【実施例1】
【0024】
本発明に係る樹脂封止装置の実施例1において使用される材料収容枠1について、
図1〜
図3を参照して説明する。本出願書類におけるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0025】
図1に示される、樹脂封止装置が有する材料収容枠1は、上下に開口を有する貫通孔2と、貫通孔2の周囲に形成された周縁部3と、周縁部3の下面に設けられた吸着溝4と、周縁部3の下面側に取り付けられ内側に向かって突出する張り出し部材5と、周縁部3の内側面に沿って昇降する昇降部材6とを備える。材料搬送機構7は、材料収容枠1を保持して移動させる搬送機構である。材料搬送機構7は、X−Yテーブル8の上方に材料収容枠1を移動させる。X−Yテーブル8の上には離型フィルム9が被覆される。離型フィルム9の上には、例えば、材料収容枠1に収容される板状部材である放熱板(ヒートシンク)10が載置される。
【0026】
材料収容枠1において、昇降部材6は逆L字状の形状に形成され、水平方向に沿って伸びる凸部6aと鉛直方向に沿って伸びる凸部6bとを有する。昇降部材6は自重によって落下し、昇降部材6の凸部6aの下面が張り出し部材5の上面と接触することによって、停止する。周縁部3の下面側に取り付けられた張り出し部材5は、昇降部材6が自重によって落下することを止めるストッパの役割を果たす。昇降部材6が停止した状態で、昇降部材6の凸部6bの下面は、周縁部3の下面から所定の距離dだけ下方に位置する。供給する樹脂量や離型フィルムの硬さなどに応じて、所定の距離dは0.5mm〜2mm程度に設定される。
【0027】
張り出し部材5は、水平方向において、対向する張り出し部材5の間の距離Lを調整することができるように設けられる。張り出し部材5は、周縁部3の内側面に少なくとも2個以上取り付けられる。これらの張り出し部材5の先端の位置を放熱板10の外周の位置に対応させる。具体的には、張り出し部材5の先端の位置を、放熱板10において寸法精度を考慮した最大の外周の位置から微小な間隙を隔てた位置にする。加えて、張り出し部材5の下面の近傍における内側面を、下面に近いほど外側に向かって(周縁部3に向かって)退くテーパ面にすることが好ましい。これらのことによって、張り出し部材5の内側に配置される放熱板10の位置決めをすることができる。張り出し部材5の形状は、貫通孔2の下方の開口に沿う環状であってもよい。
【0028】
周縁部3は、例えば、アルミニウムなどの加工しやすい金属で形成される。昇降部材6は、凸部6bの底面の磨耗が進まないようにステンレス鋼やクロム鋼などの耐摩耗性を有する金属材料やセラミックス材料などによって形成されることが好ましい。張り出し部材5も、上面や側面の磨耗が進まないようにステンレス鋼やクロム鋼などの耐摩耗性を有する金属材料やセラミックス材料などによって形成されることが好ましい。また、周縁部3の下面側に合成ゴムを埋め込み、合成ゴムに吸着溝4を形成するようにしてもよい。合成ゴムを埋め込むことによって、周縁部3の下面の密着性を向上させることができる。合成ゴムとしては、耐熱性を有するシリコーンゴムやフッ素ゴムなどを使用することが好ましい。
【0029】
図1(a)に示されるように、材料搬送機構7は、材料収容枠1を横方向から挟んで保持する保持部7aと、保持部7aに接続され昇降することができる保持部7bとを有する。後述するように、材料搬送機構7に設けられた保持部7aと保持部7bとによって、周縁部3の下面に吸着された離型フィルムの周縁部を上下から挟んで保持することができる。材料搬送機構7によって材料収容枠1を移動させる時には、昇降部材6の凸部6aの下面が張り出し部5の上面に接触して、昇降部材6は停止している。
【0030】
図1(a)〜(d)を参照して、材料収容枠1を使用して、例えば、放熱板10と樹脂材料11とを収容する動作について説明する。
図1(a)に示されるように、まず、X−Yテーブル8の上に離型フィルム供給機構(図示なし)から供給される長尺状の離型フィルム9を、しわやたるみが発生しないようにして被覆する。離型フィルム9としては、張力が印加されるようにある程度の硬さを有する離型フィルム9を使用することが好ましい。離型フィルム9を被覆した後に、吸着機構(図示なし)によってX−Yテーブル8の上に離型フィルム9を吸着する。吸着した離型フィルム9の必要な部分のみを残して離型フィルム9をカットする。
図1(a)においては、X−Yテーブル8よりやや大きめに離型フィルム9をカットしている。
【0031】
次に、離型フィルム9の上の所定位置に放熱板10を載置する。放熱板10としては、例えば、銅やアルミニウムなどの熱伝導度が高い材料が用いられる。次に、材料搬送機構7を使用して、材料収容枠1をX−Yテーブル8の上方に移動させて停止させる。材料収容枠1を移動させている間と停止させた状態とにおいては、昇降部材6の凸部6aの下面が張り出し部材5の上面に接触して、昇降部材6が停止した状態になっている。昇降部材6の凸部6bの下面は周縁部3の下面から所定の距離dだけ下がっている。
【0032】
次に、
図1(b)に示されるように、材料収容枠1を下降させて、X−Yテーブル8上に吸着されている離型フィルム9の上に載置する。この過程においては、周縁部3の下面から所定の距離dだけ下がっている昇降部材6の凸部6bの下面が、まず放熱板10の上面に接触する。更に、材料収容枠1を下降させることによって、X−Yテーブル8(放熱板10)からの反作用を受けて、昇降部材6が周縁部3の内側面に沿って持ち上げられる。更に、材料収容枠1を下降させて、周縁部3の下面を離型フィルム9に接触させる。この状態で、昇降部材6は、周縁部3の下面、すなわち、離型フィルム9の上面から所定の距離dだけ持ち上げられる。昇降部材6の下面が放熱板10の上面に接触し、周縁部3の下面が離型フィルム9に接触することによって、材料収容枠1がX−Yテーブル8の上に載置される。
【0033】
材料収容枠1がX−Yテーブル8の上に載置された状態で、材料収容枠1に取り付けられた張り出し部材5の内側に、放熱板10が配置される。前述したように、張り出し部材5は、周縁部3の内側面に少なくとも2個以上取り付けられる。これらの張り出し部材5の先端の位置を放熱板10の外周の位置に対応させることによって、張り出し部材5の内側に配置される放熱板10を位置決めすることができる。したがって、材料搬送機構7を使用して放熱板10を搬送する過程においては、張り出し部材5によって放熱板10が水平方向に動かないようにすることができる。
【0034】
材料収容枠1がX−Yテーブル8の上に載置された状態で、材料収容枠1と離型フィルム9と放熱板10とによって貫通孔2の下方の開口が閉鎖される。このことにより、材料収容枠1と離型フィルム9と放熱板10とが一体化して、貫通孔2が樹脂材料を収容する樹脂材料収容部2Aとして機能する。具体的には、放熱板10の上において、昇降部材6によって囲まれた空間のことを樹脂材料収容部2Aと呼ぶ。
【0035】
次に、
図1(c)に示されるように、樹脂材料投入機構(図示なし)から樹脂材料収容部2Aに所定量の樹脂材料11を投入する。樹脂材料11としては、顆粒状、粉状、粒状、ペースト状の樹脂、又は、常温で液状の樹脂(液状樹脂)などを使用することができる。液状樹脂を使用する場合には、ディスペンサによって樹脂材料収容部2Aに液状樹脂を吐出する。本実施例においては、樹脂材料11として顆粒状の樹脂(顆粒樹脂)を使用する場合について説明する。
【0036】
次に、
図1(d)に示されるように、X−Yテーブル8による離型フィルム9に対する吸着を解除する。その後に、材料収容枠1に設けられた吸着溝4を使用して離型フィルム9を吸引することによって、離型フィルム9を周縁部3の下面に吸着する。この状態で、材料収容枠1と離型フィルム9と放熱板10と樹脂材料11とが一体化する。このように、材料収容枠1と離型フィルム9とが一体化された構成要素が、材料供給機構1Aとして機能する。
【0037】
次に、材料搬送機構7を使用して、材料供給機構1Aと材料供給機構1Aに収容された放熱板10と樹脂材料11とを一括して保持する。材料搬送機構7は、保持部7aによって材料収容枠1を横方向から挟んで保持する。更に、材料搬送機構7に設けられた保持部7bを上昇させ、保持部7aと保持部7bとによって離型フィルム9の周縁部を挟んで保持する。材料搬送機構7を使用して、離型フィルム9に対して外方向に向かって働く張力を印加することができる。
【0038】
次に、材料搬送機構7によって、材料供給機構1AをX−Yテーブル8から持ち上げる。材料供給機構1Aを持ち上げることによって、昇降部材6と放熱板10と樹脂材料11とが自重により落下しようとする。昇降部材6と放熱板10と樹脂材料11とが落下することを防ぐために、材料搬送機構7によって離型フィルム9に対して外方向に向かって働く張力を印加する。材料搬送機構7が、ある程度の硬さを有する離型フィルム9に張力を印加することによって、昇降部材6と放熱板10と樹脂材料11とが落下しないようにして、離型フィルム9の上に保持することができる。したがって、離型フィルム9の上において、放熱板10が張り出し部材5の内側に配置された状態で位置がずれることなく、放熱板10と樹脂材料11とを一括して搬送することができる。
【0039】
放熱板10が軽く、樹脂材料11が少量である場合には、吸着孔4を使用して離型フィルム9を吸着することのみによって、昇降部材6と放熱板10と樹脂材料11とが落下しないようにして、離型フィルム9の上に保持することができる。この場合には、昇降部材6と放熱板10と樹脂材料11とがそれらの自重によって、周縁部3の下面に吸着された離型フィルム9を下方に向かって押す。このことによって、離型フィルム9に張力が印加される。
【0040】
樹脂材料11は、放熱板10の上において、昇降部材6によって囲まれた空間、すなわち樹脂材料収容部2Aに収容された状態のままで搬送される。このことによって、樹脂材料11が、樹脂材料収容部2Aから外側(周縁部3)に向かって動くことを、昇降部材6によって遮断できる。言い換えれば、昇降部材6の下面と放熱板10とが密着した状態で、材料収容枠1の下面と離型フィルム9の上面との間に樹脂材料11が入り込むことを、防止できる。したがって、材料収容枠1の下面に樹脂材料11が付着することなく、材料搬送機構7によって、放熱板10と樹脂材料収容部2Aに収容された樹脂材料11とを安定した状態で搬送することができる。
【0041】
図2を参照して、キャビティ13の構成及びキャビティ13に放熱板10と樹脂材料11とを供給する動作について説明する。
図2(a)に示されるように、下型12には樹脂材料11と放熱板10と離型フィルム9とが供給されるキャビティ13が設けられる。キャビティ13は、樹脂材料収容部2Aよりやや大きく形成される。具体的には、昇降部材6の凸部6bがキャビティ13内に挿入されるような大きさにキャビティ13が形成されていることが好ましい。言い換えれば、キャビティ13内に昇降部材6の凸部6bが挿入されるように材料収容枠1を形成する。したがって、キャビティ13と放熱板10とがほぼ同じ大きさに形成される。
【0042】
図2(a)に示されるように、材料搬送機構7を使用して材料供給機構1Aを下型12の所定位置の上まで移動させて停止させる。材料搬送機構7が保持している離型フィルム9に対して外方向に働く張力を印加しているので、昇降部材6と放熱板10と樹脂材料11とは落下しない。したがって、放熱板10は張り出し部材5の内側において離型フィルム9の上に配置された状態を維持する。次に、材料供給機構1Aを下降させて、下型12の型面に載置する。この状態においては、離型フィルム9と放熱板10と樹脂材料11とは、まだキャビティ13内には供給されていない。
【0043】
次に、
図2(b)に示されるように、材料供給機構1Aを下型12の型面に載置した後に、周縁部3の吸着溝4による離型フィルム10に対する吸着を解除する。材料供給機構1Aを下型12の型面に載置することによって、材料供給機構1Aは、下型12に内蔵されているヒーター(図示なし)から熱を受ける。離型フィルム9は、熱を受けることによって軟化して伸びる。離型フィルム9が軟化した状態で、キャビティ13と下型12とに設けられた吸着孔(図示なし)に離型フィルム9を吸着する。このことによって、離型フィルム9が、しわやたるみが発生することなくキャビティ13の形状に対応するように吸着される。
【0044】
離型フィルム9がキャビティ13に吸着されることによって、昇降部材6が落下すると共に放熱板10と樹脂材料11とがキャビティ13内に供給される。離型フィルム9と放熱板10と樹脂材料11とが一括してキャビティ13内に供給されるので、放熱板10を確実にキャビティ13内に供給することができる。放熱板10はキャビティ13とほぼ同じ大きさに形成されているので、キャビティ13内に供給された後にはほとんど動かない。樹脂材料11は、昇降部材6と共にキャビティ13内に供給されるので、樹脂材料収容部2Aから外部に飛散しない。したがって、放熱板10と所定量の樹脂材料11とを安定してキャビティ13に供給することができる。
【0045】
次に、
図2(c)に示されるように、離型フィルム9と放熱板10と樹脂材料11とを一括してキャビティ13に供給した後に、材料搬送機構7によって材料収容枠1を下型12から持ち上げる。離型フィルム9と放熱板10と樹脂材料11とがキャビティ13に供給されているので、材料収容枠1のみが材料搬送機構7によって保持される。この状態では、昇降部材6の凸部6bの下面は周縁部3の下面から所定の距離dだけ下がっている。このようにして、材料供給機構1Aから離型フィルム9と放熱板10と樹脂材料11とを安定してキャビティ13に供給することができる。
【0046】
図3を参照して、樹脂封止装置における成形型の構成例及び樹脂封止する動作について説明する。
図3(a)に示されるように、樹脂封止装置においては、下型12に相対向して上型14が設けられる。上型14と下型12とは成形型を構成する。下型12には、キャビティ13内で加熱されて溶融した溶融樹脂11Aを押圧するためのキャビティ底面部材15が設けられる。上型14にはチップ16が装着された封止前基板17が吸着又はクランプによって固定される。上型14の型面と下型12の型面との間には、型締めする時にキャビティ13を外気から遮断するためのシール部材18が設けられる。
【0047】
まず、
図3(a)に示されるように、型開きした状態において、基板供給機構(図示なし)によって封止前基板17を上型14の所定位置に搬送し、上型14に固定する。材料搬送機構7(
図2参照)によって材料供給機構1Aを下型12の所定位置に搬送し、樹脂材料11と放熱板10と離型フィルム9とを一括して下型12に設けられたキャビティ13に供給する。下型12に供給された樹脂材料11を加熱して溶融樹脂11Aを生成する。
【0048】
次に、
図3(b)に示されるように、型締め機構(図示なし)によって上型14と下型12とを型締めする。型締めすることによって、封止前基板17に装着されたチップ16をキャビティ13内で溶融樹脂11Aに浸漬させる。駆動機構(図示なし)によって、キャビティ底面部材15を上動させて溶融樹脂11Aを加圧する。引き続き、溶融樹脂11Aを加熱することによって硬化樹脂19を形成する。この状態で、封止前基板17に装着されたチップ16は硬化樹脂19によって樹脂封止される。硬化樹脂19の表面(封止前基板17とは反対側の面)には放熱板10が露出した状態で固着される。樹脂封止が終了した後に、上型14と下型12とを型開きする。型開きした後に、表面に放熱板10が固着された封止済基板を取り出す。
【0049】
なお、上型14と下型12と型締めする過程において、真空引き機構(図示なし)を使用して、外気から遮断されたキャビティ13内を吸引して減圧することが好ましい。このことによって、キャビティ13内に残留する空気や溶融樹脂11A中に含まれる気泡などが成形型の外部に排出される。
【0050】
本実施例によれば、材料収容枠1において、周縁部3の下面側に内側に向かって突出する張り出し部材5と周縁部3に沿って昇降する昇降部材6とを設ける。昇降部材6は自重によって落下し、張り出し部材5に接触して停止する。材料収容枠1と離型フィルム9とを一体化して材料供給機構1Aを構成する。材料搬送機構7が材料供給機構1Aを持ち上げても、昇降部材6や放熱板10が落下しないように、材料搬送機構7によって離型フィルム9に対して張力を印加する。加えて、張り出し部材5の先端の位置が放熱板10の外周の位置に対応して定められる。離型フィルム9に対して張力を印加することによって、昇降部材6や放熱板10が落下することなく、張り出し部材5の内側において離型フィルム9の上に放熱板10が配置された状態を維持できる。したがって、放熱板10の位置がずれることなく、放熱板10を安定して搬送することができる。
【0051】
また、放熱板10の位置がずれないので、樹脂材料収容部2Aにおいて、放熱板10の上に樹脂材料11が収容された状態のままで搬送することができる。樹脂材料11が、樹脂材料収容部2Aから外側(周縁部3)に向かって動くことを、昇降部材6によって遮断することができる。昇降部材6の下面と放熱板10とが密着した状態で、材料収容枠1の下面と離型フィルム9の上面との間に樹脂材料11が入り込むことを、防止できる。したがって、材料収容枠1の下面に樹脂材料11が付着することなく、材料搬送機構7によって、樹脂材料収容部2Aに収容された樹脂材料11を安定して搬送することができる。
【0052】
また、材料収容枠1の下面と離型フィルム9の上面との間に、樹脂材料11が入り込むことを防止できるので、樹脂材料11が材料収容枠1の下面に付着することがなくなる。したがって、材料収容枠1の下面に付着した樹脂材料11が、加熱され溶融した後に硬化して硬化物として固着することもなくなる。硬化物が形成されないので、例えば、ブラシなどを使用して材料収容枠1のクリーニングを自動的に行うことが容易になる。したがって、メンテナンスに要する時間を削減することができるので、樹脂封止装置における作業性や生産性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施例によれば、材料搬送機構7によって、樹脂材料収容部2Aに投入された樹脂材料11と放熱板10と離型フィルム9とを、昇降部材6の下面と放熱板10とが密着した状態で一括してキャビティ13内に供給する。離型フィルム9と放熱板10と樹脂材料11とを一括してキャビティ13に供給するので、放熱板10を確実にキャビティ13内に供給することができる。また、樹脂材料11が樹脂材料収容部2Aから外部に飛散することを防止できる。したがって、放熱板10と所定量の樹脂材料11とを安定してキャビティ13に供給することができるので、製品の品質を向上させることができる。
【0054】
また、本実施例によれば、材料収容枠1に設けられた張り出し部材5によって、昇降部材6の落下を停止させる。したがって、昇降部材6の動きを制御する制御機構などを設ける必要がなく、非常に簡単な構成で樹脂材料収容部2Aを形成することができる。したがって、材料供給機構1Aを簡単な構成にすることができるとともに、樹脂封止装置の構成も簡単にして費用を安くすることができる。
【実施例2】
【0055】
図4を参照して、本発明に係る樹脂封止装置の実施例2を説明する。
図4に示される樹脂封止装置20は、基板供給・収納モジュール21と、3つの成形モジュール22A、22B、22Cと、材料供給モジュール23とを、それぞれ構成要素として備える。構成要素である基板供給・収納モジュール21と、成形モジュール22A、22B、22Cと、材料供給モジュール23とは、それぞれ他の構成要素に対して、互いに着脱されることができ、かつ、交換されることができる。例えば、基板供給・収納モジュール21と成形モジュール22Aとが装着された状態において、成形モジュール22Aに成形モジュール22Bが装着され、成形モジュール22Bに材料供給モジュール23が装着されることができる。
【0056】
基板供給・収納モジュール21には、封止前基板17を供給する封止前基板供給部24と、封止済基板25を収納する封止済基板収納部26と、封止前基板17及び封止済基板25を受け渡しする基板載置部27と、封止前基板17及び封止済基板25を搬送する基板搬送機構28とが設けられる。基板載置部27は、基板供給・収納モジュール21内において、Y方向に移動する。基板搬送機構28は、基板供給・収納モジュール21及びそれぞれの成形モジュール22A、22B、22C内において、X方向及びY方向に移動する。所定位置S1は、基板搬送機構28が動作しない状態において待機する位置である。
【0057】
各成形モジュール22A、22B、22Cには、昇降可能な下型12と、下型12に相対向して配置された上型14(
図3参照)とが設けられる。各成形モジュール22A、22B、22Cは、上型14と下型12とを型締め及び型開きする型締め機構29(二点鎖線で示す円形の部分)を有する。離型フィルム9と放熱板10と樹脂材料11とが供給されるキャビティ13が下型12に設けられる。下型12と上型14とは、相対的に移動して型締め及び型開きできればよい。
【0058】
材料供給モジュール23には、X−Yテーブル8と、X−Yテーブル8上に離型フィルム9(
図1参照)を供給する離型フィルム供給機構30と、材料収容枠1をクリーニングするクリーニング機構31と、材料収容枠1及び材料供給機構1Aを搬送する材料搬送機構7と、樹脂材料収容部2A(
図1参照)に樹脂材料11を投入する樹脂材料投入機構32と、放熱板10(
図1参照)を供給する放熱板供給機構33とが設けられる。X−Yテーブル8は、材料供給モジュール23内においてX方向及びY方向に移動する。材料搬送機構7は、材料供給モジュール23及びそれぞれの成形モジュール22A、22B、22C内において、X方向及びY方向に移動する。所定位置M1は、材料搬送機構7が動作しない状態において待機する位置である。
【0059】
図4を参照して、樹脂封止装置20を用いて樹脂封止する動作について説明する。まず、基板供給・収納モジュール21において、封止前基板供給部24から基板載置部27に封止前基板17を送り出す。次に、基板搬送機構28を所定位置S1から−Y方向に移動させて基板載置部27から封止前基板17を受け取る。基板搬送機構28を所定位置S1に戻す。次に、例えば、成形モジュール22Bの所定位置P1まで+X方向に基板搬送機構28を移動させる。次に、成形モジュール22Bにおいて、基板搬送機構28を−Y方向に移動させて下型12上の所定位置C1に停止させる。次に、基板搬送機構28を上動させて封止前基板17を上型14(
図3参照)に固定する。基板搬送機構28を基板供給・収納モジュール21の所定位置S1まで戻す。
【0060】
次に、材料供給モジュール23において、離型フィルム供給機構30からX−Yテーブル8に供給された離型フィルム9を所定の大きさにカットする。次に、放熱板供給機構33から放熱板10を搬送して、X−Yテーブル8上に被覆された離型フィルム9の上に載置する。次に、材料搬送機構7を所定位置M1から−Y方向に移動させて、クリーニング機構31によって内側面をクリーニングされた材料収容枠1を受け取る。次に、材料搬送機構7を−Y方向に移動させる。X−Yテーブル8において、離型フィルム9の上に載置された放熱板10が材料収容枠1に設けられた張り出し部材5(
図1参照)の内側に配置するように材料収容枠1を離型フィルム9の上に載置する。材料搬送機構7を所定位置M1に戻す。次に、X−Yテーブル8を+X方向に移動させて、樹脂材料収容部2Aを樹脂材料投入機構32の下方の所定位置に停止させる。次に、X−Yテーブル8をX方向及びY方向に移動させることによって、樹脂材料投入機構32から樹脂材料収容部2Aに所定量の樹脂材料11を供給する。X−Yテーブル8を元の位置に戻す。
【0061】
次に、材料搬送機構7を所定位置M1から−Y方向に移動させて、X−Yテーブル8上に載置されている材料供給機構1A(
図1参照)を受け取る。材料搬送機構7を所定位置M1に戻す。次に、材料搬送機構7を成形モジュール22Bの所定位置P1まで−X方向に移動させる。次に、成形モジュール22Bにおいて、材料搬送機構7を−Y方向に移動させて下型12上の所定位置C1に停止させる。次に、材料搬送機構7を下降させて、樹脂材料11と放熱板10と離型フィルム9とをキャビティ13に供給する。材料搬送機構7を所定位置M1まで戻す。
【0062】
次に、成形モジュール22Bにおいて、型締め機構29によって下型12を上動させ、上型14(
図3参照)と下型12とを型締めする。所定時間が経過した後、上型14と下型12とを型開きする。次に、基板供給・収納モジュール21の所定位置S1から下型12上の所定位置C1に基板搬送機構28を移動させて、硬化樹脂19(
図3参照)からなる封止樹脂の表面に放熱板10が固着された封止済基板25を受け取る。次に、基板搬送機構28を移動させ、基板載置部27に封止済基板25を受け渡す。基板載置部27から封止済基板収納部26に封止済基板25を収納する。このようにして、樹脂封止が完了する。
【0063】
本実施例においては、基板供給・収納モジュール21と材料供給モジュール23との間に、3個の成形モジュール22A、22B、22CをX方向に並べて装着した。基板供給・収納モジュール21と材料供給モジュール23とを1つのモジュールにして、そのモジュールに1個の成形モジュール22AをX方向に並べて装着してもよい。これにより、成形モジュール22A、22B、・・・を増減することができる。したがって、生産形態や生産量に対応して、樹脂成形装置20の構成を最適にすることができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0064】
また、本実施例においては、放熱板10を供給する放熱板供給機構33を材料供給モジュール23内に設けた。これに限らず、放熱板10を供給する放熱板供給機構33を、材料供給モジュール23内でなく、新たに放熱板供給モジュールとして設けることができる。この場合には、放熱板供給モジュールが、成形モジュール22Cと材料供給モジュール23との間に装着される。放熱板供給モジュールは、成形モジュール22Cと材料供給モジュール23とから分離されることもできる。このようにすれば、従来の装置に放熱板供給モジュールを追加するだけで樹脂封止装置20を構成することができる。
【0065】
なお、各実施例においては、半導体チップを樹脂封止する際に使用される樹脂封止装置及び樹脂封止方法を説明した。樹脂封止する対象はIC、トランジスタなどの半導体チップでもよく、受動素子のチップでもよい。リードフレーム、プリント基板、セラミックス基板などの基板に装着された1個又は複数個のチップを硬化樹脂によって樹脂封止する際に本発明を適用することができる。したがって、マルチチップパッケージ、マルチチップモジュール、ハイブリッドICなどを製造する際にも本発明を適用することができる。
【0066】
各実施例においては、半導体チップが発する熱を放出して冷却するための放熱板(ヒートシンク)を、半導体チップとともに一括して樹脂封止する場合を示した。これに限らず、半導体チップが発する電磁波を遮断するための、または、外部から飛来する電磁波による悪影響を抑制するための電磁遮蔽板(シールド板)を一括して樹脂封止することもできる。この場合には、板状部材として金属板、導電性樹脂板などを使用できる。
【0067】
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。