【文献】
Kawashima, K. et al,Gen. Pharmac.,1990年,vol.21, no.3,p.343-347
【文献】
荻野 達則, 外5名,Natural Medicines,1998年,vol.52 no.2,p.172-178
【文献】
Chen, K. K. et al,Journal of Biological Chemistry,1935年,vol.109,p.681-685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、ヒト子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺癌からなる群から選択される、請求項18に記載の使用。
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、ヒト子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺癌からなる群から選択される、請求項20に記載の治療剤。
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、ヒト子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺癌からなる群から選択される、請求項22に記載の7−置換ファングキノリン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、抗腫瘍活性を有する新規なファングキノリン誘導体、特に式(I)の7−置換ファングキノリン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0028】
式中、
Wは、−OCHR
1−、−OSO
2−、又は−OC(O)−であり;
Zは、H、置換基で置換されていてよいC
1−C
6アルキル、置換基で置換されていてよいC
2−C
6アルケニル、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、置換基で置換されていてよいヘテロシクリル、置換基で置換されていてよいアリール若しくはヘテロアリール、及びR
2R
3NCH
2CH(OH)−からなる群から選択され、又は
Z及びR
1は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキルを形成し;
R
1は、Hであり、又はR
1及びZは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキルを形成し;
R
2及びR
3は、独立に、Hであるか、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3−C
7シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、アリール又はヘテロアリールで置換されていてよいC
1−C
6アルキル又はC
2−C
6アルケニルであり、又は
R
2及びR
3は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7員の窒素含有複素環を形成し、前記窒素含有複素環は、酸素、硫黄及び窒素から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてよく、かつ置換基で置換されていてよく;
前記置換基が、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール及びC
1−C
6アルキルチオからなる群から選択され、前記アリール、ヘテロアリール、C
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、ヘテロシクリル、及び窒素含有ヘテロシクリルについては、前記置換基が、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群からも選択され;
Wが、−OCH
2−である場合、Zは、エチル、n−プロピル又はイソプロピルではなく、Wが、−OC(O)−である場合、Zは、エチル又はプロピルではない。
【0029】
Wが−OSO
2−である場合、本発明の式(I)の化合物は式(I−1)に相当する。
【0031】
式中、Z=R
1’であり、これは、H、置換基で置換されていてよいC
1−C
6アルキル、置換基で置換されていてよいC
2−C
6アルケニル、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、置換基で置換されていてよいヘテロシクリル、及び置換基で置換されていてよいアリール又はヘテロアリールからなる群から選択され、前記置換基は、先の式(I)で定義されている通りである。
【0032】
Wが−OCHR
1−であり、R
1及びZが、先の式(I)で定義されているが、ZがR
2R
3NCH
2CH(OH)−ではない場合、本発明の式(I)の化合物は、式(I−2)の化合物である。
【0035】
Wが−OC(O)−である場合、本発明の式(I)の化合物は、式(I−3)の化合物である。
【0037】
式中、R
3’=Zであり、これは、置換基で置換されていてよいC
1−C
6アルキル、置換基で置換されていてよいC
2−C
6アルケニル、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、置換基で置換されていてよいヘテロシクリル、置換基で置換されていてよいアリール又はヘテロアリールであり、前記置換基は、先の式(I)で定義されている通りである。
【0038】
Wが−OCH
2−であり、ZがR
2R
3NCH
2CH(OH)−である場合、本発明の式(I)の化合物は、式(I−4)の化合物である。
【0040】
式中、R
4’及びR
5’は、先の式(I)でR
2及びR
3と定義されている。
【0041】
第1の実施形態によれば、本発明は、Wが−OSO
2−であり;Zが、H、置換基で置換されていてよいC
1−C
6アルキル、置換基で置換されていてよいC
2−C
6アルケニル、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、置換基で置換されていてよいヘテロシクリル、及び置換基で置換されていてよいアリール又はヘテロアリールからなる群から選択され;前記置換基が、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール及びC
1−C
6アルキルチオからなる群から選択され、前記アリール、ヘテロアリール、C
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、及びヘテロシクリルについては、前記置換基が、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群からも選択される、式(I)の7−置換ファングキノリン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0042】
先の実施形態では、好ましくは、Zは、置換基で置換されていてよいC
1−C
6アルキルアリール、及び置換基で置換されていてよいアリール又はヘテロアリールからなる群から選択され;前記置換基は、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール及びC
1−C
6アルキルチオからなる群から選択され、前記アリール及びヘテロアリールについては、前記置換基は、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからも選択される。
【0043】
先の実施形態では、より好ましくは、Zは、置換基で置換されていてよいC
1−C
6アルキル、及び置換基で置換されていてよいフェニルからなる群から選択され;前記置換基は、ハロゲン、C
1−C
6アルコキシ及びC
1−C
6ハロアルコキシからなる群から選択され、前記フェニルは、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよい。
【0044】
先の実施形態では、最も好ましくは、Zは、C
1−C
6アルキルで置換されていてよいフェニルである。
【0045】
第2の実施形態では、本発明は、Wが−OCH
2−であり;Zが、置換基で置換されていてよいC
1−C
6アルキル、置換基で置換されていてよいC
2−C
6アルケニル、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、置換基で置換されていてよいヘテロシクリル、置換基で置換されていてよいアリール又はヘテロアリール、及びR
2R
3NCH
2CH(OH)−からなる群から選択され;R
2及びR
3が、独立に、Hであるか、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3−C
7シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、アリール又はヘテロアリールで置換されていてよいC
1−C
6アルキル又はC
2−C
6アルケニルであり、又はR
2及びR
3が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7員の窒素含有複素環を形成し;前記窒素含有複素環が、酸素、硫黄及び窒素からなる群から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてよく、かつ置換基で置換されていてよく;
前記置換基が、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール及びC
1−C
6アルキルチオからなる群から選択され、前記アリール、ヘテロアリール、C
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、ヘテロシクリル、及び窒素含有ヘテロシクリルについては、前記置換基が、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群からも選択される、式(I)の7−置換ファングキノリン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0046】
先の実施形態では、好ましくは、Zは、置換基で置換されていてよいアリール又はヘテロアリールであり;前記置換基は、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール、C
1−C
6アルキルチオ、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群から選択される。
【0047】
先の実施形態では、より好ましくは、Zは、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルコキシから選択される置換基で置換されていてよいフェニルである。
【0048】
第2の実施形態では、好ましくは、Zは、R
2R
3NCH
2CH(OH)−であり;R
2及びR
3は、独立に、Hであるか、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3−C
7シクロアルキル若しくはシクロアルケニル、アリール又はヘテロアリールで置換されていてよいC
1−C
6アルキル又はC
2−C
6アルケニルであり、又はR
2及びR
3は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7員の窒素含有複素環を形成し、前記窒素含有複素環は、酸素、硫黄及び窒素からなる群から選択される追加のヘテロ原子を含んでいてよく、かつ置換基で置換されていてよく;前記置換基が、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール、C
1−C
6アルキルチオ、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群から選択される。
【0049】
先の好ましい実施形態では、好ましくは、前記窒素含有複素環は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル又はチアゾリジルであり、この置換基は、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール、C
1−C
6アルキルチオ、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群から選択される置換基で置換されていてよく;より好ましくは、前記窒素含有複素環は、C
1−C
6アルキルで置換されていてよいピペリジニル、C
1−C
6アルキルで置換されていてよいチアジニル、N−シアノで置換されていてよいピペラジニルである。
【0050】
先の好ましい実施形態では、好ましくは、前記R
2及びR
3は、独立に、H、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、シクロプロピルメチル、アリル、メトキシプロピル又はフルフリルである。
【0051】
先の第2の実施形態では、好ましくは、Zは、C
2−C
6アルケニル、又はC
3−C
7シクロアルキル若しくはシクロアルケニルであり、より好ましくは、Zは、ビニル、1−メチルビニル又はシクロプロピルである。
【0052】
第3の実施形態では、本発明は、Wが−OCHR
1−であり、Z及びR
1が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキルを形成し、前記置換基が、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール、C
1−C
6アルキルチオ、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群から選択される、式(I)の7−置換ファングキノリン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩に関する。好ましくは、Z及びR
1は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロペンチル又はシクロヘキシルを形成する。
【0053】
第4の実施形態では、本発明は、Wが−OC(O)−であり;Zが、置換基で置換されていてよいC
1−C
6アルキル、置換基で置換されていてよいC
2−C
6アルケニル、置換基で置換されていてよいC
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、置換基で置換されていてよいヘテロシクリル、及び置換基で置換されていてよいアリール又はヘテロアリールからなる群から選択され;前記置換基が、ハロゲン、アミノ、C
1−C
6アルキルアミノ、ジ(C
1−C
6アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、チオール及びC
1−C
6アルキルチオからなる群から選択され、前記アリール、ヘテロアリール、C
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル、及びヘテロシクリルについては、前記置換基が、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル及びC
1−C
6ハロアルキルからなる群からも選択される、式(I)の7−置換ファングキノリン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0054】
先の第4の実施形態によれば、好ましくは、Zは、フェニル、ピリジル又はピリダジニルであり、これらは、メチル、エチル、イソプロピル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メトキシル、トリフルオロメトキシ及びハロゲンからなる群から選択される置換基でそれぞれ置換されていてよい。
【0055】
本発明の7−置換ファングキノリン誘導体のいくつかを以下に示す。これらはファングキノリンよりも優れているか、又は少なくとも同等の抗腫瘍活性を示すことが、測定によって観測される。これらの例は、本発明をさらに例示することのみを意図するものであり、本発明の範囲にわたっていかなる制限も設けるものではない。
【0057】
先に列挙した化合物のいくつかのデータを、以下の表に示す。
【0059】
本発明によれば、以下の化合物が特に好ましい。BS−FC−102、BS−FC−104、BS−FC−204、BS−FC−207、BS−FC−208、BS−FC−213、BS−FC−216、BS−FC−220、BS−FC−221、BS−FC−304、BS−FC−308、BS−FC−311、BS−FC−315、BS−FC−403、BS−FC−405、BS−FC−409、BS−FC−410、BS−FC−417、BS−FC−421。これらの化合物は、少なくとも1つのタイプの腫瘍に対して、非修飾ファングキノリンよりも著しく優れた抗腫瘍活性を示すことが発見されている。
【0060】
本発明によれば、以下の化合物が最も好ましい。以下の化合物は、ファングキノリンの抗癌活性と比較して十分に優れた抗癌活性を示す。
【0062】
本発明は、本発明の式(I)の化合物の塩、溶媒和物、水和物、付加物、錯体、多形及びプロドラッグに関する。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、指定数の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルキルを指す。アルキルは、1〜6個、1〜5個、1〜4個又は1〜3個の炭素原子を含むことができる。アルキルの例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0064】
用語「アルケニル」は、指定数の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルケニルを指す。アルケニルは、2〜6個、2〜5個、2〜4個又は2〜3個の炭素原子を含むことができる。アルケニルの例として、ビニル、アリル、ブテニル及びイソブテニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0065】
用語「アルキニル」は、指定数の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルキニルを指す。アルキニルは、2〜6個、2〜5個、2〜4個又は2〜3個の炭素原子を含むことができる。アルキニルの例として、アセテニル及びプロピニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0066】
用語「C
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニル」は、飽和環又は不飽和環のいずれかを有する3〜7員の単環式炭化水素ラジカルを指す。C
3−C
7シクロアルキル又はシクロアルケニルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロペニル及びシクロヘキセニルであってよい。
【0067】
用語「アリール」は、6〜14個(6〜12個、6〜20個など)の炭素原子を含有する、縮合又は非縮合の単環式アリール又は多環式アリールを指す。多環式アリールの場合、少なくとも1つの環は芳香族である。アリールは、ヘテロシクリルと縮合していてもよい。アリールの例として、フェニル、ビフェニル、ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル等が挙げられる。
【0068】
用語「ヘテロアリール」は、環中に環原子(複数可)として1〜4個のヘテロ原子(例えば、1、2、3又は4個のヘテロ原子)を有する芳香族環基を指す。ヘテロ原子は、窒素、酸素又は硫黄を指す。ヘテロアリールは、5〜7個の環原子を有する単環式ヘテロアリール、又は7〜11個の環原子を有する二環式ヘテロアリールであってよい。前記二環式ヘテロアリールは、少なくとも1つの芳香族複素環を含むべきであるが、他の環は、芳香族又は非芳香族であってよく、ヘテロ原子を含んでいてもよく、又は含んでいなくてもよい。ヘテロアリールの例として、例えばピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チオフェニル、イソオキサゾリル、インドリル等が挙げられる。
【0069】
用語「ヘテロシクリル」は、環員として1〜4個のヘテロ原子(例えば、1、2、3又は4個のヘテロ原子)を含有する非芳香族環式基を指す。ヘテロ原子は、窒素、酸素又は硫黄を指す。ヘテロシクリルは、4〜8個の環原子を有する単環式ヘテロシクリル(4〜7員環、5〜7員環及び5〜6員環など)、又は7〜11個の環原子を有する二環式ヘテロシクリルであってよい。ヘテロシクリルは、芳香族又は非芳香族のいずれかであってよい。ヘテロシクリルの例として、アザシクロブチル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロフリル、ピペラジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル等が挙げられる。
【0070】
用語「窒素含有ヘテロシクリル」は、環員として少なくとも1つの窒素原子を含む、先に定義の「ヘテロシクリル」を指す。
【0071】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0072】
用語「アルキルアミノ」は、1つ又は2つの、先に定義のアルキルで置換されているアミノ基を指す。
【0073】
用語「アルコキシ」には、アルキルが先の通り定義されているアルキル−O−基が含まれる。
【0074】
用語「アルキルチオ」には、アルキルが先の通り定義されているアルキル−S−基が含まれる。
【0075】
用語「式(I)の化合物の薬学的に許容される付加物及び錯体」は、本発明の化合物が、非化学結合又は非共有結合性の分子間力を介して小分子又は生物学的巨大分子とさらに組み合わさることによって形成された生成物を指す。
【0076】
本明細書で使用される場合、用語「式(I)の化合物の薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容されるアニオンを担持する有機酸によって形成された有機酸塩によって例示することができる。これらの有機酸塩として、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、及びα−グリセロリン酸塩が挙げられるが、それらに限定されない。限定されるものではないが、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩及び炭酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩(hydriodate)等を含めた、適切な無機塩を形成することもできる。
【0077】
薬学的に許容される塩は、例えば、十分な量のアルカリ化合物を、薬学的に許容されるアニオンを提供する適切な酸と反応させることによって、当技術分野で周知の標準の手順を使用して得ることができる。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「多形」は、本発明の化合物又はその錯体の固体結晶形を意味する。本発明の1種の化合物の様々な多形は、異なる物理的、化学的及び/又は分光学的特性を示すことができる。異なる物理的特性として、安定性(例えば、熱又は光安定性)、圧縮率及び密度(生成物の製剤化及び製造にとって重要である)、並びに溶解速度(生成物の生体利用能及び吸収性に影響を及ぼすことができる)が挙げられるが、それらに限定されない。安定性の差異によって、化学反応性(例えば、1種の多形から構成される剤形が、別の多形から構成される剤形よりも急速に変色するような特異的酸化)、又は機械特性(例えば、保存時に、動力学的に有利な多形の錠剤の粉砕部分が、熱力学的により安定な多形に変換される)、又はその両方(例えば、1種の多形から構成される錠剤は、高湿度でより崩壊しやすい)に変化が生じ得る。様々な多形の異なる物理的特性が、それらの処理に影響を及ぼし得る。例えば、1種の多形は、溶媒和物を形成する可能性がより高い場合があり、又は例えば多形の異なる粒子形状若しくは粒径分布に起因して、別の多形よりも濾別しにくく、若しくは洗浄では精製しにくい場合がある。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「水和物」は、非共有結合性の分子間力によって結合した化学量論又は非化学量論的な量の水をさらに含むような、本発明の化合物又はその塩を意味する。
【0080】
別段指定されない限り、本明細書で使用される用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で、加水分解、酸化又は他の反応を介して本発明の化合物を提供できる、本発明の化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、生物学的条件下でこのような反応を受けて初めて活性になることができ、又は未反応形態のプロドラッグで活性を有することもできる。典型的に、プロドラッグは、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery (1995) 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff, 5
th edition), Prodrugs and Targeted Delivery by J. Rautio (2011) 31-60 (Wiley-VCH, Methods and Principles in Medicinal Chemistry, Vol. 47)及びFundamentals of Medicinal Chemistry (2003) by G. Thomas, 195-200 (Wiley)に記載の方法などの、公知の方法を使用して調製することができる。
【0081】
本発明の化合物における7−置換ファングキノリン誘導体の2つのキラル中心は、構造式(I)によって表される立体化学構造を有する。本明細書で使用される立体化学の定義及び慣習は、一般に、McGRAW-HILL DICTIONARY OF CHEMICAL TERMS (S. P. Parker, Ed., McGraw-Hill Book Company, New York, 1984)及びELIEL, E. AND WILEN, S., STEREOCHEMISTRY OF ORGANIC COMPOUNDS (John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994)に従う。多くの有機化合物は、光学的に活性な形態で存在し、すなわち、平面偏光の一面を回転させる能力を有する。
【0082】
「抗腫瘍活性」は、本明細書で使用される場合、腫瘍細胞又は組織を直接的に阻害又は死滅させることを指す。本願の実施例では、本発明の化合物の抗腫瘍活性を部分的に決定付ける。
【0083】
本明細書で使用される用語「治療」、「治療を受けている」、「治療する」等は、一般に、所望の薬理学的効果及び/又は生理的効果を得ることを指す。この効果は、疾患若しくはその症状を完全に若しくは部分的に防止するということに関して予防的であってよく、並びに/又は疾患及び/若しくは疾患によって引き起こされる有害作用の部分的な若しくは完全な安定化若しくは治癒に関して治療的であってもよい。「治療」は、本明細書で使用される場合、(a)疾患若しくは症状に罹患しやすいが、まだその疾患若しくは症状を有していると診断されていない対象において、その疾患若しくは症状が生じるのを防止すること、(b)疾患の症状を阻害すること、すなわちその発症を停止させること、又は(c)疾患の症状を緩和すること、すなわち、疾患若しくは症状の退行を引き起こすことを含む、対象の疾患のいかなる治療も網羅する。
【0084】
本発明の化合物は、通常の有機化学合成過程を介して調製することができる。例えば、本発明の式(I)の7−置換ファングキノリン誘導体は、以下の通り調製される。
【0086】
式(I−1)の7−置換ファングキノリン誘導体は、ファングキノリン(FAN)を、アルカリの存在下で室温において、対応するアルキル又は芳香族塩化スルホニル(R
1’SO
2Cl)と反応させることによって生成することができる。
【0087】
先の反応で使用されるアルカリは、有機アルカリ又は無機アルカリのいずれかであり得る。その例として、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化ナトリウム等が挙げられる。有機塩化スルホニルは、市販の出発材料であってよく、又は有機スルホン酸から調製することができる。
【0088】
先の反応は、典型的に溶媒中で行われる。反応のための溶媒として、ジクロロメタン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0090】
式(I−2)の7−置換ファングキノリン誘導体は、まずファングキノリン(FAN)を強アルカリと反応させ、次にアルカリの存在下で対応するハロ炭化水素(R
2’X)と反応させることによって生成することができる。
【0091】
先の反応で使用されるアルカリとして、有機アルカリ、例えばカリウムtert−ブトキシド、ナトリウムエトキシド及びカリウムエトキシドが挙げられるが、それらに限定されない。塩化炭化水素は、市販の出発材料であってよい。
【0092】
先の反応の温度は、塩化炭化水素の反応性に応じて変わり、室温であってよく、又は加熱条件下の、例えば30〜80℃の温度であってもよい。
【0093】
先の反応は、典型的に溶媒中で行われる。反応のための溶媒として、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランが挙げられるが、それらに限定されない。
【0095】
式(I−3)の7−置換ファングキノリン誘導体は、ファングキノリン(FAN)を、縮合剤及びアルカリの存在下で、室温において、対応する有機酸(R
3’CO
2H)と反応させることによって生成することができる。
【0096】
先の反応で使用されるアルカリとして、有機アルカリ、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及びジメチルアミノピリジンが挙げられるが、それらに限定されない。有機酸は、市販の出発材料であってよく、この反応では、有機塩化アシルを使用することもできる。
【0097】
先の反応の温度は、有機酸の反応性に応じて変わり、室温であってよく、又は加熱条件下の、例えば30〜60℃の温度であってもよい。
【0098】
先の反応は、典型的に縮合剤の存在下で行われる。本明細書の縮合剤は、有機縮合剤、例えばジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド等であってよいが、それらに限定されない。
【0099】
エステル化反応は、典型的に溶媒中で行われるが、溶媒の非存在下で行われることもある。使用される溶媒として、有機極性溶媒、例えば、ジクロロメタン(DCM、dichloromethane)、テトラヒドロフラン(THF、tetrahydrofuran)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、dimethylformamide)、ジメチルスルホキシド(DMSO、dimethylsulfoxide)等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0101】
式(I−4)の7−置換ファングキノリン誘導体は、以下の2段階反応によって生成することができる。
(1)ファングキノリンをカリウムtert−ブトキシドと低温で反応させ、クロロメチルプロピレンオキシドを氷浴温度で滴加する。反応が30分〜2時間継続した後、抽出すると、置換中間体が得られる。
(2)この中間体を、対応する有機アミンと反応させると、生成物が得られる。アミノ化の温度は、有機アミンの反応性に応じて変わり、典型的には、例えば80〜120℃の温度での加熱が必要である。
【0102】
アミノ化は、典型的に極性溶媒中で行われる。使用される溶媒として、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0103】
式(I−1)、(I−2)、(I−3)及び(I−4)では、R
1、R
2、R
3及びR
4は、先の式(I)と同じく定義される。
【0104】
先の反応の出発材料、例えば有機酸、有機アミン、有機塩化スルホニル及び有機塩化アシルは、すべて市販されている。ファングキノリン材料は、天然産物から抽出することによって、又は市販によって得ることができる。
【0105】
通常の化学変換過程を使用して、本発明を実施することができる。当業者は、これらの化学変換に適した化学薬品、溶媒、保護基及び反応条件を決定することができる。関連する情報は、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989);T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3
rd Ed., John Wiley and Sons (1999);L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);並びにL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)及びその改訂版に記載されている。
【0106】
保護基は、活性部分(例えば、ヒドロキシル又はアミノ基)に結合すると、その後の反応においてその部分が干渉されるのを防止するが、反応後に常法によって除去できる基を指す。ヒドロキシルの保護基の例として、アルキル、ベンジル、アリル、トリチル(トリフェニルメチルとしても知られている)、アシル(例えば、ベンゾイル、アセチル又はHOOC−X’’−CO−。ここで、X’’は、アルキリデン、アルケニレン、シクロアルキレン又はアリーレンである)、シリル(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル及びt−ブチルジメチルシリル)、アルコキシルカルボニル、アミノカルボニル(例えば、ジメチルアミノカルボニル、メチルエチルアミノカルボニル及びフェニルアミノカルボニル)、アルコキシメチル、ベンジルオキシメチル、並びにアルキルメルカプトメチルが挙げられるが、それらに限定されない。アミノの保護基の例として、アルコキシカルボニル、アルカノイル、アリールオキシカルボニル、アリール置換アルキル等が挙げられるが、それらに限定されない。ヒドロキシル及びアミノの保護基は、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd. Ed., John Wiley and Sons (1991)に論じられている。あらゆるヒドロキシル及びアミノ保護基は、反応後に常法によって除去することができる。
【0107】
本発明はまた、本発明の式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0108】
本発明は、先に定義した本発明の式(I)の少なくとも1種の化合物を含み、さらには薬学的に許容される賦形剤を含んでいてよい医薬組成物を提供する。
【0109】
所与の量の活性成分を有する様々な医薬組成物を調製する方法は、公知であり、又は本開示に照らして当業者には明らかとなる。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES, Martin, E.W., ed., Mack Publishing Company, 19th ed. (1995)に記載されている通り、このような医薬組成物の調製方法は、他の適切な調剤用の賦形剤、担体、希釈剤等を組み込むことを含む。
【0110】
本発明の医薬調製物は、混合、溶解又は凍結乾燥過程を含む公知の方法によって生成される。
【0111】
本発明の化合物は、医薬組成物に製剤化することができ、選択された投与方式に適した経路で、例えば、経口又は非経口により(例えば、静脈内、筋肉内、局所又は皮下経路によって)、対象に投与することができる。
【0112】
したがって、本発明の化合物は、不活性希釈剤又は食用担体などの薬学的に許容される担体と組み合わせて全身投与することができ、例えば経口投与することができる。本発明の化合物は、硬ゼラチン若しくは軟ゼラチンカプセルに封入することができ、又は錠剤に圧縮することができる。治療のための経口投与では、活性化合物は、1又は2以上の賦形剤と組み合わせることができ、摂取可能な錠剤、口腔内頬側錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウェーハ剤等の形態で摂取され得る。このような組成物又は調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。当然のことながら、組成物及び調製物における活性化合物の割合は、変わることができ、所与の単位剤形の約1重量%〜約99重量%であってよい。治療上有用な組成物では、活性化合物は、有効な投与量レベルが達成されるような量で存在する。
【0113】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等は、結合剤、例えばトラガカントガム、アラビアガム、トウモロコシデンプン若しくはゼラチン;賦形剤、例えばリン酸二水素カルシウム;崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルギン酸等;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;及び甘味剤、例えばスクロース、フルクトース、ラクトース若しくはアスパルテーム;又は香味剤、例えばペパーミント、ウィンターグリーン油若しくはサクランボフレーバーを含むこともできる。単位剤形がカプセル剤である場合、単位剤形は、先の材料に加えて、植物油又はポリエチレングリコールなどの液体媒体を含むことができる。他の様々な材料が、被覆膜として存在することができ、又は別の方法では固体単位剤形の物理的形状を改変することができる。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、セラック又は糖等で被覆することができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤、例えばスクロース又はフルクトース、保存剤、例えばメチルパラベン又はプロピルパラベン、色素及び香味剤(サクランボ又はオレンジのフレーバーなど)を含有することができる。当然のことながら、単位剤形を調製するのに使用されるいかなる材料も、薬学的に許容され、用いられる量で実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放調製物又はデバイスに組み込むことができる。
【0114】
活性化合物は、注入又は注射によって静脈内又は腹腔内投与することもできる。活性化合物又はその塩の水溶液は、場合によっては非毒性の界面活性剤と混合して調製することができる。さらに、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン若しくはその混合物に、又は油に分散させたものを調製することもできる。通常の保存条件及び使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有する。
【0115】
注射又は注入に適した医薬剤形として、活性成分を含む滅菌水溶液剤、分散液剤又は無菌散剤(場合によってはリポソームに被包される)を挙げることができ、これらは、滅菌された注入可能な又は不溶解性の溶液又は分散液の即時調製に適合される。あらゆる場合において、最終的な剤形は、製造条件及び保存条件下で無菌性の安定な液体でなくてはならない。液体担体又は媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、非毒性のグリセリルエステル、及びその適切な混合物を含む、溶媒又は液体分散媒であってよい。適切な流動性は、例えばリポソームを形成することによって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、又は界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。多くの場合、好ましくは、糖、緩衝剤又は塩化ナトリウムなどの等張剤が含まれる。吸収を遅延させるための薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物を使用することによって、注射可能な組成物の吸収を持続させることができる。
【0116】
注射可能な無菌溶液は、必要量の活性化合物を、適切な溶媒中で、先に列挙した様々な追加の所望の成分と組み合わせ、その後濾過し、滅菌することによって調製される。注射可能な無菌溶液を調製するために使用される無菌散剤については、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、この技術によって、既に濾過した無菌溶液中に存在していた活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0117】
有用な固体担体として、例えばタルク、粘土、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナ等の、微粉砕した固体が挙げられる。有用な液体担体として、本発明の化合物を、場合によっては非毒性の界面活性剤を利用して有効な含量で溶解又は分散させることができる、水、エタノール若しくはエチレングリコール、又は水−エタノール/エチレングリコール混合物が挙げられる。アジュバント(香料など)及び追加の抗菌剤を添加して、所与の適用に合わせてその特性を最適化することができる。
【0118】
増粘剤(合成高分子、脂肪酸、脂肪酸塩及び脂肪酸エステル、脂肪アルコール、変性セルロース、又は変性無機材料など)を、液体担体と併用して、使用者の皮膚に直接塗布するために広げることができるペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、ソープ剤等を形成することもできる。
【0119】
治療に必要な化合物、又はその活性な塩若しくは誘導体の量は、選択される特定の塩だけでなく、投与経路、治療を受ける状態の性質、並びに対象の年齢及び状態に応じても変わり、最終的には担当医又は臨床医の裁量によって決まることになる。
【0120】
先の製剤は、ヒト又は他の哺乳動物に投与するのに適した、単位投与量を含有する物理的に別個の単位である単位剤形で存在することができる。単位剤形は、1つのカプセル剤若しくは錠剤、又は複数のカプセル剤若しくは錠剤であってよい。単位剤形における活性成分の量は、所期の特定治療に応じて、約0.1mg〜約1,000mg又はそれを超える範囲で変わり、又は調節することができる。
【0121】
本発明はまた、医薬品、特に抗腫瘍医薬品の製造における、本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む医薬組成物の使用を提供する。したがって、本発明は、本発明の治療有効量の少なくとも1種の化合物を、腫瘍の治療を必要としている対象に投与することを含む、腫瘍に罹患している対象を治療する方法を提供する。本発明の7−置換ファングキノリン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩は、例えば、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、黒色腫、子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、前立腺癌等の治療のために使用することができる。
【0122】
本発明を、以下の実施例によってより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、単に例示するためのものであり、本発明の範囲をいかなる方式でも制限しないことを理解されたい。
【0123】
以下の実施例で使用される未加工の化学薬品は、市販されており、又は当技術分野で公知の合成方法によって得ることができる。
【実施例1】
【0124】
化合物BS−FC−102の合成
【0125】
【化17】
【0126】
ここで、DIPEAは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンである。
【0127】
ジクロロメタン(2mL)に、ファングキノリン(120mg、0.2mmol)及び塩化パラトルエンスルホニル(56mg、0.29mmol)を添加し、その後N,N−ジイソプロピルエチルアミン(51mg、0.39mmol)を添加した。反応溶液を40℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を飽和塩溶液で洗浄した。分離した有機相を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を分離し、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=8:1)によって精製して、鮮黄色粉末状の化合物BS−FC−102(73mg、収率49%)を得た。
LC−MS:保持時間:1.11分(95.24%);m/z763[M+H]
+、382[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 1.23(s,3H,CH
3)、2.41(s,3H,N−CH
3)、2.90(s,3H,N−CH
3)、3.15(s,3H,OCH
3)、3.41(s,3H,OCH
3)、3.92(s,3H,12−OCH
3)、5.84(s,1H,8’−H)、6.17(s,1H,5−H)、6.28(d,1H,J=9Hz,11’−H)、6.43(s,1H,H−ベンゼン環)、6.59(s,1H,H−ベンゼン環)、6.88(m,3H,H−ベンゼン環)、7.11〜7.17(m,3H,H−ベンゼン環)、7.41〜7.50(m,3H,H−ベンゼン環)。
【0128】
化合物BS−FC−104は、BS−FC−102の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.99分(100%);m/z749.0[M+H]
+、374.9[1/2M+H]
+。
【0129】
化合物BS−FC−105は、BS−FC−102の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをトリフルオロメチルスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.03分(90.45%);m/z741.0[M+H]
+、371.1[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.73(s,3H,N−CH
3)、3.01(s,3H,N’−CH
3)、3.53(s,3H,6’−OCH
3)、3.83(s,3H,6−OCH
3)、3.96(s,3H,12−OCH
3)、6.05(s,1H,8’−H)、6.42(m,2H,H−ベンゼン環)、6.55(s,1H,H−ベンゼン環)、6.71(s,1H,H−ベンゼン環)、6.96(m,2H,2H−ベンゼン環)、7.52(m,1H,14’−H)。
【実施例2】
【0130】
化合物BS−FC−206の合成
【0131】
【化18】
【0132】
ここで、t−BuOKは、カリウムtert−ブトキシドである。
【0133】
ジメチルスルホキシド(2mL)に、ファングキノリン(80mg、0.13mmol)を添加し、その後カリウムtert−ブトキシド(22.5mg、0.1971mmol)を0℃で添加した。反応溶液を室温に温め、0.5時間撹拌した。ジメチルスルホキシドに溶解させた3−フルオロ−4−クロロベンジルクロリド(26.5mg、0.12mmol)を、反応溶液に滴加した。反応溶液を40℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応が完了した後、水(20mL)を反応溶液に添加し、抽出するためにジクロロメタン(5mL×3)を使用した。有機相を組み合わせ、飽和塩溶液で洗浄し、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を分離し、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)によって精製して、鮮黄色粉末状の化合物BS−FC−206を得た(23.6mg、収率24%)。
LC−MS:保持時間:1.10分(99.12%);m/z751[M+H]
+、376[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.55(s,3H,N−CH
3)、3.48(s,3H,6’−OCH
3)、3.76(s,3H,6−OCH
3)、3.94(s,3H,12−OCH
3)、5.81(s,1H,8’−H)、6.60(s,1H,H−ベンゼン環)、6.74(m,1H,H−ベンゼン環)。
【0134】
化合物BS−FC−201は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラフルオロベンジルクロリドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.13分(85.98%);m/z717.0[M+H]
+、359.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.53(s,3H,N−CH
3)、2.59(s,3H,N−CH
3)、3.41(s,3H,6’−OCH
3)、3.61(s,3H,6−OCH
3)、3.92(s,3H,12−OCH
3)、5.77(s,1H,8’−H)、6.36(s,1H,H−ベンゼン環)、6.46(s,1H,H−ベンゼン環)、6.53(s,1H,H−ベンゼン環)、6.78〜6.89(m,5H,H−ベンゼン環)、7.11〜7.36(m,3H,H−ベンゼン環)。
【0135】
化合物BS−FC−202は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを3−ブロモメチルピリジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.79分(92.16%);m/z700.1[M+H]
+、350.5[1/2M+H]
+。
【0136】
化合物BS−FC−203は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラトリフルオロメトキシベンジルブロミドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.21分(94.06%);m/z782.9[M+H]
+、392.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.43(s,3H,N−CH
3)、2.52(s,3H,N−CH
3)、3.49(s,3H,6’−OCH
3)、3.75(s,3H,6−OCH
3)、3.94(s,3H,12−OCH
3)、4.34(d,1H,J=8.1Hz)、4.70(d,1H,J=8.1Hz)、5.89(s,1H,8’−H)、6.31(d,1H,J=8.4,11’−H)、6.40(s,1H,H−ベンゼン環)、6.47(s,1H,H−ベンゼン環)、6.60(s,1H,H−ベンゼン環)、6.86(d,2H,J=8.7Hz,H−ベンゼン環)、6.93(m,3H,H−ベンゼン環)、7.06(d,1H,J=8.4Hz,13’−H)、7.13(d,1H,J=8.1Hz,13’−H)、7.42(d,1H,J=8.1Hz,14’−H)。
【0137】
化合物BS−FC−204は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを2,3−ジフルオロベンジルブロミドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.11分(99.35%);m/z735.0[M+H]
+、368.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.36(s,3H,N−CH
3)、2.55(s,3H,N−CH
3)、3.37(s,3H,6’−OCH
3)、3.74(s,3H,6−OCH
3)、3.92(s,3H,12−OCH
3)、4.46(d,1H,J=8.1Hz)、4.65(d,1H,J=8.1Hz)、5.75(s,1H,8’−H)、6.27(d,1H,J=8.4,11’−H)、6.35(s,1H,H−ベンゼン環)、6.46(s,1H,H−ベンゼン環)、6.51(s,1H,H−ベンゼン環)、6.86(m,2H,H−ベンゼン環)、6.95〜7.13(m,4H,H−ベンゼン環)、7.15(dd,1H,J=2.1,8.1Hz,13’−H)、7.36(dd,1H,J=2.1,8.1Hz,14’−H)。
【0138】
化合物BS−FC−205は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを3−クロロ−4−フルオロベンジルブロミドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.09分(96.28%);m/z751.2[M+H]
+、376.2[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.41(s,3H,N−CH
3)、2.61(s,3H,N’−CH
3)、3.41(s,3H,6’−OCH
3)、3.75(s,3H,6−OCH
3)、3.94(s,3H,12−OCH
3)、5.79(s,1H,8’−H)、6.32(m,1H,11’−H)、6.36(s,1H,5−H)、6.49(s,1H,H−ベンゼン環)、6.54(s,1H,H−ベンゼン環)、6.82〜6.99(m,3H,H−ベンゼン環)、7.11(m,2H,H−ベンゼン環)、7.34(m,1H,14’−H)。
【0139】
化合物BS−FC−208は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをブロモメチルシクロプロパンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.06分(95.93%);m/z663.0[M+H]
+、332.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.71(s,3H,N’−CH
3)、3.41(s,3H,6’−OCH
3)、3.75(s,3H,6−OCH
3)、3.94(s,3H,12−OCH
3)、5.79(s,1H,8’−H)。
【0140】
化合物BS−FC−213は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをブロモプロピレンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.04分(97.48%);m/z649.1[M+H]
+、324.9[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.39(s,3H,N−CH
3)、2.62(s,3H,N’−CH
3)、3.39(s,3H,6’−OCH
3)、3.75(s,3H,6−OCH
3)、3.93(s,3H,12−OCH
3)、5.97(s,1H,8’−H)、6.30(m,2H,H−ベンゼン環)、6.53(m,2H,H−ベンゼン環)、6.87(m,3H,H−ベンゼン環)、7.15(m,1H,13’−H)、7.38(m,1H,14’−H)。
【0141】
化合物BS−FC−215は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラメトキシベンジルブロミドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.03分(89.37%);m/z729.2[M+H]
+、365.1[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.56(s,3H,N−CH
3)、3.38(s,3H,6’−OCH
3)、3.75(s,6H,OCH
3)、3.93(s,3H,12−OCH
3)、5.79(s,1H,8’−H)、6.39(m,1H,H−ベンゼン環)、6.51(m,2H,H−ベンゼン環)、6.79(m,1H,H−ベンゼン環)、6.91(m,H−ベンゼン環)。
【0142】
化合物BS−FC−216は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラトリフルオロメトキシベンジルブロミドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.08分(94.44%);m/z767.1[M+H]
+、384.0[1/2M+H]
+。
【0143】
化合物BS−FC−217は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを6−クロロ−2−フルオロベンジルブロミドと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.06分(95.06%);m/z751.2[M+H]
+、376.2[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.46(s,3H,N−CH
3)、2.76(s,3H,N’−CH
3)、3.34(s,3H,6’−OCH
3)、3.79(s,3H,6−OCH
3)、3.93(s,3H,12−OCH
3)、6.26(m,1H,11’−H)、6.34(s,1H,5−H)、6.44(s,1H,H−ベンゼン環)、6.50(s,1H,H−ベンゼン環)、6.74(m,1H,10’−H)、6.80(m,2H,H−ベンゼン環)、7.16(m,3H,H−ベンゼン環)、7.40(m,2H,H−ベンゼン環)。
【0144】
化合物BS−FC−220は、BS−FC−206の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをヨードシクロペンタンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.00分(99.74%);m/z677.1[M+H]
+、339.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.42(s,3H,N−CH
3)、2.72(s,3H,N’−CH
3)、3.37(s,3H,6’−OCH
3)、3.74(s,3H,6−OCH
3)、3.93(s,3H,12−OCH
3)、5.89(s,1H,8’−H)、6.35(m,2H,H−ベンゼン環)、6.51(s,1H,H−ベンゼン環)、6.53(s,1H,H−ベンゼン環)、6.83(m,1H,H−ベンゼン環)、6.89(d,1H,J=8.1Hz,H−ベンゼン環)、7.16(dd,1H,J=2.1,8.1Hz,13’−H)、7.42(dd,1H,J=2.1,8.1Hz,14’−H)。
【0145】
化合物BS−FC−221は、BS−FC−206の調製方法に従って先と同じ試薬を使用して、ファングキノリンを3−ブロモ−2−メチルプロピレンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.00分(99.72%);m/z663.2[M+H]
+、332.0[1/2M+H]
+。
【実施例3】
【0146】
化合物BS−FC−304の合成
【0147】
【化19】
【0148】
ここで、DICは、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドであり、DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンである。
【0149】
ジクロロメタン(2mL)に、ファングキノリン(80mg、0.13mmol)及びシクロプロパンカルボン酸(17mg、0.2mmol)を添加し、その後N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(34mg、0.26mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(16mg、0.26mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(34mg、0.26mmol)を添加した。反応溶液を40℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応が完了した後、ジクロロメタン(20mL)を反応溶液に添加し、次にそれを飽和塩溶液で洗浄した。分離した有機相を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を分離し、分取薄層クロマトグラフィーによって精製して、くすんだ白色粉末状の化合物BS−FC−304を得た(54.7mg、収率52%)。
LC−MS:保持時間:0.80分(100.0%);m/z677[M+H]
+、338[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.52(s,3H,N−CH
3)、2.77(s,3H,N−CH
3)、3.45(s,3H,6’−OCH
3)、3.85(s,3H,6−OCH
3)、3.93(s,3H,12−OCH
3)、5.99(s,1H,8’−H)、6.29(m,1H,11’−H)、6.40(s,1H,H−ベンゼン環)、6.48(s,1H,H−ベンゼン環)、6.56(s,1H,H−ベンゼン環)、6.87(m,1H,H−ベンゼン環)、6.90(d,1H,J=8.1Hz,H−ベンゼン環)、6.95〜7.13(m,4H,H−ベンゼン環)、7.13(d,1H,J=8.7Hz,13’−H)、7.36(d,1H,J=8.7Hz,14’−H)。
【0150】
化合物BS−FC−301は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを3−ピリジンカルボン酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.92分(96.55%);m/z714.2[M+H]
+、357.6[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 3.73(s,3H,6−OCH
3)、3.95(s,3H,12−OCH
3)、6.45(s,2H,H−ベンゼン環)、6.90〜7.12(m,3H,H−ベンゼン環)、7.35(m,1H,H−ベンゼン環)。
【0151】
化合物BS−FC−302は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを4−ピリジンカルボン酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.96分(98.29%);m/z714.0[M+H]
+、357.5[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.03(s,3H,N−CH
3)、2.53(s,3H,N’−CH
3)、3.48(s,3H,6’−OCH
3)、3.71(s,3H,6−OCH
3)、3.93(s,3H,12−OCH
3)、6.46(s,2H,H−ベンゼン環)、6.79(m,1H,H−ベンゼン環)、6.90(m,1H,H−ベンゼン環)、7.09〜7.29(m,2H,H−ベンゼン環)、8.69(m,2H,)。
【0152】
化合物BS−FC−305は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをN−メチル−D−アラニンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.75分(99.65%);m/z694.2[M+H]
+、347.5[1/2M+H]
+。
【0153】
化合物BS−FC−307は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをN,N−ジメチルグリシンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.92分(95.29.00%);m/z694.0[M+H]
+。
【0154】
化合物BS−FC−308は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをN,N−ジメチルアミノ安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.13分(91.31%);m/z756.0[M+H]
+、378.5[1/2M+H]
+。
【0155】
化合物BS−FC−309は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラトリフルオロメトキシ安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.15分(91.13%);m/z797.2[M+H]
+、399.2[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.07(s,3H,N−CH
3)、2.39(m,3H,N−CH
3)、3.54(s,3H,6’−OCH
3)、3.72(s,3H,6−OCH
3)、3.95(s,3H,12−OCH
3)、6.42(s,2H,H−ベンゼン環)、6.87(m,2H,H−ベンゼン環)、7.10(m,1H,H−ベンゼン環)、7.17(m,1H,H−ベンゼン環)、7.20(m,1H,H−ベンゼン環)、7.66(m,1H,H−ベンゼン環)。
【0156】
化合物BS−FC−310は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを3,5−ジフルオロ安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.11分(98.02%);m/z748.9[M+H]
+、374.9[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.12(s,3H,N−CH
3)、2.23(s,3H,N−CH
3)、3.67(s,3H,6−OCH
3)、3.90(s,3H,12−OCH
3)、6.37(s,1H,H−ベンゼン環)、6.86(m,3H,H−ベンゼン環)。
【0157】
化合物BS−FC−311は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを3,5−ジメトキシ安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.11分(99.22%);m/z773.0[M+H]
+、387.0[1/2M+H]
+。
【0158】
化合物BS−FC−313は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを4−ピリダジンカルボン酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.89分(95.53%);m/z715.1[M+H]
+、358.1[1/2M+H]
+。
【0159】
化合物BS−FC−314は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをテトラヒドロピラン−4−カルボン酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.89分(97.72%);m/z721.1[M+H]
+、361.0[1/2M+H]
+。
【0160】
化合物BS−FC−315は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを6−クロロ−2−フルオロ安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:1.04分(99.51%);m/z765.2[M+H]
+、383.2[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.38(s,3H,N−CH
3)、3.47(s,3H,6’−OCH
3)、3.69(s,3H,6−OCH
3)、3.94(s,3H,12−OCH
3)、6.03(s,1H,8’−H)、6.50(m,3H,H−ベンゼン環)。
【0161】
化合物BS−FC−318は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをカルバミン酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.73分(95.42%);m/z666.1[M+H]
+、333.5[1/2M+H]
+。
【0162】
化合物BS−FC−324は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをグルタル酸無水物と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.97分(98.81%);m/z723.0[M+H]
+、362.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.84(s,3H,N’−CH
3)、3.50(s,3H,6’−OCH
3)、3.73(s,3H,6−OCH
3)、3.95(s,3H,12−OCH
3)、6.00(s,1H,8’−H)、6.30(m,2H,H−ベンゼン環)、6.36(m,1H,H−ベンゼン環)、6.40(m,1H,H−ベンゼン環)、6.56(m,1H,H−ベンゼン環)、6.90(s,2H,H−ベンゼン環)、7.25〜7.37(m,3H,H−ベンゼン環)。
【0163】
化合物BS−FC−501は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:2.30分(96.19%);m/z713.0[M+H]
+、357.1[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 1.87(s,3H)、2.49(s,3H)、2.73〜2.62(m,2H)、2.90(s,3H)、3.54(d,4H)、3.71(dd,J=8.6,5.2Hz,10H)、3.76(s,1H)、3.93(s,3H)、6.84(dd,9H,H−ベンゼン環)、7.87〜7.30(m,6H,H−ベンゼン環)。
【0164】
化合物BS−FC−502は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラメチル安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:2.44分(97.24%);m/z727.1[M+H]
+、364.2[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 1.25(s,1H)、1.32(s,1H)、1.96〜1.87(m,2H)、2.36(s,6H)、3.06〜2.44(m,9H)、3.21(s,1H)、3.51(t,6H)、3.68(s,3H)、3.92(s,3H)、7.20〜5.66(m,12H,H−ベンゼン環)、7.75〜7.41(m,2H,H−ベンゼン環)。
【0165】
化合物BS−FC−503は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラメトキシ安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:2.36分(95.46%);m/z743.0[M+H]
+、372.1[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.03(s,4H)、2.39(s,3H)、2.84〜2.50(m,7H)、3.00(s,2H)、3.24(s,1H)、3.52(t,6H)、3.69(s,3H)、3.83(s,3H)、3.92(s,3H)、7.18〜5.69(m,12H,H−ベンゼン環)、7.66(d,2H,H−ベンゼン環)。
【0166】
化合物BS−FC−504は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラメチルアミノ安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:2.32分(100%);m/z742.0[M+H]
+、372.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.05(s,3H)、2.17(s,3H)、3.27〜2.38(m,15H)、3.48(s,1H)、3.63(s,1H)、3.69(s,3H)、3.87〜3.72(m,3H)、3.92(s,3H)、7.23〜5.72(m,10H,H−ベンゼン環)、8.12〜7.31(m,4H,H−ベンゼン環)。
【0167】
化合物BS−FC−505は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンを4−(ジエチルアミノ)安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:2.66分(92.21%);m/z784.1[M+H]
+、392.6[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 1.18(t,J=7.0Hz,6H)、7.60(dddd,4H)、1.39〜1.27(m,4H)、1.67(dd,1H)、2.36(s,3H)、2.65(dd,5H)、2.98(dd,2H)、3.45(dd,6H)、3.67(s,3H)、3.90(d,J=16.6Hz,3H)、4.31〜4.11(m,1H)、7.25〜5.53(m,10H,H−ベンゼン環)。
【0168】
化合物BS−FC−506は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパライソプロピル安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:2.72分(99.20%);m/z755.0[M+H]
+、378.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 1.26〜1.17(m,9H)、2.02〜1.52(m,4H)、3.08〜2.40(m,13H)、3.48(s,1H)、3.63(s,2H)、3.68(s,3H)、3.93(s,3H)、4.34〜4.09(m,1H)、7.24〜5.38(m,11H,H−ベンゼン環)、8.25〜7.29(m,3H,H−ベンゼン環)。
【0169】
化合物BS−FC−507は、BS−FC−304の調製方法に従って同じ試薬を使用して、ファングキノリンをパラアミノ安息香酸と反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:2.16分(100%);m/z728.0[M+H]
+、364.0[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 1.42〜1.26(m,9H)、1.79〜1.59(m,2H)、2.80〜2.48(m,4H)、3.04(s,3H)、3.56(d,3H)、3.77〜3.67(m,3H)、3.95(d,3H)、4.25〜4.18(m,3H)、6.60〜5.69(m,4H,H−ベンゼン環)、6.83(dd,2H,H−ベンゼン環)、7.13(s,1H,H−ベンゼン環)、7.34(d,J=8.1Hz,1H,H−ベンゼン環)、7.65〜7.42(m,3H,H−ベンゼン環)、7.70(dd,J=5.7,3.3Hz,1H,H−ベンゼン環)、8.23〜8.02(m,1H,H−ベンゼン環)。
【実施例4】
【0170】
化合物BS−FC−400の合成
【0171】
【化20】
【0172】
ファングキノリン(1g、1.64mmol)を、ジメチルスルホキシド(5mL)に添加し、その後カリウムtert−ブトキシド(560mg、4.91mmol)を0℃で添加した。混合溶液を室温で0.5時間撹拌した後、それに、ジメチルスルホキシド(2mL)に溶解させたシクロクロロエタン(180mg、1.97mmol)を滴加した。反応溶液を40℃まで加熱し、3時間撹拌した。反応が完了した後、水(50mL)を反応溶液に0℃で添加し、抽出するためにジクロロメタン(10mL×4)を使用した。有機相を組み合わせ、飽和塩溶液で洗浄し、乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた生成物BS−FC−400を、その後の反応で精製なしに直接使用した。
LC−MS:保持時間:0.88分(92.01%);m/z665.0[M+H]
+、333.1[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.38(s,3H,N−CH
3)、2.70(s,3H,N’−CH
3)、3.38(s,3H,6’−OCH
3)、3.70(s,3H,6−OCH
3)、3.90(s,3H,12−OCH
3)、6.00(m,1H,8’−H)、6.24(m,2H,H−ベンゼン環)、6.46(m,2H,H−ベンゼン環)、6.86〜7.00(m,3H,H−ベンゼン環)、7.11(m,1H,13’−H)、7.36(m,1H,14’−H)。
【実施例5】
【0173】
化合物BS−FC−418の合成
【0174】
【化21】
【0175】
最終段階で得られた化合物BS−FC−400(100mg、0.15mmol)を、エタノール(2mL)に添加し、その後N−メチル−ピペラジン(30mg、0.3mmol)を添加した。気密条件下で、反応溶液を120℃まで加熱し、3時間かけて反応させた。反応が完了した後、反応溶液を濃縮して、粗製生成物を得、次にそれを分離し、分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=8:1)によって精製して、白色粉末状の化合物BS−FC−418を得た(30mg、収率26%)。
LC−MS:保持時間:0.7分(96%);m/z764.9[M+H]
+。383.2[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.34〜2.15(m,10H)、2.59〜2.40(m,10H)、2.65(t,J=4.4Hz,4H)、2.80〜2.70(m,3H)、2.96〜2.83(m,4H)、3.36〜3.22(m,6H)、3.45〜3.37(m,2H)、3.58〜3.45(m,3H)、3.73(t,J=3.2Hz,5H)、3.91(s,5H)、5.98(d,J=2.2Hz,1H)、6.32〜6.27(m,2H)、6.52〜6.47(m,2H)、6.88〜6.77(m,3H)、7.13(dd,J=8.2,2.4Hz,1H)、7.34(dt,J=8.1,2.5Hz,1H)。
【0176】
化合物BS−FC−401は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400を4−ジメチルアミノピリジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.71分(95.72%);m/z793.1[M+H]
+、397.4[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.30(s,3H,N−CH
3)、2.38(s,6H,N−(CH
3)
2)2.64(s,3H,N’−CH
3)、3.35(s,3H,6’−OCH
3)、3.74(s,3H,6−OCH
3)、3.92(s,3H,12−OCH
3)、5.98(s,1H,8’−H)、6.30(m,2H,H−ベンゼン環)、6.52(m,2H,H−ベンゼン環)、6.84〜6.86(m,3H,H−ベンゼン環)、7.14(m,1H,13’−H)、7.34(m,1H,14’−H)。
【0177】
化合物BS−FC−402は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400を3−ヒドロキシピペリジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.74分(93.36%);m/z766.1[M+H]
+、383.8[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.29(s,3H,N−CH
3)、3.33(s,3H,6’−OCH
3)、3.70(s,3H,6−OCH
3)、3.89(s,3H,12−OCH
3)、6.03(m,1H,8’−H)、6.27(m,2H,5,11’−H)、6.46(m,1H,H−ベンゼン環)、6.52(m,1H,H−ベンゼン環)、6.80(m,3H,H−ベンゼン環)、7.12(m,1H,13’−H)、7.34(m,1H,14’−H)。
【0178】
化合物BS−FC−403は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をピペリジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.75分(88.00%);m/z750.0[M+H]
+、375.7[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.30(s,3H,N−CH
3)、2.62(s,3H,N’−CH
3)、3.34(s,3H,6’−OCH
3)、3.71(s,3H,6−OCH
3)、3.92(s,3H,12−OCH
3)、5.97(s,1H,8’−H)、6.25(m,2H,H−ベンゼン環)、6.48(m,2H,H−ベンゼン環)、6.77(m,3H,H−ベンゼン環)、7.09(m,1H,13’−H)、7.33(m,1H,14’−H)。
【0179】
化合物BS−FC−404は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をN−イソプロピルピペラジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.73分(95.62%);m/z793.1[M+H]
+、397.4[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 1.16(m,6H,CH
3)、2.29(s,3H,N−CH
3)、2.67(s,3H,N’−CH
3)、3.39(s,3H,6’−OCH
3)、3.70(s,3H,6−OCH
3)、389(s,3H,12−OCH
3)、5.98(m,1H,8’−H)、6.24(m,2H,H−ベンゼン環)、6.48(m,2H,H−ベンゼン環)、6.86(m,3H,H−ベンゼン環)、7.11(m,1H,13’−H)、7.33(m,1H,14’−H)。
【0180】
化合物BS−FC−405は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をシクロプロパンメチルアミンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.78分(96.5%);m/z736.1[M+H]
+、368.8[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.32(s,3H,N−CH
3)、2.91(m,3H,N’−CH
3)、3.38(s,3H,6’−OCH
3)、3.68(s,3H,6−OCH
3)、3.90(s,3H,12−OCH
3)、6.08(d,1H,8’−H)、6.29(m,2H,H−ベンゼン環)、6.50(s,2H,H−ベンゼン環)、6.76(m,1H,10’−H)、6.83(m,2H,H−ベンゼン環)、7.14(m,1H,13’−H)、7.34(m,1H,14’−H)。
【0181】
化合物BS−FC−406は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をN−エチルメチルアミンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.72分(86.27%);m/z723.9[M+H]
+、362.7[1/2M+H]
+。
【0182】
化合物BS−FC−407は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をN−メチルエタノールアミンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.73分(93.23%);m/z740.1[M+H]
+、370.8[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.28(s,3H,N−CH
3)、2.38(s,3H,N−CH
3)、2.68(m,3H,N−CH
3)、3.35(s,3H,6’−OCH
3)、3.73(s,3H,6−OCH
3)、3.91(s,3H,12−OCH
3)、6.02(m,1H,8’−H)、6.28(m,2H,H−ベンゼン環)、6.45(m,1H,10−H)、6.52(s,1H,5’−H)、6.84(m,3H,H−ベンゼン環)、7.13(m,1H,13’−H)、7.34(m,1H,14’−H)。
【0183】
化合物BS−FC−408は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をN−メチルホモピペラジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.69分(94.45%);m/z779.0[M+H]
+、390.2[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.31(s,3H,N−CH
3)、2.39(s,3H,N−CH
3)、2.53(m,3H,N−CH
3)、3.34(s,3H,6’−OCH
3)、3.72(s,3H,6−OCH
3)、3.89(s,3H,12−OCH
3)、6.01(d,1H,J=8.1Hz,8’−H)、6.29(m,2H,H−ベンゼン環)、6.49(m,2H,H−ベンゼン環)、6.76〜6.83(m,3H,H−ベンゼン環)、7.13(m,1H,13’−H)、7.34(m,1H,14’−H)。
【0184】
化合物BS−FC−409は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をN−アリルメチルアミンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.76分(91.38%);m/z736.1[M+H]
+、368.8[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.33(s,6H,N−CH
3)、2.60(m,3H,N−CH
3)、3.35(s,3H,6’−OCH
3)、3.73(s,3H,6−OCH
3)、3.91(s,3H,12−OCH
3)、6.02(s,1H,8’−H)、6.30(m,2H,H−ベンゼン環)、6.50(m,2H,H−ベンゼン環)、6.79〜6.88(m,1H,H−ベンゼン環)、7.13(m,1H,13’−H)、7.34(m,1H,14’−H)。
【0185】
化合物BS−FC−410は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400を3−メチルピペリジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.80分(100.00%);m/z764.1[M+H]
+、382.9[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.28(s,6H,N−CH
3)、2.61(m,3H,N−CH
3)、3.25(s,3H,6’−OCH
3)、3.64(s,3H,6−OCH
3)、3.90(s,3H,12−OCH
3)、5.99(s,1H,8’−H)、6.27(m,2H,H−ベンゼン環)、6.50(m,2H,H−ベンゼン環)、6.75〜6.83(m,3H,H−ベンゼン環)、7.12(m,1H,13’−H)、7.31(m,1H,14’−H)。
【0186】
化合物BS−FC−413は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をトリフルオロエチルアミンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.70分(81.20%);m/z763.8[M+H]
+、382.7[1/2M+H]
+。
【0187】
化合物BS−FC−414は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をエタノールアミンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.71分(80.58%);m/z725.9[M+H]
+、363.7[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.32(s,3H,N−CH
3)、2.69(m,3H,N−CH
3)、3.35(s,3H,6’−OCH
3)、3.72(s,3H,6−OCH
3)、3.91(s,3H,12−OCH
3)、6.02(d,1H,J=8.7Hz,8’−H)、6.28(m,2H,H−ベンゼン環)、6.48(s,1H,H−ベンゼン環)、6.52(d,1H,J=1.8Hz,H−ベンゼン環)、6.85(m,3H,H−ベンゼン環)、7.11(m,1H,13’−H)、7.36(m,1H,14’−H)。
【0188】
化合物BS−FC−416は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をモルホリンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.75分(90.99%);m/z752.1[M+H]
+、376.8[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.32(s,3H,N−CH
3)、2.63(m,3H,N’−CH
3)、3.36(s,3H,6’−OCH
3)、3.66(s,3H,6−OCH
3)、3.93(s,3H,12−OCH
3)、5.98(m,1H,8’−H)、6.33(m,2H,H−ベンゼン環)、6.51(m,2H,H−ベンゼン環)、6.85(m,3H,H−ベンゼン環)、7.13(m,1H,13’−H)、7.35(m,1H,14’−H)。
【0189】
化合物BS−FC−417は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をチオモルホリンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.78分(100%);m/z768.0[M+H]
+、384.8[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.31(s,3H,N−CH
3)、2.64(m,3H,N’−CH
3)、3.31(s,3H,6’−OCH
3)、3.73(s,3H,6−OCH
3)、3.91(s,3H,12−OCH
3)、5.98(s,1H,8’−H)、6.28(m,2H,H−ベンゼン環)、6.50(m,2H,H−ベンゼン環)、6.83(m,3H,H−ベンゼン環)、7.11(m,1H,13’−H)、7.35(m,1H,14’−H)。
【0190】
化合物BS−FC−419は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400を4−ヒドロキシピペリジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.71分(88.32%);m/z765.9[M+H]
+、383.7[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.27(s,3H,N−CH
3)、2.62(m,3H,N’−CH
3)、3.33(s,3H,6’−OCH
3)、3.71(s,3H,6−OCH
3)、3.90(s,3H,12−OCH
3)、5.97(s,1H,8’−H)、6.28(m,2H,H−ベンゼン環)、6.50(m,2H,H−ベンゼン環)、6.83(m,3H,H−ベンゼン環)、7.09(m,1H,13’−H)、7.34(m,1H,14’−H)。
【0191】
化合物BS−FC−420は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をN−エチルピペラジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.72分(94.99%);m/z779.1[M+H]
+、390.3[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.29(s,3H,N−CH
3)、2.50(m,3H,N’−CH
3)、3.35(s,3H,6’−OCH
3)、3.73(s,3H,6−OCH
3)、3.91(s,3H,12−OCH
3)、5.97(m,1H,8’−H)、6.29(m,2H,H−ベンゼン環)、6.50(m,2H,H−ベンゼン環)、6.84(m,1H,10’−H)、6.84(m,2H,H−ベンゼン環)、7.14(m,1H,13’−H)、7.31(m,1H,14’−H)。
【0192】
化合物BS−FC−421は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をN−シアノピペラジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.77分(92.20%);m/z775.1[M+H]
+、388.3[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.31(s,3H,N−CH
3)、2.66(m,3H,N’−CH
3)、3.34(s,3H,6’−OCH
3)、3.71(s,3H,6−OCH
3)、3.89(s,3H,12−OCH
3)、5.96(s,1H,8’−H)、6.29(s,2H,H−ベンゼン環)、6.50(m,2H,H−ベンゼン環)、6.90(m,3H,H−ベンゼン環)、7.09(m,1H,13’−H)、7.32(m,1H,14’−H)。
【0193】
化合物BS−FC−422は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をN−ヒドロキシエチルピペラジンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.67分(92.80%);m/z794.9[M+H]
+、398.2[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.28(s,3H,N−CH
3)、2.66(m,3H,N’−CH
3)、3.34(s,3H,6’−OCH
3)、3.71(s,3H,6−OCH
3)、3.89(s,3H,12−OCH
3)、5.96(s,1H,8’−H)、6.28(s,2H,H−ベンゼン環)、6.48(m,2H,H−ベンゼン環)、6.82(m,3H,H−ベンゼン環)、7.09(m,1H,13’−H)、7.32(m,1H,14’−H)。
【0194】
化合物BS−FC−424は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400を3−メトキシプロピルアミンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.74分(85.62%);m/z753.9[M+H]
+、377.7[1/2M+H]
+。
1H NMR(301MHz,CDCl
3中でのシグナルの部分的帰属)δ 2.30(s,3H,N−CH
3)、2.67(m,3H,N’−CH
3)、3.30(s,3H,O−CH
3)、3.44(s,3H,O−CH
3)、3.73(s,3H,6−OCH
3)、3.92(s,3H,12−OCH
3)、6.00(d,1H,J=9.6Hz,8’−H)、6.29(m,2H,H−ベンゼン環)、6.50(s,1H,H−ベンゼン環)、6.53(s,1H,H−ベンゼン環)、6.78(m,1H,10’−H)、6.86(s,2H,13,14−H)、7.19(dd,1H,J=2.1,8.4Hz,13’−H)、7.36(dd,1H,J=2.1,8.4Hz,14’−H)。
【0195】
化合物BS−FC−425は、BS−FC−418の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物BS−FC−
400をフルフリルアミンと反応させることによって調製した。
LC−MS:保持時間:0.77分(87.94%);m/z761.9[M+H]
+、381.7[1/2M+H]
+。
【実施例6】
【0196】
本発明の7−置換ファングキノリン誘導体の抗白血病活性に関する評価
(1)実験材料
白血病細胞株:白血病細胞株:K562/adr(薬物耐性、慢性骨髄性白血病、CML、chronic myeloid leukemia)、NB4(急性前骨髄球性白血病、AML、acute promyelocytic leukemia)、Kasumi−1(急性骨髄性白血病M2タイプ、AML−M2、acute myeloid leukemia M2 type)、Jurkat(急性リンパ性白血病、ALL、acute lymphoblastic leukemia)は、すべて中国、浙江大学の癌研究所から寄贈されたものであり、H9(急性リンパ性白血病、ALL)は、China Center for Type Culture Collectionから購入した。
試薬:中国陝西省のCi Yuan Biotechnology社から購入したファングキノリン(FAN)の標準試料、及び本発明の7−置換ファングキノリン誘導体。
主な装置:インキュベーター(モデル:Thermo Scientific 3111)及びマイクロプレートリーダー(モデル:Bio-Rad iMark)。
【0197】
(2)実験方法
良好に増殖する6000個の白血病細胞を得、96ウェル細胞培養プレートのウェルに播種した。培地は、10%ウシ胎児血清を含有するRPMI−1640細胞培地であった。翌日、異なる濃度の7−置換ファングキノリン誘導体を添加し、均一に混合した後、プレートを、37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO
2)に入れ、72時間インキュベートした。次に、生細胞濃度を、MTT法によって求めた。この実験では、対照群(いかなる化合物でも処理していない)の細胞生存率を、100%と設定し、処理後の細胞生存率(%)及び72時間目における白血病細胞増殖に対する化合物の半数阻害濃度(IC
50値、72時間、μg/mL)を算出した。
【0198】
(3)実験結果
実験結果を表1に示す。
表1は、本発明の7−置換ファングキノリン誘導体が、ヒト慢性骨髄性白血病細胞、急性骨髄性白血病細胞及び急性リンパ性白血病細胞の細胞死を誘発することができ、これらの白血病細胞の増殖を阻害し得ることを示している。本発明の7−置換ファングキノリン誘導体は、ファングキノリン自体と比較すると、著しく増強された抗白血病細胞活性を示す。本発明の7−置換ファングキノリン誘導体BS−FC−403及びBS−FC−410の抗K562/adr(薬物耐性、慢性骨髄性白血病、CML)活性は、特に著しく高く、ファングキノリンよりも7倍を超えて高かった。BS−FC−308の抗Jurkat(急性リンパ性白血病)活性及び抗H9(急性リンパ性白血病)活性は、ファングキノリンよりもそれぞれ4倍及び3倍を超えて高かった。BS−FC−104、BS−FC−311及びBS−FC−410の抗NB4(急性前骨髄球性白血病)活性は、2倍を超えて高かった。BS−FC−311の抗Kasumi−1(急性骨髄性白血病M2タイプ)活性は、ファングキノリンよりもほぼ2倍高かった。
【0199】
【表2】
【実施例7】
【0200】
本発明の7−置換ファングキノリン誘導体の抗ヒト多発性骨髄腫細胞活性に関する評価
(1)実験材料
骨髄腫細胞株:中国上海のFuxiang Bio-tech社から購入したRPMI8226(多発性骨髄腫)。
試薬:実施例6と同じ。
主な装置:Thermo Scientific 3111インキュベーター及びBio-Rad iMarkマイクロプレートリーダー。
【0201】
(2)実験方法
良好に増殖する6000個の細胞を得、96ウェル細胞培養プレートのウェルに播種した。培地は、10%ウシ胎児血清を含有するRPMI−1640細胞培地であった。翌日、異なる濃度の7−置換ファングキノリン誘導体を添加し、均一に混合した後、プレートを、37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO
2)に入れ、72時間インキュベートした。次に、生細胞濃度を、MTT法によって求めた。この実験では、対照群(いかなる化合物でも処理していない)の細胞生存率を、100%と設定し、処理後の細胞生存率(%)及び72時間目における細胞増殖に対する化合物の半数阻害濃度(IC
50値、72時間、μg/mL)を算出した。
【0202】
(3)実験結果
実験結果を表2に示す。
表2は、本発明のいくつかの7−置換ファングキノリン誘導体が、ヒト骨髄腫細胞の死滅を誘発することができ、これらの腫瘍細胞の増殖を阻害し得ることを示している。本発明の7−置換ファングキノリン誘導体BS−FC−417の抗RPMI8226(多発性骨髄腫)活性は、ファングキノリンよりも2倍高かった。
【実施例8】
【0203】
本発明の7−置換ファングキノリン誘導体の抗ヒト固形腫瘍効果に関する評価
(1)実験材料
ヒト固形腫瘍細胞株:
Hep−2(喉頭癌腫)、A549(ヒト肺癌)、CaEs−17(食道癌細胞)、PC−3(前立腺癌)、CNE(鼻咽頭癌腫細胞)及びSK−OV−3(卵巣癌細胞)は、すべてChina Center for Type Culture Collectionから購入した。RKO(ヒト結腸腺癌細胞)、MGC−803(ヒト胃癌細胞)、MG−63(骨肉腫)及びU87−MG(悪性神経膠腫細胞)は、すべて中国上海のFuxiang Bio-tech社から購入した。PANC−1(膵臓癌)、Becap−37(ヒト乳癌細胞)、Hela(ヒト子宮頸癌細胞)及びHep G2(ヒト肝臓癌細胞)は、すべて中国、浙江大学の癌研究所から寄贈された。
試薬:実施例6と同じ。
主な装置:Thermo Scientific 3111インキュベーター及びBio-Rad iMarkマイクロプレートリーダー。
【0204】
(2)実験方法
良好に増殖する6000個のヒト固形腫瘍細胞を得、96ウェル細胞培養プレートのウェルに播種した。培地は、10%ウシ胎児血清を含有するDMEM高グルコース細胞培地であった。プレートを、37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO
2)に入れ、24時間インキュベートした。異なる濃度の7−置換ファングキノリン誘導体を添加し、均一に混合した後、プレートを、37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO
2)に入れ、72時間インキュベートした。次に、生細胞濃度を、MTT法によって求めた。この実験では、対照群(いかなる化合物でも処理していない)の細胞生存率を、100%と設定し、処理後の細胞生存率(%)及び72時間目における白血病細胞増殖に対する化合物の半数阻害濃度(IC
50値、72時間)を算出した。
【0205】
(3)実験結果
実験結果を表2に示す。
表2は、本発明の7−置換ファングキノリン誘導体が、ヒト固形腫瘍細胞の死滅を誘発することができ、これらの腫瘍細胞の増殖を阻害し得ることを示している。本発明の7−置換ファングキノリン誘導体は、ファングキノリン自体と比較すると、著しく増強された抗ヒト固形腫瘍細胞活性を示す。本発明の7−置換ファングキノリン誘導体BS−FC−403、BS−FC−405及びBS−FC−410は、特に著しく高い増強を示す。これらの抗PANC−1(膵臓癌)、抗Becap−37(ヒト乳癌細胞)及び抗Hep G2(ヒト肝臓癌細胞)活性は、ファングキノリン自体よりもほぼ3倍以上高かった。抗U87−MG(悪性神経膠腫細胞)活性は、1.5倍を超えて高い。BS−FC−403の抗PC−3(前立腺癌)、抗SK−OV−3(卵巣癌細胞)及びRKO(ヒト結腸腺癌細胞)活性は、ファングキノリン自体よりもほぼ3倍以上高かった。BS−FC−308の抗A549(ヒト肺癌)活性は、3倍を超えて高かった。BS−FC−221及びBS−FC−403の抗MG−63(骨肉腫)活性は、2倍を超えて高かった。BS−FC−311の抗Hela(ヒト子宮頸癌細胞)活性、並びにBS−FC−403及びBS−FC−405両方の抗CaEs−17(食道癌細胞)活性は、ほぼ4倍高かった。BS−FC−403、BS−FC−405及びBS−FC−421の抗CNE(鼻咽頭癌腫細胞)活性は、ほぼ3倍高かった。BS−FC−311、BS−FC−403、BS−FC−405及びBS−FC−409の抗Hep−2(喉頭癌腫)活性は、2倍を超えて高かった。さらに、BS−FC−403及びBS−FC−410の抗MGC−803(ヒト胃癌細胞)活性も、ファングキノリン自体よりも2倍を超えて高かった。
【0206】
【表3】
【0207】
【表4】
【0208】
【表5】
【0209】
【表6】
【実施例9】
【0210】
本発明の7−置換ファングキノリン誘導体BS−FC−308のインビボ抗腫瘍活性の評価及びその毒性の予備的評価
実験9−1:ヌードマウスにおける肝臓癌の移植腫瘍に対するBS−FC−308の阻害効果
(1)実験材料
肝臓癌細胞株:Hep G2(ヒト肝臓癌細胞株);
動物:BALB/cヌードマウス(免疫不全マウス)、8週齢、雌性、中国のShanghai Laboratory Animal Center of Chinese Academy of Sciencesから購入。
【0211】
(2)試薬
BS−FC−308(実験で合成した);
エルロチニブ塩酸塩(Shandong Zibo Kai-Mei-Yuan Pharmaceutical社)
【0212】
(3)主な装置
細胞インキュベーター(Thermo Scientific、3111);
ラミナーフローラック(Suhang Experimental Animal Equipment Factory、DJ-2)。
【0213】
(4)実験方法
無菌条件下で、対数増殖期のHep G2細胞をそれぞれ収集し、ヌードマウス1匹当たり2.3×10
7/0.2mLの量で(細胞生存率が90%を超える)、ヌードマウスの左腋窩下に皮下注射し、こうしてヌードマウスにおける肝臓癌の移植腫瘍モデルを確立した。接種後2日目からマウスに投与した。実験群には、実験的に設計された量を胃内投与し、負の対照群には、滅菌水を胃内投与し、正の対照群には、エルロチニブ塩酸塩を胃内投与した。各マウスに、6時間間隔で8:00、14:00及び20:00の1日3回、各回0.4mlを胃内投与した。投与を10日間継続した。投与前日を0日目とみなし、マウスの体重及び腫瘍の大きさを、5日毎に測定して、体重及び腫瘍増殖に対する動的プロットを得た(実験結果は、平均±SDと表される)。28日目にマウスを屠殺し、腫瘍を取り出し、秤量した。医薬品の効果が現れた後の腫瘍阻害率(%)を、0とした対照群の腫瘍阻害率に基付いて算出した。
【0214】
各群の実験データを、一元配置ANOVA法を使用して、SPSS 19.0統計ソフトウェアで分析し、有意差について対照群と比較した。
【0215】
【表7】
【0216】
【表8】
【0217】
図1は、ヌードマウスの体重に対する、BS−FC−308の動的効果を示す曲線である。
図2は、ヌードマウスのHep G2移植腫瘍の体積に対する、BS−FC−308の動的効果を示す曲線である。
図3は、BS−FC−308が、ヌードマウスのHep G2移植腫瘍の重量を著しく低減することを示す。
図4は、ヌードマウスのHep G2移植腫瘍の重量に対する、BS−FC−308の効果を示す。
図5は、ヌードマウスのHep G2移植腫瘍に対する、BS−FC−308の阻害効果を示す。
【0218】
先の表及び図から分かる通り、1日3回、各回35mg/kgの投与量で投与したインビボ動物実験では、BS−FC−308は、肝臓癌細胞のHep G2移植腫瘍の増殖を有効に阻害することができ、阻害率は55.82%であった。投与中に、動物の体重は低減したが、これは化合物が動物に対して特定の毒性のある副作用を及ぼしたことを示している。しかし、投与を停止した後、動物の体重は元に戻った。
【0219】
実験9−2:ヌードマウスにおける白血病の移植腫瘍に対するBS−FC−308の効果
(1)実験材料
白血病細胞株:KCL−22M(ヒト慢性骨髄性白血病変異体系統);
動物:BALB/cヌードマウス(免疫不全マウス)、8週齢、雌性、中国のShanghai Laboratory Animal Center of Chinese Academy of Sciencesから購入。
【0220】
(2)試薬
BS−FC−308(実験で合成した)。
【0221】
(3)主な装置
細胞インキュベーター(Thermo Scientific、3111);
ラミナーフローラック(Suhang Experimental Animal Equipment Factory、DJ-2)。
【0222】
(4)実験方法
無菌条件下で、対数増殖期のKCL−22M細胞をそれぞれ収集し、ヌードマウス1匹当たり1×10
7/0.2mLの量で(細胞生存率が90%を超える)、ヌードマウスの左腋窩下に皮下注射し、こうしてヌードマウスにおける白血病の移植腫瘍モデルを確立した。接種後2日目からマウスに投与した。実験群には、実験的に設計された量を胃内投与し、負の対照群には、滅菌水を胃内投与した。各マウスに、8:00、14:00及び20:00の1日3回、各回0.4mlを胃内投与した。投与を10日間継続した。投与前日を0日目とみなし、マウスの体重及び腫瘍の大きさを、5日毎に測定して、体重及び腫瘍増殖に対する動的プロットを得た(実験結果は、平均±SDと表される)。25日目にマウスを屠殺し、腫瘍を取り出し、秤量した。医薬品の効果が現れた後の腫瘍阻害率(%)を、0とした対照群の腫瘍阻害率に基付いて算出した。
【0223】
各群の実験データを、一元配置ANOVA法を使用して、SPSS 19.0統計ソフトウェアで分析し、有意差について対照群と比較した。
【0224】
【表9】
【0225】
【表10】
【0226】
図6は、ヌードマウスの体重に対する、BS−FC−308の動的効果を示す曲線である。
図7は、ヌードマウスのKCL−22M移植腫瘍の体積に対する、BS−FC−308の動的効果を示す曲線である。
図8は、ヌードマウスのKCL−22M移植腫瘍の大きさに対する、BS−FC−308の効果を示す。
図9は、ヌードマウスのKCL−22M移植腫瘍の重量に対する、BS−FC−308の効果を示す。
図10は、ヌードマウスのKCL−22M移植腫瘍に対する、BS−FC−308の阻害効果を示す。
【0227】
先の表及び図から分かる通り、インビボ動物実験では、本発明の実験により1日3回、各回30mg/kgの投与量で投与すると、BS−FC−308が、白血病細胞のKCL−22M移植腫瘍の増殖を有効に阻害することができ、阻害率は74.45%であったことが立証された。投与中に、動物の体重は低減したが、これは化合物が動物に対して特定の毒性のある副作用を及ぼしたことを示している。しかし、投与を停止した後、動物の体重は元に戻った。