(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手部材を囲繞するカバー部材に設けられ、前記長手部材を外部に設けられた部材に固定するための固定部材を貫通させる矩形状の切欠き部を補強する切欠き補強部材であって、
前記切欠き部の一方側端部に固定され、第1開口を有する第1部材と、
前記切欠き部の他方側端部に固定され、前記第1開口とともに、前記固定部材を貫通させる第2開口を有し、前記第1部材と係合する係合部を有する第2部材とを含む、切欠き補強部材。
前記第2部材の係合部が前記第1部材と係合することにより、前記第1部材および前記第2部材が動きを抑制される方向は、前記一方側嵌合部と前記他方側端部との嵌合を取り外し可能な方向である、請求項3に記載の切欠き補強部材。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る切欠き補強部材が、配管カバーの切欠きに設けられた状態の概略斜視図である。なお、ここでは理解の容易のために、配管および配管カバーを同一の面(図中上側の面)で切断して示してある。
図1を参照して、この実施の形態に係る切欠き補強部材10は、配管Pを囲繞する配管カバー200の図中破線で示す矩形状の切欠き240の周方向における両端部に取り付けられ、切欠き240の全体を覆い隠すように設けられる。すなわち、図示するように、配管カバー200を径方向の外側から見たとき、切欠き240が見えない状態で切欠き補強部材10が設けられる。
【0017】
この配管カバー200は、雄型カバー部材201および雌型カバー部材211により構成される。雄型カバー部材201および雌型カバー部材211の双方は、円筒を長手方向に沿って半分に切断した形状である。雄型カバー部材201は、周方向の両端部において、径方向の内側に向かって突出し、長手方向に延在する雄型嵌合部203a,203bを有する。また、雌型カバー部材211は、周方向の両端部において、雄型嵌合部203a,203bと各々嵌合するためのU字形状を有し、長手方向に延在する雌型嵌合部213a,213bを有する。このような構造の雄型カバー部材201と雌型カバー部材211が互いに嵌合することにより、配管カバー200は、配管Pを囲繞可能な円筒形状となる。
【0018】
上記したように、配管カバー200には矩形状の切欠き240が設けられる。この切欠き240は、雄型嵌合部203と雌型嵌合部213とに亘って、鋸などを用いて手作業で切欠くことにより設けられる。なお、この切欠き240は、配管Pを壁面などの設置対象物から間隔を空けた状態で固定できるよう、設置対象物から突出して取り付けられる固定部材Fを貫通させるために設けられる。この固定部材Fを図中に一点鎖線で示す。
【0019】
しかしながら、このような切欠き240は、雄型嵌合部203および雌型嵌合部213の一部を切欠いて設けられるため、雄型嵌合部203と雌型嵌合部213の嵌合強度が低下してしまうという問題が生じる。また、鋸などを用いて手作業で設けられるため、所望の寸法よりも大きくなり過ぎたり、端部が波打ったりするなどの外観不良が生じ易い。
【0020】
そこで、切欠き240に対して、雄型部材20(第1部材)と、雌型部材30(第2部材)とから構成される切欠き補強部材10を設けることにより、上記した問題を解消する。図示するように、固定部材Fはこの切欠き補強部材10の開口40、および切欠き240を貫通する。
【0021】
図2は、
図1で示した雄型部材20を、配管カバー200における長手方向の中央付近で切断した断面図である。また、
図3は、
図2のIII−III矢視図、すなわち雄型部材20の平面図である。
図1〜
図3を参照して、雄型部材20は、配管カバー200の外面の周方向に沿って延在し、曲率を有する外面周方向部材21と、配管カバー200の内面の周方向に沿って延在し、外面周方向部材21と同一の曲率を有する内面周方向部材27と、外面周方向部材21と内面周方向部材27とを接続する接続部28と、外面周方向部材21の、配管カバー200における長手方向の両端部に設けられ、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向(カバー部材の外方向)に延在する雄型部22a,22b(第1外方向部材)とを含む。
【0022】
外面周方向部材21、内面周方向部材27、および接続部28の間には、外面周方部材21および内面周方向部材27に平行して長手の溝25が形成される。
図1に示した雄型カバー部材201の切欠き204の周方向端部に対して、この溝25を挿入する。こうすることにより、切欠き204の周方向端部に対して、容易に雄型部材20を固定することが可能となる。また、
図3で示すように、外面周方向部材21には、雄型部22a,22bの間において、配管カバー200における長手方向に延在する開口29が設けられる。雄型部材20は上記した構成を有することにより、
図3で示すように、配管カバー200における径方向の外側から見たときコの字形状である。
【0023】
図4は、
図1で示した雌型部材30を、配管カバー200における長手方向の中央付近で切断した断面図である。また、
図5は、
図4のV−V矢視図、すなわち雌型部材30の平面図である。
図1〜
図5を参照して、雌型部材30は、配管カバー200の外面の周方向に沿って延在し、曲率を有する外面周方向部材31と、配管カバー200の内面の周方向に沿って延在し、外面周方向部材31と同一の曲率を有する内面周方向部材37と、外面周方向部材31と内面周方向部材37とを接続する接続部38と、外面周方向部材31の、配管カバー200における長手方向の両端部に設けられ、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向(カバー部材の外方向)に延在する雌型部32a,32b(第2外方向部材)とを含む。雌型部32a,32bは、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向の端部において、上記した雄型部22a,22bと係合するためのU字形状を有する。
【0024】
外面周方向部材31、内面周方向部材37、接続部38の間には、外面周方部材31および内面周方向部材37に平行して長手の溝35が形成される。
図1で示した雌型カバー部材211の切欠き214の周方向端部に対して、この溝35を挿入する。こうすることにより、切欠き214の周方向端部に対して、容易に雌型部材30を固定することができる。また、
図5で示すように、外面周方向部材31には、雌型部32a,32bの間において、配管カバー200における長手方向に延在する開口39が設けられる。雌型部材30は上記した構成を有することにより、
図5で示すように、配管カバー200における径方向の外側から見たときコの字形状である。
【0025】
次に、
図6〜
図8を用いて、配管カバー200に対して、この実施の形態に係る切欠き補強部材10を取り付ける方法について説明する。
図6は、この実施の形態に係る切欠き補強部材10を構成する雄型部材20と雌型部材30が互いに係合される前の状態を示す、
図1における切欠き補強部材10周辺の斜視図である。なお、この
図6、さらには後に説明する
図7〜
図9、
図12、
図13では、理解の容易のために、配管カバー200に設けられる切欠き204,214,240の長手方向の両端部は、径方向の外側から見て、切欠き補強部材10,60,130に隠れていない状態を示している。このような状態で切欠き補強部材10,60,130を設けてもよいが、
図1で示したように、切欠き補強部材10,60,130により隠れた状態で設けることが好ましい。
【0026】
図1〜
図6を参照して、まず、雄型カバー部材201の切欠き204の周方向端部に対して、雄型部材20の溝25を挿入するとともに、雌型カバー部材211の切欠き214の周方向端部に対して、雌型部材30の溝35を挿入する。
【0027】
こうすることにより、切欠き204の周方向端部に対して、雄型部材20を容易に固定できるともに、切欠き214の周方向端部に対して、雌型部材30を容易に固定できる。
【0028】
なお、雄型部材20および雌型部材30は、柔軟性を有する樹脂などで形成されることが好ましい。さらに、溝25,35の大きさは、切欠き204の周方向端部、切欠き214の周方向端部に対して若干小さくすることが好ましい。こうすることにより、切欠き204の周方向端部、切欠き214の周方向端部に対して、雄型部材20、雌型部材30をより強固に固定することができる。
【0029】
次に、雄型カバー部材201と雌型カバー部材211を、図中白抜き矢印で示す方向、すなわち互いに近づく方向に動かし、雄型嵌合部203a,203bと雌型嵌合部213a,213bの各々を嵌合させる。このとき、
図1で示した配管Pを囲繞するように、且つ固定部材Fが、切欠き204および切欠き214、並びに開口29および開口39を貫通するようにして嵌合させる。なお、見た目の煩雑さを避けるため、
図6、さらには
図7〜9において、固定部材Fの図示を省略してある。
【0030】
最後に、雄型部材20の備える雄型部22a,22bを、雌型部材30の備える雌型部32a,32bに係合させる。
図7は、このときの状態を示す斜視図である。このように、雄型部22a,22bを雌型部32a,32bに係合させると、雄型部22a,22bは、配管カバー200における周方向において、雌型部32a,32bのU字形状により完全に包囲される。したがって、雄型カバー部材201と雌型カバー部材211が周方向において離れる方向に動くことを阻害できる。
【0031】
さらに、雄型部22a,22bの、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向の端部は、雌型部32a,32bのU字形状により完全に包囲される。その結果、雄型部22a,22bと雌型部32a,32bとが係合することにより、雄型部22a,22bは、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向への動きを抑制される。また、雌型部32a,32bは、配管カバー200における径方向の内側に向かう方向への動きを抑制される。
【0032】
ここで、雄型嵌合部203aと雌型嵌合部213aとの嵌合を取り外す場合は、まず、雄型カバー部材201を径方向の外側に向かって変形させることにより、雄型嵌合部203aを図中手前側、すなわち配管カバー200における径方向の外側に向かう方向に動かすか、あるいは、雌型カバー部材211を径方向の内側に向かって変形させることにより、雌型嵌合部204aを図中奥側、すなわち配管カバー200における径方向の内側に向かう方向に動かす必要がある。
【0033】
すなわち、上記したように、雄型部22a,22bの、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向の端部が、雌型部32a,32bのU字形状により完全に包囲されることにより、雄型嵌合部203aと雌型嵌合部213aとの嵌合の取り外しを阻害することができる。つまりは、雄型部材20と雌型部材30との係合により、雄型部材20および雌型部材30が動きを抑制される方向は、雄型嵌合部203aと雌型嵌合部213aとの嵌合を取り外し可能な方向である。その結果、切欠き240を設けて雄型嵌合部203aと雌型嵌合部213aとの嵌合強度が低下してしまうという問題を解消できる。
【0034】
すなわち、雄型嵌合部203aおよび雌型嵌合部213aの一部を切欠いて切欠き240を設けることにより、雄型嵌合部203aと雌型嵌合部213aの嵌合強度が低下してしまうという問題を解消できる。なお、雄型部材20および雌型部材30を、柔軟性を有する樹脂などで形成することにより、容易に雄型部22a,22bを雌型部32a,32bに係合させることができる。
【0035】
図8は、
図7のVIII−VIII矢視図、すなわち配管カバー200の切欠き240に取り付けられた状態の切欠き補強部材10の平面図である。
図1〜
図8を参照して、切欠き補強部材10の開口40は、配管カバー200の径方向の外側から見て、配管カバー200の切欠き240に内包された状態となる。すなわち、切欠き240と開口40とが連なった貫通孔が形成される。この貫通孔を
図1で示した固定部材Fが貫通する。
【0036】
上記したように、切欠き補強部材10を、配管カバー200の切欠き240に取り付けることにより、配管カバー200の径方向の外側から見て、切欠き240の周方向の両端部が見えなくなる。すなわち、鋸などを用いて手作業で設けられることにより、端部が波打つなどした切欠き240の外観不良を解消できる。
【0037】
次に、
図9〜
図11を用いて、この発明の他の実施の形態に係る切欠き補強部材について説明する。なお、雄型部22a,22bおよび雌型部32a,32bを除いて、
図1〜
図8を用いて説明した切欠き補強部材10と同様の構成であるため、同一の部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は省略する。
【0038】
図9は、この実施の形態に係る切欠き補強部材60を構成する雄型部材70と雌型部材80が互いに係合される前の状態を示す、先の実施の形態における
図6に対応する切欠き補強部材60周辺の斜視図である。
【0039】
図9を参照して、この実施の形態に係る切欠き補強部材60を構成する雄型部材70および雌型部材80は、配管カバー200における長手方向にスライドさせることにより互いに係合する雄型部72a,72bおよび雌型部82a,82bを有する。
【0040】
図10は、この実施の形態に係る雄型部材70を、配管カバー200における長手方向の中央付近で切断した断面図であり、先の実施の形態における
図2に対応する図である。
図9および
図10を参照して、雄型部72bは、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向に延在し、さらにこの延在した端部において、配管カバー200における周方向であって雌型部材30に向かう方向に延在する逆L字型の形状である。なお、もう一方の雄型部72aについても同様である。
【0041】
図11は、この実施の形態に係る雌型部材80を、配管カバー200における長手方向の中央付近で切断した断面図であり、先の実施の形態における
図4に対応する図である。
図9〜
図11を参照して、雌型部材80の雌型部82bは、配管カバー200における周方向において、外面周方向部材31につながる下部周方向部材84bと、その上方に、下部周方向部材84bとほぼ平行に設けられた上部周方向部材83bとを含む。下部周方向部材84bと上部周方向部材83bとの間に形成される溝85bに沿って雄型部72bは長手方向に移動可能である。なお、もう一方の雌型部82aについても同様である。
【0042】
雄型部材70と雌型部材80とを相対的に長手方向にスライドさせて、雄型部72aと雌型部82aとを係合させるとともに、雄型部72bと雌型部82bとを係合させることにより、雄型部材70と雌型部材80とが互いに配管カバー200における径方向に移動しないように固定できる。なお、雄型部72の長手方向における位置決めのために、溝85の長手方向のいずれか一方側の端部にストッパを設けてもよい。
【0043】
ここで、
図1で示したように、雄型嵌合部203a,203bと雌型嵌合部213a,213bの嵌合を外すには、まず、雄型カバー部材201および/または雌型カバー部材211に対して外力を加え、径方向において形状を変形させる、すなわち、径方向において互いに離す方向に動かす必要がある。
【0044】
上記したように、この実施の形態に係る切欠き補強部材60は、雄型部材70と雌型部材80とが、配管カバー200における径方向に移動しないよう固定される。すなわち、雄型カバー部材201と雌型カバー部材211が径方向において互いに離れる方向に動くことを阻害できる。つまりは、雄型部材70と雌型部材80との係合により、雄型部材70および雌型部材80が動きを抑制される方向は、雄型嵌合部203aと雌型嵌合部213aとの嵌合を取り外し可能な方向である。その結果、切欠き240を設けて雄型嵌合部203aと雌型嵌合部213aとの嵌合強度が低下してしまうという問題を解消できる。
【0045】
なお、雄型部72および雌型部82の形状は上記したものに限らず、雄型部材70と雌型部材80との係合を取り外す方向が、雄型嵌合部203と雌型嵌合部213との嵌合を取り外す方向と異なる態様となるその他の形状であってもよい。
【0046】
この実施の形態に係る切欠き補強部材130は、雄型嵌合部203a,203bと雌型嵌合部213a,213bの各々を嵌合させた後、雄型部材20および雌型部材30の各
々を
図9中に矢印で示す方向にスライドさせて互いに係合させることにより、配管カバー200に対して取り付け完了となる。
【0047】
なお、
図1〜
図8または
図9〜
図11を用いて説明した実施の形態では、雄型部22は配管カバー200における径方向の外側に向かう方向に延在する形状またはL型の形状であり、雌型部32は、このような雄型部22に係合する形状である場合について説明したが、これに限らず、雄型部22と雌型部32が互いに係合できる形状であれば、その他の形状であってもよい。
【0048】
なお、
図1〜
図8および
図9〜
図11を用いて説明した実施の形態では、雄型部材20,70が雄型部22,72を有し、雌型部材30,80が雄型部22,72と係合する雌型部32,82を有する場合について説明した。しかしながら、これに限らず、切欠き補強部材を構成する第1部材と第2部材との各々が、雄型部および雌型部の両方を備えるようにし、第1部材の雄型部と第2部材の雌型部が係合するとともに、第2部材の雌型部と第1部材の雄型部が係合するように構成してもよい。
【0049】
たとえば、再び
図3の雄型部材20の平面図を参照して説明すると、雄型部22a,22bの図中下側半分ほどを雄型部とし、上側半分ほどを雌型部とする部材2つから構成される切欠き補強部材であってもよい。すなわち、1つの外方向部材の各々が雄型部22および雌型部32の両方を有する構成とする。このように切欠き補強部材を構成した場合の効果について、
図1を用いて説明する。
【0050】
再び
図1を参照して、上記したように、雄型嵌合部203aと雌型嵌合部213aとの嵌合を取り外す場合は、まず、雄型カバー部材201を径方向の外側に向かって変形させることにより雄型嵌合部203aを図中手前側に動かすか、あるいは、雌型カバー部材211を径方向の内側に向かって変形させることにより雌型嵌合部204aを図中奥側に動かす必要がある。
【0051】
ここで、
図1〜
図8を用いて説明した実施の形態の雄型部材20を雄型カバー部材201の切欠きに取り付けるとともに、雌型部材30を雌型カバー部材211の切欠きに取り付けて雄型部22と雌型部32を互いに係合させることにより、上記した雄型カバー部材201を径方向の外側に向かって変形させること、すなわち径方向の外側に向かって動かすこと、および雌型カバー部材211を径方向の内側に向かって変形させること、すなわち径方向の内側に向かって動かすことを阻害できる。その結果、切欠き240を設けることによる雄型カバー部材201と雌型カバー部材211の嵌合強度の低下を防止できる。
【0052】
しかしながら、作業者が誤って、雄型部材20を雌型カバー部材211の切欠きに取り付けるとともに、雌型部材30を雄型カバー部材201の切欠きに取り付けてしまった場合を考える。この場合において、雄型部22と雌型部32を係合させても、上記した雄型カバー部材201および雌型カバー部材211の変形を阻害できない。すなわち、切欠き240を設けることによる雄型カバー部材201と雌型カバー部材211の嵌合強度の低下を防止できない。
【0053】
そこで、上記したように、1つの外方向部材の各々が雄型部22および雌型部32の両方を有する構成とする。こうすることにより、第1部材および第2部材を、雄型カバー部材201の切欠き、雌型カバー部材211の切欠きのどちらに取り付けたとしても雄型カバー部材201と雌型カバー部材211の嵌合強度の低下を防止できる。
【0054】
次に、
図12〜
図15を用いて、この発明のさらに他の実施の形態に係る切欠き補強部材について説明する。なお、
図1〜
図8および
図9〜
図11を用いて説明した実施の形態と同一の部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は省略する。
図12は、この実施の形態に係る切欠き補強部材130を構成する一方側部材170と他方側部材180が互いに係合される前の状態を示す、先の実施の形態における
図6および
図9に対応する切欠き補強部材130周辺の斜視図である。また、
図13は、一方側部材170と他方側部材180が互いに係合された状態を示す、先の実施の形態における
図7に対応した図である。
【0055】
図12および
図13を参照して、この実施の形態に係る切欠き補強部材130は、開口140を有する。この開口140は、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向(カバー部材の外方向)に立ち上がる開口壁141の配管カバーにおける径方向の内側に形成されるものである。そして、配管カバー200における径方向の外側から見て、開口壁141の、配管カバー200における径方向の内側の、配管カバー200における長手方向の両端部には、固定部材Fを挟持するための挟持部材210が設けられる。この実施の形態に係る切欠き補強部材130は、このような挟持部材210で固定部材Fを挟持することにより、配管カバー200のぐら付きを抑制することができる。
【0056】
この実施の形態に係る切欠き補強部材130は、一方側部材170および他方側部材180により構成される。一方側部材170は、配管カバー200における長手方向の両端部において設けられ、配管カバー200の径方向の外側に向かう方向(カバー部材の外方向)に延在する外方向部材172a,172bを有する。なお、一方側部材170と他方側部材180の形状はと同じであるため、ここでは他方側部材180の説明を省略する。
【0057】
この実施の形態では、雄型カバー部材201と雌型カバー部材211を、
図13中に白抜き矢印で示す方向、すなわち互いに近づく方向に動かして嵌合させた状態において、一方側部材170の外方向部材172と他方側部材180の外方向部材182が当接し、各々の有するボルト孔173,183が連通する。この連通したボルト孔173,183にボルト190a,190bが通され、ナット191a,191bと螺合されることにより、一方側部材170および他方側部材180が係合される。なお、この実施の形態では、切欠き補強部材130を構成する一方側部材170および他方側部材180は、鉄などの剛性を有する物質で形成されることが好ましい。
【0058】
そして、この状態のとき
図13で示すように、開口140の、配管カバー240における径方向の内側において設けられる挟持部材210により、固定部材Fが挟持される。こうすることにより、配管カバー200のぐら付きを抑制することができる。
【0059】
図14は、この実施の形態に係る一方側部材170を、配管カバー200における長手方向の中央付近で切断した断面図であり、先の実施の形態における
図2および
図10に対応する図である。また、
図15は、
図14のXV−XV矢視図、すなわち一方側部材170の平面図である。
図12〜
図15を参照して、この実施の形態に係る切欠き補強部材130は、配管カバー200における長手方向の両端部に、外面周方向部材171a,171bが設けられる。一方側部材170の外方向部材172bは、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向に延在し、延在した先端部の近傍にボルト孔173bを有する。なお、もう一方の外方向部材172aについても同様である。
【0060】
また、外方向部材172a,172bの、配管カバー200における長手方向の間において、内面周方向部材177が設けられる。内面周方向部材177は、配管カバー200における径方向の内側に向かって延在する接続部178の下端部に接続される。
【0061】
すなわち、外面周方向部材171a,171bと、内面周方向部材177とは、配管カバー200における長手方向において重ならず一列に並んだ状態であり、且つ配管カバー200における長手方向の一方側から見ると、配管カバー200の周方向に延在し、外面周方向部材171および内面周方向部材177と平行な溝175が形成される。
【0062】
切欠き204の周方向の端部に対して、この溝175を挿入することにより、一方側部材170を固定することができる。また、一方側部材170の外方向部材172a,172bの間には、開口179が設けられる。この開口179は、外方向部材172a,172bの間において、配管カバー200における径方向の外側に向かう方向(カバー部材の外方向)に立ち上がる開口壁141を設けることにより形成されるものである。
【0063】
そして、開口140の、配管カバー240における径方向の内側において、固定部材Fを挟持するための一方側挟持部材220が設けられる。一方側挟持部材220は、開口壁176の近傍から、他方側部材180に向かう方向、且つ配管カバー220における長手方向に向かって延在し、配管カバー220における周方向の外側に撓むことができるように湾曲した形状である。この一方側部材170の一方側挟持部材220と、図示しない他方側部材180の他方側挟持部材230とにより、固定部材Fを挟持する。なお、
図15で示すように、一方側挟持部材220(および他方側挟持部材230)は、外方向部材172(または他方側挟持部材182)と一体的に形成されてもよい。
【0064】
なお、この実施の形態に限らず、開口140の周囲を、弾性を有するゴムなどで構成することにより、切欠き補強部材10により固定部材Fを挟み込んでもよい。
【0065】
なお、上記した実施の形態では、各々が、雄型カバー部材201および雌型カバー部材211を両端部に有する半円筒状の2分割された部材により配管カバー200が構成される場合について説明したが、これに限らず、その他の構成であってもよい。たとえば、一枚の板状であって、長手方向に延在し、相互に嵌合可能な1つの嵌合部を有する構成であってもよい。
【0066】
なお、上記した実施の形態では、配管カバー200が円筒形状である場合について説明したが、これに限らず、たとえば、中空の直方体形状などの配管Pを囲繞できる形状であれば、その他の形状であってもよい。
【0067】
なお、上記した実施の形態では、切欠き補強部材10は、配管Pを囲繞する配管カバー200の雄型嵌合部203および雌型嵌合部213の切欠き240に設けられる場合について説明したが、これに限らず、嵌合部以外の切欠きに設けられてもよい。
【0068】
なお、上記した実施の形態では、切欠き204,214の周方向端部に対して、溝25,35または175,185を各々挿入することにより、雄型部材20,70、雌型部材30,80または一方側部材170、他方側部材180を固定する場合について説明したが、これに限らず、その他の方法で固定されてもよい。
【0069】
なお、上記した実施の形態では、雄型部材20を第1部材、雌型部材30を第2部材として説明したが、これに限らず、雄型部材20を第2部材、雌型部材30を第1部材としてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、切欠き補強部材10の寸法などについて特に規定しなかったが、通常の固定部材Fの寸法に合わせたものから、異なる複数の切欠き240の寸法に合わせることができるように寸法の異なる開口40を有する複数の切欠き補強部材10をセットにしてもよい。
【0071】
次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。
図16は、この実施の形態における切欠き補強部材50を示す図である。これまでの実施の形態においては、切欠き補強部材は、それぞれが異なる形状を有する雄型部材と雌型部材、または、同一形状であればボルトのような別部材を用いるように構成されていたが、この実施の形態においては、開口を挟む長手方向において非対称の同一の補強部材を2つ組み合わせて切欠き補強部材を構成する。
【0072】
図16(A)は同一の補強部材50aおよび50bを組み合わせて切欠き補強部材を構成したときの、両者を接続する前の平面図であり、
図16(B)は
図16(A)において矢印で示す方向に移動して両者を接続した状態を示す平面図である。
図16(C)は
図16(A)において、矢印XVIC-XVICで示す部分の矢視図であり、
図16(D)は両者を接続した状態を示す
図16(C)に対応する図であり、
図16(E)は
図16(A)において、矢印XVIE-XVIEで示す部分の矢視図であり、
図16(F)は
図16(A)において、矢印XVIF-XVIFで示す部分の矢視図であり、
図16(G)は
図16(B)において、矢印XVIG-XVIGで示す部分の矢視図である。
【0073】
ここでは、理解の容易のために、配管カバー等については図示を省略している。
【0074】
図16(A)、
図16(C)、
図16(E)および
図16(F)を参照して、この実施の形態に係る補強部材50は、先の実施の形態と同様に、外面周方向部材51、内面周方向部材57、および、両者を接続する接続部58を有し、その間には、外面周方部材51および内面周方向部材57に平行な長手の溝55が形成される。なお、図では外面周方向部材51より内面周方向部材57の方が長くなっているが、これは等しくてもよい。
【0075】
この実施の形態においては、補強部材50の長手方向(図において上下方向)の両端部の形状が、相互に係合可能な形状となっている点で、他の実施の形態と異なっている。
【0076】
図16(A)に示すように、補強部材50(ここでは、右側の補強部材50aについて説明する)は平面的に見て「コ」の字状であり、中央部に開口59を有する。この開口59を挟んで補強部材50の一方端側(図中下側)端部には外面周方向部材51に連続して同一厚さでその内側(係合する他方の補強部材50bが設けられる側、図中左側)に第1内側部材52が設けられ、第1内側部材52の内側端部には上方向に突出する突起部52aが設けられている。この突起部52aは三角形状で内側がなだらかで、外側が鋭角に立ち上がって両者が鋭角に交わっているのが好ましい(
図16(C)参照)。
【0077】
また、第1内側部材52の開口59側に間隔をあけて、第1内側部材52よりも幅が狭く、その内側への突出量がほぼ同じ第2内側部材53が設けられている。この第2内側部材53には開口59に沿って上方向に突出した、平面視でL字状の壁56が設けられている。
【0078】
開口59を挟んで補強部材50の他方端側には外面周方向部材51に連続して同一厚さでその内側(図中左側)に第3内側部材54が設けられる。第3内側部材54は、外面周方向部材51からまず斜め上方向に、その後外面周方向部材51と同様の曲率で延在する。この第3内側部材54の端部には下部へ突出する突起部54aが設けられる。この突起部54aは三角形状で外側が斜め下方向に、内側が鋭角に立ち下がって両者が鋭角に交わっているのが好ましい(
図16(C)参照)。
【0079】
また、この開口59側に間隔をあけて、第3内側部材54よりも幅が狭く、その内側への突出量が少ない第4内側部材62が設けられている。第4内側部材62は外面周方向部材51と同様の曲率で延在する。この第4内側部材62には開口59に沿って上方向に突出し、平面視でL字状の壁61が設けられている。ここで、L字状の壁61と56との高さは同じであるが、壁61の内側への突出量は壁56の突出量の約半分である(
図16(F)参照)。
【0080】
また、
図16(A)〜(G)に示すように、第3内側部材54が第1内側部材52の上端部を覆い、かつ、第3内側部材54の下方への突起部54aが第1内側部材52の上方への突起部52aと係合し、第2内側部材53が第4内側部材62の上部に重なるようにそれぞれの高さおよび形状が設定されている。
【0081】
これによって、
図16(B)に示すように両補強部材50a,50bが係合した時は、手前から、第1内側部材52が第3内側部材54の上に、第4内側部材62が第2内側部材53の上に、開口59を挟んで第4内側部材62が第2内側部材53の上に、第1内側部材52が第3内側部材54の上にというように、順に上から抑える側が異なるため、両者の上下方向(
図16(B)において、図面に垂直な方向)への分離を防ぐことができる。
【0082】
また、高さ方向においては、
図16(C)や
図16(E)に示すように、第2内側部材53の高さと、第3内側部材54の高さとがほぼ同じ高さに設定されているため、補強部材50aと50bとを組み合わせた後は、これらが
図16(B)において長手方向(
図16(B)において白抜き矢印で示す方向)で当接するため、これらが長手方向に移動することはない。
【0083】
さらに、補強部材50a,50bがそれぞれ、係合方向に対向する方向の壁56と61とを有するため、両者を係合させる場合にこれらの壁56,61相互に引き寄せるのが容易になる。
【0084】
なお、この実施の形態においては、開口を挟む長手方向において相互に係合可能な非対称の係合部を有する同一の補強部材を2つ組み合わせて切欠き補強部材を構成したが、この実施の形態以外の実施の形態においても、開口を挟む長手方向において相互に係合可能な非対称の係合部として、雄型部材と雌型部材とを設けるようにし、同一形状の補強部材を2つ組み合わせた補強部材としてもよい。
【0085】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示する実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。