(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6298751
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】造花の製造方法および造花
(51)【国際特許分類】
A41G 1/00 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
A41G1/00 B
A41G1/00 V
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-203016(P2014-203016)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-69773(P2016-69773A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】512094993
【氏名又は名称】小菅 弘美
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】小菅 弘美
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3047667(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3170053(JP,U)
【文献】
特開昭57−183408(JP,A)
【文献】
特開昭63−231935(JP,A)
【文献】
米国特許第04943455(US,A)
【文献】
Plus Ultra,日本,[online],2017年10月16日,URL,<http://p-ultra.com/tag/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 1/00−11/02
B32B 1/00−43/00
B44B 1/00−11/04
B44C 1/00− 7/08
B44D 2/00− 7/00
B44F 1/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用意されたサノの表面に柄が入り耐水性を備えるシール部材を貼り付けたシートを作成し、
作成されたシートを花びらの形にカットし、
カットされたシートで造花の花びらを作成する、
ことを特徴とする造花の製造方法。
【請求項2】
用意されたサノの表面に柄が入り耐水性を備えるシール部材を貼り付けたシートを作成し、
作成されたシートを花びらの形にカットし、
カットされたシートで造花の花びらを作成する、
ことにより製造されたことを特徴とする造花。
【請求項3】
用意されたサノの表面に耐水性の染料を含有するインクを用いて所定の模様をスタンプした後にコート剤を塗布したシートを作成し、
作成されたシートを花びらの形にカットし、
カットされたシートで造花の花びらを作成する、
ことを特徴とする造花の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製造方法および造花に関する。
【背景技術】
【0002】
サノ(SANOE)や、ソラと呼ばれるマメ科ツノクサネム属の木が知られている。サノは、タイ国の水辺等で育つ樹の幹を原材料にする、樹の幹を乾燥させて薄く削った樹片である。
【0003】
この樹片を用いて造花を作成する方法が知られている。ところで、乾燥したサノの樹片をハサミ等を用いてカットする場合、そのままカットしようとすると、ギザギザして切りにくい。このため、霧吹き等を用いてサノに水をかけることによりある程度湿らせておくと、サノが柔らかくなりカット等の造形が容易になる。このため、造花を作成する際には、水をかけて花びら状にサノをカットをして造花を作成している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】小菅 弘美"サノフラワーとは"、[online]、平成25年、[平成26年6月19日検索]。インターネット<URL:http://www.nhf-hirostyle.com/#!sanoe/c14db>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サノの樹片は、白色に近い。このため、サノを用いて出来上がる造花は白色に近いものになる。このサノを用いた造花に絵柄を付けることを考える。
【0006】
前述したように、造花を作成する際にサノに水をかけてサノをある程度湿らせると、絵柄を付けることが難しい。造花の花びらの柄も楽しめて、サノのカットも簡単に出来れば便宜である。
1つの側面では、本発明は、サノを用い、花びらの柄も楽しめる造花を容易に作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、開示の造花の製造方法が提供される。この製造方法では、用意されたサノの表面にシール部材を貼り付けたシートを作成し、作成されたシートを花びらの形にカットし、カットされたシートで造花の花びらを作成する。
【発明の効果】
【0008】
1態様では、サノを用い、花びらの柄も楽しめる造花を容易に作成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態の造花を、図面を参照して詳細に説明する。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の造花を示す図である。
造花1は、花びら2と、葉3と、茎4とを有している。
花びら2および葉3は、サノで形成されている。
【0011】
このサノを用いて形成された花弁は、既製の輸入造花とは趣の異なる、優しくソフトなイメージになる。また、サノは、触れたときの触感が心地よく、造花1を作る際にも癒しを与えてくれる。
【0012】
花びら2の表面には、シール部材5が貼り付けてある。シール部材5としては、特に限定されないが、ある程度の強度があり、かつ、耐水性を備えるものが好ましい。耐水性のものとしては、マスキングテープ・シールや、転写紙等が挙げられる。また、和紙・ナプキンペーパー、布等の繊維等を用いてもよい。また、シール部材を貼り付ける代わりに、スタンプを貼るようにしてもよい。
以下、造花1の製造方法を説明する。
【0013】
図2〜
図8は、造花の製造方法の一例を説明する図である。
図2(a)に示すように、まず、縦12cm、横4cmのサノ10を用意する。次に、用意したサノ10の表面に耐水性のシール部材5を貼り付けたシート20を作成する。シール部材5をサノ10に貼り付ける部材としては、例えばのりや、ボンド等の接着剤やケマージュ(下地とニス代わりに塗る材料)、両面テープ等が挙げられる。
【0014】
このシート20を用いて造花1を作成することにより、水でサノ10を湿らせなくてもサノ10のカットを容易にすることができる。また、柄が入ったシール部材5を用意すれば、作成された造花1の柄も楽しめ、かつ、作成された花びら2の強度や耐水性を増すことができる。
【0015】
次に、作成したシート20を1.5cm〜2cm間隔で縦方向にカットし、シート20aを作成する。次に作成したシート20aを半分にカットし、長辺が6cmの4枚のシート20bを作成する。ここで、図示していないが、シート20aまたはシート20bを装飾する目的で、パンチャーやクラフト用のはさみを用いてシート20aまたはシート20bを所定の模様にカットしてもよい。
【0016】
次に、作成した4枚のシート20bのうち、3枚のシート20bを半分に折り、花びらの形にカットすることで3枚のシート20cを作成する。
図3(a)は、1枚のシート20cを図示している。
【0017】
次に、
図3(b)に示すように、3本のへップ(つぼみの部分)11を2つに折り、ワイヤー12で巻き付ける。なお、ワイヤー12としては、例えば#30 1/3を用いる。
【0018】
次に、
図3(c)、(d)に示すように、作成したシート20cの先端部30c1からヘップ11の先端部を1cm程度ずらしてワイヤー12に巻き付けるように重ねる。これにより、ワイヤー12のペップ11に巻き付けた箇所が隠れる。
次に、
図4(a)、(b)に示すように、残り2枚のシート20cも同様に巻き付け、根元から1〜1.5cmをしっかり潰す。
【0019】
次に、
図4(c)に示すように、根元にワイヤー13を3回程度巻き付ける。なお、ワイヤー13としては例えば#28 ブラウン1/2等が挙げられる。巻き付けたワイヤー13の両端部の短い方を下に降ろし、長い方は、ワイヤー12に巻き付ける。
【0020】
次に、
図5(a)に示すように、ワイヤー13を巻き付けた箇所から下方向に向かってワイヤー12にフローラルテープ14を巻き付ける。これにより、茎4が形成される。具体的には、フローラルテープ14を斜め下に引っ張りながらワイヤー12に巻き付ける。このときフローラルテープ14を少し引っ張りながらワイヤー12に巻き付けることで、フローラルテープ14が若干伸び、しっかりと巻き付けることができる。また、
図5(b)に示すように、シート20cを指で広げることにより、花弁を作成する。
図2〜
図5に示した作業により、1つの花1aを作成することができる。複数の花1aを作成する場合は、
図2〜
図5に示した作業を繰り返し行う。
次に、葉3を作成する。
具体的には、
図6(a)に示すように、ラッピングペーパー15を用意し、図のようにカットすることで6枚のペーパー15aを作成する。
次に、作成したペーパー15aをそれぞれ2つに折り、葉3の形にカットしたペーパー15bを作成する。
【0021】
次に、作成したペーパー15bの下をつまんでワイヤー16を巻き付ける。なお、ワイヤー16としては例えば#28 ブラウン1/2等が挙げられる。そして、ワイヤー16を巻き付けた箇所から
図4中下方向に向かってワイヤー16にフローラルテープ17を巻き付ける。これにより、葉3を作成する。複数の葉3を作成する場合は、
図6に示した作業を繰り返し行う。
次に、
図7(a)に示すように、作成した複数の花1aを段差を付けて重ねる。
図7(a)では、3つの花1aを重ねる例を示している。
【0022】
複数の花1aを重ねる場合は、押さえるポイントを動かさないようにしながら、出来上がった花束が丸くなるように、バランス良く重ねていく。フローラルテープ14は、伸ばすと粘着力が出る。前述したように、フローラルテープ14は、少し引っ張られた状態でワイヤー12に巻き付けられている。このため、各花1aそれぞれに巻き付けられているフローラルテープ14同士を押さえることで、各花1aそれぞれの茎部分が互いにくっつく。
図7(b)は、花束状にした複数の花1aを示している。
次に、
図7(c)に示すように、葉3を花1aの隙間に挿入する。
【0023】
次に、
図8に示すように、各花1aと葉3の茎を束ねてワイヤー18を3回巻き付け、短くカットして下に降ろす。ワイヤー18を隠すように幅2cmのテープ19を巻き付ける。これにより造花1が完成する。
【0024】
以上述べたように、シート20を用いて造花1を作成することにより、水でサノ10を湿らせなくてもサノ10のカットを容易にすることができる。また、作成された造花1の柄も楽しめ、かつ、作成された花びら2の強度や耐水性を増すことができる。
【0025】
また、サノ10の上に耐水性の染料を含有するインクを用いて所定の模様をスタンプした後にコート剤を塗布した材料を用いて造花を作成するようにしてもよい。
【0026】
以上、本発明の造花の製造方法および造花を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 造花
2 花びら
3 葉
4 茎
5 シール部材