(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
伸縮可能な複数のX字型連結部材の各端部を長ピン軸により連結し、当該X字型連結部材に間仕切り部材を取着したアコーディオン式間仕切り装置にて、前記間仕切り部材の下辺側の隙間を閉塞可能にする隙間閉塞装置であって、
前記間仕切り部材の下辺側に位置する密封材と、
前記密封材の上辺の対向する両側部にそれぞれ一端を取りつけた一対の吊りテープと、
前記一対の吊りテープの各他端を前記X字型連結部材にて相対向する長ピン軸の下端部にそれぞれ相対回動可能に係止する係止部材とを備え、
前記一対の吊りテープは、弾性且つ可撓性の材料からなり、前記間仕切り部材の開閉方向にて複数個所に配設され、前記間仕切り部材の開閉による当該X字型連結部材の伸縮を利用して前記密封材を上下させることにより、前記間仕切り部材の下辺側の隙間を閉塞可能にしたことを特徴とする隙間閉塞装置。
前記間仕切り部材の開閉方向に隣接する複数の当該吊りテープ間で、前記密封材の上辺を吊下支持する吊下支持部材と、当該X字型連結部材の中心部を保持する短ピン軸の下端部にて、前記吊下支持部材を保持する保持部材と、を更に備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の隙間閉塞装置。
前記吊下支持部材は、無端状とするべく末端を嵌合可能なコードからなり、前記密封材が、該コードにより、前記密封材の上辺における一側部から懸回させて吊下支持されるように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の隙間閉塞装置。
【背景技術】
【0002】
アコーディオンカーテンや折戸等の間仕切り装置は、蛇腹状に伸縮可能としたカーテン材を壁面間で引き出し、或いは一方の壁面側に畳み込んで、室内空間を適宜に区画するものである。
【0003】
このような間仕切り装置では、ハンガーレール内を移動可能な複数のランナーを用いてカーテン材を吊下支持するように構成される。
【0004】
例えばアコーディオンカーテンでは、複数のX字型連結部材の蝶番からなりパンタグラフ状に伸縮する骨組みに、カーテン材が取着されてカーテン本体が構成され、この骨組みの一端の支軸に移動框が相対回動可能に取着され、その他端の支軸に固定框が相対回動可能に取着されている。固定框は壁面に固定され、移動框を移動させることにより、カーテン本体をハンガーレールに沿って伸縮可能としている。
【0005】
このような間仕切り装置においては、カーテン材の下辺と床面との間に一定の隙間が設けられており、カーテン材の下辺が床面と擦れて損傷するのを防止するように構成されている。
【0006】
一方、このカーテン材の下辺と床面との間の隙間に対して、別個の部材を設ける技法が知られている。
【0007】
例えば、複数のX字型連結部材の各端部を連結する長ピン軸の下端部にて、相対向する長ピン軸を連結するように蝶番式支持板を回動可能に配設し、この蝶番式支持板の下面に所定の突起物を設け、当該カーテン材の開閉によるX字型連結部材の伸縮を利用して当該所定の突起物を上下させるよう構成した装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、複数のX字型連結部材の各端部を連結する長ピン軸(垂直ロッド)下端にてブッシュ材を固着し、張設するカーテン材に沿って当該カーテン材の下辺に裾当材を配設するために、このブッシュ材に対して裾当材の上辺に取付けた筒管を上下方向に調節できるよう相係合させる弾板を設けるように構成した装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、アコーディオンカーテンや折戸等の間仕切り装置では、間仕切り部材(カーテン材)の下辺と床面との間に一定の隙間が設けられ、間仕切り部材(カーテン材)の下辺が床面と擦れて損傷するのを防止するように構成されている。
【0011】
一方で、例えば当該間仕切り装置で間仕切りする室内の温度を保持したい場合など、この間仕切り部材(カーテン材)の下辺と床面との間の隙間が、間仕切り部材(カーテン材)の全閉状態時には閉塞される構成が望まれている。
【0012】
そこで、特許文献1の技法を利用して、当該所定の突起物として密封材を用い、当該カーテン材の開閉によるX字型連結部材の伸縮を利用して当該密封材を上下させるよう構成することが考えられる。しかしながら、この構成では、蝶番式支持板として硬質材料が想定され、長ピン軸と蝶番式支持板とを連結するように構成することになるため、当該間仕切り装置の装置幅の違いによる蝶番の開き具合によって密封材が床面と接しない場合でも調節ができないという問題点がある。また、特許文献1の技法では、部品点数が増大し、高コストになる。また、カーテン材の下辺と床面との間の隙間を閉塞するために、カーテン材の下辺付近で硬質な蝶番式支持板を用いることは、居住者の足元に対する安全面を考慮すると改善すべき課題がある。
【0013】
また、特許文献2の技法では、長ピン軸(垂直ロッド)下端にてブッシュ材を固着し、弾板を利用して、このブッシュ材に対して裾当材の上辺に取付けた筒管を上下方向に細かく調節できるよう相係合させることになるが、長ピン軸(垂直ロッド)は多数あることから、この位置調節には大変な手間がかかることになる。また、特許文献2の技法では、部品点数が増大し、高コストになる。更に、張設するカーテン材に沿って裾当材を配設する構成であるため、カーテン材の下辺が床面と擦れて損傷するのを防止できる一方で、この裾当材が常時、床面と擦れるために頻繁に取り換えを要するおそれがある。この場合、利用者にとっては、その取り換えの度に位置調節に手間がかかるだけでなく、その管理負担、及びランニングコストが増大するという問題点がある。
【0014】
したがって、間仕切り部材(例えばカーテン材)の下辺と床面との間の隙間を密封材により間仕切り部材の全閉状態時に閉塞するにあたり、好適には、当該間仕切り装置の装置幅の違いによる当該密封材を吊下支持する際の位置調整を許容し容易にするとともに、部品点数を少なくするとともに低廉化を図る技法が望まれる。また、居住者の足元に対する安全面を確保し、管理負担及びランニングコストを減少させる技法が望まれる。
【0015】
本発明の目的は、上述の各問題に鑑みて、伸縮可能な複数のX字型連結部材の各端部を長ピン軸により連結し、当該X字型連結部材に間仕切り部材を取着したアコーディオン式間仕切り装置にて、間仕切り部材の下辺と床面との間の隙間を閉塞可能にする隙間閉塞装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の隙間閉塞装置は、伸縮可能な複数のX字型連結部材の各端部を長ピン軸により連結し、当該X字型連結部材に間仕切り部材(後述する実施形態の例では、カーテン材)を取着したアコーディオン式間仕切り装置にて、前記間仕切り部材の下辺側に密封材を位置付け、当該間仕切り部材の開閉によるX字型連結部材の伸縮を利用して当該密封材を上下させることで、前記間仕切り部材の下辺と床面との間の隙間を閉塞可能にする。当該複数のX字型連結部材の中心部は短ピン軸により保持されており、X字型連結部材が相対回動可能に構成される。密封材の上辺両側部にそれぞれ一端を取付けた一対の吊りテープの各他端を相対向する長ピン軸の下端部の各々に係止するために、係止部材が用いられる。ここで、吊りテープは長ピン軸に対し係止位置が変更可能な形状(複数の係止穴)を有する。また、短ピン軸の下端部には保持部材が取着され、この保持部材は、密封材の上辺を吊下支持する吊下支持部材(後述する実施形態の例では、垂れ防止ループコード)の一部を保持するように構成される。
【0017】
これにより、間仕切り部材の開方向に畳み込んだ際にはX字型連結部材の蝶番が拡がることで相対向する長ピン軸の間の距離も拡がり、各長ピン軸に係止された吊りテープが引張られ、密封材が床面に対して上昇する。一方、間仕切り部材を閉方向に引き出す際には、X字型連結部材の蝶番が狭まることで相対向する長ピン軸の間の距離も狭まり、各長ピン軸に係止され引張られていた吊りテープが床面に向かって移動することにより密封材が下降し、間仕切り部材の全閉時には密封材が床面と接触する。
【0018】
即ち、本発明の隙間閉塞装置は、伸縮可能な複数のX字型連結部材の各端部を長ピン軸により連結し、当該X字型連結部材に間仕切り部材を取着したアコーディオン式間仕切り装置にて、前記間仕切り部材の下辺側の隙間を閉塞可能にする隙間閉塞装置であって、前記間仕切り部材の下辺側に位置する密封材と、前記密封材の上辺の対向する両側部にそれぞれ一端を取りつけた一対の吊りテープと、前記一対の吊りテープの各他端を前記X字型連結部材にて相対向する長ピン軸の下端部にそれぞれ相対回動可能に係止する係止部材とを備え、前記一対の吊りテープは、弾性且つ可撓性の材料からなり、前記間仕切り部材の開閉方向にて複数個所に配設され、前記間仕切り部材の開閉による当該X字型連結部材の伸縮を利用して前記密封材を上下させることにより、前記間仕切り部材の下辺側の隙間を閉塞可能にしたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の隙間閉塞装置において、前記一対の吊りテープの各々は、前記長ピン軸に対し係止位置を変更可能とする複数の係止穴を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の隙間閉塞装置において、前記係止部材は、略U字状の上端部及び筒状の下端部を有し、該略U字状の上端部と該筒状の下端部との間の基体部は弾性変形可能であり、該筒状の下端部は、当該吊りテープが前記長ピン軸に対し係合された状態で前記長ピン軸の下端部を挿通可能に構成され、該略U字状の上端部は、前記長ピン軸の下端部が該筒状の下端部に挿通された状態で、当該基体部の弾性変形を経て前記X字型連結部材の上方位置の当該長ピン軸に係合可能に構成されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の隙間閉塞装置において、前記間仕切り部材の開閉方向に隣接する複数の当該吊りテープ間で、前記密封材の上辺を吊下支持する吊下支持部材と、当該X字型連結部材の中心部を保持する短ピン軸の下端部にて、前記吊下支持部材を保持する保持部材と、を更に備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の隙間閉塞装置において、前記吊下支持部材は、無端状とするべく末端を嵌合可能なコードからなり、前記密封材が、該コードにより、前記密封材の上辺における一側部から懸回させて吊下支持されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、部品点数を少なくするとともに低廉化を図った上で、間仕切り部材の下辺と床面との間の隙間を密封材により間仕切り部材の全閉状態時に閉塞することが可能となる。また、当該間仕切り装置の装置幅の違いによる当該密封材を吊下支持する際の位置調整を許容し容易にするとともに部品点数を少なくするとともに低廉化を図ることができる。また、従来技術と比して、居住者の足元に対する安全面を確保し、管理負担及びランニングコストの減少させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置を説明する。尚、本願明細書中、
図1に示すアコーディオンカーテン1の正面図に対して、図示上方及び図示下方をアコーディオンカーテン1の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示右方向をアコーディオンカーテン1の右方向(又は右側)、及び、図示左方向をアコーディオンカーテン1の左方向(又は左側)、図示を視認する側をアコーディオンカーテン1の前方向(又は前側)、これに相対して奥側をアコーディオンカーテン1の後方向(又は後側)と定義して説明する。例えば、アコーディオンカーテン1の前後方向と称するときは、
図1の正面図においてその図示した正面に対して垂直な方向を云う。また、高さについて言及するときは、アコーディオンカーテン1を設置する床面に対して垂直に延びる上方向の長さを云う。
【0026】
(アコーディオンカーテンの構成)
まず、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8を適用可能な間仕切り装置としてのアコーディオンカーテン1の構成を説明する。
図1は、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8を備える間仕切り装置としてのアコーディオンカーテン1の全体構成を示す正面図である。
図2は、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8を備える間仕切り装置としてのアコーディオンカーテン1について全閉状態時の上方から見て各要素の配置関係を示す平面図である。
【0027】
図1及び
図2に示すアコーディオンカーテン1は、図示しないハンガーレール内を移動可能な複数のランナーを用いて間仕切り部材(カーテン材2)を吊下支持するように構成され、複数のX字型連結部材5(蝶番)からなるパンタグラフ状に伸縮する骨組みに、カーテン材2が取着されてカーテン本体が構成される。この骨組みの一端の支軸に移動框3が相対回動可能に取着され、その他端の支軸に固定框4が相対回動可能に取着されている。固定框4は壁面に固定され、移動框3を移動させることにより、カーテン材2を取着したカーテン本体をハンガーレールに沿って伸縮可能としている。
【0028】
尚、ハンガーレール(図示せず)は、カーテン材2を吊下支持する複数のランナーが移動可能なように下端側が開口している略四角筒状の部材であり、ハンガーレールの上端面は、所定のブラケットを介して、或いは直接的に天井側の取付面に固定される。
【0029】
複数のX字型連結部材5の各端部は長ピン軸6により相対回動可能に連結され、その中心部は短ピン軸7により相対回動可能に保持されている。長ピン軸6は、例えば1つおきの間隔で、ハンガーレール内を移動するランナーの吊下部材(図示せず)により吊り下げられている。
【0030】
また、
図1には、複数のX字型連結部材5からなる骨組みについて、カーテン材2の下端部側に1セットを図示しているのみであるが、例えば上下方向に3セット設けるなど、上下方向に2つ以上であれば幾つであってもよい。各セットの複数のX字型連結部材5からなる骨組みは、共通の長ピン軸6により保持される。尚、本発明とは直接的に関係しないが、当該骨組みは、
図2に示すように、各菱形部分を構成する略平行なX字型連結部材5のリンク片間に、カーテン材2を閉方向に付勢して移動框3が全閉状態まで自動的に移動するよう、複数のコイルスプリング(図示せず)を配設することが可能なリング状の引掛部が複数個所に配設されている。
【0031】
(隙間閉塞装置の構成)
本実施形態の隙間閉塞装置8は、カーテン材2の下辺と床面FLとの間の隙間をカーテン材2の全閉状態時に閉塞可能にする装置であり、密封材9、吊りテープ10、垂れ防止ループコード11、係止部材12、及び保持部材13を備える。
【0032】
密封材9は、例えば布製の部材からなり、カーテン材2の下辺側に位置付けられる。密封材9は、カーテン材2の下端部と床面FLとの間の隙間をカーテン材2の全閉状態時に閉塞するのに十分な上下方向(即ち、高さ方向)の縦寸法と、左右方向(即ち、カーテン材2の開閉方向)の横寸法を有する。
【0033】
吊りテープ10は、幅狭で薄く、一定以上の長さを持つ帯状の材料であり、弾性を有し、且つ可撓性の材料からなり、例えばポリプロピレン等の樹脂材を用いることができる。吊りテープ10の一端は、密封材9の上辺に縫い付け等により取着され、その他端は長ピン軸6の下端部に係止可能な係止穴10aを有する。そして、一対の吊りテープ10の各一端が、相対向する長ピン軸6の各々に対してそれぞれ相対回動可能に係止され、その各他端が密封材9の上辺両側部に取着される。好適には、この係止穴10aは、長ピン軸に対し係止位置を変更可能とするよう複数設けられる。
【0034】
垂れ防止ループコード11は、密封材9の吊下支持部材として設けられる。垂れ防止ループコード11のコード部分は、密封材9の上辺を吊下支持するのに十分な一定の強度を有するとともに高柔軟性の材料からなり、例えば繊維材、ポリプロピレンやナイロン材、ゴム材、或いは革材等の材料を用いることができる。本実施形態の例では、垂れ防止ループコード11は、密封材9の上辺を吊下支持するために、その一端部を保持部材13(後述する下端保持部13aの挿通孔13d)に懸回させた後、密封材9の上辺における一方の側部から他方の側部を抜けて当該一方の側部に戻すよう括り付けることで懸回させる。その後、垂れ防止ループコード11の両端部に嵌合部材(後述する結束用突起部11aと嵌合孔11eを穿設した結束用嵌合部11b)を設けて嵌合させることで無端状のコードを形成する。尚、垂れ防止ループコード11は、
図1に示すように、密封材9の吊下支持のバランスを取るために、密封材9の上辺における括り付け方向が交互に入れ替わるように懸回させるのが好適である。
【0035】
係止部材12は、弾性を有する材料から成形されており、ポリオキシメチレンなどのアセタール樹脂等の材料を用いることができる。係止部材12は、詳細に後述するように、密封材9の上辺に一端を取付けた吊りテープ10の他端を長ピン軸6の下端部に相対回動可能に係止するのに用いられる。
【0036】
保持部材13は、成形可能な任意の樹脂材料からなり、短ピン軸7の下端部に対して回動可能に取着され、密封材9の上辺を吊下支持する垂れ防止ループコード11におけるコード部分の一部を、後述する下端保持部13aの挿通孔13dにて懸回させることで保持するように構成される。
【0037】
以下、
図3〜
図6を参照して、本実施形態の隙間閉塞装置8の構成について詳細に説明する。
図3は、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8に関する分解斜視図である。
図4(a),(b)は、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8における吊りテープ10及び垂れ防止ループコード11の概略構成を示す構成図である。
図5(a),(b),(c),(d)は、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8における係止部材12の概略構成を示す構成図である。
図6(a),(b),(c),(d)は、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8における保持部材13の概略構成を示す構成図である。
【0038】
まず、
図3を参照するに、複数のX字型連結部材5の各端部が長ピン軸6により連結されている状態で、カーテン材2の下辺側に密封材9を位置付け、カーテン材2の開閉によるX字型連結部材5の伸縮を利用して当該密封材9を上下させることで、カーテン材2の下辺と床面との間の隙間を閉塞可能にする。ここで、X字型連結部材5の中心部は短ピン軸7により保持されており、X字型連結部材5が相対回動可能に構成されている。
【0039】
密封材9の上辺両側部における固着部51にて縫付け等によりそれぞれ一端を取付けた一対の吊りテープ10の各他端は、係止部材12を用いて相対向する長ピン軸6の下端部の各々に係止される。そして、吊りテープ10の各々は、長ピン軸6に対し係止位置を変更可能とする複数の係止穴10aが設けられる。
【0040】
短ピン軸7の下端部には保持部材13が回動可能に取着され、この保持部材13は、密封材9の上辺を吊下支持する垂れ防止ループコード11におけるコード部分の一部を、下端保持部13aの挿通孔13dにて懸回させることで保持するように構成される。
【0041】
垂れ防止ループコード11は、密封材9の上辺を吊下支持するために、そのコード部分を保持部材13における下端保持部13aの挿通孔13dに懸回させるとともに、密封材9の上辺における取付部52にて、一方の側部から他方の側部を抜けて当該一方の側部に戻すよう括り付けることで懸回させている。また、垂れ防止ループコード11の一端部に設けられている結束用突起部11aと、懸回後に垂れ防止ループコード11の他端部に設けられた嵌合孔11eを穿設した結束用嵌合部11bとを嵌合させることで無端状のコードが形成される。
【0042】
図4(a)には、本実施形態の隙間閉塞装置8における吊りテープ10の概略構成が示されており、吊りテープ10の一端部側では密封材9の上辺における固着部51に縫い付け等により固着させるための固着領域10bが定められ、その他端部側では、長ピン軸6に対し係止位置を変更可能とする複数の係止穴10aが設けられている。
【0043】
図4(b)には、本実施形態の隙間閉塞装置8における垂れ防止ループコード11の概略構成が示されており、垂れ防止ループコード11の一端部側では結束用突起部11aが設けられ、垂れ防止ループコード11の他端部側では、当該コード部分を保持部材13における下端保持部13aの挿通孔13dに懸回させ、且つ密封材9の上辺における取付部52にて一方の側部から他方の側部を抜けて当該一方の側部に戻すよう括り付けることで懸回させた後に取着される結束用嵌合部11bが設けられている。結束用突起部11aの先端部11cは、結束用嵌合部11bにおける挿入孔11dに挿入して嵌合孔11eにて嵌合可能な構造となっている。
【0044】
図5(a),(b),(c),(d)には、本実施形態の隙間閉塞装置8における係止部材12の概略構成が示されている。係止部材12の上端部12aは、略U字状の形状からなり、その開口部12dは長ピン軸6の断面径よりも微かに広い幅を有し、その係合部12cは、長ピン軸6の断面径と略同一か、又は微かに狭い幅を有する。係止部材12の下端部12bは、筒状の形状からなり、長ピン軸6を挿通可能とするよう長ピン軸6の断面径より微かに広い内径の挿通孔12eを有する。そして、当該略U字状の上端部12aと当該筒状の下端部12bとの間の基体部は弾性変形可能である。
【0045】
図6(a),(b),(c),(d)には、本実施形態の隙間閉塞装置8における保持部材13の概略構成が示されている。保持部材13は、短ピン軸7を挿通可能な断面径を有する挿通孔13cを有する上端筒部13bを備える。挿通孔13cに挿通された短ピン軸7の先端はつぶし加工により保持部が形成され、これにより、保持部材13は、短ピン軸7に対して回動可能に保持される。尚、保持部材13の両側部に設けられる係止部13eは、X字型連結部材5の蝶番形状に倣ってカーテン材2の側部から保持するための保持コード(図示せず)を係止するよう形成されている。また、保持部材13の下端両側部には、垂れ防止ループコード11のコード部分の一部を保持するべく当該コード部分を挿通可能な形状を有する挿通孔13dを有する下端保持部13aが設けられている。
【0046】
以上のように、本実施形態の隙間閉塞装置8は、密封材9、吊りテープ10、垂れ防止ループコード11、係止部材12、及び保持部材13を備え、カーテン材2の下辺と床面FLとの間の隙間をカーテン材2の全閉状態時に閉塞可能にしている。
【0047】
(吊りテープの係止方法)
次に、吊りテープ10の係止方法について説明する。
図7(a),(b),(c)は、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8における吊りテープ10の係止方法について説明する図である。
【0048】
まず、
図7(a)を参照するに、密封材9の上辺にて一端を取付けた吊りテープ10の他端は、係止穴10aを介して長ピン軸6の下端部に設置される。
【0049】
続いて、
図7(b)を参照するに、長ピン軸6の下端部が係止部材12の筒状の下端部12bにおける挿通孔12eに挿通され、当該略U字状の上端部12aと当該筒状の下端部12bとの間の基体部は弾性変形可能であるため、係止部材12における略U字状の上端部12aの開口部12dが、X字型連結部材5の上方位置の長ピン軸6に設置される。
【0050】
続いて、
図7(c)を参照するに、係止部材12の上端部12aが長ピン軸6に向けて押し込まれることにより、略U字状の上端部12aの係合部12cが長ピン軸6に係合する。これにより、吊りテープ10を長ピン軸6の下端部に安定して係止させることができる。また、係止部材12の基体部は弾性を有するため、メンテナンス時にも係止部材12の着脱が容易であり、吊りテープ10の係止位置の調整が容易となる。尚、吊りテープ10の係止に係るその余分な端部が長くなるときは、係止部材12と長ピン軸6で連結するX字型連結部材5の端部との間に挟み込むことが可能である。
【0051】
(隙間閉塞装置の動作)
次に、本実施形態の隙間閉塞装置8の動作について説明する。
図8(a),(b)は、本発明による一実施形態の隙間閉塞装置8の動作について説明する図である。
【0052】
まず、
図8(a)を参照するに、カーテン材2が全開状態では、カーテン材2が固定框4側に畳み込まれ、X字型連結部材5の蝶番が拡がることで相対向する長ピン軸6の間の距離も拡がり、係止部材12により各長ピン軸6に係止された吊りテープ10が引張られ、密封材9が床面FLに対して上昇する。このとき、垂れ防止ループコード11は、密封材9に対する吊下支持の保持力は開放され、比較的自由度の有る態様で維持される。尚、
図8(a)において、本発明の理解を高めるために、密封材9を略線状に図示しているが、カーテン材2が畳み込まれる態様に沿って、蛇腹状に畳み込まれる。
【0053】
次に、
図8(b)を参照するに、カーテン材2を閉方向に引き出す際には、X字型連結部材5の蝶番が狭まることで相対向する長ピン軸6の間の距離も狭まり、各長ピン軸6に係止され引張られていた吊りテープ10が床面FLに向かって移動することにより密封材9が下降し、カーテン材2の全閉時には密封材9が床面FLと接触する。このとき、垂れ防止ループコード11は、密封材9に対する吊下支持の保持力を発揮し、カーテン材2の開閉方向に隣接する複数の吊りテープ10間で密封材9が下方に垂れ込むのを防止する。
【0054】
以上のように、本実施形態の隙間閉塞装置8によれば、部品点数を少なくするとともに低廉化を図った上で、カーテン材2の下辺と床面との間の隙間をカーテン材2の全閉状態時に閉塞することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態の隙間閉塞装置8によれば、カーテン材2の開閉に伴い、密封材9を上下させる構成としたため、カーテン材2の開閉に伴いカーテン材2及び密封材9の双方が床面と擦れることがなくなり、隙間閉塞装置8に関する管理負担及びランニングコストを減少させることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態の隙間閉塞装置8によれば、吊りテープ10について、弾性且つ可撓性の材料で構成したため、居住者の足元に対する安全面を確保することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態の隙間閉塞装置8によれば、吊りテープ10について、長ピン軸6に対し係止位置を変更可能とする複数の係止穴10aが設けられるため、間仕切り装置の装置幅の違いによる当該密封材9を吊下支持する際の位置調整を許容し容易にすることができる。
【0058】
また、本実施形態の隙間閉塞装置8によれば、略U字状の上端部12a及び筒状の下端部12bを有する弾性の係止部材12により、吊りテープ10を長ピン軸6に対し係止するよう構成したため、容易に吊りテープ10を係止できるようになる。
【0059】
また、本実施形態の隙間閉塞装置8によれば、カーテン材2の開閉方向に隣接する吊りテープ10間で、密封材9の上辺を吊下支持する吊下支持部材を設けるように構成したので、密封材9が下方に垂れ込むのを防止することができる。特に、本実施形態では、この吊下支持部材として、無端状とするべく末端を嵌合可能な垂れ防止ループコード11により密封材9の上辺における一側部から懸回させて吊下支持するように構成したため、カーテン材2が全開状態では当該吊下支持の保持力を開放し、カーテン材2が全閉状態では当該吊下支持の保持力を発揮させることができ、カーテン材2の開閉方向に伴う吊りテープ10による密封材9の上下方向の移動を安定化させることができる。
【0060】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、密封材9として、布製の部材を例示したが、上述した作用効果を発揮させるものであれば他の如何なる材料でもよい。
【0061】
また、上述の実施形態の説明では、吊りテープ10の係止穴10aについて2つの丸穴を例示して説明したが、上述した作用効果を発揮させるものであれば如何なる個数及び如何なる形状の穴でもよい。
【0062】
また、上述の実施形態の説明では、末端を嵌合し無端状の垂れ防止ループコード11により密封材9の上辺における一側部から懸回させて吊下支持するように構成する例を説明したが、これは好適例であり、密封材9が比較的硬質な材料である場合など、密封材9の垂れ防止を必要としない用途の場合には必ずしも必要とされない。一方で、密封材9の垂れ防止を発揮させる吊下支持部材とするために、作業性の増大が許容される場合には、例えば吊りテープ10よりも柔軟性の高い材料を用いて、短ピン軸7の下端部に取着する保持部材13と密封材9の上辺に対して、それぞれ末端を固着する1本のコードで形成することも可能である。
【0063】
また、上述の実施形態の説明では、短ピン軸7の下端部に取着する保持部材13について一部材により構成する例について説明したが、例えば短ピン軸7を挿通するケース部材と、そのケース部材を短ピン軸7の末端に固定する係止部材の2部材構成とするなど、上述した作用効果を発揮させるものであれば如何なる形態でもよい。