(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のファイバガイド部には、前記ガイド溝の延在方向全長にわたって前記光ファイバを湾曲させる湾曲壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の整線部材。
前記ファイバ収容部には、前記軸線に沿う方向に前記光ファイバを保持可能であって、前記ファイバ収容部の軸線方向に延在するファイバ保持溝が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の整線部材。
前記ファイバ収容部は、光ファイバテープ心線から前記複数本の光ファイバを分岐させたファイバ分岐部を支持する分岐部支持部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の整線部材。
複数の前記整線部材の前記ファイバガイド部が階段状をなすよう前記複数の整線部材を支持する整線部材支持部材を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の光配線ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、発明を理解し易くするために、適宜構成部品の一部を省略したり、形状を単純化したり、縮尺を変更したりする等、図示を簡略化していることがある。また、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。XYZ直交座標系において、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向として説明する。
【0010】
<光配線ユニット全体>
図1は、光配線ユニットの一例として、実施形態に係る整線部材1を備えた光接続箱100を示す。
図1に示すように、光接続箱100は、光コネクタアダプタ111が複数配列設置されたアダプタ配列部110と、複数の整線部材1を支持部材130(以下「整線部材支持部材130」ともいう。)に支持した整線部材ユニット101と、光コネクタ保留部120と、これらを収容する筐体140と、筐体140の前方を開閉可能とする蓋部150と、を有する。
図1においては、筐体140の前方が開いている状態を示している。
【0011】
<筐体>
筐体140は、前方を開放する矩形箱状をなしている。筐体140は、アダプタ配列部110および整線部材支持部材130が設けられる矩形状の背板141と、背板141の外周端につながるとともに矩形枠状をなす枠状部142と、を備える。
【0012】
枠状部142は、左右に長手を有し上下に厚みを有する板状をなし且つ背板141の上端につながる上板143と、上板143と同形状をなし背板141の下端につながる下板144と、上下に長手を有し左右に厚みを有する板状をなし且つ背板141の左端につながる左板145と、左板145と同形状をなし背板141の右端につながる右板146と、を備える。
【0013】
下板144には、光ファイバケーブル20が挿通される複数のケーブル挿通孔144aが形成されている。下板144には、光ファイバケーブル20から引き出された光ファイバ21(以下「ケーブル側光ファイバ21」という。)と、光ファイバコード30から引き出された光ファイバ31(以下「コード側光ファイバ31」という。)と、を互いに接続(光接続)した接続部を収容するトレイ160が載置されている。
【0014】
図1のケーブル側光ファイバ21及びコード側光ファイバ31は、心数が互いに同じ光ファイバテープ心線である。
光ファイバコード30(多心光ファイバ、多心光ファイバコード)の、ケーブル側光ファイバ21と接続された側とは反対側の端部には、コード側光ファイバ31をコネクタ接続可能に成端する光コネクタ35(多心光コネクタ、
図4参照)が設けられている。ケーブル側光ファイバ21と光接続された光ファイバコード30を、以下「成端光ファイバコード30」ともいう。
【0015】
<蓋部>
蓋部150は、枠状部142の外形よりもやや小さい矩形板状をなしている。蓋部150は、上下一対のヒンジ部151を介して枠状部142に連結されている。蓋板には、光コネクタ保留部120が設けられている。
【0016】
<アダプタ配列部>
アダプタ配列部110は、背板141の上部かつ左寄りに配置されている。アダプタ配列部110の光コネクタアダプタ111には、整線部材ユニット101の整線部材1から延出された光ファイバ10の先端に設けられた光コネクタ11が挿脱可能に嵌合される。整線部材1から延出された光ファイバ10は、その先端の光コネクタ11をアダプタ配列部110の光コネクタアダプタ111に挿入、嵌合することで、光コネクタアダプタ111内にて別の光ファイバ(不図示)とコネクタ接続(光接続)される。実施形態において、光コネクタアダプタ111は、光コネクタ11と係脱可能に係合する係止爪(不図示)を内部に有する筒状部材である。
【0017】
整線部材1から延出された光ファイバ10のうち、アダプタ配列部110の光コネクタアダプタ111にて別の光ファイバ(不図示、通信用光ファイバ)とコネクタ接続(光接続)された光ファイバ10を、以下「運用光ファイバ10」ともいう。
【0018】
実施形態において、光ファイバ10は、単心光ファイバ心線が収容された単心光ファイバコードである。光ファイバ10の先端のコネクタ11は、例えば、SC形光コネクタ(JIS C 5973に規定されるF04形光コネクタの適合品、或いはIEC 61754‐4(又はIEC 61754‐14)適合品)、MU形光コネクタ(JIS C 5983に規定されるF14形光コネクタの適合品、或いはIEC 61754−6適合品)などの単心用光コネクタが用いられる。
【0019】
光ファイバ10は、アダプタ配列部110の複数の光コネクタアダプタ111に対する光コネクタ11の挿脱によって、各光コネクタアダプタ111に設けられた別の光ファイバ(不図示)に対して切替接続可能なジャンパコード10である。以下、光ファイバ10を「ジャンパコード10」ともいう。
【0020】
<光コネクタ保留部>
光コネクタ保留部120は、蓋部150の上部かつ左寄りに配置されている。光コネクタ保留部120は、アダプタ配列部110と実質的に同じ高さに配置されている。
【0021】
光コネクタ保留部120は、整線部材1から延出された光ファイバ10のうち、どこにもコネクタ接続(光接続)されていない光ファイバ10の先端の光コネクタ11を保留する。以下、光コネクタ保留部120に保留された光コネクタ11を「保留光コネクタ11」、保留光コネクタ11が先端に設けられた光ファイバ10を「保留光ファイバ10」ともいう。なお、保留光ファイバ10は、整線部材1のファイバガイド部50(
図2参照)から延出する光ファイバ10のうち、どこにも接続されていない「接続待機状態の光ファイバ10」に相当する。
【0022】
光コネクタ保留部120には、保留光コネクタ11が嵌合される複数のコネクタ保留部材121が設けられている。
図1のコネクタ保留部材121は、光コネクタアダプタ111と同様、光コネクタ11と係脱可能に係合する係止爪(不図示)を内部に有する筒状部材である。
【0023】
<整線部材>
図4に示すように、整線部材1は、T字状をなしている。整線部材1は、複数本の光ファイバ10を収容する筒状のファイバ収容部40と、ファイバ収容部40の軸線方向一端(上端)から軸線方向一端の側方へ延出する複数のファイバガイド部50と、複数本の光ファイバ10の先端(光コネクタ11の側とは反対側の端)をコネクタ接続可能に成端する多心光コネクタ61と、を備える。
【0024】
多心光コネクタ61は、成端光ファイバコード30の先端の光コネクタ35との突き合わせ接続によって、コード側光ファイバ31である光ファイバテープ心線と複数本の単心光ファイバとの光接続を実現する。以下、整線部材1のファイバ収容部40に設けられた多心光コネクタ61を「分岐用光コネクタ61」ともいう。
【0025】
<ファイバ収容部>
ファイバ収容部40は、上下に延びる筒状をなしている。
図3に示すように、具体的に、ファイバ収容部40は、前方を開口させた収容部本体41と、収容部本体41を前方から覆うカバー部材46と、を備える。
【0026】
収容部本体41は、上下に長手を有し前後に厚みを有する板状をなす背板部42と、背板部42の左右端から前方に延出する左右一対の側板部43と、を備える。背板部42と左右一対の側板部43との境界部分には、上下一対の係止孔41aが形成されている。
【0027】
カバー部材46は、上下に長手を有し前後に厚みを有する板状をなすカバー本体47と、カバー本体47から後方に延出する上下一対の延出片48と、を備える。上下一対の延出片48の先端(後端)には、収容部本体41に形成された上下一対の係止孔41aに挿通して係止部41bに係脱可能な係止爪48aが形成されている。カバー部材46は、上下一対の係止爪48aによって収容部本体41に着脱自在に取り付けられる。
【0028】
図4に示すように、ファイバ収容部40には、複数本の光ファイバ10が収容されている。ファイバ収容部40には、軸線Lに沿う方向に光ファイバ10を保持可能であって、ファイバ収容部40の軸線方向に延在するファイバ保持溝44が設けられている。ファイバ保持溝44は、ファイバ収容部40の軸線方向一端寄りにおいて上下に並んで配置された上溝44aおよび下溝44bを有する。
【0029】
上溝44aおよび下溝44bは、具体的には、ファイバ収容部40の背板部42からファイバ収容部40の内側に突出された突板部45の突端(前端)から背板部42側へ窪んで形成されている。図中符号45aは上溝44aが形成された上突板部、図中符号45bは下溝44bが形成された下突板部をそれぞれ示す。
【0030】
上溝44aおよび下溝44bは、光ファイバ10を上下に沿わせるとともに、左右に間隔をあけて複数配置されている。実施形態において、上溝44aおよび下溝44bは、左右に間隔をあけて3つ配置されている。上溝44aの溝幅は、下溝44bの溝幅よりも大きい。言いかえると、上溝44aは、ジャンパコード10(単心光ファイバコード)を保持可能な溝幅を有する。一方、下溝44bは、ジャンパコード10の単心光ファイバ心線を保持可能な溝幅を有する。光ファイバ10は、上溝44aよりも下方の部分において単心光ファイバ心線を露出させている。
【0031】
<分岐用光コネクタ>
分岐用光コネクタ61は、ファイバ収容部40の下部に配置されている。分岐用光コネクタ61は、下溝44bから下方に延びる単心光ファイバ心線の先端(下端)に設けられている。実施形態において、分岐用光コネクタ61は、光ファイバテープ心線を複数本(図では4本)の単心光ファイバ心線に分岐する分岐部として機能する。
図4の分岐用光コネクタ61は、具体的には、MT形光コネクタ(JIS C 5981に規定されるF12形光コネクタの適合品、或いはIEC 61754‐5適合品)が用いられる。
【0032】
分岐用光コネクタ61には、成端光ファイバコード30の先端の光コネクタ35に形成されたガイドピン穴(不図示)に挿入、嵌合される一対のガイドピン61aが設けられている。
【0033】
図4の成端光ファイバコード30の先端の光コネクタ35を、以下「多心コード成端コネクタ35」ともいう。
図4の多心コード成端コネクタ35は、MPO形光コネクタ(JIS C5982に制定されるF13形光コネクタの適合品、或いはIEC 61754−7適合品)である。
【0034】
分岐用光コネクタ61は、多心コード成端コネクタ35(図示例ではMPO形光コネクタ)が挿入嵌合されるハウジング62(以下「レセプタクルハウジング62」ともいう。)内に収容されている。分岐用光コネクタ61と、分岐用光コネクタ61とを収容するハウジング62とは、多心コード成端コネクタ35を挿入嵌合可能な光コネクタレセプタクル60を構成する。分岐用光コネクタ61は、光コネクタレセプタクル60のフェルールとして機能する。分岐用光コネクタ61は、レセプタクルハウジング62の内側のコネクタ嵌合凹部のその開口部62aから見て奥側に配置されている。
【0035】
光コネクタレセプタクル60は、ファイバ収容部40内に収容されている。光コネクタレセプタクル60は、その周囲のファイバ収容部40の壁部(例えば、係止孔41aの形成壁など)によって、ファイバ収容部40に固定してファイバ収容部40に組込まれている。多心コード成端コネクタは、レセプタクルハウジング62のコネクタ嵌合凹部にその開口部62aから挿入してレセプタクルハウジング62に嵌合され、分岐用光コネクタ61に突き合わせ接続される。
【0036】
光コネクタレセプタクル60は、分岐用光コネクタ61を弾性付勢して、分岐用光コネクタ61と、分岐用光コネクタ61に突き合わせ接続した多心コード成端コネクタ35とに突き合わせ力を与えるスプリング63、及びガイドピン61aを固定したピンクランプ64も有している。スプリング63及びピンクランプ64は、分岐用光コネクタ61の下端の突き合わせ接合用の接合端面とは反対の上側に配置してレセプタクルハウジング62に収容されている。ピンクランプ64は、ガイドピン61aの分岐用光コネクタ61からその接合端面側に突出された先端側とは反対の後端部に固定されている。スプリング63は、ピンクランプ64の上側に配置され、ピンクランプ64を介して分岐用光コネクタ61を弾性付勢する。
【0037】
ジャンパコード10の単心光ファイバ心線は、分岐用光コネクタ61の上端面からレセプタクルハウジング62上端部の不図示の開口部を介して、レセプタクルハウジング62のコネクタ嵌合凹部の開口部62aとは反対の上側へ延出されている。
なお、多心コード成端コネクタ35は、MPO形光コネクタに限定されず、MTRJ形光コネクタ(JIS C5988に制定されるF19形光コネクタの適合品、或いはIEC 61754−18適合品)なども採用可能である。
【0038】
<ファイバガイド部>
複数のファイバガイド部50は、ファイバ収容部40からファイバ収容部40の軸線Lの回りの互いに異なる方向へ延出している、実施形態において、複数(2つ)のファイバガイド部50は、ファイバ収容部40の軸線方向一端(上端)から軸線方向一端の左右側方へ延出している。
【0039】
図3に示すように、複数のファイバガイド部50には、光ファイバ10を収容可能であって、ファイバ収容部40の内側空間Sと連通するガイド溝51が形成されている。複数のファイバガイド部50のガイド溝51は、ガイド溝51の延在方向全長にわたってファイバ収容部40の軸線方向他端とは反対の側(上側)に開口している、すなわち、複数のファイバガイド部50のガイド溝51は、それぞれ上方(同じ方向)に開口している。
【0040】
複数のファイバガイド部50のガイド溝51がそれぞれ同じ方向に開口することによって、ファイバ収容部40の軸線方向一端から延出させた光ファイバ10を複数のファイバガイド部50のガイド溝51に選択的に収容可能とされている。加えて、ガイド溝51に収容された光ファイバ10を他のガイド溝51へ入れ替え可能とされている。
【0041】
実施形態において、左側のファイバガイド部50Lのガイド溝51に収容された光ファイバ10は、アダプタ配列部110(
図1参照)に向かう。すなわち、左側のファイバガイド部50Lのガイド溝51に収容された光ファイバ10は、運用光ファイバ10として機能する。
一方、右側のファイバガイド部50Rのガイド溝51に収容された光ファイバ10は、光コネクタ保留部120(
図1参照)に向かう。すなわち、右側のファイバガイド部50Rのガイド溝51に収容された光ファイバ10は、保留光ファイバ10として機能する。
図においては、左側のファイバガイド部50Lのガイド溝51には3本の光ファイバ10が収容され、右側のファイバガイド部50Rのガイド溝51には1本の光ファイバ10が収容されている様子を示している。
【0042】
複数のファイバガイド部50には、ガイド溝51の延在方向全長にわたって光ファイバ10を湾曲させる湾曲壁52が設けられている。湾曲壁52は、上方に凸をなす緩やかな円弧状を有している。湾曲壁52の一端は、左右の上溝44aの側壁に連なっている。
図4の前面視で、湾曲壁52は、左右の上溝44aの側壁を起点として上側ほど左右外方に位置するように緩やかに湾曲した後、左右外側ほど下方に位置するように緩やかに湾曲している。
【0043】
なお、図中符号71はガイド溝51に収容されている光ファイバの側方を覆う左右一対のキャッチャ部材、図中符号72は整線部材1を整線部材支持部材130に係止させる係止爪72aを有する左右一対の係止部をそれぞれ示している。例えば、キャッチャ部材71は、ヒンジ部71aを起点に傾動可能な係止片71bによってファイバガイド部50に着脱自在に取り付けられる。
【0044】
<整線部材支持部材>
図1に示すように、整線部材支持部材130は、背板141の上部かつ右寄りに配置されている。整線部材支持部材130は、アダプタ配列部110と光コネクタ保留部120との間に配置されている。
図2に示すように、整線部材支持部材130は、複数の整線部材1のファイバガイド部50が階段状をなすように複数の整線部材1を保持する。
【0045】
整線部材支持部材130は、複数の整線部材1を保持する左右一対の保持壁131を備える。左右一対の保持壁131は、複数の整線部材1を保持する保持壁本体132と、保持壁本体132と背板141とを連結する連結壁133と、を備える。
【0046】
図2の側面視で、保持壁本体132は、前側ほど下方に位置するように傾斜する傾斜壁134を備える。傾斜壁134には、整線部材1の係止爪72a(
図3参照)が挿し込まれる複数の挿込孔134aが形成されている。
【0047】
連結壁133は、上下に長手を有し前後に厚みを有する長方形板状をなし且つ保持壁本体132の後端につながっている。例えば、連結壁133は、ボルト等の締結部材(不図示)によって筐体140の背板141に締結固定されている。
【0048】
以上説明したように、上記実施形態の整線部材1は、複数本の光ファイバ10を収容する筒状のファイバ収容部40と、ファイバ収容部40の軸線方向一端から軸線方向一端の側方へ延出する複数のファイバガイド部50と、を備え、複数のファイバガイド部50は、ファイバ収容部40からファイバ収容部40の軸線Lの回りの互いに異なる方向へ延出し、複数のファイバガイド部50には、光ファイバ10を収容可能であって、ファイバ収容部40の内側空間Sと連通するガイド溝51が形成され、複数のファイバガイド部50のガイド溝51は、ガイド溝51の延在方向全長にわたってファイバ収容部40の軸線方向他端とは反対の側に開口し、ファイバ収容部40の軸線方向一端から延出させた光ファイバ10を複数のファイバガイド部50のガイド溝51に選択的に収容可能であり、かつ、ガイド溝51に収容された光ファイバ10を他のガイド溝51へ入れ替え可能である。
【0049】
この構成によれば、複数のファイバガイド部50のガイド溝51が、ガイド溝51の延在方向全長にわたってファイバ収容部40の軸線方向他端とは反対の側に開口することで、複数のファイバガイド部50のガイド溝51が互いに異なる方向に開口する場合と比較して、ファイバ収容部40の軸線方向一端から延出させた光ファイバ10を複数のファイバガイド部50のガイド溝51に選択的に収容する際、光ファイバ10の引き回しが容易となる。加えて、ガイド溝51に収容された光ファイバ10を他のガイド溝51へ入れ替える際、光ファイバ10の引き回しが容易となる。具体的に、ガイド溝51の開口側から見たときに、全ガイド溝51を目視可能であり、全ガイド溝51に手指を入れることが容易となる。したがって、光ファイバ10の配線方向を変更する際の光ファイバ10同士の絡まりを容易に解消でき、配線方向変更の作業を効率よく行うことができる。さらに、光ファイバ10を傷めることもない。
【0050】
また、複数のファイバガイド部50には、ガイド溝51の延在方向全長にわたって光ファイバ10を湾曲させる湾曲壁52が設けられている。これにより、光ファイバ10をガイド溝51に収容する際には湾曲壁52に沿うため、光ファイバ10の屈曲を防止することができる。
加えて、湾曲壁52は上方に凸をなす緩やかな円弧状を有していることによって、湾曲壁52に沿って光ファイバ10を自重でたわませることができる。
さらに、湾曲壁52は、左右の上溝44aの側壁を起点として上側ほど左右外方に位置するように緩やかに湾曲していることによって、ガイド溝51のファイバ収容部40付近でも光ファイバ10を湾曲させることができ、光ファイバ10を傷める(光伝送特性に影響を与える)局所曲げを回避できる。
【0051】
また、ファイバ収容部40には、前記軸線に沿う方向に光ファイバを保持可能であって、ファイバ収容部40の軸線方向に延在するファイバ保持溝44が設けられていることで、ファイバ保持溝44からガイド溝51に向けて複数本の光ファイバ10を直接的に振り分けることができるため、光ファイバ10の引き回し処理を行う際の作業性をより一層向上することができる。
【0052】
また、多心光コネクタ35が接続される分岐用光コネクタ61を更に備えることで、多心光コネクタ35を整線部材1に脱着可能にすることができる。加えて、多心光コネクタ35と分岐用光コネクタ61とを接続することによって、多心から単心への接続を容易に行うことができる。
【0053】
また、上記実施形態の光接続箱100は、前記整線部材1と、前記整線部材1のファイバガイド部50から延出する運用光ファイバ10の先端の光コネクタ11が接続されるアダプタ配列部110と、前記整線部材1のファイバガイド部50から延出する保留光ファイバ10の先端の保留光コネクタ11を保留する光コネクタ保留部120と、を備えることで、光ファイバ10の引き回し処理を行う際の作業性を向上することができる。
【0054】
また、複数の整線部材1のファイバガイド部50が階段状をなすよう複数の整線部材1を保持する整線部材支持部材130を更に備えることで、複数の整線部材1のファイバガイド部50にアクセスしやすくなるため、複数の整線部材1を備えた構成において、光ファイバ10の配線方向を変更する際の光ファイバ10同士の絡まりを容易に解消でき、配線方向変更の作業を効率よく行うことができる。
【0055】
<変形例>
以下、変形例について説明する。
上記実施形態では、複数の整線部材1のガイド部が階段状をなすよう複数の整線部材1を支持する整線部材支持部材130を備えた例を挙げて説明したが、これに限らない。
以下の
図5、
図6において、上記実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5に示すように、複数の整線部材201は、上下方向に積み重ねられていてもよい。
図5においては、5つの整線部材201が上下に積み重ねられた様子を示している。
【0056】
また、上記実施形態では、ファイバ収容部40には、軸線Lに沿う方向に光ファイバ10を保持可能であって、ファイバ収容部40の軸線方向に延在するファイバ保持溝44が設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、
図6に示すように、整線部材201において、ファイバ収容部240は、光ファイバテープ心線212から複数本の光ファイバ10を分岐させたファイバ分岐部213を支持する分岐部支持部241を有していてもよい。
【0057】
本変形例のファイバ分岐部213は、光ファイバテープ心線212からの複数本の光ファイバの分岐箇所を樹脂製保護材で覆った構成を有する。ファイバ分岐部213は、外観棒状に形成されている。
図5に示すように、ファイバ収容部240は、筒状(図示では角筒状)に形成されている。棒状のファイバ分岐部213は、その軸線方向をファイバ収容部240の軸線方向に揃えてファイバ収容部240に収容されている。
図6に示すように、分岐部支持部241は、ファイバ収容部240におけるファイバ収容部211周囲に位置する壁部である。分岐部支持部241は、ファイバ分岐部213を、その軸線方向をファイバ収容部240の軸線方向に揃えた状態で支持する。
【0058】
この構成によれば、例えばファンアウトコード210のファイバ分岐部213を分岐部支持部241に着脱自在に収容して整線部材201に取り付けることができる。ファンアウトコード210は、光ファイバテープ心線212を収容する多心光ファイバコード211(多心光ファイバ)の延在方向一端から複数本の単心光ファイバコード10(光ファイバ)を分岐させたものである。また、ファンアウトコード210は、多心光ファイバコード211の光ファイバテープ心線212から複数本の単心光ファイバ心線を分岐させた分岐箇所を樹脂製保護材で覆った構成のファイバ分岐部213を有する。多心光ファイバコード211は、ファイバ分岐部213の軸線方向一端から延出されている。複数本の単心光ファイバコード10は、ファイバ分岐部213の軸線方向他端から延出されている。
【0059】
図5、
図6は、ファンアウトコード210のファイバ分岐部213を分岐部支持部241に収容した状態の整線部材201を示す。
図5、
図6において、ファンアウトコード210の多心光ファイバコード211は、ファイバ収容部240のファイバガイド部50とは反対側の端から延出されている。ファンアウトコード210の複数本(図示例では4本)の単心光ファイバコード10は、ファイバ収容部240のファイバガイド部50側の端からファイバガイド部50のガイド溝51へ延出されている。
【0060】
なお、図中符号271はガイド溝51に収容されている光ファイバ10の上方への移動を制限する左右一対のキャッチャ突起部、図中符号272は整線部材201を整線部材支持部材(不図示)に係止させる左右一対の係止部をそれぞれ示している。
【0061】
光接続箱100は、光成端箱の他、クロージャ等も採用可能である。
また、上記実施形態では、光配線ユニットが光接続箱100である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、光配線ユニットは光配線盤等の光ファイバ配線用架体であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、アダプタ配列部110にて運用光ファイバ10の先端の光コネクタ11が通信用光ファイバとコネクタ接続される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、整線部材のファイバガイド部から延出された光ファイバがアダプタ配列部110にて光線路試験装置から試験光が送入される光ファイバとコネクタ接続される構成であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、キャッチャ部材71に替えてインシュロックなどのバンド部材が設けられていてもよい。
【課題】光ファイバの配線方向を変更する際の光ファイバ同士の絡まりを容易に解消でき、配線方向変更の作業を効率よく行える整線部材およびそれを用いた光配線ユニットの提供を目的とする。
【解決手段】実施形態の整線部材1は、複数本の光ファイバ10を収容する筒状のファイバ収容部40と、ファイバ収容部40の軸線方向一端から軸線方向一端の側方へ延出する複数のファイバガイド部50と、を備え、複数のファイバガイド部50は、ファイバ収容部40からファイバ収容部40の軸線の回りの互いに異なる方向へ延出し、複数のファイバガイド部50には、光ファイバ10を収容可能であって、ファイバ収容部40の内側空間Sと連通するガイド溝51が形成され、複数のファイバガイド部50のガイド溝51は、ガイド溝51の延在方向全長にわたってファイバ収容部40の軸線方向他端とは反対の側に開口している。