけでもよい。
【0046】
次に、図4及び図7に示すように、ステップS12にて、取付ブラケット80を取外す。この場合、締結ボルト85を弛緩してリング51と取付ブラケット80との連結を解除すると共に、取付ブラケット80と駆動装置53の駆動ロッド76との連結を解除する。そして、図5及び図7に示すように、ステップS13にて、リング51を回動して位置調整を行う。即ち、各可変静翼22とリング51との連結が解除されると共に、リング51と取付ブラケット80との連結が解除されることから、リング51をフリーに回動することができる。そのため、リング51を反時計回り方向に可変静翼22の取付ピッチの2倍(2ピッチ)だけ回動する。
【0047】
その後、ステップS14にて、駆動力伝達機構52を組み立てることで、各可変静翼22とリング51とを連結する。このとき、各可変静翼22は、駆動力伝達機構52の解体前と組立時とで、その角度を変更することなく駆動力伝達機構52を組み立てることが必要である。そして、ステップS15にて、取付ブラケット80を第2連結部82に固定する。この場合、取付ブラケット80をリング51における第2連結部82に重ね、複数の締結ボルト85により締結すると共に、取付ブラケット80と駆動装置53の駆動ロッド76とを連結する。
【0048】
このように第1実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法にあっては、リング51に取付ブラケット80を取り付ける第1連結部81と、第1連結部81とは周方向にずれた位置で取付ブラケット80を取付ける第2連結部82とを有し、第1連結部81に取付ブラケット80が取付けられたリング51を準備する準備工程と、複数の可変静翼22とリング51との連結と、リング51と取付ブラケット80との第1連結部81における連結とを解除する解除工程と、リング51を所定角度だけ回動する回動工程と、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結してリング51と取付ブラケット80とを第2連結部82において連結する連結工程とを設けている。
【0049】
従って、リング51がガイドローラ70により支持位置で摩耗すると、第1連結部81に取付ブラケット80が取付けられたリング51を準備し、複数の可変静翼22とリング51との連結と、リング51と取付ブラケット80との第1連結部81における連結とを解除し、リング51を所定角度だけ回動した後、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結し、リング51と取付ブラケット80とを第2連結部82において連結する。そのため、リング51は、複数のガイドローラ70により支持される位置が変更されることとなり、複数のガイドローラ70は、リング51を摩耗していない領域で適正に支持することができ、可変静翼の動作不良を防止することで性能を維持することができる。
【0050】
また、複数の可変静翼22とリング51との連結関係とリング51と駆動装置53との連結関係を変更することなく、複数のガイドローラ70によるリング51の位置を変更することとなり、可変静翼22における高い作動精度を維持することができる。更に、リング51における取付ブラケット80の取付位置を変更することで、駆動装置53とリング51との連結位置を変更するため、簡単な構成で容易に複数のガイドローラ70によるリング51の支持位置を変更することができる。
【0051】
第1実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法では、複数の可変静翼22とリング51とが駆動力伝達機構52を介して連結され、解除工程では、この駆動力伝達機構52を解体し、連結工程では、駆動力伝達機構52を組み立ている。従って、駆動力伝達機構52の解体及び組立により複数の可変静翼22とリング51との間の関係を変更することとなり、作業性の向上を図ることができる。
【0052】
第1実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法では、回動工程にて、リング51を複数の可変静翼22におけるそれぞれの配置間隔の角度、つまり、各可変静翼22間の取付距離の整数倍だけ回動する。従って、複数の可変静翼22とリング51との関係を各可変静翼22間の取付距離だけずらして変更するため、可変静翼の作動領域を変更することなく、複数のガイドローラ70とリング51との支持位置を変更することができる。
【0053】
この場合、回動工程にて、リング51を180度だけ回動してもよい。即ち、リング51の自重は、下方位置に配置されたガイドローラ70により支持されるため、リング51の下部におけるガイドローラ70による支持領域が摩耗しやすい。そのため、リング51を180℃だけ回動して上下を逆転させることで、複数のガイドローラ70とリング51との支持位置を変更することができる。
【0054】
また、第1実施形態の可変静翼装置にあっては、流路64を囲んで環状配置される複数の可変静翼22と、外周部に設けられた複数のガイドローラ70により回転可能に支持されると共に複数の可変静翼22と連結されると共に、周方向にずれた位置に複数の連結部81,82が設けられたリング51と、複数の可変静翼22とリング51とを連結する駆動力伝達機構52と、駆動ロッド76がリング51における複数の連結部81,82のうちの一つにより連結される駆動装置53とを設けている。
【0055】
従って、リング51に周方向にずれて複数の連結部81,82を設けることで、リング51におけるガイドローラ70により支持位置が摩耗すると、リング51を所定開度だけ回動して駆動ロッド76の連結位置を、例えば、第1連結部81から第2連結部82に変更することで、リング51は、複数のガイドローラ70により支持される位置が変更されることとなり、複数のガイドローラ70は、リング51を摩耗していない箇所で支持することができ、可変静翼22の動作不良を防止することで性能を維持することができる。
【0056】
なお、本実施形態にて、リング51に周方向にずれて2個の連結部81,82を設けたが、連結部の個数は、2個に限らず、3個以上設けてもよいものである。
【0057】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態の可変静翼装置を表す要部概略図、図10は、可変静翼装置のメンテナンス方法を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
第2実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法は、図9及び図10に示すように、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除する解除工程と、リング51を所定角度だけ回動する回動工程と、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結する連結工程とを有している。
【0059】
第2実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法は、解除工程にて、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除すると共に、リング51と駆動装置53との連結を解除し、回動工程にて、リング51を所定角度だけ回動し、連結工程にて、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結すると共に、リング51と駆動装置53とを異なる位置で連結する。
【0060】
この場合、連結工程にて、リング51は、取付ブラケット101が固定され、駆動装置53は、駆動ロッド76が取付ブラケット101に連結され、駆動ロッド76を取付ブラケット101に対して異なる位置に連結する。
【0061】
具体的に説明すると、リング51は、取付ブラケット101が複数の締結ボルト104により固定されており、この取付ブラケット101は、駆動装置53の駆動ロッド76を連結するための複数(本実施形態では、2個)の連結部102,103が周方向にずれた位置に設けられている。第1連結部102は、取付ブラケット101の長手方向(リング51の周方向)の一端部に設けられ、第2連結部103は、取付ブラケット101の長手方向(リング51の周方向)の他端部に設けられている。この各連結部102,103は、リング51における各可変静翼22の取付ピッチ(距離)の整数倍(本実施形態では、2倍)だけ離間して設けられている。
【0062】
リング51における各ガイドローラ70が接触する領域に摩耗が進行して減肉が発生すると、リング51と複数のガイドローラ70との位置関係を周方向にずらす。即ち、まず、駆動力伝達機構(リンク機構)52を解体することで、各可変静翼22とリング51とを分離する。次に、駆動装置53の駆動ロッド76と取付ブラケット101の第1連結部102との連結を解除する。そして、リング51を反時計回り方向に可変静翼22の取付ピッチの2倍(2ピッチ)だけ回動する。
【0063】
その後、駆動力伝達機構52を組み立てることで、各可変静翼22とリング51とを連結する。そして、駆動装置53の駆動ロッド76を取付ブラケット101の第2連結部103に連結する。
【0064】
このように第2実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法にあっては、第1連結部102に取付ブラケット101が取付けられたリング51を準備する準備工程と、複数の可変静翼22とリング51との連結と、リング51と取付ブラケット101との第1連結部102における連結とを解除する解除工程と、リング51を所定角度回動する回動工程と、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結してリング51と取付ブラケット101とを第2連結部103において連結する連結工程とを設け、リング51に複数の連結部102,103を有する取付ブラケット101を固定し、駆動装置53の駆動ロッド76を連結部102,103のいずれかに連結可能としている。
【0065】
従って、リング51がガイドローラ70により支持位置で摩耗すると、第1連結部102に取付ブラケット101が取付けられたリング51を準備し、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除すると共に、駆動装置53の駆動ロッド76と取付ブラケット101の第1連結部102との連結を解除し、リング51を所定角度だけ回動した後、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結すると共に、駆動装置53の駆動ロッド76を取付ブラケット101の第2連結部103に連結する。そのため、リング51は、複数のガイドローラ70により支持される位置が変更されることとなり、複数のガイドローラ70は、リング51が摩耗していない領域で、このリング51を適正に支持することができ、可変静翼22の動作不良を防止することで性能を維持することができる。また、ブラケット101における駆動ロッド76の取付位置を変更することで、駆動装置53とリング51との連結位置を変更するため、取付ブラケット101を取外す必要がなく、簡単な構成で容易に複数のガイドローラ70によるリング51の位置を変更することができる。
【0066】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態の可変静翼装置を表す要部概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
第3実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法は、図11に示すように、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除する解除工程と、リング51を所定角度だけ回動する回動工程と、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結する連結工程とを有している。
【0068】
この場合、駆動装置111は、可変静翼22に回動するストロークよりも大きなストロークを有している。駆動装置111は、アクチュエータであって、軸方向に往復移動可能な駆動ロッド(駆動部)112を有している。この駆動ロッド112は、回動自在な揺動リンク113を有している。この駆動装置111は、支持ブラケット114に固定され、支持ブラケット114は、複数の締結ボルト115によりケーシング61に固定されている。そして、駆動装置111は、駆動ロッド112の先端部が取付ブラケット80に連結されている。
【0069】
リング51における各ガイドローラ70が接触する領域に摩耗が進行して減肉が発生すると、リング51と複数のガイドローラ70との位置関係を周方向にずらす。即ち、まず、駆動力伝達機構(リンク機構)52を解体することで、各可変静翼22とリング51とを分離する。次に、駆動装置111を駆動して駆動ロッド76を伸長し、リング51を反時計回り方向に可変静翼22の取付ピッチだけ回動する。その後、駆動力伝達機構52を組み立てることで、各可変静翼22とリング51とを連結する。すると、駆動装置111は、可変静翼22のストロークS1がストロークS2に変更される。
【0070】
このように第3実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法にあっては、駆動装置111が可変静翼22を回動する全開と全閉とのストロークの領域をリング51の周方向に変更する。従って、リング51がガイドローラ70により支持位置で摩耗すると、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除、リング51を所定角度だけ回動した後、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結するする。そのため、リング51は、複数のガイドローラ70により支持される位置が変更されることとなり、複数のガイドローラ70は、リング51が摩耗していない領域で、このリング51を適正に支持することができ、可変静翼22の動作不良を防止することで性能を維持することができる。このとき、駆動装置111のストロークの領域をリング51の周方向に変更することで、ガイドローラ70によるリング51の支持位置を変更するため、取付ブラケット101を取外す必要がなく、簡単な構成で容易に複数のガイドローラ70によるリング51の位置を変更することができる。
【0071】
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態の可変静翼装置を表す要部概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
第4実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法は、図12に示すように、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除すると共にリング51と駆動装置53との連結を解除する解除工程と、リング51を所定角度だけ回動する回動工程と、複数の可変静翼22とリング51とを異なる位置で連結すると共に、リング51と駆動装置53とを解除工程の前とは異なる位置で連結する連結工程とを有している。
【0073】
駆動力伝達機構121は、歯車機構であって、リング51の回転力を複数の入口案内翼22に伝達することで、この複数の入口案内翼22の角度を変更することができる。即ち、入口案内翼22の軸部122に駆動歯車123が固定される一方、リング51にラック124が設けられ、各入口案内翼22の駆動歯車123がリング51のラック124に噛み合うことで構成されている。
【0074】
そのため、リング51が回動すると、回転力が駆動力伝達機構(歯車機構)121を介して各入口案内翼22に伝達され、この各入口案内翼22が回動し、流路64を開閉することができる。
【0075】
リング51における各ガイドローラ70が接触する領域に摩耗が進行して減肉が発生すると、リング51と複数のガイドローラ70との位置関係を周方向にずらす。即ち、まず、駆動力伝達機構121を解体することで、各可変静翼22とリング51とを分離する。次に、駆動装置53の駆動ロッド76と取付ブラケット80との連結を解除する。そして、リング51を反時計回り方向に可変静翼22の取付ピッチの2倍(2ピッチ)だけ回動する。
【0076】
その後、駆動力伝達機構121を組み立てることで、各可変静翼22とリング51とを連結する。そして、駆動装置53の駆動ロッド76を取付ブラケット80に連結する。
【0077】
このように第4実施形態の可変静翼装置のメンテナンス方法にあっては、複数の可変静翼22とリング51との連結を解除する解除工程と、リング51を所定角度だけ回動する回動工程と、複数の可変静翼22とリング51とを解除工程の前とは異なる位置で連結する連結工程とを設けている。
【0078】
従って、リング51は、複数のガイドローラ70により支持される位置が変更されることとなり、複数のガイドローラ70は、リング51が摩耗していない領域で、このリング51を適正に支持することができ、可変静翼22の動作不良を防止することで性能を維持することができる。
【0079】
なお、本発明の可変静翼装置のメンテナンス方法は、上述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、複数の可変静翼とリングとの連結を解除すると共に、ケーシングと駆動装置との連結を解除し、リングを所定開度だけ回動した後、複数の可変静翼とリングとを異なる位置で連結すると共に、ケーシングと駆動装置とを異なる位置で連結するようにしてもよい。
【0080】
また、リングと取付ブラケットとの間、取付ブラケットと駆動部との間、駆動装置とケーシングとの間のいずれか1か所にピンと長穴との係合による位置調整機構を設け、両者の位置調整後に締結ボルトにより移動不能に固定するようにしてもよい。
【0081】
また、ケーシングにおけるリング51の周方向に対して複数のガイドローラを位置調整自在とし、複数のガイドローラの位置をずらすことで、リングに対する支持位置を変更するようにしてもよい。
【0082】
また、各実施形態では、本発明のガイドをガイドローラ70としたが、転動するローラに限定されるものではなく、摺動するスライド部材であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 ガスタービン(回転機械)
11 圧縮機
12 燃焼器
13 タービン
14 車室
21 圧縮機車室
22 入口案内翼(可変静翼)
23 静翼
24 動翼
32 ロータ(回転軸)
50 可変静翼装置
51 リング
52 駆動力伝達機構(リンク機構)
53,111 駆動装置
61 ケーシング
64 流路
70 ガイドローラ(ガイド)
72 第1リンク
73 第2リンク
76,112 駆動ロッド(駆動部)
80,101 取付ブラケット
81,102 第1連結部
82,103 第2連結部
85 締結ボルト
121 駆動力伝達機構
123 駆動歯車
124 ラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12