(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る換気システムの概略構成を示す図である。なお、本実施の形態に係る換気システムは、ガレージ12内の換気を行うものであり、
図1中の点線は情報線を示し、実線は電力線を示す。
【0020】
本実施の形態に係る換気システム10は、住宅内へ電力を供給する供給元を切替える切替開閉器14を備えている。
【0021】
切替開閉器14には、発電設備22が接続可能とされており、発電設備22によって発電された電力を住宅やガレージ12へ供給可能とされている。例えば、切替開閉器14は、ガレージ12内に設けられた給電コンセント34に接続され、ガレージ12内に設置した発電設備22を該給電コンセント34に接続することにより、発電した電力をガレージ12の外部に設置された切替開閉器14を介して住宅やガレージ12へ供給可能とされている。なお、本実施の形態では、発電設備22から切替開閉器14に電力が供給されているか否かを検出するための電力検出部24を備える。電力検出部24としては、例えば、電流センサを適用することができる。
【0022】
また、切替開閉器14には、分電盤16が接続されており、系統電源18からの電力が分電盤16を介して切替開閉器14に入力されるようになっている。
【0023】
また、切替開閉器14には、住宅内の照明30やコンセント32、ガレージ12内に設けた換気装置26、ガレージ12内の換気を制御する制御部20等が接続され、切替開閉器14を介して各部へ電力供給が行われる。
【0024】
すなわち、切替開閉器14は、住宅やガレージ12等へ電力を供給する供給元を、系統電源18又は発電設備22に切替えるようになっている。
【0025】
一方、ガレージ12には、電動開閉式のシャッタ28が設けられている。シャッタ28は、長尺の板状の各々回動可能な複数のスラット36を有している。各スラット36は、各々回動機構を有しており、
図1矢印で示すように回動可能とされている。すなわち、スラット36を回動させることによって、シャッタ28が閉状態であっても通気させることができる。なお、シャッタ28の開閉機構及びスラット36の回動機構としては周知の機構を適用可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0026】
シャッタ28は、シャッタ用モータ38によって駆動され開閉し、スラット36は、スラット用モータ40によって駆動され回動するようになっている。本実施の形態では、シャッタ28が閉鎖された状態でスラット36を回動することで、シャッタ28を開放しなくてもガレージ12内の空気の入れ換え(換気)が可能とされている。また、シャッタ用モータ38は、シャッタ28の開閉位置を検出する位置検出回路を備えており、スラット用モータ40は、スラット36の回動位置を検出する回動位置検出回路を備えている。それぞれの位置検出回路としては、例えば、ロータリーエンコーダ等を適用してモータの回転角度や回転数等を検出することができるが、他の位置検出手段を適用するようにしてもよい。また、本実施の形態では、シャッタ28の開閉と、スラット36の回動とを同時に行うことができないものとして説明するが、シャッタ28の開閉と、スラット36の回動とを同時に行うことが可能な構成としてもよい。
【0027】
さらに、ガレージ12には、換気装置26が設けられており、換気装置26によってもガレージ12内の換気が可能とされている。
【0028】
また、ガレージ12には、シャッタ28の開閉や、スラット36の回動、換気装置26の駆動等を指示するためのスイッチ42が設けられており、スイッチ42の操作によってシャッタ28の開閉や、スラット36の回動、換気装置26の駆動等が可能とされている。
【0029】
また、ガレージ12内には、ガレージ12内の室温を検出する室温センサ44が設けられ、ガレージ12の外には、外気温を検出する外気温センサ46が設けられている。
【0030】
本実施の形態では、ガレージ12の換気を制御するための制御部20が設けられており、制御部20によってシャッタ用モータ38、スラット用モータ40、及び換気装置26の各々の駆動制御が可能とされている。
【0031】
すなわち、制御部20には、シャッタ用モータ38、スラット用モータ40、及び換気装置26が接続されていると共に、電力検出部24、室温センサ44、及び外気温センサ46が接続されている。
【0032】
次に、本実施の形態に係る換気システム10の制御部20で行われるガレージ12の換気制御について説明する。
【0033】
本実施の形態では、系統電源18から電力が供給されている通常の状態では、スイッチ42を操作することにより、シャッタ28の開閉や、スラット36の回動、換気装置26の駆動等を行うことにより、ガレージ12の換気を行うことができる。
【0034】
上述したように、本実施の形態では、住宅やガレージ12へ供給する電力の供給元を系統電源18以外に発電設備22に切替えることができる。具体的には、切替開閉器14を切替えることにより、電力の供給元を系統電源18と発電設備22とに切替えることができる。切替開閉器14の切替は、本実施の形態では、手動操作で行うものとするが、制御部20の制御等によって切替えるようにしてもよい。
【0035】
ここで、切替開閉器14によって電力の供給元が系統電源18から発電設備22に切替えられた場合には、本実施の形態では、電力検出部24によって発電設備22が電力供給元であることを検出し、検出結果を制御部20へ出力するようになっている。
【0036】
制御部20では、電力供給元が系統電源18から発電設備22に切替えられたことが電力検出部24によって検出された際に換気装置26が作動している場合には、換気装置26を停止して節電するようになっている。
【0037】
そして、制御部20は、シャッタ28の開口面積が所定値以下であるか否かをシャッタ用モータ38に設けられたシャッタ28の位置検出回路に基づいて判定する。ここで、シャッタ28の開口面積が所定値以下の場合は、ガレージ内の温度と外気温との温度差により換気に必要な間隙面積を推定して、シャッタ28のスラット36を回動するようになっている。これにより内外の温度差により、スラット36間の間隙を介して換気される。
【0038】
また、換気に必要な温度差がない場合には、制御部20が換気装置26を必要最小限の回転速度で駆動するようになっている。
【0039】
続いて、上述のように構成された本実施の形態に係る換気システム10の制御部20で行われる具体的な処理例について説明する。
図2は、本実施の形態に係る換気システム10の制御部20で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【0040】
ステップ100では、発電設備22から給電があるか否か制御部20によって判定される。該判定は、電力検出部24によって発電設備22から切替開閉器14へ電力が供給されたことが検出されたか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ102へ移行し、否定された場合にはステップ104へ移行する。
【0041】
ステップ102では、換気制御処理が行われて一連の処理を終了し、ステップ100からの処理或いは他の処理が行われる。なお、換気制御処理の詳細については後述する。
【0042】
一方、ステップ104では、スイッチ42の操作がなされたか否か制御部20によって判定される。該判定は、シャッタ28の開閉、スラット36の回動、または換気装置26の駆動を指示するスイッチ42が操作されたか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ106へ移行し、否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
【0043】
ステップ106では、 操作されたスイッチ42が換気装置26であるかシャッタ28であるかが制御部20によって判定される。操作されたスイッチが換気装置26である場合にはステップ108へ移行し、シャッタ28である場合にはステップ114へ移行する。
【0044】
ステップ108では、操作されたスイッチ42が換気装置26の駆動指示であるか、停止指示であるか判定される。操作されたスイッチ42が換気装置26の駆動指示である場合にはステップ110へ移行し、操作されたスイッチ42が換気装置26の停止指示である場合にはステップ112へ移行する。
【0045】
ステップ110では、制御部20によって換気装置26が駆動されて一連の処理を終了し、ステップ100からの処理或いは他の処理が行われる。
【0046】
また、ステップ112では、制御部20によって換気装置26が停止されて一連の処理を終了し、ステップ100からの処理或いは他の処理が行われる。
【0047】
一方、ステップ114では、スイッチに応じたシャッタ動作が行われて一連の処理を終了し、ステップ100からの処理或いは他の処理が行われる。
【0048】
ここで、スイッチに応じたシャッタ動作は、
図3に示すフローチャートに示すように行われる。
図3は、本実施の形態に係る換気システム10の制御部20で行われるスイッチ42に応じたシャッタ動作の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0049】
すなわち、ステップ200では、シャッタ操作又はスラット操作が行われたか否かが制御部20によって判定される。操作されたスイッチ42がシャッタ28の操作である場合にはステップ202へ移行し、操作されたスイッチ42がスラット36の操作である場合にはステップ210へ移行する。
【0050】
ステップ202では、制御部20によってスラット用モータ40が制御されることにより、スラット36が閉鎖されてステップ204へ移行する。すなわち、本実施の形態では、シャッタ28の操作指示が行われた場合には、スラット36を閉鎖してから以下の処理でシャッタ28を動作させることで、スラット36の回動機構の破損等を防止している。なお、スラット36が閉状態の場合には当該ステップをスキップしてステップ204へ移行する。
【0051】
ステップ204では、シャッタ28を開ける指示であるか、または閉める指示であるか制御部20によって判定される。操作されたスイッチ42がシャッタ28を開ける指示である場合にはステップ206へ移行し、操作されたスイッチ42がシャッタ28を閉める指示である場合にはステップ208へ移行する。
【0052】
ステップ206では、制御部20によってシャッタ用モータ38が制御されることにより、シャッタ28が開けられてステップ210へ移行する。
【0053】
また、ステップ208では、制御部20によってシャッタ用モータ38が制御されることにより、シャッタ28が閉じられてステップ210へ移行する。
【0054】
なお、シャッタ用モータ38の開閉の双方向への駆動は、本実施の形態では、スイッチ42が操作されている間だけ行うものとして説明するが、スイッチ42が操作された場合にシャッタ28が全開又は全閉するまで駆動するようにしてもよい。
【0055】
ステップ210では、発電設備22から給電があるか否か制御部20によって判定される。該判定は、電力検出部24によって発電設備22から切替開閉器14へ電力が供給されたことが検出されたか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ102(詳細は後述)へ移行し、否定された場合にはステップ212へ移行する。
【0056】
ステップ212では、シャッタ28が全閉であるか否か制御部20によって判定される。該判定は、例えば、シャッタ用モータ38の位置検出回路に基づいて判定され、該判定が肯定された場合にはステップ214へ移行し、否定された場合にはスラット36の操作指示があってもそのまま一連の処理を終了する。すなわち、シャッタ28が全閉でない場合にはスラット36の回動が禁止され、スラット36の回動機構等の破損が防止される。
【0057】
ステップ214では、シャッタ28のスラット36を開放する指示又は閉鎖する指示が行われたか否か制御部20によって判定される。操作されたスイッチ42がスラット36を開放する指示の場合にはステップ216へ移行し、操作されたスイッチ42がスラット36を閉鎖する指示の場合にはステップ218へ移行する。
【0058】
ステップ216では、制御部20によってスラット用モータ40が制御されることにより、スラット36が開放する方向に回動されて一連の処理を終了する。
【0059】
また、ステップ218では、制御部20によってスラット用モータ40が制御されることにより、スラット36が閉鎖する方向に回動されて一連の処理を終了する。
【0060】
なお、スラット用モータ40の開閉の双方向への回動は、本実施の形態では、スイッチ42が操作されている間だけ行うものとして説明するが、スイッチ42が操作された場合にスラット36が予め定めた全開状態または全閉状態になるまで駆動するようにしてもよい。
【0061】
続いて、上述の換気制御処理について詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係る換気システム10の制御部20で行われる換気制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
電力検出部24によって発電設備22から切替開閉器14への給電が検出されると、まず、ステップ300では、制御部20によって換気装置26が制御されて、換気装置26の駆動が停止されてステップ302へ移行する。すなわち、発電設備22から電力供給がされた場合には換気装置26を停止することにより節電することができる。なお、換気装置26が駆動していない場合にはステップ300の処理はスキップしてステップ302へ移行する。
【0063】
ステップ302では、シャッタ28の開閉操作があるか否か制御部20によって判定される。該判定は、スイッチ42が操作されてシャッタ28の開放指示又は閉鎖指示が行われたか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ304へ移行し、否定された場合にはステップ310へ移行する。
【0064】
ステップ304では、シャッタ28を開ける指示であるか、または閉める指示であるか制御部20によって判定される。操作されたスイッチ42がシャッタ28を開ける指示である場合にはステップ306へ移行し、操作されたスイッチ42がシャッタ28を閉める指示である場合にはステップ308へ移行する。
【0065】
ステップ306では、制御部20によってシャッタ用モータ38が制御されることにより、シャッタ28が開けられてステップ310へ移行する。
【0066】
また、ステップ308では、制御部20によってシャッタ用モータ38が制御されることにより、シャッタ28が閉じられてステップ310へ移行する。
【0067】
ステップ310では、シャッタ28の開口面積が一定以上であるか否か制御部20によって判定される。すなわち、ガレージ12内を換気するのに十分な開口面積であるか否かを制御部20が判定し、該判定が肯定された場合にはそのまま一連の処理を終了し、判定が否定された場合にはステップ312へ移行する。
【0068】
ステップ312では、室温センサ44及び外気温センサ46の検出結果を取得することにより、温度情報が制御部20によって取得されてステップ314へ移行する。
【0069】
ステップ314では、ガレージ内外の温度差が制御部20によって算出されてステップ316へ移行する。すなわち、取得した室温センサ44の検出結果と外気温センサ46の検出結果の差分を算出することにより、ガレージ内外の温度差が算出される。
【0070】
ステップ316では、温度差が所定値以上か否か制御部20によって判定される。該判定は、がーレジ内外の温度差によって換気が可能な予め定めた温度差があるか否かを判定し、該判定が、否定された場合にはステップ318へ移行し、肯定された場合にはステップ320へ移行する。
【0071】
ステップ318では、換気装置26が制御部20によって駆動されて一連の処理を終了する。これによって、温度差による換気が不可能な場合でも換気が可能となり、安全性を担保することができる。なお、制御部20は、換気装置26を駆動する際には、換気するのに必要な最小限の回転数で換気装置26が駆動するように制御することで節電を図るようにしてもよい。
【0072】
一方、ステップ320では、算出した温度差より、換気に必要な間隙面積が制御部20によって推定されてステップ322へ移行して、推定した間隙面積になるようにスラット36を回動するように制御部20がスラット用モータ40の駆動を制御する。なお、本実施の形態では、スラット36を回動させる際には、シャッタ28を全閉状態にしてから回動させるものとする。また、本実施の形態では、ステップ322において推定した間隙面積になるようにスラット36を回動させる例を示すが、スラット36ではなく、シャッタ28の開閉を制御するようにしてもよい。シャッタ28の開閉を制御することにより、回動可能なスラット36を備えていないシャッタ28を適用することが可能となる。この場合には、スラット36を全閉にしてからシャッタ28を動作せることにより、スラット36の回動機構等の破損を防止することができる。
【0073】
ここで、上述の算出した温度差より、換気に必要な間隙面積を推定する方法について詳細に説明する。
図5(A)は気密性能と内外温度差による自然換気回数(回/h)を示す表であり、
図5(B)は(A)の表を表すグラフであり、
図5(C)は一酸化炭素濃度の経時変化の一例を示すグラフである。
【0074】
ここで、ガレージ12の大きさを約3m×5m×3m、自動車容積を約902m
3(ガレージ12の室内空気量は35.8m
3)と想定したとき、相当間隙面積が16.5cm
2/m
2のとき、
図5(B)の通り内外温度差が5K程度であれば概ね0.2回/h程度の自然換気量(=7.2m
3/h)を確保することができることが分かる。この場合、
図5(C)に示すように、上記程度の自然換気量であれば、一酸化炭素濃度が一定値以上上がらないことが分かる。
【0075】
よって、上記の通り自然換気0.2回/hを確保していれば、一酸化炭素濃度が一定値以上上がらないので、
図5(B)、(C)の通り、例えば、温度差5Kの場合には間隙面積16.5cm
2/m
2、温度差10Kの場合には間隙面積7.0cm
2/m
2を最低限確保するように、シャッタ28のスラット36の角度(又はシャッタ28の開閉)を制御する。これによって、換気装置26のように電力を常に消費することなく、排気ガスをガレージ12の外へ排出して換気する換気することができる。
【0076】
なお、上記の実施の形態では、スイッチ42の操作によってシャッタ28を動作させる場合には、スラット36が閉状態の場合にシャッタ28の動作を許可し、スイッチ42の操作によってスラット36を回動させる場合には、シャッタ28が全閉の場合にスラット36の回動を許可する構成として説明したが、これに限るものではない、スラット36が開状態でシャッタ28を動作可能な構成であれば、ステップ202やステップ212は省略するようにしてもよい。
【0077】
また、上記の実施の形態では、電力検出部24によって発電設備22から切替開閉器14への電力供給が検出された場合に、ステップ102の換気制御処理を行うようにしたが、換気制御処理を行うトリガーはこれに限るものではなく、例えば、エンジン始動を検出するためのセンサを備えて、エンジンが始動された場合に、換気制御処理を実行するようにしてもよい。或いは、他の予め定めた条件が成立した場合に換気制御処理を行うようにしてもよい。
【0078】
また、上記の実施の形態における制御部20で行われる各処理は、ハードウエアで行う処理としてもよいし、ソフトウエアで行う処理としてもよい。ソフトウエアで行う処理とした場合には、各処理を実行するためのプログラムを各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。