特許第6298749号(P6298749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298749
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】持続型トナー粒子及び現像剤
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/087 20060101AFI20180312BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20180312BHJP
   C08G 63/78 20060101ALI20180312BHJP
   C08G 63/54 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G03G9/08 331
   G03G9/08 381
   G03G9/08 311
   G03G9/08 365
   C08G63/78
   C08G63/54
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-200601(P2014-200601)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-81349(P2015-81349A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2017年9月28日
(31)【優先権主張番号】14/059,807
(32)【優先日】2013年10月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲリノ・ジー・サクリパンテ
(72)【発明者】
【氏名】ケ・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ピー・エヌ・ヴェアジン
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ジー・ザルツ
(72)【発明者】
【氏名】クォン・ボン
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−064059(JP,A)
【文献】 特開2013−064965(JP,A)
【文献】 特開2012−208191(JP,A)
【文献】 特開2011−180463(JP,A)
【文献】 特開2012−229413(JP,A)
【文献】 特開2013−134496(JP,A)
【文献】 特開平01−201675(JP,A)
【文献】 特開2013−092694(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0197668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジンジオール、2−エチル−2−ブチル1,3プロパンジオールおよびテレフタル酸の反応生成物を含むポリエステルポリマーを含有し、前記ロジンジオールがロジン酸とグリセリンカーボネートとの反応生成物である、持続型トナー粒子。
【請求項2】
シェルを有する、請求項1に記載の持続型トナー粒子。
【請求項3】
請求項1に記載の持続型トナー粒子を含む現像剤。
【請求項4】
キャリア粒子を有する、請求項3に記載の現像剤。
【請求項5】
前記ポリエステルポリマーの45質量%から75質量%までの含有量で生物由来の材料を含む、請求項1に記載の持続型トナー粒子。
【請求項6】
非晶質樹脂、結晶性樹脂、着色剤、ワックスまたはそれらの組合せを更に含む、請求項1に記載の持続型トナー粒子。
【請求項7】
0.955から0.975の円形度を含む、請求項1に記載の持続型トナー粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
持続型の材料または試薬、例えば、生物由来の材料を含むトナー;前記トナーを含む現像剤;前記トナーおよび現像剤を含む装置;前記トナーおよび現像剤を含む画像化装置の部品;前記現像剤を含む画像化装置;等が記載される。
【背景技術】
【0002】
近年、USDAは、全てのトナー/インクが、少なくとも20%の生物由来の含有量を有することを提唱してきた。再生可能または生分解性の試薬および材料、例えば、植物由来/動物由来のもの、または、急速に生分解されるものが、近年のトナー試薬の代替品として研究されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複雑性を低下させる1ポットプロセス、より低コストでの材料および処理時間により製造されたトナーに使用され得る生物由来の樹脂が記載される。ベンチマーク・ゼログラフィー性能を可能にする、持続型エマルジョン凝集(EA)トナーのプロセスが記載される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、生物由来のロジン酸、環状アルキレンカーボネート、芳香族カルボン酸およびポリオール由来のポリエステルを含み、任意のワックスおよび任意の着色剤を含む持続型トナー樹脂を記載する。
【0005】
トナー樹脂は、ロジン酸、環状アルキレンカーボネート、芳香族カルボン酸およびポリオールの反応生成物を含むことが開示される。前記芳香族カルボン酸および前記ポリオールは、少なくとも2つの官能基を含む。前記トナー樹脂は、少なくとも約70%の持続性含有量を含む。
【0006】
トナー粒子は、ロジン酸、環状アルキレンカーボネート、芳香族カルボン酸、ポリオール、任意の非晶質樹脂および任意の結晶質樹脂の反応生成物を含むことが開示される。
【0007】
1つの反応器内で持続型ポリエステルポリマーを製造するための方法は、ロジン酸と環状アルキレングリコールとの間での反応生成物から、ロジンジオールを調製する工程;前記ロジンジオールを、2−エチル−2−ブチル 1,3プロパンジオールおよびテレフタル酸と、前記反応器内で反応させて、前記持続型ポリエステルポリマーを形成する工程;ならびに、前記持続型ポリエステルポリマーを回収する工程を含む。ついで、そのポリマーは、持続型トナーを製造するのに使用される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される量および条件等を表わす全ての数は、全ての状況において、「約」の用語により修飾されているものと理解されるべきである。「約」は、記載された値から10%以下の変量を示すことを意味する。本願明細書で使用される、「同等(equivalent)」「同様(similar)」、「本質的に(essentially)」、「実質的に(substantially)」、「おおよそ(approximating)」および「整合(matching)」の用語またはそれらの文法上のバリエーションも、一般的に許容され得る定義を有するか、または、少なくとも「約」と同じ意味を有すると理解される。
【0009】
本願明細書で使用するとき、「生物由来」は、生物学的生成物もしくは再生可能な農業材料(例えば、植物、動物および海洋の材料)、林業材料または他の天然の供給源の全部または実質的な部分(例えば、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも90重量%)に構成される、(食品または飼料以外の)商業的または工業的な製品を意味する。生分解性試薬は、100%生物由来である。前記試薬または製品は、生分解性のものである。すなわち、前記製品は、自然過程により、例えば、微生物により、数日、数か月または場合により1年もしくは2年、ただし、長すぎない年数、例えば、約5年以内を含む期間にわたって分解され得る。トナー粒子に使用可能であり得る生物由来の試薬は、例えば、Sigma−Aldrich, St. Louis, MOから入手できる。例えば、ロジン酸は、例えば、Arakawa Chemical, Osaka, JPから入手できる不均衡化ロジン酸、または、Harima Chemicals, Duluth, GAから入手できるロジン−フマル酸付加物を使用されてもよい。
【0010】
本願明細書で使用するとき、「持続性」またはその文法上のバリエーションは、生物由来であり、および/または、先の他の目的の製品から再利用され、トナーに使用するためにリサイクルされた、トナーにおける成分の量、割合、含有量または他の測定値を意味する。例えば、樹脂を製造するのに使用される75%の生物由来の試薬、例えば、ポリオールまたはポリ酸/ポリエステルを含む樹脂は、植物の供給源から取得され、そのトナーは、75%の持続性含有量を有するであろう。所望のトナーは、少なくとも約70%の持続型含有量、少なくとも約80%の持続型含有量、少なくとも約90%の持続型含有量、少なくとも約95%以上を含む。一般的には、トナーの持続性レベルの計算は、表面添加剤およびキャリアを除いた、トナー粒子自体に対してなされる。したがって、エマルジョン/凝集トナーの文脈において、前記計算は、任意の凝集および融着後のトナー粒子に基づくであろう。持続型の樹脂またはポリマーは、少なくとも約50%の持続型含有量、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%以上の持続型含有量を含む。
【0011】
本願明細書で使用するとき、「ロジン」または「ロジン生成物」は、ロジン、ロジン酸、ロジンエステル等ならびに、例えば、複数のアルコール基を含むように処理がされたロジンであるロジン誘導体を包含することを意図する。当該分野において公知のように、ロジンは、少なくとも8つのモノカルボン酸のブレンドである。アビエチン酸が主要な化学種であることができ、他の7つの酸は、その異性体である。ロジンの組成物であるために、多くの場合、「ロジン酸」の同義語が、種々のロジン由来の生成物を説明するのに使用される。当該分野において公知のように、ロジン生成物は、化学的に改質されたロジン、例えば、部分的または完全に水素化されたロジン酸、部分的または完全に二量体化されたロジン酸、エステル化されたロジン酸、官能化されたロジン酸またはそれらの組み合わせを含む。ロジン酸、ロジンエステルおよび二量体化ロジンは、Eastman Chemicals;Arizona Chemicals;およびArakawa−USAから入手できる。
【0012】
任意の多官能性モノマーが、トナー粒子に望ましい具体的なポリマーに応じて使用されてもよい。したがって、二官能性試薬、三官能性試薬等が使用され得る。少なくとも3つの官能基を含む1つ以上の試薬が、ポリマー内に組み込まれてもよいし、または、分岐、さらなる分岐および/もしくは架橋を可能にする分岐に組み込まれてもよい。
【0013】
1つ、2つまたはそれ以上のポリマーが、トナーまたはトナー粒子を形成するのに使用されてもよい。2つ以上のポリマーが使用される場合、前記ポリマーは、任意の適切な比(例えば、重量比)、例えば、2種類のポリマーに関して、約1パーセント(第1のポリマー)/99パーセント(第2のポリマー)から約99パーセント(第1のポリマー)/1パーセント(第2のポリマー)等でもよい。
【0014】
前記ポリマーは、固形物規準におけるトナー粒子の約65から約95重量%の量で存在してもよい。ポリマーは、約5から約70重量%、約7から約60重量%、約10から約50重量%の生物由来の樹脂を含んでもよい。トナーは、約25重量%から約90重量%、約35重量%から約88重量%、約45重量%から約85重量%の生物由来の材料を含んでもよい。
【0015】
ロジンは、一般的には、針葉樹および他の植物由来であり、有機酸、例えば、アビエチン酸および関連化合物ならびにそれらの異性体、例えば、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、ピマル酸、レボ−ピマル酸、イソピマル酸、デヒドロアビエチン酸またはジヒドロアビエチン酸、サンダラコピマル酸等を含む。
【0016】
ロジン酸の他の具体的な公知の供給源は、ウッドロジンである。
【0017】
本開示のロジン酸混合物は、不均衡化ロジン酸を形成するために、前記混合物と触媒、例えば、パラジウム活性炭触媒との脱水素反応により、例えば、約70から約85重量パーセントのデヒドロアビエチン酸含有量にも変換され得る。この場合、前記アビエチン酸含有量および他のロジン酸は、芳香族デヒドロアビエチン酸に変換される。前記デヒドロアビエチン酸量は、前記ロジン酸混合物の固形物の約40から約90重量パーセントである。
【0018】
さらに、ロジン酸混合物は、得られたロジン酸の酸化および退色の欠点の克服または最小化をするために、アビエチンロジン酸および他のロジン酸成分の共役不飽和が、触媒的水素化により除去され得るように、水素化ロジン酸に変換され得る。
【0019】
本開示の一態様では、ロジン酸は、前記ロジン酸、例えば、アビエチン酸をグリセリンカーボネートおよび触媒、例えば、ヨウ化トリエチルアンモニウムと反応させ、アビエチン酸モノグリセラートまたはアビエチン酸ジオールを得ることにより、二官能性モノマー、例えば、ロジンモノグリセラートまたはロジンジオールに変換される。
【0020】
ロジン酸とグリセリンカーボネートとの反応から得られたロジンジオール生成物は、公知の方法、例えば、その酸価の測定により、前記反応中にモニターされ得る。例えば、最初のロジン酸または選択されたロジン酸混合物は、約135から約200mg KOH/グラムの酸価を有し得る。前記反応中に、前記ロジン酸が消費され、前記酸価が低下する。これにより、約1mg KOH/グラム未満の酸価のロジン(>99%の収量)または約0mg KOH/グラムの酸価(100%の収量)に、生成物の収量が増加する。前記ロジンジオールの生成物は、プロトンおよび炭素13の核磁気共鳴ならびに質量分析法の両方により特定され得る。
【0021】
前記ロジン酸との反応に選択される前記グリセリンカーボネートの例は、Huntsman Corporationから入手でき、グリセロールカーボネート、グリセリルカーボネートおよび4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとも特定される。
【0022】
本願明細書に開示の結晶質ポリエステルまたは生物由来の非晶質ポリエステルの調製に利用される適切な縮合重合触媒の例としては、チタン酸テトラアルキル、ジアルキルスズ酸化物、例えば、ジブチルスズ酸化物、テトラアルキルスズ、ジアルキルスズ酸化物水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、酢酸亜鉛、チタンイソプロポキシドまたはそれらの混合物があげられる。これらの触媒は、前記ポリエステル樹脂を生成するのに使用される開始の二酸またはジエステルに基づいて、約0.01モルパーセントから約5モルパーセント、約0.1から約0.8モルパーセント、約0.2から約0.6モルパーセントの量で選択される。
【0023】
本願明細書で説明される量で選択される触媒としては、オルガノアミン、例えば、エチルアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、アリールアミン、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ハロゲン化オルガノアンモニウム、例えば、塩化トリメチルアンモニウム、塩化トリエチルアンモニウム、塩化トリブチルアンモニウム、臭化トリメチルアンモニウム、臭化トリエチルアンモニウム、臭化トリブチルアンモニウム、ヨウ化トリメチルアンモニウム、ヨウ化トリエチルアンモニウム、ヨウ化トリブチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、オルガノホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン、ハロゲン化オルガノホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、ヨウ化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化テトラブチルホスホニウム等があげられる。
【0024】
本開示のプロセスは、本願明細書に開示の公知のロジン酸を含むロジン酸(例えば、不均衡化ロジン酸)と、例えば、Huntsman Corporationから市販される、非毒性の経済的な生物由来のグリセリンカーボネートとの反応を含む。この反応は、任意の触媒の存在下において達成される。基本的な反応は、以下に概略に見られ得る。
【化1】
【0025】
ついで、前記対応するロジン−ジオールは、カルボン酸(例えば、テレフタル酸)およびポリオール(例えば、ブチルエチレングリコール)を含むモノマーと重合されて、前記生物由来の樹脂を達成する。実施形態において、前記対応するロジン−ジオールは、モノマーであるテレフタル酸およびブチルエチレングリコール(2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール)と、以下の概略に見られるように重合される。
【化2】
【0026】
本願明細書に開示のプロセスにおいて、ロジン−ジオールは、ロジン酸、生物由来のグリセリンカーボネートおよび任意の触媒の成分の反応により調製される。得られた生成物が約1mg KOH/グラム(>99%の収率)、約0.1から約1、1から約1.9、約1から約1.5mg KOH/グラムまたは0mg KOH/グラム(100%の収率)と等しいまたは未満の酸価を有するように、前記成分は、種々の温度、例えば、約110℃から約190℃、約120℃から約185℃、約120℃から約160℃で、例えば、約1時間から約10時間、約1時間から約9時間の期間加熱される。
【0027】
ロジンジオールの調製のためのプロセスは、約0.95から約1.05モル当量のロジン酸、約1.10から2.2モル当量のグリセリンカーボネート、約0.001から約0.01モル当量の触媒、例えば、ヨウ化テトラエチルアンモニウムもしくはヨウ化テトラブチルアンモニウムを、反応容器に充填することにより達成され得る。ついで、得られた混合物は、攪拌しながら、約120℃から約185℃の温度に、約1時間から約9時間の期間加熱される。前記反応は、前記反応混合物の酸価が約1mg KOH/グラム未満、例えば、約1から約ゼロになるまでモニターされる。わずかに過剰の約0.05から約0.15モル当量のグリセリンカーボネートが、前記反応に選択され得る。より過剰の約0.16から約2モル当量のグリセリンカーボネートが利用され得る。前記過剰のグリセリンカーボネートは、非晶質の生物由来のポリエステル樹脂を製造するための二酸との重合中に、分岐剤として機能し得る。
【0028】
ただし、一部の例では、少量の生成物、例えば、ビス−ロジングリセラートが、特に一部の例では、塩基性触媒が利用される場合、本願明細書に開示の反応から形成する。例えば、2−メチルイミダゾールまたはジメチルアミノピリジンの触媒が選択される場合、ビス−ロジングリセラートが、主要な生成物として得られる場合がある。
【0029】
前記開示のビス−ロジングリセラートの形成は、縮合重合触媒の存在下における、約220℃から約260℃の温度での、二酸とジオールとのトランス−エステル化反応により重合され、前記生物由来の非晶質ポリエステル樹脂が得られ得る場合、必ずしも避ける必要はない。
【0030】
その後、約0.1から約0.4モルパーセントの前記調製されたロジンジオールは、約0.1から約0.3モルパーセントのジオール、例えば、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、および、約0.48から約0.52モルパーセントの適切な酸、例えば、テレフタル酸と反応して、望ましい生物由来の非晶質ポリエステル樹脂を生成する。
【0031】
本願明細書に開示のプロセスに基づいて得られたロジンジオールは、数多くの公知の二酸、例えば、下記式/化学構造、HOOC−−R−COOHで表わされるジカルボン酸と反応する。前記式/化学構造中、Rは、アリールであるか、または、アリール基またはヘテロアリール基を含む。
【0032】
前記ロジンジオールおよび有機ジオールと反応し得るジカルボン酸の具体的な例は、葉酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸等である。前記二酸は、前記ポリエステル樹脂固形物の、例えば、約40から約60モル%、約45から約55モル%の量で選択される。
【0033】
前記ロジンジオールおよび二酸と反応し得る任意の有機ジオールの具体的な例は、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、エチルブチレングリコール、ペンチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタン−ジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物である。前記ジオールは、例えば、前記ポリエステル樹脂固形物の、約0から約25モル%、約5から約15モル%の量で選択される。
【0034】
分岐剤、例えば、多価ポリ酸またはポリオールも、分岐鎖状の非晶質生物由来のポリエステルを架橋または取得するのに利用され得る。選択される前記分岐剤の量は、例えば、前記ポリエステル樹脂固形物の、約0.1から約5モルパーセントである。
【0035】
得られた非晶質ポリエステル樹脂の生物含有量は、数多くの公知の方法により、例えば、前記反応混合物に存在するロジン酸およびグリセリンカーボネートの量に基づいて決定され得る。生物含有量は、例えば、前記生物由来の非晶質ポリエステル樹脂の、約45から約75、約50から約70、約55から約65、約55から約65、約55から約62重量%である。
【0036】
本願明細書に開示のプロセスで取得された直鎖状または分岐鎖状の前記生物由来の非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、示差走査熱量計(DSC)により測定された場合、約40℃から約80℃、約50℃から約70℃の種々の開始ガラス転移点(Tg)を有し得る。前記直鎖状および分岐鎖状の非晶質ポリエステル樹脂は、実施形態において、例えば、約10,000から約500,000、約5,000から約250,000の、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定された場合の、数平均分子量(M)、および、例えば、GPCにより測定された場合の、約20,000から約600,000、約7,000から約300,000の重量平均分子量(M);ならびに、例えば、約1.5から約6、約2から約4の分子量分布(M/M)を有する。
【0037】
トナーに添加され得る適切なポリエステル樹脂は、例えば、スルホン化、非スルホン化、結晶質、非晶質、それらの組み合わせ等であるものを含む。前記ポリエステル樹脂は、直鎖状、分岐鎖状、架橋、それらの組み合わせ等でもよい。
【0038】
混合物、例えば、非晶質および結晶質のポリエステル樹脂が使用される場合、非晶質ポリエステル樹脂に対する結晶質ポリエステル樹脂の比は、約1:99から約30:70の範囲でもよい。
【0039】
ポリエステル樹脂は、合成的に、例えば、カルボン酸基を含む多官能性試薬およびアルコール基を含む別の多官能性試薬によるエステル化反応において取得されてもよい。
【0040】
非晶質ポリエステル樹脂を調製するのに使用され得るポリ酸またはポリエステルの例としては、生物由来の酸、例えば、ロジン酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、トリメリット酸、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、cis−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、シクロヘキサン酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ナフタレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、ナフタレンジカルボン酸、二酸二量体、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチルおよびそれらの組み合わせがあげられる。前記ポリ酸またはポリエステルの試薬は、例えば、前記樹脂の約40から約60モルパーセントの量で存在してもよい。
【0041】
非晶質ポリエステル樹脂を生成するのに使用され得るポリオールの例としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびそれらの組み合わせがあげられる。前記ポリオールの量は変化してもよく、例えば、前記樹脂の約40から約60重量パーセントの量で存在してもよい。
【0042】
縮合重合触媒は、前記非晶質(または結晶質)のポリエステル樹脂を形成するのに使用され得る。このような触媒は、例えば、前記ポリエステル樹脂を生成するのに使用される開始のポリ酸またはポリエステルの試薬に基づいて、約0.01モルパーセントから約5モルパーセントの量で使用されてもよい。
【0043】
結晶質ポリエステル樹脂を形成するのに適したポリオールは、約2から約36個の炭素原子を含む脂肪族ポリオールを含む。前記脂肪族ポリオールは、例えば、約40から約60モルパーセントの量で選択されてもよい。
【0044】
結晶質樹脂を調製するためのポリ酸またはポリエステルの試薬の例としては、生物由来の試薬、例えば、ロジン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、cis,1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸(本願明細書において、実施形態では、シクロヘキサン二酸と呼ぶこともある)、マロン酸およびメサコン酸、それらのポリエステルもしくは酸無水物またはそれらの混合物があげられる。前記ポリ酸は、例えば、実施形態において、約40から約60モルパーセントの量で選択されてもよい。
【0045】
前記結晶質樹脂は、例えば、前記トナー成分の約1から約85重量%の量で存在してもよい。前記結晶質樹脂は、例えば、約30℃から約120℃の種々の融点を有してもよい。前記結晶質樹脂は、例えば、約1,000から約50,000グラム/モルのGPCで測定された場合のM、および、例えば、約2,000から約100,000g/mのGPCで測定された場合のMを有してもよい。前記結晶質樹脂のM/Mは、例えば、約2から約6でもよい。
【0046】
得られたトナーの光沢を(例えば、約5光沢単位まで)向上させるために、前記トナーを含む少なくとも2つの非晶質樹脂の比を変化させることが行われてもよい。
【0047】
分岐剤が使用されてもよく、例えば、多価のポリ酸を含む。前記分岐剤は、前記樹脂の約0.01から約10モルパーセントの量で使用されてもよい。
【0048】
一般的には、当該分野において公知のように、前記ポリ酸/ポリエステルおよびポリオールの試薬は互いに、場合により触媒と混合され、高温、例えば、約180℃以上、約190℃以上、約200℃以上等でインキュベートされる。前記インキュベートは、嫌気的に行われて、平衡まで起こるエステル化を可能にする。前記エステル化は、一般的には、エステル化反応におけるエステル結合を形成することから生じる、水またはアルコール、例えば、メタノールを生じさせる。前記反応は、重合を促進するために、真空下で行われてもよい。生成物は、公知の方法を実行することにより回収され、乾燥されて、再度、微粒子を収集するための公知の方法を実行してもよい。
【0049】
着色顔料、例えば、シアン、マゼンタ、オレンジ、バイオレット、ブラウン、ブルーまたはそれらの混合物が使用され得る。前記着色顔料は、約400から約700nmの全スペクトル範囲にわたって、R=0.20以下のスペクトル応答反射を示す。
【0050】
存在する場合、前記着色剤は、固形物規準における前記トナー粒子の、6重量%より高い、例えば、約7重量%から約17重量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0051】
実施形態において、一部の顔料充填、例えば、ファーネスカーボンブラック(例えば、制限されず、Nipex 35)は、黒色でない2つ以上の第2の着色剤または顔料により置き換えられてもよい。
【0052】
トナー組成物、着色剤等は、界面活性剤を含む分散液に存在してもよい。
【0053】
1つ、2つまたはそれ以上の界面活性剤が使用され得る。前記界面活性剤は、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤またはそれらの組み合わせから選択されてもよい。アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は、「イオン性界面活性剤」の用語に包含される。
【0054】
前記界面活性剤または前記界面活性剤の総量は、トナー形成組成物の約0.01重量%から約5重量%の量で使用されてもよい。
【0055】
本開示のトナーは、場合により、ワックスを含んでもよい。前記ワックスは、1種類のワックスまたは2種類以上のワックスの混合物(以下、「ワックス」と特定される)のいずれかであることができる。
【0056】
含まれる場合、前記ワックスは、例えば、前記トナー粒子の約1重量パーセントから約25重量パーセントの量で存在してもよい。
【0057】
選択され得るワックスとしては、例えば、約500から約20,000、約1,000から約10,000の重量平均分子量を有するワックスがあげられる。
【0058】
凝集因子が使用されてもよく、無機のカチオン性凝集剤、例えば、塩化ポリアルミニウム(PAC)、スルホケイ酸ポリアルミニウム(PASS)、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ベリリウム、アルミニウム、ナトリウムの塩化物、他の金属ハロゲン化物、例えば、一価および二価のハロゲン化物でもよい。
【0059】
前記凝集因子は、例えば、前記トナーにおける総固形物に基づいて、約0.01から約10重量パーセントの量で、エマルジョンに存在してもよい。
【0060】
金属イオン封鎖剤またはキレート剤が、凝集中または凝集後に導入されてもよく、pHを調節する、および/または、前記凝集プロセスから金属錯体形成イオン、例えば、アルミニウムを捕捉するもしくは抽出するのを完了させる。このため、凝集が完了した後に使用される前記金属イオン封鎖剤、キレート剤または錯体形成剤は、錯体形成成分、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グルコナール、ヒドロキシル−2,2’イミノジコハク酸(HIDS)、ジカルボキシルメチルグルタミン酸(GLDA)、メチルグリシジル二酢酸(MGDA)、ヒドロキシジエチルイミノ二酢酸(HIDA)、グルコン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ニトロ三酢酸塩、フミン酸、フルボ酸;EDTAの塩およびそれらの混合物を含んでもよい。
【0061】
前記トナー粒子は、1つ以上の二酸化ケイ素もしくはシリカ(SiO)、チタニアもしくは二酸化チタン(TiO)および/または酸化セリウムと混合されてもよい。
【0062】
ステアリン酸亜鉛は、外添剤として使用されてもよい。
【0063】
表面添加剤は、約0.1から約10重量パーセントの量で使用されてもよい。
【0064】
他の表面添加剤としては、潤滑剤、例えば、脂肪酸の金属塩があげられる。
【0065】
前記外表面添加剤は、コーティングまたはシェルを共に、または、コーティングまたはシェルなしに使用されてもよい。
【0066】
前記トナーの光沢は、粒子中に保持された金属イオン、例えば、Al3+の量に影響を受け得る。前記保持された金属イオンの量は、キレート剤、例えば、EDTAの添加により、さらに調節されてもよい。実施形態において、本開示のトナー粒子に保持された触媒、例えば、Al3+の量は、約0.1pphから約1pphでもよい。本開示のトナーの光沢レベルは、Gardner光沢単位(gu)により測定された場合、約20guから約100guの光沢を有してもよい。
【0067】
前記トナー粒子は、当業者の範囲内の任意の方法により調製され得る。例えば、転相エマルジョン化(PIE)またはエマルジョン/凝集(EA)法のいずれかが、本願明細書に教示の、ポリエステル樹脂ならびに任意の第1の着色剤および第2の着色剤と使用されてもよい。前記転相エマルジョン化法は、分散される樹脂が前記樹脂を溶解可能な疎水性の有機溶媒に溶解され、ついで、塩基が有機の連続相(O相)中のそれに添加されて、前記溶液を中和し、ついで、水性媒体(W相)が反応生成物に添加される方法である。この方法では、前記樹脂は、W/OからO/Wに変換(いわゆる、転相)され、不連続相になる。これにより、前記樹脂は、粒子の形状で分散される(例えば、米国特許出願公開第2013/0196259号明細書を参照のこと。同米国特許出願公開は、その内容全体が参照により本願明細書に取り込まれる。)。
【0068】
トナー粒子を調製する任意の適切な方法、例えば、化学プロセス、例えば、懸濁および封入プロセス;従来の粒状化法、例えば、ジェットミル;材料のスラブのペレット化;他の機械的なプロセス;ナノ粒子またはマイクロ粒子を製造するための任意の方法;等が使用されてもよい。
【0069】
エマルジョン化/凝集プロセスに関する実施形態では、複数の樹脂(それらの1つ以上が持続型樹脂、例えば、所望の生物由来のポリエステル/ポリ酸を含むものである。)が、溶媒に溶解されてもよく、場合により、安定剤、および場合により、界面活性剤を含むエマルジョン媒体、例えば、水、例えば、脱イオン水に混合されてもよい。適切な安定剤の例としては、水溶性アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムがあげられる。安定剤が使用される場合、前記安定剤は、前記樹脂の約0.1重量%から約5重量%の量で存在してもよい。
【0070】
エマルジョン化後、トナー組成物は、エマルジョンにおける樹脂、所望の前記第1および任意の第2の着色剤、任意のワックスおよび任意の他の望ましい添加剤の混合物を、場合により、上記の界面活性剤と凝集し、ついで、場合により、前記凝集混合物を融着させることにより調製され得る。混合物は、任意のワックスまたは他の材料を添加することにより調製されてもよい。前記他の材料は、場合により、樹脂形成材料ならびに第1および第2の着色剤を含むエマルジョンに対する、界面活性剤を含む分散液に存在してもよい。前記エマルジョンは、必須の試薬を含む2つ以上のエマルジョンの混合物でもよい。得られた混合物のpHは、酸、例えば、酢酸、硝酸等により調節されてもよい。実施形態において、前記混合物のpHは、約2から約4.5に調節されてもよい。
【0071】
前記凝集因子は、前記樹脂またはポリマーのガラス転移点(T)以下の温度で、前記混合物に添加されてもよい。
【0072】
前記凝集因子は、前記混合物成分に添加されて、例えば、前記反応混合物の約0.1百分率(pph)から約1pphの量でトナーを形成してもよい。
【0073】
前記粒子の凝集を制御するために、前記凝集因子が、前記混合物内に、経時的に計られてもよい。例えば、前記因子は、約5から約240分の期間にわたって、前記混合物内に増分的に添加されてもよい。
【0074】
前記凝集因子の添加は、前記混合物が攪拌条件下、実施形態では、約50rpmから約1,000rpmに維持されながら行われてもよい。
【0075】
前記粒子は、所定の望ましい粒径が得られるまで、凝集することが認められ得る。粒径は、成長プロセス中にモニターされてもよい。例えば、サンプルは、成長プロセス中に採取され、例えば、平均粒径についてCOULTER COUNTERにより分析され得る。このため、前記凝集は、攪拌を維持しながら、前記混合物を、例えば、高温で維持するか、または、約40℃から約100℃の温度に上昇させ、前記混合物をその温度で約0.5時間から約6時間保持するにより進行して、望ましい凝集粒子を提供し得る。
【0076】
前記トナー粒子または凝集体の望ましい最終径が達成された時点で、前記混合物のpHは、約6から約10の値に、塩基により調節され得る。前記pHの調節は、トナー粒子の成長を停止(freeze)、すなわち、停止(stop)させるのに使用され得る。前記トナー粒子の成長を停止させるのに使用される塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム等でもよい。実施形態において、EDTAが、望ましい値に前記pHを調節するのを補助するために添加されてもよい。
【0077】
前記トナー粒子の特徴は、任意の適切な技術および装置により決定され得る。体積平均粒径および幾何標準偏差は、製造者の説明書に基づいて操作される、Beckman Coulter MULTISIZER 3等の機器を使用して測定されてもよい。
【0078】
前記凝集粒子は、約3μm未満のサイズでもよい。
【0079】
凝集後、融着前に、樹脂コーティングが、前記凝集粒子に塗工されて、その上にシェルを形成し得る。本願明細書に記載の、または、当該分野において公知の任意の樹脂が、前記シェルとして使用され得る。実施形態において、本願明細書に記載の持続型ポリエステル非晶質樹脂ラテックス、例えば、生物由来のポリエステル/ポリ酸を含むものが、前記シェルに含まれてもよい。
【0080】
シェルの樹脂は、当業者の範囲内の任意の方法により、前記凝集粒子に塗工され得る。
【0081】
前記シェルは、前記トナー成分の約1重量%から約80重量%の量で存在してもよい。
【0082】
望ましい粒径への凝集および任意のシェルの塗工後に、ついで、前記粒子は、例えば、形状およびサイズの不揃いを修正するために、望ましい最終的な形状、例えば、円形に融着され得る。前記融着は、例えば、約45℃から約100℃の温度に、前記混合物を加熱し、および/または、例えば、約1000rpmから約100rpmに攪拌を減速させることにより達成される。前記温度は、前記トナー粒子を形成するのに使用される樹脂のTgでもよいし、または、それ以上でもよい。
【0083】
融着は、約0.01から約9時間の期間にわたって行われ得る。
【0084】
場合により、融着剤が使用されてもよい。
【0085】
前記融着剤は、融着または溶融工程に先立って、任意の望ましいまたは適切な量で添加され得る。例えば、前記融着剤は、反応媒体における固形分に基づいて、約0.01から約10重量%の量で添加されてもよい。
【0086】
融着は、約0.1から約9時間の期間にわたって、進行してもよく、達成されてもよい。
【0087】
融着後に、前記混合物は、室温、例えば、約20℃から約25℃に冷却され得る。冷却後、前記トナー粒子は、場合により、水で洗浄され、ついで、乾燥され得る。
【0088】
前記トナーは、任意の公知の荷電添加剤を、約0.1から約10重量%の量で含んでもよい。
【0089】
荷電増強分子は、正または負の荷電のいずれかを、トナー粒子上に付与するのに使用され得る。
【0090】
外表面添加剤を含まない乾燥したトナー粒子は、下記の特徴:(1)約2.5から約20μmの体積平均径(「体積平均粒径」とも呼ばれる);(2)約1.18から約1.30の、数平均幾何標準偏差(GSDn)および/または体積平均幾何標準偏差(GSDv);ならびに、(3)(例えば、Sysmex FPIA 2100分析器により測定される)約0.9から約1.0の円形度を有してもよい。
【0091】
前記トナー粒子は、キャリア粒子と混合されて、2成分現像剤組成物を達成してもよい。前記現像剤におけるトナー濃度は、前記現像剤の総重量の約1重量%から約25重量%でもよい。
【0092】
前記トナー粒子と混合するためのキャリア粒子の例としては、前記トナー粒子のそれとは反対の極性の電荷を摩擦電気的に取得可能なそれらの粒子があげられる。
【0093】
前記キャリア粒子は、その上にコーティングを有するコアを含んでもよい。前記コーティングは、前記摩擦電気系、例えば、本願明細書に教示のものまたは当該分野において公知のものにおけるそれに近くないポリマーまたはポリマーの混合物から形成されてもよい。前記コーティングは、例えば、前記キャリアの約0.1から約5重量%のコーティング重量を有してもよい。
【0094】
前記トナーまたは現像剤は、静電複写プロセスまたは電子写真プロセスに使用されてもよい。実施形態において、任意の公知の種類の画像現像システムが、現像装置、例えば、磁気ブラシ現像、一成分ジャンピング現像、ハイブリッド無掃去現像(HSD)等に使用され得る。
【0095】
特に断らない限り、部およびパーセントは、重量による。本願明細書で使用するとき、RTは、約20℃から約30℃の温度を意味する。
【実施例】
【0096】
実施例1:
1−LのBuchi反応器に、主にデヒドロ−アビエチン酸から構成される不均衡化ロジン酸(258.3g)、グリセリンカーボネート(115.9g)およびヨウ化テトラエチルアンモニウム(1.42g)を添加した。前記混合物を、170℃に加熱し、酸価が1mg/g KOH未満になるまで、9時間維持した。その混合物に、エチルブチレングリコール(169.7g)、テレフタル酸(260.85g)およびFASCAT 4100(1.5g)を添加した。前記混合物を、165℃から220℃に5時間の期間にわたって加熱し、オーバーナイト維持した。ついで、前記混合物を、120.7℃の軟化点が得られるまで、225℃に加熱した。
【0097】
実施例2:生物樹脂、9%のワックスおよび6.8%の結晶質ポリエステルエマルジョン(CPE)を含むトナー調製物
オーバヘッドミキサーを備える2リットルのガラス反応器内に、307.58gの、標準的なPIEプロセスにより調製した実施例1の生物樹脂(粒径120.6nm)のエマルジョン(19.78重量%)、23.38gのCPE樹脂エマルジョン(35.60重量%)、36.94gのIGIワックス分散液(29.97重量%)および48.09gのシアン顔料PB15:3(14.96重量%)を添加した。別に、1.11gのAl(SO(27.85重量%)を、均質化下における凝集剤として添加した。前記混合物を、46.4℃に加熱して、300rpmで攪拌しながら、前記粒子を凝集させた。前記コア粒子が、1.25のGSDを有する4.17μmの体積平均粒径を達するまで、COULTER COUNTERで粒径をモニターした。ついで、169.87gの上記生物樹脂のエマルジョンを、シェル材料として添加して、5.65ミクロンの平均粒径および1.25のGSDを有するコア−シェル構造化粒子を得た。その後、4重量%のNaOH溶液、続けて、4.62gのEDTA(39重量%)を使用して、反応スラリーのpHを7.8に向上させて、トナーの成長を停止させた。停止後、前記反応混合物を、75℃に加熱し、融着時間(例えば、1時間、2時間および3時間)ならびに記載の円形度(例えば、0.954−0.968)が達成されるように、pHを約8.9から約7.3に調節した。
【0098】
lean six σソフトウェア分析を、可変入力パラメータにより、融着条件を最適化するのに使用した。例えば、1および3時間の融着時間ならびに低い円形度(0.948から0.953)および高い円形度(0.966から0.968)を、2×2直交実験に選択した。したがって、4つの組み合わせ実験、L−L、L−H、H−L、H−Hを分析した。第1のプレイスは、短いまたは1時間についてのLおよび長いまたは3時間についてのHの、前記融着時間に関する。第2のプレイスは、低いまたは高い円形度に関する。中心点は、2時間の融着時間および0.963の円形度(低い円形度と高い円形度との間の範囲の中ほど)である。前記six σソフトウェアは、最適な性能を得るための最適な入力条件を明らかにするために、前記2つのパラメータに対するトナー性能に関するアルゴリズムを適用する。
【0099】
上記で概説したように、製造された種々のトナーに関して観察された値を、表1に示す。
【表1】
H−H、上限の円形度、3時間の融着;L−H、下限の円形度、3時間の融着;H−L、上限の円形度、1時間の融着;L−L、下限の円形度、1時間の融着;C、中心点の円形度、2時間の融着。
【0100】
実施例3:溶融結果
非溶融画像を、改良したDC12コピー機を使用して生成した。1.00mg/cmのTMA(単位面積あたりのトナー量)を、Color Xpressions Select(CXS、90gsm、非コート、P/N 3R11540)ペーパー上の配置されたトナー量に使用し、光沢、しわおよびホットオフセットの測定に使用した。光沢/しわのターゲットを、ページの中心に配置された正方形の画像とした。一般的には、現像剤のバイアス電圧を調節しながら、前記DC12による2回の通過を、所望のTMAを達成するのに必要とした。サンプルを、XEROX Fusing Fixtureにより溶融した。前記溶融実験に関する一部のデータを、表2に提供する。
【表2】
コントロールトナーを、低分子量(LMW)または高分子量(HMW)の非晶質樹脂から構成した。
【0101】
実施例4.電気的結果
A.元の帯電
市販の添加剤を、製品に見られる量で利用して、帯電を行った。
【0102】
コントロールと比較して、前記セルは全て、良好な元の帯電を示した。例えば、バイオトナーは、Fuji Xeroxから入手できる市販のエマルジョン凝集バイオトナーと比較して、A−ゾーンおよびJ−ゾーンにおいて、ベンチマーク帯電を示した。
【0103】
B.添加剤の帯電
全てのバイオトナーサンプルは、前記コントロールのそれに匹敵する帯電を示した。
【0104】
C.RH比
全てのバイオトナーサンプルは、前記コントロールと比較して、匹敵するRH比を示した。
【0105】
実施例5.ブロッキング
前記バイオトナーサンプルは、コントロールと同様であった。
【0106】
実施例6.性能
具体的なパラメータについてのサンプルの全体的な性能データを、表3に見ることができる。
【表3】
【0107】
最適な性能は、0.968の円形度および1.38時間の融着時間で示された。全体として、所望の生物由来のトナーの熱特性、ベンチ試験溶融、ブロッキングおよび電気的性能は、市販の生物由来のトナーおよび非生物由来の樹脂トナーのコントロールと比較して、同等であるか、または、改善されている。