(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本実施形態における接着剤塗布装置の構成を示す全体概念図であり、
図2(A)及び
図2(B)は本実施形態における単電池2を示す斜視図及び断面図であり、
図3Aは抑止装置の配置を説明するための正面図(
図1のIIIA矢視図)であり、
図3Bは位置決めピンの配置を説明するための平面図(
図1のIIIB矢視図)である。
【0011】
接着剤塗布装置1は、単電池2の主面210Aに接着剤10を塗布するための装置である。接着剤10としては、例えば、熱可塑性樹脂製接着剤などのホットメルト型接着剤を挙げることができる。本実施形態における単電池2は、
図2(A)に示すように、扁平型の電池である。この単電池2としては、例えば、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池を挙げることができる。以下においては、単電池2がリチウムイオン二次電池である場合の構成について説明する。
【0012】
単電池2は、
図2(B)に示すように、3枚の正極板201と、5枚のセパレータ202と、3枚の負極板203と、正極タブ204と、負極タブ205(
図2(B)において不図示)と、外装部材206、207と、特に図示しない電解質と、から構成されている。本実施形態では、このうちの正極板201、セパレータ202、負極板203及び電解質を特に発電要素208と称する。
【0013】
この発電要素208は、セパレータ202を介して、正極板201と負極板203とが交互に積層されることにより構成されている。そして、3枚の正極板201は、正極側集電体201aを介して、金属箔製の正極タブ204にそれぞれ接続されており、3枚の負極板203は、負極側集電体203aを介して、同様に金属箔製の負極タブ205にそれぞれ接続されている。
【0014】
また、正極板201は、
図2(B)に示すように、正極タブ204まで延びている正極側集電体201aの一部に正極層201b、201cを積層したものであり、同様に、負極板203は、負極タブ205(同図において不図示)まで延びている負極側集電体203aの一部に負極層203b、203cを積層したものである。
【0015】
なお、発電要素208を構成する正極板201、セパレータ202、及び負極板203は、上記の枚数に特に限定されない。例えば、1枚の正極板、3枚のセパレータ、1枚の負極板でも発電要素として構成することができ、必要に応じて、正極板、セパレータ、負極板の枚数を選択して構成することができる。
【0016】
ここで、本実施形態における単電池2は、
図2(A)に示すように、外装部材206、207の一辺から正極タブ204と負極タブ205とが、並んで導出している。このため、
図2(B)では、発電要素208の正極板201から正極タブ204に至る断面(
図2(A)のIIB-IIB線に沿った断面)を図示し、負極板203及び負極タブ205も、
図2(B)に示す正極板201及び正極タブ204と実質的に同一の構造となっている。ただし、発電要素208の積層電極体(相互に積層された正極板201、セパレータ202および負極板203)の端部から正極タブ204に至る間の正極板201(正極側集電体201a)、および、積層電極体の端部から負極タブ205に至る間の負極板203(負極側集電体203a)は、
図2(B)における平面視において、互いに接触することがないように、半分以下に切り欠かれている。なお、特に図示しないが、正極タブ204及び負極205は、単電池2における対向する辺からそれぞれ導出していてもよい。
【0017】
上述した発電要素208は、
図2(B)に示すように、外装部材206と、外装部材207との間に収容されて、封止されている。これら外装部材206及び外装部材207は、可撓性を有する材料で形成されている。本実施形態において外装部材206、207は、内側樹脂層、金属層、および外側樹脂層から成るラミネートフィルムで構成されている。
【0018】
このラミネートフィルムの内側樹脂層としては、例えば、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、または、アイオノマー等の耐電解液性及び熱融着性に優れた樹脂フィルムで構成することができる。また、金属層としては、たとえば、アルミニウム等の金属箔で構成することができ、外側樹脂層としては、たとえば、ポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂等の電気絶縁性に優れた樹脂フィルムで構成することができる。
【0019】
そして、これらの外装部材206、207によって、電極タブ204、205の一部と発電要素208を包み込み、当該外装部材206、207により形成される空間に、有機液体溶媒に過塩素酸リチウムやホウフッ化リチウム、六フッ化リン酸リチウム等のリチウム塩を溶質とした液体電解質を注入しながら、当該空間を真空状態とする。そして、電極タブ204、205を外装部材206、207から導出させた状態で当該外装部材206、207の外周部分を熱プレスにより熱融着して溶着部209が形成されると共に、電極タブ204、205の一部および発電要素208が外装部材206、207の間に収容されて封止された収容部210を有する単電池2を得ることができる。この収容部210は、単電池2の主面210Aを形成する。
【0020】
本実施形態における接着剤塗布装置1は、
図1に示すように、トリムプレス装置3と、待機装置4と、ローラコンベア5と、転写装置6と、を備えている。
【0021】
トリムプレス装置3は、単電池2の外周を裁断する(以下、トリム加工とも称する。)装置であり、当該裁断によって単電池2の外周を規定の形状に整える。このトリムプレス装置3の下方には、搬送ベルト31が設けられており、この搬送ベルト31によってトリム加工後の単電池2は待機装置3へと搬送される。
【0022】
トリムプレス装置3の搬送方向前方には、ストッパ32が搬送ベルト31の側方に設置されていると共に、当該ストッパ32とトリムプレス装置3との間には、搬送される単電池2の有無を検知するセンサS1が設けられている。ストッパ32は、本体部321と昇降部322とを有しており、センサS1及びS2(後述)の検知結果に基づいて、本体部321内に設けられたモータやエアシリンダ、油圧シリンダ等の動力源(不図示)を用いて、昇降部322は上下動を行う。ストッパ32は、搬送ベルト31の側方において、搬送される単電池2の溶着部209に対応した位置に設置されている。昇降部322が上昇した際は、搬送される単電池2に当該昇降部322が当接することにより、単電池2の搬送が遮られる。昇降部322が下降した際は、昇降部322と単電池2との当接が解除され、当該単電池2の搬送が再開される。センサS1及び後述のセンサS2〜S4は、例えば、反射型の光センサや超音波センサ等から構成されている。
【0023】
待機装置4は、転写装置6において接着剤の転写準備が整うまで単電池2を待機させるための装置であり、搬送ベルト41と、第1の待機機構42と、当該第1の待機機構42よりも搬送方向前方に設置された第2の待機機構43と、押出部44と、を備えている。本実施形態における接着剤10の物性は温度による影響を受け易いため、転写までに要する時間を厳密に制御する必要があり、このため転写装置6(後述)に対して連続的に単電池2を搬送する必要がある。待機装置4及びローラコンベア5(後述)は、転写装置6への単電池2の搬送が滞ることを防止するためのバッファ装置として働く。
【0024】
第1の待機機構42は、搬送ベルト41による単電池2の搬送可否を制御するための装置であり、本体部421と昇降部422とを有している。第1の待機機構42の搬送方向後方には、搬送される単電池2の有無を検知するセンサS2が設けられており、第1の待機機構42は、センサS2及びS3(後述)の検知結果に基づいて、本体部421内に設けられたモータやエアシリンダ、油圧シリンダ等の動力源(不図示)を用いて、昇降部422の上下動を行う。昇降部422が下降した際は、搬送される単電池2の溶着部209に当該昇降部422が当接することにより、単電池2の搬送が遮られる。昇降部422が上昇した際は、昇降部422と単電池2との当接が解除され、当該単電池2は第2の待機機構43に向かって搬送される。
【0025】
第2の待機機構43は、第1の待機機構42を同様の構成であり、本体部431及び昇降部432を有している。第2の待機機構43の搬送方向後方には、搬送される単電池2の有無を検知するセンサS3が設けられており、第2の待機機構43は、センサS3及びS4(後述)の検知結果に基づいて、昇降部432の上下動を行う。昇降部432が下降した際は、搬送される単電池2の溶着部209に当該昇降部432が当接することにより、単電池2の搬送が遮られる。昇降部432が上昇した際は、昇降部432と単電池2との当接が解除され、当該単電池2はローラコンベア5を介して転写装置6に搬送される。
【0026】
押出部44は、搬送ベルト41の側方及びローラコンベア5の側方において、搬送される単電池2の溶着部209に対応した位置に設置されており、モータやエアシリンダ、油圧シリンダ等の動力源を用いて上下動を行うと共に、搬送方向に沿って前後に駆動する。この押出部44は、第2の待機機構43を通過した単電池2の搬送方向後端に当接する当接部441を有しており、この当接部441が単電池2の後端に当接した状態で押出部44が搬送方向前方に向かって移動することにより、当該単電池2は転写装置6に向かって押し出される。
【0027】
ローラコンベア5は、待機装置4と転写装置6との間に位置しており、押出部44によって搬送される単電池2を転写装置6に向かわせる機能を有する。このローラコンベア5の略中央部には、
図1に示すように、ストッパ51が設けられている。ストッパ51は、本体部511及び昇降部512を備えており、トリムプレス装置3の前方に設けられたストッパ32と同様の構成及び機能を有している。また、このストッパ51の搬送方向後方には、搬送される単電池2の有無を検知するセンサS4が設けられている。
【0028】
転写装置6は、ローラコンベア5を介して待機装置4から搬送された単電池2の
図1中の上側主面210Aに対して接着剤10を塗布する装置であり、搬送ベルト61と、転写機62と、抑止装置64と、を備えている。
【0029】
搬送ベルト61は、センサS4の検知結果に基づいて、ローラコンベア5から受け取った単電池2を搬送方向前方に向かって搬送する。この搬送ベルト61の表面には、当該搬送ベルト61上において搬送される単電池2の前方端の位置を規定する第1の位置決めピン611と、搬送される単電池2の後方端の位置を規定する第2の位置決めピン612と、が設けられている。これら第1及び第2の位置決めピン611、612は、
図3Bに示すように、搬送方向に沿って単電池2の長さに対応する距離ごとに設けられており、第1及び第2の位置決めピン611、612の間に単電池2が載置される。搬送ベルト61の回転に伴って当該第1及び第2の位置決めピン611、612も回転し、これにより、搬送ベルト61上における単電池2の位置が規定された状態で当該単電池2は搬送される。また、この第1及び第2の位置決めピン611、612は、
図3Aに示すように、搬送される単電池2の溶着部209に対応した位置に設けられている。
【0030】
転写機62は、搬送ベルト61の上方に設けられており、コンベア装置62Aと、接着剤10をコンベア装置62A上に向かって押し出す接着剤押出装置63と、を備えている。コンベア装置62Aは、第1のローラ621、当該第1のローラ621よりも上方に配置された第2のローラ622及び第1及び第2のローラ621、622間に繋がれて回転するベルト部材623を有している。
【0031】
第1及び第2のローラ621、622は、ベルト部材623の回転速度が搬送ベルト61の搬送速度に対応するように、
図1中時計回りに回転する。本実施形態では、第2のローラ622の径は第1のローラ621の径よりも大きくなっている。なお、当該第2のローラ622の内部に、接着剤10の温度を予め設定した温度まで降下させるための冷却水を循環させる機構等を設けてもよい。ベルト部材623は、転写時において、単電池2の外装部材206、207よりも接着剤10の接着力が弱い材料から構成されている。本実施形態における転写機62が本発明の転写手段の一例に相当し、本実施形態におけるコンベア装置62Aが本発明のコンベア手段の一例に相当する。
【0032】
接着剤押出装置63は、例えば接着剤10の溶融点まで当該接着剤を加熱する加熱機構(不図示)を備えており、当該加熱機構によって加熱された接着剤10をコンベア装置62Aのベルト部材623に向かって押し出すことにより、当該ベルト部材623上に接着剤10を塗布する装置であり、
図1に示すように、コンベア装置62Aの搬送方向前方側に設けられている。接着剤押出装置63によって押し出された接着剤10は、ベルト部材623に沿って第2のローラ622の外周を移動した後に、第1のローラ621に向かって移動する。本実施形態における接着剤押出装置63が本発明の塗布手段の一例に相当する。
【0033】
コンベア装置62A及び接着剤押出装置63は、支持部材(不図示)によって互いに固定されており、昇降機構(不図示)によって上下動を行う。これにより、コンベア装置62A及び接着剤押出装置63は、搬送ベルト61で搬送される単電池2に対して接近、離反を行う。コンベア装置62Aが単電池2に接近することにより、接着剤押出装置63によってベルト部材623上に塗布された接着剤10が当該単電池2に押し付けられ、これにより当該接着剤10が単電池2に転写される。
【0034】
抑止装置64は、接着剤10を単電池2に転写した直後に、当該単電池2が転写機62の上昇に伴って一緒に浮き上がることを抑制するための装置であり、第1の抑止ローラ641と、第2の抑止ローラ642と、を備えている。これら第1及び第2の抑止ローラ641、642は、特に図示しない支持部材により一定高さで支持されていると共に、搬送方向に沿って回転可能な状態で保持されている。本実施形態における抑止装置64が本発明の抑止手段の一例に相当する。
【0035】
第1の抑止ローラ641は、コンベア装置62Aにおける第1のローラ621よりも搬送方向後方に設けられているのに対し、第2の抑止ローラ642は、コンベア装置62Aの第1のローラ621よりも搬送方向前方に設けられている。第1及び第2の抑止ローラ641、642は、搬送ベルト61で搬送される単電池2の溶着部209に対応する位置に左右1個ずつ設けられている(
図3A参照)。また、第1の抑止ローラ641及び第2の抑止ローラ642の間の距離は、単電池2における搬送方向に沿った長さに対応している。
【0036】
なお、第1及び第2の抑止ローラ641、642は、単電池2の浮き上がりを抑止する効果の観点から、
図3Aに示すように、当該第1及び第2の抑止ローラ641、642の下端が、第1及び第2の位置決めピン611、612の上端よりも低くなる位置に設けられることが好ましい。
【0037】
次に、本実施形態の接着剤塗布装置1を用いて単電池2に接着剤10を塗布する際の動作について説明する。
図4A〜
図4Hは、本実施形態における接着剤塗布装置の動作の説明図であり、
図5(A)及び
図5(B)は接着剤塗布時における比較例および本実施形態における例を示す図である。なお、以下の説明において、接着剤塗布装置1で接着剤の塗布が行われる単電池2を、塗布が行われる順に単電池2A、単電池2B、単電池2Cとも称する。
【0038】
まず、トリムプレス装置3において単電池2にトリム処理が行われると、センサS1がON状態(単電池2がセンサ正面に有る状態)となる。この際、センサS2がOFF状態(単電池2がセンサ正面に無い状態)である場合には、ストッパ32の昇降部322が下降し、当該単電池2は待機装置4に向かって搬送される。センサS2がON状態の場合には、昇降部322は上昇したままの状態であり、単電池2は当該昇降部322で待機する状態となる。
【0039】
トリム処理が施された単電池2が搬送ベルト31によって待機装置4に搬送されると、搬送ベルト41によってさらに当該単電池2は搬送される。この際、センサS3がOFF状態の場合には、第1の待機機構42の昇降部422は上昇した状態となり、単電池2は第2の待機機構43に向かって搬送される。センサS3がON状態の場合には、第1の待機機構42の昇降部422は下降した状態となり、単電池2は第1の待機機構42で待機する状態となる。
【0040】
単電池2が第2の待機機構43に搬送された際、センサS4がOFF状態の場合には、第2の待機機構43の昇降部432が上昇し、当該単電池2はローラコンベア5に向かって搬送される。単電池2が第2の待機機構43に搬送された際、センサS4がON状態である場合には、第2の待機機構43の昇降部432は下降した状態のままとなり、
図4Aに示すように、単電池2Aは、第2の待機機構43において待機する状態となる。なお、
図4Aでは、単電池2Aの後に続いて搬送されてきた単電池2Bが第1の待機機構42で待機している状態を示している。単電池2Aがローラコンベア5に向かって搬送されると、センサS3がOFF状態となるため、当該単電池2Bは第2の待機機構43に向かって搬送される。
【0041】
次いで、
図4Bに示すように、単電池2Aがストッパ51に到達してセンサS4がON状態となると、転写装置6の搬送ベルト61が回転し始める。当該単電池2Aは転写装置6に向かって搬送可能であると判断されると、ストッパ51の昇降部512は下降すると共に押出部44が単電池2Aを転写装置6に向かって押し出す(
図4C)。なお、
図4Cにおいて単電池2Bは、センサS3がOFF状態であることを受けて第1の待機機構42の昇降部422が上昇し、第2の待機機構43に向かって搬送されている。
【0042】
転写装置6に向かって押し出された単電池2Aの搬送ベルト61上での位置は、当該単電池2Aの前方端が第1の位置決めピン611に当接することによって規定される。単電池2Aが搬送ベルト61によって搬送され始めると、転写装置6の接着剤押出装置63が、コンベア装置62Aのベルト部材623に対する接着剤10の押し出しを開始する。
【0043】
転写装置6の搬送ベルト61によって単電池2Aが搬送される間は、
図4Dに示すように、当該単電池2Aの上方では、接着剤押出装置63が接着剤10のベルト部材623への押し出しを継続する。なお、
図4Dにおいて単電池2Bは、センサS4がOFF状態であることを受けて第2の待機機構43の昇降部432が上昇し、ローラコンベア5に向かって搬送されている。単電池2Bを転写装置6に向かって搬送可能であると判断されると、
図4Eに示すように、ストッパ51の昇降部522が下降した状態になると共に、押出部44が上昇して搬送方向前方に動くことにより、単電池2Bを転写装置6に向かって押し出す。なお、
図4Eにおいて単電池2Bの搬送方向後方では、トリムプレス装置3による処理が終了した単電池2Cが、単電池2A、2Bと同様にして待機装置4の第2の待機機構43に向かって搬送ベルト41で搬送されている。
【0044】
次いで、
図4Fに示すように、単電池2Bは、転写装置6に搬送され、搬送ベルト61において単電池2Aの搬送方向後方に並んだ状態で搬送される。そして、搬送ベルト61の駆動に合わせて転写機62が下降することにより、単電池2A上に接着剤10の転写が開始される。なお、
図4Fにおいて単電池2Cは、ローラコンベア5のストッパ51まで搬送されて待機している状態となっている。また、単電池2Bを転写装置6に向かって押し出した後の押出部44は押し出し前の元の位置に戻る。
【0045】
単電池2Aへの接着剤10の塗布が終了した後は、
図4Gに示すように、転写機62は上昇し、転写前の元の位置に戻る。この際、接着剤10がコンベア装置62Aのベルト部材623から剥がれ難い状態となる場合がある。このため、抑止装置が設けられていない従来の接着剤塗布装置では、
図5(A)に示すように、当該転写機62の上昇に伴い、接着剤が塗布された単電池2Aにおける搬送方向後端が上方に持ち上げられることとなり、これにより搬送ベルト61上での単電池2Aの位置ずれが発生する場合がある。また、単電池2Aの搬送方向後端が上方に持ち上げられた後に、接着剤10がベルト部材623から完全に剥がれることにより当該単電池2Aの後端が落下することとなるため、単電池2Aが損傷する場合がある。
【0046】
これに対し、本実施形態における接着剤塗布装置1では、
図5(B)に示すように、抑止装置64が設けられている。このため、単電池2Aへの接着剤10の塗布が終了した後に転写機62が上昇した場合においても、抑止装置64によって単電池2Aの上方への移動が制限されるため、接着剤10が転写機62のベルト部材623から剥離しない状態の発生を抑制し、当該単電池2Aの後端の浮き上がりを抑止できる。このため、搬送ベルト61上での単電池2Aの位置ずれを抑止できると共に、単電池2Aの後端部が落下することによる単電池2Aの損傷を防ぐことができる。
【0047】
また、本実施形態における抑止装置64の第1の抑止ローラ641は、
図5(B)に示すように、コンベア装置62Aの第1のローラ621(接着剤の転写が行われる位置)よりも搬送方向後端側に設けられている。このため、抑止装置64によって単電池2Aの浮き上がりを抑止する際に、転写機62の上昇に伴って単電池2Aの後端部が持ち上げられて単電池2Aが折れ曲がることを抑制できる。されに、本実施形態では、第1のローラ621よりも搬送方向前方に第2の抑止ローラ642が設けられているため、単電池2Aの折れ曲がりをより確実に抑制することができる。
【0048】
また、第1及び第2の抑止ローラ642が、単電池2Aの搬送に合わせて回転可能であることにより、抑止装置64が単電池2Aの浮き上がりを抑制する際に、当該抑止装置64と単電池2Aとの間で生じる摩擦によって当該単電池2Aが損傷することを抑制できる。
【0049】
図4Gに戻り、同図においてローラコンベア5では、昇降部512が下降すると共に、押出部44が上昇し、単電池2Cを転写装置6に向かって押し出す準備が行われる。
【0050】
その後は、
図4Hに示すように、押出部44が単電池2Cを転写装置6に向かって押し出す。この間、転写機62の接着剤押出装置63では、単電池2Bに塗布するための接着剤10をコンベア装置62Aのベルト部材623に向かって押し出す。次いで、
図4D〜
図4Gに示した動作と同様の動作を繰り返し、単電池2Bに対して接着剤10が塗布される。次いで、
図4C〜
図4Gに示した動作と同様の動作を繰り返し、単電池2Cに対する接着剤10の塗布が行われる。
【0051】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。